マクロス U.C.   作:真仁

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サイン・オブ・ゼータ

マクロス ブリッジ

グローバル「記憶喪失・・・?」

イングラム「はい・・・」

救難信号を発した事でシャングリラに接近していたマクロスに発見され回収されたイングラムとジュドー。現在、ブリッジにて彼らの身辺調査が行われているのだが・・・。

クローディア「何も思い出せないの?」

イングラム「名前とR-GUNの操縦方法のみですね、俺は元からあの機体のパイロットだったらしいですが・・・」

キム「艦長、マクロスにあった統合軍のデータバンクに該当するデータを発見しました。イングラム・プリスケン、階級は少尉、統合軍極東支部所属で現在は極東支部主導で行われるSRX計画のテストパイロットとして登録されてるようです」

グローバル「辻褄は合っているという事か・・・」

クローディア「艦長、SRX計画とは?」

未沙「SDF計画とは別に統合軍極東支部で進められている防衛計画・・・」

クローディア「未沙?あなた知ってるの?」

未沙「ええ・・・以前一度だけお父様から聞かされた覚えがあるわ」

シャミー「その、SRX計画とかSDF計画って何なんですか?」

グローバル「異星からの巨大宇宙船ASS-1が地球に墜落しそこから外宇宙には宇宙規模の戦争が存在する事を知った人類はそれらに備えて対策を立てなければならなかった。そこで立案されたのが二つの計画だ」

グローバル艦長は未沙に指示をだしてモニターに映像を出す。

グローバル「一つはSDF計画、ASS-1を解析、改修してそこから得られた技術を地球防衛の要とする計画だ。つまり・・・」

クローディア「このマクロスの事ですね」

グローバル「その通り、そしてもう一つが・・・」

モニターに3機のロボットらしきデータが表示される。

グローバル「ASS-1から得られた技術をより積極的に用いた対異星人迎撃用一撃必殺型機動兵器開発計画、SRX計画だ」

 

 

 

 

同時刻 その大きさ故にシャングリラから少し離れた所に停泊するマクロスを監視する一隻の戦艦があった。

ゴットン「マシュマー様、巨大戦艦はモビルスーツを収容後、シャングリラに停泊するようです」

マシュマー「そうか・・・しかし連邦め、あんな新造艦を建造していたとは・・・」

ゴットン「それにしても解せません。連邦軍の新型艦がなぜこんな戦略的重要性の無い辺境のコロニーに来ているのか・・・」

マシュマー「戦略的重要性が無いからここに来ているのだ。あの艦がエゥーゴかティターンズの所属かは知らないがこんなど田舎のコロニーなら敵に気づかれる事無く慣熟訓練が出来るだろう?」

ゴットン「な、なるほど・・・」

マシュマー「だがその計画も無駄になったな・・・このアクシズ先遣隊の指揮官、マシュマー・セロに見つかってしまったからにはな!」

ゴットン「マシュマー様、我々先遣隊の目的はシャア・アズナブルが放棄した地球圏の偵察の任務を引き継ぎ地球圏の情勢を探る事です」

マシュマー「んな事は分かっている!だからこそあの新造艦がジオン再興の脅威となる前に我々であの新造艦の詳細を本隊に報告せねばなるまい?」

ゴットン「それは・・・そうですが・・・」

マシュマー「心配は無用だ、奴らはまだこちらには気づいていまい。我々の艦隊はシャングリラの反対側に回り込み私はまずシャングリラに潜入する」

ゴットン「シャングリラに?」

マシュマー「奴らがシャングリラの近くに停泊しているのはおそらく物資の補給目的だろう。私はシャングリラからの補給物資に紛れてモビルスーツで艦内に潜入する!その間にエンドラ、サンドラ、ミンドラの各艦とその艦載機で攻撃を仕掛ける・・・いわば中と外からの同時攻撃で艦を制圧するのだ!」

ゴットン「そんなうまくいきますかねぇ・・・?」

マシュマー「フッ、心配は無用だ。見ていてくださいハマーン様・・・このマシュマー・セロ、貴女より承ったこのバラに誓って必ず!」

ゴットン「まーた始まったよ・・・」

軍服の胸にさしてあるバラに大事そうに持つマシュマーとその様子を見て呆れるゴットンであった・・・。

 

 

 

 

マクロス内部

ジュドー「へへ・・・イングラムには悪いけど俺、軍人嫌いなんだよね!コッソリ抜け出してもらうよっと・・・」

ブリッジに向かうイングラムからコッソリと離れたジュドーはマクロス艦内をウロウロしていた。

ジュドー「しっかしだだっ広い艦だなぁ?まるでモビルスーツが操縦する艦みたいだ。お宝は何処かにあるかなぁ・・・と」

珍しい部品などを探す為わざと通気口や搬入路など正規では無い通路を移動していたジュドーだったがふと立ち止まって辺りを見回す。

ジュドー「あれ?ここってさっきも通ったような・・・いやコッチか・・・」

来た道を引き返したり別の道を選んでみたりを何度か繰り返していたジュドーだったがやがて一つの結論に達する。

ジュドー「・・・迷ったな、完全に・・・」

物音一つせず誰も居ない通路で一人途方にくれるジュドーであった・・・。

 

 

 

 

シャングリラコロニー 港

輝達バーミリオン小隊は他のバルキリー隊と共にシャングリラコロニーから提供された物資をマクロスに輸送する作業に参加していた。

柿崎「やれやれ・・・なんで俺たちバルキリー隊まで物資輸送に駆り出されなきゃならないんだよ・・・」

輝「文句を言うなよ。マクロスは巨大過ぎてコロニーの港に入れないし、このシャングリラコロニーの偉い人が巨大艦を見て住民が怖がっているから物資は分けてやるから近くに寄るなって言ってるんだからさ」

マックス「マクロスが近寄れないとなると自力で飛べないデストロイドでは運搬は不可能ですからね。で、僕達バルキリー隊の出番って訳です」

柿崎「わかってるけどさぁ・・・」

ボヤいていた柿崎の眼前にはバルキリーよりも大きなコンテナが迫っていた。

輝「柿崎!余所見してる場合じゃないぞ!」

柿崎「え?うわぁぁぁっ⁉︎」

ガウォークに急制動をかけるも間に合わず柿崎機は止まらずコンテナに前進する。

柿崎「ダメだぁ!ぶつかるぅっ!」

ガッ!

コンテナに激突する寸前に横から飛び込んできたバルキリーが柿崎機を抑えて激突を阻止した。

柿崎「た、助かったぁ・・・」

輝「柿崎!大丈夫か!」

輝とマックスがすぐに駆け寄ると助けたバルキリーはその場を離れようとする。

輝「待ってくれ!部下を助けてくれてありがとう。君の名前は?」

アルト「・・・スカル大隊所属11番機、早乙女アルト伍長です」

輝「早乙女伍長か・・・、君、何処かで会った事あったか?」

アルト「いえ?先日統合軍に入隊したばかりですから・・・」

輝「そうか・・・?勘違いならいいんだ。済まない」

アルト「いえ、では自分はこれで」

そう言うとアルトはその場を離れまた作業に戻っていった。

柿崎「新兵か、なら俺たちがちゃんと面倒見てやらないとな!」

輝「その新兵に助けられたのは何処のどいつだ?」

柿崎「そ、そりゃないですよ隊長〜!」

マックス「しかし、バルキリーの扱い方がうまい方でしたね。機会があれば是非お手合わせ願いたいです」

輝「それはまた暇な時にだな。コンテナは大丈夫かな?」

輝はコンテナに損傷がないか確認に行く。

輝「損傷は無いみたいだな。良かった・・・」

マシュマー「コラ!乱暴に扱うんじゃない!この馬鹿者!」

輝「うわぁ⁉︎」

マシュマー「コンテナの中身が傷ついたらどうしてくれる!」

輝「え?あ、えと・・・すみません・・・?」

マシュマー「それで、中身は?」

輝「へ?」

マシュマー「中身は見てないのか聞いてるのだ!」

輝「え?えーと、中身は見てないです・・・?」

マシュマー「そうか!なら問題無い!そのまま安全にあの連邦の艦に運んでくれたまえ!」

言うだけ言うとマシュマーはそそくさとコンテナの影に隠れるように去ってしまった。

輝「な、なんだったんだ・・・一体・・・?」

 

 

 

 

マクロス内部 機体格納庫

解析と簡単なメンテナンスを受ける為、ZガンダムとR-GUNが運び込まれていた。

ルー「これがR-GUN・・・見たところバルキリーよりはモビルスーツに近いけどコレは貴方達の、マクロスの世界の機体なのよね?」

イングラム「そうらしい。各部パーツもバルキリーやデストロイドと共通の規格になっている部分が僅かながらに存在しているそうだからな」

ルー「でも貴方も災難よね、記憶喪失だなんて」

イングラム「思い出せない事を気にしても仕方ないさ。俺が統合軍の軍人だという事が確かなのなら俺はここで戦うまでだ」

ルー「そういうモンかしら・・・。さてと、私はちょっとここを離れるわね」

イングラム「何処に行くんだ?」

ルー「シャングリラコロニーよ。あそこからならエゥーゴに暗号通信が送れるかもしれないから」

イングラム「そうか、気をつけてな」

ルー「ガンダムは今エンジンに火が入ってるからくれぐれも勝手に乗り回したりしないようにね?」

イングラム「そんな事しないさ」

 

 

 

 

同時刻 マクロス内部?

ジュドー「歩いても歩いてもだだっ広い通路・・・、ここは何処なんだよー!」

叫んだところで自分の声が反響して帰ってくるのみで辺りは相変わらず人はおろか生き物の気配すらない。

ジュドー「はぁ・・・コロニーの外壁だったら一周してもお釣りが来るぞ・・・、何か目印になるものでもあれば・・・ん?」

その瞬間、ジュドーは不思議な感覚を覚える。何も無い筈の通路の奥の暗闇に光が見えた。

ジュドー「あの光は・・・?もしかして出口か⁉︎」

光に向かって駆け出すジュドー。しかし光は走っても走っても一向に近づいてくる気配は無い。

ジュドー(くそ!もう結構走った筈なのに・・・!あの光は出口じゃないのか?・・・でも・・・)

ついに通路の端、行き止まりまで到達するが光はまだ通路の下側に刺していた。

ジュドー「ここを潜れって事か?」

ジュドーは光に誘われるがままに通路の下側にあるパネルを強引に外し、中に入っていく。こどもが一人這いずってようやく通れるほどの小さな隙間だがジュドーは光を追ってひたすら進んでいく。その時、

ドォォォンッ‼︎

ジュドー「な、なんだ⁉︎」

突然の轟音と共に船体が大きく揺れる。

 

 

 

 

マクロス ブリッジ

グローバル「何事だ⁉︎」

ヴァネッサ「敵襲です!シャングリラコロニーの影から正体不明の戦艦が3隻マクロスの左舷側から接近してきます!」

キム「所属不明艦、遠距離からの砲撃でこちらを攻撃してきます!」

クローディア「敵艦の大きさは?ゼントラーディの艦よりも小さいの?」

シャミー「は、はい!全長は・・・推定で400m前後!」

未沙「だとすると相手はおそらくこちらの世界の・・・!」

グローバル「よりによって損傷しているプロメテウス側への攻撃か・・・。やむを得ん、これよりマクロスは自衛の為の戦闘行動に移る!クローディア君、物資輸送を行っているバルキリー部隊に緊急帰投命令を出せ!」

クローディア「イエッサー!」

未沙「ピンポイントバリアを左舷に展開!急いで!」

キム「了解!」

 

 

 

 

 

マクロス内部 格納庫

イングラム「今の衝撃はなんだ?・・・まさか敵襲⁉︎」

イングラムはR-GUNに搭乗しようとするが現在R-GUNは解析の為機体のパーツがところどころ外されており出撃出来る状態では無かった。

イングラム「くそ!・・・こうなったら!」

イングラムはアイドリング状態で待機しているZガンダムを見る。開いたままになっているコクピットに近づこうとするが・・・

ガシャァン!

イングラム「何⁉︎」

突然天井のパネルが落下し、イングラムがコクピットに向かうのを止めるようにイングラムの目の前に落下する。その後・・・

ジュドー「うわぁぁぁぁっ⁉︎」

イングラム「な・・・⁉︎ぐおっ⁉︎」

パネルの後からジュドーが落下、イングラムの上に落ちる。

ジュドー「痛てて・・・、外に出れた?ここは・・・」

状況確認の為辺りを見回すジュドー。そんな彼の目に飛び込んで来たのは・・・

ジュドー「これって・・・もしかしてガンダム⁉︎」

眼前に立つZガンダムはただ静かにジュドーを見つめていた・・・。




この作品世界におけるSRX関連の設定はまた個別のレポートという形で纏めたいと思います

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