戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士   作:狼牙竜

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たいっへん長らくお待たせいたしました!シンフォギアエグゼイド、久しぶりの更新です!

他の小説やら仕事に追われ、気が付けば三ヶ月ほど本編を更新できず…気が付けばシンフォギア本編も完結してしまいました。

ですが、これを気にモチベーションを取り戻して巻き返していきたいと思っています!

感想、評価がさらなる力になるので、お待ちしています!!



第37話 Despairを撃ち払え!

 

「ちょせえ!」

レイア、キャロル(そして影からヤジを飛ばすウェル博士)と戦闘を続けていたクリスと切歌、調。

 

(後輩ばかりに頼ってるようじゃダメだ…もっと強く!もっとだ!)

焦りから狙いが定まらなくなっているクリス。心なしか、体が重くなって視界がブレている気すらする。

 

 

「クリス先輩!」

めまいがしてレイアの攻撃が被弾したクリスは、自分の体に起きた異変にようやく気がついた。

 

 

「何だよ…これ!?アタシの体に…何が…?」

クリスの体にはゲーム病患者特有のノイズが走り、激しい頭痛がクリスを苦しめる。

 

 

 

 

「クリス先輩が…ゲーム病に!?」

「そんな…一体感染源はどこに!?」

切歌と調は周囲を見回すと、そこに感染源はいた。

 

 

 

 

 

「お初にお目にかかりますね、シンフォギア装者のお三方」

白いスーツに薔薇の花を持った小太りの男は、やたらキザったらしい振る舞いをする。

 

「お前は…確か…」

クリス達は見覚えが有る。

彼は以前、将也の記憶の中の映像で現れていた完全体バグスターの一体…

 

 

「座右の銘は『世界中にI LOVE YOU』…天ヶ崎…恋です。そして…!」

天ヶ崎はバグヴァイザーを取り出し、Aボタンを押す。

 

 

「培養…!」

《INFECTION!》

《ザ・バグスター!》

かつて将也の心を一度は絶望に追い込んだラヴリカバグスターが再び現れた…!

 

 

――――――――――

 

 

一方、風鳴宗家では翼とマリア、本物の将也が発見したファラの残骸を回収していた。

 

「この状態でもまだ起動していられるなんて…」

四肢をもがれてもなお対話できるファラに警戒心を解かない将也達だったが…

 

「…いつだったかショボイなんて言ってごめんなさい。剣ちゃんの歌、本当に素晴らしかったわ」

突然口を開いたファラは、次の瞬間狂ったように笑い出した。

 

 

「まるで体がバッサリ二つに裂かれるくらい素晴らしく、呪われた旋律だったわ!!アハハハハハ!!」

ファラの言葉に引っ掛かりを覚えた将也達はその言葉を復唱する。

「呪われた旋律…キャロルも以前同じようなことを…」

 

 

「呪い………そうか…そういうことか!!」

将也はファラの言葉。そしてキャロルとの戦いとそれ以前のシンフォギアシステムの違いを思い出し、答えを導き出した。

 

「イグナイトモジュール…それは呪いの魔剣の力をギアに組み込んだもの…」

「っ!イグナイトの呪われた力をその身に受けることが、お前達の狙いだったとでも言うのか!?」

 

「あら…流石にわかっちゃうか。そうよ、ダインスレイフの呪い…それこそが万象黙示録完成のための鍵…」

「だが、ダインスレイフを持ち込んできたのは…」

「馬鹿な!エルフナインを疑えるものか!」

エルフナインの人となりを知っていたマリア達は、真っ先に否定する。

 

「もっとも、エルフナインはこのことを知りません。なにせ本人にも自覚はないのですから。そして…仕組みは簡単ですよ」

ファラは説明を続ける。

 

「最初にマスターがダインスレイフの呪われた旋律を受けることで譜面が作成されます。あとは貴方たちにイグナイトモジュールの力を使わせ、私達がその旋律を受けることで譜面が完成に近づきます…」

最初にイグナイトモジュールが発動したとき、キャロルはイグナイトの力を纏った響によって攻撃を受けた。

それからガリィはマリアに、ミカは切歌と調に。そしてファラはたった今翼によって敗北。

 

「全て…最初から仕組んでいたということか!」

翼が叫ぶが、その瞬間ファラは自爆。

 

「翼!マリア!」

将也は咄嗟にバグスターの能力である簡易バリアを形成し、緒川も持っていた風呂敷を使って衝撃を防ぐ。

 

「緒川さん!今すぐ司令やクリス達に伝えなければ!イグナイトモジュールをもしクリスが使えば…!」

 

「いえ…どうやら、この粉塵で通信が妨害されています…」

ファラが最後に全てを明かしたのも、妨害されないという強い自信があった故だろう。

「翼…ここは任せていいか?」

将也の言葉に、翼は頷く。

 

 

「…何か、策があるのだな?」

「ああ。最悪の事態を想定して持ってきておきたいものがある」

そう言うと将也は風鳴邸を出て、爆走バイクガシャットを起動。

《爆走バイク!》

瞳のないレーザー・レベル2を召喚してエンジンをかけ、すぐにマンションの自室へと走っていく。

 

(…さっきからパラドとも連絡が取れない…向こうでも何かあったってことか。なら、なおさらあれが必要になる…!)

将也にとっての切り札。それはフロンティア事変の時から眠り続けていた彼の『とっておき』だった…

 

 

―――――――――――

 

ラヴリカが現れたことで、クリスのゲーム病がより深刻な症状を示した。

「ぐっ!うううっ!」

「クリス先輩!くっ!邪魔するなデス!」

レイアやアルカ・ノイズの妨害によってクリスのもとへ行けないことに苛立ちを覚える切歌と調。

 

 

「残念ですがここで貴女は、ゲーム…オーバー!ですね」

苦しむクリスを見下ろすラヴリカだが、クリスは痛みと苦しみに倒れて攻撃すらできない。

 

 

「まだ…負けるかよ…!」

立ち上がろうとするクリスだが、とうとう銃を落としてしまう。

 

 

 

「貴女も愚かですね…宝条将也を、君の後輩達を信じられない思いが、私というバグスターを活性化させたのに」

「なんだと…!?」

 

 

ラヴリカは嘲笑うように語る。

「薄々感じていたのでしょう?彼女達2人は、君がかつて倒しきれなかった敵を倒せるまで成長した。それが君にとっては恐ろしいことだと」

図星だった。日々強くなっていく切歌達への焦り。それこそがクリスを狂わせている理由。

 

「皆が力を得る中で、君は一人取り残されていく…後に残るのは、真っ暗な孤独の世界だけ」

クリスはまだ、人を完全に信じることができなかったのだ。

初恋の相手に裏切られ、自分に力を与えてくれた相手に裏切られる。

もし自分が弱かったら、せっかくできた仲間達も愛する人もクリスを見限り、裏切るのではないかと。

「そ…そんなわけ…あるか!」

声が震える。そんなはずないと分かっていても心のどこかで疑ってしまい、そんな自分が嫌になることでますますゲーム病が進行してしまう。

 

「もういいんです。現実を受け入れて、その命を私のものにしなさい!さあ!」

腕が殆ど消えかかって、クリスの意識も遠のいていく…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クリスううううううううう!!」

《バンバン!クリティカルフィニッシュ!》

クリスを消滅させようとするラヴリカに対し、光線が飛んでくる。

「今の光線は…」

「将也先輩!間に合ったデスか!」

 

 

切歌と調の視線の先にはマシンビルダーに乗りながらガシャコンマグナムを構えるスナイプの姿が。

 

 

「ラヴリカ…テメェがクリスに触れるな!」

《レベルアーップ!バンバンシューティング!アガッチャ!ドラゴナイトハンター!ゼーット!》

スナイプはレベル5(フルドラゴン)にレベルアップするとラヴリカに攻撃。

 

「ちっ!レイア。ここはお前に任せる」

「後は私と間もなく到着する妹で対処します」

スナイプの登場で旗色が悪くなると考えたキャロルはウェル博士と共に撤退の準備をし、レイアは装者達の相手をするべく残った。

 

 

「自動人形の務めを」

「派手に果たしてみせましょう」

イグナイトの力を受けるという真の目的を果たすべくレイアは切歌達に戦いを挑み、キャロルとウェル博士の足元にテレポートジェムの光が出る。

 

 

「ばっははーい!」

腹の立つ笑顔で手を振りながら消えるウェル博士(とキャロル)。

 

――――――――――

 

「はあああああ!」

スナイプはドラゴナイトガンで攻撃をするも、ラヴリカにダメージは一切通らない。

 

恋愛ゲームをベースに誕生したラヴリカは物理攻撃を無力化する特殊能力があり、感染者の好意のベクトルをこちらに向けないと攻撃によるダメージを与えることができない。

マキシマムマイティのガシャットならばリプログラミングで強制的に能力を消しされるが、分身のせいでスナイプにしか変身できない今の将也ではそれは不可能。

八方塞がりと言える状況だった。

 

「先輩、攻撃が通ってない…!?」

切歌がスナイプの方に一瞬視線を送った瞬間、レイアの作り出した巨大なコインが左右から迫り切歌と調を挟み込んでしまう。

 

「切歌!調!うあああああああ!!」

スナイプは炎を吐き出しラヴリカに攻撃するが、一向にダメージが通らない。

 

「やれやれ、無駄だというのが…わからないんですか!!」

ラヴリカの放ったハート型の光がスナイプに直撃し、『HIT!』のエフェクトと火花を散らす。

「ぐあああ!?」

膝をついて変身が解除されるS将也。

倒れ伏した3人の姿に、クリスの記憶からあの悪夢がフラッシュバックする。

 

(…やっぱり…一人ぼっちが仲間とか友達とか恋人とか…大切な人を求めちゃいけなかったのか…)

イグナイトモジュールを使った過去二回。

あの時、大切な人達の命が踏み荒らされる残酷な世界を見ていたことをクリスは思い出す。

 

S.O.N.Gに加わって大切な人が増えたクリスだが、その分だけそれを失ったらと考えるときの苦しさが増していた。

 

「何で…世界はこんなにも残酷なのに、どうしてパパとママは歌で世界を救おうとしたんだ…?」

ゲーム病の症状による苦しみも相まってクリスの心がどんどん闇に染まっていく…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クリス…それはちょっと違うだろ…」

その言葉が聞こえた方向を見ると、ボロボロになりながらも立ち上がるS将也の姿が。

 

「確かに世界は残酷だし、理不尽なこともある。俺は…一歩間違えればこの世界そのものを呪っていたかもしれない」

帰る場所も家族も全て失った将也は、目的を果たすためにその身を堕とそうと考えたこともあった。

だが、この残酷な世界はいつだって厳しい結果を突きつけてきたわけじゃない。

 

「この世界にだって、嬉しいと思えることはある!こんな運命だからこそ俺達は出会えたんだ…!」

S将也はガシャットギアデュアルβを取り出し、ダイヤルに触れる。

 

「その通りデス…先輩は一人なんかじゃないデスよ!」

「私達はまだまだ未熟で半人前…だけど、半人前の私達でも、大切な誰かを一人ぼっちにさせないくらいはできる!」

切歌も調も立ち上がり、レイアと戦う。

 

「クリスは一人なんかじゃない。一人になんかさせない…だから!」

《BANG・BANG・SIMULATIONS!》

シミュレーションゲーマを召喚し、将也はクリスに告げた。

 

 

「何があっても…俺の傍を離れるな」

 

 

「第伍十戦術………変身!」

《ガッチャーン!デュアルアーップ!》

《バンバンシミュレーションズ!発進!》

シミュレーションゲーマーに変身したスナイプはラヴリカに対して宣言する。

 

「これより…ラヴリカ切除手術を開始する!」

走ってくるスナイプに対して余裕を崩さないラヴリカ。

 

「ふん、無駄だよ!君がいくら覚悟を決めても僕のハートはブレイクできない………なに!?」

スナイプの砲撃が命中すると、ラヴリカの体に『HIT!』のエフェクトが発生。

 

「何で…どうしてだ!?」

レベルXのラヴリカに対して与えるダメージは大きくなかったが、攻撃が通ったという事実が彼にとって重要だった。

それはすなわち、クリスの心が持ち直しているということになる。

 

 

 

「はあっ!」

スナイプの右ストレートが当たり、砲弾がゼロ距離で撃ち込まれる。

 

「もう!二度と!お前に何も奪わせねえ!」

フック、フック、アッパー。連続で殴りその度に砲撃が撃ち込まれる。

 

 

「どうして…どうして僕のハートがボロボロなんだ…!?」

以前と違い、形勢は正反対になっている。

 

動揺し力を発揮できないラヴリカと、あの頃より格段に心も体も強くなった将也。

 

《ガッチョーン!キメワザ!ガッチャーン!》

スナイプは必殺技を発動させ、両腕のユニットを合体。

 

《バンバン!クリティカルファイヤー!》

『BANG・BANG・CRITICAL・FIRE!』

全身に装備された砲門が全てラヴリカを捉え…

 

 

「ハアアアアアアア!!」

スナイプの最大火力がラヴリカを襲い、爆発が起きる。

 

 

 

「せ、世界中に…I LOVE YOU…ああああ!!」

断末魔の叫びとともに、ラヴリカの肉体が消えた…

 

――――――――――

「ナイス砲撃デス、先輩!」

切歌はレイアの攻撃を耐え抜くが、周囲からアルカ・ノイズが出現して切歌達を囲む。

 

「地味に多いが、防ぎきれるか?」

レイアの挑発めいた言葉に、切歌達は武器を強く握るが…

 

 

 

 

 

 

 

《Voltec Finish!》

突然、アルカ・ノイズ達の足元が水に変わる。

「水!?」

「一体、なにが…!?」

切歌も調も混乱していると、水の中からビルド・クジラジェットフォームが出現。

ビルドの撃った機銃でアルカ・ノイズは空中に投げ出されると、ジェット噴射で加速した状態からのキックがアルカ・ノイズ達を捉えた。

 

「貴様…マスターからの情報には存在しなかった…」

「ま、そうだろうね。僕が姿を見せたのは今日が初めてだし」

ビルドはまだまだ残っているアルカ・ノイズをチラリと見ると、すぐに新しいボトルを取り出す。

 

「君達。さっきのダメージも残ってるだろうからここは僕に任せて」

そう言うとビルドはボトルを振ってからキャップを開き、ビルドドライバーに装填。

《ローズ!ヘリコプター!ベストマッチ!》

ベストマッチが発動したことを知らせる音声が鳴り、ビルドはレバーを回す。

 

《Are you Ready?》

「ビルドアップ!」

《情熱の扇風機!ローズコプター!イェイ!》

ファラとの戦いでも用いたローズコプターに変身したビルドは、コウモリ型アルカ・ノイズの攻撃をプロペラで弾く。

 

「その攻撃は、もう見切った!」

ビルドはバラの蔦を伸ばしてアルカ・ノイズを蹴散らし、続けざまにボトルを交換。

 

《フェニックス!ロボット!ベストマッチ!》

フェニックスとロボット。数あるベストマッチの中でも強力な部類に入るこの組み合わせを選択したビルド。

《Are you Ready?》

 

「ビルドアップ!」

二つのボディが合体してビルドの装甲に変わる。

 

《不死身の兵器!フェニックスロボ!イエェイ!》

炎をイメージさせるハーフボディと、黒いロボットアームが付いた武骨なデザインのハーフボディ。

その名も、仮面ライダービルド・フェニックスロボフォーム。

後にこの姿はまた違うライダーの名前で呼ばれるが…それはまた別の話。

 

迫るアルカ・ノイズをビルドはロボットアームで掴み、他のアルカ・ノイズに投げつける。

続けてフェニックスボディから炎を打ち込んで吹き飛ばし、素早くレバーを回す。

《Ready Go!Voltec Finish!》

 

炎を纏ったビルドはまるでマシンガンのように炎を乱れ撃ちしてアルカ・ノイズを蹴散らしていく。

 

「最後はこのベストマッチだ!」

着地したビルドは赤と青のボトルを振るとドライバーに装填。

《ラビット!タンク!ベストマッチ!》

ウサギと戦車。二つの力を混ぜ合わせてビルドは新しい鎧を作る。

《Are you Ready?》

「ビルドアップ!」

《鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエエエイ!》

ビルドは基本形態の『ラビットタンクフォーム』に変身し、額の角をなぞる。

「勝利の法則は、決まった!」

すかさずレバーを回し、必殺技を発動。

《Ready Go!Voltec Finish!》

ビルドとアルカ・ノイズの間に二次関数のグラフが出現し、グラフがアルカ・ノイズ達を拘束。

 

「ふっ!セヤアアアアア!!」

ビルドはグラフに沿うようにジャンプしながら滑り降りて、アルカ・ノイズ達をキックで霧散させた。

 

 

「ふう…あとは彼らに任せるか」

 

――――――――――

ビルドがアルカ・ノイズを殲滅すると、レイアはそれまでノーマークだったクリスからの攻撃を咄嗟に避ける。

 

「…ったく。後輩達に助けられたり励まされたり、結局こうなんのかよ…」

だが、先程までの思いつめた表情ではなく、晴れやかな顔。

 

「1人じゃないって、あたしの大切な人達が言ってくれたんだ…いつまでも座り込んでられるかよ!」

クリスがマイクユニットに手をかけ、スナイプもブラストイチイバルのガシャットを取り出す。

 

「将也…こっからは、アタシ達のデュエットでいくぞ!」

「ああ!」

 

《ブラスト・イチイバル!》

「第特殊戦術…変身!」

「イグナイトモジュール…抜剣!」

 

 

スナイプはガシャットをベルトに装填し、クリスもダインスレイフの力を解放。

 

《ガッチャーン!レベルアーップ!》

《2人の弾丸、持ってけダブル!ブラスト・イチイバール!》

スナイプのボディからシミュレーションゲーマが消え、代わりにイチイバルの装甲がスナイプに装着。

クリスの外見もより刺々しくなったイグナイトモードにチェンジし、スナイプと同時に武器の銃を構える。

 

(BGM TRUST HEART(IGNITED arrangement))

 

まず先制したのはクリス。武器をクロスボウの形に変化させ、一気に5本の矢を放って攻撃。

だが、レイアはコインを繋げることでトンファーを作り出してクリスの攻撃を弾き飛ばす。

 

「俺を忘れるな!」

スナイプはクリスの真上にジャンプして、二丁拳銃で追撃。

弾ききれなくなったレイアの隙を見逃さず、クリスもクロスボウを拳銃に変形させて距離を詰めながら戦う。

 

(ずっと一人と勘違いして…目の前にずっとあった強さや暖かさを手放そうとしてた…だけど、もう二度と手放さねえ!)

弦十郎から教わった銃の近接術で立ち回ったクリスは、スナイプとアイコンタクトを交わす。

 

「ちいっ!」

レイアはキャロルから預かっていた『プロト爆走バイク』を使おうとするが…

 

「させっか!」

これまでの自動人形達の行動を予測していたスナイプの一撃によって、レイアの手からガシャットが弾かれる。

 

「おっとっとっと!?キャッチデース!」

ガシャットを慌ててキャッチした切歌がVサインをつくる。

 

「スキありだ!」

クリスは二丁拳銃を合体させ、スナイパーライフルを作ると…

 

「ライフルで…」

「殴るんだよぉ!」

『RED HOT BLAZE』

クリスの振り抜いたライフルが、レイアの顔面を強打。

 

(この世界は残酷なことだって多いけど…大切なものをくれたりだってする!だから!)

「世界を壊させたりしねえ!いくぞ、クリス!」

スナイプはガシャットをキメワザスロットホルダーに装填。

 

《ガッシャット!キメワザ!》

クリスとスナイプは同時にミサイルを展開。最大火力でレイアを撃破すべく動き出す!

 

《ブラスト!クリティカルストライク!》

『BLAST・CRITICAL・STRIKE!』

『MEGA DETH FUGA』

放たれたミサイルのうち、最初の二発をトンファーで弾いたレイア。

しかし、本命だったそれぞれの二発目にはクリスとスナイプが乗って…

 

「デデース!!」

切歌の放ったワイヤーがクリスとスナイプの足に巻き付き、着弾寸前で二人を離脱。

だが…その瞬間レイアは不敵な笑みを浮かべており…

 

――――――――――

戦っていた通路にまで爆発が広がるが、調はすぐに隔壁のスイッチを丸鋸を飛ばして起動。

完全に閉まり切る直前に、クリスとスナイプは脱出に成功した。

「ホント、先輩達は無茶するデスよ…」

「その無茶は、後ろにお前達がいるからこそできるんだよ…ありがとな」

クリスの笑顔に釣られ、一緒に笑顔になる切歌と調。

 

だが、次の瞬間あちこちの隔壁が壊れ始める。

 

『深淵の竜宮の被害拡大!クリスちゃん達の位置付近より瓦解しつつあります!』

あおいからの通信で、この建物が危険な状態にあることを察するS将也達。

 

「まずいな…君達、脱出のアテは?」

ビルドが聞くと、クリスが答える。

 

「アタシらの乗ってた潜水艇がある!あんたも死にたくなかったらついてこい!」

急いで出発地点まで走ったクリス達は、潜水艇に飛び乗る。

 

「よし!って、お前どうして!?」

乗り込んだS将也達だったが、なんとビルドは潜水艇に乗っていなかった。

 

 

「悪いけど、僕のやるべきことはまだ残っている…君たちとはしばらくお別れだよ」

ビルドは、S将也に視線を送ると頷き、S将也はすぐにハッチを閉じると潜水艇は深淵の竜宮を脱出。

 

 

「さて…今度はこのベストマッチを試してみるか」

ビルドはラビットタンクのボトルを抜くと、別のボトルを取り出して振り、キャップを開いて装填。

《ハチ!潜水艦!ベストマッチ!》《Are you Ready?》

「ビルドアップ!」

掛け声とともに、ビルドのボディが変化。

 

《深海の仕事人!ハチマリン!イエェァ!》

右手に毒針を持った、黄色と青の姿。

水中での行動に優れた『ハチマリンフォーム』に変身したビルドはすぐに深淵の竜宮から脱出した。

 

「すぐにまた会えるよ…仮面ライダーエグゼイド」

 

――――――――――

潜水艇から本部に戻ったクリス達。

それと同時に、司令室に連絡が入る。

 

「司令!都内でノイズともバグスターとも違う未知の怪物が人間を喰らっているとの通報が入りました!」

「何!?」

司令はすぐにパラド達に連絡をする。

だが、昨晩からどうしても連絡が繋がる気配が無かったが…

 

「パラド君!ようやく繋がったか!」

『司令…何かあったのか?』

いきなりパラドと通信が繋がったことに疑問があった弦十郎だが、自体は急を要する。

 

「ああ!先ほど深淵の竜宮を脱出して移動を開始しているのだが、どうやら君たちの付近でノイズともバグスターとも違う怪物が現れたらしい!」

『何だと!?』

すぐに朔也がマップデータをパラドのパソコンに送信。

 

『…マジか。将也は?分身してたあいつは今都内にいるはずだろ?』

「…それが、そうも行かなくなってな。現在向こうの将也君とは連絡が取れない。おそらく、向こうでも何らかのトラブルが起きているものと思われる」

 

S将也は弦十郎からマイクを借りて声をかけた。

「ってことだ。向こうと繋がりしだい俺は戻る。パラドは、街に現れた敵を頼みたい」

『ああ…わかった』

パラドからの通信が終了し、あとは本部の潜水艦が本土に戻るだけ…

 

 

しかし、キャロルの最後の刺客が迫っていた。

「この海域に接近する巨大な物体を確認!これは…!」

朔也が映像を映すと、そこにいたのは…

 

「いつかの人型兵器か!」

レイアに酷似した、巨大な自動人形。レイアから『妹』と呼ばれた個体が本部を潰そうと接近していたのだ。

 

「緊急浮上!」

司令の指示に従い、急速に動いた潜水艦だったが…

 

 

水面に上がった瞬間、巨大人形がその手を振り下ろして潜水艦を叩き壊した。

 

To Be Next GAME…?

 




次回、シンフォギアエグゼイドは!

「僕は君だよ!一緒の存在さ!」
千翼の前に立ちはだかる、最悪の敵。

「お前は…俺が殺す!」
最悪の宿敵を相手に…


「千翼!」
彼の命が尽きる時が来た…?

第38話 Anotherの襲来

「俺は…何を忘れてるんだ…?」

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