「ちょ!?龍さん」
龍斗に手を引かれたアスナが驚いていると、目の前の景色が変わり、エヴァのログハウスではなくアスナと龍斗は高い塔の上に立っていた。
「こ、ここは?アタシエヴァちゃんの家にいたのに」
「ここはエヴァの別荘さ」
「エヴァちゃんの別荘?」
「そ、瓶に詰められたミニチュアがあったろ?」
「うん」
「ここはその中だ」
「ええ!?、大抵の事には驚かないと思っていたけど、これには驚いたわ」
「さ、エヴァがいるのはこの橋を渡った先だ行くよ」
「な、何でこの橋には手すりの一つも無いのよー!!」
龍斗とアスナが橋を渡りきると東屋が見えてきてその下に夕映と和美が立っていた。
「夕映ちゃーん、朝倉ー」
「アスナこっちこっち!!」
「二人ともこんなところにいたの?」
「アスナさんが来るまで三十分ぐらい、皆で調べたんですよ」
「三十分?一、二分ぐらいしか経ってないと思うんだけど・・・」
「ところで朝倉君何か見つけたのかい?」
「そうそう、この中から声が聞こえるのよ」
「この階段の下?」
アスナが階段を降りるとエヴァとネギの声が聞こえてきてアスナたちは聞き耳を立てた。
「も、もう限界です」
「何を言う若いんだ、少し休めば回復するだろう」
「あっダメ」
エヴァとネギが艶っぽい声を出していると、アスナが体を震えさせてエヴァの部屋に飛び込んだ。
「ちょっとあんた、ネギに一体何してるのよ!!」
アスナが飛び込むとそこではネギの手からエヴァが血を吸っている最中だった。
「ん?何だお前ら、何しに来た?」
「何って・・・あんたこそ何してるのよ?」
「ぼーやに授業料の代わりに血を吸わせてもらってるんだよ」
「どーせこんなことだろうと思ったわよ!!」
アスナがやけになって大声を出すとエヴァがニヤリと笑いながらアスナに言った。
「なんだと思ってたんだ?」
「うるさいわね、ここはどこなのよ」
「何だ龍斗話さなかったのか?」
「そんな暇無くてね、別荘としか話してないよ」
「ここは私が昔に作った別荘だ、ぼーやの修業のために引っ張り出したんだが、全く勝手に入って来おって一応言っておくがこの別荘は一日単位でしか利用できないからお前達も丸一日出られんぞ」
「一日!?明日の授業はどないするん!!」
木乃香が騒ぐと皆も騒ぎ始めた、すると龍斗が話に割って入った。
「大丈夫だよ浦島太郎の昔話があるだろここはそれの逆だよ、ここで一日過ごしても外の世界では一時間しか経ってないという訳だ」
アスナたちは魔法使いの力に驚いていたが、一日遊べることを思いつきエヴァの別荘でドンチャン騒ぎを始めることにした、その頃アスナたちのクラスメイトの那波千鶴と村上夏美は雨が降る中寮に向かって歩いていた。
「ネギ君疲れてたみたいだねちづ姉」
「そうね風邪かしら・・・夏美行き倒れよ」
「行き倒れ!?あ、何だ犬か、かわいそうだね」
千鶴は雨に濡れている子犬を抱き抱えた。
「しかも怪我をしてるわ、連れて帰りましょう」
千鶴と夏美は子犬を寮に連れ帰ることにし、そして寮に帰ると子犬の泥を拭くためにバスルームに子犬を寝かせた。
「でもちづ姉連れてきて良かったのかな?、ノラだよこの子」
「見た以上ほっとけないでしょ、怪我の手当てをするから、夏美はその子の体を拭いてあげて」
「ハーイ、キャー!?」
「どうしたの?夏美」
「ちづ姉、少し目を離したら子犬が裸の男の子に」
「あらあら・・・」
その男の子は気絶していたが、ネギや龍斗と戦った犬神小太郎だった。
次回はネギの回想に入ると思うので少し長くなるかと思います、それではまた30話でお会いしましょう。