ナイツ&マジック FMA(フルメタル・アナザー)   作:コレクトマン

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自己紹介の後はNext Generation Knight

べへモスが討伐されてから翌日…フレメヴィーラ王国の王都カンカネン“シュレベール城”にて

フレメヴィーラ国王である第10代国王“アンブロシウス・タハヴォ・フレメヴィーラ”が

ヤントゥネン守護騎士団長フィリップとヨアキム・セラーティからベヘモスとの戦闘における

報告を受けていた。

 

「フウ…この者といい、あの白髪の幻晶騎士と騎操士…危ういのう。エルネスティとやらは

魔術演算機(マギウスエンジン)をその場にて書き換え掌握し、幻晶騎士の直接制御などと……事実だとすればもはや

正気の沙汰ではない。いくら聡明で類稀な能力を持っているとしても所詮は齢の12の童。

いずれ己の才に溺れるやもしれぬ。そしてあの小さき白髪の幻晶騎士の騎操士……我々の使う幻晶

騎士とは全く持って桁外れな常識を打ち破る幻晶騎士で、対大型魔獣用破城鎚を一人で持ち、

ベヘモスの脳髄に打ち込みこれを討伐。そして小さき幻晶騎士には我々では解析できぬ大砲を

持ち、ベヘモスを圧倒せしめる高い戦闘能力とその騎操士の高い戦闘技能。どこの国でもない

謎の小さき白髪の幻晶騎士か……」

 

アンブロシウス国王は、レーバテインと園崎の謎を未だ解析できぬまま考えるのであった。そして

フィリップは、アンブロシウス国王に追加の報告をする。

 

「我々はその白髪の幻晶騎士……もとい、その幻晶騎士の魔術演算機の進化系と名乗る“アル”と

やらがレーバテインと申しておりました。そのレーバテインはベヘモスの戦闘を終えた時にその

レーバテインの身体から白い煙を放出しておりました。アル殿によるときんきゅうれいきゃく?と

呼ばれる物でレーバテインの体内熱を冷やしている間動けないとのことで手の空いたカルダトアに

レーバテインを運んでもらい、カンカネンに運んだ次第です。そしてそのレーバテインの騎操士は

アル殿によりますと、過酷な精神疲労で眠っているとのことです」

 

アンブロシウス国王はフィリップの報告に頷くと、国王は時を見計らってエルネスティと園崎との

接触のことを考えるのであった。

 

「エルネスティ・エチェバルリア……そして、レーバテインの騎操士。時を設け、一度会って

みねばならぬな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方……レーバテインの中で眠っていた園崎は、フレメヴィーラ王国の騎操士の手で診療所に

送られ、診療所のベットの上で眠っていた。余談ではあるが、レーバテインから園崎を引き出す

時にAIであるアルが喋りだしたことでカンカネンの騎操鍛冶師(ナイトスミス)達は混乱していたことはこの時

眠っていた園崎は知らない。そして園崎は、ようやく長い眠りから眼を覚ますのであった。

 

「……ん。ここは…レーバテインの中じゃ無い?」

 

園崎は身体の上半身を起こして辺りを見渡した。多数のベットに白いカーテン。そして己が服装は

そのままであった。園崎は、此処は診療所だと判断した。

 

「……そういえば、レーバテインのラムダ・ドライバの使用による精神疲労で眠って……今思い

返せば、何で俺…ラムダ・ドライバが使えたんだ?」

 

そう考えていると扉が開くと銀髪の少年と黒髪の兄妹が入ってきた。

 

「あっ…起きたようですね!」

 

「彼がエル君が言ってた小さい幻晶騎士の騎操士?」

 

「あのベヘモスを一人で倒した騎士……なのか?」

 

園崎は銀髪の少年の声を聞いた瞬間、あの紅の幻晶騎士に乗っていた子供だと気付いた。

 

「その声…まさか、あの紅の幻晶騎士に乗っていた少年か!?」

 

「ハイ!あの時は自己紹介ができない状況でしたので改めて自己紹介します!僕はエルネスティ・

エチェバルリア。皆さんからはエルと呼ばれています。こちらの二人は…」

 

「アデルトルート・オルターよ。アディって呼んでね!」

 

「アーキッド・オルター。アディの兄で、皆んなからはキッドと呼ばれている。よろしくな!」

 

「エルにアディ、キッドか……宜しくな。俺は園崎……あっいや、ここだと名前が先か。

俺はカズマ・ソノザキだ……カズマと呼んでくれ。妙な名前かもしれないが気にしないでくれると

助かる……」

 

それぞれ自己紹介を終えた時、エルは目を輝かせながら園崎に質問するのであった。

 

「それじゃあカズマさん、あのロボットについて教えてくれますか?あの独特なデザインと武装は

本当に素晴らしいですね!あのベヘモスのブレスの中でどうやって防いだんですか?もしかして

僕の知らない技術でベヘモスの攻撃を耐え凌いだのですか?是非、僕にも教えてください!」

 

「ま…待て!いっぺんに喋るな!喋ろうにも立て続けに質問されたら答え難いだろ?」

 

エルの激しい質問ぜめに答え難くなる園崎をみたアディ達は園崎に同情し、エルの異常なロボオタ

に若干引き気味になるのであった。

 

「うわぁーっ…エル君のまた悪い癖が……」

 

「あいつ…あの小さい幻晶騎士を見て以来あんな感じだからなぁ…」

 

「小さい幻晶騎士?それってレーバテインのことか?」

 

「レーバテイン!あのロボットの名前ですか?北欧神話の武器の名前をつけるなんて、凄く良い

ですね!」

 

(な…なんでエルネスティが北欧神話のことを知っているんだ?)

 

なぜエルが北欧神話のことを知っているのか、園崎の疑念が残ったままエルの質問に答えるので

あった。それからべへモス討伐から二日後、エルと園崎はエルの祖父でありライヒアラ騎操士学園

の学長ラウリ・エチェバルリアと共にシュレベール城の王座に向かい、国王からべへモス討伐の

誉れと褒美を頂くのであった。なお…褒美については国王から望むものが有れば与えるとの事だ。

エルは、幻晶騎士の心臓部である魔力転換路(エーテルリアクタ)の製造法方の技術を欲した。

それを聞いた貴族は反対を申してきたが、国王が貴族を静まらせエルに何故魔力転換路の製造法の

技術を欲するのかを聞くと、エル曰く…自分専用機の幻晶騎士を作る為であり、作る理由のことは

趣味だそうだ。これを聞いた園崎とラウリは呆れながら脱力するのであった。これを聞いた国王は

エルの幻晶騎士作りが趣味という回答に笑い、エルの願いを聞き入れ、条件として新たな幻晶騎士

の開発で魔力転換路の秘を明かすに足る幻晶騎士を作れたらその魔力転換路の製造法を伝授する

ことを約束された。そして国王は園崎にも何が欲しいかと問い出した。

 

「……して、ソノザキとやら。おぬしはエルネスティと同様に小さき幻晶騎士……レーバテインと

申すか?その働きは聞き及んではおる。何が欲しい?申してみよ」

 

国王の問いに園崎の願いは既に決まっていた。

 

「……では国王陛下にお願いいたします。自分が欲するのは……このフレメヴィーラ王国の在中の

許可とエルネスティと共に幻晶騎士の開発に参加させて頂くことです」

 

「フム……我が国に在中するのは構わん……して、エルネスティと共に開発に参加する理由を

聞かせてはくれまいか?」

 

「はい。自分が開発に参加する理由としては二つ、一つは…エルが作る幻晶騎士とは違う別物を

作ることです。そして二つ目、ちょっとアレですが……エルの幻晶騎士好きの暴走を止めるための

ストッパー役です」

 

今の発言にエルは…“暴走なんてしませんよ!”と言いたげそうな顔をし、国王は園崎の意外な

理由にまたも笑うのであった。

 

「はっはっは!これはエルネスティも一本取られたそうだな。してソノザキよ、おぬしは何を

作ると申すのだ?」

 

「レーバテインと同じサイズで幻晶騎士とは違う機体…AS(アーム・スレイブ)でございます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国王から新型開発を命じられた園崎はエル達と共にライヒアラ騎操士学園の工房に向かっていた。

園崎はエルネスティから聞いた話によると、園崎が眠っている間レーバテインは学園の工房で

レーバテイン解析するために置かれているとのことを聞いてそこに向かうことにした。

そして学園の工房に到着すると外部装甲を取り外して内部修理されているグゥエールと、その横で

座り込んでいるレーバテインを発見した。

 

「紅の幻晶騎士の内部修理か?…もしかして、べへモス戦の時に見たAS以上の動きをした所為で

金属疲労でも起こしてオーバーホールされてるのか?」

 

「アハハッ……恥ずかしながらそう言うことになりますね。でも…中破気味た機体もまた

美しいです……」

 

「はいはいっエル君。言う処が違うでしょ?」

 

「いひゃい…いひゃいれふなんれふか!?」

 

エルが園崎の疑問を答えると同時にエルのロボオタが出て、ツッコミと言わんばかりにアディに

頰を引っ張られるのであった。するとそこにグゥエールの騎操士であるディートリヒがやって

来た。

 

「む……君、その様子だと目が覚めたようだね」

 

「お前は……まさか、あの紅の幻晶騎士の騎操士か?」

 

「ああ、紹介がまだだったね。私はディートリヒ・クーニッツだ。ディーと呼んでくれ」

 

「そうか…俺はカズマ・ソノザキだ。よろしくなディー。……ところで気になったのだが、その

目のクマはどうかしたのか?」

 

「あ…ああ。そ…それは気にしないでくれ……」

 

園崎はディートリヒと自己紹介を終えると修理されているグゥエールの後ろからひょっこりと

ドワーフことダーヴィド・ヘプケンが出てきた。

 

「おいっ銀色坊主(エルネスティ)!ディーの野郎に聞いたらグゥエールをあの有り様まで壊しやがった原因はお前

だって言うじゃねえか。野外演習の出発前に全身を新品にしたばっかりだってのにそれがどうだ?

魔力(マナ)がほんの少ししかない分、パーツの方は単体で見てもほとんどは金属疲労だらけ。

どうやったらこうなっちまうのかさっぱりで、このままじゃ対策も立てられねえと来た!

一体お前は何をしでかしたんだ!?」

 

ダーヴィドはエルにグゥエールの有り様の件を聴きだすとグゥエールの隣で待機状態になっている

レーバテインの中のAIであるアルからエルの代わりに答えた。

 

《ダーヴィド殿、おそらくエルネスティ殿はグゥエールの操縦桿のコードを自前の杖に巻きつけ

魔導演算機内の魔法術式(スクリプト)を転写し、()()()()()()()グゥエールを動かしたものと推測》

 

騎操鍛冶師達はアルの声を聞いても驚きもしなかった。一度レーバテインの中から園崎を引き出し

た場所は此処、ライヒアラ騎操士学学園のだ。無論、アディ達もアルの存在を此処で知ったのだ。

そしてダーヴィドは、エルの出鱈目な行動に頭を抱えこむ。対してディートリヒは、エルの行動

と園崎が乗るレーバテインのことを考えていた。

 

「推測ってな……普通は人一人の力じゃ幻晶騎士の魔法術式は演算しきれねえ。だからこそ魔術

演算機があるんだぞ…?」

 

(なるほど…あれはそう言うことだったのか…なんと言う常識はずれな芸当を……。

……だとすると、ソノザキが動かしたレーバテインは何なんだ?あれはもはや幻晶騎士などでは

ない…まるで別次元の代物だ……)

 

「グゥエールの結晶筋肉(クリスタルティシュー)の一部が疲労断裂している辺りあれか?坊主が直接制御したせいでその

反動に結晶筋肉が耐えられなかったのか?マジかよ…じゃあ何か?坊主が本気出しゃ“どんな

機体も”即潰れるのかよ!それじゃあ対策しようにも対策しようがねえだろ!」

 

グゥエールを修理するダーヴィドの苦労も園崎にも同意していた。確かにエルが旧世代の幻晶騎士

のリミッターを外して操縦すると終えた後には必ず潰れてしまうからだ。

その時に園崎は、アルにレーバテインのメンテとかのことを聞き出した。

 

「そういえばアル……お前、レーバテインの整備とかはどうしてんだ?」

 

「あー、俺もそれを聞こうとしてたんだ。お前、この機体は一体何なんだ?他の幻晶騎士や王族

専用機との違う。おかげで俺達の知らねえ技術ばかりでこいつの整備や調査は困難だ!一体どんな

技術が使われてんだよ!」

 

ダーヴィドの意見も最もで、俺もレーバテインの整備が出来なければ意味がないと思っていた。

するとアルから意外な答えを出した。

 

《軍曹殿、ダーヴィド殿、レーバテインの整備についてはご心配なく…レーバテインのフレーム

骨格や内部パーツなどはナノスキンを使われているので整備の心配性はありません》

 

アルの意外な聞き慣れた単語を聞いて園崎は困惑した。

 

「ナノスキンって…!?おまっ…何つう物をレーバテインに搭載させてんだよ!」

 

ダーヴィド達はナノスキンという聞いたことのない単語に疑問に思いながらダーヴィドが園崎に

ナノスキンについて聞き出す。

 

「おいっそのナノ何たらってのはどういうもんだ?」

 

「あー…そこからか、ナノスキンってのは簡単に言うと自己修復機能だ。人間で言う皮膚に

傷が付くと瘡蓋が出来るように時間が経てば新しい皮膚が再生し、瘡蓋を剥がせば新しい皮膚が

出来るというとんでもない技術だ」

 

園崎のナノスキンの説明にダーヴィドは余計に頭を抱え、エルは未知の技術に対して目を輝かせる

のであった。

 

「はぁっ!?自己修復機能!?何だその出鱈目な技術は!」

 

「レーバテインに自己修復機能があるなんて……凄いですね!」

 

園崎自身はある意味、レーバテインにナノスキンが搭載されていることに呆れつつも結晶筋肉の

改善点について話題を逸らすのであった。

 

「……レーバテインについてはまた今度でいいか?今は結晶筋肉の改善点を見いださなければ

ならないんじゃないか?」

 

「あっ…でしたら、僕に良いアイデアがあります!要は結晶筋肉の耐久性を上げればいいの

ですよね」

 

園崎がいう結晶筋肉の改善点についてエルは一つの本を取り出して結晶筋肉の改良案が書かれて

いるページを開き、園崎達に見せた。そのページには結晶筋肉の繊維が縒り合わせられた結晶

筋肉が描かれていた。

 

「こいつは…結晶筋肉の図面か?」

 

「はいっ!結晶筋肉を縒り合わせることで最終的な耐久性は上がり編み込むことで直線的に使う

より長い収縮距離が確保出来る。それは副次的に出力の増大にも繋がります。名付けて…

綱型結晶筋肉(ストランドタイプ・クリスタルティシュー)”!」

 

エルが提案した綱型結晶筋肉のテストを行うべく、ダーヴィドやバトソン達の騎士鍛治師は加工

された結晶筋肉を縒り合わせて綱型結晶筋肉を作り、その綱型を結晶筋肉の稼動テスト用の

サロドレアの腕に通常で使われている結晶筋肉に綱型結晶筋肉を三割を差し替えて筋力テスト用の

幻晶騎士専用のダンベルを使い、片手で持ち上げるのがやっとの重いダンベルを片手で軽々と

持ち上げるのであった。

 

「なるほどなあ…筋肉の三割を差し替えただけで効果はてきめんだ…!」

 

「ああ…これはこれで凄いな。(そういえば…レーバテインにも結晶筋肉を使われているかを

アルから聞いてなかったな?……また今度アルに聞いてみるか)アル、綱型の事をどう思う?」

 

綱型結晶筋肉のテストの際にはアルことレーバテインも綱型結晶筋肉を差し替えたテストアーム

を観察した後データ分析し、性能情報を纏めアルは性能結果を答える。

 

《綱型と通常型と比例した結果、最大出力は従来の1.5倍。伸縮の繰り返しに対する耐久性は10倍

まで上がるという結果が出ました。しかしながら、同時に欠点も発見されました。

綱型を使う場合、視点となる骨格をサロドレア感覚で固定すると上がった分の出力に耐えきれず、

破損してしまいます。お勧めとしては全身の力学バランスを見直した方が良いと判断します》

 

「…時々思うが、君の相棒は本当に凄い奴だな」

 

《肯定》

 

「ああ…それに、冗談もうまいようだからな」

 

アルのデータ分析に感心するディートリヒと園崎であった。そしてダーヴィドはアルの提案に乗る

のであった。

 

「そうか……骨格をサロドレア感覚で固定しても吹っ飛んでしまうか。だったらよアル、お前さん

から何かアイデアはないか?」

 

ダーヴィドがアルにアイデアが有るかと聞きだすと、アルが答えた。

 

《肯定、カルダトアの骨格をベースにサロドレアの骨格を強化をしてはどうでしょうか?》

 

「なるほどな、主力機の幻晶騎士の骨格をベースにすりゃサロドレアの骨格も多少は見直せるかも

しれねえな…丁度いい、今修理中の機体で試してみるか!」

 

ダーヴィドが骨格の難点をアルが見出した解消案を採用するのであった。そして園崎は、幻晶騎士

の新武装案をダーヴィドに告げた。

 

「ダーヴィドの親方…だっけか?だったらさ、魔導兵装にも手を加えてもいいか?」

 

「魔道兵装にもか?そりゃあどんなもんだ?」

 

「幻晶騎士が持つ杖。確か…火の槍(カルバリン)だっけ?それを杖ではなく、()に作り変えたらどうだろうか?」

 

園崎の案にダーヴィドは杖をライフルに作り変えるという案に疑問に思った。

 

「銃ってな……そいつはお前さんのレーバテインの技術のもんだろ?杖を大砲に作り変えるって

なあ……」

 

ダーヴィドが園崎の案に悩んでいると、エルが園崎の案の利点に気づいた。

 

「なるほど!魔道兵装の杖を銃に作り変えることで幻晶騎士から魔力を送られて放つ杖ではなく

魔力が貯まった弾倉を使って銃に変えた魔道兵装を放つことで幻晶騎士の魔力切れを防ぐという

利点ですね!」

 

「ああ…エルが言うように銃に作り変えることで幻晶騎士から魔力を送って放つことなく、魔力を

貯めた弾倉を使うことで幻晶騎士の魔力切れを防ぐ役割を持っている」

 

エルの答えは園崎が考えた案と一致していた。そして園崎は、図面とペンを借りて火の槍を使った

銃型の杖の図面を描いた。園崎が描いた銃はM9ガーンズバックが使用するGEC-B 40mm

ライフルであり、その40mmライフルの銃口に40mmサイズの球体型触媒結晶が取り付けられて

いた。

 

「このようにこの銃の銃口を球体型触媒結晶を取り換える事で魔法が放つことができ、魔力が

貯まった弾倉を装填することで直接幻晶騎士から魔力を使うことなく魔力が貯まった弾倉を使う

ことになる。名付けて…魔法銃(マジック・ライフル)だ」

 

これを聞いたダーヴィドや他の騎士鍛治師はざわめき、ダーヴィドはエルと園崎の発想力に驚く

ばかりであった。

 

「…全く、オメエら何モンなんだ?アレやコレや…どうしてそんな見たことも聞いたこともねえ

もんを作りたがるんだ?」

 

そうダーヴィドが言うと、エルは当然の様に答えるのであった。

 

「何をおっしゃいますか!“ないから創る”のです!あったら創りません!」

 

「いや…俺も言えた義理でもないがそれを言うのはエル、お前だけだぞ…」

 

エルと園崎から様々なアイデアを出した結果…エルからは綱型結晶筋肉と補助腕(サブアーム)背面武装(バックウェポン)

園崎からは魔法銃とASの火器管理(ファイアコントロール)システムをベースにした幻晶騎士用の火器管理システムを

発案した。その後…今更かもしれないがエドガーとヘルヴィ、ダーヴィドやハドソンなどに自己

紹介を終えてヘルヴィからサロドレアの改修機であるトランドオーケスを素体に新型を開発を

始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日……園崎は訓練用の魔導兵装の触媒結晶を使って魔法銃を製作し、試作モデルであるGEC-Mを

開発する。そして試射を行うためにディートリヒを誘って予備のサロドレアを使って魔法銃の法撃

テストを行うのであった。

 

「すまないなディー、態々法撃テストに付き合ってくれて…」

 

「いや、構わんさ!私も君の言う魔法銃にも興味があった訳だからな」

 

「そうか……それじゃあ、魔法銃の試作モデルであるGEC-Mの法撃テストを開始する!」

 

園崎はそう言うと甲冑の様な物を纏ったエルがやってきた。エルが纏っているのはエルが発案した

幻晶騎士を小型簡略化した甲冑、幻晶甲冑(シルエットギア)である。

これを作っているのはライヒアラ騎操士学園の鍛治師学科中等部である。

 

「あっカズマさん!どうですか?魔法銃の開発は?」

 

「ん?エルか…今から法撃テストを行う処だ。そっちの幻晶甲冑はどうだ?」

 

「んー……それなんですが、エドガー先輩によると魔導演算機がないと動かしにくかったり、幻晶

甲冑の通気性が悪かったりと改善点が山積みです」

 

エルが幻晶甲冑を作った理由は、ここフレメヴィーラ王国は訓練用の幻晶騎士不足に悩まされて

いたのだ。そこでエルは、幻晶騎士の小型簡略化と安価を測って幻晶甲冑を開発したのだ。

 

「……未だ改善点が残っているってことか。それよりも今から魔法銃の法撃テストを行うところ

だが見ていくか?」

 

「!…ハイ!もちろん見ていきます!」

 

エルは園崎が提案した魔法銃に興味を持っていた。エル曰く、“ロボットは銃を持つのは当たり前

のことです!”とのことだそうだ。それを聞いた園崎は思った。“この世界の魔法を使うロボットは

どうなんだろうか?”と……。

 

「よし……ディー!前にも教えたが、魔法銃を構える時は右手の脇を締めて、魔法銃のストックの

バットプレートを幻晶騎士の肩の全面に押し当てて左腕を開き過ぎない様左手でハンドガードを

しっかりと握ってくれ!」

 

「わ…わかった!こうだな…」

 

ディートリヒはサロドレアを動かして魔力が貯まった弾倉こと魔力弾倉(マナ・マガジン)を装填した魔法銃を構えて

訓練用の的に向ける。

 

「魔法銃構えよし、照準器(レクティル)表示。照準合わせ…発射準備よし」

 

「よし…先ずは単射(セミオート)射撃から始める!魔法銃のセレクトバーの白点を赤丸一個分の方に

向けるよう回してくれ!」

 

園崎の指示でディートリヒが動かすサロドレアは右手で魔法銃のセレクトバーを単射に切り替えた。

 

「単射に切り替え完了。……発射!」

 

そしてサロドレアは魔法銃の引き金を引いて銃口から魔法を撃つ。すると訓練用の的に当たる。

その後、魔法銃の連射(フルオート)を試した結果…魔法銃による法撃は6割的に命中しており、他は

連射の反動のブレで的に当たらなかった。魔法銃の法撃テストを見ていたエルはさらに瞳を

輝かせていた。

 

「んん〜〜!やはりロボットに銃は合いますね!」

 

「……やはり凄いものだね。この魔法銃は」

 

「ディー、御苦労さん。お陰で魔法銃の改善点が見つかった。魔法銃の魔力残量はどれくらいだ?」

 

園崎はディートリヒに魔法銃の魔力弾倉の残量を確認してもらうように頼む。

 

「ああ…魔法銃の残量は残り6割を切っている。あれだけ撃っておいてまだ弾倉の魔力が残って

いるなんてな……それに幻晶騎士自体の魔力貯蓄量(マナ・プール)は魔法銃の反動を抑えるため

に使った所為か魔力貯蓄量が8割を切っている」

 

「そうか……ストックの方を改善するのもありかもしれんが正式仕様の魔法銃を作らないとならない

からな。まあ…魔法銃に魔導演算機を搭載して、魔法術式をエルにオリジナル魔法である連続射撃(ラビットファイア)

作ってもらって組み込んだのはそれはそれで良しとするか。後は魔法銃の次に開発する新たな新型

を作るプランを実行するだけだな」

 

そう言って園崎は、懐にしまっていたある図面を開いて新たな新型プランを考えていた。

そのプランは、幻晶騎士とASのハイローミックス機を作ることであった。

その図面に書かれている機体名は、“Plan1100Y FORUSU KNIGHT(フォルスナイト)”。

 

 

【挿絵表示】

 

 

フルメタの敵組織であるアマルガムが開発したラムダ・ドライバ搭載試作型であるAS

Plan1056コダール初期型をベースにこの世界の幻晶騎士であるディートリヒが使う

グゥエールの頭部ユニットをベースに新しく作り変え、コダールの頭部ユニットと取り

替えただけの簡易的なプランであった。

 

「その為には先ず、各幻晶騎士のフレームを一から知る必要があるな。そうと決まれば行動

あるのみだ!」

 

こうして園崎は、この世界で初のAS開発に躍り出るのであった。

 




次回、“幻晶騎士VSAssault Soldier”


エル
「ロボット対決が僕を熱くする!」
園崎
「幻晶騎士対ASか……悪くないな」

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