戦火と人魂は夜闇に映ゆる   作:Red October

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Red October、「戦火と人魂は夜闇に映ゆる」 第11話、投稿します!

やっぱり亀更新ですね…もうちょっと詳しく書き溜めしてみようかな…。二度目の戦いもまだ構成できてないし…

ま、頑張るしかないですね。

それでは、ごゆっくり!


第11話 新たなる希望

「うーん…」

 

作戦会議が解散して2日。

私は、ユクモ村の目抜通りを歩きながら、考え事にふけっていた。

何を考えているのかって?いうまでもなく、幽霊に対するリベンジの具体案である。

 

現在、ユクモ村一帯は、雨季に入っており(第一大陸のほうではこの季節を「ツユ」とか呼ぶことがあるらしいが)、一昨日も昨日もずっと雨である。ただ、今日は空は相変わらず曇っているものの、雨は降っていない。そのため、雨よけもろくにない目抜通りをのんびり歩くなんてこともできるのである。

 

私たち3人の怪我は完全に治り、療養所からも退院することができた。今は、療養の間に鈍った体を鍛え直すべく、3人とも絶賛リハビリ、兼情報収集中である。

 

人にとって、雨季というのはじめじめしてたり、長続きする雨に嫌になったりする季節だが、モンスターにはそんなことはお構い無しである。故に、雨季といえどクエストは入ってくる。クエストが出れば、ハンター達は行かないといけない。そんな訳で、出撃するハンター達を呼び込む声や、ハンター同士の会話やなんかが入り交じり、目抜通りの騒がしさはいつもと変わらない。そんな喧騒の中を、私は1人でのんびり歩を進めていた。といっても、どこに行くという当てもないのだが。

さっきから、すれ違う人々の視線が妙に私のほうを向いている気がする…なんでだろう?

 

(困ったな…まだ、あの幽霊についての情報が足りなさすぎる。それに、ハンター達も忙しいのかそれとも他に理由があるのか、幽霊狩猟の仲間を募集してはいるものの、一向に申し出がない。そうなると、私とケートとジークの3人での狩りになるが…幽霊相手にそれは厳しすぎる。せめてあと1人いれば…くそぅ、猫の手でも借りたいもんだな。)

 

(ん?…待てよ?猫?…そうだ!オトモアイルーだ!ハンター達からの協力が得られなかったなら、アイルーでその穴を埋めよう!特に、ケートのとこにいる、あの子は…あれは、おっそろしく頼りになりそうだ)

 

などと考え事をしながら歩いていたら、農場のほうから出てきた人物と危うくぶつかりそうになった。

 

「きゃあ!」

「! す、すまない!考え事をしていて…って、君は…」

「あら、あの時のハンターさんじゃないですか!」

 

ぶつかりかけた相手は、忘れるはずもない、過日温泉で幽霊の噂を教えてくれた、あの少女だったのだ。

 

「体は大丈夫なんですか?ひどい怪我で戻ったって聞いて、心配してたんです…」

「ありがとう、もうすっかり大丈夫だよ」

「よかった…何があったんですか?いろいろ噂されてますが…」

「そんな噂になってるのか私たちは!?」

「複雑骨折だの臓器損傷だの、果てには皮膚が何かの熱で焼けたみたいになっていただのって聞きました…あれほどの怪我で生きて戻った人も珍しいって」

「そ、そうか、はは…」

 

かなりの怪我だとは感じていたが、まさかそんな状態だったとはな。そりゃ噂になるわけだ。さっきからの人々の視線も、道理であろう。

…それと、ハンターの生命力のなんと凄まじいことよ…。

 

「何があったんです?」

 

これだけ噂になっているようであれば、隠しようもないだろう。

 

「実はな…」

 

そして私は、彼女に事情を話すこととなった。

 

Now Loading…

 

「…という訳なんだ」

「そんな…ハンターさん、その特徴…完全に幽霊じゃないですか…!あの幽霊が…!」

「やはりそうか…」

 

ここで、私の頭に1つ思い付くものがあった。

この子は多分、この村の住人だよな?だとしたら、幽霊について何か、記録みたいなものがあるかもしれない。

 

「なあ、君の家には幽霊についての記録とか、あるかい?」

「ええっと…確かあったと思いますよ、見ます?」

「ありがたい、よろしく頼むよ」

「わかりました!今からちょうど家に帰るところなので、案内します」

「ありがとう!」

 

よし。何か新しいことが分かるといいな。

 

Now Loading…

 

案内されたのは、目抜通りを少し外れたところにある、一軒家だった。見た感じ、生け垣や家の周りが綺麗に整えられている。きっちりした家なんだろうな。

玄関先で待たされること少々、少女が出てきた。

 

「お待たせしました、こちらです!」

「ありがとう、ここで見てもいいかい?」

「もちろんです!」

 

少女から渡されたもの―ノートやら本やら―に目を通していく。少女から渡された資料は、次々と 未読→既読 と変わり、あっという間に減っていくが、目新しい情報はない。

半ば諦めつつ、最後の資料に手を…伸ばそうとして、1度手を止めた。

 

「? 何だ、こりゃ?」

 

それは、日記帳だった。だが表紙はすりきれ、ページも黄ばんでいる。古いもののようだ。

 

「それ、うちのひいおばあちゃんの日記なんだそうです」

「へえー、そりゃだいぶ古いモンだねぇ」

 

そう言いながらページをめくっていき…ある場所で手が止まった。代わりに、目が激しく動き始める。

これは…幽霊関連の…?………!?何だって!?

文章を二度見した後、少女のほうを見る。

 

「すまん!これ少しだけ借りてもいいかい!?」

「ええ、構いませ…ちょ、どこ行くんですか!?」

「すまない、すぐ返しに行くよ!」

 

少女を玄関に置き去りにして、目抜通りを走り、タチバナ屋(退院に伴い荷物は全てタチバナ屋の部屋に移した)に飛んで帰る。探していた、新しい情報が見つかったのだ。それも、とびきりデカいのが。

部屋に飛び込むなり、自分の荷物を探る。手近にあったノートと羽ペンとインク壺をひっ掴み、ベッドに座ると、嵐のごとき勢いで日記帳の文章をノートに書き写していく。

5分ほどで書き写し終え、それを一度見直す。誤字や文章の飛びがないのを確認すると日記帳を持って、少女の家へと走った。

 

「ありがとう、新しいことがわかったよ!」

「え?あ…はい…良かったです…?」

 

少女に礼を言う。少女自身はあまり事情が飲み込めていないらしいが、構っている暇はなかった。それほどとんでもないことが書いてあったのだ。

 

昼時の、少し混雑し始めた目抜通りを駆け抜けて、タチバナ屋へと戻る。部屋に入るや、昼飯時なのもお構い無しに、書き写した文を改めて読んでいく。その文章は、要約すれば次のようなことが書いてあった。

 

『○月×日 夜半に、渓流にホタルを取りに行った時に幽霊と遭遇した。松明を突き付けたが、幽霊はその明かりに怯まず近づいてくる。じい様から、幽霊に触れられるとその場で死ぬと言われていたため、怖くてたまらなかった。幽霊の手が触れようとしたまさにその瞬間、咄嗟に持っていた虫取り網を幽霊の頭に振り下ろした。すると、幽霊の頭に網がすっぽり被さり、幽霊は暴れて網を取ろうとし始めた。幽霊が暴れている間に、私は松明も網も捨て、全速力で走って逃げた。幽霊は追っては来なかった。その夜は怖くて眠ることができず、ほとんど寝ないまま夜が明けた。しかし結局、幽霊はまた現れることはなかった。昼頃になって、恐る恐る昨夜の場所に行ったら、網はその場所に、ボロボロに破れた状態で落ちていて、幽霊はいなかった。』

 

文章を読み終えた私は、ノートを閉じて、ベッドに倒れ込んだ。心臓が、怖いものでも見たかのようにバクバク鳴っている。だがもちろん、恐怖によるものではない、興奮によるものだ。

私は天井を見上げながら、先ほどの日記の文章からある可能性を見出だしていた。

 

(もしかしたら、あの幽霊を、捕獲できる…かもしれない!)

 




如何でしたか?

なんで幽霊が虫取り網なんぞに引っかかったのかって?
…タグにわざわざ書いたじゃないですか、「常識に囚われてはいけない」と。
某神社の巫女ではないですが…この小説のモンハン世界では、常識に囚われてはいけないのですよ!


…すみません、おふざけが過ぎました。
それでは、次回予告です。


発見した新たなる情報と、そこから見いだされた可能性。ベティはそれらを持って、もう一度作戦会議に参加する…

次回「ユクモ温泉会議」 乞うご期待!


さあ、リベンジでの勝利の可能性が…僅かながら見えてきました。

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