月を守る太陽である為に何が出来るか…?   作:ぬヰ

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この話は最終話、9話となります


月の消失 ー終ー

緒川さんの車に乗る時、助手席にクリス、後ろの座席は左から未来、調、切歌と座るがエルフナインの場所が無く、エルフナインがあたふたしていると未来がエルフナインを膝の上に乗せ、エルフナインはキョトンとした顔で未来の膝の上に座らされた。

 

「ぼ、僕は子供じゃないですよー…」

 

「ここの中では1番小さいじゃない?」

 

照れているエルフナインに未来がニコニコしながら言う。

エルフナインはしょうがなく未来の膝の上に座らせてもらう事にした。

 

「ねぇ、切歌ちゃん」

 

「どしたデスか?調」

 

車が走り出して少しした時調が切歌に疑問に思った事を言う。

 

「どうして私が記憶を無くすって言うって思ったの?クリスさんも…」

 

「調は記憶を無くしても調だと思ったからデスよ」

 

切歌の説明では不十分で調は頭の上にハテナを浮かべていた。

 

「よーするにだな、前の記憶だろうが今の記憶だろうがお前はお前だ、あぁ…説明すんの難しいな…つまり長い付き合いならでは分かる感覚みたいなもんだ」

 

「デスデス!」

 

調はこれでもやっぱりよく分からずハテナを浮かべていた。

 

「そろそろ着きますよ」

 

緒川さんが言うと外には遊園地の観覧車やジェットコースターが見えた。

 

「およー!沢山あるデース!!」

 

「楽しそう…!」

 

切歌と調は車から降りるとわくわくしながら遊園地の方を眺める。

 

「フリーパスのような物を指令が手配してくれたのでこれでいくらでも楽しめますよ」

 

緒川さんがチケットの様なものを渡してくれた。

エルフナインがチケットを受け取るとチケットにはこどもと書かれていた。

 

「だから子供じゃ無いですって!!」

 

「冗談です」

 

緒川さんはクスッと笑い普通のチケットを取り出す。

エルフナインは少し怒りながらチケットを受け取った。

 

「さて、どこ行くデスか?調が行きたいところ行くデスよー!」

 

「えぇーっとじゃあアレで!」

 

調が指を指した方向に皆目線を向けるとそこは90度に落ちるジェットコースターだった。

 

「げっ…」

 

クリスは呻き声を上げる。

 

「アレ?クリス先輩もしかしてジェットコースター苦手デスかー?」

 

「そ、そんな訳ねぇだろ!!」

 

「じゃじゃクリス先輩も行くデース!」

 

「僕も行きます!」

 

切歌と調、そしてクリスとエルフナインはジェットコースターの席へと座る。

 

「私は荷物見てるね、楽しんできて」

 

「クソッ!乗らないからって!!!」

 

「ふふっ」

 

ジェットコースターのシートベルトを付けられた時にクリスが叫ぶ。

それでも未来は動揺もせずニコニコして手を振っていた。

 

前列に切歌と調、後ろにはクリスとエルフナインがそれぞれ乗った。

そしてジェットコースターが動き出す。

動き出すと徐々に上へと登っていく。

 

「楽しみデスね!調!」

 

「うん、ドキドキする…!」

 

「ちょ、高い……」

 

「少し緊張します…」

 

切歌、調、クリス、エルフナインは登っている最中に身構えた。

ジェットコースターは90度に落ちる手前まで迫り、遂にジェットコースターが重力に引き寄せられる。

 

「うひょー!!」

 

「わぁあああ!!」

 

切歌と調は手を挙げながら楽しそうにしているが、エルフナインは

 

「おおお!!」

 

と驚いていた。

一方クリスは……

 

「ギャアアアアアアアア!!!!」

 

と聞いたことがないような叫び声を上げていた。

機体は勢いを増して、一回転する場所まで一気に走ってくる。

 

「まてまてまて!!落ちる!落ちるって!!やめてぇぇぇ!!」

 

クリスは機体が一回転している最中己が分からなくなるほど叫んでいた。

ジェットコースターは登ったり降ったりを繰り返し、スタート地点に戻ってきた。

 

「どうだったー?」

 

待っていた未来がみんなに聞く。

 

「楽しかったデース!」

 

「うん、凄かった!」

 

「案外楽しいものですね!」

 

切歌、調、エルフナインは満足した様子で戻ってきた。

 

が、クリスは年寄りのおばあちゃんみたいに腰が曲がりフラフラになって歩いてきた。

 

「あれ?クリスジェットコースター大丈夫だったんじゃなかった?」

 

「一回転は無理だ、死ぬ……」

 

皆クリスを見て笑い声を上げた。

 

「さてさて調、次はどこ行くデスか?」

 

「んー、やっぱりお化け屋敷かな…?」

 

「あ、いいね!行こう!」

 

これに反応したのは未来だった。

 

「あたしはいいや、少し休む…」

 

クリスはジェットコースターの影響で行ける雰囲気ではなかった。

 

「エルフナインちゃんは?」

 

未来がエルフナインに聞く。

 

「ちょ、挑戦してみます!」

 

エルフナインは少し震えているが決心をしてお化け屋敷に行く事にした。

 

「私は行かなくていいデスよー、、、」

 

切歌はそーっとクリスの方へ寄る。

 

「切歌ちゃん行こう?」

 

調に誘われたが、切歌はブンブンと首を横に振った。

しょうがないので、切歌とクリスを置いて調、未来、エルフナインが中へと入った。

 

「なんでお前入らないんだよ…」

 

「お化けは無理デス!」

 

切歌は断言する。

 

「まああたしも同感だけどな」

 

どうやら2人はお化けなどの心霊に弱いらしく、逃げたようだ。

 

 

「ふわああああ!!!」

 

声を挙げたのはエルフナインだった。

後ろから肩を掴まれびっくりしたのだ。

 

「エルフナインちゃん、手に捕まって」

 

未来がエルフナインの手を握り、先へ進む。

 

「あ、光見えますよ!」

 

調は出口であろう場所を見つけた。

3人が出ようとした瞬間、上から真っ白な女性が出てきて3人とも叫び声を上げた。

 

「おぉ、怖かったぁ…」

 

「スリルあったねー」

 

「最後のは反則です……」

 

調、未来、エルフナインは見事出口から出る事が出来、外で待っていた切歌とクリスに合流する。

 

「どうだったデスか?」

 

「怖かっ……」

 

調が感想を言おうとした時、未来が手を出しちょっと待ってという合図を出した。

そして未来が口を開く。

 

「あまり怖くなかったよ、切歌ちゃんとクリスも行ける感じだったし」

 

「ホントか…?」

 

「嘘くさいデース…」

 

クリスと切歌は未来を睨む。

 

「はい、怪しむなら入ってみる!!」

 

未来は2人を無理矢理お化け屋敷の中へ入れる。

 

「未来さん、鬼ですか…」

 

エルフナインが呟くと未来が、

 

「2人のリアクションみたいじゃない?」

 

と言った。

 

 

「ちょちょっと、クリス先輩前行ってくださいよ!!」

 

「何でだよ!お前が行けよ…!!」

 

そう言いながら2人で先に進んでいると後ろに居たクリスの肩を掴まれた。

 

「ヒッ!!」

 

「クリス先輩変な声出さないでくださいよ!!」

 

「だだだだだってなんか肩掴まれられられ!!!」

 

「とにかく前に逃げるデス!!」

 

と前に進んでいると出口の光が見えた。

 

「出口だ!」

 

「早く出るデス!!」

 

クリスと切歌は走って出口へ向かう。

出口の前に来るとさっきと同様、真っ白な女性が上から出てきた。

その瞬間

 

「いぎぇあああああああ!!!!」

「ぎぇああああああ!!!!」

 

クリスと切歌は叫び出し、出口へ走り抜ける。

 

「無理無理無理無理だって!ホンットに!!」

 

「デスデスデス!!」

 

クリスと切歌は全速力で走り抜け、息切れていた。

 

「お疲れ様ーどうだったー?」

 

未来と他2人が寄ってくる。

 

「お前は…はぁ…はぁ…悪魔か…!?」

 

「本気で死ぬかと……はぁ……思ったデスよ!!」

 

2人の反応に未来はフフッと笑っていた。

すると

 

グゥゥゥ

 

と腹の音が鳴る。

 

「す、すみません…お腹が空いて…」

 

正体は調だった。

時間を見るともう昼食時で、皆もお腹空いていた。

 

「なら、少し休憩デース!」

 

イートスペースへ来た切歌達はみんなでお好み焼きを食べようということになり、お好み焼き屋さんへ足を踏み入れた。

店員さんが焼いてくれて、5人分に分けてくれた。

 

「これ美味しい…」

 

調が一口食べると美味しかったらしく目を丸く開いて言った。

続けて切歌も食べると「美味しいデス!」と言って絶賛した。

すぐみんな平らげてしまって、次にクレープをデザートに食べることになりクレープ屋さんに向かった。

それぞれ別の味を買って、ベンチに座って食べる。

 

「調の何味デスか?」

 

「チョコストロベリーかな?」

 

「美味しそうデスね、一口もらうデス!」

 

と言い切歌は調のクレープを一口食べた。

 

「あ!切歌ちゃんずるい!私も食べるよ!」

 

と調はお返しとして切歌のクレープを一口食べた。

 

「チョコバナナらしいデース」

 

「うん、美味しい」

 

切歌と調は少しずつ分け合いながらクレープを食べた。

 

「お腹もいっぱいになったデス!次はどこに行くデスか?」

 

「んー、どうしようかな…」

 

「ゲームセンターとかどうだ?」

 

クリスが提案する。

 

「いいですね!」

 

調はそれに共感して、ゲームセンターへと向かった。

切歌と調はリズムゲームで勝負をして1回目は切歌が勝ち、2回目は調が勝つ。

3回目はギリギリの差で切歌が勝利した。

 

「勝ったデース!!」

 

「うぅ、負けた……」

 

その時クリスとエルフナインは2人でゾンビゲームをやっていた。

 

「おらおら!もっと近づいてこいよ!!」

 

「この!この!いけ!あ!倒せました!!」

 

「なかなかやるじゃんか!」

 

クリスは流石銃の扱いは器用だ。エルフナインも不器用ではないのでそこそこ理解し、できるようになった。

クリスとエルフナインはゾンビゲームに没頭してしまったため、未来と切歌と調はUFOキャッチャーで色んなものに挑戦していた。

 

「これ取れたらクリスさんに上げないと…」

 

「あら、可愛いぬいぐるみ」

 

調が昔ゲームセンターで取った時みたいなタヌキのぬいぐるみを挑戦していた。

調が操作しているアームはぬいぐるみの場所にピッタリと入りそのまま持ち上げる。

 

「よし、そのまま……」

 

ぬいぐるみはアームに引っかかったまま取り口に向かう。

しかし、あとすこしの所でするりとぬいぐるみが落ちてしまい、ゲットすることは出来なかった。

 

「あぅ……」

 

調がガックリとすると未来がヨシヨシと頭を撫でた。

 

それぞれ満足したのか切歌、調、未来はクリス達がいるゾンビゲームの場所へ集まる。

 

「クリス、そろそろ行こー?」

 

「んあ?なんだもう終わりかもう少しぶっぱなしたかったんだけどなぁ」

 

クリスは未来に呼ばれ、エルフナインを連れて歩き出した。

 

「初めてやりましたけど爽快感があって楽しかったです!」

 

エルフナインがゾンビゲームを絶賛するとクリスが「分かってるなー!」と大喜びをした。

 

その後、カラオケに行ったりグッズショップへ行ったりして気付けば日が沈み、夜の遊園地へと変わっていた。

 

「すっかり夜になったデスねー」

 

「そうだな、遊びまくってたら時間も忘れてたなぁ」

 

時計を見ると10時を回っていた。カラオケに長い時間居たため時間が早く過ぎていったのだ。

各々話しながら歩いていると前から緒川さんの姿が見え始めて、見つけたのか手を振ってくれた。

 

「皆さん楽しかったですか?」

 

「バッチリデース!」

 

「うん!楽しかった!」

 

切歌と調が返事をする。

 

「でも…」

 

調が後に呟く。

 

「最後に観覧車……乗りたい…」

 

どうやら調は夜の景色が見たかったらしく観覧車は敢えて乗っていなかった。

 

「いいんじゃねぇか?」

 

「閉園までまだまだ時間ありますし、行ってきてもいいですよ」

 

緒川さんが許可をしてくれたので切歌達は最後に観覧車に乗ることにした。

 

「すみません、僕はそろそろ戻らないと行けないので…」

 

エルフナインがここで仕事があると言う。

 

「まぁしょうがないデス!エルフナインちゃんが楽しかったならそれで良しデス!」

 

「はい!とっても楽しかったです!!」

 

エルフナインは笑顔で話して、緒川さんの車へと戻る。

残された切歌、調、クリス、未来は観覧車に乗るために列に並んだ。

 

「混んでるデスねー」

 

「みんな夜景を見たいんじゃないかな?」

 

「なるほどデース!」

 

未来がそう言うと少しだけ列が前に進んだ。

 

「切歌ちゃん…」

 

調が切歌を呼ぶ。

切歌は調の方を向いて「どうしたデスか?」と調に問う。

 

「今日はありがとう、本当に楽しかった…」

 

「私もデース!とっても楽しかったデスよ!」

 

「実は…もう、昨日の事までしか記憶に無いの…」

 

「ってことは、3人で遊びに行ったことも忘れちゃったか…?」

 

クリスが調に聞く。

調は躊躇いながらも首を縦に振る。

 

「まだ今日の記憶は残ってるデス、この時を大切にするデスよ」

 

切歌が慰める。

すると調はニッコリと笑い、ありがとうと言った。

そして、切歌達の乗る番がやって来て切歌達は4人同じ部屋に乗った。

徐々に観覧車は上へと上がり、景色も見え始める。

 

「綺麗デスね!調!」

 

「うん…とっても……」

 

「綺麗だね、クリス」

 

「あぁ、滅多に見られるもんじゃないしな」

 

その時間は刹那のように過ぎ去っていき、4人は観覧車を降りた。

 

「調、もうやり残すことは無いデスか?」

 

「…本当はもう一つあったんだ…」

 

「なんデスか?言ってみるデスよ」

 

調は静かに横に首を振った。

 

「それは叶わない事だから…叶えられたとしても、その時にはこの私はもう居ない…」

 

「そう…デスか……」

 

調は歩いていた足を止めて切歌を見つめる。

 

「そろそろ月読調が起きるかな」

 

「調……行っちゃうんデスね……」

 

「うん、前の記憶も戻ってきてるし私の記憶は抹消される」

 

「調……」

 

「切歌ちゃん、クリスさん、未来さんも本当にありがとう」

 

「今の調と会ったことは忘れないデス、忘れるもんかデス!」

 

切歌が涙を堪えながら言う。

 

「たくさん迷惑かけちゃったけど、私も忘れないよ!」

 

未来が続けて言う。

クリスは

 

「色々悪かったな、お前には迷惑かけられたし迷惑かけた」

 

と腕を組みながら言った。

 

「本当は、もう変えることが出来ないけれど、本当は…もう少しだけこの楽しい時間をみんなと過ごしたかった……」

 

調が悔しがりながら話すと切歌の目からは自然と涙が溢れてしまった。

 

「調の前では泣かないって決めてたのに……おかしいデス…涙が止まらないデスよぉー!」

 

「私ではない月読調をまた宜しくね、きりちゃん」

 

調は前の記憶を遡り、敢えて記憶を失う前の呼び方で名前を呼ぶ。

 

「調………行か……ない…で……」

 

切歌は無意識のうちにずっと隠していた本音が出てしまった。

それに調は驚いていたがすぐに笑い始める。

 

「ごめんね、切歌ちゃん…私はもう今日の遊園地で遊んだことすら忘れかけている。そんな顔をしてると私が困っちゃうよ」

 

「でも……でも…!!」

 

「悲しいのは分かる、だがなコイツがやっと立ち上がって1人で決心した事だ。あたし達にはどうすることも出来ないっつったのはお前だぞ?切歌」

 

クリスが後ろから切歌に話しかける。

 

「もう行かなきゃ……」

 

「調…!待つデス!もう少し話すデスよ!!記憶がまだ残っているうちに!!今日の事を楽しく語り合うデスよ!!楽しかった事を思い出しながら話すのも……凄く楽しいデスから……!!」

 

「そうしたいけど……出来ないよ……!」

 

潤いも無かった調の輝く瞳から涙が零れる。

 

「私だって…!もっと話したい!楽しかった事を部屋でお菓子を食べながら!話したい!笑い合いたい!!けど……出来ないよ………」

 

「調……」

 

「だから……私の事は忘れないで欲しい!私は…私は……みんなの中に居るから……!」

 

その途端に調の周りにオーラが表れ、調を包み込む。

 

「調……!調ぇぇ!!!」

 

調はその姿のまま光へと変わる。調の体はそのまま倒れ、倒れた調を未来が抱き抱える。

記憶の塊のような光が調の周りをふわりと浮かび、徐々に細かくなっていく。

クリスは少しだけその場から離れ、後ろを向く。

 

「調!調は私の友人で、大切な人デス!いつまでも忘れないデスよ!!」

 

そう切歌は言うと、調の姿は足から少しずつ砕けていき顔の所まで来るところで調の口が5回動いた。

切歌には調の声は聞こえなかったがなんと言っていたのかハッキリ分かった。

切歌は涙を服で拭い、調を見届ける。

光の姿の調は鼻までになり、目に差し掛かろうと言うところだった。

後ろを向いていたクリスが振り向く。

そのクリスは切歌も調も、未来も見たことない泣き顔だったが口は笑っていた。

そして、涙を流しながら叫ぶ。

 

「じゃあなッ!調!」

 

初めてクリスの口から『調』という名前が出てきて、目だけだったが調が笑ったような気がした。

 

そして、調の姿は完全に砕かれて、天へ舞った。

切歌の服で拭ったはずの顔には既に涙が流れていた。

未来も調を抱えながら涙を流す。

 

「さて、あたし達がずっと泣いてても仕方がねぇ、調をさっさと運ぶぞ」

 

クリスはわざわざ前に出て、2人に顔を今更隠すようにして言う。

気を失っているうちに調を車に乗せて本部のメディカルルームに寝かせる事にした。

 

「良かったんですか、行かなくて」

 

「僕が行ってしまうと泣いてしまいますから」

 

「別に泣いても良かったんですよ?」

 

「僕は泣かないって決めたので…」

 

「それは心強い」

 

切歌、クリス、未来がこちらへ歩いてくる時に緒川さんとエルフナインはこうした会話をした。

 

「さて、戻りますか」

 

「デス!調が起きちゃったら理由話すのもめんどくさくなるデス」

 

そうして、調を含めた5人を乗せた車は本部へと走っていった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

切歌とクリスはメディカルルームに調を寝かせた後外へ出た。

 

「調にあれだけでよかったんデスか?クリス先輩」

 

「どーゆー事だ?」

 

「クリス先輩だって何か言いたいことだってあったはずデス。それなのに『じゃあな』の一言だったデス」

 

「別れに言葉なんて要らねぇんだ、一言でもその一言に詰められた感情は相手に届くはずだからな」

 

「ほぅークリス先輩地味にカッコイイデース」

 

「地味にとはなんだ!地味にって!」

 

「また怒ったデース」

 

クリスはカァッとなり切歌を追いかけようとしたが、今日だけは辞めておいた。

クリスから逃げた切歌は調が起きるまで調の傍に居た。

やがて日が昇り初めて、メディカルルームに日が差し始めた。

 

「……ん…」

 

それと同時に調の体が動く。

 

「調…?」

 

「……きりちゃん……?」

 

「もう!調ったら1人でカルマノイズに向かって無茶して!どうなるかと思ったデス!」

 

「えぇ?私そんなことしてた…!?」

 

「デスデス、何日も眠りの状態で心配したデスからね!」

 

「長い夢を見ていた気がする」

 

「ん?どんな夢です?」

 

「私が記憶を失った夢」

 

「ほぅー」

 

 

「きっと記憶失った調でも変わらない調だったと思うデスよ」

 

「え?」

 

「何でもないデース!」

 

「えぇ?ちょっときりちゃん!」

 

「へへー」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

調が目覚めて数時間経つとギャラルホルンから響、翼、マリアが帰ってきた。

切歌はおかえりデース!と言い3人を迎えた。

1度帰った時の雰囲気と違く、いつも通りの雰囲気だったためギャラルホルンに飛び込んだ後に解決したのだと察した。

 

ウィィン!ウィィン!

 

と帰ってきた途端にサイレンが鳴り、響、翼、マリアを休ませるために切歌、調、クリスが殲滅に向かった。

 

「行くデスよ!調!」

 

「うん!きりちゃん!」

 

 

 

 

 

 

 

調………もし、もしもデス。

未来さんもクリス先輩もあの調を忘れたとしても、私は暁 切歌は絶対に調の事は忘れないデスよ!

そして、最後に私に言った言葉も……………

 

 

 

 

ー終ー

 

 

 




最後まで読んでくださりありがとうございました!!
全9話という短いストーリーでしたが、完結まで書くことが出来ました!!
作品に関しては次に出す、【3人の装者による感想】で書きたいと思います。
ひとまずお疲れ様でした(自分で言うか…)

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