戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士   作:狼牙竜

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お待たせしました、第7話です。


おもったよりも文字数が多くなったので、前後編に区切りました。

先日ネオアマゾンズドライバーとレーザーレベル5のアーツが届き、テンションが最高潮です!

バグスターアンケートのほかに、もうひとつアンケートを入れたので詳しくは活動報告をご覧ください!
感想、評価をよろしくお願いします!


10月31日、指摘があったのでパラドクスのレベルについて追記しました。


第7話 DRAGONでぶっ飛ばせ!前編

響達との邂逅から1日。

 

アジトのソファに寝転んだ将也は、昨日の響の言葉が頭から離れなかった。

「笑顔を守る…か…」

 

思い出すのは、かつてハヤトと一緒に闘っていたこと。

彼は他のライダーと比べてクセが強く扱いづらいレーザーを見事に使いこなし、単独での強さはエグゼイドを超えていた。

 

 

彼から学んだことは非常に多く、だれかの笑顔を守るために戦うということを知ることができたのもハヤトのおかげだった。

 

 

(将也…忘れんな)

 

 

ハヤトの最後の言葉が頭をよぎる。

 

(決して自分を見失うな…お前が、笑顔でいる限り…お前はお前だ!)

 

 

 

 

 

 

 

 

「…今の僕には…無理ですよ、ハヤトさん…」

 

そんな将也の様子を伺っていたパラドは、ギアデュアルを握ると部屋に入る。

 

 

「…パラド」

 

 

 

「将也。お前に提案がある」

 

 

将也の心を救うため、パラドはある計画を実行することとなった。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

リディアン音楽院。

授業も終了し、ホームルームや掃除を終わらせた響と未来、友人である創世、弓美、詩織は教科書やノートなどを鞄にしまい、教室を出る。

 

 

「さて、今日は新しくできたア○メイトね!」

 

弓美の趣味…もとい提案で新しくできたアニメ専門ショップに遊びに行くこととなった響達。

 

しかし、響の携帯から緊急を知らせる着信が鳴る。

 

 

「ちょ、ちょっとごめん!」

 

響は画面を確認すると、相手は『師匠』と表示されている。

 

 

間違いなく弦十郎からだ。

 

 

 

《響君!すまないが未来君を連れてなるべく早く本部に来れないか?》

 

「え?未来も一緒にですか…?」

 

珍しく、弦十郎は未来も来るようにと指名をしてきた。

 

 

 

《実は、先程本部にパラドが訪れてな。君達が到着次第、ここに来た目的を話したいとのことらしい》

「パラド君が!?将也君は一緒じゃないんですか?」

《いや、来たのは彼一人だ》

 

弦十郎の視線の先には、見慣れない携帯ゲーム機で一人遊んでいるパラド。

 

 

そして警戒した目で彼を見つめる翼達年上装者3人。

 

切歌と調は横からパラドのプレイしているゲームを見ていた。

 

 

「分かりました、すぐに向かいます」

 

 

 

響は通話を終了すると、創世達に頭を下げる。

 

「ごめん!今から行かないと!」

 

 

もはや慣れっこであった3人は気にすることはない。

 

「私達のことは大丈夫。ビッキーもヒナも、早く行ったほうがいいよ?」

 

 

「パラドに会いに行くんでしょ?だったら次はあの二人にも来るように言ってね?」

 

 

「小日向さんも、立花さんもお気をつけて!」

 

 

3人に見送られながら響と未来は本部へと向かっていった。

 

 

――――――――――

 

 

 

一方その頃、都内某所では…

 

「こちらレイア。ただいまターゲットを確認、感染の準備は出来ています」

 

 

1人の少年に目をつけていたレイアは、黒いガシャット…『プロトガシャット』を取り出す。

 

 

《ご苦労。ガリィの方も準備は出来ている》

 

 

《は~い♪ガリィちゃん、準備完了で~す!》

 

 

楽しそうな声で通信に割り込んできたガリィにレイアはため息をつく。

 

 

《では、想い出収集作戦を開始する。くれぐれも抜かるな》

 

 

「了解」

 

 

レイアとガリィは手に持っていたプロトガシャットを起動させる。

 

 

 

 

《バンバンシューティング!》

 

《シャカリキ!スポーツ!》

 

 

レイアが持つ『プロトバンバンシューティングガシャット』とガリィの持つ『プロトシャカリキスポーツガシャット』からオレンジ色の粒子…バグスターウイルスが発生すると、ウイルスは近くを通りかかっていたサラリーマン風の男性と少年の体内に入り込

む。

 

 

 

「これで準備は整った…」

 

 

 

 

「想い出回収作戦、開始!」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

「師匠、お待たせしました!」

 

勢いよく司令室に入ってくる響と未来。

 

 

視線の先には真剣な目をしたパラドがいる。

 

「これで全員揃ったな。本題に入る」

 

 

パラドは座っていた椅子から立ち上がると、弦十郎の目を真っ直ぐに見据えた。

 

 

「風鳴司令。俺をS.O.N.Gのメンバーに加えて欲しい」

 

 

 

パラドの発言に全員が目を丸くする。

 

「…驚いたな。君の方から頼みに来るとは、どういう理由だ?」

 

弦十郎の質問に対し、パラドはぐっと拳を握る。

 

 

 

 

 

 

 

「……将也を、助けるためだ」

 

「ど、どういうこと!?」

 

パラドの突然の言葉に響が質問する。

 

 

 

「あいつは、ハヤトが死んでから追い詰められている。今まで協力しなかったのは、バグスターに対する復讐心を抑えられなくなったらみんなを巻き込んででも暴走しかねないってわかってるんだ」

 

 

 

今までの将也の行動は全て、自分達に被害を出さないため。

 

そのために彼は距離をとり続け、孤独な戦いの道へと進もうとしていた。

 

 

 

「だけど、将也は大事なことを思い出そうとしている。だから、俺はあいつが戻ってきた時、あいつを迎え入れてやりたい」

 

「だから俺達と手を組みたい。そういうわけだな…」

 

パラドは弦十郎の言葉に頷く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、けたたましいサイレンが鳴る。

 

 

「アルカ・ノイズの反応をキャッチ!」

 

「場所を表示します!」

 

 

モニターに映し出されたのは、東京都内某地。

 

様々な施設が密集している場所に白昼堂々とアルカ・ノイズが襲撃してきた。

 

 

 

 

「響、ここって!」

「…創世達が!」

 

今日、創世達と遊びに行く予定だった町。

 

 

そこにアルカ・ノイズが出現していた。

 

「自動人形の反応は!?」

 

 

「いえ…未だに見つかりません」

 

 

自動人形が姿を見せず、アルカ・ノイズだけの襲撃。

 

何らかの罠ではないかと考えたが…

 

 

 

 

「今は考えるより、一人でも多く救うのが優先だろ?」

 

パラドが発した言葉に全員がはっとなる。

 

「…そうだな。全員、出動!エルフナイン君、あれを!」

 

 

「はい!」

 

 

エルフナインはどこからか赤いペンダントを取り出し、切歌と調に渡す。

 

 

「これは…!」

 

「私達のギア…デスか!?」

 

 

ミカとの戦いで破壊されたイガリマとシュルシャガナは、エルフナインの改修作業によって以前より強化された。

 

 

「はい!ですがマリアさん…いえ、セレナさんのアガートラームは…」

 

 

申し訳なさそうな表情を浮かべるが、マリアは首を振る。

 

「大丈夫よ、エルフナイン。私は、今できることをするだけ…!」

 

 

 

 

「よっし!さっさと行くぞ!」

 

 

クリスの叫びに全員が頷き、司令室を出て行った。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

ヘリに乗る中、エルフナインからの通信が入る。

 

 

 

《恐らく、今回裏で糸を引いているのはガリィです》

 

 

「ガリィ…以前私がガングニールを纏った時の…」

 

 

響がミカと戦う直前、彼女は一時的にガングニールを纏えなくなった時期があった。

 

その際に響を狙って襲撃してきた自動人形がガリィである。

 

 

 

あの時はマリアが響のガングニールを代わりに纏うことで事なきを得たが、流石に何度も同じ手は使えない。

 

 

理由は、マリアもまた切歌や調と同じ『LINKER』の投与無しではギアを扱えないからである。

 

あの時のマリアはLINKER無しでガングニールを纏い、ギアの反動で体がボロボロになった。

 

《ガリィの能力は想い出の収集。恐らく、キャロルはガリィとアルカ・ノイズを使うことで多くの人間を拉致、想い出を回収しようとしているのかもしれません》

 

 

 

そんな中、切歌が疑問を口にする。

 

 

 

「でも、どうして今回はこんなに堂々と暴れだしたんデスか?」

 

 

《恐らく、キャロルにとって予期せぬ事態が発生したからかもしれません》

 

 

 

予期せぬ事態。それは間違いなく将也達の介入である。

 

 

《想い出は、錬金術を発動させるエネルギーになるだけではありません。自動人形の修復の際にも想い出は使われます》

 

今までの戦いで将也はエグゼイドとゲンムに変身し、ミカとファラの腕を破壊してきた。

 

 

そのため、修理をするための想い出が必要となり、キャロルは手段を選ばずに一気に想い出を集める方法を選んだ。

 

 

 

「その想い出って、生きている人間からなら奪えるんだな?」

 

 

《はい。即ち、どのような状態になっても死んでさえいなければ対象から想い出を奪うことはできます》

 

万象を分解するアルカ・ノイズを使って、生きている人間を殺さずに想い出を集める。

 

 

 

「ってことは…あいつらひょっとして!」

 

すると、司令室のモニターに新たな影が映し出される。

 

 

「アルカ・ノイズとは異なる反応を検知!」

 

 

モニターに映し出されたのは、オレンジ色の巨大な怪物。

 

 

 

 

片や拳銃のような形、片やタイヤのような形をしており、辛うじて目のような器官が見えるのみだった。

 

 

 

『キュオオオオォォ!!!』

 

不気味な叫び声を上げる怪物を見て、パラドは叫ぶ。

 

 

 

「あいつら、バグスターユニオン!?」

 

 

「ば、バグスターユニオン?」

 

「あれが…バグスターなのか?」

 

初めて見る異様な怪物に装者達は戸惑いを隠せない。

 

 

「いや…正確に言えばあれは感染者を取り込んだ初期型のバグスターだ」

 

バグスターは、感染者を培養したウイルスで覆い、巨大な怪物へと変貌する。

 

 

そのボディは感染源のバグスターと戦闘員のバグスターウイルスを寄せ集めて誕生した姿。

 

 

そのまま攻撃をすれば、感染者を巻き込む恐れがあり、バグスターと患者を分離するのはエグゼイド達のレベル1でなければ不可能。

 

 

「パラド、お前は行くのか?」

 

翼が聞くが、パラドは首を振る。

 

 

「いや…俺の持つガシャットじゃ患者とバグスターを分離できない…」

 

「えぇ!?でも、レベル1ってあのまん丸体型の姿だよね!?パラド君、将也君と同じようなガシャット使ってたから、変身できるんじゃ…?」

 

 

 

「将也に何かあった時のために借りてたガシャット全部あいつに返してたんだ!タドルクエストのガシャットなら分離できてたかもしれないけど…」

 

 

パラドが持っているのはガシャットギアデュアルのみ。

 

このガシャット、性能はマイティブラザーズよりも高いがレベル1のシステムが存在しないガシャットであり、すでに分離したバグスターを相手にするならいざ知らず、バグスターユニオンと戦えばその強さ故に感染者の命を危険に晒す可能性がある。

 

 

「じゃあ、どうすんだよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

《パラド、聞こえるか?》

 

突然割り込んできた通信相手に、全員が注目する。

 

「将也君!?」

 

 

モニターに映っていたのは、すでにゲーマドライバーを装着した将也。

 

 

 

《バグスターは俺が仕留める。お前は装者達と協力して大元の自動人形を叩け》

 

 

すでに一人称が俺に変化し、通信越しでもわかるほどの怒りの感情を込めている。

 

「…わかった。だが間違っても」

 

《他人は巻き込むなって言いたいんだろ?分かってる》

 

通信を切った将也は、眼前に立ち塞がる2体のバグスターユニオンを睨み、黄色いガシャットを起動させる。

 

 

 

「さて、ぶっ潰してやるよ、バグスター!」

 

《爆走バイク!》

 

 

いつもはバイク召喚に使う爆走バイクガシャットを起動させると、その場でターン。

 

「変身」

 

 

《ガッシャット!》

 

出現するキャラクターパネルから、頭に黄色いトゲとバイクのハンドルが特徴的なキャラクターのパネルに狙いを付け、所謂ヤクザキックで蹴り飛ばす。

 

 

 

《レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!?》

 

 

 

 

《アイム・ア・カメンライダー!》

 

 

今回将也がセレクトした仮面ライダーは、バイクのハンドルのようなものが頭部についた姿をしており、両手にはタイヤを模した遠近両用の武器『リアアームドユニット』を持っている。

 

 

「あれは…レーザー…!」

 

 

 

パラドが発した名前に響達も驚きを隠せない。

 

「レーザーって、確かハヤトさんが使ってたライダー…?」

 

「ああ…あいつは爆走バイクを持ってたから、変身できるとは思ってたが…」

 

 

「ともかく、現場は彼が受け持ってくれているわ。私達は急いで敵の本陣へ向かいましょう」

 

 

 

マリアの言葉にヘリのパイロットが頷いて現場へと飛んでいく。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

一方、将也が変身した『仮面ライダーレーザー』は両腕のアームドユニットを構えて走る。

 

 

 

「おおらああ!!」

 

 

右手のユニットでタイヤ型バグスターを殴り、すかさず背後から攻撃しようとしてきた銃型をもう片方のユニットについたビームガンで牽制。

 

 

「あまり時間はかけたくない…さっさと決める!」

 

 

レーザーは近くを浮遊していたトロフィー…エナジーアイテムを保管するボックスを破壊。

 

出現したエナジーアイテムの効果が発動する。

 

《挑発!》

 

 

エナジーアイテム、挑発。

 

能力は発動者に対して周囲の敵が全て注目し、襲いかかってくる。

 

 

一見デメリットしか無いような能力だが、相手の注意を引きたいときには重宝するし、アイテムの効果か敵の判断力も鈍って同士打ちをすることもある。

 

案の定、レーザーを狙って迫る2体のバグスターはぶつかり、体勢が崩れる。

 

 

「もう一丁!」

 

レーザーはすかさず他のトロフィーを破壊し、新たにアイテムを得る。

 

《マッスル化!》

 

 

一瞬レーザーの体が肥大化し、戻る。

 

エナジーアイテム、マッスル化。

発動者のパワーを一時的に上昇させるアイテム。

 

その力は非常に強く、例えレベル差が大きく開いていたとしても大ダメージを与えることが可能になるという汎用性に富んだエナジーアイテムである。

 

 

「ハアアアア!!!」

 

 

自らの体を軸にして高速回転をするレーザーは、勢いのままに2体のバグスターユニオンを殴り飛ばす。

 

 

『キュアアアア!!!』

 

地面に倒れるバグスターを見て、レーザーはすぐさま別のアイテムを得る。

 

《分身!》

 

 

エナジーアイテム、分身。

ゲームエリア内部で複数の分身を作り出す能力。その強さは分身前と比べて劣化することは無く、単純に手数と戦闘能力を上げられるのも分身の特徴である。

 

 

「これで…」

 

「終わりだ!」

 

 

2人のレーザーは、両手のアームドユニットで殴り飛ばし、2体のバグスターは同時に

爆発して感染者が放り出される。

 

 

「よっと!」

 

レーザーは分身した状態で感染者を助け出す。

 

 

すると、分離したバグスターウイルスが形となっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チャリンコゴー!イエエエエァ!」

 

スポーツゲーマに酷似したマウンテンバイクに乗るバグスター、チャーリー。

 

 

「感染者のストレスがピークに達したとき、自分は完全な存在となる!」

 

全身が重火器で構成されたかのような姿をしたバグスター、リボル。

 

 

「分離したか…だったらこっちも!」

 

レーザーは元の1人に戻ると、ホルダーから黒いガシャットを取り出す。

 

 

《ギリギリチャンバラ!》

 

 

 

三味線のようなメロディーが流れ、武士のようなデザインのメカ『チャンバラゲーマ』が出現。

 

「3速」

 

ギリギリチャンバラのガシャットを爆走バイクの横のスロットに装填、ゲーマドライバーのレバーを開いた。

 

 

《ガッチャーン!レベルアーップ!》

 

レベル1のボディが弾け、レーザーはバイクの形へと変化。

 

《爆走!独走!激走!暴走!爆走バイク!》

 

 

《アガッチャ!》

 

 

レーザーの前輪と後輪が消え、チャンバラゲーマの両腕が足に、両足が腕にそれぞれ変形し、レーザーの四肢を構成する。

 

《ギリ!ギリ!ギリ!ギリ!チャンバラ~!!》

 

最後に頭部パーツに兜のようなパーツが追加される。

 

 

 

武士を思わせる外見に変化し、レベル1とは大きく異なるデザイン。

 

 

他のレベル3とは違い、胸のライダーゲージはそのまま表示されている。

 

 

『仮面ライダーレーザー、チャンバラバイクゲーマー・レベル3』!

 

 

 

レーザーは以前パラドが使っていたガシャコンスパローを召喚。

 

 

「さて、最速で!最短で!お前たちを攻略してやるぜ!」

 

 

 

――――――――――

 

 

一方、創世、弓美、詩織はアルカ・ノイズから逃げ続けていたが目の前にガリィが出現する。

 

「み~つけた!」

 

 

以前、3人はガリィと遭遇したことがある。

 

そのために彼女の恐ろしさと性格の悪さはよく理解している。

 

 

「今日はあの黄色いのはいないんだ?」

 

 

ガリィの指しているのは響だと理解する3人。

 

「悪いけど、今日はビッキーはいないよ」

 

 

「そっかそっか~。じゃあ…」

 

ガリィはテレポートジェムを取り出して砕くと、魔法陣からアルカ・ノイズが現れる。

 

 

「アンタ等の足でも消し飛ばしてやれば、もっと面白くなるかしらねぇ?」

 

 

意地の悪い笑顔を浮かべるガリィ。

 

 

彼女の後ろにはアルカ・ノイズによって手足を分解された一般人や警官隊が転がっており、あたり一面が血によって真っ赤に染まっている。

 

 

「じゃあミカちゃんじゃないけど…バラバラ解体ショーの始まり~♪」

 

周囲を取り囲むアルカ・ノイズ。

 

 

白く発光する解剖器官を輝かせて迫ってくる。

 

「い……イヤ……!!」

 

カバンを振り回して反撃する弓美だが、アルカ・ノイズの1体がピタリと止まり…

 

 

 

 

 

一気に体を槍のようにして突撃してくる。

 

 

「「「きゃあああああ!!!」」」

 

 

 

一斉に突撃してくる分解の光に3人が目をつぶり…

 

 

 

次の瞬間、彼女達に襲いかかってきたアルカ・ノイズが全て破壊された。

 

 

「え…?」

 

「一体…何が…?」

 

 

突然の事態に状況を飲み込めない弓美と詩織。

 

そんな中、創世は上空の影を指差す。

 

 

「あ、あれ!!」

 

 

上空に飛んでいるのはヘリコプター。

 

その機体には『S.O.N.G』の文字が。

 

 

そして、3人の前にオレンジ色の粒子が集まり形となると、そこには3人の見知った顔がいた。

 

 

 

「ぱ、パララン!?」

 

目の前に立っているのはパラド。

 

以前と違うのは鋭い目つきと右手に緑のバグヴァイザーを装着していたこと。

 

 

「…怪我はないか?」

 

 

バグヴァイザーを構えた状態でパラドはバグヴァイザーについた二つのボタンを押す。

 

 

 

《キメワザ!》

 

 

ガシャットの発動より低く、異なる電子音声が鳴る。

 

 

「…随分とナイスタイミングな登場じゃない?」

 

ガリィの言葉を無視してパラドはバグヴァイザーのBボタンを押す。

 

 

《クリティカルジャッジメント!》

 

横薙ぎに右腕を払うと、バグヴァイザーから放たれる無数の緑の光弾がアルカ・ノイズを破壊してガリィに迫る。

 

 

「ちぃっ!」

 

ガリィは水の障壁でパラドの攻撃を防ぐが…

 

 

 

 

 

《ガッチャーン!》

 

パラドはバグヴァイザーをチェーンソーモードに切り替えて攻撃する。

 

 

「くっそ!こっちはお前と戦うほど暇じゃないんだよ!」

 

ガリィは右手に氷の刃を作り、バグヴァイザーに対抗するがチェーンソーによってあっけなく砕ける。

 

「はぁ!?」

 

 

パラドとガリィが戦闘を行う中、創世達の元に響達装者が駆けつける。

 

「みんな!大丈夫!?」

 

「ビッキー!?」

「響!」「立花さん!」

 

さらに、彼女達の前には翼、クリス、切歌、調が立つ。

 

 

「ここは我々が引き受ける!緒川さんは彼女たちを連れて!」

 

「はい!」

 

 

緒川が創世達を連れて脱出をしようとするが、アルカ・ノイズが邪魔をする。

 

 

「ふっ!」

 

《チュ・ドーン!》

 

しかし緒川の手には初代バグヴァイザーが装備されており、迫り来るアルカ・ノイズを問題なく殲滅して進む。

 

 

「何とか彼女達は救えたけど…」

 

 

マリアは周囲の惨状に顔をしかめる。

 

 

周囲には両手両足を分解され、すでに想い出を吸い尽くされた遺体が多く転がっている。

 

 

「だけど、まだ終わってない」

 

 

「デス!少なくともこいつら全部倒せば、まだ助けられる人はいるはずデス!」

 

 

響達は、同時にシンフォギアのペンダントを掴み、胸の唄を口にする。

 

 

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron…」

 

「Imyuteus amenohabakiri tron…」

 

「Killiter Ichaival tron…」

 

「Various shul shagana tron…」

 

「Zeios igalima raizen tron…」

 

 

5人は同時にシンフォギアを起動させ、戦装束をその身に纏う。

 

「さて、俺も初陣と行くか」

 

 

ガリィから距離をとったパラドは、持っていたガシャットギアデュアルを取り出してガシャットのダイヤルを右に回す。

 

 

 

 

 

《PERFECT PUZZLE!》

 

パズルのピースのようなエフェクトとともにゲームエリアが展開され、エナジーアイテムが配置される。

 

今までと異なるのは、他のライダーと違い『メダル状態のままで配置される』こと。

 

 

《What,s The Next Stage?What,s The Next Stage?》

 

待機音声が流れ、パラドはガシャットのボタンを押す。

 

「変身」

 

《デュアルアップ!》

 

 

青い戦士の描かれたパネルが出現し、パラドの体に被さる。

 

《Get the Glory in the chain!PERFECT PUZZLE!》

 

 

両肩には特徴的な青い装甲『マテリアライズショルダー』が装備され、リーゼントヘアを思わせるデザインのマスク。

 

 

将也が変身したライダーとは明らかに異なるデザインの仮面ライダーにパラドは変身した。

 

 

「はぁ?こないだと全然違う姿じゃない!?」

 

 

「あれが…パラランの変身した姿?」

 

「響達とは全然違うわね?」

 

「背中についてるのは…ダイヤルでしょうか?」

 

それぞれが印象を口にする中、パラドは宣言する。

 

 

「俺の名前は…仮面ライダーパラドクス!パズルゲーマーレベル50!」

 

 

 

《デュアル!ガシャット!》

 

 

 

右腰に備え付けられたギアホルダーにガシャットギアを装填するパラド。

 

 

 

「さあ、運命のパズルのスタートだ!」

 

――――――――――

 

 

パラド…否、仮面ライダーパラドクスは武器を持たないまま走り出し、アルカ・ノイズの懐に接近、回し蹴りで粉砕する。

 

 

「は、はえぇ!?」

 

パラドクスの動きが全く見えず、クリスは驚きの声を上げる。

 

 

「ハアッ!」

 

飛びかかるアルカ・ノイズの動きを読んでいるかのように、裏拳、手刀、右ストレート

と連続でアルカ・ノイズを砕いていく。

 

 

「凄い…あれがパラド君の戦い方…」

 

 

「流れるような動き…それにしても強すぎる…!」

 

 

パラドクスはガリィの後ろにあった『あるもの』に目をつける。

 

それは、巨大な氷山。

 

 

「あれは…!」

 

氷山の中には多くの人間が氷付けになっている。

水を操るガリィは、空気中の水分を操る力に長けている。

 

中には人が閉じ込められていない氷山もあり、ビルの入口を塞いでいる。

 

 

 

「まずは人質をできる限り救出する!」

 

 

 

パラドクスはまるですくい上げるように両腕を振るう。

 

 

すると、周囲に配置されたエナジーアイテムが目の前で集まる。

 

その数、およそ16枚。

 

 

「アイテムをかき集めた?」

 

マリアは、パラドクスの力で一箇所に集められたアイテムを見てあるゲームが頭をよぎる。

 

(あれって…まるで『パズルゲーム』…!そういうこと!)

 

パーフェクトパズルの能力。

それは肩に装備されたマテリアライズショルダーの能力でゲームエリア内のあらゆる物質を操る力。

 

複数のエナジーアイテムを集め、その中から最大3つまでを選んで同時に使い、新しい力として合成することができる。

 

 

「今回は…こいつだ!」

 

 

 

 

《高速化!伸縮化!マッスル化!》

 

3つのアイテムを獲得したパラドクス。

 

 

次の瞬間、その姿が消える。

 

 

「!?速い!」

 

調はパラドクスを探すが、次の瞬間10体ほどのアルカ・ノイズが吹き飛び、同時にビルを塞いでいた無人氷山が打ち砕かれる。

 

 

「ぜ、全然見えなかった!翼さんは見えましたか!?」

 

響は、突然のことでテンパった状態のまま翼に聞く。

 

「あ、ああ…一瞬だがパラドの腕がまるで鞭みたいに伸びて、アルカ・ノイズを吹き飛ばした…」

 

 

『高速化』で視認が難しいほどのスピードを出し、『伸縮化』でリーチを伸ばして相手をまとめて弾き飛ばす。『マッスル化』の影響でパワーが上昇しているためにほぼ一撃で仕留められた。

 

 

 

「複数のエナジーアイテムを組み合わせて、連続コンボで撃破する。それが『パーフェクトパズル』ってゲームさ」

 

 

不敵に立つパラドクス。

 

 

 

しかし、パラドの視界の端にはある数字が見え隠れしていた。

 

 

 

 

 

 

 

『480』。その数字を頭の隅に置いて、パラドは走り出す。

 

 

数字は、1秒ごとに一つずつ減っていった。

 

 

 

後編に続く。

 




後編は一時間後に投稿します。

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