月を守る太陽である為に何が出来るか…?   作:ぬヰ

1 / 10
よろしくお願いしますm(*_ _)m


月の消失

これは、翼、響、マリアがギャラルホルンのゲートに飛び込み天羽奏と共に黒いノイズ、通称カルマノイズの殲滅を試みていた時、ギャラルホルンに飛び込んでいないクリス、切歌、調、未来に起きた出来事の話ー

 

「おいおっさん!!なんで黒いノイズがこっちに来てんだよッ!?」

 

「ゲートの向こうの世界はこちらの世界と平行している。つまり向こうの世界とこちらの世界が現在繋がっている状態だ」

 

「要するに別の世界だけれど同じ世界、隣り合わせってことデース!」

 

「きりちゃん、余計にややこしくなってるよ」

 

元の世界に黒いノイズが探知され、クリス、切歌、調は出動要請が出されていた。

クリスは文句を言い放ちながらカルマノイズが探知された場所へ切歌と調を連れて向かった。

途中途中現れるノイズをそれぞれ倒しながらカルマノイズの出現場所へと急ぐ。

 

「あれか…?」

 

クリス達の前には今までに見たことない人型の黒いノイズが姿を現していた。

 

「今までに見たことないノイズ…きりちゃん、気を付けよう」

 

「大丈夫デスよ調!クリス先輩!行くデース!!」

 

「おうよ!」

 

クリス、切歌、調の3人はそれぞれカルマノイズにダメージを与えていく。

多少ダメージが通り、3人の装者は息を合わせて手を出させないようにダメージを蓄積させていった。

 

「トドメだッ!これを耐えてみなッ!!」

 

クリスは大量のミサイルをカルマノイズに食らわせる。

 

ドォォォン!!

 

と轟音が鳴り響き、煙が立つ。

 

「やったデース!」

 

「おっさん!エネルギー反応消えたか?」

 

「いや、まだ消えていない。どこかに居るはずだ」

 

指令からの忠告を3人は聴き煙が収まるのを待つ。

 

やがて、煙が収まるとカルマノイズの様子が見えてくる。

 

「ッ!!居ないだと…!?」

 

「どこ行ったデス?」

 

クリスと切歌は辺りを見渡す。

 

「きりちゃん!危ない!!」

 

調が叫ぶと切歌は後ろを振り向いた。

後ろにはすぐ近くにカルマノイズの姿があり、今にでも切歌に攻撃しようとしていたところだった。

 

いち早く気づいた調は切歌の前に立ち、カルマノイズの攻撃を防ぐ。

 

「ぐっ…」

 

調はカルマノイズの攻撃を踏ん張るものの、攻撃は予想以上に重く後ろへズズズっと押されてしまう。

 

「調!!」

 

切歌は調が守ってくれたことに気づきカルマノイズの背後に周り、調の手助けをする。

 

だが、カルマノイズの力は異常な程で切歌の攻撃は食らっているものの倒れず、逆に切歌が鎌を振り下ろして攻撃していた隙に、鎌を掴みそのまま切歌ごと投げ飛ばしてしまった。

 

「嘘デース!!?」

 

クリスは今ド派手に打っ放すと調に当たる可能性があるため、不用意に打てなかった。

 

そして、受け止めていた大きな鋸はカルマノイズの更なる攻撃により、パリィィン!と砕けてしまう。

 

「嘘…シュルシャガナが……」

 

調は後ずさり、逃げようとするもカルマノイズは既に右腕を上へと上げていた。

 

「クソッ!これでも喰らえ!!」

 

クリスは調とノイズが少し離れた隙に矢を放つ。

クリスの放った矢は一直線にノイズへと向かうが、ノイズは左手でその矢を掴んでしまう。

 

「嘘だろォ!?」

 

カルマノイズは調のペンダントに向けて、腕を振り下ろした。

調は衝撃により後ろへ吹き飛ばされる。

 

「きゃああああ!!!」

 

「ぐっ……調ぇ……!!」

 

切歌は歯を食いしばりながら体を起こす。

 

「クソッタレがぁ!!!」

 

クリスは怒りに狂い、カルマノイズに向かってあらゆる手段の銃弾を打っ放す。

 

しかし、その銃弾がカルマノイズに届く前に、カルマノイズは姿を消してしまった。

 

「消えた……?」

 

「……しら…べ……調ぇー!!!」

 

切歌は何とかして立ち上がり、調の元へ駆け寄る。

その姿を見たクリスも調の元へ向かう。

 

「調!調!聞こえるデスか!?調!!」

 

切歌は調を抱き抱え、呼び続ける。

 

そして調のペンダントが……

 

パリィィンッ!!

 

と音を立てて砕け散った。

 

「ペンダントが……!」

 

クリスが驚きを隠せずに言う。

 

「調!目を覚ますデス!!調ー!!」

 

切歌は調を呼び続けるが調の瞼は開かない。

 

「一度エルフナインに見てもらおう、戻るぞ」

 

「了解……デス…」

 

 

 

 

本部へと戻った3人は指令やエルフナインに事情を説明する。

 

「なるほど、人型のカルマノイズ、、そして調くんのペンダントの完全消滅…か…」

 

「調は…!調は無事なんデスか!?調は!!」

 

「今メディカルチェックをエルフナイン君にしてもらっている」

 

そう話すと、エルフナインが戻ってきた。

が、どこか顔色が悪いというか、様子がおかしかった。

 

「調は!調は大丈夫デスか!?」

 

「調さんの身体には異常ありませんでした」

 

「本当デスか!?よかったぁぁ」

 

「……ですが…調さっ…」

 

「早速調に会いに行くデース!!」

 

「あぁ…」

 

切歌は調の元へ急いで向かっていった。

 

「どうやら、何かあったみてぇだな」

 

クリスは腕を組みながらエルフナインに聞く。

 

「はい…身体や精神の問題では異常は無かったのですが………」

 

「調さんは……」

 

切歌は調の居るメディカルルームに入る。

中には調がベッドで上半身を起こして窓の外を眺めていた。

 

「調ー!!よかったデスよ!調に何かあったらもう…!!」

 

「あなたは……どなたですか……?」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「調さんは、装者関連の記憶を失ってしまっていました……」

 

エルフナインの忠告に度肝を抜かれたクリスは驚きを隠せていなかった。

 

「記憶…喪失って事か…?」

 

「それも一部、自分の名前、装者である事や過去に孤児院に居た事だけ記憶がないみたいなんです……」

 

「おいおい、冗談じゃねぇぞ…そんじゃあアイツ、、切歌の事もすっかり忘れてるのか…!?」

 

「特に切歌さん関係の記憶を主に無くなっています……」

 

「なん…だよ……それ…」

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「調………?何を言ってるデスか…?」

 

「し…ら…べ……?もしかして私の名前ですか…… ?」

 

「い、嫌だなー調ったら……演技上手過ぎて本当に見えてくるデスよ…?」

 

「もしかして私の知り合いなのですか…?すみません…私、自分の名前すら忘れてしまって……」

 

この時、切歌は完全に理解してしまった。

調は記憶を失ってしまったんだ。と…

 

「記憶喪失ってやつデスか…?」

 

「きっとそうなのだろうと思います…この身が言うことではないのですが、何か思い出せるかもしれないので、出会いとか色々教えていただけませんか…?」

 

切歌は必死に涙を堪え、調を心配させないように笑って話し始める。

 

「調は…私と同じ、孤児だったデスよ…。孤児院に預けられた私達はシンフォギアと言うものを纏い、フィーネの器となるために頑張ってきたデス」

 

「その、シンフォギア…というものはその孤児院に居た人達全員纏えるものなのですか…?」

 

「いいや、その入口にこっそりいるクリス先輩、そして今はここにいないデスけど、響先輩、翼先輩、マリア、そして私、暁 切歌とあなた、月読 調の7人しかシンフォギアの適合者とならなかったデス」

 

「調との出会いは孤児院で、私が調と言う文字が読めずに、調になんと読むか聞いたことが出会いデス、調(しらべ)って言う名前を聞いた時、私なんて答えたと思うデスか?」

 

「なんと言ったのですか?」

 

「ヤジロベーみたいでいかすデス!」

 

切歌は小さい頃調に言った時と同じような声のハリ具合で言う。

調は初めはキョトンとしていたが、そのうちにクスッと笑い始める。

 

「私の誕生日も孤児院に来た時にされたから似た者同士仲良くするデスって言ったのが出会いです」

 

「少し…安心しました…」

 

調は胸に手を当てて、ホッとするような顔をする。

 

「何がデス?」

 

「もしかして、とんでもない形で出会ったんじゃないかって考えてしまって……」

 

「人との出会いなんて、些細な事から始まるもんデスよ……さて、私はそろそろ行くデス、調はゆっくり休むデスよー?」

 

調は少しだけ悲しそうな顔をして言う。

 

「明日とかって……」

 

切歌はにっこりとして

 

「明日も明後日も明明後日も来るデスよ、調は私の大事な人何デスよ!」

 

と言った。

 

「ありがとう……」

 

と調は言うのを聞き、切歌は調の元を離れた。

 

 

 

切歌は外に居たクリスに顔を合わせずに、去ろうとした。

 

「ちょっとまて!」

 

クリスが切歌を止める。

 

「何デスかー?クリス先輩」

 

クリスは場所を移動しようと言い、切歌を倉庫に連れてきた。

 

「理解してるんだよな…?お前は…」

 

クリスは切歌が調にいつも通りニコニコしながら話してたことに疑問を抱いていた。

 

「理解したデスよー、だから出会った時の事を調に話してたデス」

 

「…どうしてだ……?」

 

「え…?」

 

「記憶が無いって気づいてなんでそこまで笑顔を作るんだ、自分を苦しめてるだけだぞ」

 

「分かってるデスよ…」

 

「分かってるんデスよぉぉぉ!!!!」

 

涙を極限まで堪えていた切歌だったが限界に達し、一気に涙が溢れだしてきた。

 

「わ、わりぃそんなに思い詰めるような言い方をするつもりは無かったんだ…」

 

「クリス先輩のせいじゃないデス…」

 

切歌は両肩を擦りながら話す。

 

「調に知り合いなのかって言われた瞬間に理解したデス、でもなんも知らない調の前でいきなり泣き始めたら……調が困っちゃうじゃないデスか!!」

 

「お前…そこまでアイツのことを……」

 

「私が調の前で泣いてどうするんデスか…泣いて何になるって言うんデスか…!一番泣きたいのは調なんデスよ!!気づいたら記憶が無くなって…!話してる相手すら誰だかわからない…!思い出したくても思い出せない…!そんなのって…そんなのって………!」

 

切歌は徐々に声が弱くなっていく、しかし最後に力を振り絞って、叫ぶ。

 

「この世界の誰よりも可哀想じゃないデスかー!!」

 

「ッッぁああああああああああああああ!!!」

 

切歌は遂に泣き潰れてしまった。

クリスはそんな切歌を見て、もらい泣きをしながら切歌の頭をそっと撫でる。

 

 

 

「ごめんなさいデス、少し感情的になりすぎたデス」

 

「いや、アタシも言い方ってもんがあった、わりぃな…」

 

「この事は調には内緒にして欲しいデス、調に泣いているところは見せたくないデスから…」

 

だが、その願いは叶わなかった。

 

何故なら、

 

その光景を偶然調は聴いていたからだ……




ご覧いただきありがとうございます!
多少の感動要素を入れてみました。更新頻度は不定期ですがなるべく早く更新出来たらいいなと思っています!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。