東方染色記 作:折れない黒鉛筆
フェス始まる前に書ききっておいて本当に良かった。ちなみに私は瞬発力派です。
さて、第八話です。一応第一章はこれで終わりにしようかなって思ってます。あ、第二章に移る前にとあるものを投稿する予定なので期待せずに待っててくださいね。
それでは、第八話をどうぞ。
前回のあらすじ
慧音さんと再会した
霊夢にスペルカードについて教えてもらった
自分のスペルカードを作ったらなんか魔理沙と弾幕ごっこすることになった
修正履歴
2017/12/23 台本形式を修正+ストーリーがズレない程度に口調や文などを修正
「…よし、3枚目出来たっ!」
サクッと3枚目を作り終えると、魔理沙がやや驚いたような表情で話しかけてくる。
「早いなオイ…てか元々2枚しかないなら2枚でやるつもりだったのに。」
「え。それを早く言えよ…まあ作っちゃったし3枚でおk?」
「…まあいいぜ。じゃあやるか。」
魔理沙と会話を交わすと、魔理沙が上空へと飛び立った。続けて俺も飛び立とうとすると、霊夢に引き止められる。
「あんた弾幕の作り方知らないでしょ。それでどうやって戦うつもり?」
「あっ…えっと…どうするんだ…?」
「適当に弾をばら撒くだけよ。難しくないわ。こんな風にね!」
そう言うと霊夢がいきなり赤い弾を大量に発射。俺は驚きながらもその赤い弾を全て避けた。
「おいおい…初見殺しは勘弁してくれよ…」
「あら、ごめんなさいね。でもこれで大体分かったでしょ?」
絶対反省してねえこの腋巫女。
「あんなので分かるか!…って言いたいところだけどだいたいわかった。」
「なら良かったわ。ほら、魔理沙が待ってるわよ。」
ペースを崩されたような気しかしないが今度こそ俺は上空へと飛び立ち、魔理沙と少し間合いを開けて滞空する。
「魔理沙ー!手加減しなさいよー!」
「分かってるぜー!」
「…本当に分かってるのかしら。」ボソッ
そんな霊夢の呟きが聞こえた。霊夢は誰にも聞こえてないと思ってるみたいだけど悪いが俺は地獄耳なんだよね。その程度の呟きだったら聞こえてしまう。そんなことより今は弾幕ごっこに集中しよう。
「スペルカードは3枚までで、被弾は…ハンデとしてお前は3回被弾したら負けだが私は1回被弾したら負け。これでどうだぜ?」
魔理沙の言葉を聞き、少し嫌な感じになる。ハンデか…。正直ハンデを貰って楽して勝ちたくはない。やるなら対等に勝負したいが…あくまで俺は初めての弾幕ごっこだ。それに魔理沙は聞いたところによると相当強いらしいし……仕方ない。ハンデありで行くか。
「…ああ、それでいいぞ。」
「じゃあ始めるぜ!!…先手必勝!」
魔理沙がそう言った途端ハイスピードな星型のエネルギー弾が大量にこちらに向かってきた。ふむ、これが霊夢が出してた弾幕ってやつか。霊夢のより大分速いが避けられないほどではない。
「集中…!」
俺は前から飛んでくる星型弾をしっかり見つつ右へ左へ移動して避けていく。
(弾幕…あんな感じで一回やってみるか。)
そう考え、俺はまず魔理沙が放ったような弾幕を頭の中でイメージし、それを魔理沙に向かって放った。
しかし、初めての弾幕だったからか魔理沙のような弾幕は出ず、代わりに出たのは米粒のような弾5つだった。ショボい。ショボすぎる。
(まあ最初は上手く行かねえよな…)
「何だ?それで終わりか?ならこっちから仕掛けさせてもらうぜ!」
そう言った魔理沙が何処からかカードらしきものを出した。おそらく…
「行くぞ康介!魔符「ミルキーウェイ」!」
やはりスペルカードだ。避けきれるだろうか。…そうだ、一応唱えておくか。装備品は持ってるだけじゃ意味がないもんな。
「じゃあこっちも。雲剣「クラウドソード」!」
そう唱えた次の瞬間、俺の右手にはドラ◯エの片手剣のような雲でできた剣が装備された。ていうか作った。一応雲のあれこれを変えて斬ることもできるし叩くことも出来る。ついでに雲だから伸縮自在だ。
装備されたことを目視で確認し、魔理沙の方を見ると魔理沙の周りには魔法陣のようなものが集まっていた。すると魔理沙がついさっきより大きな星型弾を出してきた。隙間は全然あるので避けられそうだ。
「よっと…」
弾幕の隙間に入ったその瞬間、目の前から小さい星型弾が飛んできた。どうやら魔法陣のような物から発射されたようだ。いきなりでどっちに避けようか一瞬戸惑ったせいで弾幕は俺に命中しそうになる。
(避けきれない…!?なら…!)「はぁっ!」
俺は気合いの入った声と共にクラウドソードの切れ味を高め、縦に振った。正直切れるかどうか心配だったけど弾幕は上手く縦に真っ二つに切れ、俺の左右を通り過ぎ、俺に当たることは無かった。
「ほう。その剣、そんな事も出来るのか。」
「ああ、色んなことが…痛っ!?」
突然左肩に痛みが走る。何があったと左肩を見ると、いつの間にか横から来ていた星型弾に当たっていた。ほんと視野狭いな俺。スプラとは全然違うなこれ。すぐその星型弾は消えたが、まだ激痛が走っている。マジで痛い。だが多分骨は折れてないだろうな。その証拠にまだ左腕はかろうじて動く。
「ふふ…これで一回だぜ。」
「マジかぁ…」
そんな事を言うと、魔理沙が再び弾幕を展開。負けじと俺も弾幕を避けながら自分の弾幕を魔理沙に放ってみる。ついさっきよりは数も増したが、全く持って当たらない。これが経験の差ってやつか…こうなったら。
「当たらないならスペルカードだ!雨符「断続的な通り雨」!」
スペルカードを唱え、上空(正確には魔理沙の上空だけ)に雲を展開。そこから雨に見立てた弾幕を降り注がせる。しかし魔理沙は、これをヒョイヒョイと避けていく。
「うへえ…マジかよ…」
「どうした康介!こんなもんか!?」
正直こんなもんです。ハイ。ていうか相当ピンチだ。これは相手の動きを読んで攻撃を仕掛けないと当たらないかもしれない……相手の動きを読むのはスプラでは上手く行ってたけど果たしてここではどうだろうか…そう考えていると、魔理沙の上空にあった雲が消えていた。どうやら時間切れのようだ。
「反撃行くぜ!魔符「スターダストレヴァリエ」!」
そう言った魔理沙の周りに魔法陣のような物が集結。そこから魔法陣が星型弾を出しながらこちらに向かってきた。もちろん前からの攻撃は避けれる。避けた魔法陣は俺の少し後ろで停止した。
この時俺は魔理沙が何かしてくるのではと思い、ただひたすら魔理沙を警戒していた。もちろん出てきた星型弾に当たらないようにして。だが、いきなり後ろから何かに突撃されたような感覚が。
「がっ…!」
まさかと思い後ろを見ると、なんと俺は魔理沙の方に帰っていく魔法陣と衝突していた。要するに凡ミスだ。…てかこいつにも当たり判定あるのか。
(うっわ…やらかした…)
「おっと、言い忘れてたぜ。私のそれも当たると痛いからな。」
「それを早く言えよ!」
魔理沙に軽くツッコミを入れるがどっちにしろ、被弾したという事実は変わらない。これであと一回被弾したら負けか。大ピンチだな俺。ヤバイよヤバイよとか言ってらんねえな。
…どうやら最後のスペルカードに賭けるしかないみたいだ。
そう思い俺はズボンのポケットの中に入れてある最後のスペルカードを見た。これで勝つには…
「よそ見は禁物だぜ!!」
その声を聞き前を見ると、再び魔理沙が弾幕を展開してきている。それに負けじと俺は残り半分くらいしかないであろう霊力を使い弾幕を展開するのであった。
─────
(にしても康介の成長は早いな。もうちゃんとした通常弾幕になりつつあるもんな。)
私は弾幕を放ちつつそう思った。にしても、ついさっきの康介のスペカは正直なところ危なかったぜ。上からくる弾幕なんてあんまり避けたことなかったからだ。
今私と康介は互いに弾幕を放ち、飛んでくる弾幕をひたすら避けている。おそらく康介はチャンスを伺ってチャンスのときに最後のスペカで私を被弾させるつもりだろう。
だが、正直なところ康介は限界が近い筈だ。いつ被弾してもおかしくないくらいに。事実、少し前から康介の放つ弾幕の密度が薄くなっている。それはつまり、彼の霊力が少なくなっている証拠だろう。
すると、突然康介がバランスを崩した。おそらく弾幕を避けてバランスを崩したんだろう。その隙を逃さずにすかさず私はスペカを叩き込むことにする。最後はやっぱりこれで締めるぜ!
「これで終わりだぜ!恋符「マスタースパーク」!」
そうスペカ宣言した私はミニ八卦炉を構える。そしてミニ八卦炉にエネルギーを貯め、発射。
「クソがっ…!」
康介は何とか体勢を立て直し、彼の最後のスペカを宣言していたが、もう手遅れだぜ。康介は私が放ったマスタースパークに飲み込まれた。そして小さい爆発が起こる。
「これで3回目の被弾だな。私の勝ちだぜ。」
そう言って私はマスタースパークを撃つのをやめ、康介の元へと飛んだ。一応手加減はしたので大丈夫なはずだぜ。
「おーい康介。大丈夫かー?」
しかし、次に聞こえた康介の言葉は「大丈夫」でも「大丈夫じゃねえよ」でもなかった。
「悪いけど…俺のバトルフェイズはまだ終わってないぜ…!」
─────
爆発の煙の中、魔理沙が驚いたように話しかけてくる。声の方角でどこにいるかはだいたい分かるが煙のせいで姿が見えない。仮に煙無くても見えないと思うけど。
「何でだぜ!?確実に被弾してただろお前!」
魔理沙が驚いたかのような声で話してくる。まあ普通ならそう見えるだろうな。あのスペルカードを宣言してなければ、の話だが。
「魔理沙、まだ終わってないわ。康介はマスタースパークを防いだわよ。…最後のスペルカードで。」
どうやら霊夢は分かっているようだ。そして煙が晴れる。
「…!?雲…?」
「ヘヘ…反撃「積乱雲障壁」…」
そう、俺はマスタースパークに当たる直前、このスペカを宣言し、目の前に雲でできた障壁を展開したのだ。横幅は大体キャンピングシェルターをバージするときぐらいの幅なので何とか凌ぎ切った。
そして符名にもある通り、このスペカの特徴は「攻撃を凌ぐ」だけじゃないんだよな。
魔理沙が察したのか急いで俺と距離を離す。だがもう遅い。
…おそらく霊力がもう尽きる。ならアレで決めるしかない…!
「…ファイヤ!」
そう俺が言い放った瞬間、雲からマスタースパークのようなレーザーが発射された。そう、このスペカのもう一つの特徴は「展開した雲が食らった攻撃をそっくりそのままお返し出来る」という点だ。
一応避けてほしい方向があるのでまずはレーザーの右側に軽く弾幕を飛ばす。続いてレーザーから離れすぎないように左側のレーザーから遠い位置にも弾幕を飛ばす。正直もう限界が近い…これで決まってくれ…!
「よっと…危ない危ない。」
魔理沙が避けた方向は…左。そして魔理沙がいる位置も完璧。取り敢えず運ゲーには勝てた。悪いけどこの攻撃は魔理沙を被弾させるために撃ったわけではない…!
「これで…チェックメイトだ…」
「は?何言って…痛っ!!」
作戦成功。見事に魔理沙は俺がカウンターレーザーを放った瞬間に上空に投げ、落ちてきたクラウドソードに当たってくれた。一応切れ味を無くして完全に打撃武器にしたしそんなに高く投げてないので死にはしないはず。ただ音を聞いた感じ気絶はしてそう。
「これで魔理沙が一回被弾…俺の勝ちか?」
「ええ、あんたの勝ちよ。」
気付けば霊夢が俺の近くまで飛んできていた。ハンデありだが何とか勝てた。と言っても不意打ちだけど。
「はは…やったぜ…」
全身から力が抜ける。そして地面へと落下。多分霊力が切れたんだろうな。
「ちょっと!?」
霊夢が急いでこちらへ飛んでくる中、俺は意識を手放した。
─────
「…知ってる天井だ。」
「は?何言ってんの、あんた。博麗神社の中なんだから当たり前でしょ。」
霊夢が冷たく反応を返す。流石に泣きたい。泣いてもいいかな?そんなことより、えっと…?確か俺は魔理沙と弾幕ごっこをして運ゲーに勝って不意打ちを決め、俺が勝ったんだっけか…
辺りを見回す。霊夢の言ったとおりここは博麗神社の中のようだ。そして外を見ると、すっかり日は落ちて辺りを闇が覆っていた。
そういえば被弾した左肩と背中が痛くない。おかしいと思って左肩を見たが、傷一つついていなかった。…どういうことだ?
「はあ…あんた、一日も寝てたのよ?色々寝言を言いながら。」
あれ…?人間の傷って一日で治るものだっけか?それより寝言?基本俺は寝言を言わないけど…んんん?
「ちょっと、人の話聞いてる?」
「あっ、すまん。少し考え事してた。そういえば魔理沙は?」
「魔理沙ならあの弾幕ごっこのあとすぐに復活して帰ったわよ。『また勝負しような!』って言い残してね。」
あいつもあいつで大分タフだな。流石【普通の魔法使い】を名乗ってるだけのことはある。それに引き換え俺は…情けねえな。
「取り敢えず霊力が足りなくてこうなった訳だから…霊力頑張って増やさないとな…それに運ゲー仕掛けなくても勝てる実力を…」ブツブツ
「独り言かしら?取り敢えず夕食できてるからパパっと食べて今日はもう寝なさい。寝すぎたから寝れないと思うけど。」
「おっけ。ならそうさせてもらうよ。」
その日はさっさと夕食を食べ、残りの家事を霊夢に任せて俺はさっさと寝ることにした。霊夢マジ感謝。
色々腑に落ちないことはあるけど、まあいいやと一旦保留にし、俺はすぐに深い眠りについた。
─────
「そろそろかしら?あの計画を実行するには…」
「私は図書館で敵の来襲に備えておけばいいのね。」
「私はここに敵が来たら門で迎え撃てばいいんですね!」
「お嬢様。あの計画についてですが…いつ実行いたしましょう?」
「そうね…大体今から一週間後かしら?まだ若干準備が足りてないわ。それに今から丁度一週間後は満月だしね…」
「承知いたしました。」
「じゃあ一週間後にあの計画を実行するわよ。博麗の巫女…覚悟してなさい。ククク…」
この時、今から一週間後にあんな事件が起こるとは康介や魔理沙、そして霊夢でさえ知らなかったのである。
次回予告
次回からとうとう第二章!
第二章は紅魔郷編です!
幻想郷の空を突如覆い尽くした紅い霧…スペルカードルールを制定して以来初めての異変が幻想郷を襲う。
異変解決のため動き出す霊夢と魔理沙。そしてその時康介は…!?
次回「紅霧異変第一話 康介の予知夢と恐怖の紅い霧」(仮)
いかがでしたでしょうか。次回予告がなんかハイテンションですがこのまま行きます。
次回ですが、とうとう紅魔郷編に突入します!あの吸血鬼姉妹に完全で瀟洒なメイドさん…ようやくあのメンバーを登場させられると思うとワクワクするのは私だけですね。
あ、前書きにも書いた通りこの後(忘れてなければ)とあるものを投稿しますので適当に待っていてくださいね。
それではここらで。うp主の折れない黒鉛筆でした。