戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士   作:狼牙竜

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お待たせしました、第14話です!

今日ついにガシャットギアデュアルアナザー、メモリアルフィニッシュガシャットⅡ、フィギュアーツのブレイブレベル100が届いて気分が絶好調の狼牙竜です!

今回からついに活動報告で募集していたバグスターが登場します!

感想、評価が原動力となりますのでよろしくお願いします!


………あと、今開催中の幻獣型ギアの調、前回登場したハンターゲーマーのマリアの脳内イメージとほぼ変わらない外見だったことに軽くびっくりしました。
ドラゴンといい怪盗といい、やたらシンフォギアと特撮が被ると思ったのは、私だけでしょうか…?


OP EXCITE
挿入歌 Just loving X-Edge



第14話 絶望のHUNTER!

深夜。とある建物の屋根の上で立つ3つの影。

 

「じゃあ、手筈通りに頼むわね」

「………」

緑の服を着た女性…ファラの言葉に頷く2つの異形の影。

 

「待ってなさい…仮面ライダー…」

ファラは左手で右肘を抑える。

「最高のゲームを始めましょう…?」

 

 

――――――――――

 

 

将也の正体が明かされて、改めて仲間として迎え入れられてから1週間。

 

現在、将也は艦内の食堂で弦十郎に相談を持ちかけていた。

 

「ほう?つまり宝条君は悩みを抱えていると…」

いつになく真剣な表情の弦十郎。

対する将也は、どこか疲れた顔をしていた。

 

 

「はい。実は…」

 

将也は、これまでのことを話し始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そもそもの始まりは、この数日起きた将也の異変がきっかけだった。

 

 

「夢…ですか?」

エルフナインは、もはや自室となった研究室で将也にコーヒーを手渡しながら聞く。

 

「ああ…ここのところ毎日見るんだけど…」

将也は、響達と再び手を取り合ってから奇妙な夢を見るようになった。

 

「夢の中で、俺はずっと何かと戦ってるんだ。ノイズなのか、バグスターなのかはわからないけど…」

 

「そうしてよくわからないまま戦ってると、僕の意識は体から離れていくんだ。そして…」

 

将也の脳裏に浮かぶのは、いつの間にか現れたエグゼイド達5人のライダー。

「突然現れたエグゼイド達が、見たことのないガシャットを起動させる」

 

「見たことのないガシャット…?それって、向こうの世界には存在してないガシャットってことですか?」

「うん。少なくとも、5人のライダーが使っていたガシャットと変身した姿は見たことがない…といっても、見えるのはシルエットだけなんだよね…」

 

オレンジの光を纏ったエグゼイド。

青の光を纏ったブレイブ。

赤い光を纏ったスナイプ。

緑とピンクの光を纏ったレーザー。

銀色の光を纏ったゲンム。

 

そのシルエットは見たことがなかったが、似た存在をどこかで見た記憶がある。

 

 

 

 

 

「……僕なりの仮説なんですけど、それは多分、将也さんの体内のバグスターウイルスが変化を起こしているかもしれません」

「…変化?」

「はい。ですがこの場合は変化というより…『進化』と表現したほうが近いかもしれませんね」

 

元々将也の前世といえる存在だったディレクは、AIがオリジナルのバグスターウイルスに感染したことで急成長した存在。

時空の歪みからシンフォギアの世界に渡ったこと。将也として生きていたこれまでの時間。フロンティア事変の際に高濃度のフォニックゲインを浴びたことによるライダーシステム及びバグスターウイルスの変異。

度重なる現象によって将也のウイルスは永夢達が持っていたものとはもはや別物になりかけている。

 

 

「僕なりに原初のウイルスに対しての考えを持ったのですが、恐らくバグスターウイルスというのは、『想いの具現化』の特性を持った存在だったと考えられます」

 

永夢のガシャットを作る能力や、正宗のリセット。

感染者の強い願望を叶える力は、原初のウイルスだけが持っている可能性がある。

黎斗の手によってゲームという形が決まったことでバグスターの具現化能力はある程度制限が付いていたというのがエルフナインの推測。

 

「なるほど…確かにパラドも、永夢の願望から生まれたって言ってたし、その可能性は十分にある」

「それに、将也さんのウイルスはシンフォギアに近い形に変化していたのも進化を促した一因と考えられます」

 

シンフォギアシステムは、使い手の心象によって最適な形へと変化する特性を持つ。

槍を起源とするガングニールは、先代の使い手である天羽奏が使っていた頃は槍のアームドギアだったが、響が継いでからはアームドギアを持たない格闘型へと変化しており、魔弓と言われるイチイバルも、クリスの深層心理に影響されて多数の銃器を司っている。

また、将也は知らないがマリアがかつて使っていたガングニールもフロンティア事変以降一度だけ響の代わりにマリアが使った際は彼女の心境に合わせてデザインが変化していた。

 

「それと、将也さんの話で思ったのですが、エグゼイド達が纏う光はいずれも、響さん達のシンフォギアとベースカラーが同じというのも気になります。将也さんはこれまで、装者達のフォニックゲインを分け与えてもらう形で傷の治療や新しいガシャットの製造を行っていましたが、それが少しづつながら将也さんに影響を与えていたというのも…」

「響達の影響…なるほど…」

「今回の進化に関して、将也さんは何かきっかけのようなものはありますか?」

エルフナインの言葉に、将也は煮え切らない表情で答える。

「実は………一つだけ…」

 

――――――――――

 

 

「なるほど。響君達を見ると、こう何というか…モヤモヤすると」

時間は戻って現在。

弦十郎に悩みを相談していた将也だった。

 

「はい。このモヤモヤを感じてからなんですよ…夢を見るようになったのは…」

困り顔の将也に、弦十郎は何となくだが彼の悩みがなんなのか察してはいた。

 

 

 

「…まあ、こればっかりは俺が教えるような答えじゃないから、はっきりとしたことは言えんが…」

弦十郎はコーヒーを一気に飲み干す。

 

「まずは悩め。悩み続けていれば、そう遠くないうちに何かのきっかけで答えが見つかるさ」

 

「…ありがとうございます、司令」

椅子から立ち、頭を下げる将也。

 

「何、礼を言われることじゃないさ。それより、これから用事があるんじゃないのか?」

「はい。今から響達の買い物について行くことになってて」

「なら、早く向かったほうがいいぞ?女性は待たせると後が大変だからな」

豪快に笑う弦十郎に、将也もつられて笑う。

 

「そうですね。じゃあ、また後で!」

 

急いで走っていく将也を見て、弦十郎は思わず呟く。

「…青春…だなぁ…」

 

 

――――――――――

 

 

 

「ちょっと買いすぎじゃないの?」

思わず口にしてしまう将也。

将也、響、クリス、調、切歌、パラド、未来の7人は現在、リディアンから少し離れた場所に作られた大型ショッピングモールを訪れていた。

理由は、モール内に幾つかあるアパレルショップ巡り。

 

その目的は、響達の夏物チェックと将也、パラドの私服を購入することだった。

将也の普段着は永夢達が着ていた服をモデルにしているが、パラドに至っては前の世界の時と変わらない黒コート一択である。

 

行く先々で響達が見繕った服を着て、2人ともすっかり着せ替え人形扱いとなっていたこともあり、疲れ顔になっていた。

装者達が意外に思っていたのは、将也とパラドの2人、顔立ちは悪くないためか大抵の服は似合うということだったりする。

 

「さて、だいぶ買ったし、そろそろ休憩するか?」

クリスが店内の時計を見て、みんなに聞く。

 

「賛成。先輩達も疲れてるみたいだし、ちょうどいいと思います」

「今日のご飯は何にするんデスか!?」

 

響が自信満々に鞄からモールのパンフレットを取り出す。

「ふっふっふ!こんなこともあろうかと、既にお店に関してはチェックを終了してますよ!」

「…流石は響…」

「お前、食いもんに関しては一切妥協しないのな」

将也は苦笑いを浮かべ、クリスは呆れ顔で言い放つ。

 

「で、どんなお店?」

未来の質問に響がパンフレットを見せる。

 

 

「これこれ!『レストラン黒崎』って名前なんだけど…」

パンフレットには大きく限定フェアのタイトルが書かれていた。

 

「「「「「「期間限定スイーツバイキング!?」」」」」」

「そう!今月いっぱいまで、店長オススメの激レアスイーツを集めたスイーツバイキングをやってるんだって!しかも通常の和洋中バイキングも同時に!」

「激レア…」

「スイーツ…デスと…?」

後輩コンビの目が輝く。

 

 

パンフレットには様々なスイーツの写真と、店長(ややくたびれた風貌の、髭と虚ろな目が特徴的な男性)の写真が映っていた。

「バイキングか…さっそく行こう」

「ああ。心が躍る!」

男性陣に至っては、スイーツよりも通常のバイキングに目をつけ、先に歩き出した。

「歩くのはやっ!」

 

 

――――――――――

モールの警備員室。

現在、監視カメラのモニターを見ながら持ち込んだ新聞に時折目を通す警備員がいた。

 

「ったくあの野郎、どこで油売ってんだよ」

もう一人、警備員室で待機するはずのメンバーが途中で出て行ってからおよそ20分。一向に帰ってくる気配を見せず、警備員は愚痴を零す。

すると、ドアがノックされた。

 

「はいはい」

新聞を閉じてテーブルに置く警備員。

ドアを開けると、そこにはもう一人の警備員が立っていた。

 

 

「おいおせぇぞ!お前どこでサボって……ん?」

警備員は、ふと彼の様子がおかしいのに気が付く。

ずっと俯いており、時折体が痙攣し、何かが地面に垂れている。

足元を見ると、そこには真っ赤な血だまりが出来ていた。

 

 

「お、おい!大丈夫か……」

警備員は男の肩を掴むと、男はゆっくりと顔を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え?」

男は、右目の部分が空洞になっており、さらに右目の部分と口から血が流れ続けている。

 

左目は不自然なほど膨張し、頬の肉が腐ったように崩れ掛け、オレンジ色の何か別のものが見えていた。

 

「グ……ぐぎゅるるる…!」

男は警備員に覆いかぶさる。

 

 

「う、うわああああ!?だ、誰か助けてくれ!誰k」

警備員の叫び声は、警備員室のドアが閉まると同時に、永久に聞こえなくなった。

 

 

――――――――――

 

 

「いや~、食べたな…」

満足気な表情を浮かべるパラドと将也。

「お前ら食い過ぎだろうが…あの馬鹿ほどじゃないけど、結構食うのな…」

呆れ顔のクリスと、苦笑いするほかの面々。

 

将也とパラドは思ったより食べ過ぎたため、途中から厨房が戦場のようになっていた。

何やら、店長が途中でやたら叫び続けており、店員の唸り声まで聞こえてきた始末…

 

 

「暫くあのお店、出入り禁止かもね…」

響は、会計の際に物凄い形相でこちらを見ていた店長の顔を思い出す。

何やらタブレット端末を操作していたメガネの従業員が「あ~…これ、完璧赤字確定っすわ」と告げた瞬間の店長の人間とは思えない顔は、いつ見ても怖かった。

 

「さて、後は帰るだけ…か?」

「冗談!まだ私達の分を買ってないよ!」

どうやら、響達はまだ買い物を続けるようだ。

実際、買い物袋の中身は将也とパラドの服が殆どを占めている。

折角の休みなので、もう少しだけ付き合おうと決めた将也達だったが……

 

 

 

 

「ん?あの人…」

 

将也は、店内を歩く客の中で不審な人物を見つける。

夏も近いというのに、真っ黒なパーカーを着込み、フードを深く被って顔が全く見えない。

足元が覚束ない不審者は、突然エレベーターの横で座り込んでしまう。

 

 

「あの……大丈夫ですか?」

近くを通りかかった中年男性がフードの人物に声をかける。

 

「………ハァ……ハァ…」

フードの人物は息が荒く、返事をしない。

 

「もし具合が悪かったら、どこかで休んだほうが…」

声をかける男だが、フードの人物が顔を上げた瞬間…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う……ウワアアアアア!?」

男は恐怖の叫び声をあげた。

 

フードの人物は片目が無く、顔のあちこちから出血した状態の、とても生きている人間とは思えない顔だったのだ。

 

 

「グ……ウガアアアアア!」

フードの人物は素早く男に覆いかぶさると、鋭い牙で男の首筋に噛み付き、頚動脈を断つ。

 

 

「!?おい、待て!」

将也は買い物袋を放り投げ、フードの人物を飛び蹴りで吹き飛ばす。

 

「大丈夫ですか…!?」

将也は噛み付かれた男に声をかけるも、男は既に事切れていた。

 

 

「ま、将也君……その人は…?」

響が震え声で将也に聞くも、将也は首を横に振る。

 

「響!今すぐ司令に連絡!未来は響から離れるな!」

「う、うん!」

「わかった!」

突然のことにまだ状況を飲み込めない響と未来だが、響はすぐに通信機を取り出して弦十郎に通信する。

 

 

「クリス、切歌、調は周囲を散策して、さっきの奴が出たらギアを使っても良いから対処してくれ!一般人への説明は司令達に任せりゃいい!」

 

「お、おう!わかった!」

「了解!」

「わかったデス!」

3人はギアのペンダントを握り締めながらさっきの敵を探す。

 

 

「パラドは他に被害者がいないか、探してくれ!」

「ああ!」

 

それぞれが行動を開始し、将也は素早くゲーマドライバーを装着する。

周囲を確認すると、反応は様々だった。

 

突然の惨劇に驚くあまり声が出ない人。

将也達の対応から映画か何かの撮影だと思い込んでいるのか、スマホのカメラを向ける人。

 

 

「どうなってる…?」

すると、近くにいた女子高生くらいの少女2人の背後からさっきの人物とは異なる怪物化した男が現れ、襲いかかる。

 

 

「「きゃああああ!?」」

男の鋭い爪が振り下ろされそうになるが、将也は素早く男を蹴り飛ばし、バグヴァイザーを装着。

 

起き上がった男にバグヴァイザーの銃口を向け、ビームが男の頭を貫く。

 

 

「早く逃げろ!」

少女達は頷いてモールの出入り口まで走るが、自動ドアが開かないことに気づく。

 

「そ、そんな!ドアが開かない!?」

 

将也は素早くバグヴァイザーツヴァイに持ち替え、ビームガンモードのままボタンを同時押しする。

 

《キメワザ!》

エネルギーが集まり、将也は後ろの人たちに叫ぶ。

「伏せてください!」

全員が伏せたのを確認し、将也はAボタンを押す。

 

《クリティカルジャッジメント!》

チャージされたビームがドアに向けて放たれるが、爆発を起こしたにも関わらずドアには傷一つついていない。

 

 

「マジか…」

 

 

バグヴァイザーツヴァイの必殺技を放っても傷一つつかないドア。

それを見て、将也は確信した。

 

 

 

 

「僕たち…この建物に閉じ込められた…!」

 

 

――――――――――

 

ドアも窓も開かず、八方塞がりの状態に陥る将也達。

 

「響、本部は何て?」

響は首を振る。

 

「駄目、師匠達に連絡しても繋がらない」

恐らく、どこからか妨害電波が流れているものだと考えられる。

 

 

「パラドは1階の非常口の状況を見て欲しい。切歌は2階のフードコートの窓から外の様子を、調は切歌と行動して、様子を確認したら怪我して動けない人がいないか探して欲しい。クリスは切歌達より先に逃げ遅れた人を探して!」

 

全員が頷く。

 

 

「僕は響と未来を連れて警備員室から外部と連絡できるか確かめてくる!」

 

―――――――――――

 

 

響と未来を連れて将也は警備員室に向かうが、その目の前に警備員の制服を着たあの怪物が襲いかかってくる。

 

「やるしかない…か」

将也はマイティアクションXを起動させ、ガシャットをドライバーに装填。

 

「大っ変身!」

《ガッチャーン!レベルアーップ!》

エグゼイドを選択し、ゲートを走りながら通り抜ける。

 

《マイティマイティアクション!エーックス!》

《ガシャコンブレイカー!》

怪物めがけてエグゼイドはガシャコンブレイカーを振り下ろし、怪物を吹き飛ばす。

 

「将也君!私も…!」

響がガングニールに手を伸ばすが、エグゼイドが叫んで止める。

 

「響!今は未来の安全に気を遣うことを最優先にしてくれ!」

エグゼイドはガシャコンブレイカーのBボタンを押し、素早く怪物を斬る。

 

怪物は首を撥ねられ、肉体は硬直して動かなくなる。

その勢いのまま警備員室に入るエグゼイドだが、部屋の中に転がっていた死体を目撃し、響と未来を静止させる。

 

 

「響、未来…この部屋に入るな…!」

警備員の死体は顔の右半分が損壊しており、とても響達に見せられる状態ではない。

そっと死体に手を合わせ、部屋の隅に移動させてからエグゼイドは警備員室に入る。

 

すると、突然警備員室のモニターに『GAME START』の文字が表示された。

 

 

《ご機嫌よう、プレイヤーの皆様?》

店内全てのスピーカーから聞こえてきたのは、将也達にとって聞き覚えのある声。

自動人形、ファラの声だった。

 

 

《プレイヤーの一人が警備員室にたどり着いたので、これよりゲームのファーストステージを行います》

ファラの声を聞いていたパラドはファラの言葉に怒りを隠せなかった。

 

「これがゲームだと…?」

《ルールは一つ。これより300秒後、封鎖されている全ての扉のロックが自動的に解放されるので、プレイヤーの皆様は店内を徘徊するゾンビから300秒間逃げ回ってください》

 

 

切歌達は周囲を見ると、既にゾンビとなった人間達に囲まれていた。

 

《ゾンビに噛み付かれて命を落とした場合のみ、そのプレイヤーは同じようにゾンビとなって他のプレイヤーを襲う障害となります。それでは、プレイヤーの皆さんのご健闘を祈ります…》

その言葉を最後に、ファラからのアナウンスは途切れる。

 

アナウンス終了と同時に、様々な方向からゾンビが襲いかかってくる。

 

「ちっ!」

パラドは懐からガシャットギアデュアルを取り出し、ダイヤルを回転させる。

 

《PERFECT PUZZLE!》

「変身!」

パラドクス・パズルゲーマーに変身し、ゾンビに応戦する。

それと同じ頃、クリス達もシンフォギアを起動してゾンビから一般人を守るために活動を開始した。

 

「聞こえますか、将也さん!」

調はギアの通信機能を使いエグゼイドに連絡する。

 

「ああ!今から俺達もそっちに向かう!無茶だけはするな!」

 

 

――――――――――

 

 

1分ほど経過し、ゾンビの群れと戦うクリス達。

しかし建物の中で戦う上、周囲に居る一般人をできる限り巻き込まないようにするため装者達は全力を出せないでいた。

 

「くっそ!鬱陶しい!」

クリスはイチイバルの大火力を発揮できず、クロスボウのアームドギアで1体1体仕留めていく。

調もまた、シュルシャガナの小型丸鋸や大型丸鋸を使えずその代わりにヨーヨーを使って対抗。

切歌はアームドギアが大鎌なので振り回すことができずに一番苦戦していた。

 

 

「こうなったら!」

切歌と調はレプリカガシャットを起動させ、ガシャコンギアシンフォニーにセット。

 

「「3連斬(デス)!」」

《ガッチャーン!レベルアーップ!》

 

ゲーマが出現し、2人のギアと合体する。

《シャカっと!リキっと!シャカリキスポーツ!》

《ギリ!ギリ!ギリ!ギリ!チャンバラ~!》

 

レベルアップを果たした2人は、ガシャコンウェポンを構えて戦闘を再開した。

 

(BGM Just loving X-Edge)

 

ガシャコンバグヴァイザーをチェーンソーモードにして攻撃する調と、ガシャコンスパローを鎌モードにして攻撃する切歌。

狭い店内でも、2人のサイズに合わせた大きさのガシャコンウェポンなら気にせず使うことができた。

 

すると、ゾンビを蹴り飛ばしながら将也が現れる。

その後ろには未来とガングニールを纏った響がいる。

 

 

「響と未来は生存者をできる限り一箇所にまとめてくれ!俺達は残りのゾンビを倒す!」

「わかった!将也君もクリスちゃん達も無理はしないでね!」

 

将也は頷き、2つのガシャットを同時に起動。

《爆走バイク!》《ギリギリチャンバラ!》

2つの画面が開き、チャンバラゲーマがゾンビを蹴散らす。

 

「三速、変身!」

《ガッシャット!》

ガシャットをドライバーにセットするが、背後からゾンビが噛み付こうと接近してくる。

素早く回し蹴りでゾンビを蹴り飛ばし、その勢いのままレバーを開いた。

 

《ガッチャーン!レベルアーップ!》

出現したパネルからレーザーのパネルを蹴り、レーザーレベル2に変身。

《爆走バイク!アガッチャ!ギリ!ギリ!ギリ!ギリ!チャンバラ~!》

タイヤが外れてゾンビ達に直撃している隙にチャンバラゲーマがレーザーの四肢になり、レーザーはレベル3へとレベルアップした。

 

「正直相手が元人間だと考えると戦いたくないけど…贅沢言ってられないよな!」

ガシャコンスパローを弓モードで放ち、ゾンビ達を生存者に近づかせない。

 

そうしているうちにファラの宣言から4分以上経過し、残りはおよそ30秒を切る。

「もう少しで…!」

 

 

 

 

 

 

すると、モールの天窓を突き破って二つの影が降り立つ。

 

「翼さん!」

「マリア!」

天羽々斬を纏った翼と、アガートラームを纏ったマリアが店内に突入してきた。

 

しかし、翼は響を見つけると大声で叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「立花!生存者を一歩も外へ出すな!!」

 

「え…?」

翼の言葉に一瞬驚く響。

 

 

しかし、それと同時に制限時間を知らせるアラームが店内に鳴り、自動ドアが開く。

 

 

「どけ!俺が先だ!」

「邪魔なんだよこのガキども!」

ドアが開くや否や、我先にと何人かの男達が先頭にいた子供達や親子を押し退けて外に出ようとする。

 

「よっしゃあ!これ……で………」

ドアをくぐり抜けた男達の眼前に広がる光景。それは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

迷彩服を着てアサルトライフルやサブマシンガンを装備した複数のバグスターウイルスの集団が、男達に銃口を向けていた。

それを遠目に見ていたファラは、嘲るような声で呟く。

 

「これで…ゲームオーバー…♪」

次の瞬間、アサルトライフルやサブマシンガンの銃声が響き渡った。

 

――――――――――

 

 

「今の銃声……そういうことだったのか!」

レーザーはゾンビの顔面にガシャコンスパローの矢を打ち込み、ファラの目的に気がつく。

 

ファラは最初、このモールでのゾンビを『ファーストステージ』と言っていた。

つまり、ここから先の駐車場を含めた状態の『ネクストステージ』のゲームを始めたということになる。

 

 

「宝条!すまない…一足遅かったようだ…!」

翼が駆け寄ってくる。

「何があった…?」

翼の説明によると…

 

 

 

はじまりはゲームが始まる少し前。

このモールの駐車場の出入り口から爆発音と黒煙が上がっているという通報が入った。

 

それに加え、駐車場周辺ではアルカ・ノイズが彷徨いているという情報を得たS.O.N.Gは響達に連絡を取ろうとするが繋がらず、急遽翼とマリアを出動させ、アルカ・ノイズに対応させた。

 

大したことのない数だったので、ものの数分で全てのアルカ・ノイズを倒した2人はすぐさまモールに入るが、その途端に通信が断絶される。

本部との通信ができない状態に陥った2人は、駐車場内を彷徨く軍服姿のバグスターウイルスを発見。

 

ファラが現れ、彼女達に駐車場で起きていたゲームのルールを説明する。

 

「なるほど…駐車場にいた人達に課せられていたルールは、同じ300秒間バグスターウイルスに見つからないように隠れるってことで…」

 

「ご丁寧にネクストステージのことも説明してくれたわ。それぞれのファーストステージで生き残ったメンバーがネクストステージのターゲットになるって」

 

将也と翼、マリアが情報を共有しているなか、響はかろうじて息のあった男に声をかける。

 

「だ、大丈夫ですか!?しっかりしてください!」

虫の息だった男は、響の手を掴む。

 

 

 

 

「お……おまえ…が…」

血に染まった手で響を掴む男は、かすれ声で響に何かを伝えようとしていた。

 

 

 

「お前の……お前のせいで…!」

男の目は、響に対する憎しみに満ちていた。

 

 

「お前が…!俺達は…お前を信じて…!」

避難誘導を行った響のせいで自分は死ぬんだという、男の余りにも身勝手な言葉。

 

しかし、響の脳裏には過去の記憶がフラッシュバックして、何も言うことができなかった。

 

やがて、男は口から血を吐き、響の手をさらに強く握る。

 

「なあ……早く、助けろよ……頼むよ…!たのむ…か…ら…」

その言葉を最後に、男は二度と覚めることのない眠りにつき、響の手を握っていた手は力を失った。

 

 

 

「そんな………」

響は、目の前で失われた命を前にうなだれることしかできなかった…

 

――――――――――

 

 

レーザー達は駐車場にいたバグスターウイルス達を倒すために戦いを続けていた。

 

「これで!」

《デンジャラスゾンビ!》

《ガッチョーン!》

 

レーザーはバグルドライバーにベルトを交換し、ガシャットを装填。

 

「変身!」

《ガッシャット!バグルアップ!》

《デス・ザ・クライシス!デンジャラスゾンビ!》

ゲンムに変身した将也はすぐに必殺技を発動させる。

 

《クリティカルデッド!》

ゲンムの影から無数のゾンビが出現し、バグスターウイルス達に襲いかかって爆発する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、どこからか放たれた殺気にゲンムは後ろを振り返るが、足元が爆発してゲンムは吹き飛ばされ、衝撃でデンジャラスゾンビのガシャットが落ちる。

 

「宝条!」

翼とマリア、クリスが駆け寄るが、ファラは落ちたデンジャラスゾンビのガシャットを拾った。

 

「これで、ようやくクリアの条件を説明できますわ」

ファラが指を鳴らすと、先ほど将也を攻撃した張本人が姿を現した。

 

 

 

 

「あれは……?」

「あいつもバグスターか…?」

現れたのは、2体の怪物。

 

ライオンの頭に、象の顔を模した左腕に、サイの顔を模した右腕。さらに背中にはコウモリの羽とワニの尻尾を持ったキメラのような怪物。

 

 

そして、真っ黒なフードの付いたコートを着た、紫色に変色、腐食した体の怪物。

左手には巨大な鉄の爪、右腕には巨大なガトリングを装備しており、さらに顔には赤いバイザーを着けており、スキンヘッドと口の中に生えた無数の牙が特徴的だった。

 

 

 

「貴方が存じないのも無理はありません。何せこれは………

 

 

 

 

 

 

『ナイトオブサファリ』と『デンジャラスゾンビ』のバグスターなのですから」

 

「な……!?」

将也は目を見開く。

この世界では将也だけが持ち、プロトガシャットの存在しないナイトオブサファリとデンジャラスゾンビのガシャットからはバグスターは誕生していない。

にも関わらず、目の前に現れたのは存在しない筈のバグスター達だった。

 

「こちらのキメラがナイトオブサファリの『サバイバー』。そしてこのゾンビがデンジャラスゾンビの『デッド』ですわ」

 

「ひょっとして…ゲムデウスが新たに作り出したってことなのか?」

クリスが疑問を口にする。

が、それを答える前に2体のバグスターが襲いかかってくる。

 

 

「今回のネクストステージをクリアする条件。それはこの2体を攻略することです。尤も…生き残れたらの話ですが」

それだけ言うと、ファラはテレポートジェムで姿を消す。

 

 

「やるしかないか…!」

将也はマイティブラザーズのガシャットを取り出し、起動させる。

《マイティブラザーズ!ダブルエーックス!》

「変身!」

エグゼイド・レベルXに変身するとすぐさまレバーを閉じる。

 

「だ~い……変身!」

《ガッチャーン!ダブルアーップ!》

《マイティマイティブラザーズ!(HEY!)ダブルエーックス!》

エグゼイドRはガシャコンキースラッシャーを持ち、エグゼイドLはガシャコンブレイカーを持つ。

 

 

「「超キョウリョクプレイで……クリアしてみせる…!」」

 

エグゼイド達を視界に捉えた2体のバグスターは、歪な笑みを浮かべた……

 

 

 

To Be Next GAME…?

 




次回、シンフォギアエグゼイドは!

「私のせいで…また誰かが…」
響に試練が訪れる…

「響はいつだって、自分の信じる正義を握り締めてきたんだろ!」
将也の想いと…
(ようやくわかった…私が、将也君をどう思っていたのか…!)
響の想いが通じ合うとき!

「これが…私の将也君への気持ちだよ…」
力が重なり、奇跡が起きる!

「このガシャットは…」
エグゼイドは、新たなレベルへ…!

「スペシャル大変身!」

第15話 愛と奇跡のGungnir!

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