警戒してるかな、と毒見をしてから差し出したけど毒を混ぜやすそうな中身の方であるシチューを食べなかった私マジうかつ。それでも受け取ってくれて一生懸命パンを食べる獣人の少女エキナセナを見て、よっぽどお腹がすいていたんだなと思った。
うん、お腹がすいてると心細い気分になるよね。そういう時は暖かい食べ物で体の内側から温めると元気が出るから、私も手間をかけた甲斐があったというものだ。
今日のメニューは食器を洗わなくて済むようにシチュー入りパン。こぼさないように食べるのは各自に任せた。
街で買ったパンは長持ちさせるためかカッチカチだったけど、ここで登場するのが久しぶりの便利系魔法、黒霊術の属性術である
要は焼成済みのパンに霧拭いてから焼くと柔らかくなる、というのを魔法でやっただけなんだけど、魔法だからこその仕上がりなのか焼きたてのような仕上がりに! う~ん、この魔法の組み合わせにスチームコンベクションとでも名付けようか。
そしてメインのシチューは流石に牛乳は腐り易くて持ち歩いていなかったんだけど、アルディラさんがチーズを持っていたのでそれを利用してみた。具はポプラから巻き上げた豚のソーセージと手持ちの根野菜で、塩コショウで調味。
ちょっと濃厚な仕上がりになったけれど、パンに合わせるなら丁度いいかもしれない。ポプラのソーセージがいい出汁を出してるので、それはコイツのお手柄だ。
「まったく、(モグモグ)野外の飯でこんな手間(もぐもぐ)かけるなんて(もぐ)信じらんねー」
「憎まれ口をたたくなら食ってから言え。行儀が悪い。黙らないとおかわりは無しだからな」
「………………」
(本当に黙った……)
食事当番をかって出たらポプラに疑わしそうな目を向けられたけど、いざ作ってみたらコイツおかわりまでしてやがる……。
アルディラさんも以前作ったカレーに引き続き気に入ってくれたようで、美味しそうに食べてくれていた。聞けば故郷に似たような料理があって、そこだと山羊の乳を使って作るらしい。
異世界でもカレーとシチューは鉄板だと証明されたのだし、次は味噌と醤油の万能性を広めるべきか。肉じゃが食べたい。
しばらくしてみんな食べ終わったようなので、道中で採取したハーブでお茶を入れて配る。
するとアルディラさんは頬に手を当て、なにやらとても満足そうに顔を赤らめていた。多分食事をして代謝が上がったんだろうな。アルディラさん結構露出多いし、筋肉が多いと言えど寒そう。しっかりあたたまってほしい。
「ううう……、至れり尽くせり過ぎて駄目になりそう……。ここ、外よね?」
「おい雑用……。お前、本当に雑用としてなら雇ってやるぜ……」
「美味しかった……」
天気が良いからか、何だかみんなだらっとしている。
美味しいと言ってくれた少女は警戒心がだいぶ薄れているように見えたので、やっぱり一緒に食べる食事って偉大だなぁと感じた。孤食してる人はもったいないことしてるよね。まあ前世は一人暮らし中ずっと孤食だったのは私だけど! 彼氏とか居なかったけど!!
「エキナセナ。ついでだから、ちょっと傷見せてくれる?」
とりあえず前世由来の敗北感は忘れることにして、この期にと先ほど治せなかった分を見ようとエキナセナに近づく。一瞬警戒したように耳がぴんっと立ったけど、何も言わないので勝手に診ることにした。
「ああ、やっぱり目が酷いね……。ちょっと待ってて」
カバンから端切れ布と糸、針を探り出すと、手早く刺繍してから小さな正方形に縫う。裏に柔らかい布をあててから固定して、紐を通した。よかった、材料残ってて。
いつの間にか近くにやって来ていたアルディラさんが感心したように「早いわね」と言う。本職なので当たり前と言えばそうなんだけど、褒められるのってやっぱり嬉しいな。ちょっと照れた。
そしてポプラはといえば作り終ってから見に来たので「何で眼帯なんてもってんだ?」とか言っていた。持ってたんじゃなくて今作ったんだよ。
「ほら、顔あげて」
「え、」
「はい、そのままじっとしてて」
顎の下に手を入れて顔を上向かせると、ささっと即席眼帯を彼女の右目にあてがった。可愛いピンクの布に花柄の刺繍をしたそれは我ながら可愛い出来だと思う。
「なんだか、温かい……?」
「そういう効果を付与してあるからね」
体の自己再生能力を高める刺繍は、ちゃんと効果を発揮しているようだ。と、ここでポプラが大きな声をあげる。
「おま、それ、まさか! 魔纏刺繍か!? そういえばさっきの布も……!」
「え、今さら?」
今そこに食いつくとかやめてほしい。せっかくこの子が警戒心緩めてるんだから、話を聞こうと思ってたのに。
「悪いけどその話は後に「売ってくれ! さっきの血濡れのやつでもいいから!!」
言葉を遮られた私は妙な既視感を抱き、あっと思い至る。あー……、なんかこの勢い覚えがある……。シュピネラでのアルディラさんといっしょだ。
引いている私にそのアルディラさんが苦笑しながら言った。
「ね? 魔纏刺繍は貴重だって、前に言ったでしょう」
「そうですけど……」
「フフフっ、自分で確認しないと納得出来ないようだったから、王都で教えようかと思ってたけど。これで実感できたかしら」
そう言って興奮するポプラを示すアルディラさん。ポプラは先ほど使った回復系の刺繍がされた布をエキナセナの膝の上から奪うと、それを凝視してギリギリと歯ぎしりしてから叫んだ。
「うおぉぉぉ! マジなんでお前みたいな奴が持ってんだよ!? しかもあっさり使い捨てにするとかなめてんのか! これだってこんな状態でも買えば半金貨5枚はすんぞ!」
「え?」
半金貨5枚って……。
「5万セラ!?」
要は五万円ですねマジか! えええ!?
「価値も知らねーのかよ!」
「だから私や商人への売値が安すぎるとも言ったじゃないの……。困っていた商人たちはともかく、やっぱり私だけでも正規の値段で買い取るべきだったわね」
いや、たしかに言われた。でも新米の私に気を使ってくれてるんだと! でも私が作ったと知らないポプラの主観でもそれだけ価値があると判断されたってことは、本当にそんな値段で売れるの!?
同じような刺繍だけした布、8千セラくらいで売らなかったっけ私!
なんだかわちゃわちゃしてきた中で、置いてけぼりにされてるエキナセナを見つけて少し落ち着いた。
「ああっと、ごめんね! なんか騒がしくて! ポプラにはそれくれてやるからちょっと黙っててくれる?」
「マジか!? くれるって言ったな! ってことはタダだな! 前言撤回なんて男らしくない事すんじゃねーぞ!」
「わかった、わかったから! ちょっと黙ってて」
暑苦しいポプラを顔を押しのけると、深呼吸して気分を整える。
「あらためて、傷と体調を診させてもらうよ。そしたら少し君の話を聞かせてもらってもいい?」
少女は小さく頷いた。
私たちは休憩の後、当初の予定通り近くの村を目指す事になった。
食事の後エキナセナの話を聞こうと思っていたのだけど、予想以上に疲れていたのか話す途中で意識を失いかけていた。ので、そのまま眠らせて落ち着ける場所まで運ぶことになったのだ。話を聞くのは村に着いてからでいいだろう。
「ねえ、ポプラくん。本当にこの道でいいの?」
「大丈夫っスよ。ここが近道なんです。オレも何度も通ってるし」
そう言って進むのは先ほどの森に比べて暗く鬱蒼と植物が茂る森の中で、自信満々に先導するのはポプラだ。
良く見れば各所に分かりづらくも目印っぽいのがあるし、多分大丈夫だとは思う。
エキナセナは相変わらず私が背負っている。アルディラさんが代わろうかと申し出てくれたけど、森に入って魔物の出現率が増したので彼女にはそちらの対応をお願いした。
「もう! またアシッドスパイダーだわ」
そう言って彼女が斧で切り裂いたのは体液が酸な蜘蛛なのだけれど、流石はベテラン。メリルの水の妖精術で斧を覆ってから切っているので武器が侵食されていない。更に返す刃で斧と妖精術の合わせ技、「水鏡撃」を放って残りの蜘蛛も蹴散らす。その動作は流麗で、斧をよどみなく使いこなしていた。しかも、モンスター以外には味方はもちろんな事、周りの森にも被害を出していない。
「ま、森っスからねー。虫系が多いんスわ。姐さん下がってていいっすよ? オレが露払いしてくんで」
ポプラもそれに負けず、得物である曲刀を使いこなし魔物をいなしていた。どうやら得意とするのは精霊術だけではなさそうだ。
私、超楽。頼もしいなぁ……。仲間がいるって素晴らしい。
そのまま頼もしい2人に守られつつ森を進んだ私たち。
しかし大きな木の近くを通りかかった時、ふいに体から力が抜けて眩暈がした。そのままよろめいて、危うく転びそうになる。すぐ持ち直したものの、それに気づいたアルディラさんが気遣ってくれた。
「やっぱり、疲れているんじゃ」
「いえ、大丈夫です。ちょっと立ちくらみしただけで今は別に……」
そう言いながらも、どことなく気だるくなった体に違和感を覚えた。まるで黒霊術を多く使った後のような疲労感。……今日は料理にしか魔法使ってないはずなんだけどな。
私が首を傾げていると、前を歩いていたポプラが立ち止りあたりをキョロキョロと見回し始めた。
「ポプラくん、どうしたの?」
「あ、いえ……アレ? え?」
困惑は強まる一方らしく、ポプラはしばらくぐるぐるとその場を回ったり、少し引き返してから戻って来てを繰り返した。彼の精霊であるノレットも同じ行動をとっている。表情が分からないのに、ノレットはとても困っているようだ。
その様子に嫌な予感を覚え始めた私とアルディラさんは顔を見合わせる。そして意を決して聞いてみた。
「えーと、ポプラ? 村まであとどれくらい……かな」
「………………」
「ポプラ?」
黙り込むポプラ。ちょ、おい、まさかお前……。
「え、まさか迷った?」
「何でだぁぁぁぁ! さっきまで知ってる道だったのに!!」
確信を突いたらポプラが頭を抱えて叫びだした。その内容に体調の変化以上に疲れを覚える。頭を抱えたいのはこっちだよ……。
まあ彼を責めても仕方がないので、とりあえず引き返して元の道から村まで行くことにした。ところが、進めど進めど来た道や、それまで有った目印が見つからない。
いよいよ何か変だぞ? と思った時。視界が開けた。
「村だ」
そこには、森の中に鎮座する小さな村が広がっていた。
「おい、人だ」
「旅人か?」
「最近は居なかったのにな……」
「見ろあの格好、冒険者じゃないか?」
村に入った私たちを迎えたのは、そんな村人たちのひそひそ声だった。
そんなに規模が大きい村ではないようで、人家も全部で二十件ちょっとくらいかな。
「すみません、この村は何という村ですか? 私たち道に迷ってしまって……」
「あ、ああ。ここはグリンディ村だよ」
「グリンディ村!?」
その名前に過剰反応したのはポプラだった。アルディラさんも考え込むように眉間にしわを寄せたので、なにかいわくのある村なのだろうか。
「ウソつけよ! グリンディ村っつったら、十三年前に地図から消えた村だぞ」
「……外ではそうなっているみたいだな。付いてきてくれ、村長の所に案内する」
尋ねた男は反論するでもなく、諦念を滲ませた顔で私たちを促した。顔を見合わせた私たちだったけれど、小さい村では宿も無さそうだ。エキナセナを休ませるためにも村長に許可を取って、どこか人家を紹介してもらう方がいいだろう。
そうしてついていった先の村長の家は、他の人家とそう変わらない大きさの家だった。紹介された村長は白髪交じりの初老の男性で、弱弱しい笑顔で私たちを迎えた。
「これはこれは、冒険者の方ですかな? ようこそ、グリンディ村へ。村長のガルフと申します」
「初めまして。私はアルディラ・カルアーレと申しまして、お察しの通り冒険者をしています。後ろの子たちはエルフリードとポプラ。それとエキナセナです」
代表者としてアルディラさんが挨拶してくれる。ちなみにエキナセナだけれど、目立たないように頭に布を巻いて隠し、尻尾はアルディラさんの大きめのコートを羽織らせて隠している。
「ごらんのとおり連れの一人が体調を崩していまして……。どこか休める場所を貸していただきたいのですが」
「ああ、ええ、そうですか……。いやしかし、困りましたな。みな、自分たちの生活する場所だけで精一杯ですからな」
「あの、そこをなんとか」
あまり色よくない返事に頼み込もうとするが、村長の瞳にこちらを窺うような色を見つけて躊躇する。
どこか雰囲気の可笑しい村。訪れた冒険者。もしかして、休む場所を提供する代わりに何か頼みたいことでもあるのかな? それにしたって弱っている女の子が居るんだから、先に休む場所を紹介してくれたっていい気もするけど。
会ったばかりの村長に不信を抱いていると、扉の方から可愛らしい声が聞こえた。
「あ、あの、もしよければ、家に来ますか? あたし一人暮らしだから」
「コーラル! 勝手に大人の話に入って来るんじゃない!!」
豹変して怒鳴り声をあげる村長に、お茶の乗ったお盆を持っていた少女が竦みあがった。
目を惹いたのはまず、見事なチェリーレッドの髪の色。光沢のある赤い髪の毛は、以前に見たことのある原色のような赤と違ってとても自然で綺麗な色をしていた。その髪を片口で二つの三つ編みにした少女は、消え入りそうな声で「ごめんなさい」と謝る。
「彼女は?」
「ああ、気にせんでください。下働きの娘です。……お前は茶だけ置いて下がれ」
「おい待てよ。この子が家あいてるって言ってくれてるじゃん? オレたちとしてはお言葉に甘えたいね~。やっかいごとも引き受けなくて済みそうだし?」
ニヤニヤと待ったをかけ、少女の肩に腕をまわすポプラ。馴れ馴れしいけど今はグッジョブ。どうやら彼も村長の様子に不信感を覚えていたようだ。
「い、いやしかし」
「事情があるのでしたら、後ほどまた伺います。今はこの子を早く休ませたいんですけど」
睨みを利かせ語調を強めて言うと、村長は渋々と言った風に頷いた。よし、私の目つきの悪さもこういう時は役に立つな。
勝手にまた来るなんて言ってしまったけど、アルディラさんを伺うと「大丈夫よ」と頷いてくれたので安心する。
「あ、ああ、あの」
「…………この方たちをお泊めしろ。落ち着いたら案内をして来い」
「は、はいぃ」
村長の低い声で怯えたように震えた少女は、こちらですと私たちを村はずれの方にあった彼女の家まで案内してくれた。
少女の家は正直言って大きさはそこそこだったけど、他の家よりみすぼらしいと言うかボロっちい家だった。けれど中に入ればその言葉を撤回せざるを得ない。
「可愛いお家だね~」
物が少ないのか、乱雑な様子はない。かといって寂しくも見えないのは、各所にある温かみのある家具や雑貨のおかげだろう。あの釣り下がってる香辛料とかドライフラワーも可愛いな。何の種類だろう?
思わず感心して言えば、びっくりしたのか少女が余計に挙動不審になった。
「あ、ああああああ、ありがと、ござい、ます!」
「初対面なのにいきなりあがりこんでごめんね。でも、そんなに気を遣わなくていいよ」
緊張をほぐしたくて言ったのだけど、余計に体を固まらせた少女はびしっと部屋の中にあるベッドを示した。その意図に気付いて頷く。
「ありがとう、使わせてもらうね」
好意に甘えてエキナセナを寝かせると、私たちはベッドの淵と二脚の椅子、少女が引っ張ってきた木箱に座ってから自己紹介をした。
「助かったわ。貴女、名前は? 私はアルディラよ」
「オレはポプラな」
「俺はエルフリード、よろしく」
少女はしばらくもじもじしながら視線を彷徨わせていたが、ぽつりと小さな声を落とした。
「こ、コーラル」
「コーラルちゃんか。可愛い名前だね」
「え、」
「海って知ってる? そこに住んでいる珊瑚っていう生きる宝石と、同じ意味の名前なんだよ。君の綺麗な髪の色とも似てるかな。ああでも、珊瑚色だと赤みがかってるからコーラルちゃんの場合はさくらんぼ色か。でもどっちも可愛い色だから、君にぴったりだね」
私が言うと、アルディラさんとポプラが何かコソコソ言い合ってた。え、何?
「エキナセナの時と言い、結構あっさりとああいうこと言うわよね……」
「やっぱムカつくあいつ」
え、だから何?
「ねえ、コーラル。村長の所へ行く前に貴女からこの村のことを聞いてもいいかしら」
「村、ですか」
アルディラさんが問いかけると、やっと慣れたのか先ほどより普通に喋れるようになったコーラルちゃんが答えてくれた。
「……この村は、外の世界ではもう、無い物として扱われています」
「そう! そうなんだよ。つーかオレ、この森何度か魔物の素材狩りに入ったけど村なんてなかったぞ!?」
「普段は普通の森、らしい、です。でも時々、入ってしまう人がいる、です。その人たちも、出られなくなって、村に居ます」
「ちょっと待って。出られない?」
「はい……」
話を要約すると、この村は十三年前に突如として外の世界と隔絶されてしまったのだとか。森を抜けようとしてもいつのまにか村に戻ってしまい、時々旅人が迷って入って来てもその人も村周辺から出られなくなる。
そして外の世界では「ある日突然消えた村」として魔人の仕業ではないか、と言われているのがグリンディ村だ。
「おいおい、マジかよ……」
「冒険者に期待したような反応だったし、十中八九、この事態の究明を依頼されるんでしょうね……」
近道のはずが思わぬ事態に遭遇してしまい、私たちはため息を吐いた。しかし当事者となってしまった以上放っておくわけにもいかないので、村長に話を聞いてから調査するしかなくなるんだろうな……。
なんか、そう上手くいくとは思ってなかったけど旅立って早々に花嫁修業や婚活どころじゃないな。わりとガチな冒険になってきてしまった。パーティーメンバーは美人だけど同性のアルディラさんと、顔は悪くないけどチャラ男のポプラだし、理想のイケメンと冒険するのはまだまだ先になりそう。
(けど今はそんなこと考えてる場合じゃないか……)
「とにかく、もう一度村長に会って詳しい話を聞いてみましょ」
「そうスね」
情報が無い事にはどうしようもないと、そういう方向で話がまとまった時。コーラルちゃんの家のドアを叩く音がした。
「あら、もしかして先に迎えが来ちゃったかしら?」
「い、いえ。多分これは」
コーラルちゃんの表情がにわかに明るくなった。もしかして友達かな?
「コーラル~。旅人サンがこっちきたんだって?」
「ハウロお兄ちゃん!」
尋ねてきたのは、猫みたいな目をした青年だった。