戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士   作:狼牙竜

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今日は響の誕生日記念です!

同時に『あのライダー』の記念日でもありますが…


感想、評価が作者の力に変わります!!



立花響誕生日記念 永遠のLOVE SONG

とある日の朝、立花響は自室に置いてある真新しいドレッサーの前に座らされていた。

 

「え、えっと…未来さん?これってどういうことでしょうか…?」

なぜか敬語で後ろの未来に話しかける響。

それもその筈、響は今上下ともに下着姿のまま椅子に縛られていたのだ。

 

「もう、動かないで響…せっかく将也君とのデートなんだし、今日の響は私がキッチリコーディネートしてあげるから!」

楽しそうに指と指の間にメイク道具を挟む未来はノリノリで答える。

 

 

本日は9月13日。響の誕生日である。

因みに平日だが、適当な理由を付け未来は自分と響が欠席すると学校に伝えている。

 

その理由は響が将也と誕生日デートを行うためだった。

余談だが、デートの後は将也の部屋を借りて誕生日パーティを行う予定である。

 

「メイクはこれでよし!響は元がいいから、あんまり派手な化粧は逆効果だよね」

メイク道具を片付けた未来は響の拘束を解く。

「いやいや、別に縛る必要は無かったんじゃない!?」

そう言いながらも響は未来が用意した私服の中から彼女のオススメを手に取る。

 

 

「んー…響、これなんてどう?」

未来が響に見せたのは、とっておきとして未来が響のために購入していた白をメインにした薄手の上着と、響のイメージカラーである黄色をベースにしたやや長めのふんわりとしたデザインのスカート。

 

 

「ええ!?こ、これは可愛すぎて私には似合わないんじゃないかな~…」

少し躊躇う響だが、未来はずいっと響に顔を寄せる。

「そんなことないよ。響は可愛いから、自信持って!」

「う、うん…」

未来に押し切られる形で、響は渡された服に袖を通した。

 

 

――――――――――

 

 

待ち合わせ場所で、将也はいつもの派手なTシャツではなくパラドや弦十郎から勧められた服に着替えて待っていた。

 

 

「将也君!お待たせ!」

待ち合わせ場所に走ってきた響のいつもと違う服装に将也は照れくささを感じたものの、表情に出すことはなかった。

 

「響、今日は随分気合入れてきたね?」

「うん!だって今日はずっと楽しみにしてたから!行こう!」

響は将也の手を握ると、早速歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上機嫌で歩く響は、手を握るどころか将也と腕を組みながら歩く。

今回訪れたのは切歌達と度々訪れていた水族館。

 

因みに今日のデートコースは水族館の後、将也行きつけのゲームセンターなどを巡る予定である。

 

 

「ねえ見てみて将也君!あのクジラ、こっち見たよ!」

鯨の水槽に大興奮の響。

 

この水族館は何度か他のメンバーとともに訪れたことはあるが、響と2人っきりで来るのは今日が初めてである。

 

いつも以上に元気な響だが、活発なイメージのある彼女が今日は可愛らしい服装をしているので、ギャップが大きい。

 

 

――――――――――

 

 

 

「あー、楽しかった!!」

上機嫌な響と、横を歩く将也。

 

2人が次に訪れたのは、将也行きつけのゲームセンターだった。

 

 

 

「さて響。今から一つでも僕を越えるスコアが出たら、何でも言うことを一つ聞くよ?」

その言葉に、響の目が一瞬だがキラリと光った。

 

「…なら、私も本気を出すよ!」

最初にトライしたのは、野球のバラエティとかでよく見るストライクアウト。

 

「よーし!」

響は気合を入れてボールを投げるが、長めのスカートが僅かだが翻ったため将也は顔を背けていた。

 

 

 

結果。響は9枚中7枚まで成功した。

「あああ~!もうちょっとだったのに…!」

ガックリと肩を落とす響だが、将也は軽く腕を回す。

 

 

「さて、久しぶりに投げるけど…」

将也は思いっきり振りかぶると、右下、右上、左上、左下の順番に的に当てる。

最終的に将也はパーフェクトでクリアした。

 

「う、嘘ぉ…」

響もこの結果には驚いている。

 

 

「響には言ってなかったっけ?僕、高校まで野球の助っ人とかやってたんだよ。今でも知り合いの先輩に誘われて地元チームのコーチとかしてるし」

「え!?そうだったの!?」

響は意外な形で将也のプライベートを知ることになり思わず叫んだ。

 

 

そして響が次に選んだのは、彼女の十八番でもあるパンチングマシーンだった。

「よし…これなら…!」

 

響はグローブをはめてフッと息を吐き…

 

「てええりゃああああ!!」

ガングニールを使って鍛え抜いた拳で、マシーンを破壊してしまった。

 

 

 

 

「「……………あ」」

 

――――――――――

結局、あの対決はノーカンとなってしまった。

 

その後、店長からガッツリ怒られた響と将也はゲームセンターを退店し昼食として近くにあった少し立派なハンバーガーショップで食事をしていた。

 

「なんか、ごめんね?将也君にも迷惑かけちゃって…」

さっきのこともあってか落ち込み気味の響。

 

 

「まあ、店長さんも次は気をつけてくれればいいって言ってくれたし…次に来たら2人で謝ろう?」

「うん…」

表情が晴れない響だが、将也は響を元気づけようと彼女の頭をそっと撫でる。

ワンパターンと言われそうだが、響にはこれが一番効くと将也は知っているのだ。

 

「そんなに落ち込んだ顔してると、せっかくのデートが台無しだよ?」

「うん…そうだね…!」

顔を上げた響は、ようやくいつもの顔に戻る。

「じゃあ、次のプランを考えて…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?もしかして立花さんじゃないの?」

後ろから聞こえた声に、響は思わず肩が震える。

 

そこに立っていたのは響と同年代らしい少女達。

しかし派手な化粧や露出の多い服装など、お世辞にも良い印象は抱けそうになかった。

 

 

その中でリーダーらしき少女は響と顔見知りらしい。

「…管雫…さん…?」

 

 

――――――――――

 

 

「へー?じゃあ立花さんの彼氏、今はあのおっきな病院のお医者さんなんですかー?」

ほぼ無理やり他のテーブル席に連れてこられた響と将也。

その中でも将也は少女達に質問攻めされてた。

 

 

「いいなー。立花さん、中学卒業してからリディアンの方に行っちゃったし、中々会えなくなっちゃったけど、しばらく見ないうちにこーんな素敵な彼氏見つけてたんだー?」

やたらと間延びする、まるでキャラを作っているかのような喋り方が特徴的な少女、管雫。

 

彼女は響に質問しながら将也に対して少しづつボディタッチをしており、将也はやんわりとそれを拒否するといった状況になっていた。

 

すると、将也の持つスマホから着信が入る。

「!ちょっとごめんね?仕事先の人からだから」

「はーい!少し待ってまーす!ね?皆」

「「「「はーい!!」」」」

複数の女子達も一斉に手を挙げ、苦笑いしながら将也はその場から離れる。

 

 

 

 

 

 

少女達に連れてこられたテーブルから離れた将也は、物陰から彼女達、そして響の様子を伺いつつ電話に出る。

 

「急にメッセージ飛ばしてごめん。でも、さっき送った内容に関してなんだけど…」

『うん。管雫さんのことだよね?』

電話に出たのは未来だった。

 

将也はさっきの響の様子が幾分か強張っていたのを感じていた。

もしかしたらあの管雫という少女と響の関係性は決して良いものではないかも知れないと考え、将也は未来に『カンダという女の子と響が会った。何か問題があったら電話をして欲しい』と席を立つ直前にメッセージアプリを使い未来に送ったのだ。

 

 

 

 

『ハッキリ言うとあの管雫さん、ライブ事件の後に響をイジメてた人達の一人だよ』

それでようやく合点がいった。だとしたらあの響の反応も至極当然かもしれない。

 

『響はあの性格だから他の男の子にそこそこ人気があったんだけど、あのライブの後はみんなから爪弾きにされちゃって…管雫さんは響の事を前から嫌ってたみたいだから、事件を理由にして響のことを傷つけてた…』

それは単なる嫉妬だったらしい。

優しい性格だった響はそれなりに人気があったが、一部男子には管雫より響の方が好きだという人が何人かいたらしく、それが我慢ならなかった。

 

事件が発生し、世間はノイズ災害から生き残った人をバッシングし始めた。

それに便乗した管雫は時に仲のいい生徒を使い、時には自分から響に対して陰湿なイジメを行うようになった。

 

 

「だとしたら、早めに離れることにするよ。悪いな未来、少し早い帰りになるかも」

『わかった。将也君も響のこと、よろしくね?』

通話を終えた将也は席に戻るが、響の様子がおかしいことに気づいた。

 

 

「あー!遅いよー!」

管雫が将也に声をかけ、続けて話しかけてきた。

「そういえば将也さんは知ってる?立花さんの中学時代のこと?」

 

管雫は楽しそうに将也にもたれ掛かりながら話を続ける。

 

 

 

 

 

 

「この子ねー、昔沢山の人を見殺しにして逃げたんだよー!信じられなーい!!」

周囲の少女達からも同意するような声が聞こえ、響はますます俯いていく。

 

 

「信じられますぅ?立花さんったらそのせいでお父さんも蒸発して、家にはすんごい沢山のアートが描いてあったんですよ!ホラホラ!」

 

管雫はスマホを取り出すと過去に撮ったであろう写真を見せつける。

そこには、響の家の塀に大量の落書きが描かれている画像だった。

 

「今だとみんなが可哀想とか言うけど、自業自得だよねー?」

 

「こんな子と一緒にいると、将也さんも大変ですよー?人殺しを彼女にするとか、マジありえないですし!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉を聞いて、将也は立ち上がると響の手を握り席を立った。

 

「あ、あれ?もう帰っt「悪いけど…!」…」

 

 

 

 

 

「今の僕にとっては貴女達と一緒に下らない会話をするより、響と今日を幸せに過ごす方がよっぽど有意義だから失礼します」

「なっ…!?」

 

将也の言葉にキレ気味になった管雫が何か言おうとするが、将也はバグスター達との戦いでしか見せない鋭い目で管雫を睨む。

 

 

「言っておきますが…僕は響の過去も、彼女が貴女達から受けた迫害も全て知っています。それを知った上で、僕は響と恋人になったんです!」

響を抱き寄せながら将也は管雫を睨む。

 

「貴女達が、立花響の何を知っているんですか?一方的にイジメを行って、彼女の心を傷つけて笑うような人は…僕がこの世で一番嫌いな人種です」

氷のように冷たい目で睨むと、将也は響を連れてその場から退店した。

 

 

 

 

 

その後、管雫は将也や響への仕返しとばかりにスマホに保存していた響にまつわる情報や画像を拡散しようとしたが突如スマホがバグり、画像データが全て削除されたという…

 

 

その裏には、未来と繋がりのある一人の男の暗躍があったとか…

 

――――――――――

 

帰り道、管雫から離れたことでホッとしたのか泣き始めた響。

将也の腕の中に飛び込んだ響はずっと泣き続けていた。

 

 

「…ごめんね、将也君」

「…何が?」

響は将也の手を握りながら歩く。

 

「私と一緒にいたせいで、嫌な思いさせちゃって…」

響の涙をハンカチで拭う将也。

「響が気にすることじゃないよ。むしろ、あの時目を離しちゃって…こっちが謝るべきだよ」

「そ、そんなことないよ!私のせいで、迷惑かけたみたいだし…」

 

 

ゆっくり歩く中、響はポツリと話し始める。

「私ね…怖かったんだ。管雫さんに昔のことを言われて、周りの人達からの目が気になって…」

父親とも和解して、幾分かトラウマは和らいでいた響だが、完全に払拭されたわけではない。

 

「私のせいで、将也君まで嫌な目にあったりしたらって考えると…っ!?」

どんどんマイナスな考えに沈んでいく響だが、その言葉は途中で途切れる。

 

 

 

 

何故なら、将也が響を強く抱きしめていたからだ。

 

 

 

「響………僕はね、君に出会えたことを心から感謝してるんだよ。あの日、君は僕に対して手を伸ばしてくれた。君がいなかったら僕は、もう生きていなかったと思う」

響は昔から優しい性格の少女だ。誰かの痛みを理解しようとし、傷ついている人へ手を差し伸べることができる。

彼女のガングニールは、まさにその在り方を体現している。

 

 

「約束だよ。僕は何があっても、一生響のそばにいる」

響は嬉しさと気恥ずかしさが混じり合い、将也の胸元に顔を寄せる。

 

 

 

 

「じゃあ………約束の証拠を…」

響は顔を上げ、将也と顔が近づき…

 

 

 

 

そっと唇を重ねた。

 

「…やっぱり、何度キスしても慣れないね…」

響は将也から一度離れ、再び手をつなぐ。

 

 

「響…」

「何…?」

将也は響に対して小さな箱を手渡す。

 

「この世界に生まれてきて…僕と出会ってくれて、ありがとう」

 

 

箱の中に入っていたのは、シルバーの指輪。

 

 

 

「これって…」

響は受け取ったプレゼントを、大事そうに眺めていると…

 

 

 

 

 

 

 

「もう!響も将也君も遅いよ!」

突然聞こえた未来の声に、響と将也は驚く。

どうやら、すでに目的地である将也の家へと着いていたらしい。

 

「将也、響!もうパーティの準備は出来てるぞ!」

「わかった!今行くよ!」

パラドの声に返事をし、将也と響は歩き出す。

 

 

(大丈夫…響は、何があっても一人にはさせない)

(ありがとう、将也君…やっぱり、将也君は私にとって…)

 

予想外のハプニングもあったが、その中で互いの心を改めて確かめ合った響と将也。

 

夕暮れの中、2人の手はしっかり握り合っていた。

 

 

 




HAPPY BIRTHDAY!響!!

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