戦火と人魂は夜闇に映ゆる   作:Red October

7 / 15
Red October、「戦火と人魂は夜闇に映ゆる」第7話、うpします!

戦闘描写は難しい…相変わらず拙い文章ですが、温かい目で見ていただけるとありがたいです。

では、ごゆっくり!


第7話 初めての対霊戦

「ダメだ、塞がってるッス!」

「こっちも!」

「何ィ!?」

 

幽霊に対し、私達の取った作戦はこうだった。私が幽霊の相手をし、その間にジークとケートがエリア2と8への通路を確認、空いているエリアに全力で退避するというものである。

…で、それに従って動いた結果が、冒頭の会話である。

 

要するに、どっちも塞がっており、\(^O^)/オワタ な状態なのであった。

完全に作戦が失敗したのを悟り、素早く次の算段を立てる。計算は簡単であった。塞がっているのは、間違いなくこの幽霊が原因だから…取るべき道は、1つのみ!

 

「2人とも戻ってこい!コイツを狩る!それしか手がない!!」

「マジっスか!?」

「ああもう!分かったわよ、やるわよ!」

 

さあ、改めて戦闘だ!誰かがこれをやらねばならぬ。

とりあえず、ここまで幽霊と戦って得た情報を整理する。

 

これまでの戦闘で、私のリュウノツガイによる攻撃は幽霊に対して通っていた。だが、斬るというより、刀身に纏う炎で焼いている、という感じだ。その証拠に、幽霊の体には、私が付けた傷が幾つかあるが、そのどれもが黒く焦げた傷跡なのである。切り裂いた、という感じの傷は1つもない。

つまり、切断属性かつ火属性の攻撃は一応通用する、ということだ。

 

私の右横を、ひゅんひゅんと音を立てて弾が飛んでいく。ジークがLv1水冷弾を速射したのだ。

発射された水冷弾は幽霊をめがけて飛び、見事に命中した…が、そのまま幽霊の体をすり抜け、明後日の方向に飛び去った。水飛沫のエフェクトも出ない。

 

「外した!?」

「違うわ、弾がすり抜けたのよ!」

「は!?そんなのありッスか!?」

「バカ言ってるヒマがあったら、他の弾試して!」

「り、了解ッス!」

「ケート、早く手伝ってくれ!私1人ではしんどい!」

「はいはい!全く、幽霊は苦手だっていうのに…」

 

ぶつくさ言いながらも、ケートが私の援護についた。界雷の電竜棍を抜き放つ。その前を、今度はLv1貫通弾が飛んでいった。やはり幽霊の体をすり抜けている。ダメージが入っているようには思えない。後ろでジークの舌打ちと、ボウガンの再装填の音が聞こえた。

ケートが幽霊めがけ、手にした電竜棍を一閃させる。その一撃は幽霊を切り裂いた…かに見えたが。

 

「何これ!?刃通ってないんじゃないの?」

「いいや、よく見ろ。雷でダメージ与えてる」

 

電竜棍が通った所には、電撃によって焼けたと思しき複雑な黒い線が描かれていた。切断かつ雷属性も有効らしいな。

 

「嘘、完全には通じてない!?」

 

ケートはすぐさま猟虫を飛ばす。虫は見事に幽霊の頭にぶつかり…エキスを持って帰ってこなかった。

 

「そんな…!」

 

ケートの絶望の叫び。

操虫棍使いは、モンスターに猟虫を飛ばし、それによって得られたエキスを用いて自身を強化する。その強化とは、移動速度の上昇であったり、攻撃力の強化であったりと様々だ。

しかし今回、虫がエキスを持ってこなかったということは…ケートは自身を強化できない。

 

「くそ、こうなったら力技だ!」

 

幽霊に向かって突進し、自前の武器で斬りつけようとする。しかし、幽霊は宙を滑るように移動し、こちらの攻撃を簡単には当てさせない。

そして私たちが攻撃を試みる間にも、ジークの撃った散弾やら通常弾やらが幽霊に当たっていた。だがしかし。

 

「駄目ッス、どの弾も効かない!…って、うわぁ!」

 

ジークの悲鳴。何事かとそちらを見ようとした時だった。

不意に、なにか太いものが自分の背中に向かって飛んできて、あと1歩リーチが足りずに地面に叩きつけられた。ズシンと重い音がして、木の葉が飛び散る。それを見て、驚いた。

 

私に向かって飛んできた太いもの、それは木の枝だったのだ。

 

誇張でもなんでもない、木の枝だ。なんと川岸の木が生き物のように動き、私を枝で叩き伏せようとしたのだ。

さらに、木から落ちた葉は、そのまま短い刃となって私に襲いかかってくる。リュウノツガイを振り回して、必死に迎撃した。そんな中、またも信じられないことが起きる。

 

ケートは川に入って幽霊を追っていたのだが、その足元からふいに竹やぶが、岩盤を突き破れそうな勢いで生えたのだ。

突然の下からの攻撃に対応できず、ケートが突き上げられて宙を舞う。

 

更に、ジークの方には、川岸の日陰に群生していたキノコから、胞子が毒霧となって浴びせられていた。ニトロダケの赤い爆発性の胞子や、マヒダケの痺れの胞子などが混じり合った、複雑な色の煙が立ち込める。

 

(これが…これが、「自然の体現者」か…!)

 

そちらに注意を取られ、幽霊の行動に気付いた時には、遅すぎた。

早撃ちのガンマンの如く幽霊の右手?が動く。そこには、例のボウガンがあった。

 

ズダダ!ダダン!ダダダダダ!

 

3人に向け、ボウガンが火を吹く。

何か小さい、細いものが飛んできて、自分の腹部に鋭い痛みが走った、と思った瞬間には、動けなくなっていた。まるで、手足がそのままゴムの塊になったようである。

…麻痺毒か。

 

背中から地面に倒れ、一瞬息ができなくなる。腹部を見ると、小さな針のようなものが刺さっていた。あれは…サボテンの棘?

 

(仲間たちは、どうなっただろう?)

 

そう思って、目だけ動かして仲間の方を見ようとした。そしてあることに気付く。辺りに生えている草が、その緑色を失って、半ば透明になっていたのだ。何故…?

 

その時、視界に緑色の光が飛び込んできた。はっとして、幽霊の方を見る。

幽霊の背後に緑の光が集まっていて、まるで後光のようだ。そして、その光は、さっきマリウスを殺った時のそれより巨大な光の玉を形成し…

 

(しまっ…!)

 

次の瞬間、鋭い痛みが全身を貫き、意識は粉々にちぎれ飛んだ。




如何でしたか?

どうにも亀更新っぷりが目立ちますね…なんとかしなくては。


それでは、次回予告です。


見事に幽霊に敗れてしまった主人公パーティ一行。
彼女らは、ユクモ村へと戻っていく…

次回「再戦の誓い」 乞うご期待!


…さて、ここからまた、描写が日常?に戻ります。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。