戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士 作:狼牙竜
仮面ライダージオウ、始まりましたね。
かなりハイスピードな展開に驚きましたが、これから一年間が楽しみです。
次回の話で第2章は終了し、シンフォギアGX後半のストーリーに入る予定です。
感想、評価が作者の原動力となります!
前回までのあらすじ
錬金術師キャロルとの決着をつけるべく、長野県の九郎ヶ岳遺跡に訪れた将也達。
二手に分かれて戦闘を続けていたエグゼイド達だが、キャロルの圧倒的な力に響、翼、クリスは大苦戦。
しかし、少し前にイグナイトモジュールの発動を妨げていた原因を将也が突き止めており、彼の激を受けて響達はついにイグナイトモジュールを発動させるが…
―――――――――
「「「アアアアアア!?」」」
今までにない苦痛に悶え苦しむ響達。
彼女達の内にはとてつもない破壊衝動が渦巻いていた。
全てを破壊したいと叫ぶ心の闇は真っ黒いオーラとなって3人の体を包む。
「覚悟してたけど………やっぱり、キツすぎる…!」
アームドギアが勝手に禍々しい形の銃へと変形し、それを必死に押さえ込もうとするクリス。
「身体と心、両方を蝕んでくる…これが、私の心の闇…?」
視界が真っ赤に染まり、激しい頭痛に苛まれる翼。
「こんなところで…終わらない!絶対に………ウアアッ!?」
破壊衝動に抗おうとする響だが、より強くなった破壊衝動に意識を奪われそうになる。
「響っ!?」
見るからに危険な状態に陥った響を見て、未来は悲痛な声を上げる。
「響ちゃん達のバイタル、以前と同じく危険域に達しています!」
本部ではすでに3人の状態があの時と同じ状態と示していた。
響達も抗おうとするも、強すぎる衝動は3人の意識を奈落の底へと沈めていった。
その中で、弦十郎だけは金色の粒子が響達の体へと入っていくのがハッキリと見えた。
「………頼んだぞ。宝条君」
―――――――――――
「………っ…!」
真っ暗な空間。その中で響は目を覚ます。
「…ここは…?」
ふと気が付くと、自分の服装がガングニールのギアを纏った姿ではなく中学時代の制服を着ていることに気がついた。
「痛っ!?」
突然どこからか何かを投げつけられる響。
ぶつかった物を確認すると、それは何の変哲もない小石だった。
「お前…何でお前なんかが助かってんだよ!」
どこからともなく聞こえてきた罵声に、響は無意識に肩を震わせる。
「え……?」
あちこちから聞こえてくる罵倒の言葉。
響の運命を変えた、ツヴァイウィングのライブで発生したノイズによる災厄。
あの事件がキッカケで響はガングニールの装者になったのだが、彼女にとってあの事件はほんの始まりに過ぎなかった。
かつて災害として認知されていたノイズ。しかしノイズに関する災害は機密に触れるようなものが非常に多く、世間にはノイズ災害の詳細が明かされることはなかった。
だがそれが災いし、一部で生存者が他の被災者を犠牲にして助かったのではないのかという根拠のない憶測が世間を飛び交ってしまい、生存者が激しいバッシングを受けてしまった。
響もまたその被害者の一人であり、度重なるイジメによって彼女の精神は追い詰められ、父親も家族の前から姿を消してしまう。
未来が支えていなければ、響の性格すらも今とは大きく変貌していた可能性すらあったこの事件こそ、ダインスレイフによって映し出された、立花響の心の闇そのものだった。
『許さない…僕達はもう明日を生きることもできないのに!』
『何で貴女が生き残ったの?』
『今でも笑いながら生きているなんて、ふざけるな!』
同級生だけでなく、大人の姿をした影も響を取り囲み罵声を浴びせてくる。
すると、響の前にどこか彼女に似た顔立ちの男が現れる。
「……お父…さん…?」
そこにいたのは、響が最後に見た父親の姿。
しかし、父はにこやかな笑顔のまま響に告げる。
「響………どうして、お前は死ななかったんだい?」
「え……?」
父は貼り付けたような笑顔のまま、響を蹴り飛ばす。
「ぐっ…!?」
蹲る響に対し、父は響の髪を掴む。
「お前が生き残ったせいで、お父さんは仕事をクビになったんだよ。向こうのお偉いさんの家族が死んで、お前が生き残ったのがよっぽど頭にきたんだろうね」
記憶の中にある、優しい父の笑顔。
しかし、今受けている暴力はこれまで響にとって経験したことはなかった。
「お前のせいで、お父さんの人生も滅茶苦茶にされたんだよ!だから…今度こそ死んでくれよ?」
周りからの罵倒はまだ耐えることができた。
今の自分には未来だけでなくかけがえのない人達がいるから。
だが、父親の罵倒と暴力は今までにないほど響の心にダメージを与えていた。
「ごめんなさい……お父さん…ごめんなさい…!」
体と心に走る激しい痛みに、響はただ涙を流すしかなかった…
――――――――――
一方、この苦しみを味わっていたのは響だけではなかった。
「これは…!?」
翼が立っていたのは、ライブ会場。
しかし、彼女の周囲を取り囲む観客は殆どが人間でなくノイズとなっていた。
すると、真横で何かが崩れる音が聞こえる。
「っ奏!?」
崩れ落ちたのは、翼のかつての相棒、天羽奏を模した人形。
だが、今の翼にはその人形が本物の奏に見えた。
「奏!しっかりして、奏!」
翼が奏を起こそうとするが、奏の人形はさらに崩れてしまう。
その光景を見て、観客のノイズ達はまるで人間のように歓声を上げた。
最初、記憶が曖昧になっていた翼はこのライブ会場で歌っていた。
しかし、歌が進めば進むほど観客はノイズへと姿が変化していく。
それはまるで、翼の歌が『戦場で相手を殺すためだけの歌』と示しているかのような光景だった。
それでもなお歌い続ける翼の横で、奏の体が切り裂かれたかのように崩壊し、人形となっていく。
「お前は、私の娘ではない」
ふと後ろから聞こえたのは、彼女にとって大事な人の声。
「お…お父様?」
振り返った翼は、自らの体躯が幼い姿になっているのに気づくことがなく父親の姿を見ていた。
「貴様は、あの男の血を引いたおぞましい化物だ」
翼の父は、翼に対しまるで汚物を見るかのような目で見る。
「どこまでも汚れた風鳴の道具が。その歌も所詮、風鳴にとって都合のいいモノにすぎない」
「ま、待ってください!お父様!」
必死に追いかけ、父の服の袖を掴む翼だが次の瞬間、父は険しい顔で翼を払い除けた。
「触れるな!もうお前とは親子でもなんでもない!さっさと私の前から消えろ!」
そう言い残し、父は翼の前から姿を消した。
自分の歌は人を傷つけ、周囲を不幸にする呪いの歌。
そんな考えが浮かび、翼の防人としての魂を、そして一人の歌姫としての風鳴翼の心を少しずつ侵食していったのだった。
――――――――――
クリスもまた、眼前に広がる絶望の世界に絶句していた。
「どうして…何でこうなんだよ!?」
クリスの立っていた場所は、瓦礫の山。
しかしその場所は、彼女にとって大事な場所…リディアンの校舎だったのだ。
クリスの視界に広がっていたのは、完全に崩落した自分の居場所。
大事な友達と出会い、過ごしていたかけがえのない場所が失われていた。
そしてクリスが腕に抱いていたのは、全身が引き裂かれ無惨な姿になった調。
切歌の姿が見えず周囲を見たクリスは、そこで更なる絶望を目の当たりにしてしまった。
グシュッ……バキッ……グチャッ……
何かを噛み砕くような、不気味な音が聞こえる。
そこに立っていたのは、二足歩行のオオカミのような怪物。
怪物は抱えていた『誰か』の腹を食い破っていた。
「ハアァ…ヤッパリ、オ前の大切なオんなハウマいよ…クリス」
怪物の正体は、オオカミアマゾンに変異した俊明。
彼が食べていた人物…影からわずかに見えた金髪で、クリスは誰が食われていたのか知ってしまった。
「あ………ああ……アアアアアア!!」
オオカミアマゾンは満足したのか食っていた死体…切歌をそこらに投げ捨てる。
戦火の中を生き延びてきたクリスにとって、この『崩壊の景色』はかつて当たり前の光景だった。
惨たらしい死体を幾つも見て、自分が生き残ってこれたことを奇跡とすら思えた。
人の命があっさり散っていく姿を何度も見ていたクリスは、何気ない日常というものがどれだけ大切なものなのか知っており、大切にしている。
一緒にいたいと思える相手が増えたことで、あの優しく暖かい時間がいつまでも続いて欲しいと願っていた。
だが、これまでのトラウマ故か心にはいつも小さいながらも不安が見えていた。
この日常が崩壊するのではないか?大事な人達がいつの間にか命を落としてしまうのではないかと。
そして、その原因は非日常から迷い込んだ自分によってもたらされるのではないかと、クリスはいつも心の奥底で怯えていた。
「そうだよ。君は優しい世界に生きていてはいけないのさ」
いつの間にか、クリスの前には変身を解いた俊明が立っている。
「君は存在するだけで周囲を不幸にする。いつだって君だけが生き残り、周りの人間は皆君の身代わりとして死ぬ。そういう運命なのさ」
俊明の言葉にクリスは座り込み、叫んだ。
「何で…何でいつもそうなるんだよ!?いつもアタシだけが助かって…どうしてアタシの大切な人が死ななくちゃいけないんだ!?」
両親、親友と大切な人が次々と死んでいったことでクリスは自分だけが生き残った事への負い目が深くなっていた。
無意識のうちに自らを蔑ろにしようとしていたクリスの心の闇は、彼女を蝕んでいた。
3人の心を覆い尽くす闇は、着実に彼女達の心と命を喰らおうと牙を剥いていた。
――――――――――
いつの間にか真っ暗な空間に倒れこむ響達だが、3人の前に響の父、翼の父、俊明の姿を借りていた『赤黒い巨大な影』が一つに融合して現れる。
巨大な影は不敵に笑いながらその手で3人を叩き潰そうとし…
金色の光によって影の腕が切断される。
「響!翼!クリス!」
「「「!?」」」
3人が顔を上げると…
「ギリギリ、間に合ったみたいだな」
ガシャコンキースラッシャーを持ったエグゼイドが立っていた。
「将也…君?」
響達は目の前に立つエグゼイドの正体に気が付き、エグゼイドはガシャットをベルトから抜いて将也の姿に戻る。
「3人とも。まだ戦いは終わってないよ」
厳しい目で3人を見る将也だが、響達は先ほどまでの光景を目の当たりにしたせいか、完全に戦意を喪失していた。
「ごめん…私は…」
響の脳裏によぎるのは、あの日の悪夢。
「今の私は、あの過去にすら勝てない…」
「また大事な人がいなくなるかもしれないって考えると…手が震えちまうんだよ…」
翼とクリスですら、これまでの凄惨な心象世界に心を折られかけていた。
が、それを見かねた将也は再びゲーマドライバーを装着して3人に近づいて…
「目を覚ませ!響達はずっと戦ってきたんだろ!だったら、これからも戦おうよ!」
将也の言葉に顔を上げた響達。
そこには、まっすぐな眼差しで響達を見つめる将也の顔があった。
「みんなの辛い過去を、変えることができたらって俺は何回も思ったよ…だけど、過去を変えることはできないし、それを受け入れて前に進むしかない。それでも、響は、翼は、クリスは!何があろうと自分の信じる道を進み続けてきたじゃないか!」
「守れないことだってあったし、失敗することだってあった!だけど、響達はいつだって諦めないで進み続けてきた!それは決して間違いなんかじゃないよ」
響達の脳裏に、将也とこれまで戦ってきた日々がよぎる。
心に傷を負った将也の心を救ったのは、手をとることを決して諦めなかった響達のおかげでもあるのだ。
「誰かの痛みを、苦しみを理解して手を差し伸べられるような響達が…弱いはずはないんだ!」
その言葉に、響達の目から涙が溢れる。
「もし響達の想いを邪魔する敵がいれば、その時は…」
将也は響達に背を向けると、その姿は見たことのないエグゼイドに変わった。
どこかゲムデウスクロノスに似た外見で、上半身に白い装甲を纏ったエグゼイドはドライバーにセットされていた白いガシャットをキメワザスロットホルダーに装填。
《ガシャット!カミワザ!》
バグヴァイザーツヴァイと同じタイプの音声が鳴り、エグゼイドは眼前に迫る怪物に対し両手をまるで扉を開くかのように振る。
すると、巨大な槍が出現してエグゼイドは槍を掴み、ホルダーのスイッチを押した。
《マイティ!クリティカルストライク!》
『MIGHTY・CRITICAL・STRIKE!』
虹色に輝く槍を、エグゼイドは怪物めがけて投擲する。
「ハアアアアアアア!!!」
エグゼイドの放った槍は怪物を貫き、完全に消滅させた。
「………す、すげぇ…」
クリスが驚いている中、エグゼイドは着地して響達に向かい合う。
「大丈夫。響達も、自分を信じて…最後まで自分の道を進んで」
足元から消えていくエグゼイドだが、響達はそれが何を意味するのかわかった。
「将也…わかったよ」
「ああ…必ず…!」
「ありがとう…だから、次は現実で!」
その言葉に満足したのか、エグゼイドは頷くと姿が消える。
そして、彼の残した3本のガシャット…響達との絆によって誕生したシンフォギアガシャットが強く輝き、3人の意識は現実世界へと引き戻されていった。
――――――――――
「お願い!目を覚まして、響ィ!」
司令室では未来が呼びかけるも、黒いオーラに包まれたまま響達は反応しない。
本部の通信システムではギアへの介入もできず、万事休すかと思われたその時…
『こちら宝条!聞こえますか!』
通信に入ったのは、響達と一体化していた将也だった。
「宝条君!君が連絡をしてきたということは…」
『はい!3人に仕込まれていた催眠システムの除去に成功しました!』
将也の言葉に、司令室が騒然となる。
「し、司令!3人のバイタル…安定してます!」
朔也の言葉に驚く弦十郎達。
ついさっきまで危険な状態だった響達のバイタルが、安定を始めていた。
さらに、3人のフォニックゲインが急速に高まっていく。
その中でエルフナインは何が起きるのかハッキリとわかった。
「響さんと翼さんとクリスさん…3人が将也さんとシンフォギアガシャットで精神的にリンクしたのはこのためだったんです…」
「心の闇を完全に乗り越えた先にある力を手に入れるために、将也さんは無意識のうちに響さん達にダインスレイフの力だけを与えていた。全ては、完全に使いこなせるようにするために!」
「「「うあああああああああ!!」」」
3人の叫びは、さきほどまでの苦しみに満ちた声ではない。
その叫びに応えるかのように、3人の胸に黒い紋章が浮かび上がる。
黒い紋章によって3人のギアはより刺々しい攻撃的なデザインへと変わり、黒をベースとした形へと変化。
「はあああ…テヤアッ!」
最初に降り立ったのは響。
黄色やオレンジといった彼女のベースカラーは引き継いでいるものの、パーツのあちこちが鋭利になっている。
マフラー部分まで黒に変化したギアは腕に装着されたガントレットがやや小型化されていた。
「ハアアッ!」
翼もまた、変化前とは色調が異なる姿のギアを纏った。
アンダースーツ部分が蒼になってはいるものの、変化前と比べて黒に近くなっている。
響との相違点は、肩や腕部分の装甲が少なくなっており、翼の持ち味でもある機動性を重視した形へと変わっていた。
「ハッ!」
クリスのギアも、白い部分が黒く染まっている。
響達と比べてまだ原型が多く残っているが、血のようにさらに赤くなったパーツが攻撃的な印象を強めていた。
シンフォギアガシャットに頼らず、自らの意志でパワーアップを果たした3人。
それを示すかのように本部のモニターにその力を表す文字が表示された。
「《IGNITE》…」
朔也は、表示された文字を口にする。
「これが…シンフォギアの新しい力…!」
あおいもまた、響達の姿に驚きを隠せない。
――――――――――
一方、ゲームエリアでは…
「ブェフェァ!」
デッドの攻撃に圧されている、切歌と調。
「このゾンビ、前より攻撃が重いデス…!」
「私達じゃ、不利かな…?」
アマゾンネオとアナザーパラドクス相手に、マリアとパラドクスも苦戦を強いられている。
そして…
「ぐああああ!?」
パラドクスはアナザーパラドクスのアッパーをくらい、変身が解除される。
「パラド!っ!?」
パラドに意識を向けたマリアだが、突然胸の痛みを覚える。
「まさか…LINLERが切れた…?」
力が抜け、ギアの出力が弱まっていくことを感じ取るマリアだがアナザーパラドクスは容赦しない。
《ノックアウト!クリティカルスマッシュ!》
マリアは咄嗟にガードするも、アナザーパラドクスの強烈なパンチをくらい、吹き飛ばされる。
「「マリア!!」」
空中で変身が解除されたマリアは、痛みを堪えるために目をギュッとつぶるが…
「………え?」
突然、誰かに抱えられた。
「…遅くなった」
目を開けると、そこにいたのはゲーマドライバーを装着した将也の姿。
「「将也先輩!!」」
切歌達が叫ぶが、デッドは2人めがけて攻撃をしようとする。
「2人とも、しゃがんで!」
将也の言葉に慌てて2人がしゃがむと、将也はガシャコンキースラッシャーでデッドを攻撃。
マリアを降ろすと、パラドと切歌、調が駆け寄ってくる。
「将也!響達は?」
「問題ない。イグナイトも成功したし、『こっち』も調整ができた」
将也は銀色の大きなガシャットとゲーマドライバーを取り出し、ドライバーをパラドに渡す。
そう。将也が響達と一体化した理由の一つはこれだった。
キャロルとの闘いを制するのに必要だったガシャットとパラドのゲーマドライバーは、膨大な力を得ることで完成するものだった。
響達がイグナイトモジュールを制御することは、将也達にとってもパワーアップに繋がる鍵だったのだ。
「マリア、切歌、調…後は、俺達2人に任せてくれ」
迷いながらも小さく頷いた3人。
もはやLINLERの効果が切れる寸前まで戦ってくれた彼女達に感謝の想いを持った将也は、パラドと並び立つ。
「お前…ゲーマドライバーを?」
アナザーパラドクスは、パラドがゲーマドライバーを装着したことに疑問を持つ。
「ああ。俺達のゲームは、ここからが本番さ」
将也は銀色のガシャットを眼前に構え、一筋の風が将也の髪を揺らす。
「行くぞ…パラド!」
「おう!」
《マキシマムマイティ!エーックス!》
起動音声が鳴り、将也の背後にゲーム画面が開く。
《デュアル・ガッシャット!》
パラドはゲーマドライバーにガシャットギアデュアルを装填する。
「「お前達の運命は………俺達が変える!!」」
力強く宣言する将也とパラド。
パラドは体の重心を左に寄らせ、右手を上、左手を下にする形で腕をクロスさせる。
将也はガシャットを手に持って正面でXの文字を作るかのようにクロスさせ、2人は同時に叫んだ。
「「マックス大変身!!」」
《マキシマム・ガッシャット!》
パラドは叫びながら腕を旋回し、将也はガシャットをドライバーに装填して同時にレバーを開く。
《ガッチャーン!レベルマァァックス!》
《ガッチャーン!マザルアーップ!》
2人の周囲にセレクトパネルが出現し、将也は正面に出現したエグゼイドを、パラドはレバーを開いた時に真横に伸ばした右手で新しく解放されたパネルを選択。
最初に変身したのはエグゼイド。
《最大級のパワフルボディ!ダリラガン!ダゴズバン!》
独特な歌が流れる中、エグゼイドの顔を模した巨大なメカ『マキシマムゲーマ』が浮遊する。
マキシマムゲーマの存在を確認したエグゼイドはガシャットの上部についていたボタンを押し込む。
「ハッ!」
ボタンを押したエグゼイドが飛び上がると、マキシマムゲーマに体が収納される。
《マキシマムパワー!エーックス!!》
右腕、左腕、両足とパーツがマキシマムゲーマから伸びて、エグゼイドの頭がゲーマの上部から出現。
最大級のパワフルボディの名に恥じない、新しく姿へとエグゼイドは変身を完了した!
続いてパラドクス。
パズルゲーマーとファイターゲーマーのデザインが組み合わさったゲートをくぐり、パラドの姿は今までと異なるライダーへと変身する。
《赤い拳強さ!青いパズル連鎖!赤と青の交差!パーフェクトノックアーウト!》
その姿は、今までとは全く異なる姿へと変貌していた。
青いパズルの模様と赤い炎の模様が混ざり合ったボディに、下半身には赤い前垂れが追加。
仮面のデザインはエグゼイドやゲンムに似たデザインへと変化し、胸にはライダーゲージが表示される。
「あれは…エグゼイドと、パラドクス?」
新しい姿に変身した2人に、マリア達は困惑を隠せない。
「でも、あの姿…」
「映像に出てたデスよね…?」
過去の映像に出ていた、姿と瓜二つになった2人は並び立つ。
「仮面ライダーエグゼイド…マキシマムゲーマー!」
「仮面ライダーパラドクス…パーフェクトノックアウト!」
力強く宣言した2人は、同時に名乗る。
「「俺達のレベルはマキシマム………レベル
――――――――――
イグナイトモジュールを発動させた響達は、突然体中に暖かい力が流れ込んでくるのを感じる。
「これは…イグナイトの力だけじゃない?」
「将也の力も…いつだって我々と共にある!」
「みんなと掴んだこの力で…大事なものを守り抜いてみせる!」
闇を超えた3人の確固たる決意に、僅かながらキャロルは後ずさる。
「…面白い。それが貴様らの本気というわけか!」
キャロルが指を鳴らすと、無数のテレポートジェムが降り注いで数百ものアルカ・ノイズが出現。
「将也さんとの絆によって解放されたイグナイトモジュールには、僕の想定を超えた力が込められているのかもしれません…」
エルフナインは、響達とエグゼイド達の姿をジッと見つめていた。
「今の響さん達と将也さん達なら…絶対にキャロルの野望を打ち砕けるはずです!」
エルフナインの言葉が引き金となったかのように響達はアルカ・ノイズめがけて走り出し、エグゼイドとパラドクスもまた眼前の敵と刃を交えた。
To Be Next GAME…
次回、シンフォギアエグゼイドは!
「全てを終わらせる!今、ここで!」
錬金術師キャロルとの戦い、ついに決着!?
「見せてやる!マキシマムの切り札をな!」
「お前だって…仮面ライダーだろうがあああ!!」
ダブルライダー、最強の力を振るう時!
そして…
「お前はもはや用済みだ。ダウルダブラ」
第26話 最悪のBAD END
「何で………何で俺達は生きてちゃダメなんだアアアアア!?」