戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士   作:狼牙竜

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お待たせしました、第25話前編です!
少し長くなったので、今回は前後編に分けて投稿します。


仮面ライダービルド、ついに終わりましたね…
平成1期で見られたタイプの終わりなので驚きましたが、ここからどう平成ジェネレーションズにつなげていくのか…?

次回作、仮面ライダージオウにも期待です!

感想、評価が作者の力となります!


第25話 抜剣のJOKER!(前編)

クリスとの絆で誕生した第3のシンフォギアガシャットを起動させてから2日後。

将也は数時間前に行った装者6人の精密検査の結果を確認していた。

 

「………」

真剣な表情でカルテを見つめる将也。

 

「やっぱり…だとしたらどのタイミングで…?」

何かに気づいた将也は、部屋にかけてあった内線電話を取る。

「もしもし?司令ですか?実は…」

将也は弦十郎に電話して、『ある映像データ』を受け取る。

そして、その映像を繰り返し見ているうちに…

 

 

 

 

「やっぱり、僕の考えは当たっていたのか」

将也は、自分の仮説が当たっていたことを確信する。

 

 

 

「ようやくわかったよ。響達の成長を阻害してた奴の正体が」

そう呟く将也の横には、6人分のガシャコンギアシンフォニーが置いてあった。

 

 

――――――――――

 

 

チフォージュ・シャトー。

 

「…メタルアヴェンジャーも敗北したか」

ゲムデウスから与えられた最後のバグスター、メタルアヴェンジャーも敗北し、キャロルは今後の計画を考えていた。

 

「…マスター。先ほど、デッドの復元が完了いたしました」

ファラの報告を受け、キャロルは手駒となるバグスターを確認。

「そうか…これなら…!」

くっくっく…と笑うキャロルは玉座から降りる。

 

 

「頃合か…ならば、答えは一つ!」

修復を終えたダウルダブラを持ったキャロルは自動人形達を起動させた。

 

 

「これより、オレは装者達との決戦に向かう!」

 

――――――――――

 

「メタルアヴェンジャーに勝利してから二日、錬金術師達に動きはありま

せん」

「連続でバグスターを出したから、向こうも打ち止めになったんじゃないですか?」

司令室で繰り広げられる会話を聞き流しながら、弦十郎は昨晩将也から伝えられた言葉を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「S.O.N.Gに…内通者がいる!?」

将也に呼び出され、彼の研究室に赴いた弦十郎は彼から衝撃的な事を聞いた。

 

「…何故、そう思った?」

弦十郎の問いに将也はかけていた伊達メガネを外し、自らの仮説を口にした。

 

「最初に疑問に思ったのは、先日僕がトーテマゲンムに変身したときでした。あの時現れたガリィが口走った言葉がキッカケです」

先日の戦いで現れたガリィは、立ち去る直前にある言葉を口走った。

 

『マスターの言ってたトーテマゲンムの戦いも見れましたし、今日はこのまま帰りま~す!』

 

 

「奴の言い方だと、キャロルはトーテマゲンムの存在を知っているということになりますが、本来それはありえないんです。俺がトーテマゲンムに変身したのはあれが最初ですし、この事は響達にも話していません」

そう。この世界でトーテマゲンムの存在を知っている人物は限られており、弦十郎ですらその存在を知らなかったのだ。

 

「なるほど…」

「それに…根拠はほかにもあります」

将也は後ろの棚から俊明がかつて使っていたダミーゲーマドライバーを取り出す。

 

 

「このドライバーに使われている技術は、以前緒川さんに貸したゲーマドライバーライトにしか搭載していないシステムが流用されているんです」

元々ゲーマドライバーは檀黎斗が制作したもので、将也が使っているのは彼の記憶をベースにパラドがコピーしたもの。

 

 

だが将也はその記憶をベースに新しいドライバー…ゲーマドライバーライトを作り出した。

が、ダミーゲーマドライバーとゲーマドライバーライトは構造がそっくりだったのだ。

 

「ゲーマドライバーライトは変身者をバグスターウイルスから守るための特殊なフィルターが内部に組み込まれています。これは従来のゲーマドライバーには搭載されていない機能です」

ドライバーを弦十郎に見せた将也は説明を続ける。

 

「だけど先日、ダミーゲーマドライバーを分解したところ似たようなシステムが入っていました」

次に見せたのは、ダミーゲーマドライバーの内部構造。

 

「内部にはフィルターの代わりにガシャット内部のウイルスを高速で培養するシステムが入っていましたが、これは僕が作ったフィルターとほぼ同じなんです」

ガシャットのバグスターウイルスを一度抑えるのはどちらのドライバーも変わりないが、ライトがウイルスを限界まで封じる設計なのに対し、ダミーは一度抑えたウイルスをより高濃度に培養する仕組みとなっている。

 

 

「そうか…このドライバーは君が直接設計したもの。だが向こうはこの技術を使って偽のドライバーを作った」

「ええ。通常のゲーマドライバーを人間が使うには、使い手がバグスターウイルスの抗体を持つことが前提です。だけど抗体を得る人間は中々出てこない」

 

 

従来の病と同じように感染者の体に抗体が作られていれば、永夢達が対応した患者は皆仮面ライダーへ変身できる力を持っていてもおかしくない。

だが、バグスターウイルスへの抗体は中々体に作られることはないらしく、永夢達以外にライダーの適合者になった人間は出なかった。

 

 

 

「仮に向こうがゲーマドライバーを創る技術を有していても、適合者をそう簡単に見つけることはできない。ですがこのフィルターシステムを応用できれば…」

「向こうもまた仮面ライダーを作れる…ということか」

 

「はい。だから僕はこの技術を外部に漏らさないようにしてたんですが…」

どこからか情報が漏れて、この技術はキャロル達に伝わってしまった。

 

 

「だとしたら、これから先鴻野俊明のように仮面ライダーが…」

 

「おそらく…キャロルの手元に有るプロトガシャットは5本。その中で変身に使えるのは2本だけです。だけどこのフィルターを作るにはかなりの手間がかかりますし、なによりドライバーがプロトガシャットの大きな負担に耐えられるとは思えません」

実際、将也がダミーゲーマドライバーを分解してわかったのだが増幅装置はたった3回のプロトガシャット使用でボロボロになっていた。

「なるほど…そうなるとあのドライバーが出てくる可能性は…」

「限りなく低いと考えられます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(このS.O.N.Gに内通者がいる。だが…)

弦十郎にはその内通者が誰なのか大体の見当はついていた。

トーテマゲンムの存在を知っていた人物。

 

そしてゲーマドライバーライトの情報を盗むことの出来た人物は将也以外にただ一人…

 

 

(…監視を強化しておくべきだな。確証を得られないうちは)

 

そんなことを考えていると、緊急警報が鳴った。

 

 

―――――――――――

 

「おいオッサン!一体何があったんだよ!」

司令室に集合する装者達。

 

 

「…ついに、ラスボスのお出ましらしい」

将也が示す先に映っていたのは、無数のアルカ・ノイズを引き連れたキャロル。

 

 

「現場は、長野県の九郎ヶ岳遺跡だ」

長野県に存在する謎多き遺跡。

キャロルはそこでケリをつけるつもりらしい。

 

 

「どっちみちやらなきゃいけないんだ…だったら、ここで終わらせよう」

将也は持っていた白衣を広げ、袖を通す。

「それもそうだ。いい加減あいつらとはケリをつけないとな」

「これ以上、被害を出さないためにも!」

クリスと翼の言葉に頷く装者達とパラド、将也。

 

「行くぞ!」

将也を先頭に、7人が後に続いた。

 

 

――――――――――

 

九郎ヶ岳遺跡。

その入口でキャロルと千翼、アナザーパラドは『彼ら』が来るのを待っていた。

キャロルは、周囲に展開した数百を越えるアルカ・ノイズを横目に見ていたが、空から聞こえた微かな音に顔を上げる。

 

 

「…ようやく来たか」

キャロル達の視線の先には、8発のミサイル。

それらは全て空中で分解されると、内部から8人の『相手』が出てきた。

 

 

「キャロルちゃん…」

ガングニールを纏った響がキャロルを見つめる。

 

「待っていたぞ。今宵、全てを終わらせるとき…!」

キャロルはダウルダブラを取り出すと、弦を弾く。

今まで集めてきた想い出の力でダウルダブラが起動し、キャロルは大人の姿になりながらファウストローブを纏った。

 

 

 

「万象黙示録を完成させるために、オレの悲願を阻むキサマらをここで葬ってやる!」

力強く宣言するキャロルを前に、将也がゲーマドライバーを装着する。

 

「世界の分解…そんなこと、させるか!」

《マイティアクション!エーックス!》

 

パラドも力強く頷き、ギアデュアルのダイヤルを回転。

《PERFECT PUZZLE!》

 

将也とパラドはそれぞれの構えを取り、叫ぶ。

 

「「変身!」」

《レベルアーップ!》

《デュアルアップ!》

 

《マイティマイティアクション!エーックス!》

《PERFECT PUZZLE!》

 

2人はゲートをくぐり、エグゼイドとパラドクスに変身を完了する。

 

「今の世界を破壊させないために…!」

「テメェら全員、ここでお陀仏だ!」

翼とクリスがアームドギアを握り締め…

 

「今までの借り…」

「50倍返しデース!」

調と切歌が力強く宣言し…

 

 

「大事な人達が守り抜いた世界を…今度は私達が!」

「絶対に手出しなんて…させません!」

マリアと響がエグゼイド達と並び立ち…

 

 

 

 

 

「ノーコンティニューで、クリアしてやるぜ!」

「おう!」

エグゼイドがいつものポーズをとり、パラドクスがハイタッチをして全員が走り出した。

 

 

――――――――――

 

 

無数のアルカ・ノイズが襲い掛かり、アナザーパラドと千翼もそれぞれの変身を行う。

 

「変身」

「アマゾンっ!」

アナザーパラドクスとアマゾンネオがエグゼイドとパラドクスに飛びかかり、エグゼイドはすかさずキメワザスロットホルダーのスイッチに手をかける。

 

「響!手はず通りにお前達はキャロルを!」

「わかった!将也君も気をつけて!」

エグゼイドは頷くと、ホルダースイッチを押す。

 

《ステージ・セレクト!》

エグゼイドの周囲にいくつかの風景が映し出された映像が出現し、エグゼイドはその中から自然公園を選択。

 

すると、エグゼイド達ライダーだけでなく無数のアルカ・ノイズやマリア、切歌、調まで姿を消した。

 

「なるほど。貴様らがオレを倒す計画だったということか」

「ああ…今の私達は、あの時とは違う!」

将也と出会ったあの日、響達はキャロル一人に完膚なきまでに敗北を喫し、挙句の果てには切り札だったイグナイトモジュールを使いこなせずに戦闘不能になってしまった。

 

だが、幾度となくバグスター達と戦ったことで響達の地力は大幅にアップしている。

 

「っ!」

一気に走り出す響達。

キャロルは鋼糸を伸ばして攻撃するが、響はそれをスライディングで躱してキャロルに接近。

 

「ハアア!」

拳を振るうが、キャロルは防御の魔法陣で響の攻撃を防ぐ。

 

「その程度で!」

キャロルの右手に風が集まり、まるで剣を振るうかのようにキャロルが右手を振り抜くと風の刃が響を襲う。

 

「立花!」

翼が叫ぶと、響は咄嗟に後ろに下がる。

 

 

 

「今の技って…!」

響は、キャロルの使った技に見覚えがあった。

以前将也と戦ったアマゾンネオの使うアマゾンブレイドによる斬撃を、キャロルはダウルダブラを使うことで再現したのだ。

 

 

 

「お前達があの男の力を扱えるように、オレも千翼の技をある程度は模倣できる。近接戦では中々便利な技だからな?」

右腕が輝くと、今度は土のエレメントの力を使いキャロルはより鋭い剣を作り出す。

 

 

「ハアッ!」

響に攻撃するキャロルだが、今度はクリスが間に入り込み剣をボウガンでガード。

 

《ジェット・コンバット!》

「スリーバレット!」

コンバットゲーマが出現するとキャロルを攻撃し、クリスはすかさずゲーマと合体する。

 

「くらえ!」

ガトリングを構え、上空から撃つクリスだがキャロルは落ち着いて次の行動に出る。

 

「ふんっ!」

土のエレメントと火のエレメントでキャロルは炎を纏った弾丸を発射。

 

「この技は…!」

レイアのコイン弾丸とミカの炎をアレンジした技だと気づいたクリスはすぐさまその場から離れる。

 

「雪音!」

翼は二刀流で攻撃するが、キャロルは軽々と魔法陣で翼の刃を防いだ。

 

 

 

 

「この程度で…オレに勝てると思ったか!」

キャロルは自身の周囲に鋭い氷の山を作り出し、響達を遠ざける。

「今のオレの全力、貴様らに受け止められるものか!」

 

――――――――――

 

 

自然公園にステージを移したエグゼイドは、不死身の力を持つデッドと戦っていた。

 

「このっ!」

レベル3に変身したエグゼイドは強化アームでデッドの顔面を粉砕するも、1秒ほどで修復されてしまう。

 

 

「こいつ…前回よりも格段に再生速度がアップしてやがる!」

それなりに時間をかけて再生しただけあり、強さも以前とは比べ物にならなかった。

 

「マリア!ここは私達に任せて…」

「先輩達の援護、お願いするデス!」

アルカ・ノイズを相手に戦っていたマリア達だが、デッド相手に苦戦を強いられるエグゼイドを見て切歌と調がマリアに言った。

 

「2人とも…わかったわ!」

マリアがパラドクスの方に向かったのをチラリとエグゼイドは横目で見る。

 

 

「マリアが行ったか…なら、こっちも!」

エグゼイドはギアデュアルβを取り出し、ダイヤルを回す。

 

《TADDLE FANTASY!》

「術式レベル50!」

ガシャットをベルトに装填し、レバーを開く。

 

《レベルアーップ!タドルファンタジー!》

出現したセレクトパネルからブレイブを選択し、将也はブレイブ・ファンタジーゲーマーに変身。

 

「タドルファンタジーの特殊能力無効化で奴の不死身の力に干渉できるか…?」

 

試したことはないが、何もしないよりはマシだと判断したブレイブはガシャコンソードを構える。

 

――――――――――

 

 

「ウガアアアアア!」

雄叫びをあげながらブレードを振り下ろしてくるアマゾンネオの攻撃を受け流すパラドクス。

 

「俺を忘れんな!」

しかし、ファイターゲーマーに変身したアナザーパラドクスの拳をくらいふらつく。

 

「パラド!」

すると、マリアが短剣でアマゾンネオに攻撃。

 

「マリア!」

「…遅くなったわね」

アームドギアを構えるマリアが言うと、パラドクスは首を振る。

「いや。助かったよ」

パラドクスはなんてことないと言わんばかりに答える。

 

 

(…どうする?いくらなんでもコイツラ相手にこのレベルじゃキツいぞ…?)

 

現状、ピンチなのはパラド達。

この状態をひっくり返すには、切り札が必要だった。

 

 

 

――――――――――

 

 

「死に晒せ!!」

赤く燃えるカーボンロッドが数百本降り注ぐ。

 

「立花!私の後ろに!」

翼は『蒼ノ一閃』で使う巨大な太刀を出現させ、カーボンロッドを防ぐ。

 

「はっ!ちょせぇんだよ!」

クリスはガトリングでカーボンロッドを迎撃。

 

「ふん。所詮キサマらは地べたで蠢くのが似合っている」

キャロルが鋼糸で攻撃すると、遺跡の一部がきれいに切断された。

「相変わらず常識ハズレの切れ味だな…」

翼は内心冷や汗をかく。

自分達のギアであの攻撃をガード仕切れるかと聞かれても、おそらく首を振るだろう。

 

 

「アマゾンネオの技を身につけたからかな…キャロルちゃんの攻撃、前より鋭くなってる気がする」

「よそ見をしているヒマがあるか!」

キャロルの叫びとともに、2つの魔法陣から突風が吹き荒れる。

 

「なっ!?」

「くっ!」

突風に吹き飛ばされそうになるクリスと翼だが、2人は辛うじて持ちこたえる。

 

「ハアアアア!!」

響はアクションゲーマーに変身して攻撃するが、キャロルは鋼糸で響に反撃。

響が躱したのを見て、魔法陣から風とともに炎を放った。

 

 

「「アアアアア!?」」

風によって威力が上昇した爆発で吹き飛ばされた。

「クリスちゃん!翼さん!」

一瞬2人に意識が向いた響だが、キャロルはその隙を見逃さない。

 

「バカが!」

キャロルの鋼糸によって響は動きを封じられる。

 

「ぐっ…!」

動けない響に対し、キャロルは複数の氷の鏃を作り出して飛ばす。

「ウアアアア!?」

錬金術によって強度を高められた氷は、ガングニールの装甲を砕いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「弱い…この程度で、オレを止められるとでも思ったか!」

ボロボロになる響達を睨むキャロル。

 

しかし、それでも響達は立ち上がる。

「止めるよ…何があっても!」

何度だって立ち上がる。

将也は自分達に託してくれたのだから。

 

「将也も今、自分に出来ることをしている!マリア達も!」

「せっかく将来のことも考えられるようになったんだから…こんなところでくたばってたまるかよ!」

いくら攻撃されても、響達の心は揺らぐことはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、通信機に連絡が入る。

『聞こえますか!?』

「え、エルフナインちゃん!?」

突如エルフナインから来た通信に困惑する響。

 

 

『響さん、翼さん、クリスさん!まだ戦えそうですか?』

「あったりまえだろうが!」

「ああ…今ここで倒れるつもりはない!」

「例えどんなに可能性が低くても、絶対に諦めないよ!」

力強く返事をする響達。

 

『その事なんですが…勝利の可能性を大きく引き上げることが可能です!』

「「「え?」」」

 

エルフナインの言葉に疑問を持った3人だが、弦十郎からの言葉に驚く。

 

 

 

『ついにこの時が来たのだ!これより、3人のギアに搭載された『イグナイトモジュール』の発動を許可する!』

 

エルフナインが以前組み込んだ強化システム『イグナイトモジュール』。

ライダーシステムを搭載する前、シンフォギアの決戦機能として使われるはずだったシステム。

殺戮の魔剣『ダインスレイフ』を用いて人為的に暴走を引き起こし、それをギアのシステムと装者の意思でコントロールするための力だった。

しかし最初にキャロルと戦った際、彼女達はイグナイトモジュールを制御することができずにバックファイアで戦闘不能になってしまった。

 

 

「で、でもまた失敗したら…」

『その心配は大丈夫だよ、響!』

通信に割り込んできたのは、将也。

 

「将也君!?」

『すでにイグナイトモジュールの不備に関しては全部わかってる!全ての原因はゲムデウスの干渉だったんだ!』

 

 

――――――――――

 

 

『ゲムデウスの干渉…だと!?』

通信機越しに翼の驚いた声が聞こえる。

 

ブレイブはデッドの攻撃をいなしながら説明を続ける。

「最初に疑問に思ったのは翼がギリルに感染した時だ!あの時、ギリルとは異なるウイルスが一瞬だがゲームスコープに映っていた!」

 

 

あの時、僅かだが感じた違和感。

それを調べるために将也は翼達装者のメディカルチェックを増やしていたのだ。

 

「6人は、ほんの僅かだがラヴリカに似たウイルスに感染している!おそらくゲムデウスの作り出した変異型だろう!」

ガシャコンソードでデッドの腕を切り落とす。

 

 

『でも、感染したのはいつ!?』

響の問いにブレイブは答える。

 

「ネフィリムが出たとき!俺が皆と出会ったあの時だ!」

あの日、将也はバグスターの気配を察知してあの浜辺に向かった。

そこで将也はネフィリムに襲撃されている響達を見かけたのだ。

 

 

「ゲムデウスは次元に干渉してネフィリムを宝物庫から引きずり出した!そしてその際に自分の能力の一部をネフィリムに渡したんだと思う!」

 

「映像データに出てきたネフィリムの使っていたピンクの光弾!おそらくあの攻撃を受けて響達は感染したんだ!」

 

目的はおそらく、響達の洗脳。

装者を手駒にすることがゲムデウスの目的だった可能性が高いが、結果的にエグゼイドの介入によってそれは失敗。

 

だが、イグナイトモジュールに干渉することで装者の精神面に攻撃が可能となったゲムデウスはシンフォギアのパワーアップを妨害していたのだ。

 

「だが種が分かればどうにでもなる!3人はイグナイトを起動しろ!」

『で、でも…』

響達は恐れている。

 

あの日、ダインスレイフによって自らの闇と向き合ったことを。

 

 

 

 

 

 

 

「立花響!風鳴翼!雪音クリス!」

 

突然のブレイブの叫び声に驚く響達。

 

 

「臆することなく立ち向かえ!お前達は十分強い!今まで、どんな困難も乗り越えてきたんだろ!」

 

 

「俺が惚れた女は、こんなところで折れるわけがない!少なくとも、俺はそう信じている!」

将也の言葉が3人に届く。

 

 

 

「そうだ…私達はどんなピンチも、皆で乗り越えてきた…!」

 

「あいつに頼りきりじゃだめだ…アタシ達を何度も、命をかけて助けてくれた将也に甘えてばかりいられねぇ!」

 

「我々も、限界を超えて強くなる!」

 

3人は将也との絆の証…ガシャコンギアシンフォニーにそっと触れ、立ち上がる。

 

「行きましょう…翼さん、クリスちゃん!」

「ああ!」

「いざ、参る!」

ギアのマイクユニットを掴む3人。

 

 

このトリガーを押せば、封じられている殺戮の魔剣が起動して心の闇を広げる。

 

 

 

「以前失敗しておきながら、そんなものに頼るとはな?惨めに這いつくばるまで待ってやろう」

小馬鹿にしたような表情のキャロル。

 

 

 

 

「大丈夫だ…今のお前たちなら…!」

拳を強く握る弦十郎。

 

 

 

 

 

「お願い…響…皆…!」

無事でいられるようにと願う未来。

 

そして…

 

 

 

「イグナイトモジュール!」

 

「「「抜剣!」」」

 

マイクユニットを起動すると、ユニットは宙に浮いて鋭い光のトゲを出現。

刺は寸分の狂いもなく、3人の胸を貫いた!

 

 

 

 

「「「アガアアアアアア!?」」」

 

普段からは考えられないほど大きな苦しみの声を上げる響達。

だが、それを待っていた人物がいた。

 

 

 

 

「このタイミングだ…!パラド!ここは任せた!」

ブレイブはデッドを蹴り飛ばすと将也に戻り、パラドに声をかける。

 

 

「ああ!お前も気をつけろ!」

 

 

将也は頷くと、その身をバグスターウイルスに変化させてゲームエリアから離脱した。

 

 

(ここからはしくじる訳にはいかない…!待ってろ、3人とも!)

粒子へとその身を変えた将也は、響達のもとへ向かったのだった…

 

To Be Continued…

 

 




後編は完成次第投稿致します!

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