流星のロックマンinデジタルモンスター   作:爆走ボンバー人間

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久しぶりにアニメとゲームをしたら書いてみたくなりました。

やはりスバミソは王道である


デジタル世界 二人の音楽者 

真っ暗な洞窟の中を進んでいく二つの影があった。その二人はローブで体を包み込んでいるため、身体的特徴はよくわからなかった。片方は背丈が高校生ぐらいで背中に黒いヴァイオリンケースを背負っていた。

そしてもう片方は背丈は高くはないが、後ろのローブから紅い尻尾がはみ出ていた。

 

「いいのか、本当に?」

 

青年は隣を歩いている相棒にそう尋ねる

 

「前にも言ったじゃねえか。俺はお前についていくって決めたんだ」

 

その問いにさも当然のように返されるが青年はもう一度問う

 

「だけど、これは俺のわがままみたいなもんだ。お前が俺に合わせる必要はないんだぞ?」

 

「俺は別にお前に合わせてるわけじゃねえよ」

 

その答えに青年は?を浮かべる

 

「お前と一緒にいた方が面白い事が起こる、それに俺がお前と一緒にいたいからついていくだけだ。

だから、そんな細かい事は気にすんな!」

 

そう答えて青年の背中を叩く。叩かれた青年は叩かれた痛みで少し苦々しい顔を浮かべるが、

すぐに笑みを浮かべ「ありがとな」と短く礼を言って相棒の頭を撫でる。撫でられた相棒は「オウ!」と

力強く答える。

 

「それに俺は俺の目的があるんだ!」

 

「目的?何だ、それ?」

 

「俺の目的はな、この俺の熱いロックをこの世界だけじゃなくて、お前がいた世界にも広げて、俺のロックを聴いた奴を感動させたいんだよ!ちょうどお前が俺にしてくれたみたいにな!」

 

「俺、そんな大したことはしてないぞ?」

 

嬉しそうに語る相棒に青年は頬を掻いて苦笑する

 

そんな青年に相棒は「謙遜すんなよ!」と笑う。

 

「俺はお前の音楽を初めて聞いたとき、最高に痺れたんだぜ!!ただ耳に聴こえるだけじゃなくて、心に直接訴えかけてくるような音楽で、俺はあの音楽に心底惚れたんだ!いつか、俺もお前のような音を出した言ってな!」

 

そう自分の事のように嬉しそうに俺の音楽を褒めてくれる相棒のその笑顔に、青年は記憶の中に残っている

自分の大切な少女の顔を思い浮かべた。姿も顔も、性格も全てが隣にいる相棒とは全く異なるが、それでも

青年の音楽を聴いて喜んでくれるその姿に、音楽を心から愛しているその心に、面影が重なるのだ。

 

今、その少女がどうしているかと思うと、青年の胸に小さく鋭い痛みが走る

 

「思い出してたのか、妹の事…?」

 

相棒が不意にそんな事を聞いてくる。恐らく顔に出てしまっていたのだろう。

 

「ああ。俺がこの世界に来たのは事故みたいなものでどうしようもない事だけど、これだけ長い間、母さんと一緒に残して行ったと思うと、どうしてもやるせない気持ちになっちまうんだ。母さんもあまり体の調子が良くなかったのに、もし今、母さんもいなくなってたらあいつは一人ぼっちになっちまう。そんな事を

否が応でも考えちまうんだ。もしそうなってたら、俺は……そばに居られなかった自分にすげえ腹が立つんだ…」

 

そう語りながら青年の顔はどんどん苦渋の表情になっていく。それを見た相棒は…

 

 

 

 

「何だよ、なら簡単な事じゃねえか」

 

「何がだよ…」

 

相棒のその言い様に少し癪に障り少し乱暴に聞く。

 

「別にむずかしい事でもねえじゃねえか。だったら早く帰って妹に謝るんだよ。許してもらうまで、土下座しでもな!そんで、今度からはずっといるって約束すりゃあいいんだよ!勝手にいなくならないって!そばにいるって!そんで最後にお前の音楽を聞かせてやれ!男だったらそれぐらい出来んだろ!」

 

「…!…はは、そうだよな。すまん、どこか弱気になってた。そうだ!男ならそれぐらいやってのけてやる!それでもダメなら切腹でも何でもしてやる!」

 

「おお!その息だぜ!」

 

切腹したら元も子ないのだが、二人とも気が乗っているためそこら辺は突っ込まなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのまま暫く歩き続けると、洞窟に光が差し込み、開けた場所に出る

 

そこは辺り一面が水晶で出来た空間になっており、地面や壁のあちこちから水晶の塊が突き出しており、

天井には一際大きな水晶の塊があり、そこから光があふれておりこの空間を照らしていた。

 

幻想的で美しいという表現がよく似合うその光景に二人は少しの間、心を奪われていたが、尋常じゃない

気配を感じ気を引き締める

 

警戒しながら洞窟の奥の方へと進むと巨人でも通れそうなほどの巨大な門があり、その門の前に門番の様に

立つ存在がいた

 

黒い体の上に中国風の鎧を身にまとっており腰には二振りの剣、金色の角を持っている下半身は四足、上半身はミノタウロスのような出で立ちをした存在だった。

 

その牛型の半獣半人は奥からやってきた青年たちを確認すると、立ちはだかるように前に出て問いを投げる

 

 

 

「我が名はヴァジラモン!デジタルワールドを守護する四聖獣デジモンが一体、『シェンウーモン』様の配下であり十二神(デーヴァ)の一柱なり!デジモンと人間の来訪者よ!何故この地に来た!」

 

高らかに番人のごとく問いかけるヴァジラモンに対し、青年は答える

 

「俺がここに来たのは、この先にあるって言われてるデジタルゲートをくぐって、このデジタルワールドから元の世界に変えるためだ!」

 

「俺も同じだ!もっとも、俺はこいつについてきただけだけどよ」

 

そう答える青年たちにヴァジラモンは、青年たちの顔をその真紅の眼で見る。真偽を定めるように暫く青年たちを見た後、おもむろに口を開く

 

「うむ、どうやら嘘偽りを述べてはいないようだな」

 

「そうか、ならここを通して「それはならん!」…どうしてだ?」

 

「私はシェンウーモン様にこの地を守護するように仰せつかっておる。この先にあるデジタルゲートを

如何なるものも通さぬために」

 

「何だよ、別にいいじゃねえか!ちょっとぐらい!こいつはどうしても元の世界に帰らなきゃならない理由があるんだ!なぁ、通してくれよ!」

 

「ならん!どんな事情を抱えてるにしても、特例は認められん」

 

「この堅物野郎!」と青年の相棒は叫ぶが、それを全く無視するヴァジラモン

 

「どうしても通してくれないのか?」

 

「無論だ。どうしてもこの先へ行くというのなら…」

 

そこまで言ってヴァジラモンは腰の二振りの剣、宝剣(パオチェン)を引き抜き突きつける

 

「この私を倒してから通るがよい!」

 

「へっ!上等じゃねえか!分かりやすくていいぜ!だったらテメエをぶった押して堂々と通らせてもらうぜ!」

 

「そうだな、それにこいつなら加減抜きで戦えそうだしな」

 

青年とその相棒はニッ、と笑いながらローブを脱ぎ捨てその姿が露わになる

 

オレンジのカーディガンに白のシャツ、黒のカーゴパンツ、赤のスニーカーを履いており胸元には音符の

模様が象られた銀のシンプルなロケットが首からさげているワインレッドの髪の青年と

 

赤を主体に胸と手足の先が白く、頭部にはヘッドホンと特徴的なⅤ字型の頭の小龍

 

「よかろう、ならば尋常に勝負といこうではないか!」

 

「あ~、すまん。その前に一ついいか?」

 

「何だ人の子よ?」

 

「戦う前に、一曲聞いてもらえないか?」

 

そう言い、青年は背中のヴァイオリンケースからヴァイオリンを取り出す

 

「それは構わんが、何故闘いの前にそのような事を行う?」

 

「別に、ただこの戦いは誰か関係のないやつが巻き込まれるような戦いじゃないし、お前がただ単にいい奴に思ったから、戦う前に俺の音楽を聞かせてやりたいなと思ったからだ」

 

そのバカ正直な答えに、ヴァジラモンは先程までの威厳に満ちた顔から少し唖然とし、笑いを上げる

 

「ハハハハハハ!中々面白い事を言うな人の子よ!そのような事を何の曇りもなく言う奴など見た事がない!!よかろう、私もそなたの音楽とやらが聴きたくなってみた」

 

「それはよかった。じゃあ、心ゆくまで聞いてくれ」

 

そう言い、青年はヴァイオリンを構え弾く

 

♪♪♪~♪♪、♪~♪♪♪~♪♪♪~………

 

青年の弾く音楽はこの水晶の洞窟に響き渡り、この幻想的な光景ととてもミスマッチする透き通るように

清らかな音色だった。その音色に彼の相棒はもちろんの事、ヴァジラモンもいつの間にか聴き入ってしまっていた

 

~♪♪、~♪♪♪

 

演奏が終わり、青年は短く息を吐いてヴァイオリンをおろす

 

「どうだ、俺の演奏は?」

 

「うむ、私はあまり音楽には詳しくなく、この耳に聴く事も僅かながらにしかなかったものだが…

お主の演奏は心が透き通るかのように綺麗なものであった。とても気に入った!」

 

「おっ、よくわかってんじゃねえかお前!こいつの演奏は何度聴いても惚れぼれしちまう程のもんだぜ!」

 

「気に入ってくれたなら、弾いた回があったってもんだ」

 

「演奏も終わったことだし、そろそろ始めるか!」

 

「その前に人の子よ、お主の名を聴いてもよいか?お主に興味がわいた」

 

「うん?ああ、そう言えばまだ名乗ってなかったな!

 

俺の名前は光陽。 響 光陽(ひなた)だ。宜しくな、ヴァジラモン」

 

「なら俺も名乗っておくぜ!俺はシャウトモン!このデジタルワールドに俺の熱いロック魂を広めるのが、

俺の目的だ!」

 

「響 光陽にシャウトモンか…ならば私も今一度名乗ろう!我が名はヴァジラモン!『シェンウーモン』様の配下であり十二神(デーヴァ)の一柱なり!光陽、そしてシャウトモンよ!全力で掛ってくるがよい!」

 

「ああ、元からそのつもりだ!」

 

「そうこなくっちゃな!ヴァジラモン、お前にも俺のこのロックを聞かせてやるぜ!」

 

光陽は腰から、オレンジの電子端末『デジヴァイス』を、シャウトモンは掌から彼の愛用している武器でもありロッド状のマイクを構え、ヴァジラモンに挑む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、この物語の序章に過ぎない

 

 

光陽とシャウトモンはこれから起こるであろう出来ごとをまだ何も知らない

 

 

これから先、彼らは現実でもデジタルでもない世界

 

 

電脳世界で青い流星と会合する事を彼らに知る由はなかった

 

 

 

 

 




ヴァイオリンの曲は仮面ライダーキバの音也のエチュードをご想像ください

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