東方染色記   作:折れない黒鉛筆

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どうも。まさかの一日に二話分投稿をしてしまったうp主の折れない黒鉛筆です。
六話目の本文を書ききったあとすぐにアイデアが思いつき、七話目書こう!って感じになり、バーッて書いたら日曜日の15時よりもっと前に七話目の本文が出来ちゃったのでこんな形になりました。許して。
さて、第七話です。今回も少しだけ康介くん以外の視点から物語を進めてみました。さて、今回の視点は誰でしょうか?
それでは、第七話をどうぞ。

前回のあらすじ(忘れてた)
康介の能力の一つ目が分かった
霊夢にほ色々教えてもらった
(まだ未完成だけど)空が飛べた

修正履歴
2017/12/23 台本形式を修正+ストーリーがズレない程度に口調やら文やらを修正&追加
2018/05/26 段落頭に全角スペースを追加+一部表現・セリフを変更


第七話 幻想郷のとあるルール

「…いつまで寝てるのよ…全く。」

 そう言い、私はため息をつく。目の前にはスヤスヤと幸せそうに寝息を立てている康介がいる。

 あの日、康介の能力が分かってから数日が過ぎた。康介はその間ひたすら自分の能力を磨いていた。私の手伝いもさせながらだけど。それのお陰か今は大分安定して能力を使えているように見える。…にしても康介は本当に飲み込みが早いわね。普通なら能力を安定して使えるようになるのに一ヶ月程掛かってもおかしくないのに。

「…そろそろアレを教えても良いかもしれないわね…」

 そう一人でボソリと呟く。そうだ、そろそろ起こさないと。流石に寝すぎね。こういうときは…

「せいっ。」ポカッ

「…!!痛った!」

 ほら起きた。ちなみに今何をしたかと言うと、私が持っているお祓い棒に霊力を少し込めてそれで軽く叩いただけ。割と魔理沙にもよくやっている常套手段よ。

「おはよ。康介。よく眠れたかしら?」

「ん…ああ、よく寝れた…文字通り叩き起こされたけどな…」

 私が叩いた部分をさすりながらアイツ…康介が布団からゆっくりと出てくる。

「何で私が叩き起こしたか分かる?」

「…え?あっ…寝すぎだろ俺…」

 どうやら時計を見てようやく気づいたようね。今は午前10時。正直言って寝すぎ。

「はあ…寝すぎた罰として今から境内の掃除をしてきなさい。箒ならそこにあるから。」

「はあ…正直やりたくねえな……でもまあ俺が悪いしやるかあ…」

 よし、上手く行った。正直今日はなんか面倒くさくて境内の掃除をやりたくなかったからこれでゆっくりとくつろぐ事が出来る。

「んじゃ、よろしくね~」

 箒を握って外に向かう康介にそう言い、私は縁側でくつろぐことにした。お茶でも飲みながらね。そうだ、ついでだし煎餅も食べましょうか。

 

 

 

 

 

 

─────

 

 

 

 

 

 

「にしても葉っぱ散らかりすぎだろ…」

 今俺は霊夢に「寝すぎた罰」として境内の掃除を命じられ、境内に箒を持ってただ立ち尽くしている。まあ居候だから今まで掃除とかやってきたので大したことはない……いつもなら。

 今日の境内には今までに無いほどの大量の木の葉が落ちている。それに加え、博麗神社の境内は相当広い為にかなり広範囲に散らばっている。

 正直めっちゃ面倒くさい。これを普通に箒で掃くとなると果たして何時間かかるんだろう…ていうかこんだけ広いと掃いた所にまた葉っぱが落ちてきそうだ。そうしてそこを掃除している最中に別のところに葉っぱが落ちて…っていう無限ループにハマるなんてことは嫌だ。そもそも分かってる無限ループになんかハマりたくない。

 ていうか暑い。夏だから仕方ないけど暑すぎる。

「…そうだ。風を使って一気にやってしまうか。」

 我ながらいい案だ。なら善は急げだ。俺は集中し、風をイメージする。最近能力を使い続けたお陰か割と自分の能力には慣れてきた感じがする。習うより慣れろってマジだったんだな…

(まずは葉っぱを飛ばす程度の風を発生させる…で次にその風を操って葉っぱを中央周辺に集める…最後にあそこにあるゴミ箱に入れる…これでいいはずだ。)

 イメージすると、辺りに風が吹き始めた。まずは第一段階の風を発生させるをクリア。

 次に俺は巧みに風を操り、広い境内に落ちている葉っぱを中央付近に寄せる。中央周辺ににみるみるうちに葉っぱが集まってくる。

 後は一旦風を解除し、持っている箒で一気にかき集めて再び風を発生させる。そして一点にかき集めた葉っぱを風に乗せ、あそこにあるゴミ箱に風ごと葉っぱの塊をシュゥゥゥーッ!!超!エキサイティン!!

 …おっと、ついテンションが上がってしまった。辺りを見渡した感じだと誰も見てないから別に良いよな…?

 俺はゴミ箱に葉っぱが入っている事をしっかりと確認し、再び辺りを見回す。境内には今のところ葉っぱは一つも落ちていない。

「ふう…能力使うとすぐ終わったな。にしてもほんとに便利だ。…そうだ、霊夢に終わったって報告しないとな。」

 どうせアイツの事だろうし縁側で煎餅でも食べながらお茶をすすっているのだろう。そう思い、縁側へと向かおうとすると、後ろの階段から足音が聞こえた。どうやら誰かが来たようだ。

(霊夢呼びに行くのも手間がかかるし面倒くさいから俺が応対するしかなさそうだな…)

 そう考えて俺は縁側へと向かおうとしていた足を止め、階段の方を向く。頼むから俺の数少ない知り合いの誰かであって欲しい。正直そっちの方が色々とやりやすい為だ。

 最初に見えたのは何処かで見た、いや、見覚えしかない青い帽子。

 あのヘンテコな帽子の形を忘れるはずがない。そう、神社に来たのは慧音だった。

「にしてもこの階段はいつ登っても長いな…えっ?」

 そう言いながら階段を登って来た慧音さんと目線が合い、慧音さんが固まる。そりゃ無理もない。本来なら俺は元の世界に帰っていて、この世界にはもう居ない筈なのだから。それに俺はここ数日ひたすら能力の練習してて人間の里に行っていなかった。というか行くの忘れてた。すまんな慧音さん。

「…よ、よお。慧音さん。数日ぶりだな。」

「なんで康介が居るんだ…?今から数日前に外の世界に帰ったはずじゃ…?」

「ああ…実はな…」

 

 

 

 

 

 

少年説明中…

 

 

 

 

 

 

「…という訳なんだ。すまん。今までそっちに行けてなくて。」

「別に構わない。取り敢えずこれからも宜しく、だな。」

「ああ、これからも宜しく。ところでどうしてわざわざこんな遠い神社に…?」

「…ああ、少し霊夢に用があってな。悪いが霊夢を呼んできてくれ。」

「了解。すぐ呼んでくるわ。」

 そう言うと俺はその場を後にし、霊夢を呼びに縁側へと向かった。

(ついでに掃除終わったって言ってこよ…)

 

 

 

 

 

 

─────

 

 

 

 

 

 

「慧音さん、霊夢を連れてきたぜ。」

「何の用?慧音。また妖怪が出たの?」

 如何にも面倒くさそうに霊夢が聞くと、慧音は首を横に軽く振り話し出す。

「いや、違う。最近霧の湖の方に真っ赤な建物があったのを里の住人が発見してな。多分大丈夫だとは思うが一応注意だけはしておいてくれって事を伝えに来た。」

「あら、それだけ?分かったわ。注意しておくわね。」

「頼んだぞ。…それでは私はこれから用事があるので失礼する。またな、霊夢と康介。」

「ああ、またな。」

 そう言って俺達は階段を降りていく慧音さんを見送った。

 慧音さんが見えなくなったところで霊夢が話しかけてくる。

「そういえばあんた、もう能力には慣れた?」

「前よりは大分慣れてきたぞ。」

正直に返すと、霊夢が話を続ける。

「そう。ならこの幻想郷での護衛術…と言うよりルールについて教えましょう。知っておいた方がいいわ。」

「了解。それってどんなルールなんだ?」

「それは…【スペルカードルール】よ。」

「スペル…カード?」

 そう疑問に思い、つい言葉に出してしまうと、霊夢がそのスペルカードルールについて説明を始めた。

 

 

 

 

 

 

少女説明中…

 

 

 

 

 

 

「…というのがスペルカードルールよ。ちなみに私達は弾幕ごっこって呼んでるわ。」

「なるほど。つまりは揉め事とかが起こった際に人間と妖怪だと力の差が激しすぎるから対等に勝負できるようにしたのがその弾幕ごっこって訳か。」

「まあそんなところね。さてと、今からあんたにやってもらうことは…もう分かるわよね?」

「まあ分からなくも無いな」

 言われなくてもスペルカードについてあんなに長い説明をされたら嫌でも次に何をするか分かってしまう。どうせ俺のスペルカードでも作るのだろう。

「物分りが良くて助かるわ。じゃ、ここで少し待ってて。必要なものがあるから。」

 そう言って霊夢は倉庫の方へと歩いていった。一体何が必要なのだろうか。取り敢えずカードは要りそうな感じがするが。

 しばらくして、霊夢が何かを持って戻ってきた。手に何か握っている。

「はいこれ。倉庫を見たら割とあったからいっそのこと多めに10枚あげるわ。」

 そう言って霊夢から渡されたのは何も書かれていない真っ白のカードの束だ。確かに10枚ほどはありそうだ。

「こんなにいいのか?ありがとな、霊夢。」

「いいのよ。どういたしまして。さて、次はスペルカードの作成ね。」

「作成って…具体的にどうするんだ?」

 何せ初めての作業だ。聞けることは聞いておいた方が良いだろう。

「簡単よ。作りたい弾幕を頭の中でイメージする。あと名前もね。こんな感じに。」

 そう言って霊夢は懐から二枚のスペルカードを取り出した。片方のカードには【霊符「夢想封印」】と書かれている。もう片方には【境界「二重弾幕結界」】と書かれている。……成程。つまりは◯符「◯◯◯◯」みたいな感じで作るのか。ついでに言うと別に◯符じゃなくても別に作れるって訳か。

「で、頭の中で弾幕が完成したらそのカードに弾幕のイメージと少し霊力を流し込むような感じにすれば完成よ。」

「最後だけ曖昧だな…」

「し、仕方ないでしょ!最後は感覚なんだから!ほら、さっさとやりなさい!」

 霊夢に急かされた俺は目を閉じ、頭の中で弾幕をイメージする。

(弾幕…まるでバレルスピナー…いや、ハイドラントのように静と動があってそれでいて俺の【天気を操る程度の能力】と関連できるような物…あった。まずは雨関連だ。)

 ひたすら頭を回転させ、頭の中で一つの弾幕を完成させる。そして一枚の真っ白のカードを手に取る。

(弾幕のイメージと少しの霊力をカードに流し込む感じで…!)

 …流し込むイメージが終わり、俺はゆっくりと目を開く。そこには、一枚のスペルカードがあった。

「…雨符「断続的な通り雨」そんなに強くないと思うけど出来た…俺のスペルカード!」

「おめでとう。どうやら上手く行ったみたいね。ちなみに勘違いしないで欲しいんだけど、弾幕は自分で作るのよ。別にスペルカードを唱えたからって弾幕が勝手に出て来る訳じゃないから注意ね。」

「そうなのか。了解。」

 自身のスペルカードを眺めながらそう言うと、霊夢が話を続けていく。

「ちなみに、弾幕とは言ってるけれど別に直接攻撃しに行ってもいいからそのスペルカードを作るのもアリかもね。」

 直接攻撃もありなのか。そう聞いて俺の頭の中に一つの案が思い浮かぶ。俺があっちの世界にいた頃にしていた剣道…もしかしたら使えるかもしれない。

 また俺はイメージを膨らませる。剣を装備するようなスペカを作るので剣をイメージ。ちなみに俺の能力は天気の規模等もいじれるのでめっちゃ切れ味がいい雲とかも作れちゃうわけだ。前に一回料理する時に作ってみた事がある。それを応用して…!

「…出来た。雲剣「クラウドソード」…多分これで近距離戦も大丈夫だ。」

「二枚目ね。じゃあ次は…」

 そう霊夢が言いかけたその時、遠くから聞き覚えしかない声が聞こえてきた。そう、魔理沙だ。

「霊夢に康介〜!遊びに来たぜー!」

 そう言ってこちらに飛んできた魔理沙は、今度はしっかりと俺達の近くに着地した。そういえば、俺が見た感じだとここ数日はずっと着地に成功しているような気がする。

「あら、いらっしゃい。丁度良かったわ。」

「…?何が丁度良かったんだぜ?」

 霊夢の一言で霊夢が何を企んでいるのかが俺には分かってしまった。スペルカードが作成完了…そしてそのスペルカードの用途…あっ(察し)

「康介の弾幕ごっこの相手をしてくれない?」

 デスヨネー。霊夢の言葉を聞いて思わず苦笑い。まあ何処かでも言ってたけど「習うより慣れろだ!これマジ!」って言ってたしな。やらないよりかはマシだな。

「頼む魔理沙。今さっき作ったばっかりのスペルカードを実践してみたいんだ。」

 俺からも頼み込む。…ていうかこれって本来なら俺から頼むことなんだから俺が頼むのは当たり前なのか。

「…仕方ない!その役、引き受けるぜ!」

「ありがとう魔理沙!!」

 こうして、俺と魔理沙の弾幕ごっこが幕を開けようとしていた…

 

「じゃあスペルカードは3枚でやるぜ!」

「…速攻でもう一枚作るからちょっと待ってくれ。」

 開始する前から不安しかないが大丈夫だろうか。




次回予告
 ついに始まる魔理沙との弾幕ごっこ。最初は魔理沙の圧倒的な力の差に苦戦する康介。しかし、とある一枚のスペルカードが流れを変える…!?
次回「魔理沙との初めての弾幕ごっこ」(仮)

 いかがでしたでしょうか。今回も少し多めに書いてみました。この先もこれで行こうかなと思っていますのでどうか宜しくお願いします。
 さて、次回ですがとうとう弾幕ごっこが始まります。ということは戦闘描写です。伝わりやすく書けるようがんばります。前後半に分けないように上手いこと書きたいなあ。なんて思っていたり。
 もし良ければ感想等書いていただけるとありがたいです。
 それではこの辺で失礼。うp主の折れない黒鉛筆でした。

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