戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士   作:狼牙竜

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お待たせしました、第8話です!

今回のエピソードをもって第1部終了といった感じとなります。

将也達とリボルの決着、そして響達の思いは届くのか!?

そして今回、シンフォギアとのコラボで一番やりたかったことができました!

あと、活動報告の二つのアンケートも募集しています。
2万UA記念のアンケートはもう少し延長します!


感想、評価が作者の励みになります。

OP EXCITE
挿入歌 RADIANT FORCE
ED 逆光のフリューゲル





第8話 竜と戦姫のQuartet!

「ガアアアアアアアアア!!!!」

レベル5、ハンターアクションゲーマー(フルドラゴン)へと変身したエグゼイドは、獣のような叫び声を上げながらリボルと戦闘を開始する。

 

 

「ぬおっ!?たかがレベル5と思っていたが…中々楽しませてくれる!」

 

リボルは光弾を連射するが、エグゼイドは右腕に装備された剣『ドラゴナイトブレード』と左腕に装備された銃『ドラゴナイトガン』で全て弾く。

 

 

「だが、我はレベル50!果たしてレベル5でどれほど楽しませてくれる?」

 

リボルは右手の砲身を撫でながら挑発をしてきた。

 

 

 

――――――――――

 

目の前で戦闘を繰り広げるエグゼイドとリボルを見ながら、響は変身を解除したパラドに聞く。

 

「パラド君、将也君が使ってるガシャットって?」

 

「あのガシャットはドラゴナイトハンターZ。全身に複数の武器を装備できるレベル5の力を持ったガシャットだ」

 

パラドの説明通り、今のエグゼイドは両手に銃と剣、そして両足には爪のようなパーツの付いた追加装甲をまとっている。

 

「だけど、レベル5って…あいつのレベルに対抗できんのかよ!?」

クリスの言う通りだった。

今のエグゼイドはレベル5。しかしリボルはプロトガシャットを使った影響で10倍のレベル50までレベルアップしていた。

 

 

普通ならば勝負になるはずない…しかし…!

 

 

 

 

 

 

 

「ふんっ!」

 

エグゼイドは近くに浮遊しているメダル…エナジーアイテムを取得する。

 

 

《高速化!》

 

エナジーアイテムの力によってエグゼイドは一瞬で姿を消し、リボルの背後に回り込んで左腕のドラゴナイトガンで銃撃。

 

 

「くっ!小賢しい真似を!」

リボルは振り向きざまに反撃をしようとするが、エグゼイドは両足のドラゴナイトクローから斬撃を放ち、妨害。

すぐさま真上にあったエナジーアイテムをガンで撃つ。

 

 

《透明化!》

 

「ハアアッ!」

 

 

姿を消したエグゼイドは、ドラゴナイトブレードでリボルの砲塔を一つ破壊する。

 

 

「ヌアアッ!」

 

 

「なんということだ…あのバグスターと互角に渡り合って…いや、寧ろ宝条の方が優勢だ」

 

翼は、エグゼイドの強さに驚く。

 

およそ10倍ものレベル差をアイテムの補助を使って補うことでリボルに攻撃をさせないでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こいつで、どうだ!」

 

《マッスル化!》

 

エグゼイドはマッスル化のアイテムを入手し、攻撃力を上昇。

すかさずドラゴナイトハンターZのガシャットをキメワザスロットホルダーに装填する。

 

 

《ガッシャット!キメワザ!》

 

ガンとブレードにエネルギーをチャージしたエグゼイドは空高く飛び上がり、急降下しながら二つの武器をリボル目掛けて振り下ろす。

 

 

「させん!ハアッ!」

 

 

リボルも、全身の砲塔をエグゼイドに向けてエネルギーをチャージ。両腕の砲塔を合体させてエグゼイドに向けた。

 

 

 

 

 

 

「リボルウウウウウ!!!」

 

 

《ドラゴナイト!クリティカルストライク!》

 

 

 

「ヌアアアアアッ!!」

 

 

エグゼイドの体当たりとリボルのビームがぶつかり合い、衝撃波が響達を襲う。

 

「うわああああっ!?」

「なんという力…!このままでは…!」

 

余波で吹き飛ばされそうになる翼とクリス。

 

 

「デエエエェェス!?」

「これは…凄すぎ…!」

 

 

切歌と調は、アームドギアを道路に突き刺して何とかこらえている。

 

 

「く……!凄い力…!」

 

響は両足のパワージャッキを地面に杭のように打ち込んで固定し、身を守る術のないマリアや未来達を守っていた。

 

 

「でも…これなら!」

 

「流石のリボルだって…倒せるはずデス!」

 

 

マリアと切歌は、エグゼイドの勝利を信じて疑わなかったが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだだ!まだ我は…我はアアアア!!」

 

 

リボルの砲塔の内、両腕を除く残り6つの出力が突然上昇した。

 

「なっ!?」

 

突然の威力上昇に驚きながらもエナジーアイテムの効果が続いていた状態のため、持ちこたえていたエグゼイドだったが…

 

 

 

 

 

 

ついに、マッスル化の効力が切れてしまう。

 

 

「しまっ…!」

 

次の瞬間、白い閃光がエグゼイドを包んだ。

 

 

――――――――――

 

 

爆風が晴れ、響達が見たもの。

 

それは、両腕以外の砲塔が全て破壊されたリボル。

 

 

 

そして、全身傷だらけになって倒れ、エグゼイドの変身が解除された将也の姿だった。

 

 

「将也君!」

響は急いで将也の元に駆け寄る。

 

白衣はあちこちが破け、血と泥で赤と茶色に染まっていた。

 

 

「ぐっ…!こんな…ところで…!」

 

しかし、将也の目は死んでいない。

 

 

それどころか、必死に立ち上がりガシャットを二つとも掴む。

 

 

 

《マイティアクション!エーックス!》《ドラゴナイトハンター!ゼーット!》

 

 

「大、大、大…うぐっ!」

 

 

 

しかし、無理がたたったのかガシャットを手放してしまい、崩れ落ちる。

 

 

 

 

「無茶しないで!」

 

倒れる寸前で響によって支えられたが、素人目に見ても将也の体はボロボロだった。

 

 

「どうやら、我の勝ちのようだな!」

将也達の目の前には残った両腕の砲門を向けるリボルの姿。

 

 

 

「消え去れ、エグゼイド!」

 

 

 

両腕からビームを放とうとするリボル。

 

 

 

しかし、その攻撃を妨害するものがいた。

 

「響さんと将也さんに…!」

「手出しはさせないデス!」

 

 

切歌と調がアームドギアでリボルの攻撃を妨害。

すかさず、翼が両足のアーマーから2本の剣を取り出し、持ち手の部分を合体させてダブルブレードへと変形、炎を刃にまとわせてリボルに斬りかかる。

 

 

 

「ハアアッ!」

 

『風輪火斬』

 

「ぬおっ!」

 

 

ビームはあらぬ方向へと飛んでいき、クリスはアームドギアを連装型の弓に変形させ、矢を連射した。

 

 

「持ってけおまけだ!」

 

 

『QUEEN’s INFERNO』

 

幾ら強大な力を持っていても、流石に連続攻撃は応えたのかリボルは下がる。

 

 

「言っとくけど、こいつらに手出しはさせねぇからな!」

 

 

クロスボウのアームドギアを構え、響達の前に立つクリス。

 

 

 

 

「なんで…?」

 

将也はわからなかった。

 

 

今まで、自分は彼女達を突き放してきた。

 

共に戦うこととなった回数は少なかったが、装者達の戦いを見るたびに心の奥にドス黒い感情が湧き上がることがあった。

 

 

帰る場所。ともに戦う仲間たち。友人達と歩む日常。

 

 

復讐心しか残っていない将也にとって、彼女達の存在は余りにも眩しすぎた。

 

 

眩しすぎるがゆえに、将也は彼女達と距離をとり続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だけど、装者達はそんな距離なんて容易く超えてくる。

 

 

「決まってんだろ…!今までの礼を果たすためだよ!」

 

これまで、クリス達は幾度となく将也に助けられてきた。

 

 

 

ネフィリム、ミカ、キャロル、ファラ…

 

彼が手を貸してくれたからこそ得られた勝利だが、内心では悔しさを感じていた。

 

「いつまでも、足でまといのままじゃないデスよ!」

 

 

「私達だって…強くなりたい!」

 

 

その姿を見て、将也の脳裏に何らかの声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(必要なのは、チームの信頼関係だ!)

 

 

 

(大丈夫。……なら、きっとできる)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…これが……チーム…」

 

 

何度も衝突を繰り返してきた装者達。決して最初から仲のいいチームだったわけではない。

 

自らの思いを貫こうとぶつかり合い、時には本気で戦ったこともある。

 

 

だからこそ、互いに最高の仲間となり得たのだ。

 

 

(そうか…だから俺は…)

 

羨ましかった。いつだって仲間を信じて走り続ける彼女達が。

自分は、あの日から立ち止まり、唯一の友でさえも心から信じてはいなかったのかもしれない。

 

 

 

すると、ドラゴナイトハンターZのガシャットが金色の光を発する。

 

 

「ガシャットが…?」

 

それと同時に、ガングニール、天羽々斬、イチイバルもそれぞれ輝きだした。

 

 

「な、何!?」

 

「ギアが…何かに反応している?」

 

 

「それに…頭の中に、何かが…?」

 

 

 

 

次の瞬間、3人の意識がブラックアウトした。

 

――――――――――

 

 

 

気が付くと、響達はギアを纏っていない私服の状態のまま真っ暗な空間にたっていた。

 

 

「ここは…?」

 

翼が周囲を見回すと、目の前に何らかの映像が流れる。

 

雨が降りしきる道路を、10歳にも満たない少年が傘を差しながら歩いている。

横断歩道で止まっていた少年だが、突如頭を押さえ、横断歩道の上で倒れてしまう。

 

 

「…危ない!」

少年の倒れた先には車が走ってきており、少年は車に轢かれてしまう。

 

 

 

 

 

 

すると、映像が切り替わる。

 

 

今度もまた、雨が降りしきる夜の街。

映像には見たことのない緑色の怪物…バグスターとレベル1の仮面ライダースナイプが戦っていた。

 

しかし、以前パラドに教えてもらったスナイプとは違い灰色をベースとしたデザインが特徴的だった。

 

「今度はライダーとバグスター…?」

 

 

やがて、バグスターの攻撃によってスナイプのベルトからガシャットが落ち、変身が解除される。

 

 

「あのガシャット…!」

 

クリスが見たのは、スナイプが使っていたガシャット。

 

 

 

それは、リボルが強化に使用したプロトバンバンシューティングだった。

 

またしても映像が変わる。

 

 

どこかの病室のような場所で、ひとりの女性の体が消滅しかかっている。

そこに、恋人らしき男性が入ってくる。

 

必死に呼びかける男性だが、彼の言葉も虚しく患者の女性は消滅。

 

 

世界で一番のドクター…その願いを託し、彼女は消滅する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は変わり、薄暗い霊安室のような場所。

 

白衣を来た男性が、目の前の親友だった人物を前に泣き崩れる。

 

 

すべては、真実を口にしたため。

 

 

真実を伝えることが正しいとは限らない。

 

 

友人の犠牲という重すぎる現実を前に、男は自らを嘘の仮面で本心を隠した。

 

 

 

「これは…?」

 

次々と映る映像に、理解が追いつかない響達。

 

 

その中で、響は小さな椅子に座る小学生くらいの少年を見つける。

 

 

 

「あの子…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕は…どこ?」

 

 

少年の言葉。そして声には聞き覚えがあった。

 

「この声って…!」

 

 

将也がマイティブラザーズを起動させた際に聞こえた声。

 

 

 

 

そして、周囲に無数のロゴが浮かび上がる。

 

 

緑をベースにした、何らかのゲームのタイトル。

 

それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《仮面ライダー・クロニクル…!》

 

『KAMEN RIDER CHRONICLE』と表示されたロゴが響達の周囲を囲んでいく。

 

「な、なんだよこれ…!」

「仮面ライダー…」

「クロニクル…?」

 

やがて、ロゴが消滅するが、3人の視線の先には現実世界と同じ、ボロボロになった将

也が倒れていた。

 

 

 

「将也君…!」

 

 

響達は急いで駆け寄る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「教えてください…僕は、どうすればいい?」

 

 

次に響達が見たのは、数年前までの将也の過去。

 

 

 

仮面ライダーとして人々をゲーム病から救い、医学を学び、友と一緒に遊ぶ。

 

だけど、この光景は戻らない。

 

 

あの日から、ずっと迷子になっていた将也の心は限界が近かったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だったら、私達と一緒に行こう?」

 

顔を上げると、そこには手を指し伸ばす響の姿が。

響だけではない。

 

クリスも、翼も同じように手を指し伸ばしている。

 

 

「お前…あれからずっと戦ってたんだよな…」

 

クリスは、何度も将也の力を目の当たりにしてきた。

 

 

大事な人を喪い、力を求めたクリスは、戦争の火種を全て破壊するという選択をしてしまい、多くの悲劇に加担してしまった。

 

 

だが、将也は同じような悲劇に見舞われながらも命を救うという信念を本当の意味で忘れてはいなかったのだ。

 

 

例え、誰から拒絶されようとも…周囲を敵に回そうとするのは、他人を戦いから遠ざけるため。

 

 

「大事な友を喪う気持ち…私とて分かる…」

 

 

翼も、かつて大事な親友を失ってしまった。

 

 

最初は復讐のため。でも、誰かに勇気を与えられる歌に気がついた彼女は、最後の最後まで誰かを守るために歌い続けた。

 

 

 

例え…命が尽きるとしても…

 

 

 

 

 

「私は、あの日将也君に命を救われた。だから、今度は私達が将也君の命を…笑顔を取り戻したい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いつだって強いお前が、こんなところで終わるわけねぇだろ!」

力強く、だが優しさを含んだ声で語りかけるクリス。

 

 

「私達が力を合わせれば…どんな困難も乗り越えられる!」

仲間と共に歩むことで新たな強さを知ることができた翼。

 

 

「将也君1人じゃ届かないのなら、私達も力になるよ!だから…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一緒に飛び立とう!今度は、みんなで!」

 

 

響の言葉に、将也はようやく立ち上がる。

 

 

そして…

 

 

 

 

 

「ありがとう…!」

 

響達が差し出した手と、将也の手が重なり…

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

現実に意識が戻る響達。

 

 

「今のは…!」

ふと、何かを握る感触に気が付く3人は、その手に持っていたものを見て驚く。

 

 

「これって…」

「あいつの…ガシャット…?」

 

響、翼、クリスの手に握られていたのは紛れもなくドラゴナイトハンターZのガシャットだった。

 

だが、将也も同じガシャットを手に持っている。

 

 

 

 

 

 

「4人とも!そのガシャットを起動させろ!」

 

 

声をかけてきたのはパラド。彼はこの現象がなんなのかを知っている。

 

 

「パラド…ああ!」

 

将也は、マイティアクションXのガシャットを最初に起動。

 

 

《マイティアクション!エーックス!》

 

 

ガシャットを装填するが、いつもと違い変身はしていない。

 

そのまま、ドラゴナイトハンターを構える。

 

 

 

 

 

 

 

「いくぞ…『響』!『翼』!『クリス』!」

 

 

 

 

「!将也君…今、私達の名前を…!」

 

今まで断じて呼ばなかった名前を呼ぶ。それだけでも将也の心境の変化が伝わってきた。

 

「ふ…いざ、参るぞ!」

 

 

「おう!散々やられた分、きっちり返してやる!」

 

敵との戦力差は圧倒的。だが、彼女達はどこか確信していた。

 

 

今の自分達なら、どこまでだって強くなれると…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ドラゴナイトハンター!ゼーット!》

 

将也が最初にガシャットを起動すると、ハンターゲーマが出現。

 

 

「ふん!また変身するつもりか!」

 

リボルは切歌達を振り払い、攻撃をするがハンターゲーマによって妨害される。

 

 

そんな中で4人はガシャットを起動。

 

 

《ファング!》

最初は将也が起動させ、ガシャットが緑に輝く。

 

 

《ナックル!》

続いて響が起動。オレンジの光を放つ。

 

 

《セイバー!》

翼が起動させると、赤と青に発光。

 

 

《ボウガン!》

クリスが起動させると、ガシャットは銀色に光った。

 

 

 

「あれは…」

「何が始まるというの…?」

 

離れたところから様子を伺うマリアと未来。

 

 

 

響、翼、クリスはそれぞれの唄を口ずさんだ。

 

 

 

 

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron…」

 

 

「Imyuteus amenohabakiri tron…」

 

 

「Killiter Ichaival tron…」

 

 

《ガッシャット!》

 

 

ゲーマドライバーにガシャットを装填する将也は、エグゼイドの時と同じように右腕を5回転させる。

 

 

 

「大・大・大・大・大変身!!」

 

 

《ガッチャーン!レベルアーップ!》

《マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクション!エーックス!》

 

 

響達がシンフォギアを身に纏い、エグゼイドは再びハンターアクションゲーマー・フル

ドラゴンに変身。

 

 

 

《アガッチャ!》

 

 

続いて、更なるレベルアップの音声が鳴る。

今までとの違いはエグゼイドだけでなく、響達の持つガシャットからも同時に流れたことだ。

 

すると、エグゼイドから胸部と頭部を覆う装甲以外のパーツが外れ、両手両足のパーツは空中でそれぞれ二つに増える。

 

 

翼の元には右腕と右足のパーツが、クリスには左腕と左足のパーツ、響には両手両足のパーツが装着。

 

それと同時にガシャットが装甲と融合し、変化が起きる。

 

 

無骨な剣だった翼のドラゴナイトブレードは青く美しい輝きを持つ細身の剣『ドラゴナイトセイバー』へと変化。

 

 

プラズマ砲のような形をしていたドラゴナイトガンはクロスボウのようなデザインの『ドラゴナイトボウガン』へと変形し、クリスの左腕に装着される。

 

そして、響の右腕のブレードは刀身が短くなってパイルバンカーのようなデザインへと変化し、左腕のガンも銃身が短くなり、先端から電気が流れるスタンガンのようなデザインへと変化。

響の打撃力を向上させるための『ドラゴナイトナックル』へと形を変えた。

 

 

そして、4人の腰にキメワザスロットホルダーが装着される。

 

 

 

《ド・ド・ドラゴ!ナ・ナ・ナ・ナ~イト!ドラ!ドラ!ドラゴナイトハンター!》

 

 

《エグゼイド!》

 

《ガングニール!》

 

《天羽々斬!》

 

《イチイバル!》

 

 

 

 

ドラゴナイトハンターZ。このゲームの本来の特徴は、武装を分けることによってレベル5の力を最大4人で共有する4人協力プレイである。

 

 

「よ…4人で装備を分けた…?」

 

 

シンフォギアの力とライダーの力が混ざり合うという現象に司令室のメンバーも驚きを隠せない。

 

 

「恐らく…将也さんのライダーシステムがシンフォギアに近い存在になっているからこそ、出来たことだと思われます」

 

エルフナインの見解は的を射ていた。

 

 

フロンティア事変の際にシステムが変異したことで、将也のライダーシステム…そして彼の持つ原初のバグスターウイルスはシンフォギアシステムに極めて近い特徴を得たのだ。

 

 

その一つが大量のフォニックゲインを吸収することでガシャットが一定時間上限レベルを越える強さを発揮できる『擬似エクスドライブ』によるパワーアップ。

 

 

3人はその際にフォニックゲインを吸収されたことでわずかながら将也との『繋がり』とでも言うべきものを持っていた。

 

それにより、本来は仮面ライダーにしか適用されないレベル5の共有がシンフォギアとも可能になり、さらにはそれぞれのギアに合わせた変化までもたらした。

 

 

「響君達と彼のほんの僅かな『絆』が…この奇跡を起こしたのか…」

 

 

「奇跡なんかじゃありません…これは、響さん達が将也さんを信じたからこそ生まれたこと…この結果は『必然』です!」

 

 

 

――――――――――

 

 

「ば、馬鹿な!?何故、キサマらがガシャットの力を使える!?」

 

 

ドラゴナイトナックルを打ち付け、響は構える。

 

 

「将也君が私達を信じてくれたから、ガングニールとガシャットが応えてくれた!」

「我ら4人の力、みせてやる!」

「こっからは、さっきまでのアタシらとは違うぜ?」

 

3人と共に並び立ったエグゼイドが宣言する。

 

 

 

 

 

「最強チームプレイで、クリアしてやるぜ!」

 

 

 

(BGM RADIANT FORCE)

 

 

 

鳴り響く3人の歌姫のメロディーと共に、4人が一斉に動き出した。

 

「小賢しい真似を!」

 

リボルが攻撃をしようとするが、響とエグゼイドが先手を取る。

 

 

「ハアアアア!!!」

右手で殴りつけた瞬間、仕込まれていたパイルバンカーが作動してリボルに突き刺さる。

 

「ぬぐぅっ!」

 

 

「こっちも忘れるな!」

振り返ると、そこには尻尾を振り抜いたエグゼイドの姿が。

 

「ぐうああ!」

 

尻尾の打撃に下がるリボルだが、思ったよりもダメージが無い。

 

 

「やっぱりレベル5じゃあダメージは少ない…!」

「大丈夫、私達は一人じゃない!」

 

 

予想よりダメージが少ないことで対策を考えるエグゼイドだったが、響達に落胆の表情はない。

 

「その通りだ、宝条!」

 

 

今度は右側から翼が走ってきて、右足に装備されたパーツからギザギザの刃が付いた刀を展開、回し蹴りでリボルに斬りかかる。

 

 

『青龍ノ牙』

 

 

「うおおお!?」

 

咄嗟に受け止めるリボルだが、さっきまでと違い僅かだが確実にダメージが入っている事に驚く。

 

 

「どういうことだ!?何故、バグスターの我がこの攻撃で傷を…!」

 

その理由は、リボルと同じガシャットの力をギアに発動させたのが理由。

 

 

ガシャットによって作り出された武装は、ガシャットから生み出された同じバグスターに対して非常に有効だった。

 

 

 

「さっきまで調子乗りやがって!こんの戦艦モドキいい!!」

 

 

クリスもまた、左腕のボウガンから無数の光の矢を放つ。

 

 

 

『DRAGON’sDANCE』

 

 

光の矢は一つ一つがまるで龍のような動きをしてリボルに命中。

 

 

 

 

「ぬうう!だが、これしきのことでええ!」

反撃とばかりにリボルは両手から拡散ビームを撃ってエグゼイド達を吹き飛ばす。

 

 

「くううっ…やっぱり、あのレベル差をどうにかしないと…!」

 

 

こちらはレベル5の力を持ったライダーと装者が4人、合計レベル20。

 

まだ向こうはこちらの倍以上のレベルで対抗してくる。

 

 

すると、どこからかエナジーアイテムが将也達に向かって飛んでくる。

 

 

 

《マッスル化!》《鋼鉄化!》《高速化!》《分身!》

 

振り返ると、そこにはパズルゲーマーのパラドクスの姿が。

 

 

 

「将也!今のうちに奴の『レベルを下げろ』!」

パラドクスからのアドバイス。その言葉を理解したエグゼイドはホルダーから『黒いガシャット』を取り出す。

 

 

 

「響、翼、クリス、パラド!奴の隙を作ってくれ!」

 

 

「何?…わかった!」

「策でもあるみたいだな!任せとけ!」

翼は高速化の影響で目にも止まらぬ速さの移動を続け、リボルをかく乱。

 

「今回は出血大サービスだ!」

 

 

分身の効果で3人に増えたクリスは、サイドアーマーからミサイルを放つ。

 

 

『MEGA DETH PARTY』×3

 

 

 

「ぬうっ!」

 

爆発で攻撃を妨害されるリボル。

 

 

 

そのチャンスを見て、パラドクスはマイティブラザーズXXのガシャットをギアホルダーに装填。

 

 

 

《ダブル・ガッシャット!》

《マイティ!ダブルクリティカルストライク!》

 

 

すると、パラドクスがパズルゲーマーとファイターゲーマーの2人に分身すると、パズルはキック、ファイターはパンチの体制をとり、同時に必殺技を放った。

 

 

「「デヤアアアア!!!」」

 

 

リミッターがかかったレベル20の必殺技だが、リボルを怯ませるには十分な威力だった。

 

「今だ!」

 

 

パズルゲーマーに戻ったパラドクスは、エグゼイドと響に声をかける。

 

 

「ありがとう、パラド!皆!」

 

エグゼイドは黒いガシャットを召喚したガシャコンブレイカーに装填。

 

 

 

《ガッシャット!キメワザ!》

ガシャコンブレイカーの刀身に紫と黒のエネルギーが収束する。

 

直感的に危険を察知したのか、リボルはエグゼイドに攻撃をしてくる。

 

 

 

「どおおりゃああ!!!」

 

放たれるビームだが、エグゼイドの前に響が入り込み、左腕の電撃を纏ったパンチで相殺する。

 

「サンキュー、響!」

 

 

鋼鉄化によって防御力の上昇した響にはリボルの攻撃は通らない。

 

 

「決めて!将也君!」

 

エグゼイドはマッスル化によって高められたパワーのまま、リボルの懐に潜り込んでガシャコンブレイカーで斬りつける。

 

 

「ぬおおおおお!?」

 

 

ガシャコンブレイカーで斬りつけられた直後、リボルの体に異変が発生する。

 

 

 

 

 

「な、何故だ?何故、我のレベルがああぁ!?」

 

リボルの横に、メッセージウインドウのようなものが表示される。

そこにはリボルの現在のレベルが表示されており、『50』から急激に低下していく。

やがて、ガシャコンブレイカーを離すとリボルはレベル20まで低下していた。

 

 

その理由は、エグゼイドがガシャコンブレイカーに装填したガシャット。

 

ガシャットの正式名称は『プロトマイティアクションXガシャットオリジン』。

 

プロトマイティアクションX以前に作られた、全てのライダーガシャットのオリジナルであり、他のガシャットには存在しない『レベル0』の力を持つ。

 

レベル0の能力はバグスターウイルスの抑制。発動した状態で相手と接触することで対象のバグスターウイルスの活動を弱めることができる。

 

 

将也では反動が大きすぎるがゆえに変身に使うことはできないが、今のように必殺技専用として使っても十分な効果を発揮する。

 

 

「決めるぞ、響、翼、クリス!」

 

 

「うん!」

「ああ!」

「オッケー!」

 

4人はドラゴナイトハンターZガシャットを取り出し、同時にキメワザスロットホルダーに装填。スイッチを押した。

 

 

 

《ガッシャット!キメワザ!》

 

 

4人の武器にエネルギーがチャージされ、同時に開放した。

 

 

《ドラゴナイト!クリティカルストライク!》

 

 

『DRAGO・KNIGHT・CRITICAL・STRIKE!!』

 

 

 

必殺技のコールが鳴り、翼が巨大化したセイバーを振り抜く。

 

 

「せああああ!」

 

 

『蒼龍ノ一閃』

 

 

 

 

続いて、クリスが金色のドラゴンを模した形のミサイルを10発展開、一斉に放つ。

 

「一発残らず受け取りやがれええ!!」

 

 

『MEGA DETH DRAGOON』

 

 

 

蒼き龍のような形の斬撃と、10発のミサイルがリボルを襲う。

 

 

 

「うがあああ!!」

 

 

 

続いて響が接近、両足に装備したクローで攻撃し、左腕で電撃を纏ったパンチ、そして右腕でパンチと同時に装備されていたパイルバンカーを打ち込んだ。

 

 

 

「おおおりゃあああ!!」

 

 

「ぬぐおおお!?」

 

空中で無防備な状態になるリボルだが、その目は最後の一撃を放つ相手を捉えていた。

 

 

 

 

 

 

「これで…フィニッシュだ!」

 

 

エグゼイドは炎を吐き、その炎を自ら纏う。

 

その状態で背中の翼を広げて飛び上がり、キックの体制になる。

 

 

 

「あ、ありえない!こんなところで、ゲームオーバーなどおお!!」

 

 

 

 

 

「ハアアアア!!!」

 

 

エグゼイドの炎を纏ったキックによって、ついにリボルの体が限界に達する。

 

 

 

 

 

「嘘だ…!我が、こいつらに負けるなど……うわあああああ!!!!」

 

 

 

 

 

最後まで負けを認めないままリボルは砕け散った。

 

 

 

―――――――――

 

 

リボルの消滅からおよそ1時間。

 

 

プロトバンバンシューティングのガシャットを取り戻し、アルカ・ノイズも自動人形も姿を消した。

 

響達もシンフォギアを解除したが、将也は警戒を怠らずエグゼイド・レベル2の姿のままだ。

 

今回の事件は大きな損害を被ってしまった。

街中での戦闘に加え、ガリィの手によって多くの人間が連れ去られてしまい、現場でも想い出を奪われて命を落とした人が多い。

 

 

それでも、救うことができたい命があったのは事実だった。

 

 

 

 

 

「もう少しで、本部からの迎えが来ます」

 

 

緒川は、借りていたバグヴァイザーをパラドに返すと響達に伝える。

 

 

「あの…私達にできることって…ありますか?」

「いいえ。これ以上長居は危険です。もうすぐマスコミも着きますし、私達は撤収したほうが…」

 

すると、未来と創世達が誰かを連れて歩いてくる。

 

 

「緒川さん!この子、怪我をしてるみたいなんですが…」

 

未来が連れてきたのは、6歳くらいの少年だった。

 

 

どうやら、右足首を骨折しているらしく、赤く腫れ上がっている。

 

 

「これは…すぐに応急処置をしましょう。誰か、近くの避難所まで…」

 

 

緒川が声を掛けようとした瞬間、エグゼイドが歩いてくる。

 

「え…?将也君?」

 

 

エグゼイドはドライバーを閉じてガシャットを抜き、変身を解除する。

 

 

将也は、どこからともなくいつぞやの救急箱を取り出して包帯と添え木を準備した。

 

「ちょっと痛いかもしれないけど、我慢できる?」

 

 

「…うん」

 

小さくうなづいた少年に対し、将也は笑顔で返す。

 

 

「よし、ほんの少しだけ我慢しててね…」

 

 

 

 

 

数分もかからずに応急処置は完了、しっかりと患部を固定したのを確認して将也は救急箱を閉じる。

 

 

「これでよし!よく頑張ったね」

 

将也は少年を褒め、頭を撫でる。

 

 

「ありがとう、お兄ちゃん!」

 

 

少年の笑顔を見て、将也は何かを思い出したかのような表情を浮かべ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その笑顔が、健康の証だよ」

 

 

 

 

その時、パラドは将也とある人物が重なる。

 

 

 

 

 

「…やっぱ、お前と似てるよな。永夢」

 

 

 

 

 

 

その後、少年はS.O.N.G職員によって避難所に連れて行かれていった。

 

 

 

 

 

 

「デース!!」

すると、背中に衝撃が走り、振り向くとそこには…

 

 

「えへへ///ようやく話ができるデス…」

嬉しそうに将也にしがみつく切歌の姿。

 

 

「ちょ、ちょっと!?」

 

慌てる将也だが、もう1人将也の左腕にしがみついてくる。

 

 

「…切ちゃんだけずるい…」

調の大胆な行動に驚く将也だが、マリアが話しかけてくる。

 

「…今まで、幾度となく私達を助けてくれてありがとう。この二人のことも…正直、感謝してもしきれない」

 

 

マリア、切歌、調からの感謝の気持ちに対し、将也は顔をそらす。

 

 

「宝条。先程の戦い、私達に力を貸してくれてありがとう」

 

 

次に声をかけたのは翼。

 

 

「私もまた、かつての戦いで友を喪い、独りで戦う道を選んだ。だからこそ、あのようなことを繰り返したくはない」

 

翼の言葉に困惑していた将也だが、響が話しかけてきた。

 

 

「やっぱり、将也君は初めて会ったときから変わってないよね」

響は、見抜いていたのだ。

宝条将也という人間の、仮面で隠した本当の心を。

 

 

「何があっても、最初から将也君は自分の思いを信じて、貫いていた。誰かの命を助けて、笑顔を取り戻すって…」

 

 

結局、将也は戦う意味を本当に忘れていたわけではなかった。

 

 

ただ、自分の思いを再認識しただけだったのだ。

 

 

「だから、今度は私達が将也君の、本当の笑顔を取り戻したい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「将也君が誰かを笑顔にするために戦い続けるのなら、私達がその手を掴むから。だから………」

 

 

響は、将也に対して握手を求めるかのように手を伸ばす。

 

 

「私達と、力を合わせて戦ってくれない?」

 

 

 

いつだって、立花響の言葉に嘘はない。

心からの言葉をぶつけてきて、迷い続けた心に光を差してくれる。

そんな響の言葉に対しての返事は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…響さん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

将也は、響の差し出した手をギュッと握った。

 

 

 

「僕の力じゃ、大勢の命を救うことはできません。だから…」

 

 

 

「これから先、よろしくお願いします」

 

 

響のまっすぐな思いが、心を閉ざしていた戦士の道を照らす。

 

 

 

 

「――――うんっ!よろしく!」

 

 

 

 

 

(ED 逆光のフリューゲル)

 

 

 

「じゃあ、これにて撤収デス!将也先輩、出発進行!」

 

 

切歌が、将也の背中にしがみついたまま指示を出す。

 

「せ、先輩?」

 

 

突然の先輩呼びに、困惑する将也だが…

 

 

「ダメ…でしたか…?」

横にしがみつく調が目を潤ませ、将也は罪悪感にとらわれる。

 

 

「べ、別にいいよ…」

 

 

「やったデース!」

 

「ぶいっ…」

 

 

大喜びする切歌と、小さくVサインをする調。

 

 

 

(この子達、結構悪知恵が回る…!)

 

「ってかお前、未だに血塗れじゃねえか!今まで散々ドンパチやってたけど、さっきまでの怪我、大丈夫なのか!?」

 

 

クリスは、ようやく血と泥塗れの白衣を着た将也にツッこむ。

 

 

「え?ああそういえばさっき3人分の力分けてもらったからね…」

以前キャロルと戦った時と同じく、3人のフォニックゲインによって将也の怪我は完治していた。

 

 

「それで治るものなのか…?」

 

「まあ、これも体質ってやつかも?」

 

 

今までとは違い、壁を作らない会話。

 

 

そんな中、将也はふと立ち止まり、過去を思い出す。

 

 

 

 

 

あの日、ハヤトから送られた言葉。

 

 

 

 

 

『お前が笑顔でいる限り、お前はお前だ』

 

 

 

自分は、笑顔を失い、自分を失っていた。

 

 

だからこそ、ハヤトはそれを予期してあの言葉を伝えてきたのだろう。

「やっぱ…ハヤトさんにはかなわないな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「将也く~ん!はやく行くよ!」

振り返ると、響が手を振っている。

 

「わかった!」

 

 

将也は再び走り出す。

 

 

もう二度と迷わない。

 

大事な仲間は失ったが、新しい仲間が迎え入れてくれた。

だから、絶対に守りぬく。

 

 

 

 

(だから、見ててください…ハヤトさん、まどかちゃん…)

 

 

溢れてしまった命を忘れることなく、宝条将也は新しい運命へと一歩踏み出していった。

 

 

 

 

To Be Next GAME…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チフォージュ・シャトーの最深部。

 

キャロルの周囲には想い出を吸われた遺体が幾つか横たわっており、キャロルの視線の

先には、生体ポッドで眠り続ける千翼の姿が。

 

 

「ようやく…お前とまた…!」

 

 

キャロルの手によって遺体は原子レベルまで分解され、千翼の体に取り込まれていく。

 

ゆっくりと腕や足などの欠損していた部分が再生し…

 

 

 

 

 

 

千翼の肉体は、完全に修復される。

 

 

「この時を待ち望んでいたぞ…千翼!」

 

キャロルはダウルダヴラを用いることなく大人の姿へと変化し、生体ポッドから出てきた千翼を抱き留める。

 

 

「キャ…ロ…ル…?」

 

 

虚ろな目をゆっくりと開ける千翼は、見覚えのある彼女の名前をつぶやく。

 

「ああ。ようやく、お前とまた会えた…」

 

 

今のキャロルの姿を見たら、響達は困惑することだろう。

 

 

それほどまでに、キャロルの表情は今までとは異なっていた。

 

それはまさに、愛する者へ向ける優しい表情。

 

 

 

 

 

「千翼…オレはこれから、為すべきことがある。だから…力を貸して欲しい」

 

キャロルは、千翼に対して赤と銀のベルト…『ネオアマゾンズドライバー』を手渡す。

 

 

 

 

 

「わかった…俺は今度こそキャロルを守りたい…」

 

 

千翼は、ネオアマゾンズドライバーを腰に装着すると、キャロルから黄色いゼリー状の薬品が入った注射器型アイテム『アマゾンズインジェクター』を受け取り、ベルトのホルダーに装填。ホルダーを起こし、インジェクターを押し込む。

 

 

《ネ・オ》

 

 

 

 

 

ゆっくりと起動音が鳴り、千翼は自らのうちに眠る獣を解き放つ言葉を叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……アマゾンっ!」

 

その言葉に呼応するかのように、ドライバーの目が黄色く輝き、千翼の体は赤い炎に包まれる。

 

 

炎が晴れると、そこに千翼の姿はなかった。

 

青い体躯に、黄色く光る複眼。

 

 

銀色のプロテクターが目立つその姿は紛れもなく『仮面ライダー』だった。

 

 

 

 

 

 

 

『仮面ライダーアマゾンネオ』。

 

 

仮面ライダーでありながら、存在そのものが許されざる罪となり、実の父とその宿敵によって罪から解放されたはずの、異世界の仮面ライダー。

 

 

 

 

 

「……ウウウアアアアアア!!!!」

 

 

歴史の彼方に消えたはずの獣が、錬金術師の少女の元へと帰ってきた。

 

 

To Be Second Stage…!

 




次回は息抜きとして番外編を投稿したいと思っています。

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