…つまり。
魔法普通試験、通称
天文学の試験中、ハグリッドとマクゴナガルがアンブリッジ傘下の闇祓いに襲われるという事件こそあったが…それさえ除けば、比較的明るい雰囲気となっている。
ではこの部屋の、重苦しい空気は何であろうか。
「いよいよ…遂にこの時が来たのですね…」
自分の部屋で感慨深く呟くアンブリッジは、じゅるりと舌舐めずりしながらフレッドとジョージを見つめる。
それを相変わらず無機質な目線で見つめるキリコ、そう、今から彼等は退学になるのである。
「ウフッ、本当に可哀想に、後数日で卒業できたのに、これでホグワーツは中退扱い、お父様もお母様もさぞ悲しんでいる事でしょう」
「「…………」」
「ですが許す訳にはいきません、私は校長、規則を破る者には規則に沿った罰を与えなくてはならないのです」
もうそれはそれは良い笑顔で語るアンブリッジ、対して双子は怒りに顔を滲ませて…おらず、拍子抜けする程冷静である。
そこに丁度、怒りに満ちたハリー達が現れる。
「フレッド! ジョージ! 一体どういう事だよ!」
「ミスターポッター? 部屋に入るときはノックを、発言の際には手を上げて下さいね?」
「うるさい!」
まさかの暴言、普段なら怒り狂う所だが、極めて上機嫌だった為そんなに気にしなかった。
代わりに淡々と、何があったのかを説明していく。
「この二人は教職員並びに生徒に対し、度重なる注意勧告にも関わらず悪質な違法行為を繰り返してきました。
よって校長及びに尋問官権限をもって、退学処分にとなったのです」
「ふざけるな! 何が校長権限だ!」
「あら? では貴方達は試験中の会場に箒で突入した挙げ句大量の花火を打ち上げる行為を容認するんですの?」
「え」
一気に凍てついたハーマイオニーの目線が双子を貫く。
これはいくらなんでもやり過ぎ、フォローの仕様が無い、よってこの退学処分は違法とは言い難くなってしまう。
「「皆、心配かけてすまないな」」
「そんな…二人が謝る理由なんて…」
「エヘンエヘン、さあ早く出ていきなさい、もう用事は終わったでしょう?」
そう言うと同時に、キリコが彼等を無理矢理追い出す。
「さて、では退学通知…の前に、貴方達にはずっと散々な目に合わされてきましたね?
ツケを払って貰いましょう―――」
私的制裁を加えようとした彼女の前にキリコが現れる、アンブリッジはその行動の意味を瞬時に理解した。
「あら、確かに貴方も大変でしたものね、いいでしょう、お先に好きなようにやっていいわよ」
「ありがとうございます」
キリコはアンブリッジに一礼し、そして杖を取り出した。
今からこの杖を使って、彼等を散々に痛め付けるのだろう。
だが彼女の予想に反し、その場で杖をコツンと手の甲に叩き付けるだけだった。
「…ミスターキュービィー? 何もしないんですか?」
「いえ、もうしています」
可愛げに首を傾けるアンブリッジ、今のは何だったのだろう。
その疑問の答えを得たとき、彼女は衝撃を受ける事となった。
「もう? 何をしたの?」
「爆弾です」
「は?」
「爆弾です」
「…爆弾? 何処にそんな物が?」
「この部屋全てに、アンブリッジ校長がよく招いてくれたので、事前に仕掛けるのは簡単でした」
恐る恐る部屋の壁をよく見ると、透明呪文と消臭呪文で高度にカモフラージュされた、糞爆弾が絨毯の様に敷き詰められていた。
「ま、ま、まさかあ、あ、貴方…!」
何かを察したアンブリッジ、だがもう遅い。
かつて組分け帽子は、キリコ・キュービィーにスリザリンの適正もあると考えた。
アンブリッジの那由多の過ちの一つ、それは彼がかつて神すら騙し抜いたという事を知らなかった事。
「では、そろそろ失礼します…永久に」
キリコと双子が部屋の外へ飛び出した瞬間、全ての糞爆弾が連鎖爆発を起こし―――
「嫌あああぁぁぁ!」
床が抜け、糞と埃まみれになった蛙が、井戸の底へと落下して行った。
部屋から追い出された数分後に起こった爆音、一体何がと思ったハリー達は、とんでもない光景を眺めていた。
「いぃぃぃやぁぁぁぁああっ!?」
アンブリッジが糞と泥まみれになりながら、校内中をファイアボルト並みの早さで滑っているのである。
「…あれって確か」
「泥沼ジェットコースターだな」
以前双子の作り上げた悪戯グッズが、アンブリッジをあちこちに引き摺り回す。
当然生徒達の興味を引き、文字通りカオスとなっていた。
「デュフッ!?」
校内中の晒し者にされた挙げ句、最終的に昼食中の大広間に突っ込んでいったアンブリッジ。
生徒達は唖然としているが、教員達は何食わぬ顔でランチを楽しんでいる。
「ゼェ、ゼェ、な、何が起こったの…」
アンブリッジは状況を整理する、ウィーズリーの双子を虐待しようと思ったら、キュービィーが何か唱え、そして部屋が糞爆弾で爆発し、糞まみれになって末地面に落下。
そして変な沼にはまり、ここまで運ばれてきた…
「まさか…まさか…」
その時大広間の扉が開き、隙間から双子とキリコが顔を出す。
「キリコ…やっぱり…」
それを見付けた食事中のキニスはみるみる笑顔になり、反してアンブリッジの顔はみるみる歪んでいく。
「キュービィー…貴方…!」
「「そゆこと」」
双子はアンブリッジに向けて、あかんべーをした。
数秒沈黙が起こった。
「…殺してやりますわよおおおお!」
凄まじい形相が見るに耐えない形相となり、全力疾走しだすアンブリッジ。
当然逃走を始める三人、それを追いかけた彼女が大広間を飛び出した瞬間、全員また度肝を抜かれる事となった。
「殺してやりますわよおおおお!」
「殺してやりますわよおおおお!」
「殺してやりますわよおおおお!」
「!? 一体今度はな…ぁがっ!?」
アンブリッジ、アンブリッジ、アンブリッジ…
アンブリッジ目掛けて、大量のアンブリッジが走り出した!
「何よこれぇぇぇぇ!?」
「何よこれぇぇぇぇ!?」
「何よこれぇぇぇぇ!?」
「何よこれぇぇぇぇ!?」
ウィーズリー特製悪戯グッズその1、″そっくり大名行列″
選んだ対象のコピーを数百体生み出し、対象と同じ発言をしながら何処までも追い回す。
「真似ないで!」
「真似ないで!」
「真似ないで!」
「真似ないで!」
「何だコレ」
そうぼやくキニスに、誰もが同意した。
アンブリッジを追い回すアンブリッジ、それは例えるならばモナドから脱出しようとするファッティーの軍勢の様にも見える。
余談ではあるがファッティーの意味は″太っちょ″、パララント側の呼称フロッガーの意味は″カエル″である。
これは如何なる偶然か。
「一体何の騒…え…」
間が良いのか悪いのか、駆け付けたマルフォイ率いる親衛隊はその光景を見て思考能力を停止させる。
「何をしているの! 早く私を助けなさい!」
「! は、はい!」
悲鳴に等しい彼女の命令に従い、偽ブリッジに向けて次々と呪文を撃ち込むマルフォイ達。
「アアアアーッ!」
文字通り蛙の悲鳴をあげながら、次々と分身は消滅していく。
しかし悲鳴をあげているのは偽物ではない、偽物が消えたのは単なる時間切れである。
ついでに言うと、この分身に実体は無い。
つまり呪文は全て…
「ふう、やっと全部消え…」
「グェ…ゲゴォ…」
御覧の通り、ゴミ切れの様に早変わりしたアンブリッジが横たわっていた。
「…………」
「お、覚えておきない貴方達…」
「一体どういう事だキリコ!」
アンブリッジの目線から逃れた先に居たキリコに向けて、マルフォイが叫ぶ。
「何の話だ」
「言ってただろ、アンブリッジに取り入って権力を得るって! これじゃ全部パァじゃないか!」
「何ですって!?」
初めて聞く情報に驚くアンブリッジを置いて、話は進んでいく。
キリコは確かに、その野望を自分に語った。
だが今の行為に何の意味があるのか、マルフォイにはさっぱり分からなかった。
「…ああ、あの話か」
「一体どういう事ですかキュービ」
「あれは嘘だ」
「何ですって「だって」!?」
更なる情報に目をひんむく二人、そしてキリコがその驚くべき本心をついに語った。
「あんなものはお前を騙す為の方便に過ぎない、俺の目的は最初からこれだ」
「そ、そんな行為に何の意味がある!?」
「意味などない、たがやらずにはいられなかった」
とどのつまり、アンブリッジはキリコの怒りを買っていたのだ。
真実薬を入れた時からか、仲間であるハリー達に過激な罰則を加えた時からか。
しかし間違いなく言える事がある、アンブリッジはキリコを手駒として操ろうとしていた。
その時点で、運命は決まっていたと。
「「ヤホーイ!」」
「!?」
そして箒で颯爽と現れた二人がキリコを回収し、何かをばら蒔きながら飛び去って行く。
「ッ! 今度は花火!?」
迫り来る花火の弾幕、疲弊した体力と精神では防ぎきれず、その内一つが命中する。
「うっ! …あら、痛く無い?」
しかし意外な事に、少しチクッとする程度の痛みしかなかった。
…しかし、この花火は精神攻撃がメインだった。
「―――嫌あああ!」
色々な意味で暴走するアンブリッジを追いかける生徒達が見たのは、愛くるしいカエルの着ぐるみを着込んだ蛙だった。
ウィーズリー特性悪戯グッズその2、″簡単お着替え花火″
命中した対象を一瞬で着替えさせられる、なお風俗的な衣装は設定不可と、青少年にも配慮されている。
「笑うしかない」
「アハ、アハ、アハ…」
「大変だ! ハーマイオニーが壊れた!」
ハーマイオニーが壊れるのも止むを得ないだろう、アンブリッジの愛くるしい幼稚園児衣装やらフリフリのドレスローブ、その他文面に書くのも憚られる衣装を見て、正気を保つ方が無理というもの。
「も、もう嫌…ゆ、許して…」
当然当人であるアンブリッジの疲弊はその比では無い、半ば正気を失いかけている。
そこに止めを刺すべく、再び三人が表れた。
「ひぃっ! もう止め―――」
ポンポンと背中を叩かれ振り返った彼女が目にしたのは、彼女が最も嫌いとする半人…
即ち、ケンタウロスが彼女を見下ろしていた。
「ギャアアアアーーーッ!? 何で半人がぁぁぁ!?」
ウィーズリー特性悪戯グッズその3、″お手軽ボガート″
シールを張った対象が、それとは別のボガートシールを張った人物を見ると、ボガートの様に一番怖いものに見える。
効果時間は短い為、脅かすのに丁度良い。
「こないでこの野蛮人! 来ないでーっ!」
今までの疲労が嘘の様に跳ね回るアンブリッジを、キリコ達が変身したケンタウロスが追い回す。
「何で! 何で私がこんな目に!」
涙目で廊下を這いずり回る彼女は、逃げ回った末禁じられた森付近まで飛び出す。
ここまで来れば…と油断した瞬間、ケンタウロスが更に増えた。
前方、後方、どちらもケンタウロスである。
アンブリッジは完全にパニックと化し、ひたすら暴言を吐き続ける。
「来ないでバケモノ! ゲテモノ! 野蛮人! 半獣! 来ないで…え?」
叫び終わる頃にはキリコ達の効果が切れ、普通の姿に戻っていた。
しかし正面のケンタウロスが、人間に戻る気配は無い。
「え…あ…う…」
「…………」
凄まじい形相でアンブリッジを見下ろすケンタウロス、そう、こっちは本物であった。
「おや、アンブリッジ上級補佐官殿ではないですか」
「ル、ルスケ大臣秘書?」
禁じられた森から表れたロッチナは、頼んでもいないのに状況を説明し始める。
「いえ、何て事はございません、先日のフィレンツェ殿について、お話の続きをしていたのですよ。
それで今度はフィレンツェ殿も加えて話し合う為に、代表の方をホグワーツ校内まで御案内していたのです」
ロッチナはそう語り終えると、再びホグワーツへ向けて足を進め始める。
そして校内に入る直前足を止め、ケンタウロスの方に向き直す。
「護衛の方はここで、ゆっくりのんびりと、心行くまま思い思いに、かつ自由にお過ごし下さい」
「ま、待って! た、助けてルスケ!」
「仕事がありますので…では、ご健闘をお祈りしております」
ケンタウロスに取り囲まれるアンブリッジ、だがこの絶望的状況を前に、とうとうやけくそになってしまった。
「…殺してしまいなさい! 全員! 殺してしまいなさい!」
その叫びと共に、次々と傘下の闇祓いが現れる。
彼等はアンブリッジの命令に忠実に従い、ケンタウロスやロッチナを襲い始める。
「アハハハ! こ、これが私の力です!」
ケンタウロスも負けじと応戦するが、あんな人間の部下とはいえ流石は闇祓い、一人一人確実に無力化していく。
殺さないだけ、まだ良識は残っているのだろうか。
「さあ! あの男も殺してしまいなさい!」
一頻り無力化した事で余裕が生まれ、手の空いた闇祓いがロッチナに迫る。
しかし彼は一切動揺せず、不敵な笑いを浮かべていた。
「
「
詠唱を途中で中断する闇祓い、いや彼だけではない、ここにいる闇祓いとアンブリッジ、キリコ、その全員が唖然としている。
何故なら、今さっきまで陸だった場所が海になっていたからだ。
「これは…ッ!」
そう呟いた瞬間、上空から降り注ぐ鉄槍に気付いた一人が回避行動に移る。
しかし鉄槍は尚も、大量に降り続ける。
それだけではない、彼等の目の前には、大量の鉄のゴーレムが隊列を成して迫っている。
「
突然の事態に混乱しつつも、冷静に対処する闇祓い。
ところが呪文をどれだけ撃っても、ゴーレムには当たらない。
その内一人が、その違和感に気付く。
「…水の感覚が無い?」
「触れられない? いや違う、これは―――!」
「闇祓いの諸君御名答、この呪文はただ大掛かりな幻を見せるだけの目眩まし呪文なのだよ」
ロッチナ直々のネタばらしに拍子抜けする面々だが、キリコだけは違っていた。
(ただの幻影? どこがだ、この光景は…タイバス渡河作戦そのものじゃないか!)
この呪文は確かに幻影だ、しかし同時に現実でもある。
術者の記憶を編曲し、構築する幻影、それこそがこの呪文の正体である。
「いつまで怯んでいるんです! さっさと殺しなさい! 結局あいつは何もできないんですから!」
「その通り、私はこれ以外得意な呪文を持っていません」
戦意と落ち着きを取り戻し、燃えるPR液の幻影を突き破りながら迫り来る闇祓い。
だがそれでも依然として、この男は冷静なままだった。
「フフフ…そう、私はね」
「―――ぐあっ!?」
ロッチナに杖を突き立てた闇祓い、その頬に長い棒が突き立てられた。
一体何が、その時彼等は見た。
彼の影から、白い髪と仮面を付けた、一人の人間が現れるのを。
「やれ、エディア」
「…………」
「あれが…!? 噂は本当だったの!?」
(エディア…?)
ロッチナの専属護衛、噂ではあるがそれを聞いていたアンブリッジは目を見開く、
ここで撤退命令を出しておけば彼女は無事だっただろう、だが彼女はそう思わなかった。
「この数に! 勝てると思っているの!?」
6人も残っている闇祓い、戦いは数で決まる、アンブリッジはそれを信じた。
…そう、彼女はあくまで政治家。
軍人が政治家を兼任している事が当然となっている、アストラギウス出身では無い。
それもまた、命取りとなる。
「
「
「
次々と放たれる呪文、閃光は全方位から飛んでおり、避けようがない。
誰もが、特にアンブリッジが勝利を確信する。
「―――なあっ!?」
その光景を見た瞬間、闇祓いの一人が間抜けな声を上げてしまう。
エディアはその手に持った、片方に刃の付いた長棒を振り、全ての呪文を文字通り叩き落としたのだから。
「まさか魔法生物の皮を―――」
「き、消えた!?」
「何!?」
驚いている隙に姿を眩ますエディア、次に姿を表したのは、彼を必死で捜す闇祓いの真後ろだった。
「―――っは!」
時既に遅し、後頭部に強力な打撃を受け、一人の意識が奈落へ沈んでいく。
「…………!」
それにより隊列の崩れた闇祓いを、次々に撃破していく。
全て気絶させているので、殺す気は無い事は明確である。
だがそれが逆に、無意識の内に闇祓いの油断を呼ぶ形になる。
「クソッ! 何なんだこいつは!」
「呪文も使っていないのに!」
(あの動き…ま、まさか…!?)
キリコがその動きに既視感を覚えている間にも、一方的な戦いは続き、遂に闇祓いは一人残らず気絶させられてしまった。
「あが…あが…あが…」
「御自慢の闇祓いは、これで全員ですかね?」
ガクガクと、電気を流された蛙の死体の様に膝を震わせるアンブリッジ。
それは闇祓いが全滅されただけでなく、このタイミングでケンタウロス達が、意識を取り戻したのも原因だろう。
「戻れエディア…さて、私は急いでフィレンツェ殿の元へ向かわねば」
「!? ま、待って! 助けてルスケ!」
今さっきまで殺そうとしていた男に助けを求めるとはな、ほとほと呆れた女だ。
ケンタウロス達に体を押さえ付けられ、恐怖に震えながらヤツは、俺に目線を向けてきた。
「キリコ! キリコ! お願い! 今までの事は許してあげるから! 助け」
「
「―――ッ!? ―――! ――――――!」
俺はヤツの忠実な部下だ、命令を聞いたら従わなくてはならない。
…命令を、聞けばだ。
「次の、御命令は?」
「―――!? ―――!!」
「すいません聞こえませんでした次の御命令は?」
「――――――!」
何処までも引き摺られながら、断末魔すら上げられなかったアンブリッジ。
その姿が見えなくなった瞬間、この茶番を見ていた生徒達は、ホグワーツ城がはち切れんばかりの喝采を上げたのだった。
…この翌日、ザ・クィブラーに、リータ・スキーターが今まで集め続けた、アンブリッジの横暴、その全てを捕らえた写真が公開された。
またそれと同時に、ハリー・ポッターのインタビュー記事も記載、クィブラーの売上は過去最大となる。
この結果、魔法省の信頼は地の底を突き破り、自分で穴を掘る程に転落。
コーネリウス・ファッジの支持率は歴代魔法大臣最低の5%を記録し、辞任する事になる。
またドローレス・アンブリッジは、闇祓いの私的運用、過激な罰則、許されざる呪文使用、半人への冒涜的発言等を理由に、アズカバンで終身刑が決定した。
…しかし、余りにも肉体的、精神的磨耗が激しかった為、聖マンゴでの長期療養を余儀なくされる事となった。
だが、それを知るのがまだ先である俺は、アンブリッジの追放を喜ぶどころではなかった。
エディアと呼ばれたあの男、何故ヤツはあの動きができたのだ。
何故あの武芸を、バランシングを知っていたのだ。
バランシングができる人間など多くは無い、いや、この世界に居る筈が無い。
であれば、ヤツもまたアストラギウスの人間なのは間違いない。
ヤツは、ヤツはまさか…イプシロンなのか!?
ホグワーツの灯りと、禁じられた森の暗闇。
俺はその間の黄昏に、かつての
ここは何だ?
この圧倒的なる場所
闇にうねって神秘を満たす
もしやして、こここそが予言なる物の意企潜窟か
果てしなき混乱、大いなる混沌
始まるは胎内くぐりか、戒壇巡り
鼓動、蠕動、圧縮、加熱
ねじれねじれてまたよれて、くぐりくぐったその先は
次回、『アンノーン』
アーチ潜るな、何処へ行く
ファントアラング ―幻影編
ドーム状の空間を作り、内部に術者の記憶を元にした立体映像を展開する映像。
尚外側からは何も見えず、ただのドームが見えるだけである。
しかし目晦ましにしても魔力消費が激しく、ちょっとしたパフォーマンスに使うのが限界である。
バランシング
本編第二クールの舞台、クメン王国に伝わる伝統的な武術。
片方に鎌の様な刃が付いた、長棒を使い戦う。
何故これをエディアが修得しているかは謎である。
以上キリコの壮絶な逆襲撃でした。
…さあこっからはシリアスだ。