【完結】ハリー・ポッターとラストレッドショルダー   作:鹿狼

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データが吹っ飛びかけてマジでビビった、
今度からワードを頼りにしようと反省しています。
↑「嘘を言うなっ!」

追記 宴シーン入れ忘れてました。




第三話 「出会い」

俺はチケットをもう一度確認し直す。

キング・クロス駅

…間違いなくここはキング・クロス駅だ。

ホグワーツ行き 十一時発

…現在時刻は十時、乗り遅れたわけでもない。

九と四分の三番線

…そして周りを良く見渡す、俺が立っている場所は九番線。

…四分の三とは何の事なんだ、俺は駅のホームで立ち尽くしていた。

 

駅員に聞こうかと思ったが魔法の存在が秘蔵されているのを思い出し止めることにした、聞いた所で狂人に思われるだけだ。

実際の所魔法同様にこのプラットホームのどこかに入り口が隠されているのだろう、入り口を探しながらホームを適当に歩き回っていた俺の視界は違和感を捉えた。

 

違和感の先、そこにあったのは子連れの家族だった。

しかしそいつらは黒いローブを羽織り、動物やら杖やらが入った巨大な荷物を押していたりと、家族旅行と考えるには明らかにおかしな恰好。

恐らくあいつらは俺同様ホグワーツへ向かう生徒だろう、ならばホームへの入り口を知っている筈だ。

そう考えヤツ等を観察していたがすぐに見失ってしまった。と言うより壁の中に消えて行ってしまったのだ。

 

…つまりそういうことか、俺はヤツ等の後を追うように壁へ向かって突っ込んで行く―――

瞬間、俺の視界には石壁ではなく広大なホームが広がっていた。

再度周りを確認すると「四分の三番線」と書かれた看板がある、どうやら俺の考えは間違っていなかったらしい。

 

ホームは列車に乗り込む子供達にそれを見送るであろう保護者で溢れている。

人混みを避けながら、俺は早めに列車に乗り込む事にした。

 

 

 

 

…列車が出発した後暫く別れを惜しむ親子の声が響いていたが、それが急に届かなくなると同時にキング・クロス駅の姿も全く見えなくなった。

周りの景色が駅周辺と明らかに違うのを見るに、駅を出ると同時に何処かへ移動していたのだろうか。

俺は少し奥の車両のコンパートメントに腰掛けながら何冊か教科書を取り出し、その中の一冊に目を通す。

 

俺の″目的″、それは俺を殺せる魔法を探す事だ。

…しかし今の俺は魔法を全く知らない、だから今はこうして教科書を読み漁り基本を固める事にしている。

長い道のりとなるだろうが…希望の欠片も見えなかった今までよりは遥かにマシな道だろう。

そして俺は教科書を読みはじめた。

 

暫く経つと車両の奥から老婆の声が響いてきた、通路に身を乗りだし覗き込むと老婆は色々な食べ物を乗せた台車を運んでいる。

車内販売か、ホグワーツまではまだ時間が掛かるだろう、ならここらで何か食べておいた方が良いかもしれない。

そう考え老婆を呼び止める。

 

「車内販売よ、何か買いますか?」

 

そう言われカートを覗いてみる。

カートの中には百味ビーンズ、蛙チョコレート、かぼちゃパイにかぼちゃジュース、砂モグラ風ロールケーキ、大鍋ケーキ…カートの中は多分…お菓子だと考えられる物ばかりであった。

余り好みの物は無かったがここで何も買わないで腹を空かすのもどうかと思ったので危険そうな物は避け、大鍋ケーキとかぼちゃジュースを買う事にした。

 

「わかりました、毎度~」

 

老婆が去った後ケーキの袋を空けてみると、そのケーキは名前の通り黒い大鍋の形をしていた。

なかなか精巧に再現したその出来に感心しつつさっそく一口食べてみる。

…なるほど、このケーキはスポンジを幾つか重ねたような構造になっているのか。

その間には淡白な味のスポンジとは対照的に濃厚な生クリームが挟まっている。

それも多すぎず、最適な量となっておりそれがスポンジと混ざりあい滑らかな舌触りと甘さを演出する。

 

それだけではない、スポンジに混ぜられた固いチョコチップはちょうどいい歯応えと苦みとなり食べる人を飽きさせない。

暫く食べた後喉が乾いた俺は、かぼちゃジュースを飲み口の中に残ったケーキごと胃に流し込む。

なるほど、こちらのジュースもなかなか旨い。

かぼちゃの味は濃すぎず少し薄味となっている、さらにジュースに混ぜられているであろうリンゴがかぼちゃの甘さのクセを和らげ、爽やかな飲み心地となっている。

 

これならどんな子供でも飽きずにどんどん飲んでいけるだろう、そして俺はジュースで喉を潤した後少し溜息をつく。

 

「…甘い…」

 

…確かに旨いのだが、正直俺の舌には甘過ぎる。

いや、子供向けならこの位で丁度良いのかもしれないが。

あの世界に旨い物が碌に無かったせいだろうか、俺も気がつけば随分味に煩くなっている。

惜しむべきはこの国がイギリスだという点か、そうでなければもっと積極的に外食に行っていたのだが。

ホグワーツの食事はどんな味なのだろう、密かに期待しながら再びケーキに手をつけ始める。

 

 

 

 

俺は別の車両から自分のコンパートメントに戻ろうとしていた。まあ用を足してきただけだが。

 

「ゲコ」

 

車両の端から聞こえた音、その方向を見るとそこにいたのは何故か蛙だった。

何故蛙が?

少し考えた後、ホグワーツに持っていける動物を思い出す。

確か…ヒキガエル、ネズミ、ふくろうの三種類だったはずだ。

俺は結局どれも不要そうだったので適当にネズミにしておいたが、こんな所に居るということは誰かのが逃げ出したのだろう。

 

飼い主が探しているかもしれないので蛙を拾い上げておく。

改めてコンパートメントに戻ろうと車両を挟むドアを開けたところ、その飼い主とすぐ出会う事となった。

 

「あっ…えっと…、…あ!トレバー!」

 

トレバー、この蛙のことだろうか、なら目の前のこの大人しそうな少年が飼い主か。

 

「…気を付けろ」

「あっ、うん…、…あ、ありがとう」

 

そして俺はコンパートメントに戻り読書に戻ろうとするが、それは勢い良く開かれたドアの音に断ち切られた。

 

「ねぇちょっといい? 貴方ヒキガエル見なかった? ネビルって子のペットが逃げちゃったから皆で一緒に探してるんだけど中々見つからなくて。

それにしても本当に魔法ってすごいわね、人が突然透明になったり物が勝手に浮いたり、動物もお菓子も見たこと無いものばかりで本当に驚いたわ、私の両親はどっちも魔法使いじゃ無いから初めて見るものばっかりで…

あ、私はハーマイオニー・グレンジャー、貴方の名前は?」

 

…怒濤の勢いで喋りきったハーマイオニー…と名乗る少女に俺は少し呆気にとられていた。

こういった性格の人間は少し苦手だが、かつての友人を思い出す。

…いや違うな、あいつは目の前の少女よりさらに元気…というより騒がしいと言った方が似合っている。

 

「ねぇ、ちょっと聞いてる?」

「…キリコ・キュービィーだ、蛙ならもう見つけておいた」

「あ、そうだったの? ありがとう助かったわ!」

 

そう言い終わりかけた所で彼女はもうコンパートメントから出て行った。

外でまだ声が聞こえるが誰かと話しているのか、蛙が見つかった事を話しているのかもしれない。

まあ何でも良いだろう、静かになり俺は″近代魔法史″と書かれた本を取り出すと栞を挟んだページを開き、読書を再開する。

 

「…ポッター君、だからそこのそいつのようなヤツとは付き合わない方が良い」

「悪いけど、自分の友達くらい自分で決められるよ」

「そうだそうだ! お前こそ考えた方が良いんじゃないか? そんな腰巾着ばかりつれてさあ!」

「黙れよウィーズリー、血を裏切る者め」

「いい加減にしろよマルフォイ!」

「いい加減にするのは君たちの方じゃないか?それに―――!?」

 

再び開かれたコンパートメントの扉、その音に怯んだのか全員目を開けこちらを見ている。

居たのは彼女ではなく、五人の少年だった。

 

「…静かにしろ」

 

読書を邪魔され軽く苛立ちながらそう言い放ち、コンパートメントに戻ろうとすると金髪のマダム・マルキンの店にいた少年…たしか…名前は…マルフォイ…だったか? そいつがまたしつこく話しかけてきた。

 

「あ! 君はあの時の…

前は聞きそびれたけど、君もホグワーツに相応しいのはそこに居る連中じゃなく、僕らのような純血の魔法使いだと思うだろう?」

「どうでもいい」

「…へ?」

「あと、俺は純血ではない」

「え!?」

 

話す気も無かったが何か返さない限り延々と聞いてきそうだったので、さっさと会話を切り上げ俺は席に戻る。

あの買い物の後本で調べたが、純血とは両親や祖先にマグルの血が混ざっていない、つまり俺の予想通り選民思想の一種だと知った。

…まあ俺の実の両親は生まれた時点で死んでしまっていた為、実際は純血かどうかなど分からないが、わざわざ教えてやる義理もない。

しかしヤツは何故俺を純血だと思っていたのだろうか。

 

そう思った時、先程の会話で″ポッター″という言葉が出てきたのを思い出した。

ポッター…俺は何かを思い出すよう手元の本を捲っていく。

…あった、このページだ。

何処かで見た名前だと思ったがそうか、額に稲妻型の傷があった眼鏡の少年。

あれが闇の帝王…ヴォルデモート卿を倒した少年なのか。

 

だがあの少年、俺と同い年という事は当時は赤子だ、一体どうやってヴォルデモートを倒したのだろうか?

ヴォルデモートを倒した方法こそ気にはなったが、それ以外の興味が沸いた訳ではなかった。

そもそも考えても分からないことはどうしようもない、俺は考えるのを止め今度こそ読書に没頭し始めた。

 

 

 

 

(イッチ)年生はこっちだ!」

 

そう叫び新入生を案内しているハグリッドという名の大男は、クエント人の様に巨大な姿をしていた。

ヤツに案内された道は薄暗く左右は木々に覆われており、しかも急激な下り坂となっている。

…前でも後ろでも既に何人か転び坂を軽く転がっている、新入生を迎えるのに何故こんな道を選んだんだ。

 

足元に注意を払いながら進んでいくと急に広大な湖が現れた。

そして向こう岸にはパッと見ると古臭いが、何百年も積み重ねられたであろう伝統が伺える荘厳な城が聳え立っていた。

あの城がホグワーツか。

周りに合わせボートに乗り込みながら、俺は湖面の炎に浮かび上がるその城を眺めていた。

 

湖をボートで渡り切り、城内の階段を登りきった場所で待っていたのはエメラルド色のローブを羽織っている壮年の女性だった。

大男は新入生の案内をマクゴナガル先生と呼んだその女性に引き継いでいき、奥の扉から出て行った。

彼女は新入生の方を見渡したあと、全員に届くよう、かつ落ち着いた声で話始めた。

 

「新入生の皆さん、ホグワーツ入学おめでとうございます。これから皆さんの歓迎会が始まりますがその前に、皆さん一人一人の寮を決めなくてはなりません。

組分けはとても大事な儀式です、ホグワーツにいる七年間皆さんはその寮の中で学び、眠ります。

また自由時間もそれぞれの寮の談話室で、そして同じ寮生は家族同然となりこれらを皆さんと共に過ごすことになります。

寮は全部で4つ。グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリン。

それぞれに輝かしい歴史があり、多くの偉大な魔法使いや魔女が卒業して行きました。

ホグワーツに居る間、皆さんの行いは自らの属する寮の得点となります。

良い行いなら得点に、悪い行いなら減点に、 そして学年末には最高得点の寮に大変名誉ある寮杯が与えられます。

どの寮に入るにせよ、皆さん一人一人が寮にとって、またホグワーツにとって誇りとなるよう望みます。」

 

そう話終わり一息つき、服装を整えるよう新入生に伝えると彼女は準備のためと言い奥の扉に入って行った。

組分けの儀式か、″ホグワーツ歴史書″という本を読んではきたが組分けについては極秘事項なのか全く触れられていなかった。何故たかが組分けがそんなに極秘なのか、その疑問の答えは彼女が戻ってきた事で先伸ばしとなった。

 

案内された大広間は城外同様壮大な場所だった、天井には何千という数の蝋燭が糸も使わずに浮かんでいる。

その天井も武骨な石や精巧な絵画ではなく、多くの星が煌めく夜空が広がっている。

席の方を見ると部屋の端まで届きそうな四つの長机には、上級生が絶え間なく拍手を送っている。

少し奥にある上座の机は教職員の机だろう…そして間の机に置いてあるのは…帽子か?

 

何故帽子が置いてあるんだ、そんな疑問は突如顔の様な模様が浮かび上がりその帽子が歌い出した事で完全に吹き飛んでしまった。

 

 

 

『グリフィンドールに入るなら 勇気ある者が住まう寮 勇猛果敢な騎士道で ほかとは違うグリフィンドール

 

ハッフルパフに入るなら 君は正しく忠実で 忍耐強く真実で 苦労を苦労と思わない

 

古き賢きレインブンクロー 君に意欲があるならば 機知と学びの友人を 必ずここで得るだろう

 

スリザリンではもしかして 君はまことの友を得る? どんな手段を使っても 目的遂げる狡猾さ』

 

 

 

…つまりこの歌は、それぞれの寮の特徴を表した歌なのか。

彼女が言うにはこの帽子が一人一人、どの寮が相応しいか決めてくれるらしい。

まず最初の一人が呼ばれる。

 

「アボット・ハンナ!

…ハッフルパフ!」

 

するとハッフルパフの席と思われるテーブルから歓声と拍手が上がり、次々と名前が呼ばれていく。

 

「キュービィー・キリコ!」

 

…暫く経ち俺の名前が呼ばれた。

それぞれに相応しい寮を選んでくれるらしいが自分がどの寮になるのか見当もつかない。

まあ正直な所何処でも俺にとっては大差無いのだが、そうして俺はその帽子を深くかぶる。

 

 

 

これは…一体…どういうことだ…?

 

組分け帽子は驚愕した。

これまで幾人もの生徒を組分けてきたが、こんな生徒は見たことがなかった。

大人びた子は何人もいた。

冷静な子も何人もいた。

無口な子も何人もいた。

しかし皆、心の中では年相応の無邪気さや希望を持っていた。

しかしこの生徒は明らかに違った。

彼の心に無邪気さは欠片も無かった。

夢は粉々に砕かれていた、希望はあったがズタズタに引き裂かれていた。

彼の心をどこまで行ってもどす黒い暗闇しか見えなかったのだ。

 

…しかし彼が何であろうと私は組み分けねばならない、彼に最もふさわしき場所へ。

…彼が少しでも救われるであろう場所へ。

 

 

 

帽子をかぶり暫く経つと、頭の中に帽子の声が響いてきた。

 

(…これまた何ということだ。全ての寮への適性を持っている。

何物にも立ち向かう勇気、どんな困難も耐え忍ぶ忍耐、如何なる危機も切り抜ける機知、目的のためなら全てを欺く狡猾さ。

さて…どうしたものか…)

 

帽子はポツリポツリと困惑した様子でそう言った後黙り込んでしまった。

 

…もう五分以上は経った、帽子で塞がれよく分からないが前の上級生席や後ろの教職員席もざわついてきている。

確か五分以上かかるのは、組み分け困難者といいかなり珍しいらしい。

そこから更に二分ほど掛かり、帽子が一息ついた音が響いてきた、やっと決まったらしい。

 

「…ハッフルパフ!」

 

少し溜めた後帽子が叫ぶと、ハッフルパフのテーブルから一段と盛大な拍手と共に俺は迎えられた。

奥の空いた席に座ると、隣に座っていた短い茶髪の少年が話しかけてきた。

 

「お疲れ様! 僕の名前はキニス・リヴォービア、これからよろしくね!」

「…ああ」

「それにしても随分時間が掛かってたね、確か五分以上掛かった人って組み分け困難者って言うんだよねー。

あ、でもその分先輩たちは喜んでたな。

何でもハッフルパフは滅多に目立つことが無いからこういうことが起きると特に嬉しいらしいよ。」

 

そいつの会話を聞き流しながら、残りの組み分けを眺めていく。

周りを見渡すと何人かは眠そうに首を動かしてるが無理もない、長時間列車に乗っていたり、色々な事があったりともう疲れて当然だ。

そして半分以上が寝始めた頃、組み分けが終わり寮への案内が始まった。

 

厨房の間を通り抜け、上級生の後をついて行った先にあったのは何故か大量の樽であった。

上級生はその内の一つの樽に手を伸ばし、底を二回叩く。

すると壁に掛けられた絵画が動き出し、談話室への入り口が開く。

 

「今のが談話室への入り方だ、ただしどの樽でもいいという訳では無い。

樽山の内二つ目の列、その内真ん中の樽の底を二回叩かなくちゃいけない。

今のはハッフルパフ・リズムと言って分からなくなったら友達や上級生に聞くように。

でなきゃ君たちはアツアツのビネガーを頭から被ることになる」

 

上級生の言った事をメモに取る、忘れるのは不味い、ビネガーを被るのも御免だ。

書き取りを終え周りを見るともう殆どの生徒は意識が朦朧としている。

…明日は入口がビネガーまみれになりそうだ。

そんな事を考えながら談話室へ入って行くと、そこには黒と黄色を中心とした配色の暖かそうな空間が広がっていた。

左右には樽底のような扉が取り付けられた、細長い通路が続いている。

 

「ここが談話室だ、右が男子、左が女子寮となっているので間違えないように。

あとついでに言っておくと男子女子共にお互いの部屋への出入りは自由になっている。

…が、羽目を外さないように。

では今日はもうこれで解散だ、みんな疲れているだろうし、ゆっくり休んでくれ」

 

…今さり気無くとんでもないことを言っていた気がする。

確かにどの寮でも良いと思ったが色々大丈夫だろうか、一抹の不安に駆られながら俺は自分の部屋に入る。

俺の荷物も運び込まれてる、ここで合っているだろう。

だがもう一つ荷物があるということはここは二人部屋なのだろう、それを証明する様に再びドアが開く。

 

「あっキリコも同じ部屋なんだ! …じゃあ改めて、これからよろしくね!」

「…ああ」

 

どうやら先ほど隣の席にいたキニスというヤツが俺のルームメイトらしい。

最低限の荷物整理をし終わる頃には、ヤツはもうベットの上で熟睡していた。

…かくいう俺も猛烈な眠気に襲われる。

良く考えれば俺の体はこいつらと同じ年齢だ、なら疲れの溜まり方も同じで当然。

羽織っていたローブをハンガーに掛けると睡魔に引きずられる様に、俺の体と意識はベッドに沈み込んで行った。

 

薄れゆく意識の中、俺の手には暖かな毛布の肌触りがあった。

しかしそれに対して俺の心は鉄のよう冷え切っている。

死なない為に生きていた頃の、鉄の触感。

死ぬ為に生きる、今の暖かな触感。

どちらにせよもう、そこにおふくろの様な暖かさを感じる事は無い。

だからこそ俺はここに来たのだ。

今度こそ、深い眠りが訪れる事を祈って…




かつて、あの組み分け帽子の歌に送られた生徒たち。
寮を守る誇りを黒いローブに包んだ魔法使いの、ここは学び場。
無数の教師とゴーストたちの、
ギラつく期待に晒されて教室に引き出されるホグワーツの新入生。
学無きボトムズたちが、ただ己の成績を賭けて激突する。
次回「ホバリング」。
杖の閃光から、キリコに熱い視線が突き刺さる。


次回箒の授業やります、なので箒でホバリング…無理やり極まってるな
あと今回登場したキニス・リヴォービアは完全なオリキャラです。
なんせキリコ、ほっといたら永久に喋らないので会話の切っ掛けの為に
登場させた次第です。
もう一つ、キリコはハッフルパフ生となりましたが、これはハッフルパフの適性は
努力家、我慢強い、正義感が強いなどが条件なので
…散々考えた結果ハッフルパフ行きになりました。
色々言いたいことがあるかもしれませんがこのSSではこういう形でお願いします。

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