今作が処女作となります。
特段文才もないうp主ですので、拙い文章だったり、話の筋が分かりにくかったりするかもしれませんが、どうか温かい目で見守ってください。お願い致します。
感想・評価はログイン時でも行えますので、そちらもよろしくお願いいたします!
追伸 17年10月16日、2話以降の文章の書き方に合わせるよう、改修を行いました。
「せんぱーい!見えたッスよ、あそこがオイラの故郷ッス!」
前方を行く、アプトノスの引く竜車の上で、1人の男が手を振っている。私はそれに手を振り上げ返して、男の差すほうを見た。
行く手の山の麓に、板葺きらしい茶色の屋根と、瓦葺きの黒い屋根がいくつか見える。そしてそれらの間から、白い煙のようなものが幾つも立ち昇っている。
(あれがかの有名な温泉村、ユクモか…楽しみだな)そう思い、私は木箱に背中を預け直した。
私の名はベティ。職業はハンターだ。因みに自慢ではないが、HRは179、古龍の単独討伐経験もある。だが私より力のある人など、まだまだいるだろう。そのうちの1人は、私の後ろにいる。
「ふわぁ…やっと着いたの…?」
後ろから眠そうな声。私は振り返って話しかけた。
「もう少しだ、頑張りな」
「やっと着いたのね…うぅ、長かった…」
そう言いながら身を起こしたのは、栗色の髪を後ろで1つにまとめた女だった。彼女の名はケートという。私とは同年齢で、ハンター訓練所時代からの腐れ縁だ。そしてハンターとしての素質は彼女のほうが上で、訓練所では常に首席だった(私は彼女の次くらいに優秀だった)。
私と彼女は同時に正式なハンターになったはずなのに、今や彼女のHRは289、古龍の討伐数も私より多い。才能があるというのは羨ましいものである。
私達が今回ユクモ村に来たのは、私の後輩からの要請だった。彼の生家は大規模商業家であるのだが、最近商品の輸送ルートにモンスターが出没し、彼の生家をはじめとして村中の商家や農家に大きな被害が出ているそうである。そこで後輩が生家から呼び出され、その際助っ人として私達も呼ばれたのである。
ケートの言う通り、ここまでの旅路は長かった。バルバレで砂上船を見つけ、何日もそれに揺られてロックラックへ行き、そこからまた船に乗って川登り、それが済んだと思ったら今度は竜車である。長旅だったというのがご理解いただけるだろう。
そんなこんなで、私達はついにユクモ村に到着した。村の入口付近で竜車をおり、周囲を見回す。私の前には門と、登り階段となっている石段があり、その両側に家が立っている。道の反対側には畑や果樹園が広がっている。山から風が吹いてきて、温泉の独特な香りを運んできた。石段の向こうからは人々の話し声、それに混じってガンガンと金属的な音がする。近くに武具屋があるらしい。
「お待たせしたッス、それじゃ案内するッスよ!」
後輩の男に肩を叩かれた。彼の名はジーク、年齢は25歳。年齢は私と3つしか違わないのに、HRは42対179と大差がある。これは、彼が生家の店を手伝わされており、その合間にハンターをやっているのが原因である。私と違い、ハンター稼業に全力投球、ということができないのだ。彼は時々、さっさと結婚して子に店を継がせ、自分はハンター一筋になると言っている。夢が叶うのはいつだろうか。
そのジークに案内され、村を歩く。目抜通りの両側には屋台や商店が並び、活発な売り子の声が響く。往来を行き来する人の数も多く、ハンターの装備と一般人の衣服が混ざって複雑なモザイクを形成している。目抜通りを少し離れた所には武具屋があり、赤々と火が燃え、竜人族の老人が金槌で何かを叩いていた。大剣を鍛えているようだ。
目抜通りを山に向かって進み、更に石段を上がった所は開けており、向かって左側には木造の立派な旅館がある。正面にはまた石段があって、前方に見える巨大な建物につながっていた。湯気が見えることから、どうやらここが噂に名高い温泉らしい。向かって右側には足湯があり、何人もの人が湯に足をつけ、談笑していた。
「…ぱい、先輩、聞いてるッスか?」
「あ!す、すまない」
つい周りに気を取られていた。ジークが「もう…」と呟く。
「こっちの旅館、タチバナ屋っていうんスけど、そっちに部屋取ってあるッス。荷物も届いてるはずッスよ!じゃあ案内はこれで終わり。オイラは村長に挨拶してくるッス!」
そう言うとジークは、足湯の付近に腰かけ、茶を飲んでいる竜人の女性の所に走って行ってしまった。
先に狩りの打ち合わせをして、それから温泉に入ろうということで、ケートは先にタチバナ屋の暖簾をくぐる。私はもう1度浴場の高い屋根を見上げた後、ケートに続いて暖簾をくぐった。
如何でしたか?
補足ですが、ユクモ村のマイハウスがタチバナ屋に置き変えられています。
また一部のタグは、今後の展開を考えて付けられています。