その日の帰り、家の鍵を開けようとして違和感を覚える。をや?
「鍵開いてる。」
ま・さ・か。
嫌な予感が背筋を駆け巡る。
「今日はどこかのホテル───」
バン!!
私が言葉と共に回れ右しようとした時勢い良く家の扉が開かれ人が二人飛び出して来た。
「里奈ちゃぁぁぁぁぁん!!」
「会いたかっよぉぉぉぉ!!」
二人は出てきた勢いのまま私に抱き着き捲し立てる。
「元気だった?」「病気とかしてない?」「寂しくなかった?」「ちゃんとした物食べてた?」「大きくなったね!」
・・・・・ブチッ!!
「うっとおしいわああああぁぁぁ!!」
声と共に二人を引き剥がす。
ハァハァ、ゼェゼェ。
「里奈ちゃんが冷たい!」
「反抗期!?」
「あんたらなああぁぁぁぁ!」
二人を睨む。
「はっはっは!元気だっかい?」
「相変わらずツンデレなんだから〜。」
こいつらは〜・・・。
「お父さんもお母さんも毎回毎回勘弁してよね〜、飽きないの?」
「「飽きない!」」
・・・。
「あ、あの、里奈お姉様。この方達は・・・。」
アーシアが聞いてきたので仕方なく答える。
「私の両親よ。」
「里奈ちゃん、この方達は?」
お父さんが私の後ろに居るアーシアやサーゼクス達を見て言う。
「え〜と・・・。この子はアーシア。前に連絡したと思うけど、私が保護した子よ。それで、こちらの二人は色々お世話になっていて今日だけ家に泊まってもらおうと思ってるんだけど──」
「サーゼクスにグレイフィアじゃないの!」
「へ?」
お母さんの言葉に呆然とする。
「え〜と・・・知り合い?」
「ああ、梨沙さんに誠司さん、久しぶりですね。」
「ご無沙汰しております。」
サーゼクスとグレイフィアが二人に挨拶する。
「どゆこと?」
「とりあえず中に入って落ち着いてから話そうか。」
お父さんが言い、みんなを家の中に招く。
・・・え〜と・・・どゆこと?
混乱したまま私も家に入った。
部屋で着替えてからリビングに全員集まった。
「とりあえず私から事情説明した方がいい?」
「そうなるかな。お父さんもお母さんも魔法使いというのは分かっていたのかい?」
お父さんの言葉に答える。
「知ってたわよ。まあ、この世界だと普通じゃないのも分かってたから聞かなかっただけ。」
「そうか。すまなかったな。」
「気にしなくていいわよ。私だって魔法使えるの言わなかったんだし、おあいこよおあいこ。それで感づいてると思うけど、ちょっと事情があって私悪魔に転生したわ。で、主がリアス・グレモリー・・・つまりサーゼクスの妹ね。」
「なるほど。それでサーゼクスと知り合いというか、一緒にいたのか。とはいえ悪魔に転生か、まあ里奈ちゃんが選んで選択したなら仕方無いか。」
ちょっと寂しそうな顔をしてお父さんが言う。
う、ちょっと罪悪感が。
「梨沙さん、誠司さん、転生を勧めたというか強制したのは私です。里奈にはどうか・・・。」
グレイフィアがお父さんとお母さんに頭を下げる。
姉ちゃんが人に頭下げてる!?
「グレイフィア、頭を上げて下さい。里奈ちゃんは納得して転生したと思います。でなければ強制されても転生なんてしないと思いますし。」
お母さんがグレイフィアを諭す。
「梨沙さん、ありがとうございます。」
「そんで?お父さん達はサーゼクスと契約でもしてたの?」
「それもあるんだけどね、以前ちょっとした事で力を貸してもらったことがあるんだよ。」
ちょっとした事ね〜。
「ふ〜ん。まあ納得かしら?お父さんもお母さんも魔法技能高いみたいだし。世界でも結構上位の使い手みたいだしね〜。」
意地悪な目線を二人に送る。
「「な、な、なんで!?」」
狼狽える二人を尻目に続ける。
「伊達に悪魔だけじゃなく堕天使にもコネがあるわけじゃないわよ〜。」
「堕天使とも繋がりがあるの!?」
「ああ、里奈さんはアザゼルとも知り合いだよ。」
サーゼクスがからかい気味に二人に言う。
「魔法使いとしての能力が高い事は分かっていたがそこまでとは・・・。」
「アザゼルと知り合ったのは偶然みたいな感じだけどね〜。ああそうそう、アーシアを保護する切っ掛けも堕天使絡みだし。事後承諾になっちゃうけどこのままアーシアをここに置いていてもいいわよね?」
「ああ、かまわないよ。事情は前に聞いているしアーシアちゃんも良い子みたいだしね。かわいい娘が一人増えたんだから喜ばしいね。」
「そうね。アーシアちゃんも私達の事本当の親だと思って接してくれたら嬉しいわね。」
二人はアーシアに優しい視線を送っている。
「あ、あ、あのあの、ありがとうございます。」
アーシアは嬉しかったのかちょっと泣いている。
「さて、後は里奈ちゃんがどうしてこうなったかなんだけど。」
ちょっと悩んでグレイフィアを見る。
「こうなった以上説明しないわけにはいかないわよ、里奈。」
そうなるわよね〜。
とりあえず二人に全部ぶっちゃける。
「なるほどね。親としては止めたいんだが・・・そうはいかないんだろうね。」
「こればっかりは何を言われても無理ね。これを解決しないと平和な生活送れそうにないもの。それに私の気が済まないわ。今度こそきっちり片を付けてやんないとね。」
まあ、それには私自身の力を引き出せるようになんないとなんだけど。
「そういえば、授業参観あるのよね?私達も見に行くからね〜。アーシアちゃんの方にも行くからよろしくね。今回はこれが目的で帰って来たようなものだし。」
「こういうの初めてなんであの、その、よろしくお願いします。」
アーシアは喜んでいるみたいでよかったわ。
それにしてもどこから授業参観の話聞いてきたのかしら?
それから暫く話をして寝ることになったんだけれど、どうしてこうなった!
「久しぶりね、一緒に寝るなんて。」
「そうね〜・・・。」
姉ちゃんの言葉に無表情で返事をする。
「そんな顔しなくてもいいじゃない。ちょっと聞きたい事があったのよ。」
「何?」
「今回の件、どうにか出来る算段あるの?」
「ん〜、どうかしら?相手次第かしらね〜。コカビエルの時みたいな感じだったら問題無いと思うけど、そんな事は無いでしょうね〜。」
「そうね。状況によっては私も協力出来ると思うけれど私はサーゼクスの女王だから恐らくそれ程手は貸せないわ。」
「わかってるわ。リアス達の眷属にガウリイもいるし他にもいるみたいだからこっちで何とかするわよ。」
「私も転生組だから参加したい所なんだけどね。」
姉ちゃんの言い分も分かるけれども
「そもそもの原因が
私の言葉に納得したのか
「サポートは出来るだけするわ。ただ、刺し違えてでもとか考えちゃ駄目よ?」
「私がそんな事する訳ないでしょ?今世ではみんな一緒に過ごせるかもしれないんだし。とりあえず会談成功させて情報収集きっちり出来る体制整えないとね。受け身だと後手に回る事になるし、そうなると対応遅れちゃってこっちがやられかねないもの。」
「敵もそうだけど、味方の転生者も見つけられるかもしれないものね。」
「そうなる事を祈るばかりね。」
それから少し話をして眠りについた。
里奈パパと里奈ママ登場です。親馬鹿です。
高位の魔法使いで世界中飛び回ってます。
ロスヴァイセの祖母と同格で知り合いです。