戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士   作:狼牙竜

35 / 63
お待たせしました、第17話です!
今回から3話ほど翼メインのストーリーとなる予定ですが、思った以上に文字数が多くなってしまいました。
そして今回は『ナルカミトオル』さんからの案であるバグスターを登場させました!ナルカミトオルさん、ありがとうございます!

先日、ようやくエグゼイドトリロジーのブレイブ&スナイプ、パラドクスWithポッピーが届き、お陰でエグゼイド分を補給できました!

感想、評価が作者の力になります!

OP EXCITE
挿入歌 With in the dark
ED Rebirth‐day


第17話 折れた剣とZEROの力!

クリスの叫びからおよそ10分。

現在、将也と響は病室のベッドの上に座らされていた。

 

「…えっと…あなた達の関係って…『そういう事』でいいのよね…?」

マリアが質問するが、肝心な部分をぼかす。

 

 

「ああ。僕は、響と交際することになった」

あえてはっきりという将也。

その言葉に全員が動揺するが、その中でも動揺が大きかったのは調、切歌、未来の3人。

 

「本当なの…響…?」

未来は声が震えながらも響に聞く。

響が頷き、未来はバランスを崩して倒れそうになった。

 

「未来!」

咄嗟にパラドが未来の手を取って支えるが、未来は明らかに顔色が悪い。

 

 

 

それでも話を続けなければならないと考え響と将也は説明を続けた。

 

 

 

 

「………本題はここからなんだ」

将也の真剣な口調に、緊張が走る。

 

「僕は確かに響が好きだし、互いに好きだから付き合っている」

 

 

「だけど、僕が好きなのは響だけじゃない」

 

その言葉に、マリアが驚く。

 

「ひょっとしてそれって…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ。僕は翼も、クリスも、マリアも、調も切歌も、皆のことが好きになったんだ…!」

 

 

 

「「「「「………ええええええええ!?」」」」」

将也の爆弾発言に今いる場所が医務室だということも忘れ、叫ぶ5人。

 

未来に至っては顔が青ざめ、エルフナインは情報量の多さに目を回し、パラドは額を抑えていた。

 

「そ、それってもしかして…」

「先輩…私と切ちゃんのことも好きって…ことですか?」

 

将也は静かに頷き、切歌達は驚きと喜びに声が出なかった。

 

 

「お前…本気で言ってんのか…?」

クリスが聞くが、将也は正面から返す。

 

「本気じゃなきゃ、絶対に言わないよ。これは僕の、紛れもない本心だ」

全員が驚く中、未来は思わずその場から走り出してしまう。

 

「未来!」

響が追いかけようとするが、パラドがそれを止める。

「未来は俺が追いかける。だから将也…」

パラドは鋭い目で将也を見つめる。

 

 

「あとでちゃんと俺達にも説明しろよ」

「ああ…わかった」

パラドは踵を返し、未来を追いかけていった。

 

 

――――――――――

 

パラドと未来が去り、微妙な空気が漂う。

が、その中で口を開いたのは翼。

「立花…宝条はこう言っているが、お前の意見はどうなんだ…?」

翼が聞きたかったのは、響の意見。

 

 

「…実は私、最初は将也君に告白するつもりは無かったんです。切歌ちゃんと調ちゃんの気持ちも知ってましたし、翼さんもマリアさんもクリスちゃんも、将也君に対して特別な気持ちを持っているんじゃないかって思ってたので…」

 

正直な話、翼達はそれを否定するつもりはない。

実際、今までいなかったほぼ同年代の男である将也とは距離感が近く、普段の大人達と接するのとは違う気持ちを抱いていたことは間違いない。

 

「でも、将也君が昨日倒れて、私決めたんです。後悔だけはしたくない。だから、私は自分の想いをはっきり伝えました」

その結果、将也が語ったのはみんなと一緒にいたいという願望。

 

「無茶苦茶かもしれないけど、今の私を作ってくれたみんなが幸せになれるのなら私は将也君の考えに賛成します…!」

響のまっすぐな目を見て、翼達はそれぞれの答えを口にする。

「立花の答えはわかった…

 

 

 

 

 

 

 

だが、すまないが私には受け入れられそうもない…」

翼はどこか申し訳なさそうに目を背ける。

 

「…アタシも、先輩に賛成だ。アタシからすれば、お前の考えを受け入れるなんて到底できない」

クリスも翼と同意見である。

 

「そうね…でも、私は切歌達のことも考えておきたいし…どちらかの意見に傾けるのは難しいわ」

マリアが悩んでいるのは、妹分の2人のこと。

 

どちらかというと反対派のマリアだが、切歌達が将也に好意を抱いていたことはなんとなく察していた。

それだけに、マリアは将也の考えを受け入れるか決めかねていたのだ。

 

賛成派の切歌、調と反対派の翼、クリス。そして中立のマリアと意見がばらけてしまうが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然、警報が鳴る。

「!話は後ね…今はとりあえず司令室に…!」

マリアを先頭に走り出す装者達。

 

響が出て行った直後、将也は入院着を脱ぎ捨て普段来ているTシャツと白ジャケットに袖を通して司令室に向かった。

 

――――――――――

 

 

「すみません、遅れました!」

ジャケットを翻して将也は司令室に到着。

すでに司令室には響達だけじゃなくパラドと未来もいた。

 

「宝条君…体の方はもう大丈夫なのか?」

「はい!問題ありません!」

弦十郎は頷くとスクリーンを起動させる。

 

現場には以前と同じように数十体のアルカ・ノイズが破壊活動を行わずに静止していた。

「おそらく、こちらの出撃を待っているのだろうが…」

「放っておけるわけ…ないですね」

 

将也の言葉に頷く弦十郎。

「よし!今すぐに全員出動…」

 

 

「いえ、その必要はありません」

翼の言葉に響と将也が振り返る。

 

 

「立花と宝条は昨日のダメージがあるかもしれません。ですので、今回は私達だけで行きます」

「え!?私も!?」

 

響の言葉に当然と言わんばかりの呆れ顔を浮かべるクリス。

「当たり前だろうが。昨日お前ら無茶を通しすぎたんだから、今日ぐらいは休んどけ!」

 

それを言われると言い返せず、頷く響。

 

「安心しろ。もしもバグスターが出たら俺が代わりに戦う」

ギアデュアルを見せるパラドに、将也は頷いた。

 

「…そうか。頼むぞ!」

走り出す6人だが、クリスは司令室を出る前に将也に声をかける。

「さっきのことだけど、続きは帰ってからだ!」

 

クリス達が走り去って、弦十郎が気になったのか将也に聞いてくる。

「さっきのこと…何かあったのか?」

「えっと…実は…」

 

 

――――――――――

 

 

チフォージュ・シャトー内部。

玉座に座るキャロルはアルカ・ノイズ達が歩いている姿をモニター越しに見ていた。

 

「…こうも続けてゲムデウスの手駒を使うことになるとはな…」

キャロルは以前将也から奪ったプロトマイティアクションXのガシャットを握りながら呟く。

 

「だが…あまり千翼を戦わせるのも…」

キャロルは頭を振り、レイアとミカに指示を出す。

 

「レイア…お前は『奴』を連れて装者を狙え。ミカはもう一人のパラドと…」

キャロルは何らかの指示を出し、プロトマイティアクションXをガシャットケースにしまう。

 

 

ケースの内部には、2つ欠けた『8つ』のプロトガシャットが収められていた。

 

 

――――――――――

 

 

ヘリが到着し、現場に降り立つパラド達。

現場は、山の麓にある廃工場だった。

 

翼達はすでにギアを纏い、パラドはギアデュアルのダイヤルに触れた状態で構える。

やがて、翼達を見つけたアルカ・ノイズが迫るが…

 

「変身!」

パラドがギアデュアルを起動させ、出現したゲートがアルカ・ノイズを蹴散らす。

素早くゲートをくぐり、パラドクス・パズルゲーマーに変身したパラドはエナジーアイテムをかき集め、翼達に投げる。

 

「受け取れ!」

《高速化!》《鋼鉄化!》《伸縮化!》《ジャンプ強化!》《透明化!》

翼、クリス、マリア、調、切歌の順番にエナジーアイテムを取得し、パラドクスは自らに三つのアイテムをかける。

《高速化!マッスル化!マッスル化!》

高速化を得た翼は残像が見えるほどの速さで一気に10体ほどのアルカ・ノイズを切断する。

 

「これでもくらえ!」

クリスはガトリングを連射するが、鋼鉄化の力で弾丸が硬度を増し、い力を上げる。

 

「せあああああ!!」

マリアはアームドギアを蛇腹剣にするが、その状態から伸縮化で刃自体がさらに伸び、より広範囲のアルカ・ノイズを切り刻む。

 

「いつもより…高く飛べる!」

調はジャンプ強化の影響で相手の攻撃が届かない位置までジャンプし、丸鋸を連射。

『α式・百輪廻』

 

「ドロン!デス…!」

透明化で姿を消した切歌は次々と背後からアルカ・ノイズを切り裂く。

 

「見えない刃…受けてみるデス!」

刃を飛ばし、姿を消した刃が敵を切断する。

 

「やるな!だが…」

パラドクスはギアデュアルを操作し、必殺技を発動。

《キメ・ワザ!》

 

「ラストアタックはもらうぜ!」

《パーフェクト!クリティカルコンボ!》

エネルギーが集まり、パラドクスは腰を低くして一気に飛び上がる!

 

「ハッ!セア!でえりゃああ!!」

敵を蹴り飛ばし、その勢いで次々とキックを多くの敵に叩き込む。

《オール・クリア…!》

 

パラドクスが着地すると同時に爆発し、アルカ・ノイズは全滅。

「なんだよ、この程度か…?」

 

 

―――――――――――

 

同じ頃、司令室では…

 

「なるほど…随分と思い切ったことを言ったもんだ…」

将也が、先ほど響達に告白したことを説明していた。

 

「あの…師匠はどう思うんですか?」

「俺か?俺としては………本気で愛しているのなら何も言うまいよ」

 

弦十郎はどこか遠くを見るような目で答える。

 

 

 

 

「…もっとゲスいもん見てきたからな…」

 

 

「え?今、なんて…?」

弦十郎の言葉が小さくてよく聞こえず、将也が聞くが弦十郎は何でもないと答える。

 

 

「ってか、お前羨ましすぎんだろ!響ちゃんに告っただけじゃなく他のみんなまでとか…」

前の方から朔也の文句がブツブツと聞こえたが、将也は映像を見て何かに気が付く。

 

「どうかしたの?」

「いや…」

 

すると、将也の直感が叫び、マイクを手に取って翼達に警告する。

 

「みんな!早くその場から離れろ!」

 

 

――――――――――

 

将也からの指示が聞こえ、パラドクスは上を見上げると降ってくる何かに気がつき、真上にいたマリアを突き飛ばす。

 

「悪い、マリア!」

「え?きゃっ!?」

 

パラドクスは降ってきた『火球』をバリアを張ってガードするが、その威力はパラドクスが想定していた威力をはるかに超えていた。

 

「マジかよ…レベル50で受け止めきれない………うああああ!?」

火球が爆発し、パラドクスが吹き飛ばされる。

 

「パラド先輩!」

切歌が叫ぶが、爆風の中からパラドクスが出てくる。

 

「危ねえところだった…!」

パラドクスは回復のエナジーアイテムでゲージを回復させる。

 

「でも、パラドが押し負けるなんて…」

すると、今度はどこからか斬撃が飛んでくる。

 

「っ!」

翼が咄嗟にアームドギアで受け止めるが、斬撃によってアームドギアに傷が入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の斬撃を止めるなんて、中々やるのね」

現れたのは、何と一人の女性。

 

白衣に身を包み、その手には剣が握られている。

 

「貴女…何者!?」

マリアは短剣を構えるが、パラドクスはその姿を見て思わず叫ぶ。

 

 

「お前…どうしてこの世界に!?」

この女はパラドとも深い関わりを持つ人物。

 

――――――――――

 

 

司令室でも、将也はこの女に驚いていた。

「ありえない…彼女は確かに…!」

「おい、知ってるのかあの女のこと!?」

弦十郎が聞くが、将也は頷く。

 

それもその筈、将也はディレクの時にこの女を見たことがある。

 

 

「何で…この世界にいるんだ………

 

 

武田…上葉…!」

 

かつて黎斗の依頼で永夢とパラドの分離手術を行った、財前美智彦の部下の一人。

パラドのウイルスによって消滅し、バグスターとして復活するも伝説の仮面ライダーの一人、『仮面ライダー鎧武』に敗北し、消えたはずのバグスターだった。

 

――――――――――

 

「本当なのか!?あいつが、お前と宝条永夢を分離させたメンバーの一人だと!?」

 

一方、現場で戦っていた翼達はパラドクスの説明に驚く。

 

「ああ。だが、どうしてあいつがこの世界に…?」

それだけではない。パラドクスが疑問に思っていることがもう一つ。

 

(さっきの火球…あいつの変身するバグスターの能力には無いはずだが…)

上葉が変身するバグスターには、火球を放つ能力は無かった。

 

だが、そうなると誰があの攻撃を放ったのか?

 

レベル50のパラドクスが力で負けるということは、同じレベルかそれ以上の可能性がある。

 

「あまり私に気を取られてると、痛い目を見るわよ?」

上葉が嘲笑うかのように喋ると、どこからか金色に光る弾丸のような物と赤いカーボンロッドが無数に降り注ぐ。

 

 

「この攻撃…!」

「あいつらかよ!」

 

調とクリスは以前交戦経験があるからかその正体に察しは付いた。

 

「久しぶりだな。今日は顔を見せるだけだが、こいつらに勝てるかな?」

 

自動人形のレイアは、先ほど放った物と同じコインを何枚か持ちながら不敵に宣言する。

 

「あれ~?あの赤い鎧はいないのか~?」

以前エグゼイド・レベル3に敗北したミカは、新たに付けられた両腕からカーボンロッドを出現させる。

 

レイアがバグヴァイザーツヴァイを取り出して操作すると、新たに2体のバグスターが出現。

 

「もう一人のパラドと…騎士?」

片方は昨日パラドが戦ったアナザーパラド。

もう一体は今まで見たことのない、暗黒騎士としか表現できないような鎧を纏った禍々しい姿のバグスター。

 

「初めまして…我が名はアモン。タドルファンタジーより生まれしバグスターだ」

 

「タドル…ファンタジーだと!?」

以前将也が開発して、ゲムデウスに奪われたガシャットギアデュアルβに内蔵されていたゲーム。

そのレベルは、パラドクスと同じ50。

 

「俺も忘れるなよ?」

アナザーパラドはギアデュアルアナザーを取り出し、起動。

 

《PERFECT PUZZLE!》

「変身」

小さくつぶやくと、黒いゲートをくぐってアナザーパラドは変身。

 

「じゃあ、後は好きに暴れればいい」

そう言い残し、レイアとミカは去ってしまう。

 

しかしアナザーパラドクスとアモン。最悪の援軍が到着してしまったことに変わりはなかった。

 

――――――――――

 

モニターのむこうでは装者達が圧倒的に不利な展開が続いていた。

 

「これでも…」

「くらうデス!」

切歌と調の挟み撃ちをアモンは剣と盾でガード。

 

「その程度ですか?ならば…!」

すると、アモンの武器に魔法陣が浮かぶ。

 

 

「はああっ!」

次の瞬間、魔法陣から電流が流れて切歌達にダメージを与える。

 

 

「「うああああああ!?」」

「切歌!調!」

「余所見をしている暇は無いわよ?」

マリアの意識が切歌達に向けられるが、上葉は回し蹴りでマリアを吹き飛ばす。

 

 

「くっそ!」

クリスはアームドギアをクロスボウにして上葉に攻撃するが、上葉は攻撃を全て切り捨てる。

 

「だったら!」

パラドクスはエナジーアイテムを集め、効果を発動。

 

《鋼鉄化!マッスル化!分身!》

3人に分身し、必殺技を発動。

 

《パーフェクト!クリティカルコンボ!》

しかし…

 

 

「残念ですが、そのゲームは終わりですよ」

 

切歌と調をあしらったアモンは、何とガシャットギアデュアルβを取り出した!

 

 

《TADDLE FANTASY!》

ゲーム画面が開き、赤い魔王をイメージしたゲーマ『ファンタジーゲーマ』が出現すると、黒い霧をパラドクスに浴びせる。

黒い霧を浴びたパラドクスは、エナジーアイテムの効果が強制的に切れてしまった。

 

「ギアデュアルβ…やっぱり俺の対策かよ…!」

ガシャットギアデュアルβに入ったゲームは、基本的にパラドクスのレベル50と相性が悪い。

 

タドルファンタジーはパズルゲーマーのエナジーアイテムによる強化を無効化でき、もう一つのゲームであるバンバンシミュレーションズはノックアウトファイターが苦手とする遠距離でそれを越える火力の攻撃が可能と、パラドクス対策としか思えない能力を有している。

 

「こうなったら!」

《KNOCK OUT FIGHTR!》

 

「大変身!」

パラドクスはファンタジーゲーマの効果を受けにくいファイターゲーマーに変身するが、アナザーパラドクスはパズルゲーマーの能力で防御と攻撃力を上昇させて攻撃してくる。

「どうした?ノックアウトファイターの力はそんなもんじゃないだろ!」

アナザーパラドクスとアモン。

 

2人の協力プレイに、パラドクス達は苦戦を強いられていた。

 

――――――――――

 

「ハアッ!」

上葉の刃が、マリアと翼を寄せ付けない。

 

「くっ!まさかここまでの強さとは…!」

剣の使い手として、上葉は想像以上の手練だったことが分かり、翼はアームドギアを握る手に力を込める。

 

「面白くないわね。この程度なら…」

そう言うと、上葉は白衣から黒いガシャットを取り出す。

 

「あれは!」

「プロトガシャット…!?」

翼達が驚く中、上葉はガシャットを起動。

 

 

《ギリギリチャンバラ!》

『プロトギリギリチャンバラ』を起動させ、右太腿にガシャットの端子を突き刺す。

 

すると、エグゼイド達が変身する時と同じようにガシャットの端子に描かれているものと同じゲートが出現。

 

上葉の体はかつてオリジナルのエグゼイド達が戦った『コラボスバグスター』に酷似した姿に変わるが、ゲートを潜った途端肩に狼のような装甲が追加される。

 

 

 

どこかカイデンに似ているが、女性的な外見のバグスター。

 

「この姿の時は…『ギリルバグスター』とでも呼んで」

上葉…否、ギリルは変身するやいなや先ほどとは段違いのスピードで斬撃を繰り出す。

 

「なっ!?うあああ!」

早すぎる斬撃は、マリアの左手の篭手を一撃で破壊。

「マリア!」

 

その様子が見えた切歌は、ギリルに向かって走る。

「よくもマリアを!許さないデス!」

《ギリギリチャンバラ!》

 

チャンバラゲーマーにレベルアップする切歌だが、振り下ろされたガシャコンスパローをギリルは片手で掴んでいた。

 

「うえっ!?」

「甘いわよ?そんな攻撃で…」

ギリルは逆に切歌を投げ飛ばし、刀に力を込める。

 

「相手にならない!」

放たれた斬撃は、切歌の纏うチャンバラゲーマーの装甲を一撃で粉砕した。

 

「あああああああ!!!」

鎧が砕かれ、元の状態に戻るイガリマ。

 

「切ちゃん!」

「暁!せあああ!!」

調が叫び、翼はギリルに対して全力の刃を放つ。

 

『蒼ノ一閃』

多くの相手を屠ってきた翼の一撃だが、ギリルはそれを刀で受け止めた。

 

「へえ…でも、全然足りないわよ!」

蒼ノ一閃をあっさりかき消すギリル。

 

 

「やっぱり…相手になるのは『仮面ライダー』だけね…」

ギリルの言葉に、翼達は動揺する。

 

「もういいわ。これ以上戦っても『雑魚』相手じゃつまらない」

 

雑魚。ギリルはそう言い放った。

もはや、翼達はギリル達バグスターにとって脅威ではないと言ったのだ。

 

「だったら…!」

翼とマリアは、互いにアイコンタクトを交わす。

立ち上がった2人は同時にガシャコンギアシンフォニーを起動させ、マリアはレプリカ版ドラゴナイトハンターZを起動させた。

 

 

《ドラゴナイトハンター!ゼーット!》

 

空中に浮くガシャットは二つに分離し、マリアと翼の手に収まる。

 

 

《セイバー!》

《アームド!》

翼とマリアはそれぞれガシャットを起動させ、ギアシンフォニーにセット。

 

「第五楽章!」

「五の太刀!」

《レベルアーップ!》

ハンターゲーマが出現し、マリアの上半身の鎧と一体化してよりスマートな形態に変化。

 

さらに翼の右手と右足にハンターゲーマのパーツが装備され、以前将也達と共闘した際の姿に変化した。

 

《ド・ド・ドラゴ!ナ・ナ・ナ・ナ~イト!ドラ!ドラ!ドラゴナイトハンター!》

 

《アガートラーム!》

《天羽々斬!》

シンフォギアの影響で形が変化したハンターゲーマを纏い、翼とマリアは同時攻撃を繰り出す。

 

「ハアアア!」

『蒼龍ノ一閃』

 

ドラゴンのオーラを纏った斬撃を放ち、マリアは龍の意匠が入ったアームドギアの剣を十字に振り抜く。

 

『DRAGON✝CROSS』

「くっ!」

流石にさっきまでの余裕は無かったのか苦悶の声を上げる。

 

「これで…!」

2人は同時に必殺技を発動。

 

 

《キメワザ!》

 

《ドラゴナイト!クリティカルストライク!》

ドラゴンのオーラを纏い、翼はセイバーを全力で振りマリアは鎧から溢れたエネルギーをアームドギアに込めて巨大なエネルギーブレードを作り出して振り下ろした。

 

 

「「ハアアアアアアアア!!!!」」

現時点で最強のレプリカガシャットであるドラゴナイトハンターZの力なら…

そう思った2人だが…

 

 

 

 

 

 

 

「…少しはやるわね」

 

立っていたのは、マントの部分が少し焦げた状態のギリルだった。

 

「そんな…!」

「ドラゴナイトハンターZの力でも…勝てないのか!?」

 

余りにも強い相手に、マリア達の心が揺らぎ始める。

 

「アアアア!!」

すると、爆発とともにクリスが吹き飛ばされた。

 

「雪音!」

「ぐ…こいつ、強すぎだろ…」

クリスの視線の先には、ファンタジーゲーマを従えたアモンがいる。

さらに、目を向けてみればアモンに敗北して地に伏している切歌と調、アナザーパラドクスの攻撃によって変身解除まで追い込まれたパラドと、まさに絶体絶命の状況に陥っていた。

 

 

「消え去れ!」

 

動揺した隙を突かれ、翼とマリアはギリルの放った斬撃をまともに食らう。

 

「「ああああああ!?」」

狼の遠吠えのような音を響かせながら放たれる斬撃に、翼とマリアの纏ったハンターゲーマは消滅、元のシンフォギアに戻った。

 

 

 

「貴女達の詰みね。そろそろ敗北を認めるべき、じゃないの?」

上葉がボロボロの翼達を見下ろすが…

 

 

「まだ…負けてない!」

どうにかして立ち上がる翼。その目にはまだ闘志が宿っている。

 

(ここで負ければ…また宝条に余計な重荷を背負わせてしまう!)

昨日の戦い、自分達の力が足りないばかりに将也と響が全てを引き受けてしまう結果となった。

将也が一度死にかけるまで戦ったのは、自分達の力が足りないからだ。

 

(だから…何があっても、私が倒す!)

全ては、これ以上将也に一人で戦わせないために。

 

「しつこいわね………」

立ち上がる翼を見てウンザリした声を出すギリルだが、ふと何かを思いついたのか、翼の前で変身を解除する。

 

「何を…?」

突然の行動に困惑する翼だが、上葉はバグスター特有のワープを使い翼の背後に回る。

 

「なっ!?」

気がついたときにはすでに押さえ込まれていた。

 

「先輩!」

「翼!」

マリア達が駆け寄ろうとするが、上葉は持っていたプロトギリギリチャンバラガシャットを持つ。

 

 

「ねえ、今からゲームを始めましょうか」

「ゲーム…だと?」

 

上葉はどこか妖艶な笑みを浮かべる。

「ええ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴女はどれだけ自分を保っていられるかしら?」

瞬間、上葉はガシャットを起動。

 

《ギリギリチャンバラ!》

起動したガシャットを翼のうなじに突き立てた!

 

 

「ぐっ!?うあああああああああ!?」

ガシャットの影響で、翼の体にゲーム病特有のノイズが発生。

苦しげな悲鳴を翼が上げる中、上葉はその姿を消し、翼は倒れる。

 

「翼!」

「「翼さん!」」

「先輩!」

マリア達が急いで翼に駆け寄る。

ぐったりして意識のない翼に呼びかけるマリアだが…

 

 

 

 

 

 

 

「捕まえた…♪」

目を閉じたままの翼の口から、彼女とは異なる声が聞こえた。

 

「え………?」

 

 

次の瞬間、マリアは腹に焼けるような痛みを感じる。

 

 

 

 

ゆっくりと目を向けると、翼の刀がギアを突き抜けてマリアの腹に刺さっていた。

 

 

「どう…し…て…?」

口から血を流し、倒れるマリア。

 

 

「「マリア!?」」

翼の突然の凶行に、司令室も騒然としていた。

 

 

「翼…何があったんだ!?」

「ひょっとして…!」

 

将也は翼の行動に心当たりがあるのか、走って司令室を出て行く。

「将也君、どこ行くの!?」

 

 

 

――――――――――

 

「ぐっ!」

翼の刀を受け止めるクリス。

容赦など無い、必殺の刃を必死に受け流すクリスだが、本気で攻撃できず防戦一方になる。

 

「クリス!」

翼の攻撃からクリスをガードするパラド。

ゲーマドライバーで攻撃を防いだパラドはドライバーを装着し、ギアデュアルを装填する。

 

《デュアル・ガッシャット!》

ドライバーのレバーを開こうとするが…

 

レバーに電流が流れ、はじかれてしまう。

 

「まだ…使えないのか!?」

仕方なく、パラドはドライバーを外してギアデュアルを構え、パズルゲーマーに変身。

 

「暫くピヨってろ!」

混乱のエナジーアイテムを投げようとするが、アモンは再びギアデュアルβを起動させ、ファンタジーゲーマで妨害。

 

 

「ピヨるのは…お前だ!」

アナザーパラドクスは自らにアイテムを発動させ、必殺技の準備をする。

 

 

《マッスル化!マッスル化!マッスル化!》

《ウラ・ワザ!》

黒いエネルギーをチャージし、パラドクスめがけてキックを発動させる。

 

《パーフェクト!クリティカルコンボ!》

『PERFECT・CRITICAL・COMBO!』

以前パラドが黎斗にやったのと同じ組み合わせの必殺技がパラドクスを直撃。

 

「はあああ!!」

 

「ぐああああ!!!」

 

必殺技をくらい、装甲から火花を散らして吹き飛ばされるパラドクス。

やがて、廃工場の壁に激突したパラドクスは爆発した。

 

 

 

 

「パラド!!」

司令室で一部始終を見ていた未来が思わず叫ぶ。

 

「そんな…!」

「パラドさんが…」

動揺する切歌と調だが、翼はその隙を見逃さず短刀を2つ取り出し、2人の影に突き刺す。

 

『影縫い』

身動きがとれなくなった2人に狙いを定め、翼は2本のアームドギアを連結。

 

炎を纏いながらすれ違いざまに2人を切り裂いた。

 

 

『風輪火斬』

技が終わると同時に、2人は血を流した状態で倒れてしまった。

 

「くっそ!何でこうなったんだよ!?」

悪態をつくクリスだが、アームドギアを弓に変化させ、必殺技を放つ。

 

「多少の怪我は覚悟してくれ!」

『QUEEN’s INFERNO』

矢を連射するクリスだが、翼の前にアモンが立ち全て防いでしまう。

 

「なっ!」

「五月蝿い子供が…」

アモンは剣を振ると、斬撃が飛ばされてクリスの足元を吹き飛ばす。

 

 

「うああああ!!」

装甲が破壊され、ボロボロの状態で倒れるクリスの眼前には、アームドギアを構えた翼が立っていた。

 

 

「………さて、そろそろ限界かしらね?」

そう言うと、翼の目が赤く光る。

 

すると翼の体からバグスターウイルスの粒子が出て、上葉の姿に変化した。

 

 

 

 

「そういう…こと…!」

マリアは口から血を流し、傷を押さえた状態で上葉を睨む。

 

「ええ。彼女は私に感染している」

これこそが上葉の狙い。

 

翼にプロトガシャットを突き立て、自分のウイルスに感染させることで憑依が可能な状態にする。

 

その状態から翼の体を操り、自らの手で仲間を切るという行動で彼女の心を折るのが目的だった。

 

 

「ぐ……うう…っ!」

症状が進行し、胸を押さえる翼。

彼女は自分の手が赤く染まっているのを見て、愕然とする。

 

「マリア……暁…月読…雪音…」

血を流して倒れている仲間を見て、翼は知らず知らずのうちに手が震えていた。

 

「私が…やったのか…?」

 

 

 

 

 

「そうよ。貴女が自分の手で、彼女達を斬った」

翼の心に付け入るかのように囁く上葉。

 

「感じたはずよ?相手の命を断つ快楽を…不完全な命を斬る、剣としての楽しさを…?」

 

 

「違う………私は…!」

操られただけ。そう言いたいのに、翼の声は震えたままだ。

 

「ノイズを斬るのも、仲間を斬るのも変わらない。ただ、自らの剣で相手を斬る快感を感じるだけ」

 

翼の手には、確かに残っていた。

 

マリアの腹に剣を刺したときの感触が。

 

切歌と調を斬ったときの手応えが。

 

 

 

「あ…………ウアアアアアアアアア!!!!」

 

翼が頭を抱えて叫び、急激にゲーム病の症状が進行してしまう。

 

 

 

「これで…貴女は終わりね」

上葉の言うとおり、翼の体は過度のストレスによって消滅しかけており、もう間もなく消滅を迎えようとしていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

「させるかよ…!」

どこからか聞こえてきた声。

 

すると、上葉と翼の間にバグスターウイルスの粒子が集まり、人型を作る。

 

「お前…!」

そこに立っていたのは、翼達にとって見慣れた人物。

 

「宝……条…?」

左手にバグヴァイザーツヴァイを装備した将也が現れた。

 

――――――――――

 

翼が上葉に感染したことを理解した将也は、すぐに行動を起こした。

一度病室に戻ってゲーマドライバーを回収し、艦内の研究室に保管していたあるガシャットを持ってワープしたのだ。

 

が、流石に距離が離れていたのとガシャットを探すのに苦労したため、ギリギリだったが。

 

「…悪い。遅れた」

それだけ言うと、将也はバグヴァイザーの銃口を上葉達に向ける。

 

「…クリス、パラド」

声をかけられたクリスと、変身が解除されながらも何とか動けたパラド。

「マリア達を連れて、先にヘリまで戻ってくれ」

 

「でも…あいつら、マジで強ぇぞ…!」

「それに…翼の方は…」

将也の後ろでは、ゲーム病に苦しむ翼の姿がある。

 

「それなら問題ない…」

そう言うと、将也は持っていたガシャットを構える。

 

「あれは…!」

「プロトマイティアクションX…レベル0…!」

 

以前将也がリボルとの戦いで使った『プロトマイティアクションXオリジン』のガシャット。

あの時は記憶が戻っておらず、変身には使えなかったがバグスターとしての記憶を取り戻したことでガシャットが使えるようになっていたのだ。

 

《マイティアクション!エーックス!》

モノクロのゲーム画面が開き、ゲームエリアが展開される。

 

すると、翼のゲーム病が抑制された。

 

「そうか…レベル0のゲーム病抑制効果…!」

パラド達が翼達を連れて離脱しようとしたのを見て、上葉はガシャットを起動、ギリルに再変身する。

 

 

「させるか!」

将也はギリルの刀をバグヴァイザーで狙い撃ち、素早く起動状態のガシャットを眼前で構える。

 

 

 

 

 

「グレード0…変身!」

《ガッシャット!》

《ガッチャーン!レベルアーップ!》

 

ガシャットをドライバーにセットし、素早くレバーを展開。

いつもとは違い、モノクロになった5枚のセレクトパネルが現れ将也はゲンムのパネルに触れる。

 

 

《マイティジャンプ!マイティキック!マイティアクショーン!エーックス!》

以前将也が変身していたゲンム・アクションゲーマーに酷似しているが、アンダースーツのラインが銀色に変化し、やや落ち着いた色合いの姿。

 

「あれは…」

「ゲンム…だけど、色が違う…?」

クリスと調は困惑するが、ゲンムは名乗りを上げる。

 

「仮面ライダーゲンム………レベル0」

『アクションゲーマーレベル0』に変身したゲンムは、ライダーゲージを指でなぞりながら宣言する。

 

「コンティニューしてでも…クリアする!」

 

(BGM With in the dark)

 

《ガシャコンブレイカー!》

右手にガシャコンブレイカー、左手にガシャコンバグヴァイザーツヴァイを装備した状態で走るゲンム。

 

迎え撃つためにギリルとアモンは剣を構え、アナザーパラドクスはエナジーアイテムをかき集める。

 

《高速化!伸縮化!》

二つのアイテムによって強化されたギリル。

今まで以上のスピードで振るわれた剣だが、ゲンムはガシャコンブレイカーのハンマーで地面を叩き、衝撃波でギリルの足元を揺らしスピードを僅かだが鈍らせる。

 

 

「ブェハァ!」

チェーンソーモードのバグヴァイザーで攻撃し、ギリルの反撃の剣をガシャコンブレイカーでガード。

 

《ジャ・キーン!》

受け止めた状態でブレードモードに変形させ、ギリルの剣を弾くと武器を手放して背負投げを決める。

 

「はああ!!」

「うぐっ!」

地面に叩きつけられるギリルだが、それと同時に体から力が抜けていく感覚に戸惑う。

 

「これは…!レベル0の力か!」

「その通りぃ!レベル0は『無』の力!今のゲンムに触れられると、バグスターウイルスの活動が抑制され、貴様のレベルは徐々に下がる!」

 

流石に危険と判断したのか、アモンは電気を纏った剣で攻撃してくる。

 

「甘いわぁ!」

攻撃が当たる直前、ゲンムはギリルを蹴り飛ばしその勢いでアモンの剣を避ける。

素早くバグヴァイザーを回収し、アナザーパラドクスに狙いを定めた。

 

「まずは貴様からだ!」

《キメワザ!》

バグヴァイザーをビームガンモードにし、必殺技を発動。

さらに、ダメ押しとばかりにプロトバンバンシューティングのガシャットをキメワザスロットホルダーに装填。

 

《ガッシャット!キメワザ!》

バグヴァイザーツヴァイとプロトガシャットの必殺技に対抗するため、アナザーパラドクスはエナジーアイテムを使う。

 

《鋼鉄化!》

防御力を上昇させるが、ゲンムは構わず必殺技を使った。

 

《バンバン!クリティカルストライク!》

《クリティカルジャッジメント!》

通常は無数の弾丸を放つが、プロトバンバンシューティングの力で一発の巨大な弾丸となってアナザーパラドクスに直撃。

 

「ぐああああ!?」

鋼鉄化の上からでもダメージを与え、膝をつくアナザーパラドクス。

「…!」

マスク越しにゲンムを睨み、アナザーパラドクスはテレポートで姿を消した。

 

「これで一人…」

 

――――――――――

 

 

一方、パラドとクリスは翼達を連れてゲームエリアから脱出。

待機していたヘリに乗り込み、備え付けてあった包帯などで応急処置を行う。

 

「将也先輩…大丈夫…デスかね…?」

「ああ。簡単に将也が負けるわけがない…!」

 

切歌の不安を払うように言うパラドだが、その手は僅かに震えていた。

やがて、ヘリが離陸を開始する。

 

 

「ゲンムとアモン、及びギリルは戦闘を続けています」

インカム越しに朔也からの通信が入り、一同はヘリ内部のモニターでゲンムの戦闘を見続けていたが…

 

 

 

 

「邪魔だああああ!」

アモンは突然距離を取ると、巨大な火球を作り出す。

 

「!あの技…」

クリスは最初にくらった攻撃を思い出す。

あの火球で不意打ちしてきたのはアモンだったのだ。

 

「死ね!モエツ・キール!」

アランブラの使う呪文の上位互換魔法がゲンムを襲う。

 

「っ!ぐあああ!」

爆発に巻き込まれ、吹き飛ばされるゲンム。

 

何とか距離をとったために爆風を受けるだけで済んだが、それでもゲンムのライダーゲージは一撃で8割も削られていた。

 

「ゲンムのライダーゲージ、残り17%!」

「そんな…!どうして!?」

あおいは今までにないレベルでゲンムのゲージが減少していたことに困惑する。

 

それもその筈、レベル0のゲンムはある特殊システムを搭載している代わりに全ライダーの中で防御力が最低となっている。

むしろ、今の攻撃でゲージが尽きなかったのは運が良かったと言えるかもしれない。

 

 

「宝条君!今すぐに離脱しろ!」

弦十郎が叫ぶが、ゲンムはそれを無視して立ち上がる。

 

 

「うう…ああああ!!」

近くに落ちていた回復のアイテムをバグヴァイザーで撃つことで入手し、アモンにガシャコンブレイカーで攻撃をするが、ダメージを受けた影響で動きが鈍くなっており、盾で防がれる。

 

さらに、無防備になった背中をギリルに斬られて背中から火花が散った。

 

 

 

「将也…!」

 

パラドはゲームエリアにテレポートしようとするが、ダメージが残っていたためにテレポートができずヘリは戦闘区域を離脱してしまう。

 

「…離脱…できたか…」

ゲンムはヘリが離脱したことを確認し、ガシャコンブレイカーにプロトマイティアクションXオリジンを装填した。

 

《ガッシャット!キメワザ!》

黒いエネルギーが刀身に集まり、ゲンムは走り出す。

 

 

「ウアアアアアアアアア!!!!」

ゲンムが走るのを見て、アモンとギリルも剣を構えて走り出した。

互いに走り、ゲンムとアモン、ギリルがすれ違い………

 

 

ゲンムの体から火花が散った。

 

 

「グアアア!?」

爆発するゲンムの装甲。胸部に表示されていたライダーゲージは急激に減少し、0になった。

 

 

――――――――――

「そんな…!」

 

司令室では、ゲンムのライダーゲージが0になった光景に絶句していた。

 

「嘘…将也君…!」

響はショックのあまり顔が青ざめており、弦十郎は拳を握る。

一方、ヘリの中で切歌達は震えており、翼は頭を抱えていた。

 

「宝…条…」

モニターの向こうでは、装甲が半壊した状態で倒れるゲンムの姿が写っていた。

やがて、ゲンムの体はあちこちにノイズが走り、変身が解除される。

 

 

「先輩…将也先輩!」

切歌がヘリを降りようとするが、パラドに止められる。

「離してください!このままじゃ、将也先輩が!!」

 

切歌が叫ぶが、パラドは切歌を離そうとはしない。

 

そして、翼はモニターに映る将也の体が消滅を始めているのに気が付く。

 

ふと、翼の脳裏に過去の記憶がよぎる。

ノイズの襲撃によって破壊されたライブ会場。

自らの腕の中でその短い命を終え、最期には何も残さずに消滅した、翼の親友。

 

(奏……宝条……!)

 

 

天羽奏の消滅がフラッシュバックし、翼は意識を失う。

それと同じタイミングで、将也の肉体は完全に崩壊。

彼の消滅を表す電子音声が無常にも流れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ゲーム・オーバー………》

 

 

To Be Next GAME…?

 




次回、シンフォギアエグゼイドは!

「私は…戦うのが怖くなったのか?」
力を失った翼!

翼の心を取り戻すために…
「だったら、私が代わりに戦いますよ」
「後は僕達がやる。だから翼は休んでろ」

男達が手を取り合う!

《タドルクエスト!》
《ハリケーンニンジャ!》
「「変身!」」


第18話 最速のNINJA!?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。