戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士   作:狼牙竜

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なんとか連休中に投稿できました!
今回を持って第2章は終了し、次回からは原作後半とリンクした第3章になります!

昨日のジオウ、エグゼイドに燃えました。でも全部カタカナって…
次回はフォーゼとファイズなので楽しみです!!

感想、評価が作者の意欲につながります!

あと、予告の最後に簡単ですが第3章の予告も追加してます


第27話 PRIVATEを調査せよ!?

キャロルとの決着がつき、はや1週間。

表面上は平和な生活を送っていたマリアは、切歌と調から相談を持ちかけられる。

その内容は…

 

「将也のプライベート?」

「デスデス!最近の将也先輩は元気無いデスから、私達で元気づけようと思ってたんデスけど…」

 

 

先日の戦いの後、悲しみに暮れる千翼の前にガリィが現れ、何も言わずに千翼を連れて行った。

結局キャロルを救えなかったと無力感に苛まれた響達だったが、ゲムデウスを止めることのできなかった将也のショックは一番大きく、この1週間は無理に明るく振舞おうとしているのがまるわかりだったほどだ。

 

「それで私達が将也先輩のためにおさんどんしようと思ったら…」

「合鍵で入っても、先輩はお出かけ中だったんデース…」

思えば、マリア達は将也のプライベートをよく知らない。

 

聖都町に住んでた頃の情報は殆どなく、最近はプライベートといえる時間も無かった。

 

 

「そうね…可能性があるとしたら、ゲームセンターじゃないかしら?」

「そうデス!将也先輩なら休日をゲーセンで潰してそうデス!」

「じゃあ、マリアも行こう?」

切歌と調はマリアの手を掴む。

 

「わ、私まで!?」

驚くマリアだったが、切歌達に引っ張られる形で連れて行かれることになった。

 

 

――――――――――

 

いつものゲームセンターに訪れるマリア達だったが、今日は将也の姿はなかった。

「ここじゃないデス…あと行きそうな場所は…」

「ねえ、ひょっとしたら翼達の誰かと一緒にいるんじゃない?」

マリアの言葉に調は首を振る。

 

「さっき3人に電話したけど、響さんはこないだの課題が残ってて、翼さんは緒川さんの下で花嫁修業、クリス先輩は友達と遊びに行ったって」

恋人関係の3人とは別行動だとわかり、将也の行き先がわからず悩むマリア達。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?3人ともどうしたんだ?」

ふと声をかけられると、そこにはビニール袋に大量のぬいぐるみやフィギュアを入れた状態のパラドが立っていた。

「パラド!?どうしてここに?」

「いや、どうしても何も、俺の休日はこのゲーセンで遊ぶのが日課なんだけど」

 

パラドは脇に抱えていたメダルケースをチラッと見ると、休憩スペースのテーブルに置く。

 

「で、もしかして将也を探してるのか?」

 

――――――――――

 

 

その後、3人はパラドに聞いた場所に訪れたが…

 

「ここって…河川敷よね?」

そう。パラドが教えてくれたのは、普段の将也とは縁が無いようにも思える河川敷。

近くには様々なスポーツ少年達が使う野球やサッカーのグラウンドなどが続く場所で、マリア達は半信半疑ながらも将也を探していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?もしかして、将也先輩デスか?」

切歌は野球場で少年たちにノックをしているユニフォーム姿の男を見て、自分のよく知っている人物だということに気づく。

 

 

 

「よーし!次、5-4-3!」

『はいっ!』

将也はボールを浮かせるとサードに打つ。

サードの少年はボールを取り、セカンドの少年に投げる。

セカンドの少年はボールをベースの上で取り、ファーストの少年に投げる。

 

「よし!ナイスプレー!」

グラウンドで少年達に野球を教えている将也の姿に新鮮味を感じた切歌達。

 

それからしばらくして、将也は時計を見る。

「よし!じゃあダウン入って今日は解散!」

『はい!!』

少年達がストレッチを始め、将也はノックなどで使ったバットを片付け…

 

 

 

「…あれ?マリア?」

こっそり見ていた3人のうち、見覚えのある髪型に気づいた。

 

 

――――――――――

 

 

「なるほど、パラドから聞いたのか…」

あれから数十分。ユニフォームを脱いでいつものラフな服に着替えた将也は切歌達から話を聞いた。

 

「でも、将也先輩が野球をやるなんて以外…」

「ああ、そういえば言ってなかったっけ?僕、昔はこのチームに所属してたんだよ」

 

 

将也が何故この少年野球のチームの練習相手をしているか。

「ちょっと前にここをランニングしてたら、監督に会ってさ。腰を痛めたからしばらくの間監督代理として入って欲しいって」

 

少年時代の将也に野球を教えてくれた監督、安藤と偶然にも再会した将也は彼からの頼みを断れなかった。

聖都町が壊滅して多くの住人が死亡、行方不明になった中でも安藤は教え子達の行方を探し続けていた。

そんな中で再会を果たした将也は、安藤の頼みもあってかOBとしてチームに顔を出すことが多くなったのだ。

 

 

「もうすぐ大会だからね…キャロルの事件も一段落ついたし、こっちにも顔を出すことが多かったけどみんなには言ってなくてごめんね?」

 

 

 

 

練習が終わって荷物をまとめた少年達が帰っていくのを見送る中、マリアは将也を連れて少し離れた場所に来ていた。

「…マリア。大丈夫?」

「え?な、何が?」

グラウンドで見てからマリアの様子が少しおかしいと感じていた将也は彼女が何かを隠していると直感的に感じて連れてきた。

 

「なんとなく思ったんだ。マリア、辛そうな顔してたから」

そう言われ、マリアは驚いた表情になる。

 

 

「…そう。やっぱりわかっちゃうのね…」

隠し通したつもりだったが、どうやら将也には気づかれていたらしい。

 

 

 

「…ちょっと昔のことを思い出したのよ。私が、戦うことを躊躇ったせいで起きたことを…」

 

 

あれはまだマリア達が響達と敵対していた頃。

月の落下という事態を回避するためにアメリカ政府などを敵に回して活動していたマリア達だったが、彼女達は政府のエージェント達に追い詰められていた。

元々戦力はマリア、切歌、調の3人だけであり他のメンバーは母親として支えてくれていたナスターシャ教授と利害の一致から行動していたウェル博士だけであり、諜報や隠蔽工作などのプロがいない状況で逃げ切れるはずもなかった。

 

「あの時、私はガングニールの力を生身の人間に向けることを躊躇った…世界を救うと豪語していたけど、私は大義のために自分の手を汚す覚悟もなかったのよ」

マリアが躊躇った結果、ウェル博士が代わりにエージェント達の前に現れる。

彼はノイズを自在に操ることのできる完全聖遺物『ソロモンの杖』を持っていたのだ。

 

博士は一切の躊躇いを見せることなくノイズを召喚してエージェントを消滅させるが、その直後マリアにとって予想外の事態が発生する。

 

 

 

「エージェントの一人がノイズによって消されたとき、偶々近くを通りかかった子供が二人いたの。私はそれを止めようとドクターに叫んだけど、ドクターはその子達も…」

その時に襲われた少年達もまた、野球のユニフォームを着ていた。

 

マリアはその過去を思い出すたびに顔が青ざめていき、手も震えていた。

 

 

 

「マリア。もういいよ」

将也からしてみれば、無理に話そうとしているマリアを見ていられなかった。

 

「ごめん。君の気持ちも知らないで話を聞こうとして…」

マリアを悲しませてしまった自分に腹が立ちながらも、将也は彼女の涙をハンカチで拭った。

 

「ううん…これは、私が向き合わなきゃいけなかったから」

将也が指導していた少年達の姿は、マリアが救えなかった少年達と重なって見えたのだ。

 

 

「いつまでも、弱い私ではいたくない…」

先日の戦いで、マリアは自分の弱さを嫌というほど痛感した。

将也と心を通わせた響達は強化形態のイグナイトモジュールを使えるまでに成長し、マリア達との差は大きく広がった。

 

元よりLINKER無しではシンフォギアを纏うことすら困難だったマリアは先日の戦いの最中にLINKERが切れてしまい、途中で離脱を余儀なくされた。

そのこともあり、マリアは自分の弱さを捨てなければいけないと考えるようになっていたのだ。

 

 

 

 

 

「………僕は、マリアの求める強さが何なのか、まだわからない。でも、大事なことだけは忘れないで欲しい」

将也は立ち上がると、肩を軽く回す。

 

「大事なことって?」

 

「何でもかんでも、マリアは一人で背負う癖があるからね。だから………いつだってマリアの近くには僕達がいるってことを、忘れないで欲しい」

夕日が川原を紅く染める中、将也はマリアに対して手を伸ばした。

 

 

「辛い過去を、僕はマリア一人に背負って欲しくない」

「僕は、マリアの力になりたいから…」

 

将也にとってはマリアもまた、愛している女性。

だからこそ、辛い過去に苦しみ涙を流していたマリアを放っておくことはできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………貴方、そうやって翼達のハートも掴んできたのかしら?」

「え、ええ!?」

突然の言葉に動揺する将也だが、マリアは面白そうにクスクスと笑う。

 

 

「ふふっ。冗談よ♪」

将也の手を取って立ち上がったマリアは、すれ違いざまに将也の耳元に話しかけた。

 

「………ありがとうね。将也」

「え…?」

将也が振り返るが、マリアの顔は見えない。

 

この日、マリアは最後まで将也に顔を正面から見せることはなかった。

 

――――――――――

 

 

「マリア!将也先輩!」

「グラウンドの鍵、管理人さんに返してきました」

2人が戻ると、切歌と調は後片付けを終えてくれたらしい。

 

「そっか。2人ともわざわざごめんね?」

将也は時計を見る。

「そろそろ次に使う人が来るか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、カメラを持った高校生くらいの少年、さらにはライトなどの機材を持った少年少女達が歩いてくる。

その中にはマリア達が見知った顔もいた。

「「「パラド(先輩)!?」」」

「よお。また会ったな」

 

――――――――――

 

パラドから聞いた話によると彼らは所謂映画同好会で、パラドは特別に撮影に協力してくれているとのことだ。

 

「映画デスか!?どんなのを作ってるんデス!?」

切歌はカメラを持った黒髪の少年に聞く。

 

 

「今作ってんのは、施設に住んでる子供に見せるアクションヒーローものだな」

少年…『北村健太』は実際に撮影した映像を見せながら説明する。

 

「タク!ケンタ!時間もねえし撮影すんぞ!」

リーダー格らしき少年に声をかけられ、ケンタとタクと呼ばれた少年が準備を開始する。

 

「お疲れ様。撮影頑張ってね?」

「はい!」

元気よく返事をしたリーダー格の少年。

 

将也はパラドに対し先に帰ってると話すと、マリア達を連れて河川敷から去っていく。

 

 

 

 

 

 

その時、将也と一人の少女がすれ違った。

長い黒髪の少女はすれ違った将也をチラリと見て、首をかしげる。

 

「あの人…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イユー!撮影はじめんぞ!」

イユと呼ばれた少女は声をかけてきたリーダー…『長瀬裕樹』に返事をする。

「ちょ、ちょっと待ってよ裕樹!」

 

 

 

 

 

何の変哲もない映画同好会の少年少女達。

しかし彼らの存在が、この世界の命運を分けるとはこの時は誰も思いもしなかった…

 

 

To Be Next STAGE………

 




次回、シンフォギアエグゼイドは…

「私はもっと…強くなりたい!」
夏の海で起きる新たな戦い

「ごめんね…千翼」
機械仕掛けの少女の涙…

そして目覚める…
「イグナイトモジュール…抜剣!」
「ゼロ速。変身」
新しい力!

第28話 VACATIONで輝いて












GX編、最終章予告

キャロルとの戦いは…まだ終わっていない
「この世界を、壊してやる!」
奇跡の殺戮者、復活

「お父…さん…?」
響に、最大の試練の時が迫る!

「あなたが例え響の父親だったとしても…あいつを傷つけるなら俺はあなたを許さない!」


「私は…もっと強くなりたい…!」

「今の自分を超えるために…」
「調と、先輩達と一緒に、強くなる!」
装者達は、新たな試練を乗り越えることができるのか!?


「本当は気づいてたんだ…父さんの気持ちに…」
そして千翼は…

「父さん…母さん…イユ………」

「ごめん…まだそっちにはいけないよ」
ついに覚醒の時!

「錬金術師キャロル・マールス・ディーンハイム!」

「お前の運命は…俺達が変える!」
キャロルが全てを燃やし尽くす時…絶望は希望に変わる!


《マキシマムマイティ!エーックス!》
《ハイパー・ムテキ!》

「ハイパー…大変身!」

戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士
GX編最終章 奇跡を願ったENDING

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