戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士   作:狼牙竜

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お待たせしました。
かなり長くなりましたが、マリア編のクライマックスです!

ジオウ、黎斗王の暴れっぷりは凄まじかったですね…

ただ、来週は休みなのが辛い…

感想、評価が作者の力となりますので、いつでも待ってます!



第29話 本当のHERO!

暴走したマリアを止めてから2時間。

マリアを除く装者達と将也、パラド、朔也、緒川達男性陣は宿舎の応接室に集まっていた。

 

「…主を失ってもなお襲いかかる人形か」

翼の言葉に調が続く。

 

「あと気になったんですが…どうしていつも優位にことが運んでも撤退を繰り返すのでしょうか…?」

「言われてみれば、とんだアハ体験デス」

将也がS.O.N.Gに合流する前から交戦を繰り返してきた装者達だが、その頃から自動人形はどれほど決定的なチャンスでもシンフォギアのペンダントを破壊する以上のダメージを負わせることは殆ど無かった。

 

「確かに…響がミカにやられた時も、僕達が来た頃には既にあいつは撤退してた」

将也は響と素顔で接触した(響は気を失っており、将也達も応急処置程度に留めて姿を消した)時を思い出した。

 

 

「それに気になるのは、マリアさんの様子も…」

響は過去に何度も経験した暴走の記憶を辿った。

「…力の暴走に飲み込まれると、頭の中まで黒く塗り潰されて…何もかもわからなくなってしまうんだ」

響達だけでなく、過去に3人の破壊衝動を肩代わりした将也もあの感覚を思い出す。

 

「…正直、あの感覚は何度使っても慣れないよ」

響達がいつも横にいたからこそ耐えられたあの衝動を思い出し、将也は手を強く握った。

「ちょっと、マリアの様子を見てくるよ」

将也はソファーから立ち上がり、外にいるマリアを探しに向かった。

 

 

――――――――――

 

(…また将也に助けられた…私が弱いばかりに、魔剣の呪いに抗えないなんて…)

マリアは先ほどの戦いを思い出し、手を強く握る。

「強くなりたい…もっと…もっと…!」

 

すると、昼間ビーチバレーで使っていたボールがマリアの目の前を転がる。

それを走って追いかけてきたのはエルフナインだった。

 

「ごめんなさい…みなさんの邪魔をしないようにと思ってたのに…」

どうやらずっと練習をしていたらしい。

「そんな、邪魔だなんて…」

マリアはエルフナインに目線を合わせる。

「練習、私も付き合うわ」

 

 

 

 

「だったら、僕も参加していい?」

後ろから声をかけられたマリアが振り向くと、そこにはボールを持った将也の姿が。

「…将也!」

 

―――――――――――

 

エルフナインがサーブの練習をし、マリアは横で打ち方のアドバイスを。

将也はエルフナインが打ったボールを返すといったふうに練習をしていた。

「中々うまくいかないな…」

そんなエルフナインに対し、マリアはポツリと独り言を口にする。

 

「…色々な知識に通じているエルフナインと、ずっと戦い続けてきた将也なら、わかるのかな…」

「え?」

「マリア…」

「…だとしたら、教えてほしい」

 

 

 

 

「強いって…どういうことかしら?」

それは、今まさにマリアが求めている答えだった。

 

「………それは、今日マリアさんがボクに教えてくれたじゃないですか」

「…え?」

エルフナインの言葉に驚くマリア。

 

「そうだね…マリアは、とっくの昔に答えにたどり着いているよ」

将也とエルフナインの言葉に驚いていたマリアだが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如水飛沫があがる。

「っ!」

将也とマリアはエルフナインを守るかのように前に立ち、将也はゲーマドライバーを装着。

 

「おっ待たせ♪ハズレ装者と死に損ないライダー?」

水流の上に立つのは、前回姿を消したガリィ。

強敵を前にマリアは頭の包帯を外した。

 

「大丈夫です…今のマリアさんと将也さんなら!」

「…そう言ってもらえるとありがたいな」

将也はデンジャラスゾンビとプロトマイティアクションXオリジンのガシャットを取り出し、マリアもアガートラームのギアを起動させる。

 

《マイティアクション!エーックス!》《デンジャラスゾンビ!》

「グレードX‐0…変身!」

「Seilien coffin airget-lamh tron…」

マリアのギアが輝き、将也もドライバーにガシャットを2本装填。

 

《ガッシャット!ガッチャーン!レベルアーップ!》

《マイティジャンプ!マイティキック!マイティアクショーン!エーックス!》

《アガッチャ!》

《デンジャー!デンジャー!デス・ザ・クライシス!デンジャラスゾンビ!》

 

ゲートを突き破って変身したゲンムと、アガートラームを纏いアームドギアの短剣を持ったマリアが降り立つ。

 

「コンティニューしてでも、クリアする!」

「ええ!」

 

 

 

 

「ハズレでないのなら、戦いの中で示して見せてよ!」

ガリィがテレポートジェムをばらまくと、無数のアルカ・ノイズがマリア達を取り囲んだ。

 

 

――――――――――

 

「…ガリィ?」

ガリィとファラを除く他の自動人形達が動かない玉座の間。

千翼は嫌な予感がした。

 

あの時、自分に別れを告げたガリィ。

彼女に今、危険が迫っているのではないか。

 

(これはアタシからの…最後のプレゼント)

「…まさか!」

千翼は悟った。

ガリィは装者達の誰かを道連れに、死ぬことを覚悟で戦いに向かったのではないかと。

 

「ダメだ…そんなの、絶対にダメだ!ガリィ!!」

 

立ち上がった千翼は、シャトーを出るために走り出した。

 

――――――――――

 

 

一方、宿舎にいた響達だが、朔也が報告する。

「アルカ・ノイズの反応を検知!現在、マリアさんと将也が戦ってます!」

「マリアと先輩達がピンチデス!」

装者達とパラドが急いで建物を駆け出すが、部屋に残っていた緒川と未来は一瞬だが空気が揺らいだのを目撃。

 

緒川はすぐに部屋を出て揺らぎが消えた方向を追うが、人の姿は無かった。

 

 

 

「風…だったのでしょうか?」

 

 

 

――――――――――

 

 

「はああああ!!」

手裏剣のように短剣を投擲し、アルカ・ノイズを破壊するマリア。

 

《クリティカル・ジャッジメント!》

「せやあああ!!」

腕を振り抜き、必殺のエネルギー弾をばら撒いたゲンムはマリアと共にガリィ目掛けて走る。

 

「ふん」

《タドルクエスト!》

ガリィはプロトタドルクエストのガシャットを起動させ、体内に取り込むと同時に高圧水流をマリア達に叩き込む。

 

「将也!私が前に!」

防御の低いゲンムの盾になるべく前に立ってアームドギアのバリアを張るマリアだが、ガシャットの力によって強化された氷の力も相まって圧されていく。

 

 

「強く…強くならねば…」

「マリアさん!」

「マリア、よせ!」

足から凍りついていくマリアを下がらせるべく、ゲンムはガシャットギアデュアルβを取り出してファンタジーゲーマを召喚。

氷を破壊し、ゲーマにマリアを突き飛ばさせてゲンムが盾になる。

 

「ぐ…ああああ…!?」

しかし全身があっという間に凍りつき、ライダーゲージが急激に減少を始める。

 

「将也!?」

マリアは蛇腹剣を使い、ゲンムの氷を破壊することで幸いにもゲームオーバーは免れた。

「ぐ……ハァ…」

 

 

多少なりとも凍りついたもののダメージを比較的抑えることができたマリアだが、一度全身が凍りついたゲンムはダメージが大きかったのか、自動的に変身が解除されて将也の姿に戻ってしまう。

 

 

「く………」

マリアは無意識にマイクユニットに手を伸ばし…イグナイトモジュールを起動させようとするが…

 

「その力…弱いあんたに使えると思ってんの?」

ガリィの言葉に動揺し、その手は止まってしまう。

 

「私はまだ、弱いまま…どうしたら、強く…!?」

すると、先程まで膝をついていた将也が話しかけてくる。

「マリア…エルフナインの言葉を思い出せ…!」

そう。ガリィの襲撃直前にエルフナインが言った言葉…

 

 

 

『マリアさんが、ボクに教えてくれたじゃないですか』

「…私が…?」

 

「マリアさん!」

後ろからエルフナインが叫んだ。

 

 

 

「大事なのは、自分らしくあることです!」

それは昼間にマリアがエルフナインに教えたこと。

「マリアは…とっくの昔に答えにたどり着いていたんだよ…自分を失わなければ…誰かの模倣じゃない、自分を貫けば、人は強くなれるってな…!」

 

「もしその弱さがマリアの行く末を邪魔するのなら…僕達はマリアが前に進めるように、一緒に戦う!」

とうの昔に答えを見つけても、それが正しいと気づける人間は少ない。

だが、マリアはそれを教えてくれる、支えてくれる仲間がいた。

 

 

「そうだ…私は、弱い…」

 

自身の弱さを受け入れることができない者は、決して強くなれない。

「強くなれない私に、将也とエルフナインが教えてくれた…!」

 

「弱くても、自分らしくあること…それが、本当の強さ!」

 

「エルフナインは戦えない身でありながら、危険を顧みず自ら行動を起こし…私達に希望を届けてくれた」

エルフナインがイグナイトモジュールを持ってこなければ、響達は自身の闇を乗り越えて強くなることはなかったかもしれない。

 

 

「将也が共に並び立って戦ってくれたから、私達はバグスターという脅威にも臆せず戦うことができた!」

本当の強さを持つことができたマリアは、将也の手を引っ張って立たせる。

 

 

「エルフナイン!将也!そこで聞いていて欲しい…二人の勇気に応える歌だ!」

「マリアさん…」

「…わかった」

二人と目が合い、マリアは強く頷く。

 

そして、ついに殺戮の魔剣を解放する言葉を叫んだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イグナイトモジュール………抜剣!!」

起動したダインスレイフの欠片が、マリアを侵食し始める。

 

(…狼狽えるたび…偽りに縋ってきた昨日までの私…)

破壊衝動に苦しむ中で、マリアの脳裏にある言葉がよぎる。

 

(いつだってマリアの近くには僕達がいるってことを忘れないで欲しい)

それは、かつてあの河川敷で将也から伝えられた言葉。

 

 

「将也と、翼達と、切歌や調と!これからも共に歩むために!」

 

「私はこの弱さを受け入れて、この呪いに抗い続けてみせる!」

マリアの覚悟に答えるかのように、赤黒い輝きは闇の色を取り払っていく。

 

 

 

――――――――――

 

将也の目の前で、また一人装者が闇を克服した。

マリアの体を覆っていた赤黒い光はマイクユニットに収束し、アガートラームの外見を大きく変化させる。

響達同様に黒をメインカラーとし、刺々しい姿になるアガートラーム。

銀腕と呼ばれたギアは、漆黒の輝きを放ちながら生まれ変わった。

 

 

「これが、マリアのイグナイトか…」

すると、彼女の輝きに反応するかのように将也の持つブランクガシャットが紫と銀色の輝きを放つ。

 

「これは…」

「新しいシンフォギアガシャット…!」

イグナイトモジュールを克服したマリアの想いに呼応し、『レベル0のゲンムとマリアがそれぞれの武器を構えた』ラベルのガシャットに変化。

 

 

「マリア…ここからは、最強のデュエットといこうか!」

「ええ…そのようね!」

将也は新しいシンフォギアガシャットを取り出し、起動。

 

 

《シルバリオアーム・アガートラーム!》

ゲーム画面が開き、将也は右手の薬指にガシャットを引っ掛ける。

 

 

 

「グレードSP…変身!」

《ガッシャット!ガッチャーン!レベルアーップ!》

セレクトパネルから『ゲンムとマリア』のパネルを選択し、ゲートが出現。

 

 

「テエヤァ!!」

ゲートを潜って出てきたのは、ゲンム・レベル0。

すると、マリアのアガートラームが輝いて本来の銀色の鎧が分身してゲンムの周囲を飛来。

 

《Break all enemy!silver arm!》

足から腕、胴体とアガートラームの装甲がゲンムにフィットするように形状を変化させて装着。

最後にヘッドギアが装備され、ゲンムの新たな姿が完成した!

 

 

 

 

 

「仮面ライダーゲンム…アガートラームゲーマー!!」

並び立つゲンムとマリアは、互いにアームドギアを持ちながら宣言。

「「コンティニュー無しでも、クリアする!」」

 

――――――――――

 

 

(BGM 銀腕・アガートラーム(IGNITED arrangement))

ガリィはマリアとゲンムを睨み、テレポートジェムをばらまく。

 

「弱さを受け入れて強くなる…?なら、やってみろ!」

マリアはイグナイトによる新ギミック…左手の籠手に片手剣のサイズまで長くなったアームドギアをセットし、光弾を連射してアルカ・ノイズを破壊。

ゲンムもまた、両手に無数の短剣を出現させて投げつける。

 

「いいねいいね!」

ガリィはガシャットの力で足に氷の靴を作り、今まで以上のスピードで接近。

マリアはすぐさまガリィを両断するが、斬ったのは彼女の得意技である水の分身。

無数の泡になり、中にガリィが映りこんでいた。

 

「夢だけは、決して土で汚さない!決して!!」

魂の歌を力強く歌いながら泡を破壊するマリア。

その中でゲンムはガリィの居場所を探るべく、アームドギアを構えたまま動きを止める。

すると、マリアの背後にガリィが姿を現す。

「アタシが一番乗りなんだから!」

ガリィ目掛けて剣を握った状態で渾身の右ストレートを打ち込むマリアだが、ガリィは氷の盾を展開して防ぐ。

「ふん…なっ!?」

 

しかし、ゲンムもまたマリアと並び立って盾を殴ると急激に盾にひびが入る。

 

(そうか!こいつの素体はレベル0!ガシャットの力を使ってんのが仇になって…!)

強度の弱まった盾など、マリアとゲンムにとって破るのは容易い。

マリアの握った剣とゲンムの拳が盾を破壊すると、マリアの左アッパーがガリィの顎を捉えて宙に舞う。

 

 

「マリア!」

《ガッシャット!キメワザ!》

ガリィを追ってジャンプしたマリアと共に飛び上がるゲンムは、空中でキメワザスロットホルダーにガシャットをセット。

 

《アガートラーム!クリティカルストライク!》

『AIRGET-LAMH・CRITICAL・STRIKE!』

 

「デヤアアアアアア!!!」

ガリィの眼前に映ったのは、それぞれの武器を持った2人の戦士。

 

「ハアアアアアア!」

マリア、ゲンムとまるで×の字を描くかのように切り裂かれるガリィ。

 

 

「これで……アタシが、一番乗りなんだからあああああ!!」

泣いてるようにも笑っているようにも聞こえる言葉を叫び、ガリィは全身に電流が流れた状態で海に落下。

次の瞬間、海面で大爆発が発生した。

 

 

『SERE✝NADE』

《ゲーム・クリアー!!》

 

――――――――――

 

 

ガリィを倒した直後、響達が追いついてきた。

「二人で自動人形を倒したのか…!?」

「どうにかこうにか、ね…」

流石に力を使い果たしたのかフラフラになっているマリア。

今は将也が支えている状態で立っている。

 

「マリアさんの強さが…新しいシンフォギアガシャットを作ったんですね…」

「ええ…でも、結局私はまだ弱いままかもしれない」

それでも、マリアは構わないと思えた。

 

「でもそれは、私らしくあるために必要なものかも知れない」

 

「将也、エルフナイン。教えてくれてありがとう…」

「…はい!」

「ああ…!」

強敵を撃破し、確かに勝利した。

だが、将也はほんの少しだけ嫌な予感を振り切れずにいた。

 

 

――――――――――

 

「ガリィ…どこだ!?」

千翼はジャングレイダーを停車させ、ガリィがいた砂浜を探す。

すると、海の上に見知った服…ガリィのドレスを見つける。

 

「ガリィ…!」

千翼は泳いでガリィを海から引き上げる。

だが、その胴体は大きく壊れており、もはや修復不可能なレベルだということは千翼にもなんとなくわかってしまった。

 

「ガリィ!目を開けてよ!ガリィ!」

すると、僅かながら動き出すガリィ。

「………心配することないわよ、千翼……これも、計画のうち…なんだから」

「え……?」

計画のうち。という言葉に驚いた千翼だが、ガリィは千翼の耳元に顔を寄せて…

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――」

「なっ……!?」

ガリィの告げた言葉に、千翼は頭の中が真っ白になる。

 

 

「だから…最初からこうなるのは決まってたのよ…」

「何だよそれ…じゃあ、ガリィは…」

ガリィの口から告げられたのは、キャロルが目指す計画の真相。

そして、自動人形が創られた真の理由だった。

 

「アタシ達は、マスターが何をしようと…止めることはできない。だけど千翼…あんたならきっと、マスターの…本当の笑顔を…」

 

「…嫌だ……それじゃあ、ガリィも、ミカもファラもレイアも!皆を救えないなんて、意味がないじゃないか!」

千翼の言葉に、ガリィは面食らったかのような顔をしていたがふと優しく微笑む。

 

 

「まさか、最後にこうやって誰かの腕で壊れるなんてね…少しでも、自分を人間と勘違いしそうになるわよ…」

少しづつ体が崩れ、ガリィは最期の言葉を伝える。

 

 

「千翼………アタシがもし人間だったら、アンタはアタシを好きになってくれた……?」

その言葉を遺し、自動人形のガリィは跡形もなく『死んだ』。

 

「……あ…ああ………

 

 

 

 

 

 

 

 

あああああああああああ!!」

絶叫する千翼。

最後に残ったのは、ガリィが使っていたプロトタドルクエストガシャットだけだった…

 

 

――――――――――

 

 

夜。

浜辺で花火を楽しむ響達を遠くから見つめる将也とパラド。

「じゃあ、プロトガシャットは見つからなかったのか?」

「ああ…あの攻撃で生き延びたとは思えないけど…ひょっとしたら、すでに回収されたのかもしれない。それより…」

将也は、何故このタイミングでガリィが仕掛けてきたのかわからなかった。

 

それに、あの時のガリィと戦っている時に心のどこかで僅かな違和感を感じていた。

 

まるで、相手も戦うことを望んでいないような…

 

(だが、奴らが破壊を行う以上戦うしかない…戦うしか、ないんだ…)

 

 

 

 

 

 

「パラド。未来とエルフナインが呼んでるわよ」

ふと、マリアが将也達のもとへ歩いてくる。

 

「え?あ、本当だ」

見ると、こっちを手招きしている未来達の姿が。

走っていくパラドを見送ると、マリアは将也の横に座る。

 

 

「………ねえ、将也。今日はあなたにたくさん助けてもらったわよね…」

「ああ…でも、立ち上がれたのはマリア自身の力だ。それは確かに、誇っていいことだよ」

「ふふ、ありがとう♪」

すると、マリアはそっと将也の手を握ってきた。

 

「ま、マリア?」

「…今日、あなたとのデュエットは思った以上に私に力をくれた。翼達はずっと、あの温かい力で戦ってたのね」

シンフォギアガシャットでのユニゾンは、装者と将也の信頼関係があって初めて発動する。

 

「…でも、私はまだあなたとそれほど深い関係じゃない。だから…」

 

 

「私は、あなたをよく知るところから始めるわよ?」

まだ恋人関係と言えるかは怪しい、謂わば『互いを知る段階』。

しかし響達なら恐らくこう言うだろう。

 

 

 

『ああ…これは時間の問題だ』と…

 

 

――――――――――

 

それからおよそ1時間後、買い出しジャンケンに負けた響と付き添いのために同行した将也とパラド。

 

「…俺ら、最初からジャンケン参加しなくても良くなかったか?」

「そういえばそうだな…」

前で仲良く話している響と未来を見ながら歩く男ふたり。

 

コンビニにたどり着く一同だが、響は横の自動販売機にあった『キノコのジュース』に興味を示していた。

 

「すごいよ!東京じゃお目にかかれないキノコのジュースがある!」

「それ、旨いのかな…?」

流石にこれを試す度胸はない将也。

 

すると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?確か君は…未来ちゃん?じゃなかったっけ?」

未来に話しかけてきた人物を見て、将也は驚く。

昼間、子供たちの避難誘導を頼んだ際に真っ先に逃げ出した男性だった。

 

「あの人…!」

だが、この人物は将也にとってある意味重要な人物だったのだ。

 

「あれ?どうしたの、未来…」

 

すると、響と男性の目が合い…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「響………?」

 

 

 

「お父………さん……?」

 

「え…!?」

「響の…親父さん…!?」

響が男性を『お父さん』と呼んだことに絶句する将也とパラド。

 

「響のお父さんって…確か…」

すると突然、響は走り出した。

 

「響!」

「待てって!響!」

将也は慌てて後を追うが、パラドと未来、そして響の父はそれを見ることしかできなかった…

 

―――――――――――

 

 

ふらつく足取りでシャトーに戻ってきた千翼。

しかし、玉座の間は変化が起きていた。

 

ガリィのいた場所からは青い光が迸り、上にぶら下げられていた青い横断幕のようなものには不思議な模様が浮かび上がっていた。

 

 

「これが…キャロルのやりたいことだったのか?」

 

「その通りだ、千翼」

後ろから声をかけられ、千翼は振り返る。

 

 

「キャロル………!」

歩いてきたのは、子供姿のキャロル本人だった。

 

「記憶の転写が早く終わってな。だが、ガリィはよくやってくれた」

「よくやっただと………巫山戯るな!!」

千翼はキャロルの胸ぐらを掴む。

 

 

「ガリィから聞いたぞ…キャロルが教えてくれなかった、万象黙示録完成の方法を!」

千翼の言葉が予想外だったのか、目を見開くキャロル。

 

「どうしてだ!どうしてこんな、ガリィ達を捨て駒のようにするなんて…」

「いや、奴らは最初から捨て駒に過ぎない。全てオレが作り上げた人形だからな」

冷酷な目をしたキャロルを見て、千翼は初めてキャロルに怒りを覚えた。

 

 

「今のお前は…あいつらと変わらない!俺やイユを良いように利用して、都合が悪くなったら切り捨てる4Cの連中と何ら変わりない!」

 

千翼の目は紅く染まり、ベルトを介さずアマゾンの力を使おうとするが…

 

 

 

「ぐっ!?」

後ろから強い力で殴られ、キャロルを離す。

千翼を殴ったのは、トンファーを作り出したレイアだった。

 

「すぐ目の前の物に情を持つとは…最早貴様に用はない!」

大人の姿に変わったキャロルは千翼の髪を掴んで、宣言する。

 

 

 

 

 

 

「千翼…今日を持って、貴様をこのシャトーから追放する」

 

To Be Next GAME…?

 

 




次回、シンフォギアエグゼイドは!

「俺はもう、何もない…」
全てを失った千翼。
彼が出会うのは…


「大丈夫。響達はこのことを知らない」
「俺はただ、お前が死のうとしているから助けた」
宿敵たるパラドと未来!?

「お前に、紹介したい奴らが居るんだ」
パラドと未来に引っ張られ…

「おー!映画に興味持ってくれた!?」
「どうして…?」
千翼は、運命の再会を果たす!?

第30話 ゼロにも等しいREUNION!?


――――――――――
仮面ライダーゲンム・アガートラームゲーマー
マリアとの絆で誕生した『シルバリオアーム・アガートラーム』ガシャットで変身する。
変身音声の元ネタはノックアウトファイター。
マリア同様に短剣型のアームドギアを使った戦法を得意とする。

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