「奴らは今頃新幹線の中か」
魔帆良学園の屋上でエヴァがつまらなそうに呟いた。
「マスターは呪いのせいで修学旅行に行けず、残念ですね」
「・・・おい、何が残念なんだ?ガキどもの旅行など」
「いえ、行きたそうな顔をしていました」
茶々丸には何でもお見通しの用でエヴァは少しむくれた。
「アホか、それよりお前は行っても良かったんだぞ、行きたいんだろ?」
「いえ、私は常にマスターのお側に」
すると屋上の扉が開いて一人の男が出てきた。
「よおエヴァ、久しぶりだな」
「恭輔か、お前までこの学園に来たのか」
恭輔はエヴァの隣で寝転がった。
「アイツに呼ばれたからな、それにいい弟子も見つけたし」
「刹那か?」
「ああ」
「お前あいつの境遇を知っているのか?」
「ああ、まあな・・・でもよエヴァ、アイツは強くなるぜ」
恭輔は遠い空を見つめてエヴァに言った。
「ふっ、やはり貴様は神鳴流の中でも変わり者だな」
「もう言われなれたぜ、その言葉は」
エヴァと恭輔は二人で笑った、そしてそれを見ていた茶々丸も嬉しそうにくすりと笑う、所変わって京都行きの新幹線の中ではネギが修学旅行の心構えを話していた。
「それでは皆さん平成15年度の修学旅行が始まりました、この四泊五日の旅行で楽しい思い出を一杯作ってくださいね」
「「「「「はーい」」」」」
「魔帆良学園の修学旅行は、班ごとの自由時間も多く取ってあり、楽しい旅になると思いますが、その分、怪我や迷子他の人に迷惑をかけたりしないよう、一人一人が気を付けなければなりません、特に怪我には気を付け!?」
ネギが言い終わる前に前の車両からやって来た弁当の販売員のカートにネギはぶつかった、ネギの話が終わったところで生徒たちは各々遊び時間となった、生徒たちが遊ぶ中龍斗は販売員のお姉さんから飲み物を買おうとしていた。
「すいません、烏龍茶一つ下さい」
「はい、百八十円になります」
「どうも・・・君さ関西呪術協会の人間じゃない?」
「!?」
龍斗は販売員のお姉さんにしか聞こえないように耳打ちした。
「関西呪術協会?、それは何の協会ですか?」
龍斗はお姉さんをじっと見た。
「すいません、僕の勘違いでした」
龍斗は突然ニコッと笑うとお姉さんに謝った。
「どうしたの?、龍斗」
ネギが座席に戻ってくるとお姉さんはその場から立ち去った、龍斗はその後をずっと見ていた。
「いや、なんでもないよネギ君」
お姉さんは龍斗たちから離れてデッキに出ると冷や汗が止まらなかった。
「なんちゅう眼や、列車の中で親書奪ったろ思っとったけど、止めたほうが良さそうやな」
お姉さんはそう言うと他の車両に歩いていった、龍斗の牽制もあり列車の中では何も起きることはなかった、そして京都に着き、まずはクラスの皆で清水寺で記念写真を取りその後清水寺を見学した後、恋占いの石にまき絵、のどか、あやかの三人が挑戦すると言い出した。
「この恋占いの石は目をつぶってこの石から反対の石にたどり着ければ恋が成就すると言われている」
「よく知ってるね、龍斗」
「僕は一応魔帆良の社会科主任だからね」
(フフフ、私にかかればこの程度の試練朝飯前ですわ、雪広あやか流恋の心眼術!!)
まき絵たちが目をつぶって挑戦した、その時あやかが反対の石に向かって一直線に走り出した、それを追いかけるように薄目を開けたまき絵もあやかを追いかけた。
「おお、凄いぞいいんちょ」
「あやか君の愛は怖いね~」
誰かがいいんちょを誉めた後龍斗が正直な感想をのべた。
「ずるいよいいんちょ、目開けてるでしょ」
「ホホホまさか!!これで某N先生との恋は見事成就ですわ」
二人が走るのを見ていた龍斗が二人の足下をふと見ると先の地面に違和感を感じた。
「あやか君!まき絵君!止まれ」
二人には龍斗の声が聞こえず二人は落とし穴に落ちた。
「きゃー」
「穴の中にカエルー!?」
おまけに穴の中にはカエルが入っていた、ネギたちがあやかたちを引き上げるとネギは龍斗に耳打ちした。
「やっぱりこれは」
「ああ、関西呪術協会の妨害とみるべきだろうね」
(あれだけ脅しても足りなかったか)
そのなかでのどかだけは走らずに自分のペースで歩いて反対の石にたどり着いていた、そして龍斗が落とし穴の前で考え事をしている中、皆は気を取り直して音羽の滝に水を飲みに行った、そして龍斗が音羽の滝に着いた時にはクラスのほとんどが酔っ払っていた。
「これはいったい」
「あ、龍斗実は」
ネギの話によると音羽の滝の恋愛の水が酒に変わっていたと言う、龍斗はこれも関西呪術協会の妨害と思ったが考える暇もなく、酔いつぶれた生徒たちを他の先生からネギと一緒に隠し大忙しのままホテル嵐山に向かった。
「やれやれ、敵も出来ればもっと手のかからない妨害をすればいいのに、はあ~」
「ホントだよ~」
龍斗がコーヒーネギがジュースを飲みながら愚痴るとカモが小声で話した。
「アニキやっぱりさっきの話は」
「僕は違うと思うけどなあ」
「ん?、何の話だい?」
「カモ君は刹那さんが敵のスパイじゃないかって」
ネギの言葉を聞くと龍斗は大笑いした。
「ハハハ、それはないよ僕が保証しても良い」
「でも、旦那」
「ないよ、大丈夫」
「ネギー!!」
龍斗たちが話していると酔っ払った生徒たちを部屋に押し込んだアスナがやって来た。
「やあアスナ君、悪かったね生徒たちの事任せちゃって」
「別に大したことはしてないけど、ねえ、これもやっぱり」
「ああ、関西呪術協会の仕業だよ」
「やっぱり・・・ネギ何かあったら助けてあげるから、ちゃんと言いなさいよ」
「ア、アスナさん・・・ありがとうございます!!」
すると廊下から足音が聞こえてしずなが浴衣姿で歩いてきた。
「ネギ先生、龍斗先生も教員は先にお風呂に入ってください」
「は、はい!しずな先生分かりました」
「じゃあネギ続きは夜の自由時間に聞くから、OK?」
「は、はい」
「OKっす、姐さん」
ネギと龍斗は疲れを癒すように風呂に入りに行った。
後一話で十話です恋姫の時も思いましたが何か感慨深いものがあります話も動くと思うのでお楽しみに、それではまた10話でお会いしましょう。