戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士 作:狼牙竜
思ったより長くなりそうなので前後編に分けることにしました。
後編は数日以内に投稿したいです…
翼編、次回の後編で完結する予定です!
感想、評価が作者のパワーにつながります!
「せやあああ!!」
風魔の忍者刀が出現したバグスターウイルスを切り裂き、消滅させる。
「やるな!だったら俺達も!」
「うん!」
エグゼイドに変身していた将也は、響と頷きあってマイティガングニールのガシャットを起動させた。
《マイティガングニール!ビクトリーエーックス!》
画面が開き、エグゼイドはマイティアクションXのガシャットを引き抜いて代わりにマイティガングニールVXを装填。
「スペシャル大変身!」
《ガッチャーン!レベルアーップ!》
《正義を信じ!握った拳!(全力!)絶対勝利のマイティ!(ファイト!)ガングニール!》
響のガングニールの装甲がコピーされてエグゼイドに装着され、ガングニールゲーマーへと変身した。
「「ノーコンティニューで、クリアしてみせる!」」
事前に訓練用のLINKERを投与していたお陰か、将也のバイタルに異変は起きていない。
エグゼイドはガシャコンストライカーをナックルモードにして、響と一緒に走る。
「せああっ!」
「てええやああ!!」
エグゼイドの拳はオレンジの光を纏い、響の拳は黒いオーラを纏いながらアルカ・ノイズを殴る。
すると、アルカ・ノイズが集まって巨大なイモムシのような形に変化した。
「えええ!?何か巨大化したよ!?」
響は慌てるが、エグゼイドはガシャットをドライバーから抜き取ってガシャコンストライカーに装填する。
「被害が広がる前に倒すぞ!」
「うん!」
「ですね!」
風魔も横に並び、キメワザスロットホルダーにガシャットを装填した。
《ガッシャット!キメワザ!》
忍者刀をクロスさせ、風魔は必殺技を発動させる。
《ハリケーン!クリティカルストライク!》
十字に放たれた光の刃が、巨大アルカ・ノイズにダメージを与える。
《ガングニール!クリティカルフィニッシュ!》
響のガングニールは再びイグナイトモードになり、エグゼイドと並んでアルカ・ノイズめがけて流星のように突っ込む。
「「ハアアアア!!」」
オレンジと黒の光がアルカ・ノイズを貫き、アルカ・ノイズは消滅した。
――――――――――
翼達の穴埋めとして緒川が仮面ライダー風魔に変身するようになってから3日経ち、敵もアルカ・ノイズを散発的に召喚する程度の状態が続いていた。
もうまもなくマリア達も戦線復帰を果たせそうだったが…
「準備はいい?」
「あ、ああ…」
訓練用のシミュレータールームで、翼は天羽々斬を握りながら不安そうな表情で答える。
以前の戦いによるトラウマからか、翼はあの日以来シンフォギアを纏うことができずにいた。
「Imyuteus amenohabaki…グッ!」
唄を唱えようとしても途中で声が出ず、シンフォギアも起動しない。
「やはり…無理なのか?」
またしてもギアを纏うことができず、翼の焦りは増すばかりだった。
――――――――――
その夜。本部の潜水艦から降りた翼は、夜空を眺めていた。
「…もう、私は戦えないのか?」
天羽々斬のペンダントを見つめるが、何も変わらない。
すると、後ろから白いジャケットをかけられる。
「…宝条か」
「今は夏だけど、夜はまだ寒いんだからちゃんと着とかないと。体調崩したら大変なんだからな?」
横に座る将也だが、翼はポツリと話し始めた。
「…お前は、どうして仮面ライダーになる道を選んだのだ?」
パラドから聞いた限り、将也は確かに生まれながらにして仮面ライダーとなる宿命を背負っていたのかもしれない。
だが、九条ハヤトがレーザーになっていたように、他の人物が仮面ライダーとなることも可能だったのだ。
にも関わらず将也は自らが戦う道を選び、今こうして翼達とともにいる。
「そうだな………
自分の明日が知りたかったから…かな?」
「自分の明日?」
将也はポケットからマイティアクションXのガシャットを取り出す。
「実は…仮面ライダーになる前、進路のことで迷っててさ…ゲームの大会で優勝して、このまま本格的にプロゲーマーを目指すか、医者としての勉強をするかって…」
すでに世界ではプロゲーマーという職業があるくらい、昔と比べてコンピューターゲームに対しての理解は変化している。
それでも、将也はどっちの道を選ぶべきか迷い続けていた。
「そんな時、パラドが僕の体から実体化して、チャンスをくれた。ゲームと医療、交わらない2つの道を突き進めるかもしれないって思えたんだ」
大好きなゲームだが、成功の報酬は人間の命。
失敗すれば、人の命が失われるかもしれなかった。
「正直、怖かったよ。僕が負ければ、誰かが消える。それでも戦おうと思えたのは…最初の患者が、僕の弟だったから」
宝条修平。将也の弟で、ソルティに感染していた最初のゲーム病患者。
戦いを躊躇っていた将也を後押ししたのは、修平の言葉だったのだ。
『兄貴は、どんな場面でも負けない天才ゲーマーMだから絶対に勝てる』
「修平は僕を信じてくれた。だからあの日、僕はガシャットを手に取って、仮面ライダーに変身したんだ」
消滅という運命を変えるため、将也は恐怖を乗り越えてエグゼイドに変身。
見事にソルティを撃破した。
「翼にだっていたはずだよ?背中を押してくれた、大事な人が」
将也は立ち上がると、白衣についた砂を払う。
「忘れてるんじゃないか?一番大切なことを」
「一番大切な…ことか」
アドバイスをした将也は、いつの間にか姿を消していた。
――――――――――
チフォージュ・シャトーの一室で、上葉は一向に翼がゲーム病を発症しないことに苛立ちを覚えていた。
「どうなってる…?いくらなんでも、進行が遅すぎる」
ゲーム病の進行が遅すぎることに苛立つが、上葉の前にファラが現れた。
「あらあら。ご存知ないのですか?」
「お前…何か知ってるのか?」
睨みつける上葉を嘲るかのようにファラは語る。
「マスターからの情報によれば、どうやら以前貴女が戦ったゲンムには、ゲーム病を抑制する力があるとの話です」
それを聞いて上葉は納得した。
ここまで翼のゲーム病が進行しなかったのは将也の仕業だということを理解し、素早く立ち上がる。
「だったら…今度こそ奴を削除する!」
愛用の剣とプロトガシャットを手に取り、上葉はワープ能力を使ってその場から消えた。
「さて…どうなることやら」
――――――――――
翌日の昼過ぎ。ギリルとアモンの目撃情報が入り装者達と将也、パラドが集められる。
「よりによって、まだ私達が戦えないときに…!」
マリア達の傷はほぼ治ってはいるが、まだ出撃は許可できる状況ではなかった。
今出撃できるのは、怪我からいち早く復帰したパラドと、これまで前線で戦ってきた響、緒川、将也の4人。
「すまないが、4人で対処してもらうしかないが…」
「いいえ。4人じゃなく5人です」
将也の言葉に誰もが耳を疑う。
「翼には、ギリルの切除を手伝って欲しい」
「な!?私が!?」
将也に指名された翼は驚く。
「でも、まだ先輩はギアを纏えないんだろ!?どうしてわざわざ…」
クリスが詰め寄るが、将也は冷静に説明を続けた。
「翼が再び戦えるようになるためだ。多少荒療治だが、翼の抱えるトラウマを払拭するにはその原因を乗り越えるのが一番だからな」
将也は白衣に袖を通すが、翼は俯いたまま動かない。
「…無理だ。私は、まだ思い出せない…!」
昨晩将也に問われた、一番大切なものを翼は未だに思い出すことができないでいた。
戦いよりも先に、彼女の心には自分への恐怖が残っていたのだ。
「……」
将也はそれっきり何も言わず、司令室を出ていこうとしたが…
「翼。お前の歌はその程度か」
「……何…?」
振り返ることなく、将也は口にした。
「お前を信じた相棒は、最期までお前を信じてくれたんじゃなかったのか?天羽奏の最期の歌を、その思いを!無駄にするほど愚かな女だったのか?」
「折れた剣になったとしても、今の翼はその欠片で戦う心も、抗う心すらもう無いのか…?」
その言葉に翼はハッとし、周囲は戸惑う。
「ちょっと!待ちなさい!」
マリアが手をつかもうとするが、将也はそれを無視し、響とパラドを連れて司令室を後にした。
「あいつ…!いくらなんでも言って良い事と悪い事があんだろうが!」
「将也先輩…どうしてあそこまで…?」
クリスと切歌がそれぞれの言葉を口にするが、翼は将也の言葉が頭から離れなかった。
―――――――――――
「どこだ…!どこにいる!?」
上葉はギリルに変身し、アモンやアナザーパラドクスと共に街中で破壊活動を行っていた。
「風鳴翼…!」
やがて、彼女らがたどり着いたのは、翼がかつて通っていたリディアン音楽院。
「ちょうどいい…!」
翼の母校を破壊し、彼女にストレスを与える作戦を思いついたギリルは斬撃を飛ばして校舎を破壊しようとするが…
「おおおりゃああああ!!」
ガングニールを纏った響が間に入り、ロボットゲーマーとなった状態で斬撃をかき消す。
「させない…リディアンは、壊させたりしない!」
しかし、爆発音を聞きつけた生徒達が様子を見に来ようとする。
「響!先にそいつらを引きつけておけ!正体がバレるのは避けるべきだ!」
「わかった!」
将也がバイクゲーマに乗った状態で現れ、響はギリルと戦いながらリディアンから離れる。
「将也君!これって…?」
爆発を聞きつけた未来と、詩織達が駆けつける。
「皆!バグスターが出た。生徒たちをシェルターの方に避難させて欲しい」
「わかった!まさやんも気をつけて!」
久しぶりに聞いた創世のあだ名に脱力しそうになるが、将也は頷いて二つのガシャットを起動させる。
《タドルクエスト!》
《ドラゴナイトハンター!ゼーット!》
画面が開き、ハンターゲーマが周囲を回転している状態で将也は叫ぶ。
「術式レベル5、変身!」
《ガッチャーン!レベルアーップ!》
二つのゲートをくぐり、将也はブレイブ・レベル2に変身。
《辿る巡る!辿る巡る!タドルクエスト!》
《アガッチャ!ド・ド・ドラゴ・ナ・ナ・ナ・ナ~イト!ドラ!ドラ!ドラゴナイトハンター!ゼーット!》
ハンターゲーマを装着してレベル5(フルドラゴン)にレベルアップを果たした。
「まさか、たかがレベル5で私達に挑むつもりですか?」
ブレイブの姿を見たアモンは鼻で笑う。
「問題ない…俺だけじゃないからな!」
すると、パラドクスがブレイブの横にテレポートで出現し、アナザーパラドクスがアモンの前に立った。
「将也。手筈通りに…」
「ああ…」
ブレイブは、パラドクスに『あるガシャット』を手渡す。
「これより、ギリルバグスター及びアモンバグスター、アナザーパラドクス切除手術を開始する!」
「ノーコンティニューで、クリアしてやるぜ!」
――――――――――
「はあああ!!」
左腕の強化アームで威力を増した響の拳がギリルに迫り、ギリルは剣で受け止める。
「くっ!ここまで重いなんて…」
どうにか響の拳を流したギリルは、ガラ空きになった響の背中に剣を振り下ろす。
「させるか!」
が、直前でブレイブが飛んできてドラゴナイトブレードで受け止める。
「宝条…将也…!しぶとい男が!」
「生憎、そう簡単には死にたくないからな!」
ギリルを弾き飛ばし、左腕の銃に電流を纏わせた状態で突き立てゼロ距離でプラズマ砲を放った。
「ぐうっ!」
「もらった!」
すかさず、響が全力で殴りギリルは大きく後ずさった。
「させませんよ!」
が、アモンの剣から氷の矢が無数に放たれ、響とブレイブを襲う。
「うわっ!?」
「響!」
ブレイブは響の前に立ち、上半身のドラゴナイトファングから炎を吐いて氷の矢を溶かしたがその隙に詰め寄られる。
「っ!やば―」
次の瞬間、アモンの持つ盾がブレイブの顎に直撃した。
――――――――――
「宝条!」
吹き飛ばされたブレイブの姿を見て、翼が叫ぶ。
だが、響と戦うギリルの姿を見て、手が震えているのに気が付く。
(どうして…どうして、私の体は動かない?)
すると、緒川があることを口にする。
「………翼さん。何故、宝条君がさっき貴女にあそこまで言ったのか、わかりますか?」
「…え?」
いつになく厳しい表情の緒川に、困惑する装者達。
「彼は、信じているからですよ。自分の明日を切り開いてくれた貴女達、シンフォギア装者を」
映像内ではふらつきながらもアモン、ギリルと闘いを続けるブレイブの姿が。
「彼が言っていました。翼さんの歌は、戦いの道具じゃないって。ずっと前から、宝条君は翼さんの存在を心の支えにしていたんです」
それはまだ将也がエグゼイドに変身する前。
ゲーム大会で思うような結果が出せず荒れていた時期の将也は、友人から新たに登場した二人組のアーティストを教えてもらった。
それこそが、翼と奏が結成していた『ツヴァイウィング』である。
それまで音楽に興味の無かった将也だったが、ツヴァイウィングの曲を聴いてからは彼女達の歌を気に入り、大会前に集中力を高めるために聴くまでに至った。
それは、奏が死んで翼が一人で歌い続けることになっても変わらなかった。
「大事な相棒を失っても、多くの人の笑顔のために歌い続ける翼さんの姿は、宝条君の心を知らないうちに支えていたんですよ」
医者としての夢を叶えるための勉強。
仮面ライダーとして人々を救う戦い。
辛く、苦しい日々を乗り越えられたのは、風鳴翼の歌に励まされたからだ。
「彼は言っていました!憧れだった翼さんと出会えて、そのまっすぐな思いを知ることができて!宝条君は翼さんを好きになったんです…!」
映像ではギリルとアモンの攻撃を受けながらも立つブレイブに、ギリルが聞いた。
「何でしぶとく立ち上がる?そこまでしてあの女が大事なのか?」
装甲の一部が汚れているが、ブレイブは疲れを見せないように立つ。
「当然のこと聞くなよ…翼だけじゃない!響も、クリスも、マリアも、切歌も調も!俺が本気で惚れた女だ…」
ブレイブは、ガシャットをキメワザスロットホルダーに装填。
《キメワザ!》
「惚れた女の命も救えねぇような男には、なりたくないんだよ!」
《ドラゴナイト!クリティカルストライク!》
ドラゴンの咆哮が聞こえ、ブレイブは龍のオーラを纏った状態で飛び上がる。
「でええやあああああ!!」
アモンはバリアを張って攻撃を防ぐが、ブレイブはドラゴナイトガンでバリアを撃ちながらキックを続ける。
「ぶっ壊れろおおお!!」
バリアにヒビが入り、ブレイブのキックがアモンに直撃。
したように見えたが………
「やはり、レベル5の力ではこれが限界ですか」
アモンは、盾でブレイブのキックを防いでいた。
「なっ!?」
今度は、盾を押してブレイブをよろけさせるアモン。
そのまま、剣でブレイブを切り裂いて蹴り飛ばす。
「うわあああ!」
「将也君!」
響が振り返るも、ギリルが背後から響を斬る。
「ぐうっ!?」
倒れる響とブレイブを前に、アモンは剣を掲げる。
「アランブラのものとは威力が違う、私の最大魔法をくらいなさい」
巨大な魔法陣が響とブレイブの頭上に出現し、膨大な魔力が集まる。
「終わりだ!クダケ・チール!」
落雷のような破壊力の攻撃魔法が響とブレイブを襲い、爆発した。
――――――――――
爆発音を聞き、思わず翼は目をそらす。
だが、あおいの言葉に驚きを隠せなかった。
「ほ、宝条君の変身、解除されていません!」
画面を見ると、レベル2の状態になりながらもまだ立ち上がるブレイブの姿が。
「ですが、今の攻撃でライダーゲージが47%まで削られました!」
「司令!今から向かいます!」
緒川はゲーマドライバーライトとハリケーンニンジャガシャットを手に走り出すが、翼はボロボロの状態で戦う将也の姿に見入っていた。
(宝条…お前は、そんな状態でもまだ…)
ボロボロの状態になり、左腕に装着されていたシールドは破壊されている。
もうまともに戦えるのかも疑問に思うレベルのダメージを受けているにも関わらず、ブレイブは戦いを続けていた。
「なぜだ!?なぜ、倒れない!?」
「翼を…俺の大事な女を、そして俺の患者を救うためだ!」
ガシャコンソードにガシャットを装填し、必殺の斬撃を放つ。
《タドル!クリティカルフィニッシュ!》
炎の刃がアモンの足元を吹き飛ばす。
「俺は本当の医者じゃないけどな…翼のゲーム病を治すのは、あいつの主治医になった俺が果たすべきことなんだ!」
必殺技の反動でついに変身が解除されてしまうが、将也はそれでもガシャコンソードを握りながら生身で戦う。
「戦う気力もなくなった、腑抜けた女のために命を張るとは!」
ギリルは響を吹き飛ばし、将也に襲いかかる。
「翼の心は……例え折れたとしても、さらに強くなる!」
「お前らがどんなことをしても、あいつの心を壊すのは絶対にできないんだよ!」
その言葉を聞いて、翼は拳をグッと握ると司令室を出ようとする。
「翼!」
弦十郎の呼びかけに止まるが、翼は振り返る。
「司令………
私は、自分の使命を果たしに行ってきます」
「………なら、約束しろ。5人で帰ってくるとな」
小さく頷いた翼は、司令室を出てバイクのある格納庫に入ると愛用の青いバイクに跨り、エンジンをかける。
「宝条………私は、答えを見つけた…!」
――――――――――
すでに10分ほど経過したが、将也は依然生身の状態でアモンに抗い続けていた。
「将也君!」
ふらつくが、何とか響が支える。
「響……悪い…」
「ううん。でも…」
状況は最悪の一言。パラドもアナザーパラドクスを相手にしており、こちらへの助っ人は望めない。
だが…
「変身!」
《マキマキ竜巻!ハリケーンニンジャ!》
一筋の風と共に将也達の前に現れたのは…
「緒川…さん…!」
「お待たせしました!」
2本の忍者刀を構えた、仮面ライダー風魔。
「後は僕が何とかします。今のうちに離脱をしてください」
「無理言わないでくださいよ…いくらなんでも、今の風魔であの2体には…!」
変身者のスペック底上げがあまり期待できないゲーマドライバーライトを使ってもレベル4相当の力を引き出せる緒川だが、相手はこれまでとは比べ物にならない強さの上級バグスター。
さらにエナジーアイテムによるパワーアップをしようとしてもアモンやアナザーパラドクス達がガシャットギアデュアルβを所持している限り、アイテムの効果もかき消されてしまう。
正直言ってクリス達の援軍が来れない分、ショッピングモールの戦いよりもピンチかも知れない。
すると、ギリルが風魔に刃を振るってくる。
「ううっ!」
忍者刀をクロスして防ぐが、ギリルは嘲笑うかのように声をかけた。
「そのドライバーで私達にくらいつくどころか、レベル4相当の力を有しているなんて人間にしては強いみたいだけど…!」
ギリルの肩にある狼のオブジェクトから衝撃波が放たれる。
「うわっ!」
体勢が崩れるが、すぐに距離を取る風魔。
「逃がすか!」
だが、後ろに回っていたアモンが剣で攻撃して、挟まれてしまう。
「人間一人で私達を相手するなんて、随分無茶苦茶な真似してくれたわね!」
アモンとギリル、2体の斬撃を続け様にくらい、風魔は弾き飛ばされる。
「こうなれば一気に!」
キメワザを発動させようとする風魔だが、突如ゲーマドライバーライトに電流が流れる。
「まずいか…!」
急ごしらえの試作品にしては十分持ち堪えたが、そろそろドライバーの限界が近づいていたらしい。
すぐにガシャットをキメワザスロットホルダーに装填し、ボタンを押す。
《ガッシャット!キメwAzあ…》
必殺技を放とうとしたが、ガシャットから流れる音声がバグる。
そして、電流が風魔の体を襲い、ドライバーが損壊。強制的に変身が解除されてしまった。
「緒川さん!」
響が慌てて間に入るが、現在戦えるのは響一人。
将也にフォニックゲインを分けて回復させようにも、その瞬間に攻撃されるのは目に見えている。
「もう終わりだな…」
「さらばだ…仮面ライダー、ガングニールの装者…!」
ギリルが剣を構えたその時…
「Imyuteus amenohabakiri tron…」
聞き覚えのある唄が聞こえ、一同が振り返ると…
天羽々斬を纏った翼が、バイクを駆りながら現れた!
「翼さん!?」
「待たせたな…立花」
その姿は、この間までの弱々しい雰囲気は感じられず、今までのように防人としての姿を体現した翼だった。
「お前…私に感染しているくせに、よくそこまで動けるものね…!」
ギリルは忌々しそうに翼を睨むが、翼は将也達の前に立つ。
「お前のウイルスの力など…今の私には無力だ」
「私はようやく、自分の思いと向き合うことができた。今まで、剣として戦ってきた私は全てを捨てたつもりだった…!」
アームドギアの刀でギリルと鍔迫り合いになる。
「だが、私は変わることができた!立花が、雪音達が思い出させてくれた!友と一緒に戦うことを!」
ギリルを押し返し、もう一本のアームドギアで攻撃する。
「そして宝条は、今まで知らなかった感情を教えてくれたんだ!」
二つのアームドギアを連結させ、炎を纏わせながら走る。
『風輪火斬』
一瞬ですれ違い、ギリルの刀に亀裂が入った。
「な…!?どうして、私の剣にヒビが…!?」
「私を強くしてくれたのは…」
「宝条と出会えたことで………誰かを愛することを知ることができたからだ!」
翼の言葉に反応するかのように、将也の両目が赤く輝く。
それと同時に、将也の研究室に安置していたブランクガシャットの1本が翼の手に収まる。
「ガシャットが…」
真っ黒だったガシャットは天羽々斬と同じ、青いガシャットに変化。
ラベル部分には武士の甲冑を纏ったブレイブと、天羽々斬を纏った翼のシルエットが描かれ、ゲームタイトルも表示されている。
「宝条…そのガシャットは…」
「これが…俺と翼の力だ…!」
立ち上がった将也は、再びゲーマドライバーを装着し、ガシャットを構えて起動させる。
《月光・天羽々斬!》
タイトルが背後に表示され、ガシャットを通じて翼のフォニックゲインが将也に分け与えられ傷を塞ぐ。
新たなガシャットに警戒するバグスター達だが、将也と翼は目を合わせると互いに頷く。
「術式レベルスペシャル…変身!」
《ガッシャット!》
ガシャットを装填し、素早くレバーを開くとセレクトパネルが展開。
その中から『翼とブレイブが背中合わせになっている』パネルを見つけ、左手を真横に伸ばして選択。
《ガッチャーン!レベルアーップ!》
将也の姿はブレイブ・レベル2に変わり、翼の天羽々斬のパーツが輝いてコピーされ、ブレイブの周囲を回転。
《月光に輝け!天羽々斬!》
天羽々斬の装甲パーツがブレイブの各部に装着され、マスクには翼が付けていたものと同じヘッドギアと、新たに2つの角が特徴的な武将を思わせるパーツが追加される。
「翼さんの天羽々斬を…宝条君が!」
「これが…新しいシンフォギアガシャット!」
緒川と響は、目の前で誕生した新しい力に驚くばかりだった。
それは当然、司令室でも…
「マジかよ…今度は先輩まで!?」
「翼と宝条の想いが…通じ合ったってこと?」
クリスとマリアがそれぞれの考えを口にする中、『仮面ライダーブレイブ・天羽々斬ゲーマーレベルSP』はガシャコンソードとアームドギアの剣を持ちながら宣言する。
「これより、バグスター切除手術を開始する!」
To Be Next GAME…?
仮面ライダーブレイブ・天羽々斬ゲーマーレベルSP
変身音『月光に輝け!天羽々斬!』
曲調はタドルファンタジーと同じ。
変身に用いるのは『月光・天羽々斬』ガシャットで、変身音だけ翼の声に変わっている。
戦法はガシャコンソードと天羽々斬のアームドギアを用いた二刀流がメインとなっている他、天羽々斬の技である『逆羅刹』の応用で格闘も得意。
『影縫い』以外の天羽々斬の技は一通り使用可能。
弱点はガングニールゲーマーと共通しており、翼の楽曲が響の曲と同じ長さであることから、制限時間はガングニールゲーマーと同じ。
また、ガングニールゲーマーがエグゼイドしか変身できないのと同じで、天羽々斬ゲーマーに変身できるのはブレイブの姿だけである。
次回に続きます!