戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士 作:狼牙竜
家族以外からチョコをもらえる可能性は限りなく低い作者ですが、そんなことは置いといてバレンタイン編スタートです!
…本編とは関係ありませんが今日、弟と帰りに以前配信されたシンフォギアRADIOを聞いて、弟がふとシンフォギアとライダーの妙な繋がりを口にしましたので、その続きは後書きに…
感想、評価が作者の力となります!
というわけでスタート!
2月14日、バレンタインデー。
リディアン音楽院の調理室で、突如爆発が起きた。
「……何故だ?何故私がチョコを作ろうとすると爆発する!?」
無残にも焦げた鍋を見て呆然とする翼。
「翼さんが戦い以外苦手ってのは知ってたけど…」
この惨状に、響も励ましの言葉を送れない。
というより、今は自分の方で手一杯なのだ。
バレンタインに向けて、装者達+未来の計7人は現在、リディアンの調理室を丸一日借りてチョコ作りに励んでいた。
「さて、いっちょやってやるデス!」
「ここからは私たちの…」
「「超キョウリョクプレーで、チョコを作ってみせる(やるデス)!!」」
将也とパラドの決め台詞をパクりながらチョコ作りを進める切歌と調。
この中でこういった作業が得意なのは調、マリア、未来の3人。
調が切歌を、マリアがクリスと翼を、未来が響をサポートしていた。
「でも、今日もしノイズやバグスターが出たらどうするんですか?」
ふと気になったのか、未来がマリアに質問する。
「それなんだけど………もう戦闘要員は決まってるのよね…」
―――――――――――
街中に出現する無数のバグスターウイルス。
それを片っ端から倒していく、パラドクス・レベル99とエグゼイド・ムテキゲーマー。
「ったく!何でこんな日に限ってバグスターが大量発生するんだよ!?」
バグスターウイルスをパラブレイガンで撃ちながら叫ぶパラドクス。
今日に限ってバグスターが大量発生したのには理由がある。
バレンタインデー。それはチョコを貰えた男と貰えなかった男にはっきりと差が出てしまう日。
チョコを貰えなかった男達の中に感染者がおり、貰えなかったというストレスからゲーム病が発症。
バグスター達の大暴れでもらったチョコが踏まれたり、落としたりしたことが理由で貰えた男達に紛れていた感染者達のストレスが増大してさらにバグスターが増える。
チョコを貰えた方から発症したバグスターと貰えなかった方から発症したバグスターが互いに争い、現場は混沌を極めていた。
放っておくこともできないために将也とパラドが出撃、変身して対処するが数百を超える数のバグスターウイルスを倒すのに苦労していた。
「遅れました!」
すると、エグゼイドの目の前に緒川が着地する。
「慎次さん!」
緒川はゲーマドライバーを装着し、持っていたガシャットを起動。
《ハリケーンニンジャ!》
ガシャットを装填し、ドライバーのレバーを開く。
「変身!」
《ガッチャーン!レベルアーップ!》
出現したキャラクターパネルから忍者を模したキャラクターを見つけ、右手を真横に伸ばして選択。
《マキマキ竜巻!ハリケーンニンジャ!》
緒川は忍者をモチーフにした仮面ライダー、『仮面ライダー風魔』に変身した。
「仮面ライダー風魔…参ります!」
さらに、10体ほどのバグスターウイルスが蹴散らされていくとそこには彼らにとって見知った人間が立っていた。
「遅れてすまない!」
「「し、司令!?」」
何と、緊急事態につき風鳴弦十郎までもが最前線に現れた。
「ノイズではなくバグスターなら俺もある程度は戦えるからな!」
「イヤイヤ、あんたが離れて指揮はどうすんだよ!?」
パラドクスはたまらず弦十郎に聞く。
「問題ない!現場の情報は全て端末を通じて集めている!それに何かあれば、彼にも協力してもらうことになったからな!」
豪快に笑う弦十郎は、いつの間にか横で嫌そうな顔をしている青年……グラファイトの肩を掴んでいた。
どうやら、偶然近くを通りかかったグラファイトを弦十郎が拉t…もとい連れてきたらしい。
「ぐ、グラファイト…」
「パラド…お前、いつもこんな奴の下で戦っていたのか…?」
が、この数を相手にいつまでもしゃべっている余裕はない。
グラファイトは仕方なくバグヴァイザーを取り出し、起動させる。
「はあ………培養」
《INFECTION!》
《レッツゲーム!バッドゲーム!デッドゲーム!ワッチャネーム!?》
《ザ・バグスター!》
グラファイトはバグスターとしての姿『グレングラファイトバグスター』に変身する。
「仕方ない…俺を少しでも楽しませてくれ!」
嫌な気分を振り払うように叫ぶグラファイトは、武器のグレングラファイトファングを構えた。
――――――――――
それからおよそ4時間後。
「これで……合計863体…!」
《キメワザ!》
パラドクスはパラブレイガンにガシャットギアデュアルを装填し、必殺技を放つ。
《パーフェクト!クリティカルフィニッシュ!》
『PERFECT・CRITICAL・FINISH!』
青いビームがバグスター達に直撃し、消滅させる。
「では、こちらも!」
風魔はキメワザスロットホルダーにガシャットを挿し、必殺技を発動させる。
《ハリケーン!クリティカルストライク!》
『HURRICANE・CRITICAL・STRIKE!』
二振りの忍者刀でバグスター達を切り裂いていく風魔。
「二人共やるな…なら俺も!」
弦十郎はふっと息を吐き、静かに構える。
「ぬうん!」
地面が陥没するほどの踏み込みでバグスターに接近した弦十郎はバグスターを殴り飛ばし、殴られたバグスターは他の個体にぶつかり、纏めて爆発して散った。
「小賢しい…雑魚ばかりがウジャウジャと!」
グラファイトは武器を構え、必殺技の名を叫ぶ。
「ドドドドド!紅蓮爆竜剣!」
その名のとおり、紅蓮の炎が竜を思わせる動きで暴れ、バグスターを焼き尽くす。
「俺も、出し惜しみは無しだ!」
エグゼイドはバグスターとしての力で自らの分身体を作り出し、分身の将也はタドルレガシーのガシャットを起動させる。
《タドルレガシー!》
「術式レベル100、変身!」
《ガッチャーン!レベルアーップ!》
分身将也の目の前にゲートが出現し、分身将也はまるで扉を開けるように両腕を前に開く。
《辿る歴史!目覚める騎士!タドルレガシー!》
分身将也は、『仮面ライダーブレイブ・レガシーゲーマーレベル100』に変身を果たす。
「行くぜ、俺!」
「ああ。これより、バグスター切除手術を開始する!」
ブレイブはガシャコンソードを召喚し、素早くガシャットを装填。
《ガッシャット!キメワザ!》
ガシャコンソードに炎が灯り、エグゼイドもムテキガシャットのボタンを押す。
《キメワザ!》
ガシャコンキースラッシャーに光が宿り、同時に必殺技を放つ。
《タドル!クリティカルフィニッシュ!》
『TADDLE・CRITICAL・FINISH!』
《ハイパー!クリティカルスパーキング!》
『HYPER・CRITICAL・SPARKING!』
「俺に斬れないものはない!ハアアッ!」
ブレイブがガシャコンソードを振ると、無数の炎の刃がバグスター達を切り裂く。
「こいつでフィニッシュだ!」
エグゼイドがガシャコンキースラッシャーを構えると、エグゼイドの姿が一瞬でバグスター達の後ろに現れる。
次の瞬間、バグスター達の体に大量の『HIT!』のエフェクトが発生し、1匹残らず消滅した。
――――――――――
それから2時間ほど経過…
グラファイト達の加勢によって、ようやく全滅するバグスター達。
「俺達…どれくらい倒した…?」
息を切らせたパラドが将也に聞く。
「えっと……ダメだ、1000から数えてない…」
分身を行い、その上でムテキとレベル100を併用した影響で倒れ込んだ将也。
「ふむ。ざっと1862体って所だな」
「司令、数えてたんすね…」
全く息が乱れていない弦十郎と慎次の姿に、内心『本当に人間なのだろうか』と疑問を抱く将也達だった。
「ん?将也君、パラド君。そろそろ約束の時間じゃないのか?」
ふと時計を見ると、時間は響との約束の時間だった6時までもうすぐだった。
「やっばい!早く行かないと!」
将也とパラドは急いで立ち上がる。
「将也、パラド。あとは俺達に任せておけ」
グラファイトに手を振って、将也達は自宅へと向かった。
―――――――――――
将也の住むアパートの一室。
ドアを開けた将也達の目に入ったのは、笑顔で出迎えてくれた響達だった。
「おかえり、将也君!」
リディアンの調理室の利用時間を過ぎてからは将也の部屋のキッチンを借りて何とかバレンタインチョコを完成させた装者一同。
それぞれの手にはしっかりと手作りのバレンタインチョコがあった。
響が作ったのは、オーソドックスなハート型のチョコ。
「これは私から!未来が協力してくれたんだけど…」
よく見ると、響の指にはいくつか絆創膏が貼られている。
「響…その手…」
「え?ああっ!?」
慌てて手を隠す響だが、将也は笑顔で返事をする。
「ありがとう、響」
将也からの言葉に嬉しくなったのか、俯く響。
次に渡してきたのは、翼。
マリアの協力があったものの、ガシャットを模したなかなか凝ったデザインになった。
「ど、どうだ?少し歪になったと思うが…?」
イマイチ自信なさげな翼だが、将也はチョコを一つ食べてみる。
「うん、美味しい!ありがとうね、翼」
「そ、そうか…喜んでくれたのなら何よりだ…!」
続いてチョコを渡してきたのはクリス。
彼女が作ったのは、コンバットゲーマを模した可愛らしいデザインのチョコ。
2人とは趣向を変えた、ビターチョコとなっている。
「…やるね、流石はクリス」
やや苦味が強いが、それがなかなか癖になる。
他のメンバーが作ったチョコとは異なる味がまた気に入った。
「そっか、やった…!」
実に嬉しそうな笑顔のクリスに、周囲の空気までどこか暖かくなる。
「次は私達3人で作った…」
「F.I.Sチーム特製、チョコレートケーキ…デス!」
ケーキの上にはハート型のチョコの飾りの他に、各ライダーのレベル1型やパラドクスレベル99をデフォルメしたチョコ製人形が飾られている。
「これすごっ!?」
「見事なものだな…このチョコ人形のクオリティは…」
クリスと翼はその余りにもレベルの高いチョコケーキに驚いている。
「凄い凄い!これ食べてもいい!?」
響に至っては感激のあまり本来食べるはずの将也より先に食べようとする。
「駄目デス!まだ将也先輩が食べてないデスよ!」
「そうよ!まずは将也が食べるべきでしょ!貴女はもう少し待ちなさい!」
慌てて響を止めに入る切歌とマリア。
そんな騒ぎの後ろで、未来は密かに作っていたチョコをパラドに渡していた。
「はい、パラド」
「え…いいのか?」
「勿論!」
未来が作ったのは、パーフェクトパズルに登場するマスコットキャラを模した形のチョコ。
一口食べてみると…
「美味っ!すげえ美味いよ、未来!」
「そ、そう…?何か、嬉しいな…えへへ…」
後ろで長年連れ添ったカップルのような甘い空気を流す未来とパラド。
一方で、後ろではF.I.Sメンバーの作ったチョコケーキを食べる将也の姿が。
ちなみに、ケーキを焼いたのはマリア、チョコの準備は切歌、チョコの飾りを作ったのは調である。
「ありがとうね、皆」
生まれてこの方、家族以外の異性からバレンタインデーにチョコを貰ったのは今回が初めてである。
「良かった…将也君が喜んでくれたなら、何よりだよ」
2月14日、バレンタインデー。
愛する人たちとの新しい思い出がまた一つ増えた日となった…
「先輩、ホワイトデーのプレゼント、楽しみに待ってるデスよ!」
「ホワイトデーか………
わかった…」
果たして全員分用意できるのだろうかと少し不安になった将也であった…
Happy Valentine!
というわけでバレンタインの短編となりました!
皆さんの反響次第ではホワイトデー編も書こうか考えています…
皆さんの感想、お待ちしています!
ここからは上に書いた前書きの続きとなります。
シンフォギアRADIOで井口裕香さんとゲストの悠木碧さんの会話を聞いて、弟が『響と未来って単なる友達というより、翔太郎とフィリップのような『互いになくてはならない関係』だよね』という言葉になるほどと納得した自分がいました。
そういう意味では永夢とパラドも互いに欠けてはならない相棒同士ですし、エグゼイド(というかライダーとシンフォギア)の似たようなポイントを発見した日となりました。