タグも追加しますのでそちらを見て頂けるとわかりやすいかと思います
補給の可能性を求めシャングリラコロニーに向かうマクロス。
その内部の統合軍の工場区画ではダイダロスから運び込まれたZガンダムの整備が行われていた。
輝「おたくの機体、マクロスの設備でどうにかなるの?」
ルー「ええ、簡単なメンテナンスくらいならなんとかなりそうね」
マックス「でも、先程の戦闘の様子を見る限り動きがぎこちなく見えましたが・・・」
ルー「それはZがカミーユ・ビダン・・・エゥーゴのエースパイロット用に調整された機体だからよ」
輝「じゃあ、そのカミーユってパイロットが乗ればこの機体も真価を発揮出来るって事か?」
ルー「まぁね。でも勘違いしないでよね?私だってシュミレーターでの成績は良かったんだから、機体の調整が自分用に出来ていればあんなヨタヨタな動きなんて・・・」
輝「長くなりそうだ。そっと離れよう・・・」
柿崎「了解です・・・。しかしカミーユちゃんかぁどんな子かなぁ?」
マックス「カミーユさん、女性の方なんですか?」
柿崎「何言ってるんだよマックス。名前の雰囲気からして女っぽいじゃないか。これで男だったらお笑いだよ!ハッハッハッ!」
マクロス ブリッジ
未沙はZガンダムのデータを見ながらジッと考え込んでいた。
クローディア「どうしたの?難しい顔しちゃって」
未沙「えぇ・・・このZガンダムなんだけど・・・機体のサイズも内部機構もマクロスの艦載機とは全く異なる筈なのにどこか既視感を感じてたの」
クローディア「既視感ねぇ・・・。でも私達の世界の統合軍にモビルスーツなんて無かった訳だし・・・」
未沙「でね、マクロス内部の統合軍のデータバンクを探してたら既視感の正体がわかったの」
クローディア「本当に?」
未沙「約18mという機体サイズ、戦闘機への可変機構、コレはマクロスじゃ無く別計画で統合軍極東支部で開発されていた・・・」
未沙はそう言いながらモニターに機体データを出す。
未沙「Rシリーズの1号機に似ているわ・・・」
???
『目を覚ませ・・・』
「うぅ・・・?」
何も見えない暗闇の中、何処からか声が聞こえる。
「だ、誰だ・・・俺を呼ぶのは・・・」
『目を・・・ませ・・・』
「なんだ?何を言ってる?」
『俺・・・そちら・・・まだ・・・因・・・足りな・・・』
声はどんどんと遠ざかっていく。
「お前は誰だ?何を言いたい?」
『枷・・・我の確・・・』
その瞬間、眩いばかりの閃光が走り男の意識はそこで途切れた。
サイド1 シャングリラコロニー
史上初のシリンダー型コロニー、宇宙という新天地への希望を込めた“楽園”の名を持つコロニーであるが今はその名とは裏腹に経済状況は悪化の一途をたどっていた。宇宙に浮かぶ人工の居住地であるが故に太陽光を取り入れ一日の日照時間を決めるミラーの操作や雨などの気象のコントロールを取り仕切る行政もその役割を全うしているとは言えずコロニー内の街は茶色じみた寂れた雰囲気が漂っている。
経済的に厳しい状況からかコロニー内には廃品や中古パーツを取り扱うジャンク屋が多く彼らが所有するスクラップの山が点在している。
この少年もそんなジャンク屋の一人である・・・。
ジュドー「さぁて、今日も一稼ぎしてきますか!」
ジャンク屋の少年、ジュドー・アーシタはその日もいつものように宇宙に漂うジャンクを回収する為、作業用ポッドのあるコロニーの宇宙港に向かおうと自宅を出る。すると自宅の二階から少女が顔を出す。
リィナ「お兄ちゃん!また危ない事しようとしてるでしょ!」
ジュドー「げ!気づかれた!」
リィナ「学校にも行かないでいつもいつもノーマルスーツも無しに宇宙に飛び出して!もう危ない仕事はやめて!」
ジュドー「悪いなリィナ!これもお前を山の手の学校に行かせる為だ。それに今日はなんかお宝が手に入る気がするからさ!」
そう言ってジュドーは走り去ってしまう。
リィナ「お兄ちゃん!」
シャングリラ 宇宙港
ジュドーがいつも使っている作業ポッドの側まで来るとジュドーと同い年くらいの少年が何人か集まっている。
イーノ「あ、来た。おーい!ジュドー!」
ジュドー「イーノか!・・・げ」
こちらを呼ぶ大人しそうな風貌の少年、イーノに気づき手を振り返すジュドーだったがその奥にいる少年達を見てその手を止める。
ジュドー「ビーチャにモンド・・・お前達も一緒かよ」
ビーチャ「何嫌そうな顔してんだよ。俺たち仲間だろ?抜け駆けは良くないって!」
モンド「そうそう」
ジュドー「イーノ、お前喋ったな?」
イーノ「ご、ごめんジュドー、隠し事は良くないって言われてさ・・・」
ジュドー「ホント、お人好しなんだから」
呆れてるジュドーの背後から金髪のポニーテールをした少女が走ってくる。
ビーチャ「あれ?エルじゃんか。どうしたんだよそんな急いで」
エル「ビッグニュース!ビッグニュース!カラバに参加してたアムロ・レイがティターンズに捕まったって!」
ビーチャ「アムロ・レイが⁉︎ホントかよ⁉︎」
ジュドー「誰?」
モンド「知らないのかよジュドー?アムロ・レイって言ったら一年戦争で活躍した伝説のエースパイロットだぜ?」
イーノ「確か・・・ガンダムのパイロットだったんだよね?」
エル「噂じゃいきなりモビルスーツに乗ってザクを撃墜したとか、モビルスーツで大気圏突入したり、ジオンの名だたるエースパイロットを撃破してあの赤い彗星も追い詰めたとか・・・」
ビーチャ「ま、半分以上は噂から広まったデタラメだろ」
モンド「だよなぁ」
ジュドー「ふーん。で、その凄い人が何で捕まっちゃった訳?」
エル「あ、うん。今は地球で反地球連邦運動をしてるカラバって組織のパイロットらしいんだけどティターンズとの交戦中にティターンズの新型にやられちゃったらしいよ」
エルは持っていた新聞をジュドーらに見せる。アムロ捕縛のニュースは写真付きで大きく報じられていた。
モンド「これがティターンズの新型?なーんか飛行機から手足が生えたみたいな機体だな」
ビーチャ「なになに・・・アムロ・レイを確保した機体のパイロット、ボーマン中尉は・・・」
ジュドー(ビーチャ達が新聞に夢中になってる隙に・・・)
そっとその場から離れたジュドーはコッソリと作業ポッドに乗り込む。
ビーチャ「あ!ジュドー!この野郎!」
ジュドー「悪いなビーチャ!この前みたいに一人用ポッドに無理矢理乗り込んでぎゅうぎゅう詰めは真っ平御免なんだ!じゃあな!」
そう言ってジュドーはポッドのバーニアを吹かして気密区画から出て行く。
シャングリラコロニー周辺の宙域
一年戦争以来宇宙で続く戦いにより大破したモビルスーツの残骸や破片、パーツなどはそのまま宇宙を漂う事になりコロニーの周辺などに流れ着く場合がある。小型船やモビルスーツを所有していればもっと探索範囲を広げる事も出来るがそんな上等な物など持っていないジュドーらこども達はコロニーの外壁などにぶつかり止まるなどの要因でコロニー周辺に溜まったスクラップを漁るしかないのだ。
ジュドー「お、このシールドはキズが少ないな・・・良い値で売れるか?」
作業ポッドのアームを器用に動かしながら漂流している残骸の中から状態の良さそうなパーツを回収していく。
ジュドー「今日はこんなトコかな・・・ん?」
今日の収穫を確認していたジュドーは宇宙空間で大きな影を見つける。明らかに他の残骸よりも大きい。
ジュドー「なんだ・・・?」
何故か気になってその影に向かってポッドを動かすジュドー。影は近づくにつれて段々と鮮明になっていく。
ジュドー「お、おいおいマジかよ・・・」
影の正体のすぐ側まで来たジュドーはポッドについていたライトで照らす。それは傷一つない完全な状態で宇宙を漂う人型の機体だった。
ジュドー「こりゃあとんでもないお宝だぞ!見た感じ連邦のモビルスーツっぽいけど・・・」
ジュドーはポッドのアームを操作して謎の機体を掴もうとする。アームで機体の腕を掴んだ瞬間、ジュドーは何かを感じ取る。
ジュドー「ッ⁉︎な、なんだ・・・?今の・・・」
その時、ポッドの通信機のランプが点灯する。どうやら謎の機体から発せられているようだ。
ジュドー「も、もしもーし?誰か乗ってんの?」
『うぅ・・・』
接触通信を用いたジュドーの問いかけに対し男の声が返ってくる。
ジュドー「やっぱ人が乗ってるのか?もしもーし!アンタ名前は?」
『俺は・・・俺は誰だ・・・?』
ジュドー「・・・はあ?」
ジュドー「アンタ、記憶喪失なんだよ」
『やはり、そうか・・・』
あの後、ジュドーは機体に乗っている男に色々と聞いてみたが男は何も覚えておらず、名前すらわからない状況だった。
ジュドー「とりあえず、シャングリラに戻ろうぜ。身の振り方はそれから考えればいいさ」
『済まない・・・』
ジュドー「いいのいいの。困った時はお互い様・・・ん?」
『どうした?』
ジュドー「来る・・・?何か・・・」
『何?・・・機体のレーダーが反応してる?』
何かを感じ取ったジュドーが見た方角に男は機体の向きを変える。
遥か彼方から見た事のない機体が数機、こちらに向かってくる。人型ではなくメカで出来たトカゲのような風貌の機体である。
ジュドー「な、なんだアレ⁉︎」
『・・・バグス』
ジュドー「え?何だって?」
『機体の識別データにはそう出てる。どうやら俺はともかくこの機体はあのメカを知ってるらしい』
ジュドー「名前がわかったところでどうすんのさ?」
『わからん。見たところ対話が通じる相手ではなさそうだが・・・』
男がそう言った側からバグスと呼ばれた機体はジュドー達に攻撃を仕掛けてきた。
ジュドー「おわぁっ⁉︎ち、ちょっとタンマ!」
『待ってくれる訳ないだろう!・・・ここは俺に任せろ』
ジュドー「任せろっつったって・・・アンタ記憶喪失なんだろ?戦えんの?」
『どうやら記憶は無くても身体が覚えてる、というヤツらしい。機体のデータを探ったらどうやら名前くらいはわかりそうだ』
ジュドー「ホントか?」
『ああ。この機体に登録されてるデータを信じるなら俺は・・・』
男は機体のモニターに映し出された機体の登録データとそのパイロットデータを見つめる。
『俺の名はイングラム、イングラム・プリスケン・・・そしてこの機体の名は・・・』
イングラムは迫り来るバグスからジュドーのポッドを庇うように機体を向ける。
イングラム「・・・R-GUNだ」