戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士   作:狼牙竜

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何とか年内に最新話を投稿することができました…
今回はついにあのライダー達が対決、そしてあのデンジャラスな奴が登場します!


今年もあとわずかですが、最後までよろしくお願いします!

感想、評価が作者の原動力となりますので、お待ちしています。


第10話 DANGEROUSな対決!

バーニア、アランブラと戦闘を繰り広げる将也、響、翼、クリス。

 

「くらえ!シビ・レール!」

アランブラが杖を振ると、魔法陣が発生、電撃が放たれる。

 

「くっ!」

「あぶねっ!」

咄嗟に電撃を避けるが、バーニアがミサイルを放つ。

「油断大敵だ!」

 

 

ミサイルが迫り、2人は身構えるが…

 

 

 

 

「伏せろ、お前ら!」

後ろから聞こえた声に反応し、伏せると無数のガトリング弾がミサイルを全て破壊する。

 

クリス達の後ろには、スナイプが腰のガトリングを構えて立っていた。

 

 

「おのれ、スナイプ!」

バーニアは背中のジェット噴射を使い、空を飛ぶ。

 

「逃がすかよ!響、アランブラはそっちに任せる!」

 

「わかった!将也君も気をつけて!」

響の言葉に、スナイプは背を向けた状態でサムズアップをして返し、バーニアを追って飛び立つ。

 

「ふん。小娘3人程度で、この大魔法使いに勝てると思っているのか?」

杖を持つアランブラは余裕を見せる。

 

「勝てると思ったからあいつはこっちを任せてくれたんだろうが」

クリスは負けじとアランブラに言い返し、アランブラは憤慨する。

「舐めた口を聞きおって!いいだろう、相手をしてやる!」

アランブラが杖を振ると、20体ほどの取り巻きバグスターウイルスが出現する。

 

 

「行くぞ立花、雪音!」

「はい!」

「ああ!」

 

翼の号令で3人は動き出す。

 

 

 

 

(BGM 限界突破G-beat)

 

「ベボ!べボオオ!」

取り巻きの1体が杖で殴りかかるが、響は杖を軽くいなし、裏拳で殴り飛ばす。

 

「はあっ!」

続いて、一気に加速しながらバグスターウイルスを3体、続けざまに殴る。

 

「これで…」

響は、左手を前に突き出し、右手を後ろに構え…

 

 

「どうだああああ!!」

全力で右手を振り抜く。

すると、右手のガントレットがロケットパンチのように射出され、バグスターウイルスに直撃、爆発する。

 

「やったぁ!」

この合宿で響が見つけた新しい技。元ネタはもちろん、エグゼイドレベル3の必殺技である。

 

 

「立花もやるな…!」

 

翼は刀を構え、一瞬で迫ってきたバグスターウイルスを真っ二つにする。

 

 

『颯ノ一閃』

 

 

 

「やるじゃねえか、先輩!」

クリスはサイドアーマーを展開して、ミサイルを放つ。

 

「雑魚は引っ込んでろ!」

『MEGA DETH PERTHY』

 

 

ミサイルの雨にバグスターウイルス達は次々と撃破されていく。

 

「ぐぬぬぬぬ…おのれ!コゴ・エール!」

アランブラは杖から冷気を放ち、響に狙いを定める。

 

「立花!」

が、素早く翼が間に入り、アームドギアの刃に炎を灯す。

「ハアッ!」

炎の刃によって冷気は打ち消される。

 

 

「何!?」

「テヤアアアア!!」

 

動揺した一瞬の隙を響は見逃さず、アランブラの腹に拳を叩き込む。

 

「ガハッ!?」

ダメージを受けて動けないアランブラだが、響のガントレットに素早くエネルギーがチャージされて、強烈な衝撃が打ち込まれた。

 

「ぐああああ!?」

吹き飛ばされたアランブラを見て、翼は声をかける。

 

 

「立花!雪音!決めるぞ!」

「はい!」

「ああ!」

 

3人は左腰に装着されたガシャコンギアシンフォニーを取り出し、レプリカガシャットを起動。

 

 

《マイティアクション!エーックス!》

《タドルクエスト!》

《バンバンシューティング!》

 

3人の背後にゲーム画面が開き、翼は真正面に、クリスはガシャットを指に引っ掛けて回転させながら、響は将也がエグゼイドに変身する時と同じポーズをとり、ガシャットを構える。

 

 

「「「ゲームスタート!」」」

《ガッシャット!ガッチャーン!レベルアーップ!》

 

3人の前にゲートが出現し、くぐるとシンフォギアが変化する。

 

《マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクション!エーックス!》

響のガングニールは肩にエグゼイドのものと同じ装甲が出現し、より身軽そうな印象を受けるデザインに変化、ヘッドギアにはエグゼイドのマークがデザインされている。

 

 

《タドルメグル!タドルメグル!タドルクエスト!》

翼の天羽々斬は左腕にブレイブの装備しているものと同じ盾が装着され、より鋭角なデザインに変化、ヘッドギアと盾にブレイブのマークが刻まれた。

 

 

《ババンバン!バンババン!(イェア!)バンバンシューティング!》

クリスのイチイバルは左眼にスコープが装着され、スナイプが装備している『スタンヘキサマント』の白バージョンが出現、ヘッドギアにスナイプのマークが現れた。

 

最後に、3人の背中にそれぞれのライダーのレベル1の頭部パーツが出現した。

 

「これが私達の…」

「新しい…力…」

翼は左腕の盾を、クリスは纏ったマントにそっと触れる。

 

「将也君と同じ力…負ける理由なんてあるわけない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぬぬぬ…例えキサマらがガシャットを使ったとしても、この私には勝てまい!」

アランブラは杖を構え、頭上に掲げる。

 

「我が最大魔法をくらうがいい!クダケ・チール!!」

巨大な魔法陣が展開され、響達はギアシンフォニーのA、Bボタンを同時押しする。

 

 

《キメワザ!》

響の拳、翼の刀にエネルギーが収束し、クリスのボウガンはガシャコンマグナム・ライフルモードに似たデザインの銃に変化。

 

 

3人はギアシンフォニーのAボタンを押した。

 

 

 

《バンバン・クリティカルショット!》

 

『BANGBANG・CRITICAL・SHOT!』

 

ライフルから赤いビームが放たれる。

 

 

《タドル・クリティカルセイバー!》

 

『TADDLE・CRITICAL・SABER!』

 

 

刀身が白く発光し、翼が刀を振り抜くと斬撃が飛ぶ。

 

《マイティ・クリティカルアーツ!》

 

『MIGHTY・CRITICAL・ARTS!』

響の両腕にカラフルなエネルギーが集まり、一気に走る。

 

 

「ぶっ飛びな!」

クリスのビームを魔法陣で防ぐアランブラだが、あまりの威力に後ずさる。

 

 

「ぐうう…!」

しかし、続けざまに翼の放つ斬撃が途中で分裂し、四方八方からアランブラを切り裂いた。

 

「何だと!?ガアアアア!?」

 

斬撃の一つがアランブラの杖に直撃し、砕ける。

 

 

「しまった!?我が魔法の杖が!」

 

その隙を見逃す響ではない。

「デヤアアアア!!!」

アランブラとの距離をゼロにして、左フックを撃ち込みすかさず右アッパー。

 

 

 

「ぬうう…!」

よろけるアランブラだが、響は右腕の籠手に力を込める。

 

 

「これで……どうだああああ!!!」

 

渾身の右ストレートがアランブラに直撃。

 

 

 

「ヌウウアアアア!?」

火花を散らし、アランブラが吹き飛ばされ爆発した。

 

 

 

《会心の一発!》

《ゲーム・クリアー!》

 

 

――――――――――

 

 

 

 

一方、空中戦を繰り広げるスナイプとバーニア。

 

「どうやら向こうは終わったようだな」

 

スナイプはジェットコンバットガシャットをキメワザスロットホルダーに装填。

 

《ガッシャット!キメワザ!》

 

「アランブラが……ヌアアアアアッ!!」

バーニアは右腕から電磁竜巻を放とうとするが…

 

 

 

「その技はもう知ってんだよ!」

 

《ジェット・クリティカルストライク!》

『JET・CRITICAL・STRIKE!』

攻撃を放つ前に無数のミサイルやガトリングがバーニアを飲み込んだ。

 

「うわああああ!?」

ボロボロになりながらも逃走しようとするが、途中でついに爆発した。

 

 

 

「ミッションコンプリート!」

 

バーニアの消滅を確認して、スナイプはゆっくりと着地。

 

 

響達もクロスライダーシステムを解除して駆け寄ってくる。

 

「お疲れ、将也君」

響が声を掛けるが、スナイプは未だに変身を解除しようとしない。

すると、ソルティと戦っていたパラドクス達が合流する。

 

「そっちも終わったようね?」

「ああ。だが……妙な気配がする」

 

マリアと翼は、どこからか見られているような気配を感じていた。

 

それは、スナイプとパラドクスも同じ。

そのためかスナイプはガトリングに手をかけ、パラドクスはいつでも周囲のアイテムを使えるように両手をゆっくりと上げて構える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よく気がついたな、歌女ども」

次の瞬間、響達がいた場所から少し離れたところに『彼女ら』は姿を現す。

 

 

珍妙なポーズを取る4体の女性型人形と、中央に立つ魔法使いのローブのようなものを着た少女。

「キャロル……ちゃん…!」

錬金術師、キャロル・マールス・ディーンハイムと彼女が作った自動人形達が、全員姿を現した。

 

 

 

――――――――――

 

「少し見ない間に多少は強くなったようだな…?」

キャロルは響達の持つギアシンフォニーに目を向ける。

 

「わざわざ全員連れてくるとはご苦労なこった!」

 

「貴様達との因縁、今ここで終わらせる…!」

 

 

キャロル達の力は確かに驚異的だが、こちらはシンフォギア装者が6人に、スナイプとパラドクスもいる。

どちらの戦力が高いかなど、火を見るより明らかだ。

 

にも関わらず、キャロルは余裕の笑みを崩さない。

 

「…まさか、オレが貴様ら仮面ライダーの対策をしていないとでも本気で思っていたのか?」

キャロルの言葉に、全員、嫌な予感がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前達に紹介してやろう、オレ達の仮面ライダーを!」

すると、キャロル達の後ろから赤いバイクが走ってきて、キャロルの前で停まる。

運転者はヘルメットを外すと、素顔を顕にした。

 

 

 

どことなく華奢な印象を感じる、幼い顔をした少年。

しかし、両腕に巻かれた赤い鳥を象った腕輪と腰に巻かれたトカゲの顔のようなデザインのベルトが、不気味な恐ろしさを醸し出している。

 

「…千翼」

キャロルの言葉に、千翼と呼ばれた少年は頷き、彼女から銀色の注射器のようなものを受け取る。

そのまま、千翼は腰のベルト『ネオアマゾンズドライバー』に注射器『アマゾンズインジェクター』を装填、ホルダーを起こして中身を押し込む。

 

 

 

《ネ・オ》

低い電子音声が鳴り、千翼の目が黄色く輝く。

 

 

 

 

 

「………アマゾンッ!」

千翼の叫びと共に、彼の体を紅蓮の炎が包み込んだ。

 

 

「うわっ!?」

炎と衝撃波に怯む響達。

 

 

やがて、炎が消えると千翼の姿は変化していた。

 

青と銀を基調としたデザインに、エグゼイド達とは似ても似つかない外見。

 

 

しかし、腰の特徴的なベルトから彼もまた『仮面ライダー』であるということだけはわかった。

 

 

 

「ぐうう………ガアアアアアアアアア!!!」

 

 

叫び声を上げる千翼の横で、キャロルが高らかに宣言する。

 

「こいつは…仮面ライダー…アマゾンネオ!我らの仮面ライダーであり、そして…」

キャロルは、まるで剣のように先端を鋭くしたダウルダブラを出現させる。

 

 

「オレがこの世で唯一、背を預けられる相手だ!」

その言葉とともに、アマゾンネオは一気にスナイプに飛びかかる。

 

「くうっ!」

 

「将也君!」

 

響達はスナイプに加勢しようとするが、自動人形達が目の前に立ちふさがり、キャロルは10個ほどのテレポートジェムをパラドクスの前に投げつける。

 

「あら、あなた達の相手は私達ですわよ?」

翼と響の前に立ち塞がるファラ。

 

 

「あの2人の派手な戦い、邪魔をするのは無粋であろう」

クリスの前に立つレイアは、コインを重ねてトンファーを作る。

 

「こないだのハズレ装者が、今回は楽しませてくれる?」

ガリィはマリアの前に立ち塞がり、サメのように鋭い歯を見せて笑う。

 

 

「お前達、今度こそバラバラにしてやるゾ!」

切歌と調の前に立つミカは、鋭い爪の付いた手を動かして挑発する。

 

「まずはこいつらを押し通さない限り、さきには進めないか…」

翼はアームドギアを構える。

 

 

「だったら、私達が勝って…」

「将也先輩を助けに行くデス!」

6人は同時にガシャコンギアシンフォニーを起動し、レプリカガシャットを取り出す。

 

《マイティアクション!エーックス!》

 

《タドルクエスト!》

 

《バンバンシューティング!》

 

《爆走バイク!》

 

「「「「「「ゲームスタート(デス)!」」」」」」

 

 

6人はガシャットの力でクロスライダーシステムを発動させ、パラドクスの横に並ぶ。

 

「行くぜ…最速クリアだ!」

パラドクスの言葉を皮切りに、装者達は戦闘を開始する。

 

 

――――――――――

 

一方、アマゾンネオとスナイプは…

 

 

「はあ!」

腰のガトリングを連射するスナイプだが、アマゾンネオは全て躱し、ベルトのインジェクターを押し込む。

 

《ブレード・ローディング》

低い電子音声が鳴ると、アマゾンネオの右腕の装甲が開き、そこから赤黒い血のようなものが溢れ出す。

すぐさまそれは固まり、ひと振りの剣へと変化。

 

これこそがネオアマゾンズドライバーの能力。

体内の細胞を高速で増殖させ、インジェクターの薬液によって武器へと変化させる力である。

 

「こいつ…体組織を武器に変化させたのか…」

遠距離戦を基本とするスナイプでは不利と判断したのか、将也は新たに2つのガシャットを起動。

 

《マイティアクション!エーックス!》

《ドラゴナイトハンター!ゼーット!》

 

プロトマイティアクションXとドラゴナイトハンターZを起動させると、スナイプからコンバットゲーマが外れ、出現したハンターゲーマと共にアマゾンネオを攻撃。

 

「ウウウッ!」

 

アマゾンネオのブレードがコンバットゲーマに直撃し、真っ二つになって爆発する。

その威力に内心ゾッとしながらもスナイプはガシャットを装填。

 

 

 

「グレード5!変身!」

ドライバーのレバーを開き、新たに出現したセレクトパネルからゲンムを選択、同時に2枚のディスプレイが重なるとゲンム・レベル2へ直接変身。

 

《ガッチャーン!レベルアーップ!》

《マイティジャンプ!マイティキック!マイティアクショーン!エーックス!》

《アガッチャ!ド・ド・ドラゴ・ナ・ナ・ナ・ナ~イト!ドラ!ドラ!ドラゴナイトハンター!ゼーット!》

 

 

ゲンムは全身にハンターゲーマを纏って、『ハンターアクションゲーマーレベル5(フルドラゴン)』にレベルアップ。

 

 

「姿が…変わった…?」

アマゾンネオはスナイプからゲンムに変身した将也を警戒し、ゲンムは両腕の武器を構える。

 

 

「…強化リミッター、解放!」

 

将也がゲンムを選んだ理由は、ゲンムだけが持つ特殊能力、強化リミッター解放が理由である。

以前ファラとの戦いで使ったように、ゲンムにかけられたリミッターが解除され、余剰エネルギーが紫のオーラとしてゲンムの体を覆う。

 

 

「仕切り直しと行こうか…アマゾンネオォ…!」

 

ゲンムとアマゾンネオはにらみ合うが、すぐに加速して衝突、互いの剣がぶつかり合う。

 

 

 

「ハアアアッ!」

「グウウアアアア!!!」

 

 

互いに武器がぶつかり合うが、一歩も引かない2人。

 

 

(コイツの剣…重い!何より…)

ゲンムはアマゾンネオの剣の威力に驚いていた。

なぜなら、受け止めているドラゴナイトブレードには僅かだがヒビが入っていたからである。

 

(切れ味が異常だ!このままじゃ、こっちが競り負ける…!)

ゲンムは頭部に装着されたドラゴナイトファングから炎を放ち、距離を取る。

 

「くらえ!」

左腕のドラゴナイトガンで遠距離攻撃主体にしようとするが…

 

《ニードル・ローディング》

 

電子音声と共にアマゾンネオの腕からブレードが消滅し、代わりに『銃が生える』。

 

 

「うっそだろ!?」

流石に、腕から銃が生えるのは予想外だったゲンム。

 

 

さらに、アマゾンネオの銃からは鋭い針が撃ち込まれる。

「ちっ!」

 

ゲンムは針を避けるが、地面に突き刺さった針は爆発する。

 

アマゾンネオの2つ目の武器、ニードルガン。

本来は鋭い針を連射する銃だが、キャロルによってドライバーが改造されたことで、撃たれる針が物体に突き刺さることで爆発するようになっていた。

 

「だったら!」

ゲンムは攻撃を躱しながらガシャットをキメワザスロットホルダーに装填、近くのエナジーアイテムを入手。

 

《ガッシャット!キメワザ!》《マッスル化!》

アマゾンネオもホルダーを一度倒し、再び元の位置に起こす。

 

《アマゾン・ブレイク》

 

《ドラゴナイト・クリティカルストライク!》

 

 

アマゾンネオのニードルガンからまるでマシンガンのように無数の針が撃たれ、ゲンムのドラゴナイトガンからプラズマ砲が放たれる。

 

「ウアアアアアア!!」

「これで……終わりだああああ!」

 

ゲンムの叫びとともに、ドラゴナイトファングから炎が放たれる。

 

 

 

「う……アアアアア!?」

 

 

悲鳴と共にアマゾンネオの体が炎に包まれた。

 

 

――――――――――

 

「っ!千翼!」

キャロルはアルカ・ノイズの指揮をとりながら状況を確認していたが、アマゾンネオが爆発に巻き込まれたのを見た途端血相を変えて走り出した。

 

 

「キャロルちゃん…!?」

今まで見たことのない必死な表情を見て、響だけでなく翼達まで驚きを隠せない。

 

「よそ見をしているとは、随分余裕ですわね!」

ファラは風を纏った剣で翼と響を攻撃。

 

「くっ!?」

咄嗟にアームドギアで受け止める翼だが、ファラのソードブレイカーによって剣が砕ける。

 

「翼さん!」

「案ずるな立花!」

翼はすぐさま別のアームドギアを作り、ファラに対抗する。

 

 

キャロルはアマゾンネオに駆け寄る。

 

「千翼!しっかりしろ!」

アマゾンネオの装甲は一部が黒く焦げ、マスクにもヒビが入っている。

 

 

 

「…キャロル……俺は…まだ…大丈夫だ…」

アマゾンネオは立ち上がるが、ゲンムは警戒を崩さない。

 

 

「ぐ………うう……」

 

 

すると、アマゾンネオの様子がおかしくなる。

マスクや装甲の一部がどんどん剥がれていき、蒸気が溢れる。

 

そして顔を上げた途端、嫌な予感が的中した。

 

 

 

「!お前…その顔は…!」

左半分が崩壊したアマゾンネオのマスク。

 

しかし、そのマスクの内部は千翼ではなかった。

赤い目のピラニアのような怪物が、アマゾンネオのマスクの中からゲンムを見つめていた。

 

 

「お前……これ以上……」

アマゾンネオの体から、無数の触手が出現する。

 

もはや、その姿は仮面ライダーとは言えない怪物へと変貌していた。

 

 

 

「キャロルを………傷つけるなアアアアアア!!」

 

 

 

アマゾンネオの叫びに反応し、触手はゲンムに襲いかかる。

 

「っ!」

 

ゲンムは迫り来る触手を両手両足の武器で弾くが、触手は近くにいた響達、そして本来味方であるはずのガリィ達まで巻き込む。

 

「なんつー滅茶苦茶な奴だ!」

ゲンムはアマゾンネオの攻撃を捌くが、無数に放たれる触手に対し、次第に劣勢になっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やがて、触手の一つがゲンムの防御を掻い潜り……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………カハッ!?」

ゲーマドライバーの中央ディスプレイごと、ゲンムの腹部を貫いた。

 

――――――――――

 

 

「将也君!」

「「将也先輩!!」」

 

 

ドライバーが破壊され、ゲンムの変身が解除される将也。

それを見た響がファラとの戦闘を離脱して駆け寄り、翼が相手を務める。

 

切歌と調はミカに対して必殺技を発動。

 

《爆走!クリティカルスピン!》

《爆走!クリティカルリッパー!》

 

2人のアームドギアにエネルギーがチャージされ、ミカを吹き飛ばす。

 

「うわあああ!?」

予想以上のパワーアップを遂げていた切歌達に驚くミカだが、2人の姿はそこにはなかった。

 

 

「将也君!しっかりして!」

「先輩!」

 

 

3人が駆け寄るが、将也は腹を貫かれた状態で倒れ、ゲーマドライバーは中央のディスプレイ部分が完全に壊れていた。

 

「…千翼、もういい」

キャロルの言葉に反応し、アマゾンネオの装甲が元に戻る。

 

「キャロル…」

「これ以上は無理をするな…」

 

キャロルはゲーマドライバーから外れたプロトマイティアクションXガシャットを回収し、ドラゴナイトハンターZガシャットに手を伸ばそうとするが…

 

 

 

「…貴様、それを渡せ」

間一髪で調がガシャットを掴む。

 

 

「絶対に嫌…!これは、将也先輩のものだから…!」

ギアを纏ったままの調は、キャロルの殺気のこもった視線に怯えながらも言い返す。

 

「なら…」

キャロルが手を挙げ、アマゾンネオが歩いてくる。

 

「調!早く逃げるデス!」

切歌が言うが、調は一歩も引けなかった。

 

 

(ここで逃げたら、次は将也先輩が狙われる…!)

今の重傷を負った将也を置いて逃げるわけには行かない。

 

その思いだけで調はアマゾンネオの殺気に耐えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「調……お前は…さがれ…」

後ろから聞こえた声に、その場にいた全員が驚いた。

 

そこに立っていたのは、傷が塞がらない状態にも関わらず立ち上がっていた将也。

 

「お前…まだ生きていたのか…だが、ゲーマドライバーの無い貴様がどうやって千翼の相手をするというのだ?」

 

すると、将也は懐から突起が2つ付いた小さな黒いバックルを取り出し、装着する。

「ドライバーなら……ある!」

 

「将也、お前…よせ!そいつを使うな!」

 

パラドクスは将也が何をするのか分かったらしく大声で静止するが将也はそれを無視してガシャコンバグヴァイザーを取り出し、バックルに装着する。

 

 

《ガッチャーン!》

ゲーマドライバーよりも低い音声が流れ、不気味な待機音が鳴る。

そして、将也は今まで響達が見たことのないパールホワイトのガシャットを取り出す。

 

 

「あのガシャット…」

「何だってんだよ…あのヤバそうなガシャットは…」

 

 

クリスと翼は、白いガシャットから漂う『何か』に警戒していたが将也はためらうことなくガシャットのスイッチを押した。

 

 

 

《デンジャラスゾンビ!》

エレキギターをかき鳴らすような音声がなり、将也はふらつきながらもガシャットを右手で持ち、腕を真横に伸ばして構えた。

 

 

「………変身…!」

 

《ガッシャット!バグルアップ!》

 

 

バグヴァイザーが変化したベルト『バグルドライバー』にガシャットを装填し、『バグルアップトリガー』を押すと変身音が流れ、目の前にゲートが出現。

 

 

 

《デンジャー!デンジャー!(GENOCIDE!)デス・ザ・クライシス!デンジャラスゾンビ!(WOOOOO!!)》

 

 

ゲートが黒い霧に包まれると、それを突き破って将也が変身した新たなライダーが出現する。

白と黒を基調とした、一見すると骸骨や死霊とも表現できるような外見。

今まで将也が変身してきた仮面ライダーと比べると一際異彩を放つ姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

(BGM WIsh In the dark)

 

「俺は……仮面ライダーゲンム……レベル(テン)!」

新たなゲンム…『ゾンビゲーマーレベル(テン)』はまさにゾンビのような動きを取る。

 

 

「コンティニューしてでも……クリアするウウゥ!!」

《ガシャコンスパロー!》

 

ゲンムは本来レーザーの専用武器であるガシャコンスパローを召喚し、アマゾンネオに斬りかかった。

 

 

「ウアアアアアア!!」

《ブレード・ローディング》

 

アマゾンネオもブレードを装備して走り出す。

 

鎌モードのガシャコンスパローとブレードがぶつかり、火花が散る。

 

 

「お前は……何のために戦う!?何のために錬金術師と組んでいる!?」

ゲンムはスパローのBボタンを押して威力を高めた斬撃を放つが、ネオはそれを避ける。

 

「俺は……」

ネオの脳裏にキャロルとの記憶がよぎる。

 

 

「俺は何も無かった……家族も、組織も!全てが俺を蔑んだ!俺の大事な人たちを、全部奪った!」

居場所を失い、家族からの愛を失い、初めて愛した人も殺された。

 

「そんな俺を、キャロルは受け入れてくれた!ずっと一緒にいるって、愛してるって言ってくれたんだ!」

それこそが、ネオがキャロルと共にいる理由。

 

 

 

「生きる理由をくれたキャロルを…俺は今度こそ守る!」

もう二度と大切な人を失いたくない。

どれほど時を経ても、その思いだけは決して変わることはなかった。

 

「俺は!キャロルを守るって!決めたんだあああ!!」

 

ネオはブレードを消して、ホルダーを操作する。

《アマゾン・スラッシュ》

 

電子音声が鳴り、ネオの左腕のアームカッターが高速で振動を開始する。

 

 

「ガアアアア!!!」

切れ味を増したカッターは、ゲンムの装甲ごと体を切り裂くが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだ終わってないぞ…!」

ゲンムは装甲ごと胸を…位置的には心臓の部分を切り裂かれたにも関わらず、しっかりとネオの腕を掴んでいた。

 

「な、なんで…!?」

ゲンム・ゾンビゲーマーの特殊能力は『不死』。

 

 

ライダーゲージが0になると、ライダーシステムは一時的にあらゆる攻撃を無力化する。

ゾンビゲーマーは最初からライダーゲージが0になっているため、この無力化状態が常時発動するようになっているのだ。

いわば、『常時死にっぱなし状態』である。

 

 

「お前の言い分はわかったよ……だがなぁ!」

ゲンムは全力でネオを殴り飛ばす。

 

「何があっても、誰かの命を殺すことを、許せるわけないだろうが!」

医者を目指していた将也にとって、他人の命を犠牲にするやり方は、絶対に許すことができなかった。

 

「これ以上、誰かを傷つけるな!」

ネオをガシャコンスパローで切り裂いたゲンムは、デンジャラスゾンビガシャットをガシャコンスパローに装填。

 

《ガッシャット!キメワザ!》

禍々しいエネルギーが刃に収束し、必殺技が発動。

 

 

《デンジャラス・クリティカルフィニッシュ!》

攻撃が直撃すると、ネオのドライバーから火花が散る。

 

「ぐ……これは…!」

 

 

ゾンビゲーマーの両手両足には攻撃対象のプログラムにウイルスを侵入させることで誤作動やバグを発生させることが可能。

今回はその力を武器に集中して、バグプログラムをネオアマゾンズドライバーに打ち込んだのだ。

 

 

「お前が誰かの笑顔を奪うのなら…」

ゲンムはバグルドライバーのボタンを同時押しすると、必殺技の待機音が鳴る。

 

 

「俺の手で、お前達を止める!」

ドライバーのAボタンを押した。

 

 

《クリティカルエンド!》

黒い靄に包まれた状態でゲンムは高く飛び上がり、必殺のキックを放った。

 

 

 

「くらえええええ!!」

 

 

「ううううああああ!」

 

 

 

 

ゲンムのキックと、ネオのパンチがぶつかり合い、余剰エネルギーが爆発した。

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

爆発が収まると、変身が解除された将也と千翼が転がる。

 

「将也君!」

「千翼!」

 

響達は将也の前に立ち、キャロル達は千翼の前に立つ。

 

 

互いに睨み合うが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戻るぞ」

キャロルはテレポートジェムを起動させる。

 

 

「歌女共。その命、もう少しだけあずけておこう」

 

 

「っ!待ちなさい!」

マリアが短剣を投げるが、間一髪でキャロル達の転送は完了。

 

「…逃げられた…」

マリア達は周囲を見るが、敵の姿は見当たらない。

 

 

だが…

 

「先輩!目を覚ましてくださいデス!」

切歌の呼びかけで全員が注目する。

 

 

そこには、血を流して横たわる将也の姿が。

 

「もしかして、さっきの戦いで傷が…」

響の懸念は当たっていた。

 

先程の戦いで重傷を負っていた将也は、ゾンビゲーマーになって戦闘したことで傷が悪化したのだ。

 

「司令!宝条が先程の戦いで重症!腹部からの出血が止まりません!」

 

翼とクリスがすぐに応急処置をし、連絡をする。

 

「お願い……死なないでください…」

調は、将也の手を握り必死に声をかけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

キャロルが差し向けた新たな刺客、仮面ライダーアマゾンネオ。

その力は絶大で、勝利には多大な犠牲を払う結果となった。

 

 

 

錬金術師、キャロルとの戦いはこれからさらに激化の道を辿っていくこととなる…

 

 

To Be Next GAME……?

 

 




次回、シンフォギアエグゼイド!

「まだだ…まだ勝てない…!」
新ガシャット、完成…?

そしてついに…
「久しぶりだな、宝条将也…?」

ラスボス、降臨!

「全ては貴様が始まりなのだ!」

将也の秘密が…ついに明かされる!?
「嘘だ………そんなの嘘だ!?」

第11話 HEROの真実!?


――――――――――
ようやく新作が完成しました!
ぎりぎり年末に間に合いましたが、もう少しペースを上げたいですね…

来年も引き続き、『戦姫絶唱シンフォギアEX-AID』をよろしくお願いします!

では、良いお年を!

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