「先手必勝行かせてもらうでござる」
楓は三人に分身して宗平に突っ込んでいった、宗平は突っ込んで来た楓を体術であしらっていった。
「ただの分身じゃ俺には勝てな!?」
宗平が分身をすべてあしらうと下から宗平の足をつかむ手が現れ宗平は足を掴まれた。
「土遁 心中斬首の術!!」
楓はそのまま宗平を地中の中に埋めていき、宗平は首だけが地面から出てる状態になった、そして楓が目の前に現れてしゃがんで宗平の首筋にクナイを向けた。
「拙者の勝ちでござるな師匠」
だが宗平は楓にクナイを向けられ自分の動きがとれないこの状況においてもニヤリと笑っていた。
「楓、人間が一番隙ができるのはいつだと思う」
「!?」
宗平がそう言うとしゃがんだ楓の首筋にひんやりと冷たい感触があった。
「それはな勝ちを確信したときだ」
宗平は楓の後ろからクナイを楓の首につけていた、すると目の前に埋まっていた宗平は跡形もなく消えた。
「何と手応えは本物だと思ったでござるが」
「当然だ本物と同じ質量で作ったからな、見分けられないのも無理はない」
楓は冷や汗を流すと宗平の前から消えた。
(これも分身か!?)
すると宗平の後ろの草影から楓が現れ宗平に向かって突撃してきた、楓の右手には丸い球体があり楓はそれを宗平にぶつけようとした。
(螺旋丸一度見せただけなのに真似できるとは血は争えないな)
宗平は昔の事を思い出していた、自分の事を師匠と呼ぶ楓に良く似た少女を、その少女も楓と同じく若くして中忍になるほどの才能があった、少女はたまたま出会った宗平を自分の師と呼び慕った、その少女の名を長瀬桜と言った、後に桜は好きな男性と恋に落ち子供が生まれ更には孫まで生まれた、やがて桜も年をとり死がゆっくりと彼女に近づいてきた、そんなある日宗平は桜に呼ばれて桜の家を訪れていた、そして桜が待つ寝室着くとそっと障子を開けて中に入った、そこにはかつての元気だった頃の桜の面影はなくなっていた。
「し、師匠」
桜は消え入りそうな声でしゃべり宗平は桜の枕元に座った、そして桜は首だけを宗平の方に向けた。
「師匠お久しぶりです」
「ああ最後に会ったのは楓が生まれたときか」
「楓も大きくなりました」
「そうか・・・ところで俺を呼び出した用件は何だ?」
「楓の事です、楓は今8歳ですが下忍になりました」
「早いな流石はお前の孫だ」
「ええですがあの子の才能はまだまだ発展途上です、師匠お願いというのは楓を弟子にとってはいただけませんか?」
「まああの子が望むなら教えるのは構わない」
桜はその言葉を聞くとホッとしたように胸を撫で下ろした。
「よかった」
「・・・・・」
「師匠申し訳ありません」
「何がだ?」
「師匠には頼んでばかりで何も返せませんでした」
桜は消え入りそうな声で涙ながらに言うと宗平はフッと笑って桜の手を掴んで優しく答えた。
「俺のようなバカな忍についてきてくれてありがとう、桜、俺はお前が弟子で本当によかった、一度も言ったことはないが俺はお前の事を誇りに思っている」
宗平の言葉に桜は言葉にならないほど嬉しく涙が止まらなかった、そしてその二日後長瀬桜は亡くなった、桜が埋葬されるとき宗平は姿を見せなかった、だが埋葬された日の夜桜の墓の前には一人の男が死者を弔うように優しい笛の音が鳴っていた、そして男は桜の墓前であることを誓ったのだった、時は戻り楓は螺旋丸を宗平に叩き込もうとしてた。
「もらったでござる」
(桜お前の孫はたくましく育っているな、お前の墓前で誓ったことは必ず守る)
すると宗平は螺旋丸を一瞬で作り楓の螺旋丸に自分の螺旋丸を当てた。
(そうそれはお前の代わりに楓を守り強く育てて見せる)
二つの螺旋丸がぶつかった、すると楓が吹き飛ばされ宗平はその場から一歩も動いてなかった。
「流石は桜の孫だ一度見せただけなのに真似されるとは驚いたぞ」
「やれやれ力負けしてしまったでござる、拙者もまだまだ修行が足りないでござるな」
すると宗平は一瞬で楓の前に現れて倒れている楓に手を伸ばした。
「ま、だから俺が教えるんだよ」
「あいあい」
楓は宗平の手を掴むとスッと起き上がり微笑んだ。
次回はネギがエヴァと戦うまでの修行期間の話です、元気なあの子も登場する予定なのでお楽しみに、それではまた24話でお会いしましょう、感想、評価お待ちしています。