駆け出しハンターと転生ペッコ教授   作:RGT

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続きです。
今回は書き方を少し変えてみました。
どうでしょうか?


vsクルペッコ

 

 船に揺られること小一時間。アイラ達は孤島の港へと船をつけた。

 一度大きく伸びをすると太陽を遮るように手を掲げる。雲一つない快晴。絶好の狩日和だった。今日こそクルペッコを。アイラは期待に胸を膨らませながら島へと降り立った。

 

「まずは腹ごしらえ。それからクルペッコだな」

「賛成」「そうですね」「うん」

 

 村の中へと足を進める。進むにつれ、甘いタレの匂いが鼻を刺す香辛料の匂いが鼻をくすぐり言葉にならない喧騒が耳に届く。こんな辺境にあるというのに村は大いににぎわっていた。お祭りやお祝い事でもないというのにアイラがいつ来ようと変わらない賑わいをみせる村。それもこれもここが初心者・中級者ハンターゆかりの定番狩スポットだからだ。

 

 360度どこを見ても海に囲まれている孤島は大陸からは離れ、外界からの侵入者は比較的に少ない。加えて。強大なモンスターはいない。熱いわけでもなく、寒いわけでもないちょうどいい気候。大自然。オーシャンビュー。と上げていけばいくらでも出てくる好条件。

 口々へと話は広がり、いつしかハンターが集まる。そして今日の村の在り様に至る。

 

「アイラ。珍食材に挑戦する気はないか?」

「へ?珍食材?」

「そ、あそこの店で食えるはずだ」

 

 返事の有無に関わらず秋人は店の暖簾をくぐる。

 店内に入ると紺の作業衣と前掛けに身を包んだアイルーがアイラ達を手向かえた。秋人は慣れた手つきで右手で指を四本たてる。

 

「いらっしゃいませニャ。あ、秋人さんニャ。お久しぶりニャ」

「久しぶりだな、ミケ。アレって今日あるか?」

「アレってあのあれかニャ?………ちょっと待ってニャ。店長に聞いてくるニャ」

 

 アイルーのミケは四人を席まで案内すると厨房へと消えた。やがて戻ってくると秋人とミケの指すアレはあったらしく秋人はアレを四人前注文した。

 

「アレって何なの?」

「来てからのお楽しみ」

 

 含みのある笑みを浮かべる秋人。アイラはジェイとユキにも聞くが、二人も店に来るのは初らしくアレが何なのか見当がつかないらしい。

 

 待つこと30分。

 

 ミケが同僚のアイルーを連れて料理を運んできた。アイラ、ジェイ、ユキそれぞれの前に出された料理を注意深く見る。皿に盛られているのは米に、その上からかけられたどろどろとした茶色い液体。中から煮込まれた肉や野菜が顔を出し、香辛料が鼻孔をくすぐる。食欲を身体の奥深くから沸き上がらせる。おかしな点はない。それどころかこの料理をアイラは知っている。食べたこともある。

 

 これは正真正銘、

 

「カレーだよね」

「カレーね」「カレーですね」

「カレーだな。カレーはカレーだけどな。とにかく食え」

 

 アイラは恐る恐るスプーンですくうとジェイ・ユキと顔を合わせる。そして口へと運んだ。

 

「どうだ?」

「なんというか………普通のカレーですかね?」

「そうね」「しいて言うんだったらお肉が甘い?」

「お、いいところに気づくなアイラは。あとはあとは?なにか気づくか?」

「うーん。わかんない。肉がいつも食べてるのより柔らかい?」

「いいねいいね」

「で結局何なのこれは?」

「これか?妊娠していたメスアオアシラの左手カレーだ」

 

 三人の手が止まる。

 

 秋人曰く、詳しい理由は不明だが妊娠時にメスアオアシラは魚や木の実よりもはちみつを本能的に多く摂取する傾向がある。それによって手にはちみつの甘みが染みわたり柔らかくおいしい肉になるらしい。

 

 アイラは何か普通ではない肉を食べさせられてることは当に察していた。

 

 しかしまさかアオアシラの肉とはいったい誰が想像出来ようか。加えて妊娠していたアオアシラの肉。モンスターといえども人で言えばいわば妊婦。一匹を狩るために一つの新しい、まだ芽吹いて間もない命を奪ったのだ。驚きと罪悪感で言葉を失うとともに思わずスプーンをおく。

 

「それでアオアシラ肉の感想は?」

「まずくはない。まずくはないけど。なんか………こうくるものが」

「ですね。アオアシラってだけでも驚いたのに、妊娠していたアオアシラって………」

「秋人。これってまさかわざわざメスアオアシラを狙って狩ったってこと?」

 

 ユキの疑問に秋人は首を横に振る。

 

「たまたま狩猟目標が妊娠していたメスってだけだよ」

「そう………」

 

 秋人は気にしない性格をしていたが三人には応える者があり場の空気は重くなる。

 

「ま、まぁ偶然狩猟対象が妊娠していたから誰のせいでもないし、このまま捨てるわけにもいかないだろ?俺たちハンターが狩ったんだからちゃんと殺した分まで生きる糧にしないと」

「………そうだね、うん。ちゃんと食べよう」

「おいしく頂かせていただきます」

「私たちに力を頂戴ね」

「それじゃあクルペッコの狩猟達成とアオアシラへの感謝を込めて乾杯!」

「「「乾杯!!!」」」

 

 お互いにジョッキを鳴らす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 と同時に聞こえてきたのは爆発音。続いて辺りに悲鳴が響き渡る。

 

「な、なんだなんだ」

 

 アイラ達は店前に出た。煙は村のさらに奥にある村と狩場を隔てる巨大な門の方角から上がっていた。秋人は逃げてくる青年を一人とっ捕まえた。

 

「何があった?」

「門が破られたんだよ!モンスターが一斉になだれ込んできた」

「門が!?いったい何に?」

「クルペッコだ。クルペッコに門が破られた!」

 




アオアシラの設定はオリジナルですのであしからず

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