戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士   作:狼牙竜

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大変お待たせしました!今回からGXの第8話に相当するエピソードに入ります!

平成ジェネレーションズForever、一週間前にして謎が多く残っていますが、果たしてどんな映画になるのか…

感想、評価が作者の力になるので、待ってます!


第31話 すれ違うTEAM WORK!

響の父、洸と筑波で再開してから1週間以上が経過しており、表面上は明るく振舞っている響の様子を将也は気にかけていた。

「…どうすればいいのかな…?」

 

現在、将也はS.O.N.G本部に設置された研究室ではなく自宅に置いた設備でガシャットの制作を進めていた。

 

その理由は2つ。

一つは、現在S.O.N.G本部の艦が日本を離れており、いざという時のために待機するため。

そして二つ目は、現在開発中のガシャットに関する情報が外部になるべく洩れないよう、情報を遮断するためだった。

 

机の上には3つのガシャットが並んでおり、そのうちの一つはすでに完成していた。

 

 

「響のお父さんのこともだけど、このガシャットのこともあるし…はあ…」

将也はため息をついて机の上の3つとは別の『銀色のガシャットギアデュアル』を取り出して見つめる。

 

 

「それに、筑波で盗まれてた例のデータも…」

ガリィの介入もあってバタバタしていたが、後に筑波の施設でナスターシャ教授が発見していたフォトスフィアのデータを保存していたメモリーカードが盗まれていたことが判明。

(あの映像に記されていた無数の線…マリアからの話だと、教授はあの線を通じて世界中からフォニックゲインをかき集めた………)

 

「力の通り道…まるで地球の血管………血管?」

 

 

すると、将也のスマホに着信が入る。

「ん………響か」

スマホを取った将也は響の電話に出る。

「どうかしたの、響?」

 

 

『う、うん……実は、将也君にお願いがあって…』

 

 

 

 

 

 

『このあと、お父さんと会うんだけど…ごめん、後からでいいから来てくれない?私一人じゃ、上手く話せる自信ないから…』

どうやら、響は父親と正面から話し合うことを決めたらしい。

 

「…わかった。とりあえず待ち合わせの場所を教えてくれる?すぐ行くから」

将也は響から教えてもらった待ち合わせ場所の喫茶店の名前と住所をメモし、完成したガシャットを持って自宅を出た。

 

 

――――――――――

 

 

 

待ち合わせの喫茶店にたどり着くと、響と洸が向かい合っていた。

「響、お待たせ」

「うん…」

響の横に座った将也を見て、きょとんとする洸。

 

「えっと…君は?」

「先日は挨拶を忘れてしまい、申し訳ありません。響さんと付き合っている、宝条将也と申します」

娘の彼氏だという男を前に、洸はポカンとする。

 

 

「ひ、響?彼氏って…いつの間に?」

「…別に、お父さんには関係ないでしょ?ずっと私達を捨てて逃げてたお父さんには…」

 

普段の快活な様子とは全く異なる響の態度に将也も驚いたが、話を止めることはできなくなった…

 

――――――――――

 

 

それから数分後。注文したサンドイッチを口にする洸と向き合う形となる響と将也。

 

「…前に月が落ちる落ちないと騒いだ事件があっただろ?あの時のニュース映像に出ていた女の子が、お前によく似ててな…以来、お前のことが気になってもう一度やり直せないかって思ってたんだ」

飲み物を飲みながら語る洸に、響の表情は険しくなっていく。

 

 

「勝手なのはわかってる…でも、あの環境でやっていくなんて、俺には耐えられなかったんだ」

洸は、かつて響が周囲からバッシングを受けていた中で一人家を出ていき、行方をくらました。

 

 

 

 

 

 

 

 

将也は数週間前、響と初めて一夜を過ごした日の会話を思い出す。

 

『…私ね、あの事件でお父さんが家を出て行って、本当に怖かった…ううん。今でも怖いの。私の大事な人が、私のせいで離れていくんじゃないかって…』

生まれたままの姿で震えながら自分の腕にしがみつく、幼子のように怯えていた響の顔は今でも将也の記憶から消えることはない。

 

今の将也は、何かを必死に堪えている響の手をそっと握ることでしか力になれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…またみんなで一緒に…母さんに俺のことを伝えてくれないか?」

その言葉を聞いたとたん、響は強く拳を握る。

 

「…無理だよ。一番いてほしい時に一緒にいなくなったのは、お父さんじゃない」

今の響は、到底父親の存在を再び受け入れる気にはなれなかった。

だが、あまり落ち込んでいない様子の洸。

 

 

「はあ…やっぱ無理か…なんとかなると思ったんだけどなぁ…いい加減時間も経ってるし」

 

 

その軽い態度に、将也は無意識に口を滑らせた。

「………本気で何とかなるなんて、思ってたんですか?」

「え?」

洸は、ずっと響の横に座っていた青年の顔を見てしまう。

 

 

将也の目は怒りの感情が宿っており、その雰囲気に洸は気圧される。

「…すみません、僕達はここで失礼します」

響も怒りや悲しみの入り混じった感情を堪え、立ち上がる。

 

 

「…ああ。あと一つだけ」

将也はテーブルの上にあった伝票を取り、洸の目を見据える。

 

 

「あなたは確かに響の父親です。だけど、今のあなたは父親としての都合のいい部分を利用して、響を苦しめているだけだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたが響を傷つけるのなら!僕はあなたを許さない…!」

それだけ言い残し、将也は響の手を握ってその場から去った…

 

――――――――――

 

 

「う~…」

チフォージュ・シャトーでは、ガリィが消えたことで唸るミカの姿があった。

 

「ミカ。ガリィが壊れた以上、貴様に残された時間は少ないぞ」

「わかってるゾ、マスター…」

自動人形達の中でミカは唯一、他者から想い出を奪う力を持っていない。

そのため彼女はいつも想い出を分け与えることのできるガリィから必要な分の想い出の力を分けてもらうことで活動していた。

 

だが、先日ガリィが破壊されたことでミカは想い出を手に入れる手段を全て失い、彼女が活動できる時間もあとわずかとなっていた…

 

 

 

 

 

 

ミカが姿を消し、キャロルは玉座に背を預ける。

 

(今のお前は…あいつらと変わらない!俺やイユを良いように利用して、都合が悪くなったら切り捨てる4Cの連中と何ら変わりない!)

頭の中に、あの時の千翼の声がよぎってしまう。

 

「…今更、止められない…!ここで止まったら、オレのこれまでの時間は…!」

 

――――――――――

 

 

響と将也が行動していた頃、学校帰りに切歌と調は近くの公園に立ち寄っていた。

「今朝の計測数値なら、イグナイトモジュールを完璧に使えるかもしれないデス!」

 

調は自動販売機から取り出したりんごジュースの蓋を開ける。

「あとは、ダインスレイフの破壊衝動に抗うだけの心の強さがあれば…」

 

 

しかし、切歌は話を聞いておらず自販機のボタンを同時に押すという遊びを始めてしまう。

「う~ん…これデス!」

同時にボタンを押した結果…

 

 

 

 

 

「だあああああ!?苦いコーヒーを選んじゃったデスよおお!?」

苦手としているブラックコーヒーが出てきてしまい、肩を落とす切歌。

 

「…だれかの足を引っ張らないようにするには、どうしたらいいんだろう?」

 

 

 

 

すると、頭を抱えている切歌の横に一人の青年が歩いてきた。

 

「はい、これ」

青年はズボンのポケットから小銭を渡す。

「え、ええ!?」

突然小銭を渡された切歌が驚き、調は警戒して切歌の前に立つ。

 

「そ、そんな警戒しなくていいのに…」

切歌達に話しかけてきた青年は、外見からして20代の前半といったところだろう。

紺色のTシャツに、黄色いスカーフを首に巻いた青年は少女達に不審者扱いされたのが堪えたのか、ため息をついて自販機からさっき切歌が間違って購入したコーヒーを取る。

 

「あんまりこういう遊びは、大人として関心しないよ?」

「う…ごめんなさいデス…」

肩を落とした切歌に、青年は苦笑する。

 

 

「ま、気にしないでその小銭で好きなジュースでも買ったらいいよ」

青年は文字盤に数式が書かれた革製の腕時計をチラリと見ると、踵を返して歩き…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうそう、そこの君に一つ言い忘れてたよ」

足を止めた青年は調に目を合わせる。

「え…私?」

 

 

「ああ。さっきから悩んでるみたいだけど、年長者として言えることは…」

 

 

 

 

「大切なのは何を信じて、何を守ったかだと思う。過ちぐらい幾らでも謝ればいいけど、失ったものはどう足掻いても取り戻せないからね」

「何を信じて、何を守ったか…」

真剣な眼差しの青年の言葉は、スっと調の心に届いた。

 

 

「おっと!じゃあ僕もそろそろ仕事だから、ここいらでサヨナラだね」

そう言い残し、青年は缶コーヒーの蓋を開けて飲みながら去っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…久々に美味いコーヒー飲んだ気がする」

最後の言葉に思わずズッコケそうになった切歌達だった。

 

「…では、ごっつぁんデース…」

青年から貰った小銭で調と同じりんごジュースを買って飲む切歌だったが…

 

 

突然、通信機に緊急の連絡が入った。

『アルカ・ノイズの反応を検知した!場所は地下68メートル、共同溝内であると思われる!』

「共同…?」

『電線をはじめとするエネルギー経路を埋設した、地下抗だ!すぐ近くにエントランスが見えるだろう?』

切歌達は指示に従い、エントランスへと移動。

 

『本部は今現場に向かって航行中よ。響と将也もそっちに向かっているわ』

『独断専行は避けて、立花と将也が向かうまで周囲に人がいないか確認を!』

『飛び込むのは将也達と合流してからにしろよ!』

本部にいるため今すぐには合流できないマリア達からの声に頷いた切歌達。

 

 

――――――――――

 

 

それからほどなくして、バイクに乗って将也と響が合流。

「待たせた!」

だが、響は何も言わずに二人を素通り。

 

 

「何かあったの?」

「………何でもない」

事情を知っている将也が苦い顔をしているのに気づいた二人。

 

 

「…とてもそうは見えないデスけど…」

「っ!二人には関係ないことだから!」

いつになく強い口調の響に気圧される切歌達だが、将也はそれを止める。

「響!一旦落ち着こう…」

「う………」

俯く響が見ていられなかった将也は、入口の前に立つ。

 

 

 

「さっさと片付けて、じっくり話し合う機会でも設けよう?まずはアルカ・ノイズを倒してから!」

「うん…」

「了解…!」

「ガッテンデース!」

将也は強く頷くと、その目が紅く輝く。

 

 

「さーて、今日は特別にとっておきを使うとするか!」

すると将也の体から無数のバグスターウイルスが溢れ、もう一つの肉体を形成。

 

「「「え…?」」」

響達がポカンとしていると、いつもの将也の横に派手な柄のアロハシャツと革ジャンを着た姿の将也が現れた。

 

 

「…よう、これが自分達のとっておき『分身能力』だ」

いつもとは少し性格が異なるもう一人の将也。

 

「デデデデース!?」

「先輩が…増えた!?」

リアクションに笑いながらもう一人の将也は説明をする。

 

 

「自分達は元々他のライダーの人格データをコピーして精神を形作っていた。だからそっちの人格をメインにすれば自由度の高い分身を作れるのさ」

 

「ま、僕自身にかかる負担もかなり大きいから多用はしたくないんだけど。でもアルカ・ノイズだけどはいえ試運転も必要だからね」

並び立った将也達はそれぞれガシャットを起動。

 

 

《マイティアクション!エーックス!》《ゲキトツ・ロボッツ!》

本物の将也はマイティアクションXとゲキトツロボッツを起動。

 

《爆走バイク!》

分身体の将也(以降L将也)は本物が作り上げていた『二つ目の爆走バイク』のスイッチを入れる。

 

「大・大・大変身!」

「ゼロ速、変身」

《ガッシャット!ガッチャーン!レベルアーップ!》

将也はエグゼイドのアイコンに右手で触れ、L将也はレーザーのアイコンを廻し蹴りで選択。

 

 

《マイティマイティアクション!エーックス!》

《アガッチャ!ゲ・キ・ト・ツ・ロボッツ!》

将也はエグゼイド・ロボットアクションゲーマーに

 

《爆走!独走!激走!暴走!爆走バイク!》

将也Lはアンダースーツがエグゼイドやゲンムと色違いとなったレーザーの後継型ライダー『仮面ライダーレーザーターボ・バイクゲーマーレベル0』に変身を完了した。

 

「おおー!将也先輩、レーザーの新しいボディに変身したデス!」

「仮面ライダーレーザーターボ。試運転と行くか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

将也達5人が共同溝に突入したのを見計らい、少し離れたところで様子を見ていた人物が動く。

「…介入は避けたいけど、何かあったら遅いからね」

ヘッドライトの部分が歯車のようなデザインで、後ろには黄色いボトルのような意匠が刻まれた赤いバイクから降り立つ人物。

それはついさっきまで切歌や調と接触していた青年だった。

 

 

「さあ、実験を始めようか」

青年は赤いレバーの付いた黒いベルトを装着すると、ポケットから兎のデザインの赤いボトルと戦車のデザインの青いボトルを取り出すと同時にボトルを振る。

カシャカシャと小気味いい音が鳴り、青年はボトルの蓋部分を回転させ、ベルトに装填。

 

 

《ラビット!》《タンク!》

《ベストマッチ!》

音声が鳴ったのを確認し、青年はベルトのレバーを回転させるとベルトからまるでプラモデルのランナーに似たような物が前後から青年を囲む。

 

 

 

《Are you Ready?》

「…変身!」

青年の言葉に反応するように、ランナーから形成されたハーフボディが青年の体を挟む。

 

 

《鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!》

赤と青、二つの色の鎧を纏った戦士…

 

『仮面ライダービルド』は誰にも気づかれることなく、将也達の後を追い始めた…

 

――――――――――

 

 

移動する中で響は変わり果てた父親の姿を思い出しながら歩いていた。

(拳で何とか出来るのって、実は結構簡単な問題ばかりなのかもしれない…)

今まで自分の拳を信じて戦い抜き、困難を解決してきた響だが今自分が直面している問題に頭を悩ませていた。

だが、今優先すべきはアルカ・ノイズの排除。

(…だから、さっさと片付けちゃおう!)

 

 

共同溝の最深部に繋がる穴にたどり着き、響は笑顔で振舞う。

「…行こう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(BGM 限界突破G-Beat)

ギアを纏った響、切歌、調と共にエグゼイド、レーザーターボも共同溝に飛び降りる。

すでに地下には大量のアルカ・ノイズが潜伏しており、奥には何らかの仕掛けを起動しているミカの姿もあった。

「来たな。だけど今日はお前達の相手をしている場合じゃ…」

ミカの言葉を遮るかのように響はアルカ・ノイズを無視してミカに殴りかかり、ミカの後ろの壁が粉々に砕ける。

 

「響の奴…!」

エグゼイドは響の攻撃がいつもより荒っぽいことに気づいて彼女のもとに向かうが、ミカはテレポートジェムでアルカ・ノイズの援軍を送る。

 

 

「うおおおおおお!!」

ブースターで加速しながら次々とアルカ・ノイズを破壊していく響。

 

「おい響!独断で進むな!」

エグゼイドは近くのエナジーアイテムを使う。

《高速化!》

「レーザー!切歌達を頼む!」

「はぁ!?ったく世話の焼ける!」

 

 

ここまで明らかに動揺している響の様子に気づかないほど切歌達も鈍くはない。

「泣いてる…?」

「やっぱり様子がおかしいデス!」

アルカ・ノイズを切り裂く二人だが、そこにガシャコンスパローを持ったレーザーターボが加わる。

「あっちはエグゼイドに任せておけ!自分達はさっさとこいつらを片付けるぞ!」

 

レーザーターボはホルダーからガシャットを取り出して起動させる。

《シャカリキ・スポーツ!》

以前ダミーゲンムとの戦いで取り返したプロトシャカリキスポーツのガシャットを起動させたレーザーターボはゲーマドライバーのレバーを閉じる。

 

 

「爆速!」

《ガッチャーン!レベルアーップ!》

モノクロのゲーム画面が開き、黒いスポーツゲーマがレーザーターボの周囲を走る。

 

《爆走バイク!アガッチャ!シャカリキ!メチャコギ!ホット!ホット!シャカシャカ!コギコギ!シャカリキスポーツ!》

モノクロで頭部に追加装甲が無いのを除けばゲンム・レベル3とほぼ同じ外見の『バイクスポーツゲーマー』にレベルアップを果たしたレーザーターボ。

 

 

「こんでもくらえ!」

トリックフライホイールを外し、投げるとホイールはブーメランのように旋回、アルカ・ノイズを切り裂いていった。

 

 

――――――――――

 

一方響とミカは…

 

「響…ありゃやばいって!」

怒りや悲しみなどの感情がごちゃ混ぜになり、響の力任せの攻撃はミカに掠ることすらなく共同溝内部の床や壁を破壊していく。

 

 

(何でそんな簡単にやり直したいとか言えるんだ…)

「壊したのはお父さんのくせに!壊したのはお父さんのくせに!」

父への怒りを叫びながら響は迫り来るアルカ・ノイズを片っ端から殴り飛ばす。

 

だが、それは誰が見ても平常心を失っている危険な状態だった。

「つっかかりすぎデス!」

響は周囲のアルカ・ノイズを天井に吹き飛ばし、纏めて粉砕するが…

 

 

 

(違う………壊したのはきっと、私も同じだ…)

ふと、あの辛い日々が頭をよぎった響の動きが鈍る。

 

 

「ションボリだゾ!」

その隙にミカは器用にあるものを取り出す。

「あれは…」

「プロトガシャット!?あいつも使うつもりか!」

調とレーザーターボは真っ先にミカが取り出したプロトガシャットに気づく。

 

《ゲキトツ!ロボッツ!》

かつて敗北したゲキトツロボッツのプロトガシャットを起動させたミカはガシャットを体内に取り込んでパワーアップを果たす。

両手の熊手のような手は赤と黒に変化し、よりメカメカしい外見になった。

 

「響!」

ミカがカーボンロッドを響目掛けて射出するが、エグゼイドは素早く響の盾になる。

 

 

「グアアアア!?」

が、プロトガシャットの力で大幅なレベルアップを果たしたミカのカーボンロッドは、以前完璧に防いだはずのエグゼイド・レベル3の装甲をいとも簡単に破壊。

そのままエグゼイドは響を巻き込んで吹き飛ばされ、変身が解除されてしまう。

 

「響さん!」

「将也先輩!」

頭を打った影響で思うように動けない響と将也を介抱する切歌。

 

 

「歌わないのカ?歌わないと…」

ミカは左手を響達に向けると、ロッドの射出口から炎が溢れ…

 

 

「死んじゃうゾおおおおお!!」

次の瞬間、通路全体を塞ぐような大きさの炎が迫ってきた。

「っ!切ちゃん!」

調とレーザーターボは咄嗟に切歌達の間に入り、巨大な鋸とホイールで簡易的な盾を作る。

 

「調…レーザー………無茶だ!」

「先輩!?その体でどうする気デスか!?」

将也は何とか立ち上がると、マキシマムマイティXのガシャットを取り出した。

 

 

《マキシマムマイティ!エーックス!》

「ぐ……マックス大変身!」

足をふらつかせながらも将也はドライバーにガシャットを装填し、レバーを開く。

 

 

《最大級のパワフルボディ!ダリラガン!マキシマムパワー!エーックス!》

マキシマムゲーマを纏ったエグゼイドは調の横に立ち、その巨体で全員の盾になる。

 

 

「切ちゃん…大丈夫?」

 

 

 

 

 

「…な、わけ、ないデス」

「え?」

「大丈夫なわけ、ないデス!」

切歌にとって調は命をかけてでも守りたい相手。

その守りたい相手にただ守られている現状に切歌は憤りを感じていた。

 

 

「こうなったらイグナイトで…」

調を、将也を、切歌は心から大切に思う相手を救いたいと願い、禁断の力を自分も開放させようとする。

 

 

「駄目!無茶をするのは私が足手まといだから?」

「調………お前も…!」

調の言葉に何か気づいたようなエグゼイド。

 

 

だが、ミカは誰かに話しかけられたような反応をすると途端に戦意を失った表情になる。

 

「正論かもだけど…鼻につくゾ!」

途端に炎の勢いが増し、調の鋸とエグゼイド、レーザーターボの装甲が融解し始める。

「おいおい!プロトガシャットの力であいつの素の能力まで強くなってんのか!?」

何とか耐え抜いていたが、炎の勢いは3人の盾を破りエグゼイド達を吹き飛ばしてしまう。

 

 

 

 

 

 

「「「うあああああ!?」」」

「「ガハッ!?」」

吹き飛ばされる中でエグゼイドとレーザーターボは元の一人の将也に戻り、装者達も変身が解除される。

 

 

「ここは預けるゾ。だから次は歌うんだゾ~!」

その言葉を残し、ミカはテレポートジェムで姿を消した。

 

 

――――――――――

 

「ぐ………響…切歌…調…!」

全身に大火傷を負った将也は必死で響達に手を伸ばそうとするが、激痛でまともに動くことすらできない。

 

が、そこで将也は響達に迫る危険に気が付く。

 

 

 

「っ…!3人とも…目ぇ覚ましてくれ…!」

3人が倒れた場所の真上の天井が崩落しそうになっており、このまま目を覚まさなければ二人は瓦礫に潰されてしまう。

 

 

 

 

 

「頼む……うっ!」

必死で進もうとする将也だが、すでに変身が解けた状態で炎をくらってしまったためか致命傷レベルの怪我を負っており…

 

 

 

 

《ゲーム・オーバー…》

力尽きると同時に、肉体が消滅を始める。

 

 

「………頼む………誰か…」

自分の手が届かない事への悔しさと、藁にもすがる思いで将也が祈ったが…

 

 

 

消滅する直前、『赤と青の戦士』の姿が見えた気がした。

 

 

――――――――――

 

 

「これは酷いな…」

あちこちが爆風で破壊された共同溝を見てビルドは絶句する。

 

 

「まず彼女達に死なれても困るし、早いところ助けないと…ん?」

ビルドはこっちに対して手を伸ばしながら消滅した将也の姿を目撃した。

 

「宝条将也…一体、彼は何を…!」

ビルドは響達の真上に崩れそうな瓦礫があったことに気づく。

 

 

「っ!やばい!」

ビルドはラビットタンクのボトルをドライバーから引き抜き、素早く別のボトルに交換。

 

 

 

《ゴリラ!ダイヤモンド!ベストマッチ!》

再びランナーが現れ、新しいボディが形成される。

 

《Are you Ready?》

「…ビルドアップ」

ビルドの言葉に反応するかのように新しいボディに変化。

 

 

《輝きのデストロイヤー!ゴリラモンド!イェイ!》

右手は茶色く大きな形に変化し、ダイヤモンドをイメージした水色のボディとゴリラをイメージした茶色いボディが融合する。

それと同時に天井が崩落したが、ビルドは左手を降ってきた瓦礫にかざす。

 

 

「ハッ!」

すると、瓦礫は空中で透き通った鉱石…ダイヤモンドに変化。

 

 

「ハアアア…テヤアアア!!」

そのまま右手でダイヤモンドを殴ると、壁にぶつかったダイヤは全て霧散したことで最悪の事態は回避することができた。

 

「さて…後は彼女達を外に運び出しておきたいが…」

ビルドは自前と思われるかなり分厚いスマホを取り出し、ため息をつく。

 

 

 

「こっちの組織と遭遇なんて面倒な事態は避けたいし、ここらで一度石動さん達のところに戻ったほうがいいか」

ビルドは3人を通路の端に寝かせ、そのまま共同溝の奥へと消えていった…

 

 

 

To Be Next GAME…?

 

 




次回、シンフォギアエグゼイドは!

「調が悪いデス!」
「切ちゃんが無茶するから!」
最高のコンビ、絆に異変!?
「このガシャットを使うには、僕達3人の心を合わせなきゃいけない」
最後のシンフォギアガシャット、登場!
「こんな弱いままで終わりたくない…」
「だったら、強くなるしかないのデス!」
「イイね!最っ高にノっていくぜ!」
運命を『斬り開け』!

第32話 最強のTrio!

―――――――――――
分身能力
将也が自身のバグスターウイルスを高速で培養することによってもう一つの肉体を形成し、他のライダーに近い自我を移すことで分身する。
デメリットとしては一度選択したライダー以外に分身中は変身できなくなること、またガシャットによる反動も全て纏めて帰ってくることなどが挙げられる。

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