緋弾のアリアAA(+A)~リリカル、マジカル、武偵なのっ!~ 作:タカヒロオー
NO SIDE
散々な試験の結果で落ち込むあかりの前に現れたのは、憧れの存在である神崎・H・アリア。アリアはあかりに戦姉妹(アミカ)試験を申し込むが、そこに現れたのはアリアを姉と呼ぶ謎の少女、アリサ・バニングスだった。
SIDE:あかり
アリア先輩に名前を呼ばれて出てきた女の子…アリサって名前も1文字違いだし、声はそっくりだし…まさか本当の…
「…誰よアンタ…?!」
えっ?!…アリア先輩の口から出たのは予想外の言葉。…確かに見た目は妹というよりむしろ…
「…あかり、アンタも失礼な事考えたでしょ、今…」
…何でわかったのっ?!…はっ、これがSランク武偵の…
「そんなわけないでしょっ?…それよりアンタ、本当にアリサ?あたしの知ってるアリサはもっとちっちゃかったんだけど…」
アリア先輩の言葉にアリサは呆然。…そりゃそうか。
「…そりゃないよアリアお姉ちゃん!それを言うならアリアお姉ちゃんがあんまり変わってない事の方が…」
「ウキーッ!皆まで言うなっ、あたしも気にしてるんだからっ!」
アリサの反撃にアリサ先輩は過剰に反応してる。…やっぱり気にはしてるんだ…。
「…仕方ないなぁ…じゃあこれならどう?」
アリサは胸元から1丁の拳銃を取り出した。あれって確か…
「…ワルサーtph。主に護身用に使われる小型拳銃ですね。」
わたしに教えるように志乃ちゃんが呟く。
「…?! それはあたしがあの子にあげたヘルメスの刻印入りの…って事は本物のアリサ…なの?」
「やっとわかってくれた?…10年ぶりだね、アリアお姉ちゃん。やっと会う事ができた…。」
「あ、あの~話がいまいち見えないんですけどアリア先輩、この方…誰なんですか?」
あたしは恐る恐る尋ねてみる。戦姉妹試験も気にはなるけど…あまりにもこの娘が謎すぎて。
「…あ、ごめん。この娘の名前はアリサ・バニングス。あたしの遠縁の親戚で歳は1つ下よ。」
「…?! …もし間違ってたらごめんなさい、バニングスってまさかあのバニングスグループの…」
志乃ちゃんの問いにアリサは頷いて答える。
「うん、バニングスグループはパパの会社よ。あたしはその1人娘。」
その言葉に驚きを隠せないあたしたち。…バニングスグループってあたしでも知ってる大企業だ。確か今大規模なテーマパークを手掛けてるとか…。
「…じ、じゃああの今造ってる『オールストン・シー』にも…」
羨ましそうにきくライカにアリサは答える。
「…もう何回も行ったわよ、アトラクションのテストとかで。」
さ、さすがご令嬢…
「…だいぶ話が脱線したわね…アリサ、あんたも申請してたわね…戦姉妹試験勝負(アミカ・チャンス・マッチ)。」
えっ、この人もアリア先輩の戦姉妹狙いなのっ?!
「うん!わたしがこの学校に来たのはアリアお姉ちゃんに色々教わるためだからっ!…だからあかり…って言ったっけ。あんたには悪いけどお姉ちゃんの戦姉妹の座はわたしが貰うわよ?!」
…冗談じゃないっ?!いきなりでてきてそんなの納得できるわけない!!
「…生憎あたしも忙しいの。教務科(マスターズ)の命令でも、ましてやコネと取られるような子守りなんてできないわ。だから…」
アリア先輩はそういうと、スカートのポケットから星形のワッペンを取りだし、
「『エンブレム』、今からやるわよ、2人同時に。」
………え?エンブレ…ム?なにそれ?
アリア先輩は制服の裾を捲るとワッペンをお腹に貼り付ける。
「…ルールは簡単よ。今から30分以内にあたしからこの『エンブレム』を奪えばいいの。…もっとも今まで20人全員、これで不合格にしたけどね。」
「そ、そんな…無理です、あたしなんかが…」
あたしは突然のことに慌てふためく。
「…そ?別にいいわよやらなくても。でも…『チャンスは人を待たない。』…事件が武偵を待ってはくれないのと同じことよ。…アリサはどうすんの?」
アリア先輩の問いにアリサは即答。
「もちやるに決まってんじゃない!わたしの成長ぶり見てもらうんだから!」
アリサの言葉にアリア先輩は笑みを浮かべ…こちらを見る。
「あかり…あんたはどうすんの、やるの?それとも棄権?!」
あたしの頭の中でさっきのアリア先輩の言葉が鳴り響いてる。
『チャンスは人を待たない。』
…そうだ!落ちこぼれのあたしにはチャンスは今しかないっ!!
「…あたしもやります、やらせてください!」
あたしの叫びにアリア先輩は頷いた。
「OK!それじゃそこのか2人は見届け人をお願い。…今から30分、各自で挑むのも良し、協力するのも良し…それじゃぁ…」
アリア先輩は携帯電話のタイマーを設定した。
「戦姉妹試験勝負…スター…」
開始を告げたその瞬間、アリサが先輩に襲いかかる。…速いっ?!
「先手必勝、いくわよっ!」
アリサは先輩の腕を取り体格差で押し倒そうとする。でも…
「…悪くないけど、見え見えよっ?」
先輩は逆にアリサの右手をとると手首を捻って薙ぎ倒した。
あたしは慌ててアリア先輩に猛ダッシュで突撃する。でも先輩は余裕で背後の木を蹴り上がりあたしの背後を取ると、背中を突き飛ばす…ぶつかるっ?!
ドガンッ!
い、痛い…ダメだ、素手じゃとても…
「…銃でも剣でも使っていいわよ。」
「なら…遠慮なくっ!」
アリサはそういうと、背中から短剣…というより 忍者が使う小さな苦無(くない)を出して鋭く斬りかかる。
「面白い武器使うのね。じゃあ、これで…どう?!」
アリア先輩は背中から日本刀を繰り出し、アリサの苦無の柄の部分を弾き跳ばした?…なんて動体視力なのっ…でも、それならっ!
あたしは太もものガンホルダーから愛用のマイクロUZIを抜き撃とうとした。でも先輩は瞬時に近づき…
「…遅いっ!!」
右手の日本刀であたしの左手を弾くと同時に、左手にガバメント・カスタムを構えマイクロUZIの射線をそらす。
「無駄撃ちは絶対しちゃダメよ?」
そう言ってあたしとアリサを防弾制服の上から射撃する。
「くっ?!」「痛っ?!」
…今のって…拳銃格技(アルカタ)?!
「…な~る、Sランク武偵は伊達じゃないってか…。」
アリサが悔しげに呟く。
「あかり!「あかりさんっ!」」
ライカと志乃ちゃんが近寄ってきた。
「…大丈夫だよ、防弾制服だから…それより、アリア先輩は?!」
あたしがキョロキョロと見回すと…
「あかりさん、あっちに!」
志乃ちゃんが指差す方を見ると、校門の前にアリア先輩の姿。
アリア先輩はこっちに手を差し伸べながら…
「さ、おいで…鬼ごっこしよ♪」
…完全になめられてるよね、アレ…
「も~っ、あったまきたっ!絶対合格してやるわ!」
アリサは立ち上がって先輩を追いかける。
「あかりさん、規則上助太刀は出来ませんが…ご武運を。」
「がんばれよ、あかりっ!」
「…うん、ムリかもしれないけど…行ってきます!」
2人の親友に励まされ、あたしはアリア先輩とアリサの後を追う。
必ず合格してやるんだから!
…残り時間 24min 30sec…
いよいよ始まった戦姉妹試験勝負。果たしてあかりとアリサの運命はっ!
次回「第3弾 鬼ごっこの行方」でまた御逢いしましょう!
「じ、次回も見てくれないと…かじゃあにゃ?!…噛んじゃったぁ~っ!」
(BY あかり)