戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士   作:狼牙竜

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お待たせしました、今年最後の投稿になります!

何とかきりしら回の後編までたどり着くことができました…

今年もいろいろありましたが、新年が皆さんにとって良い年でありますように!

感想、評価が作者のモチベーションアップにつながります!



あと、前回から出てきたビルドですが私のオリジナルキャラではなく、とある作者さんの書く作品からのゲストとなっております。


第32話 最強のTrio!

ミカの逃走からおよそ1時間後、現場には翼達が駆けつけたが響達はすでに本部に搬送されていた。

 

「…間に合わなかったようだな」

「ったく、随分暴れてくれやがって!」

悔しげに拳を叩くクリスだが、突然彼女のギアシンフォニーが通信を知らせてくる。

 

「ん?何だよこんな時に…」

 

 

 

《えっと…クリス?悪いけど、クリスのギアシンフォニー出してくれない?》

突如、クリスのギアシンフォニーから将也の声が聞こえてくる。

 

「ま、将也!?お前、どこから話しかけてんだよ!?」

《だから、クリスのギアの中!早くボタンを同時押しして!》

「お、おう…」

クリスはギアシンフォニーのボタンを同時押しすると、バグスターウイルスがコンティニュー土管を形成。

 

 

「ふっ!」

そこから将也が飛び出してきた。

 

 

「将也…あなた、どうしてクリスのギアシンフォニーから?」

「えっと…さっきエグゼイドの状態でゲームオーバーになったから、かな?」

 

通常、将也は自身のバックアップデータを保存しているプロトマイティアクションXガシャットオリジンによって肉体が消滅しても最大99回までなら復活できる。

だが、そのシステムが正しく作動するのはプロトマイティアクションXオリジンを使って変身したゲンムの姿か、もしくは生身の姿だけである。

 

 

「なるほど…つまり、本来想定されていないエグゼイドの、しかもレベル99の姿でゲージが尽きたことによって復活のシステムが狂ってしまったのか」

「ああ。だからそこの制御端末で魂を維持しながら皆が来るのを待ってたわけだけど…」

ダメージが抜けきっていなかったためか、将也はその場でふらつく。

 

 

「おい!ダメージ残ってんならさっさと本部行って検査してもらえ!」

クリスに支えられながら将也は共同溝から出て行った。

 

――――――――――

 

 

「調が悪いんデス!」

「切ちゃんが無茶するからでしょ」

本部の医務室に到着した将也は、扉越しでの言い争いを耳にしてため息をついた。

 

 

「調が後先考えずに飛び出すからデス!」

「切ちゃんが、私のことを足手まといに思ってるからでしょ!」

どんどんヒートアップしていく二人の口喧嘩を止めるべく、将也は医務室の扉を開けて入る。

 

 

「はいストップ!せっかくの最強コンビがこんな言い争いしてる場合じゃないだろ?」

「先輩…でも…」

「お二人共ケンカはやめてください!そんな精神状態じゃイグナイトモジュールを制御できませんよ!」

切歌達の仲裁に入ったエルフナインのおかげで言い争いは止まったものの、互いに顔を背けてしまう。

 

 

「はぁ…2人がこの状態じゃあ、せっかく完成したこの新ガシャットも当分は難しいな」

椅子に座り込む将也は、着ていたジャケットから新しいガシャット…緑とピンクのガシャットギアデュアルを取り出す。

 

「将也君…また新しいガシャットを?」

「いや…これは、切歌と調のシンフォギアガシャットだ」

その言葉にピクリと反応する二人。

 

 

「最初は別々のガシャットだったんだけど、変身時に同時に装填しないと起動しないらしくてさ…だから、二つのデータをギアデュアルの外装に移し替えてこの『ガシャットギアデュアルザババ』が完成したってわけ」

 

 

切歌とイガリマのデータが入った『ゴッドサイズ・イガリマ』。

調とシュルシャガナのデータが入った『スパイラルエッジ・シュルシャガナ』。

この二つのゲームを一つのガシャットに纏めることで誕生したガシャットギアデュアルザババだが、喧嘩真っ最中の二人の精神状態では到底発動できない。

 

 

 

 

「…ごめん、私が足を引っ張ったから」

そんな中で口を開いたのは響。

 

「合流する前、お父さんと会ったんだ。ずっと昔の記憶だと優しくてかっこよかったのに…すごく嫌な姿を見ちゃって…」

 

「自分がしたことをわかってないお父さん、無責任でかっこ悪かった…見たくなかったよ…こんな思いをするくらいなら、二度と会いたくなかった…」

「響…」

 

未来は連絡先を教えたことに責任を感じているのか、手を強く握って俯いている。

 

――――――――――

 

 

それから数十分後、シャワールームで話をしていたクリス、マリア、翼の3人は…

 

 

 

 

 

「やっぱり、響が悩んでたのは父親の一件だったのね」

響の暴走に実の父親が絡んでいると知り、3人は頭を悩ませていた。

 

それもその筈、この3人に限らずシンフォギア装者の中でこの手の話で力になれる人物はいない。

マリア、切歌、調はそもそも父親の顔も名前も知らず、翼は父親と疎遠になっている。

 

唯一両親との幸せな時間を覚えているのはクリスだけだが、その両親とは何年も前に死別しており、今の響の力になることはできない。

 

 

「…結局、また将也に頼るしかないのかよ」

響の力になれる人物は限られており、彼女が信頼を寄せている将也ならば何らかの形で響の力になってくれるのではと思う反面、また彼に押し付けているような気がしてクリスはため息をついた。

 

 

――――――――――

 

それから数時間後。

将也は切歌、調と共に一度自宅へ帰ろうとしていたが弦十郎から通信が入る。

 

 

「電気経路?」

『ああ。発電施設が破壊されたことによって現在、電力総量が低下している。そのため現在は政府の拠点などを優先的に電力を供給している』

「ってことは…逆に言えば今、その供給元を辿ることで首都の構造がまるわかりになるってことですか」

 

恐らく、キャロルの狙いは首都の中心を探ること。

(…だが、奴はあくまでも地球そのものを破壊することに狙いをつけていた…何故わざわざ東京の構造を探る必要がある?)

 

そんなことを考え、通信を切る将也だが眼前では未だに仲違いをしたままの切歌と調の姿があり、思わずため息をつく。

すると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!2人とも、伏せろ!」

《BANG BANG SIMULATIONS!》

空から降ってきたカーボンロッドに気がついた将也は素早くギアデュアルβを取り出してバンバンシミュレーションズを起動し、シミュレーションゲーマを召喚して全て撃ち落とす。

 

だが、他のカーボンロッドは将也達ではなく近くの神社を破壊し、爆発が発生。

「わざわざ場所を知らせてくるなんて…」

「調子に乗りすぎデース!」

切歌と調は同時に走り、将也もゲーマドライバーを装着しながら走った。

 

 

――――――――――

 

破壊された鳥居の上には、すでにプロトガシャットを使ったミカがこちらを見下ろしていた。

「足手まといと軽く見ているのなら…!」

調は顔に貼っていた絆創膏を剥がし、ギアのペンダントを握る。

 

 

「Various shul shagana tron…」

《爆走バイク!》

「ゼロ速、変身!」

切歌と調はイガリマとシュルシャガナを纏い、将也も爆走バイクを起動してゲーマドライバーに装填、レバーを開く。

 

《爆走!独走!激走!暴走!爆走バイク!》

再びレーザーターボに変身し、ガシャコンスパローを握る。

「さて、ノリノリで決着つけようか!」

 

 

――――――――――

 

(BGM ジェノサイドソウ・ヘブン)

自らの歌を口ずさみ、最初に動き出したのは調。

 

『α式・百輪廻』

アームドギアから無数の丸鋸を射出するが、ミカはカーボンロッドで軽々と弾く。

「なら、こいつで!」

レーザーターボはガシャコンスパローのBボタンを押すことで強化攻撃を放つも、ミカの動きが早く避けられてしまう。

 

「本部!今自動人形のミカと交戦中!」

『ああ…だが、こちらも手が離せない!』

「なっ!?」

通信機越しに司令室が慌ただしいというのが伝わってくる。

『こちらも海底に現れた巨大な人影と遭遇している!すまんが二人を守ってやってくれ!』

 

「了解…そっちも早いところ脱出してください!」

通信を切ったレーザーターボはすかさずプロトシャカリキスポーツを起動。

「爆速!」

《爆走バイク!アガッチャ!シャカシャカ!コギコギ!シャカリキスポーツ!》

レベルアップを果たしてホイールを投げると、ミカはロッドでホイールを弾き飛ばす。

 

 

「切歌!調!」

頷いた調はスカート部分を刃にして攻撃。

『Δ式・艶殺アクセル』

 

 

だが、ミカはすぐにロッドを作り出して調を弾く。

「デエエス!」

間髪入れずに切歌が鎌で攻撃したが、躱されて蹴り飛ばされる。

 

 

「これっぽっち?これなら千翼が起きたときの方がマシだったゾ」

強化された右手のアームにロッドを合体させながらつまらなそうに吐き捨てるミカ。

 

「そんなこと…あるもんかデス!」

将也とエルフナインの協力もあって強くなったギアを否定されたことで単調な攻撃になってしまう切歌。

 

 

「切ちゃん、ダメ!」

「落ち着け、切歌!」

が、二人が止めるまもなく切歌はミカに鎌を突き立てるも防御に秀でたガシャットによってパワーアップしたミカには通じず、逆にロッドで殴り飛ばされてしまう。

 

 

「もひとつオマケだゾ!」

ミカは空中で10本ほどのカーボンロッドを作り出し、切歌に狙いを定める。

「今のお前じゃ勝てないゾ!」

 

だが、切歌はアームドギアを正面に構える。

「躱せないなら…受け止めるだけデス!」

 

「なっ…!あんの馬鹿!」

切歌本人の実力を含めて、イガリマには高い耐久性はない。

その上現在はLINKERを使っておらず、適合率が低い状況なのでフルスペックを出すことができず、この判断は危険と言えた。

 

 

「切ちゃん!」

だが、カーボンロッドは切歌に命中することはなかった。

 

「しら…べ…?」

咄嗟に巨大な丸鋸を4つ出現させた調が即席の盾を作り出してロッドを防いだのだ。

 

 

「調!こいつを使え!」

レーザーターボはホイールを巧みに使って鋼鉄化のアイテムを丸鋸にぶつける。

 

 

《鋼鉄化!》

威力が強化されたロッドを防ぐことができたとはいえ、想像以上の威力に若干後退してしまい、調の足がふらついてしまう。

 

 

「何で…何でいつも後先考えずに私を庇うんデスか!?」

ふらついた調の腕を掴んで切歌が叫ぶ。

「…やっぱり、私のことを足手まといと…」

「違うデス!私は、調のことが大好きだから怒ってるんデス!」

 

 

その間にミカが攻撃しようとするが、レーザーターボが間に入って攻撃を抑える。

「切歌!調!ここは俺が抑えてるから、今のうちに互いに伝えたいことを最後まで伝えろ!」

バグヴァイザーとツヴァイの二つを同時に装備したレーザーターボはツヴァイをチェーンソーモードにしてミカに攻撃する。

 

 

 

 

「2人とも仲良すぎるんだよ!でも、互いの思ってることも、相手のことを心配する気持ちも!ハッキリ伝えなきゃわからない時だってある!」

《キメワザ!クリティカルサクリファイス!》

バグヴァイザーツヴァイのキメワザを放ってミカと距離を取るレーザーターボ。

 

 

「お前たちの仲直りの時間くらい一人でも稼げる!こいつに勝つには二人の力が必要なんだ!」

そう宣言し、切歌と調の前に立つレーザーターボの後ろ姿は…

 

 

 

 

 

 

 

「誰も2人のことを足手まといなんて思ってない。いつだって頼りになる、俺の大切な人だってことを忘れんな」

あの日、危機に陥った自分達を助けてくれた時と全く変わらなかった。

 

 

 

 

 

「調…私は、調のことを大切に思ってるデス…だから、調が傷つくのが耐えられなかったデスよ…」

あの日、ミカとの最初の戦いで殺される寸前まで追い込まれた時のことは切歌の心に暗い影を落としていた。

 

「じゃあ…私は…」

それは調も同じ。

互いのことを大切に思っているがゆえに自分が守らなくてはと思い、相手が傷つくと自分が悲しくなる。

切歌は調を、調は切歌をかけがえのない相棒と思っているからすれ違い続けていたのだ。

 

 

「私がそう思えるのは、何度も調に庇ってもらえたからデス!」

将也と再会したあの時も、前回の戦いの時も調は身を挺して切歌を守った。

「みんなが私達を怒るのは、私達のことを大事に思ってくれているからなんデス!」

 

いつも厳しいながら実の母親のように接してくれていたナスターシャ教授、危険な賭けを咎めた弦十郎やクリス。

いつだって自分達は大切に思われていたことを調は思い出す。

 

 

「私達を、大切に思ってくれる…優しい人達が…」

すると、ミカの炎がレーザーターボを吹き飛ばして変身が解除される。

「将也さん!」

「将也先輩!」

切歌と調が支えるが、ミカは余裕の表情を隠そうともしない。

 

「何となくで勝てる相手じゃないゾ!」

未知数の力を持つミカだが、不思議と今の調達に不安はなかった。

 

 

 

「マムが残してくれたこの世界で、カッコ悪いまま終わりたくない!」

「だったら…かっこよくなるしかないデス!」

切歌と調の心が再び繋がった時、将也のポケットに入れていたガシャットギアデュアルザババが強い光を放ちながら将也の手に収まる。

 

「2人とも…覚悟はいい?」

「はい!」

「ガッテンデース!」

3人は並び立ち、将也はゲーマドライバーを再び装着してギアデュアルザババをドライバーに装填する。

 

 

 

《デュアル・ガッシャット!》

背後に二つのゲーム画面が開き、待機音声が順番に流れる。

 

《Zeios igalima raizen tron…》《Various shul shagana tron…》

切歌と調の聖唱が交互に流れ、将也はその場でターンする。

そして切歌と調は自分のマイクユニットを掴み…

 

 

「自分のしてきたことに向き合う強さを…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「イグナイトモジュール!抜剣(デス)!」」

「超加速、変身!」

調と切歌はイグナイトモジュールを起動し、将也は勢いよくドライバーのレバーを開いた。

 

《ガッチャーン!ハモルアーップ!》

出現したパネルのうち将也は『調と並ぶレーザー』と『切歌と並ぶレーザー』のパネルを二つとも廻し蹴りで選択。

 

 

すると、将也の体に電流が流れ出す。

「ぐっ!?アアアアアアア!?」

だが痛みに耐えていたのは将也だけではない。

 

 

「う…ああああっ!」

「ぐぅ…ううううう!」

痛みと破壊衝動に必死に抗う切歌と調の姿を見て、将也は気絶しそうな痛みに耐える。

 

 

 

「そうだよな…2人が戦ってんのに、ここで俺がリタイアするわけにはいかないもんな!」

二つのシンフォギアの力を同時に纏う。それは未だに誰も到達していないレベル。

 

 

だが、将也はその限界すらも超越しようとしていた。

そしてそれは、ミカの限界をも超えさせる。

 

「底知れず…天井知らずに高まる力!」

ミカの炎は彼女の衣服をも焼却し、一種の暴走状態に陥った。

 

 

「負けたくない…この力に!」

「今までのこと、みんなに謝らないと…そのために、強くなるんだ!」

 

 

 

闇の中で確固たる意思を持ったことによって、ついに切歌と調もダインス

レイフの闇を超越することに成功。

響達と出会った頃よりさらに黒く染まり、攻撃的なデザインに変化したイガリマとシュルシャガナ。

そしてその力は将也にも影響を及ぼす。

 

 

 

「来い!イガリマ!シュルシャガナ!」

切歌と調の纏っていた本来の色のイガリマとシュルシャガナのパーツがレーザーターボの周囲を旋回すると、混ざり合うかのようにレーザーターボの鎧の上に合体されていく。

 

 

《敵を裂くはイガリマ!唸る丸刃シュルシャガナ!ハモる!ダブル!切れる!ゴッドエッジ!ザババーン!》

切歌と調の歌声が交互にガシャットから鳴り、最後には2人の声が重なる。

 

「仮面ライダーレーザーターボ…ザババゲーマー!」

背中にはイガリマのバーニアパーツが装備され、調のアームドギアたる丸鋸のコンテナは両肩にマウントされている。

さらに両足には黄色く変化してはいるがシュルシャガナと同じローラーが装着され、ガシャコンスパローの要素を取り入れた大鎌が出現。

 

二つのシンフォギアの力を一体化させた、最後のシンフォギアガシャットの力が完成した!

「イイね!ノリノリで行くぜ!」

 

 

――――――――――

 

(BGM Just loving X‐Edge(IGNITED arrangement))

ザババゲーマーに変身したレーザーターボとイグナイトモードを起動した切歌、調は先程までとは段違いの動きでミカと戦闘を開始する。

が、ミカは切歌の攻撃を弾き調の放ったヨーヨーを掴むと逆に投げ返す。

「調!」

「最強のあたしには響かないゾ!もっと強く激しく歌うんだゾっ!?」

 

攻撃しようと飛びかかるミカだが、突如後ろから伸びてきたワイヤーによって動きを封じられる。

 

 

「将也先輩!」

「お前の馬鹿みたいに強い攻撃!もう攻略法は割れてんだよ!」

ミカの出力が向上しているのはプロトゲキトツロボッツの力によるもの。

だが、ガシャットの力ならこのレーザーターボで対処可能だった。

 

「この素体はレベル0!ガシャットのドーピングはドクターとして厳禁だ!」

レベル0の力が働き、ミカを強くしていたプロトガシャットの力がどんどん弱まっていく。

 

 

「ムググ~!この程度!」

が、ミカはさらに自身の力を暴走させて無理矢理ワイヤーを千切るとロッドを倒れていた調に射出。

 

切歌が弾くが、ミカの炎によって壁にぶつかる。

 

「調!行くぞ!」

「はい!」

ロッドで切歌の動きを封じたことで、ミカの意識が切歌に集まる。

だが、調とレーザーターボはその隙を突いて『α式・百輪廻』を同時に放つ。

 

「むうっ!」

ミカは数百を越える丸鋸を炎で燃やし尽くし、上空まで飛び上がると今度は特大のカーボンロッドを30本ほど出現、一気に落としてくる。

 

 

「調!切歌!次で勝負賭けるぞ!」

「「了解(デース)!」」

歌い続けながら攻撃を走って避け続ける2人と、鎌で攻撃を破壊しながら進むレーザーターボ。

 

「闇雲に逃げてたらジリ貧だゾ!」

 

 

「知ってるデス!だから…!」

切歌は近くに突き刺さっていた巨大なロッドに鎌を引っ掛けることでスピードを維持したまま180°方向転換し、ミカを思いっきり蹴り飛ばす。

 

 

「ぞなもしっ!?」

すかさず切歌はイガリマのバーニアパーツからワイヤーを射出し、ミカの後ろにいた調がコンテナ部分でワイヤーを掴む。

その姿はさながら、ミカの動きを封じるための牢獄だった。

 

「上も塞いでるぜ!」

ミカは脱出しようと上を向いたが、すでにそこにはゲーマドライバーに手をかけていたレーザーターボの姿が。

 

《ガッチョーン!スゴワザ!》

一度ドライバーのレバーを閉じると、すぐに再び開く。

《ガッチャーン!イガリマ!シュルシャガナ!クリティカルイクリプス!》

『IGALIMA・SHUL SHAGANA・CRITICAL・Eclipse!』

月と太陽。二つが重なるという意味合いの技名が流れてレーザーターボはワイヤーでミカの動きを完全に固定。

 

 

さらに前後からスピードを上げて切歌と調が武器を持ちながら走ってくる。

「た、足りない出力をかけ合わせて~!」

 

『禁殺邪輪・Zぁ破刃エクLィプSS』

「ハアアアアアア!!」

2人による斬撃と、レーザーターボのキックによってミカは爆散。

最強を誇る自動人形に勝利を収めた瞬間だった。

 

 

――――――――――

 

 

それから数時間後、事後処理のチームと共にクリスと弦十郎が到着して切歌達への説教タイムが始まった。

 

「こっちの気も知らないで!」

クリスの怒声に肩をすくめる2人。

 

 

「ま、まあまあ…とりあえず勝ったんだし、2人のコンビもめでたく復活したんだから…あまり怒らないであげて、ね?」

将也の言葉にバツが悪そうな表情になるクリス。

 

「…たまには指示に従ったらどうだ?」

弦十郎の言葉に対し、頭を下げながら切歌と調は謝った。

 

 

「…独断が過ぎました」

「これからはキチンと気をつけるデス…」

素直に謝ったことにキョトンとする弦十郎とクリス。

 

「私たちが背伸びしないでできるのは受け止めて、受け入れること」

「だから…ごめんなさいデス」

流石に反省している2人に厳しい言葉を投げかけることはしなかった弦十郎。

「う、うむ…わかればそれでいい」

 

すると、将也は回収したプロトゲキトツロボッツガシャットをポケットに

しまう。

 

 

「さて、今日は無事コンビ再結成したわけだし!何でもご馳走するよ!」

その言葉に目を輝かせる2人。

「今…何でもって言いました!?」

「ご馳走!?ならごっつぁんデース!」

「え!?さっきまでのやりとりはどこ行ったの!?ねえ!」

 

 

あっという間に手を引っ張られていった将也の後ろ姿を見ながら、クリスはふと口にした。

「…先輩が手を引かなくったって、一丁前に歩いて行きやがる…アタシとは、違うんだな」

 

 

――――――――――

 

帰り道、途中まで将也の手を引っ張っていた切歌と調は手を離す。

そして調は、自身の考えを口にしていた。

 

 

「足手まといにならないこと。それは力をつけることだけじゃなく、自分の行動に責任を伴わせることだったんだ」

切歌はスマホである言葉を検索する。

 

「『責任』…自らの義に正しくあること。でもそれを正義と言ったら、調の嫌いな偽善ぽいデスか?」

偽善。その言葉で調の脳裏によぎったのは初めて響と顔を合わせたときのこと。

響の『分かり合えるなら戦いたくない』という思いを、かつての調は偽善の一言で切り捨ててしまったことがある。

 

 

「ずっと謝りたかった…薄っぺらい言葉で響さんを傷つけてしまったことを…」

すると、先日公園で出会った青年の言葉を思い出した。

 

 

 

 

『大切なのは何を信じて、何を守ったかだと思う。過ちぐらい幾らでも謝ればいいけど、失ったものはどう足掻いても取り戻せないからね』

 

 

「何を信じて、何を守ったか………あの人は、昔誰かを傷つけてしまったのかな…?」

 

 

考え続ける調と切歌に対し、将也は2人に目線を合わせる。

「2人はいつでも互いのことを大事に思ってる…その絆、絶対に無くさないようにね?」

 

「先輩………」

「ありがとう…ございます…」

 

この2人ならば心配はいらない。

装者の中で誰よりも強い絆で結ばれたこの2人が力を合わせれば、不可能なんて存在しないと将也は感じた。

 

 

 

「あー!そういえばまだ私と調、先輩と正式に付き合ってなかったデス!」

「そういえば…クリス先輩もデートの約束取り付けてくれてたの、忘れてたりして…」

突然、2人の目が妖しく光った。

 

「え?」

「せーんぱい♪できることなら私達の最後のワガママ、聞いて欲しいデスよ♪」

いつの間にか将也に密着する調と、強く将也の手を握る切歌。

「…今日こそ、切ちゃんと将也さんと一緒に…」

「え!?ちょ、今から!?」

将也はそのまま2人に連れ回されることになったが、それはまた別の話…

 

――――――――――

 

 

一方、ミカが倒された神社のすぐそばにあった森では…

 

《密林のスクープキング!ビートルカメラ!イエイ!》

金色と青が入り混じったボディの『仮面ライダービルド・ビートルカメラフォーム』がさっきの戦いを撮影していた。

 

「…よし。これでイガリマとシュルシャガナのデータ回収はできた」

ビルドはボトルをドライバーから抜くと変身が解除され、青年の姿に戻る。

 

「さて…こいつで2人のフォニックゲインを回収できるかな?」

青年が取り出したのは変身に使うものとよく似た、だが内容物が入っていない透明なボトル2本。

そのボトルの蓋を両方とも開けて神社の境内に向けると、ピンクと緑の粒子…先ほどの戦闘で大気に散らばったイガリマとシュルシャガナのフォニックゲインがそれぞれボトルに吸収されていく。

 

 

やがてボトル自体のデザインが変化し、鎌と丸鋸を模したデザインがボトルの表面に刻まれた。

「これで残りは4本…いや、5本か」

2つのボトルを握り締めて青年………『葛城巧』はその場を去っていった…

 

 

To Be Next GAME…?




次回、シンフォギアエグゼイドは!

「奴らの狙いは二つか…」
キャロル達の計画阻止。その鍵のひとつは…

「風鳴八紘邸。翼さんの生家です」
翼の実家!?
「親子水入らずを邪魔するつもりはないのだけれど」
刺客との戦いでついに…

「仮面ライダービルド。創る、形成するを意味する…ビルドだ」
天才科学者と遭遇!

第33話 予想しなかったReturn

――――――――――


仮面ライダーレーザーターボ・ザババゲーマー
宝条将也がゲーマドライバーにガシャットギアデュアルザババを装填して変身した、レーザーターボのシンフォギア融合形態。
イガリマとシュルシャガナの力を同時に扱えるが負担も大きく、切歌や調のどちらかと連携が取れない、または2人の連携に問題があると変身できなくなる。
必殺技は相手を拘束してキックと同時に武器で相手をメッタ斬りにする『イガリマ・シュルシャガナ・クリティカルイクリプス』。
また、イガリマとシュルシャガナのガシャットを一つに纏めたことで単体の変身も一応可能らしい。



では、よいお年を!

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