戦闘描写は難しい…相変わらず拙い文章ですが、温かい目で見ていただけるとありがたいです。
では、ごゆっくり!
「ダメだ、塞がってるッス!」
「こっちも!」
「何ィ!?」
幽霊に対し、私達の取った作戦はこうだった。私が幽霊の相手をし、その間にジークとケートがエリア2と8への通路を確認、空いているエリアに全力で退避するというものである。
…で、それに従って動いた結果が、冒頭の会話である。
要するに、どっちも塞がっており、\(^O^)/オワタ な状態なのであった。
完全に作戦が失敗したのを悟り、素早く次の算段を立てる。計算は簡単であった。塞がっているのは、間違いなくこの幽霊が原因だから…取るべき道は、1つのみ!
「2人とも戻ってこい!コイツを狩る!それしか手がない!!」
「マジっスか!?」
「ああもう!分かったわよ、やるわよ!」
さあ、改めて戦闘だ!誰かがこれをやらねばならぬ。
とりあえず、ここまで幽霊と戦って得た情報を整理する。
これまでの戦闘で、私のリュウノツガイによる攻撃は幽霊に対して通っていた。だが、斬るというより、刀身に纏う炎で焼いている、という感じだ。その証拠に、幽霊の体には、私が付けた傷が幾つかあるが、そのどれもが黒く焦げた傷跡なのである。切り裂いた、という感じの傷は1つもない。
つまり、切断属性かつ火属性の攻撃は一応通用する、ということだ。
私の右横を、ひゅんひゅんと音を立てて弾が飛んでいく。ジークがLv1水冷弾を速射したのだ。
発射された水冷弾は幽霊をめがけて飛び、見事に命中した…が、そのまま幽霊の体をすり抜け、明後日の方向に飛び去った。水飛沫のエフェクトも出ない。
「外した!?」
「違うわ、弾がすり抜けたのよ!」
「は!?そんなのありッスか!?」
「バカ言ってるヒマがあったら、他の弾試して!」
「り、了解ッス!」
「ケート、早く手伝ってくれ!私1人ではしんどい!」
「はいはい!全く、幽霊は苦手だっていうのに…」
ぶつくさ言いながらも、ケートが私の援護についた。界雷の電竜棍を抜き放つ。その前を、今度はLv1貫通弾が飛んでいった。やはり幽霊の体をすり抜けている。ダメージが入っているようには思えない。後ろでジークの舌打ちと、ボウガンの再装填の音が聞こえた。
ケートが幽霊めがけ、手にした電竜棍を一閃させる。その一撃は幽霊を切り裂いた…かに見えたが。
「何これ!?刃通ってないんじゃないの?」
「いいや、よく見ろ。雷でダメージ与えてる」
電竜棍が通った所には、電撃によって焼けたと思しき複雑な黒い線が描かれていた。切断かつ雷属性も有効らしいな。
「嘘、完全には通じてない!?」
ケートはすぐさま猟虫を飛ばす。虫は見事に幽霊の頭にぶつかり…エキスを持って帰ってこなかった。
「そんな…!」
ケートの絶望の叫び。
操虫棍使いは、モンスターに猟虫を飛ばし、それによって得られたエキスを用いて自身を強化する。その強化とは、移動速度の上昇であったり、攻撃力の強化であったりと様々だ。
しかし今回、虫がエキスを持ってこなかったということは…ケートは自身を強化できない。
「くそ、こうなったら力技だ!」
幽霊に向かって突進し、自前の武器で斬りつけようとする。しかし、幽霊は宙を滑るように移動し、こちらの攻撃を簡単には当てさせない。
そして私たちが攻撃を試みる間にも、ジークの撃った散弾やら通常弾やらが幽霊に当たっていた。だがしかし。
「駄目ッス、どの弾も効かない!…って、うわぁ!」
ジークの悲鳴。何事かとそちらを見ようとした時だった。
不意に、なにか太いものが自分の背中に向かって飛んできて、あと1歩リーチが足りずに地面に叩きつけられた。ズシンと重い音がして、木の葉が飛び散る。それを見て、驚いた。
私に向かって飛んできた太いもの、それは木の枝だったのだ。
誇張でもなんでもない、木の枝だ。なんと川岸の木が生き物のように動き、私を枝で叩き伏せようとしたのだ。
さらに、木から落ちた葉は、そのまま短い刃となって私に襲いかかってくる。リュウノツガイを振り回して、必死に迎撃した。そんな中、またも信じられないことが起きる。
ケートは川に入って幽霊を追っていたのだが、その足元からふいに竹やぶが、岩盤を突き破れそうな勢いで生えたのだ。
突然の下からの攻撃に対応できず、ケートが突き上げられて宙を舞う。
更に、ジークの方には、川岸の日陰に群生していたキノコから、胞子が毒霧となって浴びせられていた。ニトロダケの赤い爆発性の胞子や、マヒダケの痺れの胞子などが混じり合った、複雑な色の煙が立ち込める。
(これが…これが、「自然の体現者」か…!)
そちらに注意を取られ、幽霊の行動に気付いた時には、遅すぎた。
早撃ちのガンマンの如く幽霊の右手?が動く。そこには、例のボウガンがあった。
ズダダ!ダダン!ダダダダダ!
3人に向け、ボウガンが火を吹く。
何か小さい、細いものが飛んできて、自分の腹部に鋭い痛みが走った、と思った瞬間には、動けなくなっていた。まるで、手足がそのままゴムの塊になったようである。
…麻痺毒か。
背中から地面に倒れ、一瞬息ができなくなる。腹部を見ると、小さな針のようなものが刺さっていた。あれは…サボテンの棘?
(仲間たちは、どうなっただろう?)
そう思って、目だけ動かして仲間の方を見ようとした。そしてあることに気付く。辺りに生えている草が、その緑色を失って、半ば透明になっていたのだ。何故…?
その時、視界に緑色の光が飛び込んできた。はっとして、幽霊の方を見る。
幽霊の背後に緑の光が集まっていて、まるで後光のようだ。そして、その光は、さっきマリウスを殺った時のそれより巨大な光の玉を形成し…
(しまっ…!)
次の瞬間、鋭い痛みが全身を貫き、意識は粉々にちぎれ飛んだ。
如何でしたか?
どうにも亀更新っぷりが目立ちますね…なんとかしなくては。
それでは、次回予告です。
見事に幽霊に敗れてしまった主人公パーティ一行。
彼女らは、ユクモ村へと戻っていく…
次回「再戦の誓い」 乞うご期待!
…さて、ここからまた、描写が日常?に戻ります。