戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士 作:狼牙竜
シンフォギアエグゼイド、半年ぶりの更新となります!
ガメラコラボなどでようやくエンジンがかかってきたので、何とか仕上げることができました。
ありふれジオウ共々応援よろしくお願いします!
感想、評価が作者の力になります。
(BGM 『ありがとう』を唄いながら)
マリア達がチフォージュ・シャトーに飛び込んでから数分。
キャロルは姿を消したエグゼイド達を探していた。
「…あいつら、どこに…」
歌声も聞こえず、響達も見失った。
警戒するキャロルだったが…
「そこだ!!」
上空から翼が刀を振り上げて強襲し、キャロルは鋼糸で翼を絡め取る。
「まだまだ!」
今度はビルの窓ガラスを突き破ってクリスと響が現れ、クリスの弾丸と響の拳がキャロルに迫る。
「この程度で…オレを倒せると思ったか!」
キャロルは土の錬金術で二人の攻撃を受け止めたが…
「本命は…ここだ!」
キャロルの背後から『透明化』のエナジーアイテムの効果で姿を消していたエグゼイドとパラドクスが現れ、エグゼイドはガシャコンブレイカーを振りかぶる。
「俺が封じて…」
パラドクスは事前に使っていた『液状化』のアイテムによって体を水のように変化させ、キャロルを拘束。
「俺が決める!」
《ハイパー!クリティカルフィニッシュ!!》
これまでとは明らかに異なる黄金のエネルギーを纏ったガシャコンブレイカーはキャロルの防御を容易く打ち砕き、彼女を吹き飛ばす。
「んぐっ!?これほどの力が…うああああ!!」
だが、その反動によってエグゼイドも吹き飛ばされ、ガシャットはガシャコンブレイカーから抜けてしまう。
「将也!」
変身の解けた将也を翼が抱え、その場から離脱。
「大丈夫か!?」
「ああ…でも、決め損ねた…やっぱ未完成なハイパームテキじゃ決定打にはならないのか…」
将也の握るガシャットは鈍い金色の光を放っていた…
――――――――――
シャトー内部に侵入したマリア達。
そこで彼女達を待っていたのは…すでにこの世にはいないはずの人物だった。
「マム…!?」
「思い出しなさい…血に穢れた貴女の手を。どうしてその手で世界を救えるなど夢想できますか?」
マリア、切歌、調にとって母のような存在だったナスターシャ教授。
フロンティア事変で命を落とし、月に置き去りにされた亡骸は確かに響達の協力があって埋葬されたはずのナスターシャがシャトーに現れたのだ。
「あの女性は…」
「マム…私達がFISにいた頃、私達の指揮を取っていた人デス…」
千翼の疑問に答える切歌。
「あなたが世界を救いたい。そう願うのは自分が救われたいがため」
偽りのナスターシャの言葉に返す言葉を失うマリア。
「っ、マリア!あれはマムじゃないデスよ!」
「私達はマムが今どこにいるか知っている!きっとこの城塞の仕掛け…」
「そんなのわかってる!あれは偽りのマム…だけど、語った言葉は紛れもない真実だわ!」
心を揺さぶられているマリアがいる以上長居をすればさらに厄介なことになると考えた切歌達は行動しようとするが…
「だったら、僕も連れてってくれないかな?」
屋根を突き破って現れたのは、仮面ライダービルド。
「ビルド!?どうしてここに?」
「君達と同じさ…この基地を止める」
突然現れた彼を信じるべきか迷う千翼だったが、調が前に出た。
「…今は誰だろうが助けを借りたい。ちゃんと協力…してね?」
「ああ…約束する」
――――――――――
シャトー起動によって発生していた分解現象は拡大を続けていた。
「世界の分解現象、依然拡大中!」
「間もなく都市部へと到達します!」
藤尭達が現状を告げる中、エルフナインは傷の痛みに耐えながら様子を伺う。
「これが…キャロルの計画の最終段階」
ふらつくエルフナインを彰と未来が支える。
「エルフナインちゃん!」
「こんなひどいケガを…」
二人に支えられながらも、エルフナインはモニターから目を逸らさない。
「キャロルを止めるのは僕の戦い…見届けなくちゃいけないんです…」
都庁前で戦うクリスと響だが、自身が歌う事によって力を増したキャロル相手に苦戦を強いられていた。
「どうして錬金術師が歌ってやがる…」
「七つの惑星と七つの音階、宇宙の調和は音楽の調和。ハーモニーより通じる絶対心理。その成り立ちが同じである以上おかしなことではないと言っている!」
「それって…シンフォギアシステムと錬金術は、同じ成り立ちってことか!?」
キャロルの言葉にパラドクスは気づく。
「ああ。先史文明期、バラルの呪詛によって引き裂かれた世界は相互理解の不全を克服すべく人類は統一言語に変わる新たな手段を試みたという」
「万象を知ることで通じ、世界と調和するのが錬金術ならば…言葉を超えて、世界とつながろうと試みたのが…歌」
「つまり…錬金術も歌も全ては失われた統一言語を取り戻すために生み出された手段」
パラドクスの言葉に頷くキャロル。
「その起源は明らかにされてはいない…だが、お前たちならば推察することも容易であろう」
歌…否、シンフォギアシステムの創造を行った人物がかつていた。
『フィーネ』…将也の故郷が壊滅したきっかけとなったルナアタックを起こした先史文明の巫女。
「起源は…フィーネだってのかよ…」
――――――――――
一方、アルファブルとマリア達、そしてビルドはシャトーの内部を走っていた。
「罠なら仕掛けてきてもおかしくないデスよね…」
「…待って。この先で………血の匂いがする」
アルファブルが指さした方向に向かうと…
「…ようやく来たようだね。待ちくたびれちゃったよ」
右の脇腹からの出血を抑えていたウェル博士が倒れていた。
「ドクター…ウェル」
「ごらんの有様でね…血が足りずシャトーの機能を完全掌握することもままならないから難儀したのさ」
仏頂面をしていたウェルだったが、カッと目を見開いてネフィリムに変異した左手を出す。
「さて…戦場で僕と取引しようか!!」
――――――――――
アルファブルとウェルの案内によってシャトーの中心部にたどり着けたマリア達。(因みにウェルはビルドによって応急処置を施され、彼が背負っている)
「これがシャトーの制御装置。これさえ破壊すれば…」
マリアがアームドギアを取り出すが、それをビルドが制止する。
「いや…襲撃をあの錬金術師が想定していないはずがない。この手の装置だと恐らく…破壊すれば直前の状態にシステムが固定、もしくは暴走する可能性が高い」
「ほう?君は彼女達と違ってオツムのプロセッサが最新型のようだね」
ウェルの一言に怒りを感じたマリア達だったが、侵入者を感知したのか無数のアルカ・ノイズが現れてマリア達を囲む。
「なんにしてもやるしかない!こうしてる間にも世界は分解されているんだ!」
ビルドはロケットパンダではなく別のボトルを取り出し、装填。
《サイ!ドライヤー!ベストマッチ!》
「ビルドアップ!」
《超熱大陸!サイドライヤー!イェイ!》
ビルドは高い突進能力と高熱を操る『サイドライヤーフォーム』に変身し、いつもの決めセリフを叫ぶ。
「勝利の法則は、決まった!」
――――――――――
ボロボロになりながらも立ち上がった将也だったが、先ほどの必殺技の反動か、変身して攻撃することすらままならなかった。
「切り札のムテキも失敗…向こうにはまだ余裕があるのにこっちは…」
「くっそ…もうどうしようもねえのか…?」
『無いことなどない!!』
突然5人に通信で聞こえてきたマリアの声。
「例え万策尽きたとしても…一万と一つ目の手立てが、きっとある!!」
蛇腹剣でアルカ・ノイズを切り刻むマリア。
かつて散々悩み、苦しみ、一度は全てを諦めかけた彼女は今、諦めを捨てた。
「私達が食い止めてるうちに!」
「さっさと片付けろデス!」
切歌と調がウェルに迫るアルカ・ノイズを蹴散らすがウェルも負けじと言い返す。
「血が足りないから踏ん張れないって言っただろ!全く、子供はいつも勝手だな!!」
すると、虚空にキャロルの姿が映し出される。
『千翼…………生きていたのか、ドクターウェル!何をしている?』
「シャトーのプログラムを書き換えているのさ。錬金術の工程は分解と解析!そして…」
ウェルの狙いをキャロルは悟った。
『機能を反転し、これまで分解した世界を再構築するつもりか!そんなことをしてシャトーの構造が耐えられるものか!そのままお前たちを飲み込んで…』
「ええ…爆発するんでしょ。ビルドから聞いたわ」
「どっちにしても分解は阻止できる!彼女達は分解を阻止するという目的が果たせて、僕は君への嫌がらせを完遂できる!本当この嫌がらせはさいっこうだ!!」
だが、それを阻止するかのように偽りのナスターシャが切歌と調を吹き飛ばす。
「マム…いや、お前がマムであるものか!」
マリアがアームドギアを構えるが…偽りのナスターシャはその身を黒いマントに包むと…
「なっ!?」
「デデス!?」
「黒い…マリアさん?」
フロンティア事変の時の『ガングニールを纏ったマリア』が現れる。
「…私は『フィーネ』。そう…終わりの名を持つ者だ」
それは、かつて自らを偽って目的も理想も偽りの中に埋もれた頃のマリア。
「………そうか。お前は私…過ちのまま行き着いた私達の成れの果て!!」
切歌はアームドギアを杖のようにして何とか立ち上がる。
「だけど…黒歴史は塗り替えてナンボデス!!」
「シャトーが爆発する前に…この罪と決着を付けよう!」
調も立ち上がり、3人はそれぞれレプリカガシャットを起動。
《ドラゴナイトハンター!ゼーット!》
《ギリギリ・チャンバラ!》
《シャカリキ・スポーツ!》
「第五楽章!」
「「三連斬(デス)!」」
ギアシンフォニーにガシャットを装填した3人はそれぞれレベル5とレベル3に変身。アームドギアとゲーマの武器を持って黒マリアに戦いを挑む。
(BGM 『ありがとう』を唄いながら)
『真の正義…背負った今。どれだけあの言葉が――』
調が鋸を巨大化させて黒マリアとぶつかり、トリックフライホイールを投げて攻撃を後押し。
はじかれるも切歌が上からガシャコンスパローを振り下ろすが、避けられる。
『傷つくから、信ずことを…諦めてたあの日々――』
マリアが二刀流で攻撃しても、黒マリアはガングニールの防御を担っていたマントで防がれて一撃も通らない。
『マリアさん!通信機をウェル博士にあずけてもらえますか!』
聞こえてきたのはエルフナインの声。
彼女は傷の痛みに苦しみながらも、今自分に出来ることを果たすべく連絡してきた。
『ボクも…自分らしく戦ってみせます!今、この場で!』
「ええ…ドクター!これを!」
マリアは通信機をウェルに投げ渡し、ウェルを狙うアルカ・ノイズはアルファブルが全て撃破。
『この端末をシャトーに繋いでください!サポートします!』
「胸が躍る!だけど出来るのかい?」
通信機が接続され、S.O.N.G本部とシャトーもオンラインで接続。
本部には以前ファラに奪われた『フォトスフィア』のデータが送られてくる。
「フォトスフィアに記されたレイラインのモデルデータを元に処理すれば…ここからでも!」
友里と藤尭もエルフナインをサポートすべく取り掛かる。
「二人とも頼むぞ!」
「ナスターシャ教授の忘れ形見、使われるばかりじゃ尺ですからね!やり返してみせますよ!」
機能反転のための演算を全て本部のコンピュータが行えるように準備をするオペレーター達。
「演算をこちらで肩代わりして負荷を抑えます!掌握しているシャトーの機能を再構築に全て充ててください!」
『紡ぎあえて、奏であえて…分かち合えて、よかった――』
分解が進む中、マリア達は己の全てをかけて戦い続ける。
『足掻ききった…この答えに、凛と立って誇ろう…』
(私が重ねた罪は…私一人で!)
『今日この日の、勇気のため…生まれてきた気がする――』
「調!切歌!ここは私に任せて外で戦ってるみんなの加勢に…!」
マリアが叫ぶが、黒マリアはその隙を見逃さず槍を投げつけてくる。
しかし、それを切歌、調、アルファブルが防いだ。
「この罪を乗り越えるのは…」
「私達一緒じゃなきゃいけないのデス!」
「罪を背負ったからわかる…共に乗り越えてくれる相手がいるなら、最後まで一緒に戦うんだ!」
どこまでもついてくることを選んでくれた二人と、そんな彼女達を助けてくれたアルファブル。
「…ありがとう」
アームドギアを握り直したマリアはウェルに叫ぶ。
「ドクター!私たちの命にかえても守ってみせる!だからドクター達は世界を!!」
そんなマリアの言葉にウェルはボロボロだが、最高に力強い笑顔で返す。
「だったら…僕だって負けてられない!」
ビルドもビルドフォンを接続し、ウェルのサポートを行う。
やがて、反転が始まったのかシャトーが小さくないスパークを起こす。
「やめろ………オレの邪魔をするのはやめろ!!」
地上でシャトーを見ていたキャロルは咄嗟にシャトーに戻ろうと飛び立つ。
「これで決める!アマゾンっ!」
《ネ・オ》
アルファブルはアマゾンネオに変身し、ニードルガンでマリアを援護。
「翼…あなたと立つステージは楽しかった」
『次があるなら、そのときは朝まであなたと歌い明かしてみたいわね』
「マリア…何を?」
マリアからの言葉に驚く翼。
「命懸けで戦った相手とも仲良く出来て、誰かを大切に思う気持ちを強く持っているクリス先輩はすごいなって!憧れてたデスよ!』
「お前にだってできる!もうできてるよ!」
今宵の別れのような言葉にクリスは叫んだ。
「ごめんなさい。あの日、何も知らずに響さんに偽善と言ったこと」
『本当は、直接謝らなくちゃいけなかったのに』
「そんなの気にしてない…だから!」
ずっと悔いていたことを告げる調を引きとめようと声をかける響。
「みんな…何言ってるんだよ!そんなこと…」
将也は声が震えながらも3人に呼びかけるが…
『先輩…あの日、調を守ってくれてありがとうデス…いつだって助けてくれたこと、嬉しかったデスよ。でも…自分を大切にしないで、クリス先輩達を泣かせないでほしいデス』
「切…歌…」
『将也さんの教えてくれた歌…あの優しい歌は絶対に忘れたりしません。響さん達のこと…幸せにしてくださいね』
「調…」
『ねえ、将也…あの日、言ったわよね?『よく知るところから始める』って………でも、それも今日で終わり』
『私の家族や仲間を救ってくれた強い姿も、時折見せる優しさも弱さも、全部ひっくるめて私はあなたが好き。本当…あなたを好きになってよかった』
「マリア…待って!待ってくれ!」
『貴方のおかげで、私は最後の家族を失わずに済んだ…ありがとう』
機能が暴走し、光が溢れてくるシャトー。
「お願い、やめて!!私とパパの邪魔をしないで!!」
冷淡な声から幼子のような声になって叫ぶキャロル。
『夢が最後にできた!世界を守りきること――』
「ボクは…僕の錬金術で世界を守る!将也さんや響さん達が生きて、千翼さんが生きているこの世界をキャロルに壊させたりなんかしない!」
それはエルフナインの必死の願い。
キャロルも大切に思うが故に、エルフナインはキャロルにこれ以上の罪を背負わせないため、戦う。
「「「笑顔の涙がいい」」」
切歌、調が槍を弾き飛ばし、アマゾンネオがクローを使って黒マリアを捕縛。
《color:#008000》『切に』『調べ』『独奏(つらぬ)いて』
『さあ…暁月への前夜(イヴ)を…』
マリアは左腕の籠手にハンターゲーマから出現した剣を接続、飛び上がって振り抜くべく構えるが、黒マリアはその姿をマリアの妹である先代アガートラーム装者『セレナ・カデンツァヴナ・イヴ』に変化させるが…
『読み歌え!SERENADE!』
「セレナあああああああああ!!」
《ドラゴナイト!クリティカルストライク!》
己の弱さと幻を断つマリアの斬撃は龍の幻影を纏い、偽りのセレナを切り裂いた。
『SERE✝NADE』
それと同時にシャトーを包む光が高まり…
「やめろおおおおおおおおお!!!!」
キャロルはそれを止めるべく、自らの最強攻撃でシャトーを破壊。
チフォージュ・シャトーは爆炎に包まれながらゆっくりと墜落していった…
次回、シンフォギアエグゼイド!
『殺されたパパの無念はどう晴らせばいい!?』
キャロルの秘めた心が目を覚まし…
『復讐の炎は、すべてを燃やすまで消えないのか!?』
行き場をなくした復讐心が世界に牙を剥く!
『それでも…止める!それが俺達の選んだ道だ!』
想いが重なり、諦めない心が…
『最後の鍵は…君の力だ、キャロル!』
愛、絆、力…全てを集め、最強無敵の戦士が降臨する!
「最後の…奇跡を…」
《ハイパー!ムテキイィィ!!》
「世界の…そしてキャロルの運命は…俺達が変える!」
「ジェネレイト!」
「エクス!ドラアァァァァァイブ!」
「ハイパー………大変身っ!!」
第43話 最強無敵のHERO’s!
ゲスト紹介
葛城巧 仮面ライダービルド
突如将也達の前に現れ、彼らを助けてきた謎の青年…
その正体は平行世界『INFINITE・GREASE』の世界でビルドや後発のシステムを開発した科学者だった。
時折装者や将也達を助けてはいるが、謎のフルボトルを精製していたりとその行動には未だ疑問が尽きない…