緋弾のアリアAA(+A)~リリカル、マジカル、武偵なのっ!~   作:タカヒロオー

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いよいよはじまるスリーデイズキャンセルマッチ。果たしてあかりとアリサの運命は?!

では本編、どぞっ!


第6弾 開戦!戦姉妹たちとクレイジーズ

SIDE:あかり

 

キンコーン カンコーン…

終業のチャイムが鳴り、周りの生徒は帰り支度を始めたけど…

 

「あ~あ、今日は1人かぁ…」

 

アリア先輩は今朝からしばらく外泊で留守。さらにアリサちゃんも「急用」で先に帰っちゃった。

 

どうしよう…今日はののかも友達と外出するって言ってたし…

 

「…あかりさん?帰らないんですか?」

 

後ろからした声に振り向くとそこにいたのは志乃ちゃんだった。

 

「あ、志乃ちゃん…。」

 

「どうしたんですか?ぼうっとして…。」

 

どうやら一人きりなのを心配して声をかけてくれたみたい。

 

「うん…今日はアリア先輩もアリサちゃんもいないから、1人野良戦姉妹(ノラアミカ)なんだ。…ののかも留守だし、どうしようかなぁ…」

 

あたしのボヤキを聞いた志乃ちゃんは笑みを浮かべた。

 

「…それじゃ私の家にきませんか?夕飯ご馳走しますよ。」

 

ほんと?…考えてみたら、志乃ちゃんのお家ってまだ行ったことなかったっけ。

 

「行く行く!楽しみだなぁ志乃ちゃんち!」

 

「…じゃあ行きましょうか。迎えの車が待ってますから。」

 

こうしてあたしは志乃ちゃんのお家に招待されることになった。

 

でも、このあと戦姉妹を懸けた闘いが始まること、そしてそれはあたしだけじゃ無かったことを今のあたしには知るよしも無かった…。

 

 

SIDE:アリサ

 

「ん~っ、ここでいいはずなんだけど…まだ来てないみたいね。」

 

わたしは指定されたとある公園を訪れていた。

 

発端は通信科(コネクト)のポストガール、前島さんから届けられた1通の手紙。

 

わたし宛で差出人の名前は〈S〉の1文字のみ。この公園に1人で来るように書いてあったわ。

 

…〈S〉に心当たりが無い訳じゃないんだけど、その子じゃないはず。だって…

 

「…アリサちゃん♪」

 

聞き慣れた声に振り向くとそこにいたのは地元・海鳴での親友、月村すずかだった。

 

「…久しぶりだね、アリサちゃん…元気だった?」

 

…ここまで予想通りだとは思わなかったわ…わたしは頭を軽く掻きながら返事を返す。

 

 

「…そうねすずか…アンタが本物だったらそうなんだろうけど。」

 

「…?!」

 

わたしの言葉に動揺の表情を見せるすずか。

 

「…な、なにを言ってるのかなぁ…わたしはすずか…月村すずかだよっ?」

 

慌てて取り繕おうとするけど無駄よ?

 

「…わたしとすずかを含めた海鳴出身の親友同士はね、手紙や携帯電話を使わなくても秘匿の通信をする手段があるの。だから手紙で連絡してきた時点でアンタは偽物って訳。…Reary(わかったかしら)?」

 

わたしの説明を聞いた偽すずかは苦笑いを浮かべる。

 

「…成る程。アリサ・バニングス…噂以上の切れ者と言うことか。」

 

その声はさっきまでのすずかの声じゃなく、もっと落ち着いたものに変わっていた。さらに…

 

ベリリッ!

 

顔面を剥ぎ取ったその下からは、鋭い目線をした黒髪のポニーテールの少女が。

 

「…自己紹介するわ。わたしの名前は風魔 麗美〈ふうま れみい〉。東京武偵高校の諜報科〈レサド〉1年。…とある方からの依頼にてアリサ、あなたに決闘を申し込むわ。」

はあっ?何よいきなり…あっ?!

 

「もしかして…〈3日内解消規約/スリーデイズキャンセル〉狙い?…って事はあかりの方にその依頼主が…」

わたしはカバンを置くとガンホルダーからコンバットマグナム、懐から光秀を構える。

 

 

「…!ほほぅ、苦内とは珍しい武器を使ってるわね。忍者でもないのに…。」

 

そういいながら麗美は右手に日本刀、左手には…あれは確か…

 

「…それってショーテルって奴よね?アンタこそ珍しい武器を使ってるじゃないの?!」

 

「この子はマガリ。名前の通りカーブの曲線がかあいいの♪」

 

…はぁ?!

 

「それで~、この右手の日本刀が村雨くん。持ってると切り刻みたくなるくらい素敵なの♪」

 

…いやあの、それって妖剣の類いなんじゃ…(汗)。

「他にもいろいろあるから紹介してあげるわ。あなたを倒したあとで…ね!」

 

いきなり踏み込んできた彼女の日本刀を避け、変則な軌道で迫ってくるショーテルも光秀で受け止める。

 

「問答無用って訳?…上等よっ!」

 

わたしはバック転で距離を離すと銃から弾丸を放つ。でも…

 

「甘いわよ。わたしはこう見えても相模の忍び・風魔一族の出なの。そう簡単にはやられないわよ?」

 

麗美は簡単に銃撃を避けると何かを投げてきた。

 

足元に突き刺さったそれは棒手裏剣!…成る程、忍びの出ってのもあながち嘘じゃないみたいね。

 

わたしはちらっと腕時計を確認する。…今午後6時30分、確か戦姉妹契約が教務科に承認されたのが一昨日の午後8時ジャストだったから…あと1時間半か…

 

「ま、やるだけやってみましょ?!…フレイムアイズ、〈身体強化/フィジカル・ブースト〉お願い。」

『おうよっ、アリサ!』

 

フレイムアイズの声と共にわたしの身体が軽くなる。…魔力が見れる魔導師じゃなければこれくらいならバレないはず。

 

「…風魔忍軍・中忍、麗美…推して参る!!」

 

「…海鳴の烈火姫、アリサ・バニングス…罷り通る!!」

 

…さぁ、素敵な戦い(パーティー)始めるわよ!つまらなかったら承知しないからねっ?

 

NO SIDE

 

こうしてアリサと麗美が決闘を繰り広げている頃、志乃の家に招待されたあかりは夕食後に庭に散歩に誘われていた。

 

SIDE:あかり

 

「は~っ、お腹いっぱい…ごちそうさま、志乃ちゃん!」

 

あたしは志乃ちゃん家のお庭を散歩しながらお礼を言う。

 

「…いいえ。こちらこそ夜に歩かせちゃって…でも、食後に少し歩きたくて。」

 

志乃ちゃん家のお庭は物凄く広くて花も一杯咲いてる。…でも、ちょっと寒くなってきたかも。

 

「志乃ちゃん、そろそろ戻ろ…あれっ?」

 

部屋の中に戻ろうとしたらドアに鍵が…なんで?

 

「ねぇ志乃ちゃん、ここ 鍵がかかって…志乃ちゃん?」

 

あたしが振り向くと志乃ちゃんは花壇の中から何かを…それって日本刀?

「…あかりさん、〈3日内解消規約〉ってご存じですか?」

 

ほぇ?スリーデイズキャンセル?…なにそれっ?

 

「戦姉妹契約が結ばれてから72時間以内に戦妹 が私闘で負けた場合、契約が解消される規則なんです。…戦姉が戦妹を護れなかった訳ですから、再契約もできないんです。」

 

そんな規則が…あ、でも契約が教務科に承認されたのが2日前の夜8時だから…

 

あたしがお庭の時計を見ると針は7時45分。

 

「でもあと15分だし、アリア先輩狙いの子はもう再申請はできないルールだから…もう大じ…」

 

「…みんながみんな、アリア狙いじゃないのよ、あかりちゃん?」

えっ?それってどういう…?

 

あたしが尋ねる前に志乃ちゃんは手に取った日本刀を鞘から抜く。

 

「あかりちゃん…わたしは貴女に勝ってアリアとの戦姉妹契約を破棄させる…恨まないでね♪」

 

そう言いながら微笑む志乃ちゃんの眼はいっちゃってる…うぅ、怖いよぅ…」

 

あたしは銃を構えようとガンホルダーに手を伸ばし…あれっ?

 

「な、何で銃が無い…あぁっ?!」

 

そういえば入るときにメイドさんに邪魔になるからって預けたんだった!

 

「ふふふっ…それじゃあいくわよ、あかりちゃん!」

 

言うなり志乃ちゃんは構えた日本刀を連続して薙ぎはらう。

「ひゃあっ?!」

 

あたしは転がってさらにバック転でなんとか避けたけど…

 

ピッ…ファサッ!

 

かすった刃先がタイピンを飛ばしネクタイがほどける。

 

「ふふふっ…ごめんね、防刃制服の上からでも骨折れちゃうかも。だけど…心配しなくてもいいよ、付きっきりで看病してあ・げ・る♪」

 

ひいぃぃっ?!し、志乃ちゃんが何だか怖いよぅっ?!

 

あたしは刀をかわしつつあとずさる。でもそこには…

 

「ウ~…ワンワンッ!」

 

志乃ちゃん家の番犬が立ちはだかった。…それもたくさん。

 

「…ホントにあかりちゃんは身軽だね、…まるで燕みたい。」

志乃ちゃんはそう告げると刀の鞘を放り投げる。

 

「でも私は燕でも切れるよ?…この家代々伝わる奥義〈燕返し〉でね。」

 

…!そうだ、志乃ちゃんのお家はあの江戸時代の剣豪、佐々木小次郎の末裔。だからあの有名な必殺技・燕返しも使える。

 

「…あかりちゃん、誤解しないうちに言っておくね。その昔、我が御先祖様の佐々木小次郎が宮本武蔵に負けた時に鞘を棄てて「小次郎、破れたり!」って言われ、本当に負けたって話…あれは違うんだよ?」

 

志乃ちゃんは鞘の無いまま居合の構えを取る。

 

「あれは鞘がいらないんじゃなくて邪魔になるから棄てたの。…鞘の摩擦がない居合は最速の剣、だから佐々木家の業〈巌流〉ではまず鞘を棄てる。…あかりちゃんに見えるかなぁ?」

今ならあたしにも分かる、あの技は…ヤバいっ!

 

「秘剣…燕返しっ!」

 

あたしは咄嗟にダガーを構えて受け止めた。けど剣圧に耐えられずダガーは折れてあたしは噴水まで吹き飛ばされる。

 

「な、なんて威力…」

 

「あかりちゃん…あかりちゃんが悪いんだよ…?」

 

近づいてくる志乃ちゃんの目には涙。

 

「…私はあかりちゃんを失いたくない、アリアには絶対に渡さないっ!だから…斬る!」

 

志乃ちゃん…でもっ!

 

「あたしだってアリア先輩との戦姉妹解消なんてしないよっ!」

 

あたしはダガーを捨て、自然体に構える。間宮流の奥義〈鳶穿/とびうがち〉…この技であの日本刀を取れれば…

 

「…知ってるよ、それ。…その技でこの前ライカから紙を取ったよね?それに戦姉妹試験の時にアリアからエンブレムを取ったのもその技。」

 

えっ…ばれてるっ?!

 

「今その技で取るなら…刀(これ)だよね。」

 

志乃ちゃんは日本刀を地面に突き刺すと、奥の花壇に入っていく。

 

「私ね、推理したの。…その技は相手の懐に入れないと使えないんじゃないかって。」

 

志乃ちゃんが花壇の中から出してきたのは…身の丈を凌ぐ長さの日本刀。

 

「武士は必ず大小2本の刀を携えるけど、さっきまで私が使ってたのは小刀。そしてこれが…」

 

鞘を抜き捨てると美しいまでの刃。

「大刀…通称〈物干し竿〉。」

 

…ちらっと庭の時計を見ると針は7時55分。どうやらこれが最後の勝負かな?

 

その時何故か頭に浮かんだのは戦姉妹のアリサちゃんの事だった。

 

「ねぇ志乃ちゃん、もしかしてアリサちゃんも今頃…」

 

「ええ、あの方も今頃は私の送った刺客にやられて…」

 

「…負けないよ。」

 

「…えっ?」

 

あたしは志乃ちゃんの目を見つめながら話す。

 

「志乃ちゃんがアリサちゃんのところにどんな人を送り込んだかは知らないけど、あたしとアリサちゃんはアリア先輩の戦姉妹〈アミカ〉なんだから絶対に負けない…必ず勝ってみせるっ!」

 

あたしはそう宣誓すると気合いを集中させる。

 

アリサちゃん…信じてるからねっ!

 

 




すいません、決着は次回に持ち越しです。

アリサのバトルシーンをもうちょっと書きたいので…

という訳で次回、「第7弾 炸裂!アリサの必殺技」でお逢いしましょう!

次回もみてくんないと…

「天誅~っ!」

(BY 白雪)

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