戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士   作:狼牙竜

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本当にすいません!
かなり長くなり、前中後編の3つに分けて書く事になってしまいました!

ここからエグゼイド本編の『10本のゲーム』編から『仮面ライダークロニクル』編までを辿っていきます。
当然ながらエグゼイド本編のネタバレ多数ですので、お気をつけください。


シンフォギアXD、ついにセレナが登場しましたね…
ガチャを運試しで引いたら見事に当たり、黎斗神並みのハイテンションの作者です。

感想、評価が作者の原動力となります。

2月2日、誤字を訂正しました。



第12話 闇に消えたBUGSTER!?(中編)

前回のあらすじ

ゲムデウスによって自分の正体が『仮面ライダークロニクルのバグスター』であるということを明かされる将也。

 

パラドは、響達S.O.N.Gのメンバーに自分の正体を明かす。

彼が語ったのは、別の世界で起きた『本当のエグゼイドの戦い』の記憶だった…

 

 

 

――――――――――

 

ゼロデイから5年、幻夢コーポレーションの社長となった檀黎斗によって選ばれた4人の仮面ライダー達はそれぞれの思惑を胸に10本のガシャットをクリアする戦いに身を投じていた。

 

患者の命を救い、笑顔を取り戻すために戦う宝条永夢。

患者の事情には関わらず、ただ命を救うためにオペを続ける鏡飛彩。

人命よりガシャットを独占することを狙う花家大我。

バグスター根絶の方法を探すため、周囲を巧みな嘘で翻弄しながら真実を探す九条貴利矢。

 

考え方が異なる4人だったが、ある時最後のガシャットであるドラゴナイトハンターZをクリアするための最後の試練としてグラファイトが登場。

プロトガシャットのドラゴナイトハンターZを使ったことで強化形態『ダークグラファイトバグスター』に進化する。

 

攻略の鍵はドラゴナイトハンターZに搭載された『最大4人プレイ』のシステムだった。

 

エグゼイドは他のライダーを挑発し、4人プレイで最初にグラファイトを倒したライダーがガシャットを入手できるという話で上手く乗せてグラファイトとの戦いに挑み、4人のライダーは互いに競い合いながらもグラファイトを協力プレイで見事に撃破した。

 

 

互いを敵視していたライダー達は、この戦いを経て少しづつだが協力することが多くなっていった。

 

「当然、この戦いもディレクはガシャットを通じて見ていたんだ」

パラドの言うとおりだった。

本来、仮面ライダークロニクルでプレイヤー達に力を与える役目だったディレクとしては、ライダー達が利害の一致とはいえ力を合わせて攻略を成功させたのは、まさに彼が望んだ光景だったのだ。

 

 

それからほどなくして、ライダー達は再び共闘することになる。

檀黎斗が仮面ライダーゲンムとして使っていた10本目のガシャット『シャカリキスポーツ』をクリアすることで、当初のライダー達の目標だった10本全てのゲームをクリアが達成できるところまで来ていたのだ。

 

貴利矢、飛彩、大我。次々とライダーが集まり、再びエグゼイドはドラゴナイトハンターZを4人プレイモードにする。

前回とは違い、ドラゴナイトハンターZの所有権を巡っての戦いではなかったため、よりスムーズに連携が取れたライダー達はついにゲンムのライダーゲージをレッドゾーンまで追い込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、ゲンムはまだ諦めていなかった。

あろう事か、現場にいたゲーム病患者の少年めがけて必殺技を発動したのだ。

すぐさま間に入ったエグゼイドの反撃によってゲンムは弾き飛ばされ、ついにライダーゲージは底をついてしまう。

 

ライダーゲージは文字通り仮面ライダーの『命』をゲージとして可視化したもの。

 

だが、ゲンムはバグヴァイザーにあらかじめ装填していたデンジャラスゾンビのガシャットに自らの『死が確定した状況』をデータとして取り込むことで消滅を回避、さらにガシャットの完成までこぎつけることに成功した。

 

その際、ついに黎斗は自らがゲンムであることを永夢達に明かし、幻夢コーポレーション社長としての社会的立場までも捨てて行方をくらました。

 

 

――――――――――

 

 

 

それからほどなくして、世間はクリスマス一色に染まる中、最初の悲劇が起きることとなる。

 

貴利矢はゼロデイの主犯として逮捕された檀政宗と面会、黎斗が16年前に永夢に対してウイルスを送りつけていたことを知る。

バグスターウイルスの根源、そしてそこから見つけた『技術』とそれを使いこなせるであろう永夢の秘密。

その全てを明かそうとした貴利矢だが、彼の前に黎斗が姿を現す。

 

真実を知りすぎた貴利矢を消すために、黎斗は完成させたデンジャラスゾンビのガシャットを使い、ゲンムレベル10に変身、貴利矢が変身したレーザーを圧倒的な力で撃破し、ギリギリチャンバラのガシャットを強奪してゲームオーバーにした。

 

バグスターを根絶するだけの情報を持っていた貴利矢を葬った黎斗は、ライダークロニクルに必要なバグスターを集めるため、最初期のバグスターをレベルアップした状態で再度人間に感染させ始めた。

 

 

 

しかし、黎斗の計画には少しづつ綻びが生じる。

 

1つ目は、パラドの使うガシャットギアデュアルを制作するためのデータ収集用ガシャットをあろう事かパラドは永夢に渡したのだ。

そのガシャットは人間が使えば大量のバグスターウイルスに感染し、消滅するはずだったが永夢は自らの持つ原初のウイルスの力でガシャットのデータを書き換え、マイティブラザーズXXを完成させる。

自分が開発に携わっていないマイティブラザーズは黎斗にとって不正なゲームとみなされ、黎斗はこのゲームを回収しようと動くようになった。

 

2つ目は、黎斗自身の傲慢な性格が呼び起こした出来事。

自らを神と自称する黎斗は、これまでライダー達の戦いをほぼ自分の思い通りに勧めていった。

しかし、社長という社会的地位から外れたことによって黎斗の暴走はとどまるところを知らず、結果的に詰めの甘さが露見する自体が増えていった。

 

バグスターを手駒としか見ていなかったことからパラドの怒りを買い、離反される。

デンジャラスゾンビのガシャットをパワーアップさせることに成功させるも、衛生省に旧幻夢コーポレーションをアジトにしていたことを知られ、立ち入り操作を許してしまうなどのミスが目立つようになった。

 

 

「……何ていうか、ドクターの顔が一瞬よぎった」

「…右に同じデス…」

 

切歌と調の脳裏には、一瞬だが過去に嫌々手を組んでいた銀髪の変態博士の顔が過ぎり、背筋が震えた。

 

 

「だけど、ゲンムの恐ろしいところはこういう状況でも自分に有利に働くように動く、アドリブ力だ」

黎斗は衛生省のガサ入れという予定外の事態を、自らがゲーム病に感染するという方法で永夢達の患者になり、衛生省による逮捕を免れた。

そして永夢に治療をさせ、バグスターを倒させることでクロニクル完成に必要なバグスターのデータの回収まで成功させた。

 

「どんなに致命的なミスをしても、黎斗さんは咄嗟のアドリブで失敗以上の成功を手にする才能がありました」

 

しかし、黎斗の野望はここで潰えることになる。

かつて黎斗は、元部下の『小星作』が開発したガシャット『ジュージューバーガー』を回収、さらに彼が考案したマスコットがバグスター化した『バガモンバグスター』を作の目の前で消滅させたことがある。

 

この件から黎斗はパラドの怒りを買ったのだが、この事件を理由として大我は密かに作と接触、不死身能力を持つゲンムを攻略するためのガシャット開発を依頼していた。

 

さらに同じ頃、飛彩は貴利矢の遺品であるパソコンからバグスター撲滅の鍵となる『リプログラミング』のデータを発見。

対象となるバグスターのデータを自在に削除、書き換え、追加が可能という相手のデータそのものへの干渉能力を貴利矢は前もって残していたのだ。

 

 

大我と作の手によって開発されたゲンム攻略用のガシャットと、飛彩が探し当てた貴利矢の遺品であるリプログラミングの技術。

最後の鍵は、永夢の持つ原初のウイルスがマイティブラザーズを作り出したのと同じ、イメージからガシャットのゲームを作り出せる能力。

彼らの思いが重なることで、エグゼイドはゲンム攻略の新たな姿、『マキシマムゲーマー・レベル99』へとパワーアップし、ついにゲンムを攻略。

 

 

リプログラミングの力で永夢は黎斗の体内から変身に必要だったバグスターウイルスの抗体を消滅させ、罪を償わせようとしたが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃゲームは終わらないんだよ」

映像内ではパラドが何の躊躇いもなく黎斗からバグヴァイザーとデンジャラスゾンビのガシャットを強奪。

ガシャットをバグヴァイザーに装填し、記録されていた『死のデータ』を黎斗に戻したのだ。

 

 

 

「ゲンムは今までの戦いでゲージが尽きても、そのデータは全てガシャットに流れていたことでゲームオーバーにはならなかった。だけどそのデータを一つでも体に戻されれば…」

 

映像内では死の恐怖からか絶叫する黎斗が映っていた。

 

 

 

「嫌だアアアア!!!死にたくない!死にたくない!!!」

もがき苦しむ黎斗の体はすでにガシャットのウイルスと死のデータによって崩壊を始めており、手遅れの状況だった。

 

 

 

それでもなお、黎斗は己を誇示するかのごとく立ち上がり、最後に絶叫する。

 

 

 

 

 

 

「私は神だ!私の夢は………不滅だああああああああ!!!」

 

 

 

 

《ゲーム・オーバー…》

 

その言葉を最後に、檀黎斗は消滅。

仮面ライダークロニクルは完成する前にパラド達バグスターに奪われるという哀れな最期となった。

 

――――――――――

 

 

それからほどなくして、パラドはゲーム完成に必要だったバグスターを集合させることに成功し、ついに仮面ライダークロニクルは完成してしまう。

 

 

黎斗が最期の瞬間まで探していたのはドラゴナイトハンターZとドレミファビートのバグスター。

パラドはCRに協力していた良性のバグスター『ポッピーピポパポ』に狙いをつけた。

ポッピーは元々ドレミファビートに登場するナビゲーションキャラクターで、黎斗はとある理由から彼女をゲームに参加させるつもりはなかった。

 

しかしパラドはこれまで存在を隠していた仲間であるラヴリカを使うことでポッピーを洗脳、ドレミファビートのバグスターとしてエントリーさせる。

 

ドラゴナイトハンターZの枠には、かつてエグゼイド達に倒されたはずのグラファイトが収まる。

グラファイトやラヴリカ、ポッピーといった完全体のバグスターは、存在を人間に依存する必要がなく、バグヴァイザーなどのツールを用いることで容易に復元が可能だったのだ。

 

 

数日後、事前告知無しで仮面ライダークロニクルは販売を開始。

 

現実の世界でモンスターと戦うといった斬新な内容からたちまち大ヒット商品となり、大勢の人間が量産型仮面ライダーの『ライドプレイヤー』として戦いを始めた。

 

 

しかし、忘れてはならないのはこのゲームを運営しているのは事実上バグスター達であるということ。

仮面ライダークロニクルは、本来のプレイヤーが人間ではなくバグスターへと変わっていたのだ。

 

 

 

「仮面ライダークロニクルはこの時点で人間がバグスターを攻略するゲームではなく、バグスターが人間を攻略し続け、人類を滅亡させるゲームに変わっていたんだ」

 

クロニクルのガシャットを起動させた途端、プレイヤーはランダムで初級、中級バグスターのウイルスのどれか一つに感染し、強制的にゲーム病になる。

 

さらに倒すべき相手であるバグスターは、最弱のソルティですらその強さはレベル10相当。

ライドプレイヤー達は基本的にレベル1から2までのスペックしかなく、レベルの壁がまず立ちはだかっていたのだ。

さらに、仮面ライダーの治療行為を妨害するためにバグスター達は彼らを『倒すと強力なアイテムを落とすレアキャラ』と説明し、ライダー達はバグスターを倒す前に治療する患者と応戦する事態になってしまう。

 

画面が切り替わり、映像内ではパラドクスの必殺技が6人のライドプレイヤーを撃破し、彼らをゲームオーバーにする。

 

「この時の俺は、人の命を奪うことを何とも思っていなかった。ただプレイヤーと戦い、ゲームに勝つことしか考えていなかった」

 

 

絶望的な状況。それでも永夢達は決して諦めようとはしなかった。

彼らの戦い、そして衛生省が仮面ライダークロニクルの危険性を呼びかけたことでようやくその危険性が伝わり、多くのプレイヤーが永夢達にクロニクルのガシャットを預ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、幻夢コーポレーションの社長となっていたラヴリカバグスターによって『仮面ライダークロニクルをクリアすればこれまで消滅した人間達を復活させることができる』という情報が発表される。

 

真実を確かめるため、大我と行動を共にしていたプロゲーマーの少女『西馬ニコ』は自らもライドプレイヤーとして仮面ライダークロニクルに参戦、大我と協力してバグスターを倒し、初級、中級のバグスターを次々と倒していく。

ライドプレイヤーニコの参戦、そして永夢によって洗脳が解かれ、救出されたポッピーと状況はライダー達の方へと少しづつ傾いていく。

 

そしてついに、パラドは永夢の体を乗っ取るという強硬策に出た。

 

強化するためのアイテムとしてパラドはかつて黎斗が使っていたゲーマドライバーに目を付けるが、ゲーマドライバーは人間がバグスターに対抗するためのアイテムであり、バグスターであるパラドは使用条件を満たしておらず使えなかった。

そこでパラドは永夢の体を使い、マイティブラザーズXXの力で同等の力を持つレベルXXに分離。XXRの体を乗っ取ることで永夢が変身したXXLと戦う。

 

その中でパラドは永夢が使ったリプログラミングの攻撃を受け、体内に永夢の遺伝子、すなわち『人間の遺伝子』を取り込んだことでゲーマドライバーの適合条件を満たしたのだ。

 

これによって、パラドはガシャットギアデュアルに内蔵された2つのゲームを一つにした『パーフェクトノックアウトゲーマー・レベル99』に進化を果たす。

ブレイブ、スナイプのレベル50ですらあっさりと倒し、同じレベルのエグゼイドも競り負けてしまうほど、パラドクスは強敵になった。

 

 

だが、ここでパラドだけでなく永夢達にとっても予想外の出来事が起こる。

 

 

パラドクスに敗れ、絶体絶命の永夢達を救ったのはポッピーの手によってバグスターとして蘇った仮面ライダーゲンム、檀黎斗だった。

 

「随分と楽しそうじゃないかパラドォ……ゲームマスターの私を差し置いてええ!!」

 

狂気の滲み出る口調で話すゲンムの姿に、マリア、切歌、調は思わず背筋が震える。

 

「な、何かしら…」

「ブルッ!?どっかで似たようなキャラを見たことあるデスよ…」

「…ドクターと同じ、狂ったタイプ…」

 

ポッピーはリプログラミングによって洗脳が解かれた際、封印されていた宿主の記憶を思い出した。

その記憶に導かれたポッピーはかつて黎斗がアジトにしていた旧幻夢の建物を調査し、6台目のゲーマドライバーと最初のライダーガシャットであるプロトマイティアクションXオリジンを発見し、ゲーム内部に侵入。内部で抜け殻となっていた黎斗のバックアップデータを発見した。

ゲーマドライバー、及びプロトマイティアクションXオリジンを使うことで黎斗は人格を取り戻し、永夢を助けるという約束で現実世界に帰還したのだ。

 

 

 

人間だった頃と同じく、自らを『神』や『ゲームマスター』と名乗る傲慢な態度は変わらないどころか寧ろ酷くなっていた黎斗だが、ポッピーの情報によって永夢達は狂気の中に隠れた黎斗の優しさ、そして命のあり方に関しての考えを知ることとなる。

 

そのきっかけとなったのは、記憶を取り戻したことで判明したポッピーの宿主だった人物。

感染者の名前は檀櫻子。黎斗の実の母親であった。

 

重い病を煩い、余命幾ばくもない櫻子を救うために黎斗はポッピーのバグスターウイルスを感染させ、劣化することのないデータとして母の命を守ったのだ。

 

母の命を救うために消滅させ、代わりに誕生したポッピーは、黎斗にとってかけがえのない命である。それこそ、自分の身を犠牲にすることを躊躇わないほどに。

 

 

 

「ポッピーは削除させない…!彼女は私が生み出した………命だ!」

ポッピーの命を狙うパラドを前に、黎斗はかつての復讐ではなく大事な命を守るために戦うことを決意する。

その姿は永夢の心を動かすには十分すぎた。

 

 

利害の一致。それだけでもかつて敵対していたエグゼイドとゲンムが手を結ぶには十分な理由。

あくまでも自分の才能が必要になったかと上から目線を崩さない黎斗と、冷ややかな対応をする永夢。

だが、この時2人は最強のコンビとなっていた。

 

「マックス大…!」

「グレード0…!」

 

「「変身!!」」

鏡合わせのように正反対のポーズで変身するエグゼイドとゲンムは、互いの長所を上手く利用する形でパラドクスに勝利を収め、ゲンムはパラドからデンジャラスゾンビのガシャットを奪い返すことに成功する。

 

 

その後、黎斗は神の恵みと称して攻略に必要なアイテムや情報を永夢達に提供する。

 

永夢には、ポッピーの洗脳を解除した礼としてドレミファビートのガシャットロフィーを。

大我にはもう一つのガシャットギアデュアルβを。

飛彩にはライダークロニクルをクリアすればこれまでの消滅者を復活させることができるというゲームマスター直々の情報を与える。

すべての準備を整え、ライダー達とバグスターは決戦に赴くこととなった。

 

――――――――――

 

それからほどなくして、仮面ライダーとバグスターの総力戦が始まる。

仮面ライダークロニクルの決着を付けるため、戦うライダー達とバグスター達。

物理攻撃が効かないラヴリカを攻略するため、エグゼイドはリプログラミングを用いてラヴリカの取り巻きを削除することに成功。最初にラヴリカを倒そうとするが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如、その人物は姿を現した。

 

「あの人って…!」

「檀政宗…!」

かつて逮捕された政宗だが、黎斗が人間として消滅する前にゼロデイは黎斗が起こしたことだと判明し、ようやく政宗は釈放されたのだ。

 

 

突然現れた政宗に困惑する一同。そして彼は自らが仮面ライダークロニクルをこれから運営すると宣言した。

 

一同の前で政宗はバグルドライバーツヴァイを装着し、仮面ライダークロニクルのマスターガシャットを起動させる。

 

「変…身」

本来、バグルドライバーツヴァイは人間が使うと大量のバグスターウイルスに感染し、消滅する。

しかし政宗は16年前に永夢と同じ原初のウイルスを密かに体内に取り込み、あらゆるバグスターに耐えられる完全な抗体を身につけることで使用可能になっていた。

 

永夢達の前で政宗は仮面ライダークロニクルに設定されていた最強のプレイヤー、仮面ライダークロノスに変身した。

 

 

「あれがクロノス…でも、色が違うわね?」

「ゲムデウスは自分の力をクロノスに反映させていたからな。あの緑の姿が、クロノスの本当の姿だ」

 

 

圧倒的な強さはこちらの見たゲムデウスクロノスにも引けを取らず、クロノスの特殊能力『ポーズ』によってゲームエリアの時間が停止させられる。

 

停止した時間の中でクロノスは一方的にパラドクスとグラファイトを攻撃し、ラヴリカに対しては必殺技を発動させる。

 

 

《クリティカルクルセイド!》

足元に時計を模したエフェクトが発生し、時計の針に合わせてクロノスが回し蹴りを叩き込む。

 

「ときめきクライシスは絶版だ」

《リスタート》

クロノスによってラヴリカは死亡。ポーズによって停止した時間の中で死を迎えれば、例え完全体のバグスターであろうとコンティニューすることはできず、永遠に死という時間の中で止まり続ける。

 

 

今後は自分が仮面ライダークロニクルを運営し、ライダーとバグスターの運命をジャッジすると言い残して姿を消すクロノス。

予想外の第三勢力によって仮面ライダークロニクルはさらなる混沌へと進んでいった。

 

 

――――――――――

 

「檀政宗は永夢達ライダーを崩すために様々な策を使ってきた。例えば、ブレイブの恋人のデータが封じられているプロトドラゴナイトハンターZを使うことでブレイブを雇ったりな」

 

失った恋人にもう一度逢いたいという思いを政宗は利用し、飛彩を自らの手駒として迎え入れる。

さらに、プロト爆走バイクに保存されていたデータから仮面ライダーレーザー、九条貴利矢を復元して部下として雇った。

 

皮肉なことに、かつて永夢を信じていた飛彩と貴利矢が敵に回り、敵対していた大我と黎斗が味方になるという形になって戦いは続く。

 

そんな中貴利矢に焚きつけられた黎斗はクロノス攻略のために自らの才能の集大成となる『ハイパームテキガシャット』を開発。

永夢が使うことでクロノスをも上回る力を手に出来るはずだったが、以前パラドをリプログラミングした際に天才ゲーマーMとしての力を失ったため、起動できなかった。

 

 

代わりに黎斗が使うことでポーズが通用しない『ムテキモード』になるが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あろう事かゲンムは無敵時間のおよそ10秒を全てガシャットの解説と高笑いに使ってしまい、クロノスにまんまとハイパームテキを奪われるという致命的な失態を犯してしまう。

 

 

「やっぱこいつ、馬鹿デスよね!?」

「切ちゃん。それ多分皆思ってるよ」

調の言葉にその場の全員が頷いた。

 

そんな中、響はふと気になったことをパラドに聞く。

「パラド君。この映像って時間が止まってる中でも流れてるけど、誰の記憶なの?」

「…これは、ディレクが見ていた記憶だ」

 

パラドはクロノスの持つマスターガシャットを指差す。

「ゲンムがマスターガシャットを作ったのはあのアジトだったからな。その時にディレクのデータもまた、ガシャットに閉じ込められていたんだ」

 

だからこそポーズを行っても停止中の映像まで確認できた。

「ハイパームテキを奪われた永夢だったけど、あいつは既にガシャットを取り返して使いこなす計画をこの時点で立てていた」

 

再びスクリーンに注目する一同。

永夢はパラドと接触し、パラドをクロノスのドライバーにデータとして流し込むことでポーズを妨害するという計画を説明する。

 

しかし、永夢の本当の計画は違った。

強化されたレーザー…レーザーターボは政宗を利用してハイパームテキを譲り受け、素早く永夢に投げ渡す。

貴利矢は裏切っていたわけではなく、得意の嘘で政宗が保管していたプロトガシャットを奪い返すために潜入していたのだ。

そして永夢はパラドと一体化を果たし、ゲーマーMの力を再び取り戻した状態でハイパームテキを受け取り起動。

 

 

「ハイパー…大変身!」

マキシマムゲーマから射出され、黄金の輝きを纏うエグゼイド。

 

それは正しく、ネフィリムとの戦いで将也が変身した姿だった。

 

 

「エグゼイド・ムテキゲーマー。あらゆる攻撃が通用せず、ポーズなどの影響も受けない無敵状態が無制限で使えるエグゼイドの最強形態だ」

無敵の名に恥じない強さを持つエグゼイドは、ほぼ一方的にクロノスを圧倒し、勝利を収めることに成功した。

 

 

 

―――――――――――

 

エグゼイドが勝利したところでエルフナインが説明を続ける。

「この戦いで敗北したことを期に、檀政宗は追い詰められていくことになります」

 

永夢の変身能力を奪うため、政宗は飛彩にレベル100のガシャット『タドルレガシー』を与え、パラドクスを抹殺するように命じるが、飛彩に対して罪の意識を感じていた大我は飛彩を助けるためにグラファイトに挑み、大我はグラファイトによって心臓に致命傷を負ってしまった。

 

その夜、大我の手術が出来るのは飛彩だけであると父であり院長である鏡灰馬から電話があり、政宗はこの状況を利用するために飛彩に対してわざと手術に失敗しろと命令する。

 

大我を殺せば人質にしている小姫を救えるが、大我を助ければ小姫のデータを抹消すると脅迫される飛彩。

迷った末に飛彩は、かつて小姫と交わした「世界一のドクターになる」という約束を思い出し、大我を救った。

 

 

約束を胸に、再びドクターとして、仮面ライダーとしての誇りを取り戻した飛彩はブレイブに変身。エグゼイドと共に戦い、檀政宗と決別する。

 

次々と手駒を失う政宗はニコにゲムデウスウイルスを感染させ、永夢に対してパラドを倒させようと計画する。

 

しかし永夢はパラドに対して冷徹なまでに攻撃し、一度死亡寸前まで追い込むことで命の重さを思い知らせ、その上でパラドを真の相棒として迎え入れる。

 

共に手を取り合ったエグゼイドとパラドクスは、政宗のマスターガシャットを破壊して仮面ライダークロニクルを強制終了させるために戦いを挑むこととなった。

 

 

 

「マックス!」

「ハイパー!」

 

 

「「大変身!」」

 

最強形態のエグゼイドとパラドクス。共に手を取り合うことを選んだダブルライダーの連係プレーの前にクロノスは圧倒され、ポーズで時間を止めてもその先の動きを2人は読んで攻撃をする。

 

 

切り札のエナジーアイテム独占もパラドクスの奇策によって破られ、ついにダブルライダーのキックでマスターガシャットは破壊、変身不能になる。

 

すると、突如画面が揺らぐ。

 

 

「画面が揺らいだ…何か異常があったのか?」

「さっきも言ったろ…?この映像はあくまでもマスターガシャットに封じられたディレクの記憶だ。当然、マスターガシャットが破壊されれば…」

 

「内部のディレクも消滅し、映像も終わりを迎える…ということか」

弦十郎の言葉通り、少しづつ画面が暗くなっていき、やがて何も見えなくなる。

 

 

「じゃあ、誰もディレク君のことは…」

「気がつかないまま、消えたということか…」

響と翼は誰にも存在を知られることのなかったディレクのことを思い、拳を握る。

 

 

 

 

「そう。本来ならここで終わるはずだった。だけど…」

パラドの説明と共に、暗くなった画面が少しづつ変化する。

 

 

 

 

 

 

 

やがて、消えたはずの映像がまた再生される。

映像内では、政宗が壊されたはずのマスターガシャットを手に持っている。

 

「こ、これって…どうなってんだよ?」

クリスの質問にエルフナインが答えた。

 

「檀政宗は、永夢さんと同じく原初のバグスターウイルスに感染していました。そして原初のウイルスは、感染者の感情によって様々な能力を発動させます」

永夢は、かつてマイティブラザーズXXやマキシマムマイティXといったガシャットを作り出した。

 

かつての永夢と同じように、政宗は自らのウイルスに対してある事を願う。

それは、『最大の誤算であるハイパームテキガシャットさえ存在しなければ』ということだった。

その結果、政宗は新しい力『リセット』を発動。

 

なんと、仮面ライダークロニクルの進行が『ハイパームテキが完成する前』まで戻されてしまいガシャットが消滅するという事態に陥ってしまう。

 

 

 

 

檀政宗の執念によって永夢達はクロノスへの切り札を失ってしまう。

 

そして、パラドとエルフナインが語る仮面ライダーエグゼイドの戦いはまもなく、エンディングを迎えることになる…

 




次回、後編でついに宝条将也誕生の秘密に迫ります!

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