戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士   作:狼牙竜

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お待たせしました、今回はパラドと未来に焦点を当てたストーリーになってます!

シンフォギアXD、ジューンブライドイベントの装者達が最高に可愛くてテンション上がりっぱなしです!
でも欲を言えば調、翼、クリスのウエディングドレスも見たかったな…


感想、評価をいつでも待っています!




第20話 愛と絆のPARADOX!?

 

 

翼が装者の力を取り戻し、響同様将也と付き合うようになってから3日後。

放課後のリディアン音楽院で、響は授業が終わったことを確認し素早く荷物をまとめ始めた。

 

「響!今日ソフ○ップ行って、久しぶりにふらわーのお好み焼きでも…」

弓美が誘おうとするが、響はその誘いを断る。

 

「ごめんね!今日は勝負なの!大事な勝負があるの!」

いつもとは違い、やけにテンパった様子の響はそのまま教室を走り去ってしまった。

 

「なんか、嵐のように去っていったね、ビッキー」

「何かあったのでしょうか…小日向さんは、ご存知ですか?」

響の様子に疑問を持った詩織が隣にいた未来に聞くと、未来は少しため息をついた。

 

「響ね………今日は将也君の家に泊まるんだって」

「へ~、将也の家に…………」

 

 

 

 

 

 

 

「「「ええええええええ!?」」」

驚きのあまり、3人の少女の叫びがリディアンに木霊した。

 

 

――――――――――

 

街中を歩きながら、未来はこれまでのことを3人に説明する。

「なるほど、こないだのモールの事件の後にビッキーとまさやんが付き合い始めて…」

「今頃は荷物纏めて将也の家に突入ってわけね…」

 

創世と弓美は、響が将也と付き合い始めたことに正直驚いている。

 

何せ、彼女達が響に抱くイメージは『超元気娘』、『色気より食い気』といったものであり恋愛ごとに関して響に先を越されるとは思っていなかった。

 

「ですが、小日向さんはそれで良かったのですか?」

以前将也達と遊んだ際の未来の反応から彼女が響に抱いている感情に薄々ながら勘付いていた詩織は、未来に質問する。

 

 

「うん…私も最初は迷ったんだけど…」

 

 

――――――――――

 

 

小日向未来が立花響を大切に思ったきっかけは、響にとって全ての始まりとも言えたツヴァイウィングのライブ事件。

 

あのライブには元々未来が響を誘ったのがキッカケだったが当日、未来は家庭の事情からライブに行くのを断念するしかなく、響は一人でライブに行った。

しかし、その後響を待ち受けていたのは余りにも残酷な仕打ち。

 

ノイズの軍勢に襲われた響は天羽奏のガングニールの破片が胸に突き刺さり、一時は生死を彷徨うほどの重傷を負う。

辛いリハビリを乗り越えるも、響に平穏は訪れることはなかった。

 

 

一部で偏った報道がされたことによって世間は生き残った観客達を責めるようになり、響は中学で陰湿なイジメを受ける事になる。

父親も逃げ出し、心が壊れそうになる響の姿を見て未来は自分に責任があると考えるようになった。

 

 

そして現在、響と共にリディアンに進学した未来は同じ部屋で暮らし、もはやその触れ合いは一般的な友人関係とはかけ離れているのではないかと本人も自覚はしていたのだが、将也と響が恋人として付き合うことになってようやく未来は己の想いを自覚したのだ。

 

 

(私は………響のことが、好きだったんだ…友達としてじゃなく、将也君が響のことを想っているのと同じように…!)

 

先日、翼が響と同じように将也のことを好きだと告白した日の夜。

未来は響に対して自分の想いを打ち明けた。

 

 

―――――――――

 

「響…私、ようやく気がついたんだ」

部屋のテーブルで向かい合う響と未来。

掌を握りながら未来は自分の想いを口にした。

 

「私は、響が好き…!友達としてじゃなく、もっと大切な存在として…!」

「未来……」

響は、なんとなく察してはいたのだ。

 

 

「ずっと一緒にいて、いつの間にか私は響のことを大切に想ってた…『あの日』よりも前から、響は私にとって1番大事だったの…それでも、女同士だし、最初は諦めようと思った…言葉にしなくても、ずっと一緒にいられればそれでいいって…」

だが、気が付くと響の心は突然現れた青年へと向いていた。

 

「初めて出会ったときから響のことを助けてくれた将也君が響と付き合うようになって、正直複雑だった…自分よりも響達のことを助けてくれる将也君なら、響を任せられるかもしれないって思っても、心のどこかで2人が恋人になるのを認めたくない自分がいた…」

 

 

それは、将也よりも前から響のことが好きだった未来の嫉妬心だった。

が、それもこれまでの将也の行動である程度心の整理はついている。

 

将也もまた、自分と同じだった。

立花響という少女のまっすぐな性格に惹かれたという共通点を持ち、彼女を本気で愛しているもの同士。

 

 

「未来…私も、未来のことが大好きだよ。昔から私を助けてくれて、戦いが終わっても、未来が私をいつもの日常に戻してくれたから、私は頑張ってこれた…」

響もまた、未来と同じ想いを抱いている。

 

でも、響は同じくらい大事な人と出会ったのだ。

 

ずっと一人ぼっちで、誰にも気づかれることなく消えるはずだった青年。

 

ネフィリムとの戦い、ミカに負けたとき、キャロルとの戦い。

初めて出会ったときから、何度も彼は自分の命を救ってくれた。

例えどんなに傷ついても自分達の笑顔を守るために…

 

 

「でも、今の私にとって将也君も大事な人なの…弱かった私を励ましてくれて、大事なことを思い出させてくれたんだ…」

 

 

「私にとって、未来も将也君も大事な人だよ!かけがえのない、私が本当に好きになった人…」

 

それが響の答えである。

欲張りかも知れない。それでも、響には何かを切り捨てることだけはできなかった。

 

 

「だから、私は将也君とも、未来ともずっと一緒にいたい!無茶苦茶かもしれないけど、それが私の答えだから…」

真剣な響の目を見て、未来は呆れ顔になる。

 

 

「本当、無茶苦茶なんだから…」

実際、かなり難しいことかもしれない。

それでも、未来は最後には響の力になる道を選ぶのだ。

 

「響なら、そう言うと思ったよ。大事な人に優劣をつけない、2人とも大切だって心から言えるような響だから、私も将也君も響を好きになれたんだよ」

「うん……ありがとう、未来…」

 

 

――――――――――

 

 

あの日のことを振り返った未来は、詩織に返す。

「響と話して、気がついたんだ。例え響が将也君と付き合っても、私達の仲は絶対に変わらないって」

未来の目に嘘偽りがないことを知り、詩織は安堵する。

 

「それに…響と話し合えたのはパラドのお陰でもあるし」

「?何でぱららんの名前が出るの?」

 

創世は未来が口にした名前に質問する。

 

 

「響と将也君が付き合い始めた日に、私は逃げたんだ。そんな私の話し相手になってくれたのがパラドだった」

 

最初こそ将也とグルなのではないかと疑ったが、パラド自身も全く知らなかったことが分かり、未来は響が好きだったことをパラドに明かした。

将也と恋人関係になった以上、身を引いたほうがいいのではないかと口にするが、パラドの答えは全く違うものだった。

 

 

 

 

「『自分の心を誤魔化しても、最後に泣くのは誤魔化した自分の心なんだ』って教えてくれた。いつだって素直に、本当の自分と向き合えばどんなに辛い結果が待っていたとしてもそれが正解だって」

 

過去に自分の心と向き合い、本当に自分がやりたかったことを理解したパラドは精神的にも大きな成長を遂げた。

 

 

ゲーム感覚で他人の命を弄んだ子供は、自分の心と向き合ってくれたかつての相棒のおかげで人々の命を救う英雄へと生まれ変われた。

だからこそ、パラドは自分の心から逃げようとした未来を引き止め、一歩進む勇気をくれたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ~ん…案外未来とパラドって仲いいんだね?」

今まで聞き役に徹していた弓美が意地の悪そうな顔になる。

 

「まあ、互いに苦労話で盛り上がることもあるからね…」

苦笑いする未来だが、実のところ弓美の言葉の真意にこの時は全く気が付いていなかったりする。

 

そんな話を続けていたのだが…

 

 

 

 

 

「あ痛っ!」

よそ見をしていた弓美が通行人とぶつかったらしい。

 

「ご、ごめんなさい!」

慌てて未来が謝るが…

 

 

 

「おいおい、いきなりぶつかっといてそれで済むと思ってんの?」

ぶつかった相手は、リディアンから少し離れた私立高校の制服を着た男子生徒4人組。

 

制服を着崩し、長い髪を派手に尖らせて極めつけに派手なアクセサリーをジャラジャラと着けているなど、お世辞にもマトモそうな人物像は感じられない。

 

 

「悪く思ってんなら、侘びとして俺達と遊んでくれよ?」

リーダー格の少年が未来の手を掴んだ。

 

 

「嫌っ!離してください!」

未来が慌てて振り払うが、その行動が少年達を苛立たせてしまう。

 

「てめぇ、人が優しく声かけてやったのによ!」

他の少年も詩織達を押さえつけようとする。

 

「この制服、確かリディアンだよな?」

「ああ。可愛い子が多いって噂だったけど、まさかこんな上玉が4人も見つかるなんて俺達ラッキーだったりする?」

少年達の蛮行を、周囲の人々は関わりたくないのか見て見ぬふりをするばかり。

 

「じゃあ、楽しく俺達と遊ぼうぜ?」

「嫌っ!やめてください!」

下卑た笑みを浮かべるリーダーの少年に、未来は大した抵抗ができず無理矢理どこかへと連れて行かれそうになる。

 

 

(嫌だ…響………誰か…!)

 

ギュッと目をつぶる未来だが…

 

 

 

 

 

 

誰かがリーダーの少年の手を掴んだ。

「あ?何すんだよ?」

「……え?」

 

恐る恐る未来が目を開けると…

 

 

 

 

「お前こそ、人の友達に何してんだ」

いつもと違い、白をベースにした上着を着たパラドがそこに立っていた。

 

 

「パラド…?」

 

――――――――――

 

パラドは、今現在最高に機嫌が悪かった。

 

 

せっかくの休日、前もって予約していたゲームを受け取るために外出を決めたパラドは以前未来が勧めてくれた白をベースにした上着などを着て出かける。

 

しかし、町中を歩くと何やら騒ぎが起きているのに気がつき、急いで現場に向かう。

するとそこには、柄の悪そうな少年に囲まれる未来達の姿があった。

 

 

「嫌っ!離してください!」

必死に少年の手から逃れようとしている未来の姿を見ると、パラドの足は自然と動いていた。

 

 

 

「あ?何すんだよ!?」

手を掴まれた少年が睨むが、今まで多くの戦いをくぐり抜けてきたパラドにとっては全く脅威に感じなかった。

 

「お前こそ、俺の友達に何してんだ」

無意識のうちにパラドは少年の腕を捻りあげていた。

 

 

「いっ!痛たたたたっ!?」

リーダーの少年がやられたのを見て、他の少年達が一斉にパラドをリーダーから引き離そうとする。

 

「ほらよ」

目の前から走ってきた少年に対しリーダーを投げつけるかのように差し出す。

 

「何だよ、誰かの彼氏か何か?」

リーダーは手首を押さえながらパラドを睨む。

「ただの友達だよ。でもこいつらに手を出したりして…

 

 

 

 

 

 

俺の心を滾らせるな…?」

リーダー以上の殺気がパラドから溢れ、少年達は気がつかないうちに後ろに下がっていた。

 

「下がるなら俺は何もしない…未来達に手を出すなよ…」

パラドに恐怖を感じた少年達は一斉に逃げ出した。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

「ありがとね、パラド」

不良少年達が去ってから数分後。

パラドがゲームを予約した場所が未来達の向かう予定だった店だと知り、5人で目的のアニメショップまで歩いていた。

 

「でも将也と一緒じゃないなんて珍しいわね?」

「ああ…あいつはここんとこずっと仕事場に篭ってるからな。新しい力を使いこなすための特訓もあるから正直、今日は響が連れて帰ってくれるって言ってたから助かったよ」

 

ガシャットギアデュアルβの副作用を克服するため、将也はこの3日間マリアや翼、時には弦十郎を相手にレベル50で模擬戦を続けていた。

だが、今日は響が家に泊まるというので久しぶりに家でゆっくりするだろう。

もしまだ仕事漬けの状態になっても、響がいれば無理にでも連れて帰ってくれるので助かることに変わりはない。

 

「俺は今日という休みを楽しく過ごすだけだよ」

 

 

 

 

 

その後、目的のショップに到着したパラドは手早くレジで目的のゲームを受け取り未来達と共に様々なアニメDVDや最新のCDを見て回った。

 

「お!翼とマリアのコラボCD、発売されてたのか!将也に買っておくか」

キャロル達の宣戦布告が始まる直前のイベントでマリアと翼がデュエットで歌っていた『星天ギャラクシィクロス』や2人が初めてクロスした際に歌っていた『不死鳥のフランメ』が収録されているコラボCDを発見し、パラドは購入を決める。

 

 

「あれ?ぱららん、せっかく職場に本人がいるのにわざわざショップで買うの?」

創世が疑問に思ったのは、同じS.O.N.Gに所属しているパラドならわざわざ購入せずともマリア達に頼んで手に入れることも出来たのではないかということ。

 

 

「おいおい、こういうのは日々稼いで購入することに意味があるんだよ?俺はゲームでも特殊コードでアイテムをゲットするなんてしないからな」

 

 

コネは使わず、キチンと稼いで購入することに意味が有る。これは将也と20年間一緒に生きてきたパラドなりのこだわりでもあった。

 

 

「そうだね…じゃあ、私も響が帰ってきた時のために」

明日にでも帰ってくる響にと未来もCDを手に取り、2人はそれぞれ会計を済ませる。

 

 

「さて、お次はふらわーに行きますか!」

創世が言った『ふらわー』という言葉に興味を持つパラド。

 

「ふらわーって?」

「前のリディアンがあった場所の近くにあるお好み焼きのお店。入学してからよく行ってるんだよ」

 

未来達に連れられ、パラドはふらわーに向かうこととなった。

 

 

―――――――――――

 

 

やや年季の入った小さな建物に入るパラド達。

店の中では穏やかな笑顔が特徴的な中年女性が店番をしていた。

 

「こんにちは!」

店に入るなり、未来が声をかける。

 

 

「あら、未来ちゃん達!久しぶりだね!」

「えへへ…久しぶりにおばちゃんのお好み焼きが食べたくなって…」

おばちゃんは、未来の後ろにいたパラドに気が付く。

 

「あら?未来ちゃん、ひょっとして後ろのイケメン君って未来ちゃんの彼氏?」

「ええ!?ち、違いますって!」

顔を真っ赤にしながら否定する未来。

 

 

「そ、それより今日はここのお好み焼きを彼に食べてもらいたくて連れてきたんです!」

すぐさまパラドの手を引っ張る未来。

 

その後ろでは弓美達がおばちゃんと目が合い、互いに何かを察したかのような表情を浮かべた。

 

 

 

―――――――――――

 

 

目の前でひっくり返されるお好み焼きを、パラドは子供のように目を輝かせながら見ていた。

「これが…お好み焼きか…!」

 

実を言うとパラド、これまでお好み焼きを食べた事がなかったりする。

 

バグスターとして永夢達と一緒にいた頃は食べなくても平気だったし、グラファイトのようにおやつとしてケーキを食べるようなこともなかった。

 

将也の遺伝子を取り込んだことで人間に限りなく近い体になって、食事が必要にはなったがそれでもまだ2~3年ほどしか経っていない。

 

そのため、まだ食べたことのないものは意外と多いのだ。

 

「パラドさん、本当にお好み焼き食べたこと無かったのですね…」

詩織が意外そうに言うが、お好み焼きに目を奪われていたパラドには彼女の言葉は聞こえていなかった。

 

 

 

「心が踊るなぁ…未来、食べてもいいか?」

「ふふっ、ちょっと待っててね…」

出来上がったお好み焼きを切り分けてパラドの皿に乗せる未来。

 

「はい、パラドの分」

「あ、ありがとう…」

未来の笑顔に赤面しながらも早速渡されたお好み焼を食べるパラドだが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、美味い…!」

瞬時にパラドはお好み焼の虜となった。

 

「なんだこれ…今まで食べたことのない食感…そしてこのソースも、最高に美味すぎる…!」

「パラド、気に入ったみたいね」

目を輝かせるパラドの姿は、まるで子供のようだった。

 

「もう、パラドったら…口周り汚れてるよ?」

未来はパラドのおしぼりを手に取り、パラドの口を拭った。

 

「わ、悪いな未来…」

「もう、そんなに慌てなくてもいいのに」

クスリと笑う未来だが、その優しい笑顔を至近距離で見たことでパラドはドキッとした。

 

 

――――――――――

 

その後、創世達と別れパラドと未来は帰り道を歩いていた。

響がいない今日、未来一人で夜道を歩かせる訳にはいかないというパラドなりの気遣いである。

 

 

「今日はありがとうね、パラド」

横を歩きながら未来はお礼の言葉を口にする。

 

「どういたしまして。何かあったらいつでも呼んでくれもいいんだぜ?」

「ふふっ、そうするかもね♪」

 

2人で歩いていく中、未来はふと思ったことを口にした。

 

「パラドにとって将也君って…どういう人なの?」

未来が気になったのは目の前の青年と将也の関係。

聞く所によると自分と響のような『幼馴染』の関係とは違い、パラドと将也は同じ目的で戦う謂わば『兄弟』に近い関係。

 

だが、そう言った言葉では足りない気がして未来は聞いたのだ。

 

 

 

「…あいつは、もう一人の俺でもある」

ゲムデウスを追ってこの世界に来たとき、将也とパラドは一つの存在となっていた。

永夢と同じ、かけがえのない相棒でありもう一人の自分。

 

「『俺がお前で、お前が俺』。俺達はいつだって2人で戦い続けてきた、欠かせない相棒って奴さ」

「相棒…か…」

 

 

どんなに苦しい戦いでも、パラドは将也と一緒に戦っていられる。

それが未来には少しだけ羨ましく感じた。

 

 

「…私は、響が帰って来れる場所でいられるようにするって決めたけど…将也君といつでも一緒に戦えるパラドが、ちょっとだけ羨ましいな…」

 

フロンティア事変のときに響を助けたい一心で装者になった未来は、自らの力で逆に響を死に近づけていた事を知り、最終的には響に助けられた。

ギアの力を失ったことに後悔はないが、自分達と違い互いに手を取り合って戦える将也とパラドの姿を見てつい自分と響がこうなれたらと思ったことはあったりする。

 

 

 

「最前線で拳を振るうだけが、戦いじゃないだろ?」

パラドは足を止め、未来に話す。

 

 

「俺達はノイズやバグスターと戦うのがメインだけど、それだけじゃ戦い

はできない。他の誰かが逃げ遅れた人を助けるのも、オペレーターの朔也やあおいが情報を集めてくれるのも大事な戦いだ」

 

パラドがまだ永夢達と敵対していた頃、彼は幾度となく永夢達を観察していた。

その中で永夢達が戦う中、人々を戦火から遠ざけていた人物がいる。

CRのバグスターだったポッピーピポパポと、大我と組んでいた少女、西馬ニコ。

仮面ライダークロニクルが始まるまで前線で戦うことができなかった2人は、自分なりの方法で永夢達ライダーの力となっていた。

 

 

「そして未来。お前がいつだって笑顔で待っているから、響は安心して戦えるんじゃないのか?」

響の帰る場所は、自分が守る。

それは、あの日誓ったことだった。

 

「…そう、だったね。ありがとう、パラド」

胸に抱いていたモヤモヤが晴れ、未来とパラドは共に帰路に着いた。

 

 

――――――――――

 

数十分後、未来と響の暮らしているマンションの扉の前に着く。

「じゃあ、俺はこれで…」

「あ、待って!」

未来はパラドの服の袖を掴む。

 

 

「未来…?」

「えっと、その………これからも、パラドのことを頼っていい、かな…?」

「え…?」

 

慌てて両手を振る未来に、パラドは唖然とした。

 

 

「そ、その!また何か私が悩んだとき、パラドに話を聞いてもらってもいいかなって…思ったり…」

普段とは少し違う未来の様子にパラドは僅かながらドキッとしたが…

 

 

 

 

 

 

 

「当たり前だろ。いつだって頼ってくれよ?」

「う、うん……」

無意識のうちに、パラドは未来の頭をそっと撫でていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰り道、パラドは夜空に浮かぶ欠けた月を見ながら呟く。

「…何なんだろうな、この気持ちは…」

 

未来が不良に絡まれているとき、言いようのない不快感が胸の奥から溢れてきた。

 

未来が自分に笑顔を向けると、心が温かくなるような感覚がした。

 

 

彼女と一緒にいると、心臓の鼓動が速く感じた。

 

 

「…心が、高鳴る…」

 

 

今まで感じたことのない心に戸惑うパラド。

 

やがて、パラドはその感情がなんなのか、察したらしい。

 

「マジか………俺、あいつに…未来に…」

 

この日、一人の戦士が新しい感情を知った。

人間に近づいたバグスターがこの想いを告げる日は、いつになるのだろうか…?

 

 

To Be Next GAME…?




次回、シンフォギアエグゼイドは!

「何で、今更あの夢を…!」
忌まわしき悪夢が、クリスに迫る!

「纏めて引導を渡してあげましょう!」
ついに現れる、4体目の新型バグスター!
そして…


「ようやく君に逢えた…待ってたよ、クリス!」
「テメェ…どうして!?」
悪夢が現実になり…

「っ!嫌!やめて!やめてえええええ!!」
絶望が幕を明ける…


「お前を今…ここで『殺す』」
《マイティアクション!エーックス!》
《デンジャラスゾンビ!》

「グレードX‐0…変身!」

第21話 再会のNIGHT MARE

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