魔刺繍職人の花嫁修業(笑)   作:丸焼きどらごん

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45話 路地裏から異次元

 耳に鮮烈な響きを持って届いた声に、私は思わず息をのんだ。

 

「俺の結界を超えてきたのか」

 

 アグレスと名乗った赤髪ドレッドの男は突然の介入者にも焦らずに、むしろ面白いものを見つけた子供のように笑っていた。対する爽やかイケメンは眉間に皺をよせ、厳しい表情を作っている。

 

 

 

 

 もう一度言う。

 爽やかイケメンである。

 

 さわやかな、イケてるメンズである!!

 

 

 

 

 何だ、この底辺からの華麗なる運の上昇率は!? このタイミングで理想の王子様系爽やかイケメンが助けに来てくれるとか、全てはこの前振りだったとでもいうのか! なら許す! 運命の神様と今日という日を祝福してやってもいい! 現金だと言われようとも、この瞬間にはそれだけの価値がある! うっひょー! 何これマジか!

 

 

 

 くせのないサラサラの飴色の髪に、意志の強そうな山吹色の瞳。凛々しい顔立ちを際立たせる純白の衣装はなんという名脇役。白いかっちり系の服は着る人を選ぶけど、まったく嫌味に感じさせず見事に着こなしている。かっこいい。

 装飾が美しいプラチナカラーの具足や小手も神々しく、白い服の金の縁取りが神聖さを増していて、彼の高潔さを体現しているかのようだ。翻る赤いマントと構えた流麗な剣との兼ね合いといったら、まるで物語に出てくる英雄。美しい。

 しゅっとした鼻に少々たれ目がちな甘い顔立ち、均整のとれたバランスのいい体躯。

 噂に聞くイケメンにだけ吹くという神風なのか。空気が淀んだ薄暗い路地裏には不自然なほど、彼の髪はいい感じに風に持ち上げられてマントは格好よく波打ちはためいていた。何この奇跡。

 

 

 こんな奇跡級の王子様的イケメンが、私のピンチに助けに来てくれただと!! ついに私にも運命の出会いが!? いや、そうに違いない! このシチュエーションでそうでないとか嘘だ!

 

 まだ何も助かってない状態だけど、私の心はすっかり舞い上がっていた。それほどに、現れた青年は格好良かったのだ!!

 

 

 

 

 そして内心大興奮の私をよそに、アグレスがイケメンに問う。

 

「お前は?」

「通りすがりの者だ。妙な結界があるから見に来てみれば、精霊術をこのような事に使うとは恥知らずな……。今すぐにその女性を放せ!」

「ははっ、気づけても入って来れる奴ってのは少ないんだけどな。なんだ、今日は面白い奴にばかり出会うな、良い日だ」

 

 アグレスは私を押さえつけていた手を離すと、完全に興味を爽やかイケメンに移したようで私から目をそらした。なんという変わり身の早さ。今の奴を例えるなら、新しい玩具を前にした子供のようである。

 けど、それは私が逃げられないという確信からの行動だとも理解している。

 腕を離された私はずるずると地面に座り込み、生理とは違った体のだるさに気が付いて眉根をよせた。

 

(これか……)

 

 先ほどアグレスにつけられたキスマークが脈打つように熱い。そこから体の動きを絡めとるような魔力が広がっており、私の自由は奪われたままだった。どうやら何か細工されたらしい。

 

 自分の魔力を血管を辿るように全身へと巡らせてそれの解除を試みるが、意識が奴の魔力にふれるごとに火傷を負ったような痛みが襲ってくる。

 どうにも、自由を取り戻すまでには時間がかかりそうだ。あの爽やかイケメンくんが時間を稼ぐかアグレスを追い払ってくれるかしないかぎり、逃げるのも戦うのも無理そう。

 なんて忌々しい男なんだクソ赤髪ドレッド……! 強いだけでなく、こんな絡め手まで使うとは。

 

 睨む私の視線などものともしない男は、両手をわざとらしく広げて見せた。

 

「さて、それでどうする? 一応放したぜ~」

「私には貴様が諦めたようには思えないがな。素直に拘束されるならばよし、抵抗するなら相手になろう」

「おーおーいいねぇ。自信に溢れてる若者ってのは。しかも粋がってるだけじゃねぇ、お前なかなか強そうだ」

「褒め言葉は受け取ろう。それで、答えは何だ?」

「決まってんだろ。男が男から女を奪いたいなら、やることは一つだ」

 

 

 言うなり、男は(くう)を掴むような動作をする。

 

「!?」

 

 すると今まで何も無かった空間から緋色に流動する輝きが生まれ、瞬く間に大きな質量を伴って実体化した。それはいつか見た大剣かと思われたが、出現方法といいその凝固した魔力といい、普通の剣ではない事が知れる。

 神々しささえ感じる緋色に輝く刀身は、伝説の鉱物、緋緋色金(ヒヒイロカネ)を想起させた。ゲームとかでしか知らないような物質だけど、きっと実在したらこんな感じなんだろう。……そう思わせるほどの、神気を発していると言われてもおかしくない、畏敬の念さえ覚える圧倒的な存在感。

 

 

 

 

 

 それは武骨ながら、非常に美しい剣だった。

 

 

 

 

 

 が、それを手にしているのは盗賊の男である。

 

(やばいな、あの剣……)

 

 じっとりと嫌な汗が背を伝う。

 これは状況に切迫しているからだけではない。男の剣が発する熱気にあてられての発汗だった。

 

 アグレスの身の丈ほどの大剣はわずかに湾曲しており、その刀身にはびっしりと古代魔法言語が刻まれている。他に目立った装飾は無いが、だからこそ実用的な剣に感じられた。そもそも刀身の輝きだけで十分に美しいが。

 灼熱を秘めたように緋色に輝く剣は、実際に触れたら溶けるような熱を発しているのではなかろうか。体に受けたら火傷なんて生易しいレベルで済むとは思えない。目をこらさずとも、剣の周囲に空気を歪める陽炎が見えた。

 

 その熱気に対して持ち主は気にした風もなく、目の前の人間がどう反応するか楽しみで仕方ないというようにニヤニヤと嗤っている。

 

「こんな場所でそれを使う気か?」

 

 しかし予想に反して青年は動じない。驚いてはいるものの、それだけだった。

 え、何か思った以上に青年が頼もしいぞ!

 

 目の前の脅威に臆した風も無く言う青年に気をよくしたのか、アグレスはますます口の端を釣り上げて鋭い目を三日月型に歪めた。

 

「それもそうだな。じゃあ、おまけだ」

 

 言うと、男は大剣を地面に突き刺した。

 

 

 

 

現界浸食(エクリプスゲヘナ)!』

「な、まさか!」

 

 

 

 これには青年も驚いたようだ。私はといえば、状況が分からず咄嗟にリアクションすらとれないでいる。けどそれもわずかな間のことで、次の瞬間からあたりに蔓延しはじめた現象に目を見張った。

 

 男が剣を突き刺した場所から、まるで絵のついたガラスが砕け散るように景色が崩壊し始めたのだ。

 

 そして私たちだけを置き去りに砕け散った景色の跡に広がっていたのは、荒涼とした赤茶色の大地。

 一変した景色に私と青年が驚いていると、何やら剣の発する陽炎のせいか輪郭がぶれて見える赤髪の男は自慢げに言う。

 

「どうだ、これでいいだろ? さっそく()ろうぜ坊ちゃんよォ!」

「これは精霊界の一角か。結界の精度といい只者ではないと思っていたが……貴様外法精霊術の使い手か!」

「お、よく知ってるな~。偉い偉い」

「茶化すな、外道め!」

 

 外法精霊術。

 最近アルディラさんから聞いたことで、脳内で情報が新しく更新されたその単語に私も息を呑む。たしか精霊の自由意思を奪って無理矢理体に憑依させて力を行使する術だったはずだ。

 まさか使い手に遭遇した上に、その男に襲われるとかどこまで運が悪いんだ私! 何か聞いた感じ凄く強そうだけど!?

 

(って、青年ー!)

 

 そうなると、理想の王子様的存在に浮かれきっていた脳内が急に現実に引き戻される。

 

 ちょ、君! 助けてくれようとするのはありがたいんだけど、危なくなったら逃げろ! 将来有望そうな若者が私の貞操ひとつのせいで死なれたら、ご家族にどう申し開きすればいいんだ! いいよ、それくらいなら我慢するよ! お姉さん中身はおばさんだから何とかなるよ!

 

 不安と焦燥で表情がえらい事になっている私に気付いたのか、青年がこちらを向く。そして年上のお姉さまに人気が有りそうな、甘い顔立ちを爽やかな笑顔で彩った。

 

「大丈夫ですよ、お嬢さん。必ずお助けします」

(はうっ)

 

 今キュンと来た。ズキューンときた。

 

 乙女の危機に颯爽と現れて助けると言ってくれるイケメンってフィクションの世界のものだと思ってた! これは真面目に運命の出会いかもしれないと、現実に戻された心が再びふわふわと風船のように浮上する。いい年こいて? いやいや、今の私ってば18歳だし、若者にときめいても何らおかしくない。

 もういいや。こういう時くらい、素直に人を頼ろう。現状じゃどうしようも無いし、私に今できることは青年を応援することだけだ。頑張れ青年! そして赤髪ドレッド死ね!!

 

 

 

 

 久しぶりに恋を予感させる胸の動悸に赤面する私の目の前で、盗賊の男に相対した青年が流麗な剣をすらっと構えた。

 

 灼熱の剣に対して青年の剣は青みがかった優美な銀色で、例えるならば流水のようだ。質実堅剛を現したようなこれもまた実用的な剣に見えるが、その中でフォルムが流麗な美しさを体現している所に職人の技を感じる。素人目だけど、これもまた普通の剣には思えなかった。恐らくは赤髪ドレッドと同じく魔法剣の一種。

 

 裏路地の強姦未遂事件から、まさかの異空間凄武器対決……! ホント何なんだこの超展開! 現実味なさすぎて逆にわくわくしてきたわ!! うおー! いけー! やったれ青年!!

 

 そして私の心の中の声援が届いたからかは知らないが、先に動いたのは青年だった。

 

 

星霊降臨昌(アストラルエフェクト)!』

 

 

 青年が先ほどの盗賊男に同じく無詠唱で呪文だけを叫ぶと、彼の剣が5色の光を纏った。グリンディ村で見た精霊の光の柱を彷彿とさせるそれは、強力な魔法付与の効果だ。

 ヤベェこの人も只者じゃ無いっぽいわ。これは強い。絶対強い。つーか青年も盗賊も普通に古代魔法言語使ってるんだけど、どっちも何者よ。

 

「精霊界が近いということは、私にとっても有利な環境だ。手加減はせん。覚悟しろ賊め!」

「いいねいいねェ! 楽しくなってきたぜ!」

 

 神聖な魔法付与の輝きと、全てを飲み込まんばかりの灼熱の陽炎が混じり合う。

 固唾を呑んで私が見守る中、唐突に戦いは始まった。

 

 

 

 

 

 

「はァッ!!」

 

 先に仕掛けたのは青年だった。小細工も無しに正面から切りかかったが、受け止めた盗賊の足元にひびが入り、地面に足が沈んだところを見るとその威力は強大だ。

 盗賊が反撃に出ようとするが、その前に青年の追撃が迫る。青年の剣から水が発せられ、アグレスに襲いかかったのだ。

 

「水の魔法付与(エンチャント)かッ」

 

 赤髪は大剣でそれを受け止めるが、水は刃のような威力を伴っているのか男が防げなかった場所に裂傷を作る。これはアルディラさんの水の妖精術と斧スキルを掛け合わせた技に近い。

 水を受けたからかアグレスの剣から大量の蒸気が発生する。どうやら見た目通り高熱を発しているようで、あんな剣で切りかかられたらと思うとぞっとする。

 あかん、私の武器は皮の鞭。魔力を通わせれば強度は増すけど、流石にあれは無理だわ……。焼き千切れるか溶けるかしそうだ。しそうっていうか、まず間違いなくそうなるわ。果敢に立ち向かう青年はすげぇ。

 

 しかし攻撃を受ける、アグレスも負けてはいない。赤髪男は水の初撃を防いだ後、更に連撃を仕掛けようとしていた青年の足元を払った。

 

「!?」

 

 どうやらでかい図体に伴って足も長いのか、間合いの外だと思い込んでいたらしい青年は一瞬体勢を崩す。それを狙って、男の拳が青年の頬にめり込んだ。

 え、そこで素手なの!? その存在感でかい剣は何だよ、使わないのかよ。いや、目の前で人が焼切られる場面なんて見たくないからいいんだけどさ!

 

「せ、青年ー! 大丈夫かー!!」

 

 思わず叫ぶが、私の声など届かない。それほど二人とも目の前の相手に集中している。

 

 が、見れば殴られた青年もただでは済まさず、直前で体勢を立て直し後ろに跳ぶことでうまく衝撃を逃したようだ。

 ザリザリと地面をこすって数メートル先で止まると、青年は今度は剣から風を巻き起こす。

 それを遠距離から振るうと、風は弾丸のような圧力となって発射された。悔しいことに赤髪が上手く避けたが、風が弾丸の様だと知れたのはその後に残った地面はピンポン玉程度の大きさで次々と抉れていったからだ。あれが当たったら骨くらい砕けそうだ。

 

 アグレスは避ける際に上空へと逃れていたが、その跳躍力たるや凄まじい。多分、二階建ての建物になら軽々と飛び乗れるだろう。

 しかも空に逃れたからといってもそれが隙には成りえず、むしろ男は滞空時間を利用して見せる。

 

「返すぜ! 『紅蓮紅焔弾(ガンズプロミネンス)!』

 

 今度は風の弾丸のお返しとばかりに、上空から炎の弾丸が降り注いで青年を襲う。その数は多く、まるで炎のスコールだ。

 

「くッ」

 

 青年はそれが自身に着弾する前に、剣で地面をひっかく。すると地面が一瞬輝いたかと思ったら、隆起した土と岩が壁となって炎の弾丸を防ぎきった。次いで青年が剣を土の壁に突き刺すと、陶器の様に砕けたそれらが鋭く尖り一丸となってアグレスに襲いかかる。

 アグレスはそれに対して、これまでまったく使用していなかった大剣を大きく振るう。その反動の勢いなのか、それとも剣から何か発したのか。アグレスは空中から一気に地面まで舞戻り攻撃を回避すると、何を思ったのか地面にあった大きな岩に手をかけた。

 

「芸達者だな! じゃあこれはどうだ?」

 

 掴んだ岩はおよそ赤髪野郎と同等の背丈に大人五人が手をまわしてやっと届くか届かないかというほどの大きさ。それを奴は苦も無く大地から引きはがすと、剣を突き刺す。するとまるで剣の輝きが移ったように岩が灼熱色に染まった。

 

「おらよ!」

 

 男が投げたそれはまるて隕石のように青年へ向かう。

 思わず目を瞑りそうになったが、青年は逃げることも無く岩を真正面から迎え入れる。青年の剣が今度は岩と同じく炎の色に彩られ、振るった際に生じた火炎交じりの衝撃波が、岩を上空へと放り投げた。

 

 それに口笛を吹いたのは赤髪で、ますます楽しそうだ。青年は逆に顔をどんどんしかめていっているので、両者は実に対照的に見える。

 

 

 

 これだ、このどっしり構えた態度が怖いんだあの男は。

 

 十二年前も仲間が殺されようが計画に邪魔が入ろうが、まったく動じなかった。それどころかこちらが何かすればするほど楽しそうに笑うんだから手におえない。クソッ、嫌なこと思い出した。

 

 

 

 僅か一分にも満たない間に交わされた攻防。

 息を吐く間も無い。

 

 そして、このままどうなってしまうのかと胃がきりきりと痛み始めた時だった。割って入ったのは、戦いの熱気に水を差すようなひどく冷酷な声。

 

 

 

 

 

「アグレス、緊急です。お遊びは其処までにして帰りますよ」

 

 

 

 

 

 その声に三人ともが勢いよく振り返る。

 

 戦いの緊張感に張りつめていた空気をばっさりとぶった切ったのは、黒いスーツを着こなし、黒いステッキを持ち銀縁のモノクルを身に付けた絵に描いたような英国紳士スタイルな男性だった。シルクハットが無いのがおしい。……じゃなくて、誰だアイツ。

 その人物の褐色の肌色と東洋系の顔つきに、ふと一瞬サクセリオが重なって見える。改めて見ればまったく似ていないのだけど、私やサクセリオに同じくこのあたりでは珍しい顔立ちだ。

 

 彼は優雅な動作に反して並々ならぬ跳躍力を見せると、赤髪の男の近くまで一足飛びに近づいた。

 

「おいレレ、今良い所なんだから邪魔するなって。まだ始めたばっかなのによぉー……」

 

 レレと呼ばれた男はちらっと青年と私を一瞥すると、深くため息をついた。

 

「何故、少女に会いに来るだけで現界浸食まで使って戦闘しているのですか。あの方に怒られますよ」

「ああ? 知るかよ」

「私まで怒られるんですよ。あなたのとばっちりはごめんです。……楽しみは後にとっておきなさい」

 

 言うなり、男性は持っていたステッキで地面を突く。

 するとカツンと甲高い音が響き、気づけば私たちは荒野ではなくもとの薄暗い路地に居た。

 

 一瞬で変化した光景に私と青年がたじろぐと、紳士は優雅に一礼した。

 

「お騒がせしましたね。では、ごきげんよう」

「おい、レレぅお!?」

 

 抗議しようとしたらしい赤髪の腕を掴んだ紳士は、奴を伴ったまま上に跳び上がる。そして壁を蹴りながら建物の上まで跳ね飛んで、そのまま実に速やかな動作で去って行った。

 

 

 

 残された私たちといえば、とりあえずなんか気まずい雰囲気になった。

 うん、これは、反応に困るな……。

 

 しばらくして先に我に返ったのは青年で、私を見ると顔を赤くして目を背ける。

 

「あ、その。まず、服を直した方が……」

「えっと、ど、どうも」

 

 脱がされかかっているとはいえ、せいぜい下着と肩がちょっと見えてるくらいなんだけど……そう照れられるとこちらまで恥ずかしくなってくる。ヤダこのイケメンったら初心。

 火照った顔のまま服のボタンを留め終えると、男が居なくなったおかげで魔法がとけたのか、軽くなった体を起こして立ち上がった。けどやはりダメージが残っているのか、バランスがとれないでふら付く。

 そんな私の手をとったのは青年で、私の手と腰を支えてくれた。ヤダこのイケメン紳士。

 

「大丈夫ですか?」

「ええ、おかげ様で。危ない所を助けていただき、ありがとうございました」

「いえ、当然のことをしたまでですよ」

 

 青年の爽やかな笑顔が眩しい!

 さっきまで熱血バトルを繰り広げていたとは思えないほどの爽やかさだ。清涼飲料水のCMに出てたらまず間違いなくそのドリンク買うわってくらい輝いてる。

 吊り橋効果も手伝ってさっきから胸の動悸が収まらないんだが、中身がアラフォーでも体が十八歳なら若いイケメンにときめくのは有りだよね! だって格好いいし!!

 

「あの、何かお礼をさせてください! それと是非お名前を教えてくださいませんか?」

「名乗るほどの者ではありませんよ。礼にも及びません。お気になさらず、お嬢さん」

 

 この人どっか絵本からでも飛び出して来たの? リアルで名乗るほどでもないとか言ってそれが似合うイケメンとか二次元の産物じゃなかったのか。

 

 でも、とまごつく私に、青年は軽やかに笑って答えてくれた。

 

 

 

「では名前くらいなら。私はカルナック・フレンディオと申します。どうぞお見知りおきを」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これだけ持ち上げといてなんですが、前回の前書きに引き続き再度書いておきますと彼は序章のアレです。主人公にそう簡単に夢は見させないぜ!(使命感

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