駆け出しハンターと転生ペッコ教授   作:RGT

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更新遅れました。
体調を崩しているもので、休んで執筆して休んで執筆してなんとか区切りをつけて投稿しました。
中途半端ですが、よろしくお願いします。


vsハーレムの長①

 水獣ロアルドロスはまるで強者としての余裕とも見て取れるような、のったりとした足取りで水中からその姿を露わにする。続く形で水中からは次々とメスのルドロスが顔を出した。ロアルドロスは辺りを見回した。

 岩肌から削り出された石。こちらの様子を伺うアイルー達。そしてアイルーが設置したであろうと思われる得体のしれないなにか。

 

 ロアルドロスにはアイルー語は通じない。逆もまた然り。アイルーにはモンスターの言葉は通じない。お互いがお互いの考えが分からない上にお互いに考えを伝える手立ても持ち合わせてはいなかった。

 ただわかることといえば、アイルーが彼らの縄張りに侵入している事。そして今はルドロスたちが新しい命を産み付ける大事な時期。理由はそれだけで十分だった。

 

 ロアルドロスは特大の咆哮を上げた。戦闘態勢だ。鋭い目つきで獲物に狙いをすませ、地を踏み込む。するとその巨体からは想像もできない勢いの突進がくり出された。地面を這う様に瞬く間にアイルー達との距離を詰めた。

 

 あんなのを食らえばひとたまりもない。しかしあまりのことに一歩も動けないアイルー達。

 

 その時だった。

 聞こえてきたのはロアルドロスの咆哮とは比にならない大地を揺るがすほどの巨大な咆哮。

 

 ロアルドロスが長年の経験で培った野生の勘が過去に類を見ないほどの大音量で母体に危険信号を発した。圧倒的強者の存在。ロアルドロスは勢いを殺してすぐさま飛び退くと声の方角を向く。

 

 小高い崖の上に一匹の鳥竜種。彩鳥クルペッコ。

 クルペッコはロアルドロスとアイルーの間を遮るようにして降り立った。

 

「ロアルドロスよ。彼らは我の配下だ。手出しはご遠慮いただこう」

 

「アイルーが配下?モンスターの鳴き真似に飽き足らず今度は群れの真似事だと?笑わせるな。そんな雑魚共を手駒に加えたところでどうするクルペッコよ」

 

「弱者も指揮と作戦によっては強者へと化ける」

 

「それをできるのが自分だと?」

 

「ああ。しかし確かにお前が言うことも一理ある。いくら我でも指示を与えることのできる数にも限りがあるのでな。我の手の届かないところでは再び弱者として蹂躙されるだろう。それに元が弱者。いくら強者になったところで真の強者にはまず勝てない。そこでだロアルドロス。我は真の強者であるお前を手に入れたい。我の配下に加われ」

 

 するとロアルドロスはまるで鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。

 一間をおいて今度は声を大にして笑い出す。

 

「くっくっく。この俺がお前に従うだと?面白い冗談だ。………今すぐここから立ち去れば命までは取らない。とっとと失せろ」

 

 ロアルドロスは頭部のトサカのような角5本を威嚇のために動かす。しかしクルペッコは全くと言っていいほど動じてはおらず、挙句の果てに「嫌だと言ったら?」と挑発するように聞き返した。

 

 次の瞬間、首筋めがけてロアルドロスの鋭利な歯がクルペッコを襲う。しかしロアルドロスは空を食らうと、クルペッコは予想していたかのように避けると距離をとる。

 

「どうやら心底死にたいらしい」

 

「交渉決裂か。致し方ない」

 

 両者は睨みあう。そして動かない。

 時折体を左右に揺らしながら頃合いを見計らっているが、それでも一行に動く気配がない。

 

「ニャンで王は動かないのニャ?」「分からないニャ」

 

 アイルーにはクルペッコの考えが読み取れなかった。我らが王クルペッコはモンスターとは思えない高い知能で数多くのモンスターを仕留めてきた。それこそたとえロアルドロスが群れで立ち向かったところで相手にならないような大物さえもその手で殺めてきた。

 それだというのに動かない。

 

 実際のところはクルペッコの考えは動かないのではなく動けないのだった。

 

 訳は二つ。一つは先に動いたほうが負けるという野生で生きる内に身に付いた思想があるからだ。この戦いは奇襲交じりの狩とは訳が違い、お互いに臨戦態勢に入っているのだ。勝ったり負けたりする出たとこ勝負の博打に命は預けられない。そのため、どんな相手であっても対応できる完全必勝攻略法が極意。

 それはロアルドロスもわかっていること。だから両者共に動かない。

 それに加えてクルペッコにはロアルドロスの動きが分からないでいた。なにせ今まで海竜種との戦闘経験が一度もない。一度殺めたことのあるモンスターならいざ知らず、今まで交戦したことのない相手。何をしてくるか見当もつかなかった。

 

 しかしこのまま永遠と睨み続けているわけにもいかない。

 先にしびれを切らして動いたのはロアルドロスだった。今度はクルペッコめがけて突進を繰り出した。だがクルペッコにはクルペッコとしてのアドバンテージがあった。空だ。クルペッコは飛び上がり、突進を紙一重で回避するとロアルドロスの首筋めがけてかみつく。

 

 脊髄を損傷を加えれば絶命する。

 

 

 

 

 筈だった。

 

「!?」

 

 次の瞬間クルペッコは壁に叩きつけられた。

 




いつの間にかUA1000達成していて驚きました。
これからもよろしくお願いします。

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