東方染色記   作:折れない黒鉛筆

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 どうも、最近モンハンXXを始めた折れない黒鉛筆です。
 まずは…お気に入り登録者が一人になりましたー!(イェーイ
 正直お気に入り登録してくれる方がいるとは思ってなくて内心めっちゃ驚いてます。これからも頑張って書いていきますので応援の程宜しくお願いします。
 一応活動報告の方にも書かせて頂きましたが、一応こちらにも書いておこうと思いまして、書かせていただきました。
 さて、第六話です。とうとう康介くんの能力が明らかになります…!とだけ言っておきます。
 では、第六話をどうぞ。

前回のあらすじ(忘れてた)
元の世界に帰れなかった
3人で話をして康介に能力がある説が出来た
霊夢の家(博麗神社)に泊めてもらった

修正履歴
2017/12/22 台本形式になっていたのを修正+ストーリーがズレない程度に文章を追加
2018/05/04 段落頭に全角スペースを追加+一部表現を追加・修正


第六話 康介の能力

「こんな場所に呼び出して俺に何の用?」

「俺はな…お前がムカつくんだよ。友達もいないくせに楽しくヘラヘラ笑って生きてるお前が。」

「急にどうしたよ?」

「だからさ…5秒で今すぐ死ね。」

「…ッ!」

 

 

 

 

 

 

─────

 

 

 

 

 

 

 無機質な目覚ましアプリの音で俺は目を覚ます。

「見たくない夢見ちゃったな…はあ。」

 俺が見た夢は過去の夢。俺が中学生のときの嫌な思い出の一つだ。…といっても中学の思い出なんて嫌な思い出しかないのだが。急に死ねと言われてあの時は家でどんだけ泣いたことか…極力思い出さないようにはしているがやはり思い出すだけで嫌な気持ちになる。朝からこんな気持ちじゃダメだ。切り替えなければ。

「さてと…まさかこの世界で二日目の朝を迎えるとはね…」

 正直これからどうしようか全く考えてない。だって普通に昨日の夕方帰れると思ってたから。とりあえず居間へ行くかと考え、俺は眠い目を擦りつつ布団から立ち上がる。ついでに時計を見る。午前7時。

「誰も起きてなかったら朝食作らないとだな…」

 そう言った瞬間、居間の方から美味しそうな匂いがした。どうやら既に誰かが起きて朝食を作ってくれたようだ。朝食を食べるために俺はすぐさま居間へと向かおうとする。すると目の前の襖が開いた。

「おーい康介ー。朝だぞ…ってもう起きてたか。」

「ああ魔理沙か。おはよ。ところで霊夢は?」

「霊夢なら朝食作り終えたところだぜ。霊夢にお前を起こすよう頼まれて私が来たんだぜ。」

「あー、そういうことか。なら居間へ行くか。」

 そう言い、俺と魔理沙は居間へと向かった。霊夢が作った朝食。どんな味がするんだろうか。……ゲテモノ料理でないことを願う…

「私も何回か食べてるけど霊夢の作る食事は美味いんだぜ。この私が保証する。」

「へー…て言うかまたサラッと心読まれたんだが」

 そんな俺の呟きをよそに、魔理沙は居間へと入っていった。その後に俺も居間へと入る。

 居間には少し大きめのちゃぶ台があり、その上には朝食が。どうやら和食のようだ。元の世界だと朝食に和食なんてほぼ無かったなあ。いつもさっさとパンを食べて学校やバイトに出発していた。時間が無くて朝食を食べなかった日もあったっけ。そう考えていると、気づけば俺はちゃぶ台の近くに座っていた。無意識ってこわい。ふと魔理沙の方を見ると、魔理沙もちゃぶ台の近くに座っていた。そして料理をまじまじと眺めている。

 するとキッチンから霊夢が出て来た。そして霊夢がちゃぶ台の近くに座る。

「康介おはよ。少し寝過ぎじゃない?」

「別にいいだろ。今日の朝は特に用事無かったんだから少しでも多く寝た結果だよ。それに外の世界だとこの時間にいつも起きてるんだよ。」

「ふーん。ま、あんたが寝すぎたお陰で今朝は私が朝食を作ったんだけどね…」

 まるで俺が朝食を作って当たり前みたいな目で俺を見ないでほしい。確かに正論だが今それを言うと場の空気がヤバいことになる。

「…早く食べようぜ。腹が減ってしょうがないぜ。」

 ナイスアシスト魔理沙!心の中でナイスと言う。

「…それもそうね。じゃ、いただきます。」

「「いただきます。」」

 

 

 

 

 

 

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「さてと…昨日の話の続きをしましょうか。」

 食器を片付け、俺たち3人は再びちゃぶ台を囲むようにして座った。

「えーっと…昨日はどこまで話したっけ?」

 魔理沙のまさかの問いに呆れつつも俺が答える。

「俺に能力があるかもしれないって話だろ。」

「ああそうか。…で、どうするんだぜ?」

「そうね…アイツならアレが分かるかもしれないわね。紫ー!いるんでしょー!?」

 また霊夢が紫さんに呼びかける。そうやって呼びかけてホイホイ出て来る物なのか…?

「はいはい…何の用かしら?」

 前言撤回。呼びかけてホイホイ出てきたわ。紫さん本当に神出鬼没だな…

「言わなくても判るでしょ。康介の能力が何なのかって話よ。」

「あら、私がその時からいたって良く分かったわね。…まあいいわ。康介くん。悪いけど少し動かないで。」

 そう言うと紫さんがまた俺のことをジーッと見始める。俺は言われた通りに動かないようにする。割と暇だ。…あれ?いつから俺ジーッと見られるのに耐性ついたんだ…?まさかもう慣れたのか…?

「…分かったわ。この子の能力が。もう動いて大丈夫よ。」

「早いな。ろくに考え事も出来なかった。」

 まあその考え事自体も相当ショボいものだけれど。

「で、康介の能力は何?早く結果を聞きたいんだけど。」

 霊夢が急かすが、紫さんはまるで慌てていない。そもそもあまり慌てる内容ではないと思うが。

「まあ焦らない焦らない。今から言うから。」

 これで分かる。いつ目覚めたか全く分からない謎に包まれた俺の能力が。一体どんな能力なんだろうか。…正直なところショボい能力が目覚めてそうで怖い。

「その前に…康介。あなたには能力が二つあるわ。」

「…え?」

「能力二つ持ち…!大分珍しいな…」

 魔理沙がそう言うという事は基本的に能力は一つなのか。…ていうか魔理沙や霊夢も能力持ちなのか?そんなどうでもいい疑問をよそに、紫さんがまた話し出す。

「…でも、片方の能力は分からなかった。曖昧としていて私でも掴めなかったわ。」

 へえ。そんなことがあるのか。取り敢えず俺は能力二つ持ちってことだけ覚えておこう。こういうのはいつか分かるようになるって相場が決まっている。まあソースは漫画とかアニメなのだが。

「で、肝心のもう片方の能力は何なんだ?」

「もう片方の能力。それは…」

 紫さんがそう言った後少し沈黙の間が出来る。多分紫さんが意図してやってるんだと思うけど正直タメとかいらない。あくして。

「【天気を操る程度の能力】よ。」

「天気を…操る?」

 思わず紫さんが話した俺の能力をそのままオウム返しする。

「ええそうよ。雷に雨、雪や熱。天気に関連してる物なら割と何でも操れるようね。雲とか風とか。それにそれらを生成することも出来るようね。」

「雨を生成…ああ、それであの時大雨が降ったのか!やっと理解できたぜ!」

 魔理沙の納得したかのような言い方で俺はあの時のことを思い出す。確か俺はあの時意識がなくなる寸前に「雨さえ降れば」と考えた。そこで能力が勝手に発動して雨が降った、と考えればある程度納得はいく。というか……

「待って。もし天気を自由に操れるのならその能力、強くない?」

 霊夢が俺の思っていた事をそのまま口にする。

「ええ。でも強い能力だからかデメリットがいくつかあるの。」

 紫さんのその言葉を聞いてまずは一安心。まあ天気を自由に操るならチート能力だからな。デメリットがあって当然だ。て言うかあってホッとした。チーターにはなりたくねえからな。

「一つ目は範囲ね。今のところは自分を中心として半径5mまでしか能力が使えないみたい。」

「そうなのか…割りと狭いな。じゃあ幻想郷中の天気を変えるとかいう神みたいなことはできない感じか。…ってん?一つ目?」

「一つ目ってことは…二つ目以降もあるってことね。」

 また俺が思っていたことを霊夢が口にする。コイツ本当に心読めるんじゃねえのかな。

「ご名答。二つ目は能力の限界ね。あなたの中には霊力があって、霊力を消費して能力を使っているようね。あなたの場合だと霊力はそこそこあるから大丈夫だけど、もし使いすぎると倒れたり…最悪、死んだりするわね。」

「……待ってくれ。霊力ってなんだ?初耳なんだが。」

 死ぬ、という言葉に恐怖を覚えながらも紫さんの説明の中に出てきた『霊力』という言葉に首を傾げていると、霊夢が話し始めた。

「それについては私から説明するわ。霊力って言うのは簡単に言うと私たち人間が持っている不思議な力のことね。これを使うことで空が飛べたり色んな事が出来るの。」

「へー。そうなのか。」

「…話を戻すけど、取り敢えず私が掴んだもう片方の能力の詳細はこんなところね。」

「…なんか壮大だな。そういえば魔理沙達もこんな感じの能力持ってるのか?」

「ああ、私の場合だと【魔法を使う程度の能力】だな。」

「私は【空を飛ぶ程度の能力】ね。」

 魔理沙が【魔法を使う程度の能力】で、霊夢が【空を飛ぶ程度の能力】か。二人の間で能力の格差が起きているのは気のせいだと信じておこう。…思い込んでおこう。

「話すことは話したし、用が無いなら私はこれで失礼するけど…?」

「紫さん、ちょっと待て。聞きたいことがある。」

 そういえば聞きたいことがあったんだった。紫さんに声をかけ、呼び止める。ここで聞いとかなきゃ忘れてしまう。

「何?康介くん。あと紫でいいわよ。」

 紫さn……紫がこちらを見ながら俺に反応してくれる。

「俺はここから帰れないんだよな?」

「まあ能力があるから帰れないわね。」

「じゃあ外の世界での【俺の存在】は一体どういう扱いを受けるんだ?」

 これが最も気になっていたこと。もし幻想郷が"忘れ去られた奴が来る場所"なら俺の存在は一体どうなるのか。

「そうね…あなたは外の世界から忘れ去られることになるわね。つまり皆の記憶から天ケ原 康介という人物がいなくなる。いいえ、最初からいなかったことになるのよ。それはそれで寂しいと思うけどね。」

「そうか…」

(まあ外の世界で良い思い出なんて無かったしここに残ることしか出来ないんならここで過ごしていくか…それに家族もいないし。)

「質問は以上かしら?」

「ああ、ありがとな。紫。そしてこれからもよろしく。」

「ふふ、よろしくね。康介くん。」

 その言葉を最後に紫さんは謎の空間へと消えた。

「さて、どうしたもんか…」

 取り敢えず能力のことについては大体分かった。あとこの世界で生きていくのに必要なことと言えば…

「あ。そうだ。寝泊まりする場所どうしよう。」

 思わず口に出してしまった。能力があるとは言え寝泊まりする場所がなければ死ぬ可能性だって十分にある。要するに死活問題だ。初日は魔理沙の家に泊まったが…

「…また私の家に泊まるのか?それは研究の邪魔になるから出来ればやめてほしいんだが…」

「マジか…じゃあ本気でどうする…?」

 案の定魔理沙に断られ、今度こそどうしようかと悩む。

「はあ…しょうがないわね。今夜から私のところに居候しなさい。お賽銭のお礼みたいなものよ。」

「え?それマジ?ありがとう霊夢様…!」

 マジで感謝感激雨あられだわ。これで死ぬ可能性がぐんと減った気がする。…ん?何で一日目は泊めてくれなかったんだ?

「まだあんたのことを信用してなかったからよ。なんか文句ある?」

「まあ当たり前か…」

(にしてもサクッと心読まれ過ぎでは?そんなに俺の心読まれやすいのか。道理でスプラの読み合いにいつも負けてる訳だ。…まあそんなこと今はどうでもいいか。)

「そろそろ私帰ってもいいか?よく分からないが凄く疲れたんだぜ。」

「別にいいんじゃない?じゃあね魔理沙。」

「じゃあな霊夢!あと康介!また来るからな!」

 そう言い残し魔理沙は箒を掴んで外へ飛び出していった。俺が見送ろうとその後を付いていき、外に出ると既に魔理沙は箒で遠くの方を飛んでいた。

 今の魔理沙の姿を眺めていたら一つやりたいことが頭に浮かぶ。そう考え俺は居間へと戻り霊夢に声をかける。

「霊夢ー?少し頼み事があるんだけど…」

「何?能力の使い方でも教えてほしいの?」

「…お前は覚りか何かかよ。まあ大体そんなところだ。霊夢。俺に空の飛び方を教えてくれ。」

 そう言って頭を下げる。少ししてから霊夢が、

「…いいわよ。それくらいなら教えてあげる。じゃあ外に出なさい。」

と返してくれた。そして彼女は立ち上がり、外へと歩いていった。その後俺はカバンを肩にかけ、外へと急いだ。カバンを肩にかけてる方が何か落ち着くんだよな。

「…さて、何日で飛べるようになるかしら?」

 霊夢から気になる文章が聞こえたが気のせいだろう。…気のせいと思い込んでおこう。

 

 

 

 

 

 

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 夕方。俺は霊夢から境内でひたすら能力の使い方とか空の飛び方とかを学んだ。…結論から言うと俺は飛べたし能力もそこそこ使えるようになった。どうでもいいけど今も飛んでる。

「まさかとは思ったけど…こんなに飲み込みが早いなんてね…普通なら3日ほどはかかるわよ…」

「普通は3日もかかるのか…やべえな俺。」

 霊夢からその情報を聞き、自分に軽くドン引きする。因みに俺の飛び方だが俺の周りに風を発生させ、それで浮き上がっているようなイメージだ。霊夢の話だと霊力を纏って飛ぶのが普通らしいが、両方やってみた結果今の方法が疲れにくいのでこの方法にした。正直めっちゃ楽だ。

 これで一人でも色んな所に行けるようになった。今のところ人里しか知らないけど。

「…んじゃ、夕食の準備よろしくね~」

「え?なんで俺がしないといけないんだ?」

「私がタダで先生やるとでも?」

「…あー、まんまと策に乗せられたわ。」

 まあ策に乗せられたとは言え俺にも利益はあったしまあいいか。

 俺は台所に向かい、夕食を作り始めた。

 

 

 

 

 

 

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 その後、俺達は夕食を食べ、一人づつ風呂に入り、その後各自で寝た。

 ちなみに昼頃スマホの充電が切れたので試しに能力を使って電気の塊のようなものを作り、充電器に接続してみた所問題なく充電できた。本当にこの能力便利だな。もっと上手く使えるようになろう。




次回予告
 康介の能力が半分判明してから数日が経った。自分の能力をただひたすらに磨いていた康介は、ある人との再会を果たす。
 そして能力に慣れたと判断した霊夢からこの幻想郷でのあるルールが話されるのであった…!
次回「幻想郷のとあるルール」
 お楽しみに!

 いかがでしたでしょうか。
 活動報告にも書きましたが、今回は少し多めに書いてみました。そして気付いたら5000字超えそうになっててビビりました。
 さて次回ですが、ある人と再会します。…と言っても、康介くんが会いに行くのを忘れてただけなんですけどね。そして、ついに霊夢からスペルカードについて話されます。て言うか康介くん、今までスペルカードを知らなくてよく生きてこれたなって感じですね。
 感想等書いていただけるとありがたいです。
 では、次回の話でお会いしましょう。うp主の折れない黒鉛筆でした。

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