戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士   作:狼牙竜

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お待たせしました、第22話です!
今回は将也のゲンムが大暴れします。

シンフォギアXDの一周年記念だけでなく、今日は自分の好きなスーパー戦隊のメガレンジャーからまさかの商品化が発表され、テンションが鰻登りな状態です!

感想、評価が作者の力になりますのでいつでも待ってます!


第22話 憎しみのRIDER

ダミーゲンムとゲンムは、互いの武器をぶつけ合って戦っていた。

 

「死にやがれ!」

Dゲンムが鞭を振るうが、ゲンムはバグヴァイザーツヴァイをチェーンソーモードにして受け流し接近。

 

「ヌウェア!」

ハンマーモードのガシャコンブレイカーを投げつけ、Dゲンムの右脛にぶつける。

 

「ぐうっ!?」

バランスが崩れるDゲンムだが、一瞬でゲンムは距離を詰めた。

 

「アアアアア!!」

左肩のスパイクに電流を纏わせた状態で体当たりをくらわせるとDゲンムの体に異変が起こる。

 

「何だ…体が!」

ゾンビゲーマーには、接触した相手のシステムに不具合を起こす力がある。

能力の一つである帯電したスパイクによるショルダータックルをくらったことでDゲンムのドライバーに僅かな時間だが不具合が生じたのだ。

 

その隙を見逃さず、ゲンムはバグヴァイザーツヴァイの代わりにガシャコンスパローを召喚。

 

《ガシャコンスパロー!》

「ハアァッ!」

《ガッシャット!キメワザ!》

ゲンムはガシャコンスパローにドラゴナイトハンターZ、ガシャコンブレイカーにエグゼイド版マイティアクションXのガシャットを装填。

 

《ドラゴナイト!》

《マイティ!》

 

《クリティカルフィニッシュ!》

『DRAGO・KNIGHT・MIGTHY・CRITICAL・FINISH!』

 

ガシャコンスパローからドラゴン型の矢が無数に放たれ、Dゲンムを囲うと次々と着弾。

 

 

すかさず、ゲンムはエネルギーのチャージされたガシャコンブレイカーをDゲンムの胸部に打ち込んだ。

 

「ぐあああ!!」

火花を散らして転げ落ちるDゲンムだが、そのライダーゲージは未だに8割残っていた。

 

 

 

「ぐ…残念だったね…僕のレベルは150!このドライバーはガシャットのレベルを50倍まで引き上げる力がある!」

高らかに説明するDゲンムだが、ゲンムはお陰で攻略法を思いついた。

 

 

「だったら、この力を使うまでだ」

ゲンムはガシャコンスパローで近くのエナジーアイテムを取得する。

 

 

《透明化!》

すると、ゲンムの輪郭がぼやけて姿が消える。

 

 

「なっ!?どこにいった!」

Dゲンムは周囲を探すが、突然腕を掴まれ、背負投げをくらう。

 

「うあああ!?」

一瞬意識が飛びそうになるが、腕を捻った状態でゲンムが実体化する。

 

「この距離なら、俺の独壇場だ!」

ふと、Dゲンムの横に小さなウインドウが表示される。

そこにはDゲンムのレベルが映し出されていたが、急激にレベルが下がり始めた。

 

 

 

 

「僕のレベルが!?」

慌てて抜け出そうとするDゲンムだが、そうはさせまいとゲンムはまたしてもガシャコンスパローでエナジーアイテムを取る。

 

《マッスル化!》

急激にパワーが増大し、より強く締め上げるゲンム。

抜け出そうともがき続けるDゲンムだが、既にレベルは100を切り、96まで落ちていた。

 

 

 

 

 

「くっそ…ああああ!!」

《ガッシューン!》

《ガッシャット!キメワザ!》

Dゲンムはかろうじて動いた左手でプロトマイティアクションXガシャットをキメワザスロットホルダーに装填、必殺技を発動させる。

 

 

「死いいいぃぃねえええ!!」

《マイティ!クリティカルストライク!》

通常はチャージされたエネルギーを足に集め、キックで放つ技だがDゲンムはこのエネルギーを暴発させる。

 

 

「なっ!?」

「将也!」

クリスが叫ぶが、Dゲンムのドライバーから膨大なエネルギーが集まり…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

轟音をたてながら爆発した。

 

 

「「うああああああ!?」」

爆発から吹き飛ばされる2人のゲンム。

 

やがて、壁に叩きつけられたゲンムのライダーゲージが尽きる。

 

 

 

《ゲーム・オーバー…》

 

 

 

 

――――――――――

 

 

将也が俊明と戦っている頃。

屋敷に突入したスナイプを追いかけようとするメタルアヴェンジャーの前に5人のシンフォギア装者とパラドクスが立ちはだかる。

 

 

「ここから先は…」

「通さないデスよ!」

 

切歌は先ほど将也から託されたガシャットを取り出し、起動。

 

《ギリギリチャンバラ!》

先日の戦いでギリルから取り返した『プロトギリギリチャンバラガシャット』を起動させ、ギアシンフォニーに装填。

 

 

《ガッシャット!》

「三連斬デス!」

《ガッチャーン!レベルアーップ!》

ギアシンフォニーをホルダーにセットし、灰色と黒をベースにした『プロトチャンバラゲーマ』が出現。

 

《ギリ!ギリ!バリ!バリ!チャンバラ~!》

いつも切歌が纏っているものとは違い、金と黒ではなく灰色と黒をベースにした姿。

『プロトチャンバラゲーマー』へと切歌はレベルアップした。

 

「んっ!」

わずかだが、切歌の体に電流が流れる。

 

「切ちゃん!」

調が駆け寄るが、切歌はそれを制す。

 

 

 

「何のこれしき…問題無いデス!」

電流を振り払った切歌はガシャコンスパローを召喚し、走り出す。

 

 

「愚かな。まっすぐ突っ走るなど…」

Mアヴェンジャーは砲撃を放つが、切歌はスライディングしながら砲撃を避ける。

 

 

「ちぃっ!」

砲撃を連射するが、切歌は自身に直撃しそうな弾丸はガシャコンスパローで斬り払い進む。

 

ふと、Mアヴェンジャーの耳には切歌が口ずさむ歌が聞こえた。

 

 

 

 

 

(BGM Just loving X‐Edge)

 

「切ちゃんばっかり見てると…」

後ろから声が聞こえ、副砲の一つが爆発。

後ろに回っていた調がスポーツゲーマーへと変身しトリックフライホイールを投げつけていたのだ。

 

 

「痛い目、見るよ?」

Mアヴェンジャーは調にも狙いをつけるが、シャカリキスポーツの力で超高速移動が可能になった調には攻撃が一切当たらない。

 

 

「マリア!」

調が叫ぶと、マリアが蛇腹剣の状態になったアームドギアで攻撃。

 

 

「パラド!お願い!」

マリアは剣を元の状態に戻し、後ろに下がる。

 

 

「任せとけ!」

《高速化!マッスル化!マッスル化!》

エナジーアイテムを得たパラドクスは、ギアデュアルを操作しホルダーに装填。

 

 

《キメ・ワザ!》

《パーフェクト!クリティカルコンボ!》

目にも止まらぬ早さで動いたパラドクスは、マッスル化の2乗によってパワーアップしたキックでMアヴェンジャーを蹴り飛ばす。

「翼!いけ!」

 

 

《タドル!クリティカルセイバー!》

クエストゲーマーに変身していた翼が、炎の斬撃を飛ばしてMアヴェンジャーの副砲をまた一つ破壊。

 

 

「立花!暁!」

 

「はい!」

「了解デス!」

ロボットゲーマーに変身した響と切歌が一直線に突き進む。

 

 

「くっ!この私が負けるなど、あるはずがない!」

残った副砲を乱射するが、2人に命中することはなかった。

 

 

「「うおおおおお!!!」」

 

《キメワザ!》

走りながら響と切歌はギアシンフォニーに必殺技コマンドを入力した。

 

《ゲキトツ!クリティカルストライク!》

空気を切り裂きながらアームで強化された響の拳がMアヴェンジャーの装甲をひしゃげさせる。

 

 

「もらったデス!」

《ギリギリ!クリティカルストライク!》

黒いオーラをまとった状態で切歌は錐揉み回転をしながら響が殴ったMアヴェンジャーの装甲めがけてキックを放った。

 

 

「デエエエエエェス!!」

「ぬうぅ!?」

ギリギリチャンバラは、一撃が致命傷となるゲーム。

 

プロトガシャットを用いた今の切歌は防御力に不安があるものの、一撃で勝負を決めるために攻撃力とスピードにステータスを振り分けている状態となっている。

 

 

堅牢な装甲を持っていたMアヴェンジャーでも、大ダメージは免れなかった。

 

 

「よくもこの私の体に傷を!」

怒りの声を上げるMアヴェンジャーだが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然、屋敷の中から爆発音が聞こえ、扉が吹き飛んでくる。

響達は驚きのあまり固まるが、そこから出てきたのは…

 

 

「ゲン…ム…?」

 

灰色が目立つスナイプ・レベル3が転がり出てくると、それを追いかけるかのようにゲンム『らしき何か』が出てきた。

 

が、普段将也が使っているゲンムとは明らかに異なる。

 

 

金色の、天使の羽根にも見えるパーツが背中に大きく展開され、頭部には人の顔のような装飾の施された装甲が追加されている。

 

何よりも目立つのは、両腕に装着された金色の禍々しい爪。

 

天使と悪魔。相反する2つの特徴を兼ね備えたゲンムに、響だけでなくモニター越しで見ていた弦十郎達でさえ悍ましいものを感じ取った。

 

 

「将也さん………どうしてですか…!?」

 

 

エルフナインはあのゲンムのことを知っている。

将也とパラドが唯一語らなかった、檀黎斗が生涯で一度だけ使ったあのゲンムの姿を。

 

 

 

「………トーテマ…」

 

その名は、『トーテマゲンム』。

怒り、悲しみ、怨み。

様々な負の感情によって到達した、将也にとっての最悪の切り札だった。

 

 

――――――――――

 

 

少し前、爆風から咄嗟に身を守ったクリスの前にマイティアクションXとシャカリキスポーツのプロトガシャットが飛んできた。

 

すぐに2つのガシャットを拾うクリスだが…

 

《ゲーム・オーバー…》

爆風が晴れる中、変身が解けた俊明とライダーゲージが尽き、肉体が消滅していくゲンムの姿が見えた。

 

 

「将也!」

クリスが叫ぶが、ゲンムはそのまま消滅してしまう。

 

 

 

「……ははっ!やったぞ!やったぞおおお!!」

俊明は将也が消滅したのを確認して嬉しさのあまり叫ぶと、クリスがプロ

トガシャットを持っているのに気が付く。

 

 

「クリスぅ…それを僕に返してくれ」

「ふ、ふざけんな!こいつは将也の大事なモンなんだよ!」

 

頑ななクリスの姿を見て、俊明はため息をつく。

 

「…奴隷の癖に…逆らうんじゃねぇ!」

激高した俊明は、新たに2つのガシャットを取り出す。

 

 

「っ!まだ持ってたのか…」

 

《バンバンシューティング!》

《ジェット・コンバット!》

 

『プロトジェットコンバット』と、先日のギリルとの戦いで奪われた『プロトバンバンシューティング』を起動させた俊明はダミーゲーマドライバーにガシャットを装填。

 

「変身!」

《ガッシャット!ガッチャーン!レベルアーップ!》

 

 

《ババンバン!バンババン!バンバンバンバンシューティング!》

《アガッチャ!》

《ぶっ飛び!ジェット!ドゥ・ザ・スカイ!フライ!ハイ!スカイ!ジェットコンバ~ット!》

 

 

通常のスナイプと違い色は灰色がベースとなっており、頭部の追加装甲も存在しない。

 

俊明はプロトガシャットを併用した『仮面ライダーダミースナイプ』へと変身する。

 

 

「逆らうのなら、足の一本くらいは壊してやろうか…」

ガシャコンマグナムを向けて歩いてくるDスナイプ。

クリスはイチイバルを起動させようとするが、それよりも早くDスナイプがガシャコンマグナムでイチイバルを撃ち抜く。

 

「ぐっ!」

手を撃たれ痛みで蹲るクリスに対し、Dスナイプが歩いてくるが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前えぇ…!」

背後からコンティニュー土管が出現し、ゲンムX‐0が出現。

 

 

「な、何でだ!?さっき確かに死んだはずなのに!?」

驚くDスナイプに、ゲンムは真横に小型ディスプレイを投影する。

 

 

「残りライフ…97!!」

ゲンムだけが持つ特殊能力、コンティニューによって将也は蘇生したのだ。

 

 

「くっそ!何でどいつもこいつも僕の邪魔をするんだよ!」

自棄になったのかDスナイプはガトリングを連射し、ゲンムはクリスを抱えて物陰に隠れる。

 

 

「クリス!僕がお前を買ってやった恩を忘れたのか!僕がいなけりゃ日本に帰ってこれなかったんだぞ!」

 

 

 

 

 

 

「僕から逃げて次はあの男に取り入るつもりだったのか!この薄汚い売女が!」

 

 

 

次々と口汚い言葉でクリスを罵るDスナイプ。

 

 

しかし、Dスナイプは決して言ってはいけない言葉を口にしてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全部ぶっ壊してやる!お前の大切なものも!外で戦ってる女共も皆僕の奴隷にして壊してやる!」

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、Dスナイプは何かに殴り飛ばされる。

 

 

「………」

「将…也…?」

ゆらりと歩くゲンムの姿に、クリスは本能的な恐怖を覚える。

 

 

「お前……響達も奴隷にするだと?壊す…だと?」

バグヴァイザーツヴァイを装着したゲンムは、Dスナイプめがけてチェーンソーで斬りつける。

 

 

「うああっ!?」

「何が奴隷だ!何が物だ!」

怒りに燃えるゲンムは、Dスナイプが不得手な近接戦で執拗にチェーンソーで攻撃する。

 

 

「響達を狙い、クリスの痛みを笑うお前を、俺は絶対に許さない!」

 

《キメワザ!》

バグヴァイザーⅡに丸鋸状のエネルギーが集まり、必殺技が発動。

 

 

《クリティカルサクリファイス!》

ゲンムは躊躇いなくDスナイプの首元にチェーンソーを振り下ろし、火花が散る。

 

 

「うあああああああ!?」

「グウウウオオオオオオオオ!!!」

獣のような叫び声を上げるゲンム。

 

 

(コロス…コイツダケハ、ゼッタイニ!)

この男は、クリスの体と心を傷つけただけでなく響達まで狙っている。

 

 

 

Dスナイプに対する怒りは、将也の奥底に眠る『獣』を目覚めさせてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《デンジャー!デンジャー!デンジャー!》

突然、ゲーマドライバーにセットしていたデンジャラスゾンビガシャットから音声が流れ、ドライバーから自動的に引き抜かれる。

 

 

「ウウヴウゥ…」

 

ゲンム・レベル0に戻る将也だが、何とデンジャラスゾンビガシャットはどこからか出現したバグルドライバーに自動的に装填。

 

 

《ガッシャット!》

バグルドライバーは将也のゲーマドライバーを弾き飛ばすと将也の腰に勝手に装着される。

 

《ガッチョーン!》

不気味な音声の中、全身に黒いオーラを纏った状態で将也はドライバーに手を沿え…

 

 

 

 

「変身」

感情が消えたかのように落ち着いた声で、変身を口にした。

 

《バグルアップ!》

背後にデンジャラスゾンビのゲーム画面が開き、将也は出現したゲートを突き破る。

 

が、それと同時に画面から金色の粒子が将也にまとわり付く。

 

 

《デンジャー!デンジャー!(GENOCIDE!)》

一瞬だが、将也の背後に金色の怪物の姿がダブる。

 

 

《デス・ザ・クライシス!デンジャラスゾンビ!(Wooooo!)》

 

「ウウウウ…アアアアアアアア!!」

ゲートを突き破って出てきたのは、今までのゲンム・ゾンビゲーマーではなかった。

 

 

天使を思わせる背中の羽に、金色の禍々しい装甲。

頭部には人間の顔を思わせるパーツがくっついており、両手には悪魔の爪のようなパーツが装着されていた。

 

 

 

 

「な…何だよ!そんなもん使ったところd」

最後まで言い切る前にDスナイプの視界が大きく歪む。

 

ゲンムの攻撃をくらったと気づいたのはワンテンポ遅れてからだった。

 

 

「……………」

無言で歩いてくるゲンムに、Dスナイプは無意識の内に後ずさっていた。

 

すると、ゲンムの爪に光が集まり、光は無数のワイヤーのようになりながらDスナイプを貫く。

 

 

「ガハッ!?」

マスクの内側で血を吐くDスナイプだが、ゲンムは右手にエネルギーを集めるとDスナイプめがけて投げつけた。

 

「ヒイッ!?」

ワイヤーに貫かれた状態のDスナイプは逃げることもできないまま光弾が直撃し吹き飛ばされた。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

時間は現在に戻り、響達は異形の姿へと変化したゲンムに戸惑いを隠せなかった。

 

『みなさん、聞こえますか!?』

響達にエルフナインから通信が入る。

 

「エルフナインちゃん!」

「エルフナイン!将也のあの姿は…?」

翼はゲンムの姿について聞く。

 

 

『…あれは、将也さんしか知らないゲンムの幻の姿です』

 

「幻の…」

「ゲンム…?」

動揺する切歌と調だが、エルフナインは説明をする。

 

 

『黎斗さんはかつて、ゲームオーバーになった時のことを考え複数の保険を用意しました。その一つが、将也さんも使うプロトマイティアクションXオリジンによるコンティニューですが、これは本当に最後の手段だったんです』

 

そもそもあの方法はポッピーピポパポが偶然にも記憶を解放されたことで得られた方法であり、黎斗が復活できたのはいくつもの偶然が重なったからである。

それとは別に黎斗は確実性の高い蘇生方法を一つ準備していた。

 

 

 

『黎斗さんが消滅してから数日後に自動で発動するそのゲームは、妨害されないように無限のバグスターを街中に送り込むプログラムが組み込まれていたんです』

 

そのゲーム内ではかつて命を落とした仮面ライダーから4人が選ばれ、彼らに一時的な希望を与えてから心を折り、絶望に叩き落とすといった内容。

 

しかしイレギュラーな存在だった宝条永夢、そして存在そのものが世界に崩壊をもたらす『仮面ライダーブレイド』、剣崎一真によってその目論見は打ち砕かれ、黎斗のバックアップデータも消滅した。

 

 

『そのゲームに黎斗さんは不死身の怪人『トーテマ』を用意していました。ですが永夢さん達によって目論見を砕かれ、黎斗さんは自らの変身したゲンムにトーテマの力を取り込みました』

「それが…あの姿だというの!?」

 

 

Dスナイプを蹂躙するゲンムの姿にマリアは恐怖を覚えながら聞いた。

 

 

『はい。ライダー達の絶望の心が集まって完成した、最悪のゲンム…『トーテマゲンム』です』

 

見ようによっては天使にも悪魔にも見える怪物と化したゲンムは尚もDスナイプを攻撃。

 

すると、破壊された扉からクリスが出てくる。

 

「クリスちゃん!」

響達が駆け寄るが、クリスは膝をつく。

 

 

「どうして…あんなヤバイ奴があいつのガシャットに入ってんだよ!?」

 

『…おそらく、パラドさんが将也さんの記憶からガシャットを複製した際に記憶の奥底に眠っていた、トーテマのデータも誤ってデンジャラスゾンビのガシャットに記録されたのだと思います。そしてあの姿が目覚めたのは…先日のデッドとの戦いが原因と思われます』

 

以前、ショッピングモールで戦った不死身のバグスター、デッド。

あの時、デンジャラスゾンビのガシャットはデッドに取り込まれてしまい、奴のパワーアップを許す結果となってしまった。

 

 

『将也さんはあれ以降ガシャットに何か影響が出ていないか調べていましたが、ガシャットはデッドに蓄積されていた死のデータによって完成形態のレベルXへと進化していましたが、致命的な欠陥も抱えていたんです』

 

 

『デッドに蓄積されていた死のデータに内包された恐怖、痛み、悲しみ、怒りといった負の感情も記録され、変身すれば将也さんが抱いた負の感情とガシャットに内包されたデータがリンク、暴走を引き起こしやすい状態になってしまうんです』

 

 

 

そのため、以前と違い単独でレベルXに変身するのは危険と判断され以降はプロトマイティアクションXオリジンと併用することが前提となったのだ。

 

 

 

「ヌウウ…こいつは生かしておけば危険な存在となり得る!」

今まで傍観していたMアヴェンジャーは再び戦艦形態となり、レーザーキャノンをゲンムに向けるが…

 

「…ヴウウェァアア!!」

ゲンムは殺気を感じ取ったのか、羽から無数の光弾を放ちMアヴェンジャーを迎撃。

 

 

「なっ!?」

レーザーキャノンの一撃を相殺されたことに驚くが、ゲンムはドライバーのボタンを同時押ししてAボタンを再度押す。

 

《クリティカルエンド!》

ゲンムの爪に紫と金のエネルギーが集まり、ゲンムは勢いよくMアヴェンジャーめがけて振り抜く。

 

「グウッ!うああああああ!!」

受け止めようとしたMアヴェンジャーだが、受け止めきれずに爆発。

高度を維持できずに墜落した。

 

「あのバグスターを一撃で!?」

トーテマゲンムの戦闘力はゲンムの形態の中でもトップクラスを誇り、かつて敗北したエグゼイド・レベル99や仮面ライダーブレイド、仮面ライダーバロンなどの歴戦の勇士達を一方的に蹴散らすほどの力を持っていた。

 

 

「く…まだだ!」

Dスナイプは腰のガトリングを構え、ガシャットをキメワザスロットホル

ダーに装填。

 

《キメワザ!》

灰色のエネルギーがガトリングに集まり…

 

 

《ジェット!クリティカルストライク!》

「くらええええええ!!」

 

無数のミサイルやガトリング弾がゲンムめがけて飛んでくるが…

 

ゲンムは体から衝撃波を放ち、ミサイルやガトリング弾を全てかき消した。

 

「え………」

渾身の必殺技が効かず、呆然とするDスナイプだが、それが彼の命運を決めた。

 

 

隙を見せたDスナイプに対し、ゲンムは再びドライバーのボタンを同時押しして今度はBボタンを押す。

 

《クリティカルデッド!》

『CRITICAL・DEAD!』

 

直後、ゲンムの影からいくつもの黒い分身がまるでゾンビのように現れ、Dスナイプめがけて迫って来る。

 

「ひぃっ!く、来るなああ!!」

ガトリングを連射するDスナイプだが、ゾンビは次々と増え続けていきDスナイプを完全に囲む。

 

 

「…仕留めろ」

ゲンムの指示に従い、分身はゾンビゲーマーのゲンムそのものへと変化してDスナイプにしがみつき…

 

 

彼の装着していたダミーゲーマドライバーは、たちまち腐敗。変身機能を失い、無残な姿になりながら俊明の腰から外れた。

 

 

 

――――――――――

 

 

変身が解かれて腰を抜かす俊明。

決着が着いたことで翼は俊明を確保するために歩き出そうとするが…

 

 

「グ…ああっ!」

 

何と、未だに変身を維持していたゲンムが俊明を蹴り飛ばしたのだ。

 

 

「将也!何をしてる!?」

翼が止めようと動くが、ゲンムは装備された爪を翼に向ける。

 

 

「…邪魔をするな!」

とてつもない殺気に、思わず後ろに下がる翼。

 

 

「コイツだけは…殺さなきゃいけないんだ」

殺す。いつもの将也なら口にしないはずの言葉に全員が悟る。

将也は本気で俊明を殺すつもりだと。

 

 

「い、いいのか!?僕を殺せば、お前はただの人殺しになるんだぞ!」

俊明は必死に叫ぶが、ゲンムは歩みを止めない。

 

 

「だとしても、お前を放ったらかしておくよりは何倍もマシだろうな」

今の将也に、俊明を見逃すつもりは微塵もなかった。

 

 

 

 

「た、頼む!助けてくれ!そうだ、クリスだ!あいつもお前にやるから、どうか頼む!命だけは!!」

必死に命乞いする俊明だが、またしてもクリスを人間ではなくモノ扱いしたことで余計に将也の怒りを買うことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう…喋るな」

ゲンムは爪を振りかぶり………一気に振り下ろすが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…何で邪魔をするんだ…クリス…!」

俊明の前に、両手を広げたクリスが立つ。

 

 

「もう…やめてくれよ…!」

ゲンムのオーラに足が震えながらもクリスは決して下がることはなかった。

 

 

「何でそいつを助ける!そいつはお前を散々傷つけて、苦しめてたんだぞ!お前の友達を殺して笑ってたような奴を、お前は助けるっていうのか!?」

 

 

ゲンムの怒声に肩を震わせながらも、クリスは真っ直ぐにゲンムの顔を見る。

 

 

「違う…アタシが助けたいのは……将也のほうだ」

クリスは、将也が俊明に攻撃をしているときに将也の感情が何となくだが伝わっていたのだ。

 

 

 

「ずっと戦ってる間、泣いて…怒って…苦しそうなのが伝わってきたんだよ」

クリスの目に、一筋の涙が溢れる。

 

 

「アタシのことを好きだってのはわかるし、こいつのことを許せないのは十分わかってる!だけど、こいつを殺したら、将也はもう戻れなくなる!」

 

 

必死に言葉を紡いだクリスは、ゲンムに抱きつく。

 

 

「もういいよ…お願いだから、いつもの将也に戻ってくれよ…」

クリスの言葉に、ゲンムが反応。

 

 

バグルドライバーから火花が散り、ガシャットが強制的に射出され、ゲンムの変身が解除された。

 

 

――――――――――

 

変身が解除されるとともに倒れそうになる将也を、慌てて響と翼が支える。

 

「将也君!」

「将也!」

2人が呼びかけて将也はようやく反応を見せた。

 

 

「…ごめん、皆…僕は、危うく…」

一時の怒りに任せて相手を殺す寸前まで行こうとしていたことに、将也は僅かながら手が震える。

 

しかし、そんな中でも空気が読めない男がいた。

 

 

 

「は…ハハ…ありがとう、クリス!」

腰を抜かしていた俊明は這いずりながらクリスの手を取り、涙と鼻水を流しながらしがみつこうとする。

 

 

「やっぱり君は、僕の命の恩人…いや、女神だ!君と僕はいつだって、運命の糸で結ばれt」

最後まで言い切る前に、クリスの渾身のパンチで俊明は気絶する。

 

 

「さ、触んじゃねえ!この変態野郎が!」

息を切らせながら座り込むクリスに、切歌と調が駆け寄った。

 

 

 

 

 

「…これで、ひとまずの驚異は去ったのかしら…?」

「そう信じたいが…簡単にはいかないみたいだな」

 

マリアとパラドの視線の先にはいつの間にかトカゲを模した赤いバイク…『ジャングレイダー』が停まっており、バイクにはネオアマゾンズドライバーを装着した千翼と、青いメイド服のようなドレスを着たガリィが乗っていた。

 

「ガリィ…それにアマゾンネオ」

突然現れた強敵に警戒心を露にする装者とパラドだが、ガリィは心外と言わんばかりに両手を振る。

 

 

「いやですね~、今日は戦いに来たわけじゃないんですよ~」

すると、千翼はバイクから降りてドライバーにインジェクターを装填。

 

 

《ネ・オ》

静かな変身音が鳴り、千翼は目を赤く輝かせて…

「アマゾン」

小さく変身の言葉を呟くと千翼の体は真っ赤な炎に包まれ、アマゾンネオへと変身する。

 

 

「今日はそこで無様に転がってるクズ男とメタルアヴェンジャーの回収に来ただけですから~♪」

ガリィはバグヴァイザーを取り出して粒子状になったMアヴェンジャーを回収し、アマゾンネオは転がっていた俊明を担ぐ。

 

 

「マスターの言ってたトーテマゲンムの戦いも見れましたし、今日はこのまま帰りま~す!じゃあね~」

ガリィがテレポートジェムを使うと、ガリィとアマゾンネオ、俊明は赤い魔法陣に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしこの時、誰も気が付いていなかったのだ。

将也達の様子を観察する5人の人影を。

 

「ちょうどいい実験体を見つけたワケダ」

カエルのぬいぐるみを抱えた、眼鏡をかけた小柄な少女が特徴的な語尾を付けて話す。

 

「あーしらも、そろそろ動きますか?」

全体的に露出度の高い服に身を包み、水色がかった髪をツインテールにした女性が楽しそうに聞く。

 

 

「そうね…局長の命令通りに動くのは正直癪だけど」

それに答えたのは、まるで男性の貴族が着るような衣服に身を包んだ美女。

男装の麗人と呼ぶに相応しい彼女は、懐から小さなカプセルを取り出す。

 

 

「…貴方達も、しっかりと協力してもらうわよ」

男装の女は後ろに立っていた2人の人物に声をかける。

 

『…ええ。わかっていますよ』

そこにいたのは、どこか将也達仮面ライダーに似た異形の戦士。

 

返事をしたのは、左半身に青緑の歯車が付いた装甲を纏う戦士だった。

 

 

『…行きますよ、雷』

彼の言葉に頷いたのは、右半身に灰色の歯車が付いた戦士。

並び立つ2人の姿は、まるで鏡写しのようだった。

 

『では…』

青緑の戦士は、持っていた紫色の拳銃を取り出すと銃口から煙が溢れる。

煙が晴れると、5人の姿は消えていた。

 

To Be Next GAME…?

 

 




次回、シンフォギアエグゼイドは!

「聞いてほしい…アタシの過去を…」
明かされる、クリスの過去!

「雪音も…将也のことを信じてるんじゃないのか?」
「あの時、僕は確かに君に救われたんだ」
将也の思いは…クリスに届くのか?

「何があっても、僕はクリスの笑顔を守り続ける!」

第23話 Linkする想い

――――――――――
トーテマゲンム
『仮面戦隊ゴライダー』でゲンムが変身した強化形態。
将也の記憶にも残っており、デンジャラスゾンビのガシャットの隠しプログラムとして起動した。
レベルX-0をも凌ぐ強さを持つが、弱点として変身中は破壊衝動に飲み込まれる、戦意を失うと強制的に変身が解除される、変身時にライフを一つ消費するといったものが挙げられる。

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