突如飛来し攻撃を仕掛けてきた謎のメカ「バグス」を迎撃する為、戦闘態勢に入るR-GUN。脇にはジュドーを乗せたポッドを抱えながら
突進してくるバグスを回避する。
ジュドー「おわぁっ!もうちょっと優しく動いてくれよ!」
イングラム「そんな事言ってる場合じゃないだろう!」
回避の為に機体を動かすがその度にポッドの内部でジュドーが揺さぶられる。そんな事は御構い無しとばかりにバグスは攻撃の手を緩めない。
イングラム「見たところ奴らの攻撃方法は突進による物理攻撃のみのようだな・・・。こちらの武器は・・・」
イングラムはコクピット内部のパネルを操作し機体の状態と武装を確認する。
イングラム「武器は頭部のバルカン砲に背中に付いているビームカタールソード、そして手に持っているツインマグナライフルか・・・」
画面にはもう一つメタルジェノサイダーと書かれた武装もあったがロックが掛けられており使用不可になっている。
イングラム「機体各部は異常なし、推進剤もまだ余裕がある、か・・・やるしか無い!」
一通り確認を終えたイングラムはR-GUNをバグスに向けると迎撃態勢に入る。
攻撃してくるバグスは全部で5体、同士討ちを恐れているのか一度に2機以上で攻撃はしてこない為1機ずつ別々の方向から突進をしてくる。
イングラム「絶え間なく攻撃は仕掛けてきているが・・・パターンさえ読めれば!」
一機のバグスの突進を回避すると同時に突進をかわされてガラ空きとなった背部にバルカンを撃ち込む。バルカンは全弾命中したものの多少ダメージは与えられたのみで撃破には至らず、バグスは方向転換して再び突進してくる。
イングラム「やはりバルカンでは火力が足りないか・・・うおっ⁉︎」
攻撃に転じた隙を突いて別のバグスが背後から体当たりを仕掛ける。直撃は避けたものの咄嗟に右手でガードした際の衝撃でライフルを手放してしまう。
イングラム「しまった!ライフルが!」
ジュドー「何してんの!早く拾わないと!」
吹き飛ばされたライフルを回収しようとするがバグスの攻撃に阻まれ思うようにいかない。
イングラム「ならば!」
R-GUNは背中に装備されているビームカタールソードを右手で引き抜くと突進してきたバグスをすれ違い様に切り捨てる。
ビーム刃で両断されたバグスはその場で爆発してしまう。
イングラム「よし・・・戦える・・・!だが・・・」
脇にポッドを抱えてる為左手は使うことが出来ずさらにそのポッドにより重心バランスも偏りが生じ機体が思うように動かないこの現状でビームソード一本で切り抜けられるかといえば厳しい状況である事に変わりはない。
イングラム「劣勢か・・・」
ジュドー「イングラム・・・だっけ?飛んでったライフルの位置、わかる?」
イングラム「ん?あ、ああ・・・」
ジュドー「その方向に向かって俺のポッドを投げてくれ!」
イングラム「何を馬鹿な事を!敵に狙われるかもしれないんだぞ!」
ジュドー「どのみちポッド抱えたままじゃうまく動けないんだろ?そうすりゃ左手も使えるしライフルだって回収できる」
イングラム「しかし・・・」
ジュドー「こんな所で死んでたまるか!シャングリラ魂をみせてやるよ!」
イングラム「・・・わかった、隙を見て投げる。だが無茶はするなよ?」
ジュドー「記憶喪失なのにいきなり戦ってる人には言われたかないや。こっちはいつでもいいぞ!」
バグスの攻撃からの回避に専念しタイミングを見計らうイングラム。
イングラム「今だ!」
ポッドをライフルめがけて放り投げ、そのまま突進してきたバグスの一体をソードで切り裂く。ライフルの位置まで飛ばされたジュドーはポッドのバーニアを吹かして制動しながらアームでライフルを掴む。
ジュドー「よし!拾ったぞ!」
その直後バグスの一体がポッドに体当たりをしてポッドのバーニアが破損、身動きが取れなくなったポッドはそのまま回転しながら飛ばされる。
ジュドー「うわああっ⁉︎」
イングラム「くっ!」
イングラムはR-GUNをポッドに向けて飛ばす。R-GUNを襲っていた二体のバグスもそれを追撃する。ポッドを襲ったバグスがそのままジュドーにトドメを刺す為突撃する。
イングラム「させるか!」
イングラムはR-GUNの持っていたビームカタールソードをバグスに投げつける。ソードはバグスの背中に突き刺さりバグスはその動きを停止する。その隙にR-GUNはポットの元にたどり着きライフルを受け取る。
ジュドー「来るぞ!」
イングラム「ツイン・マグナ・ライフル!ダブルファイア!」
R-GUNがライフルのトリガーを引くと銃口からビーム弾と実体弾が連続して発射される。銃弾は真っ直ぐに二体のバグス目掛けて飛んでいき先に到達したビーム弾が前にいたバグスを貫通、その穴を通過して実弾が後方のバグスに命中する。
ジュドー「すげぇ・・・一発で・・・」
イングラム「周辺サーチ、増援は無いようだ。なんとかなったか・・・」
ジュドー「あーあ、ポット壊れちまったか・・・商売道具だったのにな」
イングラム「すまなかったな」
ジュドー「なぁにいいって事よ!代わりにこんな立派なモビルスーツが手に入ったんだからさ!」
イングラム「R-GUNの事か?コイツは・・・悪いが渡せない」
ジュドー「別に取ろうなんて思ってないぜ?お前も一緒にジャンク屋やればいいんだからさ?」
イングラム「俺も?」
ジュドー「記憶喪失でどうせ行くあて、無いんだろ?」
イングラム「それはそうだが・・・」
ジュドー「じゃあ決まり!そうと決まればシャングリラに戻って・・・」
そこでジュドーの言葉が止まる。
イングラム「どうした?」
ジュドー「あ、アレ・・・」
コクピットのジュドーが指差した方向にR-GUNのメインカメラを向ける。そこにはコロニーの1/3はあろうかという巨大な戦艦が近づいて来ていた。
ジュドー「な、なんだよあの馬鹿デカイ戦艦は・・・」
イングラム「マクロス・・・」
ジュドー「え?マグロ?」
イングラム「マクロスだ・・・」
ジュドー「なんでそんな事知ってるんだよ?記憶喪失じゃなかったのかよ?」
イングラム「・・・わからない、見た瞬間脳裏にその言葉が浮かんだとしか・・・」
ジュドー「もしかしたらお前の記憶と関係があるのかもしれないな!イングラム、行ってみようぜ!」
イングラム「しかしお前は・・・」
ジュドー「ポットの推進器は壊れちまって動けないから俺は自力じゃ帰れないの!それに・・・」
イングラム「それに?」
ジュドー「あんだけデカイんだ、なんかお宝があるかもしれないだろ?新型のガンダムとか乗っけてるかも!」
イングラム「お前な・・・」
ジュドー「ほら!早く救難信号出せって!」
こうして記憶をなくした謎の男とジャンク屋を営む少年を乗艦させる事になるマクロス。それはまたひとつの物語の始まりになる事を彼らは知る由もなかった・・・。