東方染色記   作:折れない黒鉛筆

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 どうも、筋肉痛がようやく治ってきたうp主の折れない黒鉛筆です。
 まずは第一話、第二話と読んでくださった方、ありがとうございます。まだ読んでない方もぜひ読んでみてください。
 ということで第三話です。一応書いたのですが第三話にして前後編に別れてしまいました。つまりタイトルにもあるように前編です。
 前編ではまだハプニング要素はあんまり無いです。許してね。
 前書きが長くなってもアレなんで、ここらで終わりにして第三話をどうぞ。(すでにだいぶ長め)

前回のあらすじ
霊夢に心をサクッと読まれた
霧雨魔理沙と出会った
魔理沙の家で一晩泊めてもらうことになった

修正履歴
2017/12/22 台本形式になっていたのを修正+ストーリーに関係ない程度に文を追加
2018/05/01 段落頭に全角スペースを追加+一部表現を追加・修正


第三話 人間の里でのハプニング(前編)

 翌朝…

 俺のカバンに入れてあるスマホの目覚ましアプリが勝手に起動し、音を立てる。その音で俺は目を覚ました。

「…あぁぁ、よく寝たなあ…」

 眠い目をこすりながら昨日のことを思い返す。…今になって冷静に考えると、凄いことに巻き込まれたな、と思う。いきなり変な場所に来て、そこで派手な色合いの巫女さんと出会い、そして白黒の魔法使いとも出会った。そして今はその白黒魔法使いの家に泊まらせて貰っている訳だが。

 一通り思い返したところで、壁に掛かっている時計を見る。午前6時前。朝飯を作るにはちょうど良さそうな時間帯だ。椅子からそっと立ち上がり、まだ寝ている魔理沙を起こさないようにキッチンへと向かう。

「さて…何作ろうか…」

 そう呟いて少し考えるが大した考えは出ず、とりあえず余り物で何か作るかと思い、周りを漁ってみることにした。

 

 

 

 

 

 

 見つかったものから作れそうなものを考えた結果、無難な和食を作るかという結論に至り、早速作り始める。味噌汁に卵焼きに白米ご飯。一応この辺の簡単な料理なら作れるので安心だ。そうやって朝食を作っていると、魔理沙が起きたらしく後ろの方で物音がした。

「お、魔理沙おはよ。今朝食作ってるからちょい待ってな。」

「ん…ああ、おはよ。…ってええ!?なんで男が私の家にいるんだ!?」

 魔理沙の驚いた様子を見て呆れる。…こいつ昨日のこと何も覚えてないのかよ。ってか何か構えてるし……

「あのさぁ…お前昨日のこと思い出せよ…」

「…あああ!思い出したぜ!…ゴメンな康介。」

「別にいいよ。てか朝食出来たから食べようぜ。」

 

「「いただきます。」」

 どうやら俺の作った朝食は好評だったらしく、魔理沙にべた褒めしてもらった。嬉しいなあ。元の世界だとほぼ自分の為にしか作ってなかったからな。あとどうやら魔理沙は和食派だったようだ。

「「ごちそうさまでした。」」

 朝食を食べ終わって俺が食器を洗っているところに魔理沙が話しかけてきた。

「なあ康介、今日どうする?確かここにいるの夕方までだよな?」

「ああ、夕方まではこの世界にいるぞ。……となると確かに今日暇だな。どうする?」

「なら今日は人間の里に行こうぜ!楽しいぞ!」

 聞き慣れない単語が魔理沙の口から出てきて、思わず首を傾げる。

「人間の里…?人が集まってる集落みたいなものか?」

「まあそんなところだぜ。」

「なら行くか。今日どうせ暇だし。」

「決まりだな。じゃあ早速行くか。外で待ってるからなー。」

 そう言って魔理沙は箒を掴み、外へ駆け出していった。俺も人間の里に行く準備をするためにカバンを持つ。そういえば、今持ってるものでも見ておこうかな。後々役立つかもしれない。

 そう考え、俺はカバンの中身を取り出す。中にあったのはスマホとスマホの充電器、イヤホン、まだ飲んでいない飲料水、あと財布。

「うへえ…ほぼ役立ちそうにないな…それにいつの間にやらあの周辺の地図失くしたし……」

 そう愚痴らしい事を言いつつもカバンの中に戻し、そばにあった上着のパーカーを掴んで俺も外に出た。

 外はそこそこ暑く、正直パーカーなんていらなさそうな感じだ。夏だもんな。でもここで置いておくと元の世界に帰るときに忘れそうだな。きっとそんな感じがする。なら忘れないように今持っていくかと考え、カバンの中にパーカーを詰め込んだ。

「ほら乗れ。人間の里まで飛ばすぜ。」

「ああ、ありがと」

 軽くお礼を言い、俺は魔理沙の箒の後ろに乗った。今度は心の準備はできてる。いつでも来い。

「じゃあ行くぞー」

 その言葉を聞いた瞬間、箒は浮かび上がりかなりのスピードで発進した。

 

 

 

 

 

 

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「ほら着いたぜ。ここが人間の里だ。」

 スマホで魔理沙にバレないように現在時刻を見る。午前10時半。ちょうど良さげな時間帯だ。これなら大方の店も開いているだろう。と言ってもこれはあくまで元の世界での常識なのでこの世界で通用するかは俺も知らないのだが。そう思いながら俺は広めの空き地に着地した。

「ここが人間の里かあ…なんていうか、和風だな。」

 人間の里は一言で言うならば『江戸時代の町並み』をしていた。行き交う人々も皆着物姿だったり和服だったりで、民家(多分)も和風建築のような感じだった。俺の住んでる場所ではこんな風景見たことないなと思い感動していると、

「まずどこ行く?別に私はどこでもいいぜ。」

 といつの間にやら隣に立っていた魔理沙に聞かれた。正直俺は人間の里をよく知らないのでそもそも何があるとかは分からない。てか初めて来たから何も知らなくて当たり前か。なので、

「うーん…魔理沙のおすすめの場所に連れてってくれ。」

と返しておいた。多分これが一番無難な返し方だと思います。

「分かったぜ。…じゃあ寺子屋にでも行くか。」

 へえ、寺子屋もあるのか。ますます江戸時代じゃないか。まるでタイムスリップでもしたような気分だ。

「ああ、頼んだ。」

 そう返し、俺と魔理沙は寺子屋に向かって魔理沙を先頭にして歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

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「少しいいか?魔理沙と…そこの男性。」

 周囲の景色にいちいち感動しながら歩いていると、不意に後ろから声をかけられた。俺と魔理沙は足を止め、後ろを振り返る。

 そこには、青い服を着た女性がいた。髪は銀髪で、腰近くまで垂れているのではと思うくらい長い。そして頭には変な形の青い帽子をかぶっていて、その上には赤いリボンが。胸元にはこれまた赤いリボンがあり、袖は短めの白。

「おっ、慧音じゃないか。今日は寺子屋休みなのか?」

「今日は日曜日だろ?休みで当たり前じゃないか。」

 魔理沙と慧音と呼ばれた女性の話を聞くに、今日は日曜日らしい。魔理沙の家にはカレンダーらしきものが無かったので曜日が知れてちょうど良かった。…という事は俺のスマホはこっちに来たときに時間は合わせたから合っているけど曜日はズレているのか。面倒くさいなあ。

 そんな暢気なことを考えていると、慧音と呼ばれた女性がこちらに話しかけてきた。

「ところで…君の名前は?この辺では見ない顔だが。」

「俺の名前は天ケ原康介。昨日の夕方ここに来た外来人ってやつだ。」

「そうか、私の名前は上白沢慧音。よろしくな、康介。」

「慧音さん、よろしく。」

 あれ?なんで俺さん付けしてるんだ?まあ慧音さんの身長が高いからということにしておくか。

「ところで、康介はなぜここに来たんだ?」

「えっと、それは…」

 俺が慧音さんにここまでの経緯を説明しようとしたところで誰かのお腹が鳴る。どうやら犯人は魔理沙のようだ。

「ヘヘ…お腹空いちまったぜ。そろそろ昼飯にしないか?」

「あれ、もうそんな時間か。慧音さん、昼飯食べるのにいい場所無いか?」

「ああ、それなら団子屋にでも行こうか。今日は私も暇なんだ。」

「じゃあそれで決まりだな!早く団子が食べたいぜ〜!」

 そんな会話を交わし、俺たち3人は慧音さんを先頭にして団子屋へと足を運んだ。

 

 

 

 

 

 

─────

 

 

 

 

 

 

「…という訳なんだよ。」

「なるほど。それは大変だったな。」

 今俺たちは団子屋に着き、団子を食べながら、俺がこの世界に来た理由を慧音さんに話していたところだ。ちなみに魔理沙もこの話を聞いている。

 話が一段落つきお茶を飲んでいると、慧音さんが質問してくる。

「という事は…康介は今日の夕方頃に帰るのか?」

「ああ。博麗神社で霊夢が準備してくれてるからな。」

 さっきからずっと思っていたのだが、慧音さんは凄く人の話を聞くのが上手い気がする。あとこれは勘なのだが、慧音さんは単なる人間ではないような気がする。うまく言葉で言い表せないけど、なんかオーラ的な何かが違う感じ……まあ気のせいだと思うが。

「…少し残念だな。ずっとこの幻想郷に居てくれてもいいのだが…」

「いやいや、流石に…外の世界だと学校とか行ってるからもしここに居続けるならその辺が面倒になりそうなんだよな。」

 ずっと居てもいいなら居たいんだけどね。一応高校生である以上は学校やバイトもある。それらを投げ出してここに居続けるのは少し胸が苦しくなりそうだ。それに元々俺は外の世界の人間だ。まあ、帰れなくなるなんてこともないだろう。…こらそこ、フラグとか言わない。冗談抜きで心臓に悪いから。

 そう考えながら、俺は最後の団子を口に運ぶ。ここの団子屋の団子はとても美味しい。これからも記憶に残り続ける…って外の世界に帰るときに記憶消されるのにそれは無いか。

「康介ー、これからどうするぜ?」

 そんなことをしみじみと考えていると、魔理沙が突然話しかけてきた。落ち着いて口の中にある団子を飲み込んでから、魔理沙の問いに答える。

「そうだな…寺子屋も今日休みなら、完全に行く場所がないんじゃないか?」

「まあ他にも行ける場所ならたくさんあるが…」

「へえ、他にも行ける所あるのか。慧音さん、良かったら案内してください。」

「私で良いのであれば案内してやろう。魔理沙も一緒にな。」

 良かった。これで夕方辺りまで暇することはなさそうだ。ふと辺りを見渡すと、どうやら全員団子を食べ終わっているようだ。ちなみに代金は慧音さんが全員分支払ってくれた。優しい人だ。

「それじゃあ…行きますか。」

 そう言い、腰掛けていた長椅子から立ち上がる。その次の瞬間、

「キャー!助けて!」

 遠くの方から悲鳴が聞こえてきた。あの方角は…俺と魔理沙が降り立った空き地の方か。

「大変だ!もしかしたら妖怪かもしれない!急ぐぞ!」

「ああ!行くぞ康介!」

「…え?なんで一般人の俺まで行かなきゃいけないんですかね?」

「細かいことはいいんだよ!とにかく行くぞ!」

 正論のような事を言ったが魔理沙にそう言い返され、強引に右手を掴まれた俺はなす術もなく走っている慧音と魔理沙に渋々付いていくしかなかったのであった。

(このまま平和に夕方迎えると思ったのに…ついてねえな俺…)




次回予告(?)
 悲鳴の聞こえた方に駆けつけた康介たちはそこで妖怪に襲われそうになっている女の子を発見する。
 魔理沙が攻撃を加えてもびくともしない妖怪。さらに康介が絶体絶命のピンチに!?
次回! 人間の里でのハプニング(後編)

 いかがでしたでしょうか。今回は慧音さんが出てきました。慧音さんをさん付けしてる康介くんすこ。
 さて次回ですが、妖怪との戦闘です。と言っても、康介くんはどこかでもあった通り剣道以外でまともに戦えないので基本は魔理沙vs妖怪になるかなって思ってます。
 初の戦闘シーンなのでいつもよりさらに文章が見苦しくなると思いますがどうかご了承ください。
 ではここらで失礼。うp主の折れない黒鉛筆でした。
 なんとか次の日曜までには第四話を投稿できるように頑張ります。是非感想等お待ちしております。

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