戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士 作:狼牙竜
今年も『戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士』を応援よろしくお願いします!
感想、評価がやる気に繋がるのでいつでもお待ちしています!
OP Exterminate
挿入歌 Let`s try Together
ED EXCITE
将也がアマゾンネオ…千翼との戦いで倒れてから半日。
幸いにも手術が成功し、一命を取り留めたことがエルフナインの口から知らされ、ホッとする響達。
「よかった…将也君、助かったんだ…」
「だが、非常に厄介なことになったのは間違いない…」
翼達の懸念は、アマゾンネオ。
単純な戦闘力は恐らくレベル5よりも上。
実際、ゲンムのゾンビゲーマーが勝てたのは特殊能力である『不死の力』によるゴリ押しが大きい。
その上、強力な力を持っていたプロトガシャットのうちの一つ、プロトマイティアクションXもキャロルに奪われてしまった。
「それだけじゃない。あのプロトガシャットは絶対に取り戻さなきゃならないんだ」
後ろに立っていたのはパラド。
「パラド…プロトガシャットって結局何なの?あなた達がそこまで言うなんて…ただの試作品ってだけじゃないの?」
マリアの質問に、パラドが答える。
「プロトガシャットは、これまでバグスターによって消滅した人間達の『命』を繋ぐ最後の希望なんだ」
バグスターによって消滅した宿主、及びゲームオーバーとなって消滅した仮面ライダーは肉体こそ消滅するが心…精神まで消えるわけではない。
消滅した人間はデータへと変換され、感染したウイルスの出身であるプロトガシャットのストレージに保存されるのだ。
因みに、プロトガシャットの存在しないゲームから誕生したラヴリカの場合、つながりのある『ドレミファビート』に保存され、初代レーザーである九条ハヤトのデータは『爆走バイク』に残っている。
「それと、将也のバックアップデータは最初期のプロトガシャット『プロトマイティアクションXオリジン』に保存されている」
響達は、リボルとの戦いで将也が使っていたプロトガシャットを思い出す。
「でも、ハヤトさんのデータが復元出来る可能性があったのにどうして将也先輩は今までプロトガシャットを取り返そうとしなかったデスか?」
「いや…正直な話プロトガシャットは俺達が使っていた分を除いてゼロデイで行方不明になってな…てっきり破壊されたのかと思ったんだが、キャロル達が使っていたということは…」
「そっちが探してたゲムデウスって奴の元にあったのが、奴らに渡されたってことか…?」
「ああ。それに、消滅者の復元に必要なのはプロトガシャットだけじゃなく、復元のための『鍵』となるガシャットがいるんだが…」
そのガシャットを作成するのは容易ではない。
必要なのは仮面ライダーとしての10本のガシャットの戦闘データ及び、それに登場するバグスターの戦闘データである。
過去の戦いでガシャットのデータは十分に集まっているが、ドレミファビートとドラゴナイトハンターZのバグスターに関してもデータは未だに不足しており、復元の鍵となるガシャット完成までの道はまだ遠い。
「でも、将也先輩のゲーマドライバーが…」
調の言葉に全員が俯く。
将也の使っていたゲーマドライバーは、アマゾンネオの触手によって破壊されており、修復は難しい状態となっていた。
その上、修理できるのが唯一将也だけなので本人が直せない限り、しばらくは使えそうにない。
「将也の回復、ドライバーの修理、そして……新ガシャットの開発…やることが多いな…」
パラドは頭を押さえながら呟いた。
――――――――――
チフォージュ・シャトー。
現在、千翼はガリィ達によって前回の戦いの治療を行っていた。
「ありがとう、ガリィ」
「何言ってんの千翼ちゃん、これくらいガリィちゃんにとって簡単簡単♪」
治療を行うのは初めてだが、思った以上に手際のいいガリィに関心する千翼。
その様子を不機嫌そうに見るキャロル。
ガリィはキャロルの視線に気づいているが、面白半分で煽るような表情を時折キャロルに見せていた。
「おやおや、しばらく見ないうちに、新しいメンバーが加わったようだね?」
後ろから聞こえる不快な声に、全員が嫌な顔をする。
いつの間にか現れた男に対し、キャロルが睨みつける。
「いきなり人の家に押し入って謝罪もなしとは、随分なことだな。ゲムデウス」
キャロルの棘のある言葉にわざとらしく悲しそうな表情をするゲムデウス。その後ろには白いスーツの男…天ヶ崎恋もいた。
「随分と嫌われたもんだ。君達のために私がどれだけ苦労したと思っている?」
ため息をつくが、ゲムデウスは改めて話し始める。
「まあいい。今日は君たちに紹介したい奴らがいてね…」
ゲムデウスが指を鳴らすと、彼の体からバグスターウイルスが分離。
4つの人型を作り出し、それぞれが異なる姿のバグスターへと変化した。
「紹介しよう。彼らが、私の計画する究極のゲームに参戦するプレイヤー達だ。そして…」
ゲムデウスは腰に装着していた白いベルト…先日将也が使っていたものとは色違いの『バグスターバックル』に、ガシャコンバグヴァイザーツヴァイを合体させる。
《ガッチャーン!》
変身ベルト『バグルドライバーツヴァイ』を完成させ、ゲムデウスは懐から緑と黒のガシャットを取り出し、起動させた。
《仮面ライダー・クロニクル…!》
「変…身…」
目の前でガシャットを手放すと、ガシャットはまるで意思を持つかのようにゲムデウスの周囲を飛び回り、ゲムデウスはドライバーのAボタンを押す。
軽快な待機音が鳴る中、ガシャットは自動的にドライバーに装填、ゲムデウスはドライバーのトリガーを押し込んだ。
《ガシャット・バグルアップ…!》
音声が鳴り、ゲムデウスの目の前に時計の文字盤のようなものが出現。
《天を掴めライダー!(Wooooo!)》
ドライバーのディスプレイに表示された映像が実体化し、ゲムデウスの体を覆う。
《刻めクロニクル!》
一瞬だけゲムデウスのバグスターの姿が重なり、その姿を大きく変えた。
《今こそ時は、極まれり!(Wooooo!)》
エグゼイドやゲンムに近いデザインながら、特徴的な頭の3本の角。
全体を赤と金の装甲が覆い、金色のローブが下半身を覆っている。
エグゼイド達に共通する眼は、まるで血走ったかのような赤い目。
その手には、宝剣『デウスラッシャー』と宝盾『デウスランパート』を握っている。
「これが私の新しい姿………『仮面ライダークロノス』だ」
クロノス…否、ゲムデウスの力を宿した『ゲムデウスクロノス』はデウスラッシャーをキャロル達に向けて宣言した。
――――――――――
翌日、S.O.N.Gの医務室に響、クリス、切歌、調、未来が向かって歩いていた。
理由は言わずもがな、将也の見舞いである。
手術が成功して2時間ほどたってから目を覚ました将也はもう回復が進んでおり、明日にはもう退院できるようになるらしい。
扉をノックすると、向こう側から返事が聞こえる。
「どうぞ」
「失礼しま~す……ってえぇ!?」
響達は目の前の光景に驚く。
「あれ、皆学校は終わったの?」
入院着にベッドの上という状況は昨日と同じだが、目にも止まらぬ速さでパソコンのキーボードを叩いている将也の姿があった。
その横には、前回の戦いで破壊されたはずのゲーマドライバーも修理が完了した状態で置いてある。
「お…お前、何やってんだ?」
「ああ。すっかり体の調子も戻ったから、今後の対策のために新ガシャットを作っていたんだ」
よく見るとパソコンには幾つかのケーブルがつながっており、その先には何らかの装置に真っ黒なガシャットが装填されている。
「新ガシャット…でもこれって…」
「パラドのガシャットと同じ形だけど、どこが新作?」
調と未来が疑問をぶつける。
「そいつの名前は『ガシャットギアデュアルβ』。基本的なシステムや外見はパラドのギアデュアルの流用だけど、中身は全くの別物だ。因みに、ガシャット開発に必要なフォニックゲインはすでにこれまでの戦闘で集めている」
5人にパソコンの画面を見せる。
「パラドのガシャットが普段僕の使う変身用だとしたら、βはゲーマ召喚型ってところだね」
画面には2種類のゲーマとタイトルが表示される。
「魔王が勇者を倒し、世界を掌握するゲーム『タドルファンタジー』。相手の持つ特殊能力やエナジーアイテムの力を無効化する魔法を放てる。そして…」
「無数の戦闘機を撃墜させる戦艦シミュレーションゲーム『バンバンシミュレーションズ』。遠距離からでも安定した高火力の攻撃ができるのが特徴だ」
ゲームの内容を見て、切歌はあることに気がつく。
「このゲーム…ブレイブとスナイプのガシャットに名前が似てるデスね?」
「いいところに気づいたね。これはタドルクエストとバンバンシューティングのデータを元に作り上げたアップデート版で、それぞれがブレイブとスナイプの強化用ガシャットになるんだ。そのレベルは……50」
レベル50。それは現在、パラドクスのみが到達しているレベル。
だが、当然ながら体を襲う負担はレベル20のマイティブラザーズの比ではない。
「でも、そんなガシャットを使えば…」
「うん。響の考えも当たってるよ」
響達の懸念も当然だろう。今まで将也が滅多にレベル5以上のガシャットを滅多に使わなかったのは、強すぎる反動によってのダメージが大きかったからだ。
「だけど、そろそろ限界だから…」
先日の戦いで、将也はそれを実感した。
アマゾンネオとの戦いで、戦闘力においてはレベル5で最強だったはずのゲンムですら勝てず、レベルXのデンジャラスゾンビを使うことで何とか退けることができた。
これから先、恐らくさらにレベルの高いガシャットを使わなければキャロル達には勝てない。
だからこそ、今のうちに高レベルのガシャットに体を慣らす必要があった。
「そ、それにしてもよく一日でこんなに強いガシャットを思いついたデスね、流石将也先輩デス!」
切歌が妙に重苦しくなった空気を戻すために将也を褒めるが、将也は微妙な顔をする。
「思いついたっていうか……微妙なんだけど…」
将也は、このガシャット開発までの経緯を話し始める。
――――――――――
アマゾンネオとの戦いで気を失った将也。
ふと目が覚めると、そこでは不思議な光景が広がっていた。
「あれは……エグゼイド?」
どこかの採掘場のような場所。そこでは黒いコートを着た男と対峙しているエグゼイドがいた。
すると、男は懐から赤いガシャット…ガシャットギアデュアルβを取り出し、ダイヤルを回転。
《TADDLE FANTASY!》
ゲーム画面が開き、そこから赤い魔王をモデルにしたような『ファンタジーゲーマ』が出現。
ゲーマ単体であるにも関わらず、エグゼイドを圧倒した。
さらに周囲の景色が歪み、場面が変わる。
どこかのビルの下で、白衣を着た青年がゲーマドライバーにギアデュアルβを装填、ブレイブに変身する。
さらに、ブレイブはファンタジーゲーマを装着。
赤い鎧に身を包んだブレイブは、無数のバグスターウイルスを召喚してバグスター、及びゲンムレベルXを相手に圧勝した。
「って夢を見たんだけど…」
夢の内容を説明する将也だったが、響達は困った表情を浮かべている。
「ゆ、夢って…」
「それだけでこんな強いガシャット作ったのかよ…発想が異次元超えすぎだろ…」
呆れ顔の響とクリス。
しかし、調は将也の夢の内容に疑問を持った。
「それって…本当に夢…なんですか?」
「どういうことデスか、調?」
切歌が気になったのか、調に質問する。
「何ていうか…夢にしては内容がリアル過ぎると思って…」
調が引っかかったのはそこ。
エグゼイドとゲーマが戦ったり、さらにはブレイブがレベルアップした際の能力が具体的すぎる。
さらに、将也という同一人物が使うはずのブレイブとゲンムが戦っているといった明らかに奇妙な内容。
「もしかして先輩…他のガシャットを作った時も、そんな夢を見てたんですか?」
「……ああ」
将也はベッドの横の戸棚からデンジャラスゾンビのガシャットを取り出す。
「このガシャットを思いついたときもそうだった。夢の中ではさっきの男…ギアデュアルでゲーマを召喚した男がレーザーを相手にしてこのガシャットで変身した」
夢の中で、ゲンムはゾンビゲーマーに変身してレーザーを圧倒、ゲームオーバーにまでした。
「…だからかな。このガシャットもだけど、自分で作ったはずなのに、まるでほかの誰かが作ったような感覚がするんだ」
将也は複雑な表情を浮かべ、切歌達は何も言えなくなるが…
「でも、その力を使って皆を助けたのは、間違いなく将也君だよ」
そっと将也の手を握って声をかけたのは、響だった。
「響…」
「その力がどこから来たのか何て、私にはわからない。だけど、その力のおかげで将也君は、私達の命も、みんなの命も助けてくれた」
穏やかな表情で将也の手を握る響。
「だから大丈夫。何があっても、例えその力がどんなものでも、私達は絶対に将也君の力になる」
響の言葉に、将也の胸の苦しみは少しだけ治まった。
「……ありがとう…」
「な~んか、アタシらがお邪魔虫みたいになってんだけど?」
横からのクリスの声で気が付く将也と響。
振り向くと、クリスと切歌と調がジト目でこちらを見ていた。
「え、えっと…」
「まあいいけどな。思う存分イチャつけばいいし。アタシは気にしてないから」
「そうデスね。私達はお邪魔みたいデスし、おさらばデスよ」
「……」
棘のあるクリスと切歌の言葉に、調に至っては何も言わずに立ち去ろうとする。
「「ご……ごめんなさあああああい!!!」」
―――――――――――
2日後。
将也の傷は無事に完治し、破壊されていたゲーマドライバーも入院中に修理を完了させた。
そして現在、将也はエルフナインから借りた研究室の1室に閉じこもり、最後の仕上げとしてこれまでのスナイプ、ブレイブの戦闘データをガシャットギアデュアルβに入力していた。
「よし。あとはこいつを……」
先日のスナイプ・レベル3での戦闘データを入力すると、画面には『COMPLETE』の文字が表示され、ガシャットギアデュアルβは赤い外装へとデザインを変え、タドルファンタジーとバンバンシミュレーションズのゲームタイトルが表示される。
「完成だ…!あとはこいつを…」
すると、アルカ・ノイズ出現を知らせる警報が鳴る。
「マジかよ…」
将也はゲーマドライバーを装着し、ガシャットを入れたトランク、そして完成したばかりのガシャットギアデュアルβを持って研究室を飛び出す。
「すいません、遅れました!」
司令室に駆け込む将也。他のメンバーはすでに集まっていた。
「宝条。遅れた理由ってもしかして…」
翼の言葉に頷く将也は、ギアデュアルβを取り出す。
「ああ。完成したよ。新しいガシャットが」
新たなガシャットを持ってきた将也を見て頷いた弦十郎は、説明を開始した。
「では、説明を始める。現在、軽井沢の別荘地にアルカ・ノイズが出現、すでに民間人の避難は完了しているが、奴らは行動を起こさず、同じ場所で沈黙している」
モニターに映像が映し出される。
そこには、じっと動かないアルカ・ノイズの大群が映っていた。
「俺達を待ってるのか…?」
「こいつらがキャロルの手先なら、多分そうなんだろうが…」
敵の狙いが何なのか考えるが、弦十郎は全員に指示を出す。
「何にせよ、奴らが行動を起こす前にアルカ・ノイズを排除する。準備はいいか?」
戦闘メンバーが全員頷いた。
「では、出撃用ミサイルを準備する!総員、持ち場に付け!」
『了解!』
――――――――――
S.O.N.Gの潜水艦に搭載された出撃用ミサイル。
本来攻撃に使われるミサイルから信管や爆薬などを抜き取り、代わりに装者達が入ることでより素早く現場へと向かうことができるように改造されたもの。
弱点として帰りに使うことはできない、行き専用の移動手段である。
因みに、3か月前に響達3人は月から帰還したスペースシャトルを救助する際にこのミサイルを使っている。
すでに6人の装者はそれぞれのミサイルに乗り込み、将也とパラドも急いで変身の準備をする。
《マイティブラザーズ!ダブルエーックス!》
《PERFECT PUZZLE!》
将也はマイティブラザーズXXガシャットを起動させ、パラドはガシャットギアデュアルのダイヤルを回転、パーフェクトパズルを選択。
「「変身!!」」
《ガッチャーン!レベルアーップ!》
《デュアルアップ!》
周囲を取り囲むセレクトパネルの中から、将也は2色に分かれたデザインのエグゼイドのパネルを選択。
2人の前にゲートが出現する。
《マイティブラザーズ!二人で一人!マイティブラザーズ!二人でビクトリー!エーックス!》
《Get the Glory in the chain!PERFECT PUZZLE!》
将也はレベル1に似た外見だが、マスクの右半分がオレンジ、左半分が青みがかった緑の『仮面ライダーエグゼイド ダブルアクションゲーマーレベル
パラドも仮面ライダーパラドクス パズルゲーマーに変身し、素早くミサイルに乗り込む。
「仮面ライダーエグゼイド!」
「仮面ライダーパラドクス!」
「「出撃します!」」
それと同時に、ミサイルが目的地に向けて発射された。
――――――――――
軽井沢。
現在、アルカ・ノイズが歩き回っており、自衛隊が銃器を構えている状態が続いていた。
すると、その沈黙を破る轟音が上空から聞こえる。
「た、隊長!あれを!」
隊員の一人が空を指さす。
そこには、8発ものミサイルが飛んできたのだ。
さらに驚くべきことに、空中でミサイルは砕け、中から6人の少女と2人の仮面の戦士が出てくる。
「開幕サービスだ!」
ミサイルから飛び出したパラドクスは、腰のギアデュアルを操作する。
《キメ・ワザ!》
《パーフェクト・クリティカルコンボ!》
空中でキックの体勢をとったパラドクスは、次々とアルカ・ノイズを撃破する。
「くらいなさい!」
マリアはアームドギアを蛇腹剣にして纏めてアルカ・ノイズを切断する。
『EMPRESS✝REBELLION』
開幕からの大技に自衛隊員は言葉を失う。
「あれが…シンフォギアと、仮面ライダー…」
すると、隊員達の前にエグゼイドが着地。
「皆さん、ありがとうございます!あとは俺達に任せてください!」
エグゼイドの言葉に隊長が頷く。
「わかりました!我々は民間人の安全を確保します!」
自衛隊員達は避難していない民間人がいないか捜索を開始し、エグゼイド達はアルカ・ノイズと向き合う。
「さあ、ノーコンティニューでk「クリアしてやるデス!」…切歌、被るな!」
いつもの決め台詞を言おうとしたら、切歌が前に入って台詞を被せてきた。
「ご、ごめんなさいデス先輩…」
シュンと落ち込む切歌だが、アルカ・ノイズが迫るとすぐさま気持ちを切り替える。
「いくぜ!」
(BGM Let`s try Together )
レベル1と同じ、ゆるキャラボディのレベルX。
当然ながら、レベル1の能力も引き継いでいる。
「おおおおりゃあああ!!」
ただアルカ・ノイズに体当たりするだけで次々とアルカ・ノイズは砕けていく。
「まだまだ!」
《ガシャコンキースラッシャー!》
武器を展開して攻撃するエグゼイド。
響達もそれぞれアルカ・ノイズを撃破していくが、一向に減る気配がない。
「くっそ!どうなってんだよ!?」
「これだけ無尽蔵に出てくるということは…どこかにこいつらを出現させる何かがあるはず…!」
翼は、自分なりの仮説を立てる。
「だったら俺達が何とかする!」
エグゼイドは周囲のアルカ・ノイズを一掃し、ゲーマドライバーのレバーを閉じた。
「だ~~~い……変身!」
両腕をブンブン振り回しながらエグゼイドは叫び、レバーを開く。
《ガッチャーン!ダブルアーップ!》
《俺がお前で!お前が俺で!(ウィーアー!)マイティマイティブラザーズ!(HEY!)ダブルエーックス!》
エグゼイドはダブルアクションゲーマーレベル
「アルカ・ノイズは俺に任せろ!お前は大元を見つけてくれ!」
「わかった!」
XXLはガシャコンブレイカーを召喚し、近くのエナジーアイテムを取る。
「これだ!」
《幸運!》
黄緑色のエナジーアイテム『幸運』を入手するXXL。
「パラド!僕に挑発とマッスル化を!」
「オッケー!」
パラドクスは周囲のアイテムをかき集め、その中から該当するアイテムを選び、XXLに向けて投げる。
《挑発!》《マッスル化!》
(来い……僕はこっちだ!)
周囲を走り回るXXL。
すると、XXLの存在に気づいたのか1体のアルカ・ノイズが攻撃してくる。
「うわっ!ホントに来たよ!」
襲撃してきたのは、空中に浮いている獏のようなアルカ・ノイズ。
キャロルとの最初の戦いの時にもいた、バグスターウイルスの顔をした個体である。
どうやら、透明になった状態でアルカ・ノイズを召喚し続けていたらしい。
「カラクリさえ解ればこっちのもんだ!」
XXLは近くのアルカ・ノイズを踏み台にして獏型に詰め寄り、ガシャコンブレイカーにドラゴナイトハンターZガシャットを装填。
《ガッシャット!キメワザ!》
「フィニッシュだ!」
ハンマーモードのガシャコンブレイカーが金色に輝く。
《ドラゴナイト・クリティカルフィニッシュ!》
『DRAGO・KNIGHT・CRITICAL・FINISH!』
強烈な一撃が獏型を捕らえ、一発で粉砕する。
「やった!」
地上で戦っていた響達も、エグゼイドによって大元が倒されたところを見ていた。
――――――――――
「これで…終わり!」
それから数分後。響が最後のアルカ・ノイズを殴って消滅させ、周囲にアルカ・ノイズの反応は消えた。
《周囲にアルカ・ノイズの反応、ありません!》
藤尭が状況を報告する。
「これで解決…なのかな…?」
エグゼイドはレベルXに戻り、周囲を確認する。
だが、8人とも妙な予感がした。
「……皆、分かるか?」
「ああ。この気配…」
どこからか視線を感じ、戦闘態勢を解かない。
「さっすがだねぇ。シンフォギア装者、そして仮面ライダー」
拍手の音が聞こえ、振り返るとそこには1人の男が立っていた。
その男の姿を見たとたん、パラドクスはガシャコンマグナムを召喚して構える。
「おいおい、そんな物騒なものを向けるなよ?」
「……お前…バグスターだろ?」
同族であるパラドは直感的に感じ取ったのだ。
この男からはバグスターの気配がすると。
「………ハッハッハッハ!流石だなぁパラド!いや…
『パーフェクトノックアウト』、じゃなくて今は『パーフェクトパズル』って呼んだ方がいいか?」
「!?」
目の前の男の自分に対する呼び名を聞いて、パラドは一瞬混乱した。
「どうして、その名前を…!?」
自分をそう呼ぶ人物をパラドは一人しか知らない。
「お前…『檀政宗』か!?」
「檀…」
「政宗…?」
他のメンバーは、パラドが呼んだ名前に疑問を持つ。
「残念ながらその答えは不正解だ。私は…」
すると、男の体から黒いオーラが溢れる。
やがて、オーラが弾けると男の姿はバグスターへと変わっていた。
「ゲムデウスバグスター。久しぶりだな、パラド」
ゲムデウスはすぐに人間の姿に戻る。
「ゲムデウス…!」
「じゃあ、こいつが…」
「将也先輩達が探してた、バグスター…!?」
一瞬だが、ゲムデウスから溢れ出したオーラ。
それはかつて響、翼、クリスが戦ったフィーネに匹敵しかねない迫力だった。
そのためか、全員少し気圧されて数歩下がっている。
「そう。そしてもう一つの姿が…」
いつの間にか装着されていたバックルに、ゲムデウスはバグヴァイザーツヴァイを装着。
取り出したガシャットを見て、パラドクスは叫ぶ。
「なんで…どうしてそのガシャットがある!?」
《仮面ライダー・クロニクル…!》
告げられたゲームタイトルを聞いて、響達はかつて将也の精神世界で見た、あのゲームだと気づいた。
「変…身」
《ガシャット!バグルアップ!》
ゲムデウスの体が黒いオーラに飲み込まれ、ドライバーのディスプレイと共に時計の文字盤のような表記が浮かぶ。
《天を掴めライダー!(Wooooo!)刻めクロニクル!今こそ時は、極まれり!(Wooooo!)》
最悪のゲーム『仮面ライダークロニクル』の伝説の戦士『仮面ライダークロノス』。
そしてそのラスボス『ゲムデウス』が融合した、真のラスボス。
「ゲムデウス…クロノス…!」
ゲムデウスクロノスの姿を見て、エグゼイドはガシャットギアデュアルβを取り出す。
「ゲムデウス…お前が…お前がハヤトさんを!」
《TADDLE FANTASY!》
《Let`s Going King of Fantasy!Let`s Going King of Fantasy!》
ゲーム画面が開き、エグゼイドはガシャットを装填。
《デュアル・ガッシャット!》
「術式レベル50!」
レバーに手をかけるが…
「グウッ!?がああああ!?」
突然ガシャットから電流が流れ、エグゼイドにダメージを与える。
さらに、エグゼイドのライダーゲージが急速に下がり、3本あったゲージは残り1本となり、それすら半分を切っていた。
「将也!」
「将也君!」
すぐさま響達が駆け寄ろうとするが…
「全く、見苦しいな」
ゲムデウスクロノスはバグルドライバーのボタンを2つ同時に押した。
《ポーズ》
すると、ゲームエリア全体の時間が止まり……
《リスタート》
次の瞬間、8人とも爆風で吹き飛ばされていた。
『うあああああ!?』
爆風で変身が解除される将也達。
何とか立ち上がろうとするが、将也はゲーマドライバーからガシャットギアデュアルβが消えていたことに気がつく。
「お探しのものは、これかな?」
ゲムデウスクロノスの手には、ギアデュアルβが握られている。
「お前…それを返せ…!」
将也の姿を鼻で笑うゲムデウスクロノス。
「しかし残念だなぁ。まさかこいつを使いこなせないなんて」
ゲムデウスクロノスは変身を解除し、人間の姿に戻る。
「まあ無理もないか。お前、『本当の自分に気づいてないからな』」
「本当の……僕…?」
将也は、ゲムデウスの言葉を無意識に復唱していた。
「宝条将也。お前、疑問に思わなかったのか?何でお前は、生まれつきバグスターウイルスを体内に宿しているのか?」
「何故普通の高校生だったお前が、エグゼイドに変身できたのか?」
「傷の治りの早いお前のその異常な体質!そして、何故変身するライダーによって性格に変化が起きるのか!」
ゲムデウスが何を言おうとしているのか、それを理解したパラドが止めに入ろうとする。
「お前!それ以上言うな!」
「お前は私と同じ、『仮面ライダークロニクル』から誕生したバグスターだからだ!」
『!?』
ゲムデウスの衝撃の告白に、響達だけでなくモニターから状況を見ていた弦十郎達も言葉を失う。
「僕が……バグスター…?」
将也は震えながらもそれを否定する。
「嘘だ……!僕を騙そうとしている…僕は宝条将也だ…間違いなく人間なんだ!」
必死に否定する将也だが、ゲムデウスはさらなる真実を告げた。
「思い出せ……『宝条将也』はすでに死んでいる!お前は!その人間の体を奪ったバグスターだ!!」
それだけを言い残すと、ゲムデウスはバグスター特有のワープ能力で姿を消した。
「将也…君?」
「先輩?」
響達は将也の様子がおかしいことに気づいていた。
さっきから頭を押さえ、何やら小さな声でつぶやいている。
「そうだ……あの日から……ずっと…一人で…」
「宝条!しっかりしろ!」
翼が呼びかけるが、将也は虚ろな目で何かを呟いている。
「真っ暗な場所…誰もいない…皆が、僕のせいで消えていく…」
「聞こえる!?大丈夫だから!もう敵はいない!」
マリアの声にも返事を返さない将也。
その体はどんどん震えがひどくなる。
「お願いだから…もうやめてください!これ以上、皆を殺さないでくれ!!」
その途端、将也の両目が赤く輝き、全員の脳裏に何かのイメージが流れ込む。
どこかの街。バグスターと戦うエグゼイド達に似たデザインの茶色い戦士たち。
しかし、次々とバグスターに倒され、変身が解除。
『何だよこれ…!どうなってんだよ!?』
『消滅……いやだ!何でこんな目に遭うんだよ!』
『助けてくれ!誰か!死にたくねえ!アアアアア!!』
戦士達が倒され、変身が解ける度に消滅。あちこちから聞こえる絶望に満ちた悲鳴。
悲鳴と絶望が支配するイメージに装者達は言葉を失った。
やがて、そのイメージが消えると同時に将也は糸の切れた操り人形のように倒れる。
「将也君!」
響が呼びかけるが、将也は意識を失う直前に確かに口にした。
「全部……思い出した…」
To Be Next GAME…?
次回、シンフォギアエグゼイド!
「全部話す。将也のことも、エグゼイドのことも」
明かされる、将也の真実!
「俺も…大勢の命を奪ったんだ…」
真実を知るとき…装者達は何を思うのか?
「皆……俺と戦え」
そして、将也の選ぶ道は…!
「これが、俺達の真実だ」
第12話 闇に消えたBUGSTER!?