次の日の朝龍斗は生徒たちが休みなので皆が起きる前に寮内の掃除をしていた。
「龍さんおはよう」
「やあアスナ君、新聞配達かい、いってらっしゃい」
「いってきまーす」
アスナが新聞配達に出掛けるのを見送ると龍斗はまた掃除を再開し、皆が起きる頃には掃除をすべて終えて、管理人室でお茶を飲んでいた、するとドアをノックする音が聞こえた。
「開いてるよー」
すると中に入って来たのは裕奈だった。
「おお裕奈君か、さあ座って」
裕奈は畳に腰を下ろして龍斗の向かい合わせに座った。
「さて、お父さんからすべて聞いたね?」
「うん」
「本当はもっと穏やかに魔法の事を教えたかったんだが」
「ううんそれはいいの、大好きなお父さんとお母さんが魔法使いで、尊敬してる龍先生がお母さんの師匠だった、お母さんの事が知れただけでも、うれしいから」
裕奈はにこりと龍斗に微笑んだ、すると龍斗もくすりと笑った。
「やはり君は夕子君に良く似ている、彼女もまたいい笑顔をする女性だった、ところで君が魔法を勉強したいと言うのなら僕達が教えよう、でも勘違いしないでほしいんだが勿論魔法を学ばなくても構わない、その時は申し訳ないが魔法の事は他の人に話さないでほしい」
龍斗は真剣な表情で裕奈に言った。
「私に魔法を教えて下さい、お父さんやお母さんの見ていた景色を見て見たいんです、それとありがとうございます」
「ん?何がだい」
「この御守りの事」
「僕たちの手作りだから不格好だが君を守れたのなら良かった」
裕奈が真剣な表情で礼を言うのを見た龍斗はまたくすりと笑った。
「じゃあ魔法を教えるのは修学旅行から帰ってきてからにしよう」
「はい、あ、後お父さんから聞いたんですけどネギ君も魔法使いなんですよね?」
「そうだよ」
「やっぱりそうなんだ」
「この事はまだネギ君に言わないでくれ」
「え、どうして?」
「今彼はそれどころじゃないからね、修学旅行の事もあるし」
龍斗は少し考えると裕奈に修学旅行で危ない事が起こるかもしれないことを話した。
「もしかしたら御子神のような男が他にも京都で待っているかもしれないし、でも大丈夫だ京都には僕やネギ君さらに他の魔法先生たちも同行する、生徒たちは必ず守る」
龍斗は立ち上がりニコッと裕奈に笑って言うと裕奈も笑った。
「龍さんがそう言うなら大丈夫そうだね、でも何かあったら言ってね力になるから、じゃああたしは行きます」
裕奈はそう言うと軽く頭を下げて龍斗の部屋から出た、龍斗は裕奈が部屋を出ると頭を掻きながらカレンダーをふと見ると何か気づいたのか部屋を出て近くのスーパーにあるものを買いに行き30分位でまた部屋に戻った。
「いやー忘れてたなー、さて帰って来るまでに作らないとな」
龍斗は台所に立ち料理を始めた、慣れた手つきで食材を切っている時また扉をノックする音が聞こえた。
「開いてるよー、悪いが今手が離せないから勝手に入ってくれ」
入って来たのは3ーAの四葉五月だった。
「失礼します、龍さん?」
「ん?、五月君か、台所にいるよ」
「何作ってるんですか?」
「ほらカレンダー見てごらん今日は」
五月はカレンダーを見ると納得したように龍斗の調理を手伝った。
「手伝いますよ」
「すまない、じゃあ頼むよ」
龍斗と五月はペースを上げて調理を再開した、そして夜になりネギと一緒に出掛けた木乃香、出先でネギたちを見つけた、桜子、円、美砂、さらにネギと木乃香がデートしてると桜子たちに言われて大慌てでネギのもとに向かったあやかとあやかに無理やり連れていかれたアスナが寮に戻って来て食堂にご飯を食べに来た。
「あれー電気がついてないよー」
「今、電気をつけますわ」
桜子が電気がついてないことを言うと、あやかが電気をつけた。
「「「アスナ、誕生日おめでとう」」」
食堂にはアスナたち以外の3ーAのメンバーがアスナの誕生日を祝おうとアスナたちを待っていた、そして奥から龍斗がワゴンを押して出てきた、その上には大きな箱が乗っていた。
「誕生日、おめでとうアスナ君、これは僕と五月君からプレゼントだ」
龍斗が箱を取ると巨大なケーキが出てきた。
「うわー、大きいケーキありがとうございます」
「回りは苺でトッピングして中には今時期のフルーツを入れてみた」
龍斗はそう言うとケーキを皆に切って配った。
「おいしー、あまーい」
クラスメイトたちはケーキを食べてアスナにプレゼントを渡した、龍斗はそれを離れたところで見ていた、するとネギが近付いて来た。
「やあ、ネギ君」
「どうも、朱神さん」
「そういえば君とゆっくり話した事は無かったね、エヴァに勝ったそうじゃないか」
「いえ、あれはアスナさんとカモ君も手伝ってくれたし途中で学園の結界も」
「ん?カモ君というのは誰?」
「それは俺っちの事ですぜ、龍のダンナ」
ネギの肩からオコジョが出てきてしゃべった。
「なるほどオコジョ妖精か、よろしく朱神龍斗だ」
「俺っちの名前はアルベールカモミールよろしくお願いしやすぜ龍のダンナ」
龍斗はカモの小さい手を掴んで握手をした。
「じゃあアスナ君は魔法を知ってるんだね」
「はい、着いたその日にばれちゃいました」
ネギはがくっと肩をおとした。
「そ、速効にばれたんだね、まあ落ち込まないで、大丈夫だよ」
(アスナ君・・・出来れば魔法のゴタゴタには巻き込みたくなかったんだが)
龍斗は考え込むとふとあることを思いだしネギに言った。
「ところでネギ君、君に言っておきたい事があるんだが」
「なんですか?」
「刹那くんなんだけど、家の事情で修学旅行当日まで学園を休まなければならないと連絡があったんだ」
「ええ!?桜咲さんが、修学旅行は大丈夫なんですか?」
「ああ、修学旅行迄には帰ってくるそうだ」
するとネギはほっとした表情を浮かべた。
「良かった~、桜咲さん一人修学旅行行けなかったら寂しいですもんね、?、何か僕の顔についてますか?」
龍斗はネギをじっと見つめた。
「いや、すまない何でもないんだ」
「そ、そうですか?、じゃあ僕は皆さんのところに戻りますね、失礼します」
ネギはペコリと頭を下げて皆の中に戻り、龍斗は外に出て夜風にあたり煙草に火を着けて吸った。
(ふっ、顔立ちはナギに、性格はアリカに似たんだな、まあナギの性格に似ないで良かったが、ナギ、お前今何処にいるんだ)
龍斗は空を見上げて煙草の煙をゆっくり出した。
作者は修学旅行前のあの原宿での話が好きで、龍斗も絡ませたかったのでこんな話にしてみました。次は龍斗の戦闘を書きたいと思います。それでは7話でお会いしましょう。