戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士   作:狼牙竜

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何とか書けました、翼の誕生日記念!

急いで書いたので少し短いですが、ご了承ください…
19話の後編は、何とか土日には投稿する予定ではあります。


感想、評価が作者のモチベーションにつながります!

OP UNLIMITED BEAT
挿入歌 Beyond the BLADE
ED 空へ…


風鳴翼誕生日記念 防人とKNIGHT!

「ん………」

朝、風鳴翼は日本の自宅で目を覚ます。

 

つい2日前までロンドンで公演していたが、今日は彼女にとって大事な日なので帰国直後から仕事を片付け、無事に休みを取ることができた。

 

「あれ……宝条…?」

ふと、昨晩一緒に寝ていたはずの恋人の姿が見えず困惑するが、リビングの方からいい匂いがしてドアを開けると…

 

 

 

 

 

「おはよう、翼」

 

青いエプロン(ブレイブとゲーマ達が刺繍されたバージョン)を着た将也が朝食の準備をしていた。

「ああ…おはよう」

 

――――――――――

 

本日、5月25日は風鳴翼の誕生日。

そのため、多少の無理を通してでも休みを取ったのだ。

 

「で、今日の誕生日デートはどこに行きたいの?」

朝食を食べ終え、食器を洗いながら将也が聞く。

 

「そうだな…」

実は、互いに今日のデートは何のプランも決めていない。

だが、翼は以前からやってみたかったことを口にした。

 

 

「普通に出かけてみたいな…将也と、一緒に」

普通に街を2人で歩き、買い物や食事をする。

 

一般的なデートのプランだが、付き合ってからそういったことをしたことは未だなかったりする。

 

「オッケー。すぐ準備するから、翼もしっかり変装くらいはするんだ

よ?」

 

 

「ああ。わかっている」

 

 

 

――――――――――

 

町中を歩く、将也と翼。

帽子に眼鏡と、ありきたりな変装だが意外と効果的で道を歩いていても誰も翼だと気がつかない。

 

そんな中、翼は将也と腕を組んで密着するといういつもならば考えられない行動を取っていた。

 

「案外、誰も気がつかないな…」

「あ、ああ…」

以前響や未来と一緒に出かけたことのある翼だったが、あの時も気づかれることはなかった。

が、将也は密着してくる翼に内心パニック状態だったりする。

 

小さくても、翼はそれなりにあるのだ(あえて何が、とは書かないが)

 

 

 

 

「で、翼の行きたい場所は?」

「えっと………」

翼は面白そうなものが無いかと辺りを見る。

 

すると、あるものが目に留まった。

 

「あれは…」

目にしたのは、将也行きつけのゲームセンター。

 

ルナアタックの直前に響達と遊びに行き、魔法少女事変解決後にエルフナインを連れてみんなで遊びに行ったがそれっきりだった。

 

「翼、もしかしてあのゲーセン?」

「あ、ああ…少し、気になることを思い出してな」

ゲームセンターに入る将也と翼。

 

その中から翼はある格闘ゲームの筐体まで歩き、将也はそのあとを付いていく。

 

「やっぱり、そうか…」

翼が見たのは、そのゲームのハイスコア。

 

 

1位を取っていたプレイヤーのネームは『KANADE』と表示されていた。

 

「この名前って…もしかして奏さんのこと…?」

「ああ…以前来た時、立花に連れてこられるより前に来たような気がしてな」

 

まだツヴァイウィングを結成してまもない頃。

ゲームなどを殆どしたことの無かった翼は、天羽奏にあちこち連れ回されていたことがある。

その時、奏が目の前のゲームで出したスコアは、あれから数年経ってもまだ残っていたのだ。

 

 

「……やってみるか…」

 

――――――――――

 

 

二つの筐体をはさみ、対戦を続ける将也と翼の2人。

「ふっ!てやっ!どうだ!」

 

将也が操作する格闘型キャラが武器のハンマーで翼のキャラを攻撃するが、翼は負けじとキャラの武器である刀で応戦している。

 

「やるじゃん、翼」

「いつまでも負けたままなのは嫌な性分でな!」

白熱していく2人の戦いに、ギャラリーも集まっていく。

 

 

「おい、あれってゲーマーMじゃないか!?」

「ここんとこ見なかったけど、あのキャラであそこまで戦えんの凄ぇな!」

「ってか戦ってる女、風鳴翼に似てなくね?」

 

そんなギャラリーの声も聞こえていない2人は、互いに必殺技コマンドを入力。

 

「これで…」

「私が、勝つ!」

 

 

互いの必殺技がぶつかり…

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

 

昼食。少し落ち込む翼は注文したハンバーガーを食べていた。

 

「まあそう落ち込むなよ翼。ってか負けたら負けたで僕が結構凹む」

一時はプロゲーマーも進路に考えていただけあって将也のゲームの腕前は超人じみている。

 

パラドと一体化していた影響もあるが、それ以上に将也はゲームの腕前において自信があり、それが仮面ライダーとしての戦いにも僅かながら繋がっている。

だからこそ、あまりゲームをしないはずの翼とここまでいい勝負ができたことに驚いていたのだ。

 

 

「ずっと練習していたんだが…やっぱりまだ将也には届かないか…」

この日のためにゲーム関係のバラエティにもいくつか出演してゲームに慣らしていたつもりだったが、あと少しの差で届かないことが翼としては悔しかった。

 

 

「でも、一人プレイではちゃんと奏さんのスコア抜いたんだし、よかったんじゃない?」

「まあ…そうかもしれない…」

 

昼食を食べ終え、次はアクセサリーなどを見て回る2人。

以前は興味がなかった翼だが、将也と恋人同士になってからはそういったことに気を使うようにはなっている。

 

相談相手は主にマリアだが、ギャラルホルンというトンデモ聖遺物の力を使って並行世界で生きている奏に相談を持ちかけることもあったりする。

余談だが、そういった相談を奏に持ちかけるたびに姉が妹の成長を喜ぶような目で頭を撫でられるのは、翼としては中々慣れないものだったりする。

 

 

「やっぱり、よくわからないな…」

改めて、これまで戦いしかしていなかったことを思い出す翼。

 

(だが…)

翼は横で歩いている将也の姿をじっと見つめる。

 

 

 

(せめて、今日だけは戦いのことを忘れても、いいのかもしれない…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

が、そういった時に限って物事は上手くいかないものだ。

 

「誰か!誰かうちの子を助けてください!」

突然聞こえる、悲痛な女性の声。

 

 

将也と翼は急いで現場まで向かう。

 

「どうかしたんですか!?」

2人が到着すると、そこには肩まである栗色のロングヘアが特徴的な女性が、同じ髪色の少女を抱き抱えていた。

 

 

「ほ、宝条君!?」

「こ、琴子さん!?」

 

どうやら顔見知りらしい2人に、翼は戸惑う。

 

 

「将也、この人は?」

「あ、ああ。琴子さんって言って、CRを設置してもらってる病院のナースさん」

 

院内ではよく世話になっている先輩だが、どうやら彼女の娘が倒れたらしい。

 

「で、何があったんですか?」

「さっきまで一緒にいたんだけど、急に倒れて…体の状態と高熱もあるし、ひょっとしたら…」

将也は少女の顔を覗き込む。

 

すると、彼女の顔にはゲーム病特有のノイズが走っていた。

 

「ゲーム病か…!」

将也はレベル0の爆走バイクガシャットを起動させ、少女の発症を抑える。

 

「琴子さん。今からゲーム病の緊急オペを行いますので、バグスターと娘さんの分離が確認でき次第娘さんに呼びかけ続けてください」

琴子が頷いたのを確認した将也は素早くゲーマドライバーを装着し、キメワザスロットホルダーのボタンを押す。

 

《ステージ・セレクト!》

 

街中からどこかの学校のグラウンドに場所が変わり、少女からバグスターが分離する。

 

「この娘が消滅したとき、我が身は完全体へと至る!」

実体化したのは、ギリギリチャンバラのバグスターであるカイデン。

 

「琴美…!」

琴子は娘の名前を必死に呼びかけているが、琴美の体は既に消滅が始まりかけている。

 

 

 

「一刻も早くオペを終わらせよう…翼!」

「ああ…!」

翼は天羽々斬を握り、将也は白い大理石のような意匠があるガシャットを取り出す。

 

 

《タドルレガシー!》

将也の後ろにゲーム画面が開き、将也は右手から左手にガシャットを持ち替える。

 

「Imyuteus amenohabakiri tron…」

「術式レベル100、変身!」

翼のシンフォギアが戦装束へと変化し、将也はガシャットをゲーマドライバーに装填、レバーを開いた。

 

 

《ガッチャーン!レベルアーップ!》

正面にゲートが開き、将也は扉を開けるような動作をしながらゲートをくぐる。

 

《辿る歴史!目覚める騎士!タドルレガシー!》

仮面ライダーブレイブ・レベル2に変身するとブレイブの周囲を純白の『レガシーゲーマ』が旋回し、ブレイブの上半身と合体する。

 

将也は白をメインカラーとした、聖騎士のような姿の『仮面ライダーブレイブ・レガシーゲーマーレベル100』へと変身した。

それと同時に、天羽々斬を装束として纏った翼は胸のマイクユニットに手をかける。

 

それは、彼女達が持つ短期決戦のためのジョーカー。

 

 

 

「イグナイトモジュール…抜剣!」

力強く叫び、マイクユニットを起動させるとユニットは自動的に浮かび上がり、血のような紅い輝きを放ちながら翼の胸へと突き刺さる。

どす黒いオーラに包まれるが、翼の持つ心によってその闇は完全に制御さ

れ天羽々斬に新たな姿を与えた。

 

 

全体的に黒く、刺々しい『イグナイトモード』へと変化した翼は、アームドギアの刀を構える。

 

 

「これより、カイデンバグスター切除手術を開始する!」

ブレイブもガシャコンソードを召喚し、翼と共に並び立った。

 

 

 

(BGM Beyond the BLADE )

 

「いざ、参る!」

カイデンが刀を構えると、翼とブレイブは同時に走り出す。

 

「セエアッ!!」

翼が左から刃を振るが、カイデンはそれを避ける。

 

「ぬうん!」

力強く振るわれるカイデンの刀を受け流し、その隙を突いてブレイブがガシャコンソードを突き出す。

 

「はあっ!」

レベル100の力によって10倍まで破壊力の増したガシャコンソードは、カイデンに大きなダメージを与える。

 

「ぐあっ!ぬううっ!」

さらに、今度は翼の攻撃とカイデンは反撃の隙を見つけることができない。

 

「「デエアアッ!」」

 

翼とブレイブ、2人の刃がカイデンを吹き飛ばす。

「グウウゥッ!こうなれば!」

カイデンはもう一本の刀を引き抜き、刃を合わせる。

 

 

「一撃必殺の刃…ハアアッ!」

2つの必殺の斬撃が飛ばされるが…

 

 

 

「ふっ!」

Bボタンを押して威力を高めたガシャコンソードによってあっさりと破壊され…

 

 

 

「テヤアッ!」

翼が放った『蒼ノ一閃』によって相殺されてしまう。

 

 

「ば、馬鹿な!?我が必殺剣が!」

狼狽するカイデンだが、翼は脚部のスラスターを使って飛び上がり、ブレイブはキメワザスロットホルダーにタドルレガシーのガシャットを装填。

 

《キメワザ!》

背中に天使のような羽を広げ、飛び上がると必殺の一撃を同時に放つ。

 

 

「てえええやあああああ!!!」

翼は脚部のブレードを展開し、炎を纏わせた状態で高速回転しながらカイデンを切り裂く。

 

『羅刹 零ノ型』

「うがあああああ!?」

全身を襲う激痛に悲鳴を上げるカイデンだが、彼が最後に見たのは天使のような羽を持った聖騎士の姿。

 

 

 

「ハアアアア!!」

 

《タドル!クリティカルストライク!》

 

『TADDLE・CRITICAL・STRIKE!!』

白い光を纏ったブレイブのキックが直撃し、悲鳴を上げることすらなくカイデンは消滅した。

 

 

 

 

《会心の一発!》

 

《ゲーム・クリアー!》

 

――――――――――

 

それから1時間後、将也と翼は感染者だった少女、琴美の治療が完了したことを母親である琴子に伝え、その場を去った。

 

「いや~、一時はどうなるかと思ったけど、すぐに治療できてよかったよ」

「ああ………だが、流石にあのまま買い物できる雰囲気では無かったな」

 

 

すぐにステージセレクトしたとはいえ、ゲーム病発生などで軽い騒ぎになったこともあり2人はそのまま帰路を歩いていた。

 

(…何か、この前も似たようなことがあったよな)

そんなことを考えていると、翼がふと立ち止まる。

 

 

 

「翼…?」

 

 

 

「将也。少なくとも、私は今日というこの時間が楽しかったよ」

 

振り返り、笑顔で語る翼。

 

 

(BGM 空へ…)

人がいないために変装を解いた、翼の笑顔は思わず将也が見とれるほどに美しかった。

 

「私は、将也とふたりっきりでいられたこの時間がたまらなく幸せだ。だから…」

翼はギュッと将也の手を握る。

 

 

「これからも、ずっと一緒にいてください」

「…うん。約束する」

仲良く歩いていく2人。

絆の固さを示すように、2人の手はしっかりと握り締められていた…

 

 

「翼…」

「何?」

 

将也は、あらかじめ持っていたプレゼントの箱を翼に手渡す。

 

「これは…」

箱の中に入っていたのは、シルバーの指輪。

 

「色々あってバタバタしてたけど…誕生日、おめでとう」

指輪を受け取り、翼は笑顔がこぼれる。

 

 

「将也…せっかくだからこの指輪、将也に付けてほしい」

 

「翼…わかった」

将也は翼の手を取り、そっと指輪をはめる。

 

 

「ありがとう…私は間違いなく、今一番幸せだよ」

指輪を見つめながら、翼は改めて心に誓う。

 

 

この、誰かの為に必死で戦い続けてきた最愛の人の、力になりたいと。

 

「翼………

 

 

ハッピーバースデイ」

 

 

世間では凛々しい歌姫の、風鳴翼。

 

これは、そんな彼女が大事な人にしか見せない優しい笑顔の物語であった…

 

 

 

 

 

 

 

HAPPY BIRTHDAY!TSUBASA KAZANARI!

 

 




今回のゲスト、知ってる人は案外少ないと思います…


そして…誕生日おめでとう、翼さん!



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