戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士   作:狼牙竜

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お待たせしました、今回は特別編です。

世界観は本編とは関係なく、XDU時空の世界観となっています。

未来のバースデーは果たしてどうなるのか…


OP UNLIMITED BEAT
挿入歌 Real Game
ED 永愛プロミス



番外編シリーズ
番外編1 陽だまりのBIRTHDAY!


11月7日。

 

授業を終えて小日向未来は親友の立花響に声をかける。

 

「響!今日はこの後…」

「ごめん未来!さっき師匠から呼び出しくらっちゃって!」

 

 

申し訳なさそうな表情で謝ってくる響。

 

流石に弦十郎からの呼び出しとなればS.O.N.G関係…恐らく、何らかの重要な話だろう。

 

 

「そっか…でも、なるべく早く帰ってきてね?」

 

「うん!それと…」

 

 

響は何か考え込むような仕草をする。

そして…

 

「今日の誕生日デートの埋め合わせ、パラド君に頼んでるから!」

 

 

 

 

 

「え…?」

 

――――――――――

 

パラドと未来は割と仲がいい。

 

 

かなり無茶をする親友がいる、親友のフォローに回ることが多いなど、何とも共通項が多いのもあり、響の都合が付かないときはよく一緒にゲームなどして遊んでいる。

恐らく、未来の顔見知りの男性の中で一番話しやすい相手だとは思っている。

 

 

 

「未来!待たせた!」

 

 

待ち合わせ場所に現れたのは、S.O.N.Gの制服ではなくいつもの黒いコートを着たパラ

ドだった。

 

 

「パラド君!急にごめんね、響の頼みとはいえ…」

 

「いいや、気にすることないって」

 

 

パラドは、未来の手を掴む。

 

 

 

「ちなみに、予定としてはどこ行くつもりだったんだ?」

「えっと…新しい冬用のコートを探すつもりだったんだよね。良かったら一緒に探してくれる?」

 

「お安い御用だ」

 

 

パラドと未来は共に歩き出していく。

 

 

―――――――――――

 

あらかじめ未来が目星をつけていた服屋で、パラドと未来は冬用のコートを探す。

 

 

未来が見つけたのは、紫をメインカラーとしたシンプルなデザインの物。

 

反対に、パラドが見つけたのは白をメインカラーとした、どこかパラドのコートに似たようなデザイン(流石に、彼のと違い袖の長さは左右同じだが)。

 

 

「えっと…これで、どうかな…?」

 

 

未来は最初に自分で選んだ方のコートを試着する。

 

元々彼女が使っていたシンフォギア『神獣鏡』は紫をメインカラーとしていただけに、未来としてはしっくりくる色合いだった。

 

 

「うん…今の未来も悪くはないけど…」

 

 

パラドは持ってきた白のコートを手渡す。

 

「次はこっちも着てみる?」

 

「う、うん…」

 

 

未来はパラドから渡された白いコートに袖を通す。

 

 

 

 

 

「ど、どう…?」

 

 

先程までの暗めのイメージとは異なり、白をメインカラーにした未来。

 

 

彼女がいつも付けている白いリボンも相まってシンプルだが未来の持つ可愛らしさがより強調されるようになった。

 

 

 

「………」

 

 

「えっと……パラド…?」

 

以前、並行世界を渡った際に未来は一時的に神獣鏡を取り戻してエクスドライブまで至ったことがあるが、案外未来には白をメインにしても結構似合っている。

 

 

 

「あ…!そ、その…すごく可愛い…」

 

 

「あう……//」

 

同年代の男性と関わったことが少ない(弦十郎達は大人であるため)こともあり、ストレートなパラドの言葉に思わず赤面する未来。

 

 

 

因みに、ここは店内である。当然…

 

 

 

 

 

 

 

 

(甘い!甘さが爆発しすぎている!)

 

 

周囲の買い物客及び店員は2人の甘ったるい空気に悶絶していた。

 

 

――――――――――

 

 

その後、未来は予算の問題からどちらか一つを買おうとしたが、何とパラドが両方購入した。

 

曰く、いつものお礼とのことだ。

 

 

補足すると、パラドはS.O.N.G以外にも仕事の場を設けている。

 

 

政府がシンフォギアの事を秘匿するために作り上げたテレビアニメ『快傑☆うたずきん!』の30分前から放送している新作特撮ドラマ『サイバードクターエクス』で登場するゲームのアイデアを捻出しているのだ。

 

 

 

「さて、予定は済んだけど…」

 

 

パラドは腕時計を見ながらこのあとの予定を考える。

 

流石に予定の時間よりははやく、今帰るのは得策ではない。

 

 

そんな中、パラドはある一軒の店を見つける。

 

 

 

「未来!ちょっと待っててくれないか?」

「え?わ、わかった…」

 

パラドは荷物を持ったまま歩き出し、未来はパラドが戻ってくるのを待つことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…まさか、パラドと一緒に出かけることになるなんてね…」

 

 

今年の夏、魔法少女事変から知り合い、いつの間にか一緒にいることが多くなった。

未来にとって一番大事なのは親友の立花響。

 

だが、さっきまでパラドと手をつないでいたことを思い出す。

 

 

 

思い返せば、パラドはいつだって未来に力を貸してくれた。

 

 

 

 

数週間前、完全聖遺物『ギャラルホルン』によって繋がった並行世界。

 

 

そこにいたのは、未来と離れ離れになり他者を信じられなくなった響…たどっていた可能性の一つが存在した。

 

自分達の世界の響が、並行世界と繋がった影響で負の感情に苦しんでいたために未来は2人の響を救いたいと願い、並行世界の神獣鏡をその身に纏った。

 

その際、戦闘経験のない未来のサポートをしたのがパラド。

 

 

以来、未来とパラドの距離感は一気に近づいていた。

 

 

 

(…もしかして、私は…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如、未来の近くにいた子供が倒れる。

 

「え!?」

 

子供は、10歳ほどの少年。

しかし、彼の体からはバグスターウイルス特有のノイズが走っている。

 

「だ、大丈夫!?」

 

未来は将也から預けられていた予備のゲームスコープを取り出し、少年にかざす。

 

 

「やっぱり…!ゲーム病…」

 

表示されていたのは、ライオンのような怪物の顔。

 

 

『ナイトオブサファリ』に登場するバグスター『サバイバー』だった。

 

「う…うあああああ!!」

 

 

少年の体からバグスターウイルスが分離すると、ライオンの頭に像の左腕、サイの右腕にコウモリの羽、ワニの尻尾といった様々な動物の特徴を併せ持ったキマイラのようなバグスターが実体化する。

 

 

 

「感染者よ…俺と一緒に来てもらおう!」

 

 

サバイバーは街中であるにも関わらず少年に襲いかかる。

 

 

 

 

「危ない!」

未来は咄嗟に少年の手を掴み、サバイバーから助け出す。

 

――――――――――

 

 

少年を背負いながら未来はサバイバーから逃げ続けていく。

 

「このままじゃ…!」

 

未来はS.O.N.Gから預けられている通信機を使い、響に連絡する。

 

「響!こっちにバグスターと感染者が!」

《未来!?もしかして、今追われてる!?》

 

 

 

その時、サバイバーが後ろから尻尾を伸ばして攻撃。

 

咄嗟に避けるが、通信機を落としてしまう。

 

 

「そんな…!」

 

助けを呼ぶ手段が無くなってしまい、焦る未来。

 

(どうすれば…)

 

 

だが、今背負っている感染者の少年を思い出し、何とか立ち上がる。

 

(せめて、この子だけでも助けないと…)

「大丈夫…絶対に助けが来るから…」

「うん…」

 

 

ゲーム病の症状である高熱で苦しそうな表情を浮かべる少年。

 

 

今は、すこしでも逃げ続けなければならない。

 

 

 

 

「どこにいる!?」

 

サバイバーの声が聞こえてくる。

 

 

「!まずは、ここから離れましょう!」

未来と少年はサバイバーから逃げ出した。

 

 

――――――――――

 

「はあ…はあ…」

 

サバイバーから逃げ続け、未来と少年はどこかの廃工場に辿り着く。

 

 

「まさか…今日に限ってこんなことになるなんてね…」

 

 

誕生日にバグスターに襲われ、命の危機になるとはとんだ誕生日になったものだ。

 

 

だが、少なくとも誰かの命を救えることに後悔はない。

 

 

 

「何とかしてパラドと連絡を取らないと…」

 

スマホを取り出してパラドの番号にかけるが、繋がらない。

 

 

サバイバーが登場するゲーム『ナイトオブサファリ』は猛獣を狩るか猛獣に狩られるかのハンティングゲーム。

敵を逃がさないトラップのような力がゲームエリアに働いているのかもしれない。

 

 

「ごめんなさい…お姉ちゃん…」

少年が涙を流す。

 

「ううん。君が悪いんじゃないもの。それに…」

ハンカチで少年の涙を拭く。

 

「私の友達は、こういう時には必ず助けに来てくれる」

 

 

 

 

 

すると、工場の扉が蹴破られ、サバイバーが侵入してくる。

 

「ようやく見つけたぞ…!」

 

 

少年の前に立つ未来。

 

数週間前まで持っていたシンフォギアは今は存在しない。並行世界の風鳴弦十郎に返したためだ。

 

 

(例え、ギアが無くたって…!この子だけでも助けてみせる…!)

「逃げて…はやく!」

 

 

 

未来の言葉に頷いて走り出す少年。

 

 

「無駄だ!」

サバイバーが腕を振ると、周囲からアサルトライフルを構えたバグスターウイルスが出現する。

 

 

「そんな…」

絶体絶命の危機。

 

 

「さて、大人しく付いてきてもらおうか…?」

ゆっくりと距離を縮めるサバイバー達。

 

 

(もう…ここまでなの…?)

 

 

 

 

 

未来が諦めそうになったその時…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「諦めんのはまだ早いぜ、未来!」

 

突然、どこからともなく飛んできた弾丸に打ち抜かれるバグスターウイルス。

振り返るとそこには…

 

 

 

 

 

 

 

「待たせたな、未来」

 

専用武器『ガシャコンパラブレイガン』を握ったパラドが立っていた。

 

 

「パラド!」

未来と少年の前に立つパラドはゲーマドライバーを装着。

 

 

「安心しろ2人とも。すぐに片付ける」

 

 

突然の乱入者にサバイバーは怒りの声を上げた。

 

「貴様!良くも俺の邪魔をしおってからに!」

「悪いが、邪魔をするのが俺達の役目なもんでな…!」

 

 

 

パラドはガシャットギアデュアルを取り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「未来に手を出したんだ…俺の心を滾らせた事を後悔しろ!」

 

《デュアル・ガッシャット!》

 

 

パラドの真後ろにギアデュアルに内蔵されていた二つのゲームタイトルが表示される。

 

 

《The・strongest・fist!》《What,s・The・Next・Stage?》

 

ノックアウトファイターとパーフェクトパズル、二つの待機音が交互に鳴り響く。

 

パラドは腰を落とし、眼前で両腕を前に伸ばしてクロス、重心を右に傾けながら右腕を上、左腕を下にしながら大きく旋回させ、重心を左に移動させながら両手を顔の前で構え、変身の言葉を口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「マックス大変身!」

 

 

そのまま、一気に体を起こし、右手でゲーマドライバーのレバーを開く。

 

 

 

《ガッチャーン!マザルアーップ!》

 

 

パラドの眼前にゲーマドライバーを使った際に表示されるキャラクターパネルが表示、真横に伸ばした右手が触れ、セレクトされる。

 

 

同時に、ゲーマドライバーのディスプレイからレベル50のパラドクス2人が重なったパネルが現れ、パラドの体に被さっていく。

 

 

 

 

 

《赤い拳強さ!青いパズル連鎖!赤と青の交差!パーフェクトノックアウト!》

 

 

 

 

 

 

 

 

今までのパラドクスとは異なるデザイン。

パーフェクトパズルとノックアウトファイターの特徴を併せ持ちながらも全く新しい、パラドクスの最強形態。

 

 

 

 

(BGM Real Game)

 

 

 

「仮面ライダーパラドクス・パーフェクトノックアウト!」

 

 

 

 

「レベルは…99!」

 

パラドクスの姿を見て、分が悪いと判断した。

 

 

今のサバイバーのレベルは60。

 

高いほうだが、パラドクス相手では勝率は薄い。

 

 

 

「だが、貴様を倒してその子供を捉えん限り、俺は完全体になれん!」

 

 

先制攻撃としてサイの右腕で攻撃してくるサバイバーだが、パラドクスはガシャコンパラブレイガンを召喚。

《ガシャコンパラブレイガン!》

 

すぐにAボタンを押し、ガンモードからアックスモードへと切り替える。

 

 

《ズ・ゴーン!》

 

「はあ!」

サバイバーの右腕と激突するパラブレイガン。

 

 

 

「レベル60にしては硬いな…だったら!」

 

パラドクスはBボタンを4回押し、周囲のエナジーアイテムを片手で引き寄せ、取得する。

 

 

 

《1!2!3!4!》

《高速化!》《鋼鉄化!》

 

 

高速化を自身に、鋼鉄化をパラブレイガンにかけたパラドクスは猛スピードで接近、刃をサバイバーに目掛けて振り下ろした。

 

 

「ぐうう!!」

 

その途端、斬撃が4回放たれてサバイバーを襲う。

 

 

《4連打!》

 

 

 

「まだまだいくぜ!」

《ズ・ガーン!》

 

 

パラブレイガンを再びガンモードに変形させ、ギアデュアルを装填。

 

 

《デュアル・ガッシャット!キメワザ!》

 

 

エネルギーが溜まり、パラドクスはトリガーを引く。

 

 

 

《パーフェクト!クリティカルフィニッシュ!》

 

『PERFECT・CRITICAL・FINISH!』

 

 

青色のエネルギー弾がサバイバーに直撃する。

「ぬあああ!」

 

 

 

 

レベル99の名は伊達じゃなく、その強さはまさに本物だった。

 

 

「すごい…あれがパラドの本気…!」

 

 

パラドクスはガシャットをベルトに戻す。

「さて、そろそろゲームクリアと行きますか!」

 

 

ボロボロのサバイバーが吠える。

「舐めるな…ウガアアアアアア!!!」

 

 

口に炎をチャージして放とうとするサバイバー。

それに対し、パラドクスはゲーマドライバーのレバーを閉じる。

 

 

《ガッチョーン!ウラワザ!》

 

そして、エナジーアイテムを2つ取得してレバーを開いた。

 

 

《鋼鉄化!》《マッスル化!》

《ガッチャーン!パーフェクト!ノックアウト!クリティカルボンバー!!》

 

『PERFECT・KNOCKOUT・CRITICAL・BOMBER!!』

 

 

必殺技が発動し、パラドクスが飛び上がる。

 

 

「くらえええええ!!!」

 

炎を吐くサバイバーだが、パラドクスは臆することなく両足を突き出し、炎をかき消しながら突き進む。

 

 

 

 

「何!?」

 

 

 

「ハアアアア!!!」

パラドクスのキックが直撃し、サバイバーの体が崩壊を始める。

 

 

「覚えていろ…!すぐに俺は…復活して…!」

 

 

最後まで言い切ることなく、サバイバーは爆発。

 

 

 

《K.O!PERFECT!》

 

 

 

《ゲーム・クリアー!》

 

 

―――――――――――

 

 

パラドは、少年をゲームスコープで診察する。

 

 

 

「よし。ゲーム病は完治してるな」

 

首にスコープをかけたパラドの言葉にホッとする未来と少年。

すると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「未来うううう!!!!」

 

ガングニールを纏った響がジャンプしてきた。

「未来!怪我はない!?痛いとこない?大丈夫!?」

 

 

シンフォギアを解除した状態だが、響に揺さぶられて未来が目を回している。

 

 

「響。未来が目を回してるよ?」

 

響を止めたのはいつの間にか現れた将也。

 

 

「悪いなパラド。遅くなって」

「いいや。相手はレベル60だったし、コイツのおかげで勝てたよ」

 

 

パラドは腰に巻いていたゲーマドライバーを指差す。

 

 

「そうか…」

そして、将也は時計を見るとパラドに何やら耳打ちをする。

 

「……OK」

 

 

パラドはドライバーを外し、少年の所には緒川が駆けつける。

 

 

 

「では、私は責任を持ってこの子を御家族の元まで連れて行きます」

 

 

 

緒川に車まで案内されていく中、少年が未来に手を振った。

 

 

「ありがとう、お姉ちゃん!」

 

 

少年が去っていき、パラドが未来に声をかける。

 

 

「…さて、帰るとするか」

 

 

 

―――――――――――

 

「未来、誕生日…!」

 

 

 

 

 

 

『おめでとう!』

 

 

未来と響の部屋には現在、創世達3人の他翼達装者、将也やパラド、エルフナインといったメンバーが勢ぞろいしていた。

 

将也がパラドに耳打ちしたのは、パーティーの準備が整ったことを知らせるためであった。

 

「ありがとう、みんな!」

嬉しさのあまり、少し泣きそうになっている未来。

 

 

「で、パラドとの特別デートはどうだったの?」

弓美が何やら企んだ表情で聞いてくる。

 

「で、デートって……」

あくまでもあれは響のアクシデントによって起きた事である。

 

 

が、その手の話がよほど聞きたかったのか詰め寄ってくる。

 

 

「はいはい、その辺にして今は食べてくれよ?」

 

パラド、将也、調といった料理が得意なメンバー3人衆の手によって次々と料理が運ばれてくる。

 

 

「うわ!また調ちゃん、腕前上げた!?」

「ピース…」

 

小さくVサインをする調。

 

 

「流石だな月読。では私もこの数ヶ月、将也によって鍛えてもらった腕前を…」

 

 

 

「いやいや先輩?あまり見栄張ると、こないだの洗い物タワーの惨劇を繰り返しますよ?」

 

暴走気味になった翼を抑えるクリス。

 

 

「そうそう。ようやく片付けが様になってきたあたりなんだから、無理しないこと」

「そ、そうか…」

目に見えて落ち込む翼。

 

 

そんな大騒ぎの中、未来は熱くなってきたのかベランダに出る。

 

 

「ふう…」

 

 

11月なだけあり、だいぶ肌寒い。

が、寧ろこの寒さで頭が冴えてきた。

 

 

「今日はおつかれさん」

横からホットコーヒーが差し出される。

そこに立っていたのはパラドだった。

 

 

「パラド」

 

 

 

横に立ち、星空を眺める未来とパラド。

 

 

「…ねえ、今日の戦いの時、どうやって私のいる場所がわかったの?」

 

あの時、携帯での連絡はジャミングによって不可能であり、当然ながら追跡もできなかった。

また、通信機もその前に破壊されていたため、追いかける方法は本来存在しないと思われていたのだが、パラドは実際に助けに来てくれた。

 

 

 

「将也からナイトオブサファリのガシャットを借りて、同じバグスターウイルスの気配を辿ってたんだ…」

 

 

将也から借りたガシャットを取り出す。

 

 

 

「でも…あの工場にたどり着くまでかなり時間がかかって…正直、間に合わないと思ってた」

パラドはガシャットをしまい、拳を握る。

 

 

 

「だから…間に合ってよかったよ」

パラドの笑顔に、頬がまた熱くなる感覚がして思わず顔を背ける未来。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あと…これを」

 

 

パラドが取り出したのは、小さな箱。

 

 

未来が受け取り、中身を開けるとその中には…

 

 

 

 

 

「これって…ペンダント?」

 

紫のクリスタルが目立つペンダント。

 

 

色は異なるがその形は、響達の使うシンフォギアの待機形態と同じデザインだった。

 

 

 

「ずっと前から準備してもらってたんだ。未来の誕生日にって…」

 

 

ギアと同じデザインにしたのは、パラドからのメッセージ。

 

 

「少なくとも未来は、俺達を支えてくれる大事な人だから…」

戦うことはできなくても、いつだってパラドを支えてくれた未来に対する感謝の気持ち。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふふっ。ありがとう」

 

 

月明かりが差し込み、未来の笑顔はどこか神々しさすら感じられた。

 

 

 

「さて、そろそろ部屋に戻るか?」

「うんっ!」

 

 

 

 

未来が部屋に戻り、パラドは彼女の後ろ姿を見つめる。

(…やっぱ、まだ伝えるには早いかもな)

 

 

 

とことん数奇な運命だと思う。

 

 

バグスターとして生まれた自分が、まさか人間に惹かれることがあるなんて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(だけど、悪くはない。少なくとも、誰かを愛していられるのは…『生きている』って思えるから)

 

 

 

 

だから、この世界に生まれてきてくれてありがとう、未来。

 

 

 

 

 

 

 

「ハッピーバースデイ…未来」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ハッピーバースデイ!未来!

今回は未来の誕生日記念でしたが、課したさんからのアイデアだったサバイバーバグスター、及びパラドクスの最強フォームであるパーフェクトノックアウトの先行登場にもなりました!



次の誕生日はクリスですね。


もっと糖度たっぷりのストーリーにしたい…

では、これからも応援よろしくお願いします!

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