戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士 作:狼牙竜
今回、最後に重大発表がありますので最後までお楽しみください!
感想、評価が作者の力になります!
OP Exterminate
挿入歌 Synchrogazer
「ハアッ!」
ディケイドのライドブッカーがキメラアマゾンの攻撃を受け止め、鍔迫り合いの状態になる。
「邪魔しないでよ…せっかくオリジナルを殺せると思ったのに!」
「悪いが、そうはいかない…おい、パラドクス!お前も手伝え!」
ディケイドはキメラアマゾンの腹に蹴りを入れて距離をとり、パラドクスに叫ぶ。
「わかってるっての!」
パラドクスも参戦し、千翼との距離が離れていく…
「いたいた。士ってば、早速戦ってるみたいだね」
その様子を伺っていたのは、シアンカラーの銃らしきものを握った金髪の青年。
「…あの少年…なるほどね」
青年…『海東大樹』は面白そうな表情を浮かべ、ビルの屋上から飛び降りた。
――――――――――
(…俺は…何を忘れている…?)
ディケイド達がキメラアマゾンと戦うのを見つめていた千翼。
一見動かない彼だが、今千翼は必死に自分の中の『歪み』を探していた。
あの世界での辛い日々。
(俺の記憶…本当に、俺があの世界で体験したのは辛いことだけだったのか?)
千翼の視界に長瀬達の姿が映る。
向こうの世界の彼らとは何度も対立し、険悪な仲だった。
「………いや………だったら…」
だったら何故俺は『あいつらと一緒にいた?』
「………そんなの、決まってる」
この世界での長瀬達との思い出、そして向こうでの思い出は確かに千翼の中に残っていた。
一緒に映画の撮影に参加したこっちの思い出。アマゾン狩りの撮影をさせた後、ちょっとだけ映像の編集に口を出してみんなをキョトンとさせた向こうの思い出。
どっちの世界でも、どれほど小さなものでも、千翼は彼らに『友情』を感じていたのだ。
「…おい。千翼」
気が付くと、千翼の前には長瀬が立っていた。
「祐樹…」
長瀬は千翼のネオアマゾンズドライバーを拾い、正面から向かい合う。
「お前が、何か大切なことを忘れてるのだけはわかってる…だからさ、これだけは言っておきたかった」
そう言うと、長瀬は千翼にネオアマゾンズドライバーを握らせる。
「お前が何を忘れてようと…たった一つ、お前には絶対にブレないモンがあっただろ!」
長瀬の手は千翼のネオアマゾンズドライバーを掴む。
「そのベルトを巻いて!大切な人のために戦ってたんじゃねえのかよ!」
「大切な誰かの為に、命かけて戦ってきたんだろ!」
千翼の脳裏によぎるのは、1人の錬金術師の少女。
「それができるのはこの世でただ1人…泉千翼だけだろうが!!」
長瀬の強い言葉は、確かに千翼の心へと響いた。
―――――――――――
「もう…邪魔しないでよ…!」
キメラアマゾンはディケイドとパラドクスを蹴散らし、千翼に迫る。
「このやろう…させるかよおお!」
長瀬は近くの鉄パイプを拾って、キメラアマゾンに殴りかかった。
「何…鬱陶しいな!」
「グウッ!?」
6本の腕の一つが長瀬の首を絞め、持ち上げる。
「ぐ…この…離しやがれ…」
必死にキメラアマゾンを蹴る長瀬だが、キメラアマゾンは面白いことを思いついたとばかりの声色で話す。
「そういえば…僕達の細胞って人間の体に入ったらどうなるんだっけ?」
「え…お前、まさか!」
キメラアマゾンはかつての千翼と同じ溶源性細胞を持っている。それがもし長瀬の体に何らかの形で入ってしまえば…彼は意思を持たぬ『人喰いの怪物』になってしまう。
「よせ!やめろ!」
キメラアマゾンを止めようとする千翼だが、その触手は長瀬に近づいていき…
突然、キメラアマゾンの『時が停まった』。
「な…?」
長瀬も千翼も困惑する。
なぜなら、キメラアマゾンの体にはノイズが走っており、体がピクリとも動かなかったから。
だが、その現象をディケイドだけは知っていた。
「これ…あいつか…!」
全員が困惑する中、現れたのはディケイドもよく知っていた人物。
「やあ士…また会えるなんて、嬉しい限りだよ」
「海東…やっぱりお前か。そんな力使えるのなんてお前くらいなもんだからな」
海東大樹はキメラアマゾンの腰に装着されたアマゾンズドライバーを奪い取ると、長瀬の首を掴んでいた腕を銃型武器『ネオディエンドライバー』で破壊。
「ぐっ!?」
腕が離れ、尻餅をついた長瀬だったが海東は千翼に話しかける。
「このお宝は、君が手にするべきものだ。君の父親が…自らの信念を死ぬまで貫き続けた証だからね」
海東の手に握られたアマゾンズドライバーに、千翼の手は自然と伸びていた。
「受け取りたまえ。君が真の意味で『仮面ライダー』になることを望むのなら」
『仮面ライダー』。その言葉に秘められた重さを感じながらも、千翼はその手をドライバーに伸ばし…
触れた瞬間、千翼の意識は過去の記憶へと飛んだ。
――――――――――
千翼の遠い記憶の中。
どこかの道で千翼は腕が変色したイユを背負いながら歩いていた。
「千翼…」
「…ん?」
かつて千翼が生きていた世界で、イユは死体となってからアマゾン細胞を移植された『シグマタイプ』と呼称されるアマゾンになっており、本来なら心が失われていたはずだった。
「私………楽しい」
しかし、千翼との時間が起こした奇跡だったのか彼女は本来の心を、魂を取り戻した。
当然、それが幸せであったのかといえばそうではない。愛する家族に殺されるという忌まわしい記憶への恐怖心も蘇り、彼女を一度は追い詰めてしまった。
『どうして…どうして俺達は生きてちゃ駄目なんだ…!?』
生きていようとしても、全てが裏目に出る世界。
それでも、心を消されたイユが最後に人としての心を取り戻し、本当の笑顔を見せてくれたことが千翼にとって何よりも幸せなことだったのだ。
――――――――――
潰れた動物公園跡地で、千翼はアマゾンネオとなって父の変身したアマゾンアルファ、水澤悠の変身したアマゾンニューオメガと戦っていた。
『俺が送ってやるよ…母さんのところに』
少し前に父から受けた言葉が、千翼の脳内で響いている。
自分の命を狙ってきた、殺意しか向けてこなかった父の…悲しそうで、優しい顔。
だが、千翼は楽に『死ぬ』道を拒んだ。
『わかった…』
ドライバーを装着した千翼。その目は、死を目前にしているとは思えないほどまっすぐな目をしていた。
『でも………俺は最後まで『生きる』よ!』
彼もまた…『生きることを諦めなかった』者だった。
やがて、アマゾンネオのブレードのニューオメガがいなして逆にカッターで切り裂き、ガラ空きになった腹をアルファの手が貫く。
「ガ……!」
夥しい出血の中、アマゾンネオの変身が解けた千翼はゆっくりと倒れて…
「…っ!」
千翼の体を受け止めたのは、傷だらけになりながらも変身を解いた仁だった。
「父…さん…」
「…千翼…ごめんな…ごめんな、千翼ぉ…!」
千翼の血で手を染めながらも、仁は謝罪の言葉を叫ぶ。
「俺を怨んでもいい…俺は…お前を殺した最低な親だ!」
「…違…う………父さんは…俺にとってずっと…誇れる…人だった…」
「思い…だしたよ…昔、母さんから聞いたこと…ゴホッ!」
血を吐きながらも千翼は語る。
死ぬ前に、どうしても伝えておきたかったことを。
「父さんは…誰かを傷つける…アマゾンから人を守る…ヒーローだって…昔の俺…そんな父さんが…誰よりも誇らしかった…」
涙を流す仁に、千翼は笑顔を向けた。
「ありがとう…父さん」
「千翼…!」
「泣いてた母さんを守ってくれて……出会ってくれて…そして………俺の父さんになってくれて…」
「ありがとう………俺の、永遠のヒーロー…」
――――――――――
気が付くと、千翼の意識は現実に戻っていた。
「どうだい?全て思い出せたかな?」
横にはネオディエンドライバーを持った海東が立っており、その手には1枚のカードがあった。
「…ああ。全部思い出せたよ」
あの世界で、自分は失ってばかりじゃなかった。
「イユは最後に笑顔を取り戻した…祐樹は、最後まで俺を助けてくれた………父さんがいたから、俺はあの世界で生まれることが…生きることができたんだ!」
その言葉を聞いて、海東はネオディエンドライバーにカードを装填しながら語りかける。
「覚えておきたまえ。お宝とは、誰にでもある…そして、失ってはいけない、大切なものだ」
《KAMEN RIDE…》
「お宝…?」
「そう、お宝だ。それこそ、この世で一番失われてはいけないもの…だから僕は戦っているのさ。そんなお宝を守るためにね」
ネオディエンドライバーの銃口をディケイド達と戦うキメラアマゾンに向け、海東は叫ぶ。
「変身!」《DI・END!》
海東の体に黒いアーマーが装着され、マスクはディケイドのものにどことなく似た意匠のデザイン。
世界を巡るトレジャーハンター『仮面ライダーディエンド』に変身した海東は、千翼に声をかけた。
「さて…僕も参加させてもらおうか!」
《KAMEN RIDE…》
ディエンドはドライバーにカードを装填し、銃身をスライド。
《CROSS‐Z!》
赤、青、緑の影がネオディエンドライバーから撃ち出されるとその姿は変化。
青をメインカラーとしたドラゴンモチーフの鎧に、腰にはビルドドライバーを装着した戦士。
「っしゃあ!今の俺は…負ける気がしねえ!」
『仮面ライダークローズ』は専用武器『ビートクローザー』を持ちながらキメラアマゾンに攻撃。
ディエンドは銃撃でキメラアマゾンを怯ませ、クローズと共にディケイドとパラドクスの間に入り込む。
「お前…ディケイドの仲間か?」
「仲間…ね。どうだろうか?」
パラドクスの疑問におどけるような態度のディエンド。
「海東…お前、また引っかきまわしに来たのか」
「そんな言い方は無いんじゃないのかい、士?せっかく僕が助けに来てあげたというのに」
ディエンドはネオディエンドライバーでキメラアマゾンに銃撃を行い、アマゾンズドライバーを握る千翼をチラッと見る。
「…あとは、君の選択しだいだ」
――――――――――
戦い続ける他のライダー達を見ていた千翼はどうにか立ち上がろうとするが、その足はまだふらついている。
が、そんな彼に手を貸す人物がいた。
「祐樹…」
「………お前、戦うんだろ」
千翼は頷き、長瀬はその背を強めに叩く。
「だったらしっかり戦ってこい!で、絶対負けんじゃねえぞ!」
「っ!………ああ!」
千翼は『アマゾンズドライバー』を装着し、ライダー達の戦う戦場に再び戻ってきた。
「千翼…!」
「どうやら、戻ってきたらしいな!」
千翼の復活に嬉しそうな声を上げるパラドクス。
「俺…全部わかったよ。俺の失ってた記憶が…!」
さっきまでと異なる強い目の千翼。
「俺には友達がいた!大切な人がいた!そして…俺を愛してくれた人達が、確かにいたんだ…」
自分の真実を知っても、いずれ死ななければならないと分かっていても自分の味方でいてくれた向こうの世界の長瀬。
出会った時から既にその命を終えて怪物にされていたが、最後には本来の心を取り戻したイユ。
そして…大切な母親と父親。どんな過酷な運命の中でもまっすぐ千翼と向かい合ってくれた人達は、今も千翼の心に残り続けていた。
「お前には絶対にわからない!大切な人を信じようとしない、化け物という理由に逃げて人の心を捨てたお前なんかに、俺が強くなれた理由なんてわかるはずがないんだよ!」
その言葉を聞いた瞬間、キメラアマゾンの顔が歪む。
「何言ってんのさ…化け物だってのは事実だろ!人を喰らい、成長する僕達を受け入れてくれる存在なんているはずが「いるよ!」っ!」
キメラアマゾンの言葉を遮った千翼。
「確かにいる…キャロルは、俺に笑顔をくれた!新しい生き方を、誰かを助けることの誇らしさを教えてくれた!だから戦うよ…」
この世界で出会った、本来は心優しき錬金術師。
「俺は生きたいから!大切な人達と、この世界で!だから俺は…お前に勝って、キャロルを救う!」
千翼はアマゾンズドライバーの左グリップを握る。
それは、幾度となく父が行ってきた戦いの合図。
己を戦うための獣に変え、誰かを守る戦士となるための儀式。
「父さん…力、借りるよ」
顔を上げた千翼は、グリップを思いっきり捻る。
《アルファ…!》
「……………アマゾンっ!!」
(BGM Synchrogazer)
千翼の叫びに呼応するかのように赤い衝撃波が辺りに飛び、千翼の体は赤い炎に包まれる。
が、それはすぐに青い炎に変化。
「お前…千翼なのか?」
そこから出てきたのは、『青いアマゾンアルファ』。
真っ赤な体躯は青へと変わり、緑の複眼もオレンジへと変化したアマゾンアルファの姿。
その名も、『仮面ライダーアマゾンアルファブル』。
「うう…おおおお!!」
アルファブルは腰を落とすと、一気にジャンプしてキメラアマゾンに飛びかかる。
「グウウ!」
キメラアマゾンはアルファブルの攻撃を受け止めると、そのまま互いに転がる。
「隙は僕が作ってあげよう。立ち上がった君へのご褒美だ」
そう言うとディエンドは新しいカードを装填。
《ATTACK RIDE…CROSS ATTACK!》
ディエンドのカードにより、クローズが必殺技を発動。
《READY GO!DRAGONIC FINISH!》
反撃しようとしてきたキメラアマゾンとアルファブルの間にクローズが入り、青い龍のオーラを纏った拳でキメラアマゾンにアッパーカットを決める。
「うおらあああ!!」
本来はデータを再現しただけのクローズだが、この瞬間だけは『本物』ではないかと誰もが感じた。
「があああ!?」
高熱のパンチによって腕が二つ焼け爛れてしまい悲鳴を上げるキメラアマゾン。
「あとは頼むぜ、千翼!!」
「っ!………ああ!」
大きなチャンスを作ったクローズは時間切れで消滅。
だが一瞬、アルファブルの目にはクローズとあの世界での『彼』が重なった気がした。
(ありがとう…!)
心の中で感謝の言葉を告げたアルファブルはドライバーの左グリップをひねる。
《バイオレント・スラッシュ!》
「ハアアアアア!!」
両腕のアマゾン細胞が硬質化し、ヒレが鋭いカッターに変化。
その刃でキメラアマゾンに右、左と連続で斬撃を繰り出し、相手の腕を1本すれ違いざまに切断した。
「クソ…クソ、調子に、乗ルなああアア!!」
キメラアマゾンは触手を駆使してアルファブルを弾き、近くのビルの残骸を投げつける。
だが、アルファブルは『ネオアマゾンズドライバー』を取り出すとそれを装着。
「今なら…アマゾンっ!」
《ネ・オ》
聞き慣れた音声と共に、アルファブルの体はアマゾンネオの姿にチェンジしてその衝撃波でビルの残骸を吹き飛ばす。
しかし、その覇気からこれまでのアマゾンネオとは比べ物にならない力を手にしていると誰もが気づいた。
《ブレード・ローディング》
アマゾンブレイドを創り、キメラアマゾンに攻撃をするアマゾンネオ。
「アアアアア!」
キメラアマゾンもまた、触手を硬質化させてアマゾンブレイドによく似た武器を作りながら応戦。
ドライバーの力がなくなった影響か剣は不格好な形になっていたが、そのまま2人は互いの武器をぶつけ合う。
「俺は負けない…この世界で、キャロル達と生きるためにもお前を超えてみせる!」
「無理だ無理だ無理だああア!オ前が、ボクに勝テるハズがなイ!!」
声色が変化していくキメラアマゾンの攻撃はより激しさを増すが、アマゾンネオはアマゾンブレイドを消して次なる手を打つ。
《アマゾン・スラッシュ》
背後に回ると左腕のアームカッターを使いキメラアマゾンの背中から生える触手を一気に切り落とした。
「アガアアアア!?僕の、ボクの触手ガああアア!?」
腕や触手、自分の武器を失っていくことで半狂乱になるキメラアマゾンは残った僅かな触手と3本の腕でアマゾンネオを攻撃して距離を取る。
「クソ…なんでだ!何でボクがオ前なんカに!」
キメラアマゾンは自身が追い込まれたためなのか急激に肉体が変異。
千翼のオリジナル態を凌駕する醜いモンスターへと変貌し、再生した触手を巨大なランスのように構えた。
「くっ!?」
ランスの攻撃を振り下ろされるアマゾンネオだったが…
《FINAL ATTACK RIDE…DE・DE・DE・DECADE!》
《FINAL ATTACK RIDE…DI・DI・DI・DIEND!》
《パーフェクト!クリティカルフィニッシュ!》
ディケイドの『ディメンションブラスト』とディエンドの『ディメンションシュート』、パラドクスの『パーフェクトクリティカルフィニッシュ』、3つの銃撃でキメラアマゾンの攻撃が失敗。
「今だ!お前の腕輪に秘められた想いを解放しろ!」
ディケイドの言葉に千翼は左腕につけていた腕輪…以前の抑制剤入りのものではなく、イユがカラスアマゾンに変身する際使っていた腕輪に触れる。
この腕輪は、彼にとって単なる過去の思い出ではない。
むしろイユを葬った忌まわしき物…しかし、『彼女』と自分を繋いでくれたたった一つの希望でもあった。
「イユ………力、借りるよ」
アマゾンネオはネオアマゾンズレジスターのクチバシ状のスイッチを押し込み、レジスターの青く発光していた部分が赤く変化。
カラスの鳴き声と羽ばたく音が聞こえ…アマゾンネオの背後にカラスアマゾンの幻影が見えた。
「あれは…」
その姿を見て反応したのは未来達と一緒に隠れていたイユ。
カラスアマゾンの姿に、どこか懐かしさを感じ取った…
「アマゾン………大っ変身!!」
アマゾンネオの叫びと共に、カラスアマゾンの幻影がアマゾンネオに溶け合うように重なるとアマゾンネオの姿が変化していく。
マスクはカラスの羽をイメージした装飾が付き、全体の色合いも青と銀から、青と黒に変化。
最後に巨大な翼が出現し、彼は大空を舞った。
イユの想い…そして生きることを諦めないと誓った千翼が至った最強のヒーローとしての姿。
その名も『仮面ライダーアマゾンネオレイヴン』!!
「これで決める!」
《アマゾン・ストライク》
翼が黒から虹色に変化し、アマゾンネオレイヴン(以降、アマゾンネオR)は空中でキックの体勢になる。
「ハアアアアア!!」
「グガアアアアア!」
アマゾンネオRのキックとキメラアマゾンのランスの先端がぶつかり、拮抗。
だが、徐々にアマゾンネオRの方が押され始めていた。
(まだ…俺一人じゃ届かないのか!?)
すると、アマゾンネオRの手を握る相手が現れた。
『全く、アタシらがついてるの、忘れんじゃないわよ』
「ガリィ…!?」
半透明な姿だが、そこには死んだはずのガリィがいる。
『千翼!全力で解体ショータイム、ダゾ!』
さらに、反対側にはミカも。
『正念場だ…派手にいくぞ!』
『マスターを救うと決めたあなたが…こんなところで終わるはずがないですものね?』
アマゾンネオRの背中を支えるようにレイアとファラまでもが現れ、アマゾンネオRの足に4色のエネルギーが付与。
さらに、アマゾンネオRの背を支えてくれたのは彼女達だけではなかった。
「父さん…母さん…イユ…」
父である鷹山仁、母である泉七羽。そしてあの時アマゾンとして死んだ、イユ。
「………いこうか!」
仮面の下で一筋の涙が流れるが、千翼は再びドライバーを操作。
《エレメント・ストライク!!》
火・水・風・土。四人の力を結集したアマゾンネオRの究極必殺技が発動し、キメラアマゾンのランスがどんどん砕かれていく。
その様子を見た長瀬が、全力で叫ぶ。
都市伝説でしかなかった、本物のヒーローの名を。
「そうだ………行け、仮面ライダー!!!」
「っ!終わりだあああああああ!!」
アマゾンネオRの翼が虹色に輝き、彼はエレメントストライクのもう一つの名を叫ぶ。
「ライ!ダアァァ……キイイイック!!!」
その瞬間、アマゾンネオRはキメラアマゾンを貫いた。
「そんな………僕が………うわあああああああああ!?」
細胞が崩壊し、やがてその体は炎に包まれて消滅。
この瞬間、新しい仮面ライダーがこの世界に誕生したのだった…
――――――――――
それからおよそ1時間ほど経過し、S.O.N.Gの隊員達が長瀬達を避難所へと連れて行くことになった。
「未来は…どうするの?」
「イユ…私は、この先を見届けなくちゃいけない…」
恐らく、キャロルとの最後の戦いが始まる。
そうなったらパラド達や響もまた、戦場に向かわなくてはいけない。
「私の大切な人達が戦うんだもの…逃げないって、響の戦いを見守るって決めたから…だから、ここで一旦お別れだね」
未来達の視線の先にはそれぞれのバイクに乗り込むパラドと千翼の姿が。
「千翼…体は大丈夫か?」
「ああ………今度こそ、キャロルを助ける。そうじゃなきゃ…」
千翼はドライバーをじっと見ると、顔を上げた。
「ガリィ達や…何より向こうでの大切な人達に申し訳が立たない。ここまで背中を押してもらえたんだ…だから、何があっても諦めやしない」
パラドも小さく頷き、バイクのエンジンをかける。
「千翼!パラド!」
後ろから声をかけられ、2人が振り返るとそこには大きく手を振る長瀬達が。
「その…うまく言えねえけどさ!負けんなよ!」
「まだ映画撮り終わってねえんだ!今度はその助けたい人も連れて来いよ!その時まで撮影は一旦休みにしておくからさ!」
タクもケンタも、自分なりの言葉で千翼達にエールを送ってくれる。
だが、長瀬は最後まで千翼に対してそっぽを向いたままだった。
「………じゃあね」
パラドが先に走り、千翼もジャングレイダーを走らせていく。
「千翼ぉ!!」
千翼のバイクが走り去っていく中、長瀬は大声で彼の名前を呼ぶ。
「………またな!!」
それは、再会の約束。
「…ああ!またいつか!」
千翼は左手をあげて返事をし、そのまま走っていった…
(『またいつか』。そう約束したが、また会える日は来るのか…それははっきりとはわからない)
(だが、俺は自分に誓いを立てた。例え会えるかわからなくても、『いつか必ず』と信じようと)
(決められた運命なんてない。だから俺は…自分の望んだ運命を掴むまで戦う)
「俺は生きる…これからも、『生きることを諦めない』!」
強く誓った千翼は、パラドと共に走る。
その視線の先には…『空間を破壊して出現したチフォージュ・シャトー』があった。
――――――――――
その様子を遠くのビルから観察していたのは、門矢士と海東大樹。
「どうやら…俺達の役目は終わったようだな」
「ああ…僕もお宝は手に入った」
海東の手には小さな宝石のようなものが。
「『ラピス・フィロソフィカス』。よく賢者の石と呼ばれるものだ…この世界でこうも簡単に手に入るとはね…」
楽しそうに語る海東に士はため息をつき、背後に銀のオーロラカーテンを出現させる。
「さて…俺達も新しい旅を続けるか」
オーロラカーテンが消えると、士と海東の姿はどこにもなかった…
To Be Next GAME…?
次回、シンフォギアエグゼイドは!
「最後の戦いが幕を開ける…!」
チフォージュ・シャトー、出現!
「壊れた家族は…元に戻らない」
響、最大の試練の時
『へいき、へっちゃらだ』
希望となるのは…大切な言葉
第40話 小さなCourage
「全ての準備は整った………世界の運命は、俺達が変える!」
――――――――――
仮面ライダーアマゾンアルファブル
千翼がアマゾンズドライバーで変身した姿。
戦闘力はネオに劣るものの長時間の変身が可能で、この姿を経由してアマゾンネオになることでアマゾンネオのスペックが30%向上する。
必殺技は『バイオレントスラッシュ』
仮面ライダーアマゾンネオレイヴン
アマゾンネオがカラスアマゾンの腕輪で変身した最強フォーム。
スペック面においてはエグゼイド・マキシマムゲーマーとほぼ同等にまで引き上げられている。
この形態への変身時の掛け声は『アマゾン大変身』。
必殺技はドライバーに宿った自動人形達の力を集めて放つキック『エレメントストライク』。
また、自動人形達の能力も行使可能。
重大発表!
この度、『戦姫絶唱シンフォギアEX-AID』は!
ある作者さんの小説とコラボを行うことになりました!
コラボ開始はGX編完結後を予定しております!
詳細は次回以降の投稿で説明させていただきます。
これからも戦姫絶唱シンフォギアEX-AIDを応援よろしくお願いします!!